JP4442960B2 - 新規な二量体型テトラフェニレンジアミンを用いた有機エレクトロルミネッセント素子 - Google Patents

新規な二量体型テトラフェニレンジアミンを用いた有機エレクトロルミネッセント素子 Download PDF

Info

Publication number
JP4442960B2
JP4442960B2 JP26827099A JP26827099A JP4442960B2 JP 4442960 B2 JP4442960 B2 JP 4442960B2 JP 26827099 A JP26827099 A JP 26827099A JP 26827099 A JP26827099 A JP 26827099A JP 4442960 B2 JP4442960 B2 JP 4442960B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dimer
tpd
mmol
shows
relationship
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP26827099A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001089428A (ja
Inventor
淳二 城戸
智久 山田
隆之 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chemipro Kasei Kaisha Ltd
Original Assignee
Chemipro Kasei Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chemipro Kasei Kaisha Ltd filed Critical Chemipro Kasei Kaisha Ltd
Priority to JP26827099A priority Critical patent/JP4442960B2/ja
Publication of JP2001089428A publication Critical patent/JP2001089428A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4442960B2 publication Critical patent/JP4442960B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な二量体型テトラフェニレンジアミンを用いた有機エレクトロルミネッセント素子(有機EL素子)に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子においてトリフェニルアミン骨格を有する材料がホール輸送性材料として幅広く使用されている。その中でもテトラフェニレンジアミン(例えばTPD:N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,1′−ジアミノ−4,4′−ビフェニル)はホール輸送能に優れた材料である。そして、この材料は従来OPCで研究されてきた材料であり、今日ELに応用されているが、ガラス転移点が63℃という低い値のため、素子駆動時のジュール熱による結晶化を起こしやすく、素子寿命にのぞましくない影響を起こすことが知られている。
【0003】
一方、有機EL素子はアモルファス性の超薄膜を使用するために膜質の安定性に優れた材料が必要である。その解決法として分子量を大きくし、構造的に嵩高にして、熱に対して安定な材料が合成され、研究されてきた。その結果下記式群
【化2】
Figure 0004442960
で示されるトリフェニルアミン誘導体が開発された。
【0004】
これらの材料は100℃以上の高いガラス転移温度を有しており、熱的安定性に優れた材料であるが、トリフェニルアミンユニットの数を増やすとイオン化ポテンシャルが低下する傾向があり、これらの化合物のイオン化ポテンシャルは5.1eV付近である。そして、この値は陽極であるITOのイオン化ポテンシャルに近い値であるため、陽極からのホール注入は容易であるが、発光層であるトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)層への注入障壁が大きくなり、結果的に素子特性の低下を避けることができなかった。いいかえれば、これらの化合物はホール注入層としては優れた特性を示すが、ホール輸送層としては好ましい化合物ではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ガラス転移温度が高く、かつイオン化ポテンシャルの低下がない新規な二量体型テトラフェニレンジアミンを用いた新規有機EL素子を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一は、ホール輸送層として少なくとも1種の下記二量体型テトラフェニレンジアミンを用いたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子に関する。
【化3】
Figure 0004442960
【0007】
本発明の特許請求の範囲で示される新規二量体型テトラフェニレンジアミンは、化合物の構造中心にある−CH を中心として左右が自由に回転できる構造になっている点に特徴がある。
【0008】
実施例1
(1)4,4′−ジヨードビフェニルメタン(DIBM)の合成
マグネット、温度計と滴下漏斗のついた300mlの4つ口フラスコに濃塩酸20mlと水180mlを入れ氷浴で0℃まで冷却した。これにジアミノジフェニルメタン5.9g(30mmol)をゆっくりと投入した。1時間同温で撹拌し、この液に4.3g(63mmol)の亜硝酸ナトリウムを溶かした水溶液20mlを5℃以下で滴下した。さらに、滴下終了後5℃で30分間攪拌し不要物を濾過した。過剰な亜硝酸は、10%のスルファミン酸ナトリウム水溶液で分解し、ジアゾニウム溶液を得た。マグネット、温度計、滴下漏斗のついた500mlの4つ口フラスコに、前もって5℃に冷やされた100mlの水に溶かされたヨウ化カリウム10g(60mmol)中に前記ジアゾニウム溶液を滴下した。さらに、2時間同温で撹拌し室温に戻した。その後油浴中で60℃に保ち5時間撹拌した。この反応液は、室温まで冷却後ジエチルエーテル50mlで3回抽出した。抽出したエーテル層は、1つにし適当量の水、希酸そして希アルカリ水でそれぞれ洗浄した。さらに、この有機層は500mlの三角フラスコに移し、無水硫酸マグネシウムを加え一晩乾燥した。最後に硫酸マグネシウムを濾過し、エーテルを減圧下回収した。得られた残渣は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤CHCl:n−C14=1:1)で精製し、白に薄く黄色がかった目的物4,4′−ジヨードビフェニルメタン(DIBM)6.8g(11mmol)を得た。化合物の同定は、H−NMR、IR、元素分析にて行った。それぞれのスペクトルを図1、図2に示した。
収率:22.0%
融点:91.5〜93.0℃
H−NMR;δ(ppm)=4.0〜4.2(2H,CH),6.8〜
7.8(m,26H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3000(CH
元素分析(C1310):
理論値 C=37.2%、 H=2.4%、
測定値 C=36.8%、 H=2.6%
【0009】
【化4】
Figure 0004442960
【0010】
(2)N,N′−ジフェニル−N−フェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DPBD)の合成
マグネット、水冷管、温度計、窒素導入管と滴下漏斗のついた300mlの4つ口フラスコに、酢酸パラジウム6.1g(27mmol)とo−キシレン20mlを加え窒素気流下で溶解し、トリ−tert−ブチルホスフィン21.8g(108mmol)を滴下漏斗から滴下し5分間室温にて撹拌した。酢酸パラジウムが溶解したことを確認後、o−キシレン50mlで希釈したヨードベンゼン8.8g(43.2mmol)を滴下した。さらに、5分間撹拌後、o−キシレン100mlで希釈したN,N′−ジフェニルベンジジン14.5g(43.2mmol)を滴下しさらにナトリウム−tert−ブチラート5.0g(51.8mmol)を加え、反応液を油浴中で120℃に加熱し8時間反応した。反応後室温まで冷却し、300mlのクロロホルムで反応液を希釈した。その後水100mlで洗浄した有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒が減圧下回収され、得られた残渣は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤CHCl:n−C14=1:1)で精製し、目的物N,N′−ジフェニル−N−フェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DPBD)2.9g(7mmol)を得た。構造確認はH−NMR、IR、元素分析にて行い、それぞれのスペクトルを図3、図4に示した。
収率:16.2%
融点:169.5〜171.0℃
H−NMR;δ(ppm)=5.6(s,1H,NH),6.8〜
7.8(m,4H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3316(NH)
元素分析(C1013N):
理論値 C=87.35%、 H=5.86%、 N=6.79%
測定値 C=87.04%、 H=6.03%、 N=6.83%
【0011】
【化5】
Figure 0004442960
【0012】
(3)TPD二量体(TPD dimer)の合成
水冷管、温度計、窒素導入管、マグネットおよび滴下漏斗のセットされた200mlの4つ口フラスコに、酢酸パラジウム2.0g(9mmol)を10mlのキシレンに溶解した。この溶液にトリ−tert−ブチルホスフィン7.3g(36mmol)を滴下し5分間室温にて撹拌した。この溶液が均一になったことを確認した後、2.2g(3.5mmol)のDIBM−o−キシレン溶液20mlを滴下した。次に、2.9g(7mmol)のDPBD−o−キシレン溶液20mlを滴下し、ナトリウム−tert−ブチラート0.8g(84mmol)を加えオイルバスにて120℃にて8時間反応した。反応後室温まで冷却し、クロロホルム100mlを加え希釈し、20mlの水で洗浄した。有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し減圧下溶媒を回収した。得られた残渣は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤CHCl:n−C14=1:1)により精製し、0.24g(0.25mmol)のTPD dimer(化6に示すとおり、2つのTPD:すなわち、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,1′−ジアミノ−4,4′−ビフェニルをメチレン結合で一体化したもの)を得た。構造確認はH−NMRスペクトル、IRスペクトル、元素分析にて行い、それぞれのスペクトルを図5、図6に示した。
収率:7%
融点:143.5〜145.0℃
H−NMR;δ(ppm)=3.8〜4.0(bs,2H,CH),
6.8〜7.8(m,54H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3016(ArN)
元素分析(C1013N):
理論値 C=88.63%、 H=5.71%、 N=5.66%
測定値 C=88.95%、 H=5.70%、 N=5.68%
【0013】
【化6】
Figure 0004442960
【0014】
実施例2
(1)N,N′−ジフェニル−N−メチルフェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DMBD)の合成
マグネット、水冷管、温度計、窒素導入管と滴下漏斗のついた300mlの4つ口フラスコに、酢酸パラジウム6.1g(27mmol)とo−キシレン20mlを加え窒素気流下で溶解し、トリ−tert−ブチルホスフィン21.8g(108mmol)を滴下漏斗から滴下し5分間室温にて撹拌した。酢酸パラジウムが溶解したことを確認後、o−キシレン50mlで希釈したp−ヨードトルエン9.4g(43.2mmol)を滴下した。さらに、5分間撹拌後、o−キシレン100mlで希釈したN,N′−ジフェニルベンジジン14.5g(43.2mmol)を滴下しさらにナトリウム−tert−ブチラート5.0g(51.8mmol)を加え、反応液を油浴中で120℃に加熱し8時間反応した。反応後室温まで冷却し、300mlのクロロホルムで反応液は希釈した。その後水100mlで洗浄した有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒が減圧下回収され、得られた残渣は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤CHCl:n−C14=1:1)で精製し、目的物N,N′−ジフェニル−N−メチルフェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DMBD)4.6g(10.8mmol)を得た。構造確認はH−NMR、IR、元素分析にて行い、それぞれのスペクトルを図7、図8に示した。
収率:25%
融点:61.5〜63.5℃
H−NMR;δ(ppm)=2.35(t,3H,CH),5.7〜
6.0(bs,1H,NH),6.8〜7.6(m,22H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3316(NH)
元素分析(C3126):
理論値 C=87.29%、 H=6.14%、 N=6.57%
測定値 C=86.90%、 H=6.40%、 N=6.63%
【0015】
【化7】
Figure 0004442960
【0016】
(2)メチル化−TPD二量体(Me−TPD dimer)の合成
水冷管、温度計、窒素導入管、マグネットおよび滴下漏斗のセットされた200mlの4つ口フラスコに、酢酸パラジウム3.2g(14.4mmol)を20mlのキシレンに溶解した。この溶液にトリ−tert−ブチルホスフィン11.7g(57.6mmol)を滴下し5分間室温にて撹拌した。この溶液が均一になったことを確認した後、3.5g(5.6mmol)のDIBM−o−キシレン溶液30mlを滴下した。次に、4.6g(11.2mmol)のDMBD−o−キシレン溶液30mlを滴下し、ナトリウム−tert−ブチラート1.3g(134.4mmol)を加えオイルバスにて120℃にて8時間反応した。反応後室温まで冷却し、クロロホルム150mlを加え希釈し、30mlの水で洗浄した。有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し減圧下溶媒を回収した。得られた残渣は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤CHCl:n−C14=1:1)により精製し、1.8g(1.8mmol)のMe−TPD dimerを得た。構造確認はH−NMRスペクトル、IRスペクトル、元素分析にて行い、それぞれのスペクトルを図9、図10に示した。
収率:31.5%
融点:133.5〜135.0℃
H−NMR;δ(ppm)=2.35(s,3H,CH),3.8〜4.0(bs,2H,CH),6.8〜7.8(m,54H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3316(ArN)
元素分析(C7560):
理論値 C=88.55%、 H=5.94%、 N=5.51%
測定値 C=88.61%、 H=6.09%、 N=5.22%
【0017】
【化8】
Figure 0004442960
【0018】
実施例3
(1)N,N′−ジフェニル−[1,1′−メチレン]−1−ナフチルアミン(DMNA)の合成
マグネット、水冷管、温度計、窒素導入管と滴下漏斗のついた300mlの4つ口フラスコに、酢酸パラジウム12.2g(54mmol)とo−キシレン40mlを加え窒素気流下で溶解し、トリ−tert−ブチルホスフィン43.6g(216mmol)を滴下漏斗から滴下し5分間室温にて撹拌した。酢酸パラジウムが溶解したことを確認後、o−キシレン50mlで希釈した1−ヨードナフタレン11.0g(43.2mmol)を滴下した。さらに、5分間撹拌後、o−キシレン50mlで希釈したメチレンジアニリン4.3g(21.6mmol)を滴下しさらにナトリウム−tert−ブチラート10.0g(103.6mmol)を加え、反応液を油浴中で120℃に加熱し8時間反応した。反応後室温まで冷却し、300mlのクロロホルムで反応液は希釈した。その後水100mlで洗浄した有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒が減圧下回収され、得られた残渣は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤CHCl:n−C14=1:1)で精製し、目的物N,N′−ジフェニル−[1,1′−メチレン]−1−ナフチルアミン(DMNA)8.8g(19.5mmol)を得た。構造確認はH−NMRスペクトル、IRスペクトル、元素分析にて行い、それぞれのスペクトルを図11、図12に示した。
収率:90.2%
融点:116.5〜118.0℃
H−NMR;δ(ppm)=3.9(s,2H,CH),5.8〜
5.9(bs,1H,NH),6.8〜7.6(m,22H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3316(NH)
元素分析(C3326):
理論値 C=87.97%、 H=5.82%、 N=6.22%
測定値 C=87.62%、 H=6.01%、 N=6.36%
【0019】
【化9】
Figure 0004442960
【0020】
(2)4−(4′−ヨードビフェニルイル)−N−フェニル−1−ナフチルアミン(IBPNA)の合成
マグネット、空冷管、温度計、窒素導入管のついた300mlの4つ口フラスコに、N−フェニル−1−ナフチルアミン3.5g(15.8mmol)、4,4′−ジヨードビフェニル6.4g(15.8mmol)、活性化銅0.5g、炭酸カリウム6.5g(39.7mmol)を窒素雰囲気下、230℃で24時間反応させた。その後、反応混合物をテトラヒドロフラン150mlで希釈し、無機物を濾過した。この濾液はエバポレータで溶媒の回収をし、得られた反応物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー法(クロロホルム:n−ヘキサン=1:1)により精製を行い、目的物4−(4′−ヨードビフェニルイル)−N−フェニル−1−ナフチルアミン(IBPNA)1.2g(2.4mmol)を得た。構造確認はH−NMRスペクトル、IRスペクトル、元素分析にて行い、それぞれのスペクトルを図13、図14に示した。
収率:15.3%
融点:134.5〜136.0℃
H−NMR;δ(ppm)=6.8〜7.6(m,20H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3316(NH)
元素分析(C2820IN):
理論値 C=87.97%、 H=5.82%、 N=6.22%
測定値 C=87.62%、 H=6.01%、 N=6.36%
【0021】
【化10】
Figure 0004442960
【0022】
(3)α−NPD二量体(α−NPD dimer)の合成
水冷管、温度計、窒素導入管、マグネットおよび滴下漏斗のセットされた200mlの4つ口フラスコに、酢酸パラジウム3.2g(14.4mmol)を20mlのキシレンに溶解した。この溶液にトリ−tert−ブチルホスフィン11.7g(57.6mmol)を滴下し5分間室温にて撹拌した。この溶液が均一になったことを確認した後、2.5g(5.6mmol)のIBPNA−o−キシレン溶液30mlを滴下した。次に、5.0g(11.2mmol)のDMBD−o−キシレン溶液30mlを滴下し、ナトリウム−tert−ブチラート1.3g(134.4mmol)を加えオイルバスにて120℃にて8時間反応した。反応後室温まで冷却し、クロロホルム150mlを加え希釈し、30mlの水で洗浄した。有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し減圧下溶媒を回収した。得られた残渣は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤CHCl:n−C14=1:1)により精製し、1.3g(1.1mmol)のα−NPD dimerを得た。構造確認はH−NMRスペクトル、IRスペクトル、元素分析にて行い、それぞれのスペクトルを図15、図16に示した。
収率:20.3%
融点:167.5〜170℃
H−NMR;δ(ppm)=2.35(s,3H,CH),3.8〜
4.0(q,2H,CH),6.8〜7.8(m,62H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3316(ArN)
元素分析(C8964):
理論値 C=89.87%、 H=5.42%、 N=4.71%
測定値 C=88.63%、 H=5.33%、 N=4.76%
【0023】
【化11】
Figure 0004442960
【0024】
<実施例1〜3で得られた二量体の熱特性>
合成した低分子のガラス転移点を測定した。その結果を図17〜19に示す。実施例1のTPD二量体のTgは107℃、実施例2のMe−TPD二量体はTgは96℃、実施例3のα−NPD二量体Tgは120℃であった。二量化することによりTgの向上をさせることができた。これは単量体に比べて分子自身がかなり嵩高くなり熱による分子配向がしにくくなったものと考えられる。またナフチル基の様なバルキーな置換基の導入は屈強性を低くするために120℃と高いTgを示したものと考えられる。
【0025】
<実施例1〜3で得られた二量体の蛍光特性>
合成した二量体の蛍光特性すなわち、UV吸収スペクトル、波長−輝度特性、蛍光スペクトル−輝度特性を図20〜28に示す。実施例1のTPD二量体の蛍光特性はλex=351nm、λem=401nm、実施例2のMe−TPD二量体の蛍光特性はλex=352nm、λem=403nm、実施例3のα−NPD二量体の蛍光特性はλex=345nm、λem=441nmであった。またこれらの蛍光スペクトルは実施例1のTPD、実施例2のMe−TPD、実施例3のα−NPDの単量体の蛍光スペクトルと同様であった。メチレン基や分子が嵩高い為に分子間相互作用が抑制され本来の蛍光スペクトルを示したものと考えられる。π共役は伸びることでイオン化ポテンシャルの低下がみられ蛍光ピークの長波長ピークが確認されるがこれらの材料からは観察されなかったのでイオン化ポテンシャルの低下は見られないものと推測される。
【0026】
<実施例1〜3で得られた二量体のイオン化ポテンシャル>
合成した二量体の電気化学特性を表1に示した。TPD二量体はHOMO=5.4eV、LUMO=2.3eV、Eg=3.1eVであった。Me−TPD二量体はHOMO=5.3eV、LUMO=2.2eV、Eg=3.1eVであった。α−NPD二量体はHOMO=5.4eV、LUMO=2.3eV、Eg=3.0eVであった。スターバーストアミン類に見られる様なπ共役系によるイオン化ポテンシャルの低下は見られなかった。これはメチレン基により二量体を形成している為にπ共役系が絶たれているものと考えられる。TPDと同様な値を示し十分ホール輸送層として機能する材料だと推測される。
【0027】
【表1】
Figure 0004442960
【0028】
実施例4
<二量体ホール輸送層への応用>
合成した実施例1〜3の二量体をホール輸送層に用いた二層型素子(図29に示す)を作製した。その時の素子特性を図30〜図44に示した。素子構造はホール輸送層として合成した二量体材料を真空蒸着法により積層し、電子輸送性発光層として下記式
【化12】
Figure 0004442960
で示される電子輸送性のトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)を用い、陰極電極としてMg:Ag合金を用いた二層型素子を作製し、この素子に直流電圧を印加することによりガラス基板を通して高輝度緑色発光を確認した。その時のELスペクトルはAlqの蛍光スペクトルと一致したことでこの素子において低分子材料がホール輸送層として機能し、Alq層内でキャリアの再結合が起こっていると考えられる。TPD二量体をホール輸送層として用いた素子において発光開始電圧は3Vで最高輝度は12Vで11000cd/m、外部量子効率は0.97%であった。この素子はTPD単量体を用いた素子と同等の特性を示した。Me−TPD二量体をホール輸送層として用いた素子においても発光開始電圧は3Vで最高輝度は11Vで11000cd/m、外部量子効率は1.09%という高い値を示した。α−NPD二量体をホール輸送層として用いた素子においても発光開始電圧は3Vで最高輝度は12Vで9000cd/m、外部量子効率は1.07%と良好な値を示した。これらのデーターをまとめて表2に示す。
【0029】
【表2】
Figure 0004442960
【0030】
これらの材料はTPD単量体やα−NPD単量体と同様の高い素子特性を示し、またTgなど熱安定性が単量体に比べて優れているため素子寿命などの素子安定性に大きく貢献すると考えられる。
【0031】
【発明の効果】
本発明により、従来のトリフェニルアミン系のホール輸送能力の優れた点を生かしつつ、従来化合物の欠点であったガラス転移点の低い点を改善し、結果として、それを有機EL素子に用いたときの熱安定性を大きく改善することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 4,4′−ジヨードビフェニルメタン(DIBM)のH−NMRスペクトルを示す。
【図2】 4,4′−ジヨードビフェニルメタン(DIBM)のIRスペクトルを示す。
【図3】 N,N′−ジフェニル−N−フェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DPBD)のH−NMRスペクトルを示す。
【図4】 N,N′−ジフェニル−N−フェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DPBD)のIRスペクトルを示す。
【図5】 実施例1で得られた二量体型テトラフェニレンジアミン(TPDダイマー)のH−NMRスペクトルを示す。
【図6】 実施例1で得られた二量体型テトラフェニレンジアミン(TPDダイマー)のIRスペクトルを示す。
【図7】 N,N′−ジフェニル−N−メチルフェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DMBD)のH−NMRスペクトルを示す。
【図8】 N,N′−ジフェニル−N−メチルフェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DMBD)のIRスペクトルを示す。
【図9】 実施例2で得られた二量体型メチル化テトラフェニレンジアミン(Me−TPDダイマー)のH−NMRスペクトルを示す。
【図10】 実施例2で得られた二量体型メチル化テトラフェニレンジアミン(Me−TPDダイマー)のIRスペクトルを示す。
【図11】 N,N′−ジフェニル−[1,1′−メチレン]−1−ナフチルアミン(DMNA)のH−NMRスペクトルを示す。
【図12】 N,N′−ジフェニル−[1,1′−メチレン]−1−ナフチルアミン(DMNA)のIRスペクトルを示す。
【図13】 4−(4′−ヨードビフェニルイル)−N−フェニル−1−ナフチルアミン(IBPNA)のH−NMRスペクトルを示す。
【図14】 4−(4′−ヨードビフェニルイル)−N−フェニル−1−ナフチルアミン(IBPNA)のIRスペクトルを示す。
【図15】 実施例3で得られたα−NPDダイマーのH−NMRスペクトルを示す。
【図16】 実施例3で得られたα−NPDダイマーのIRスペクトルを示す。
【図17】 実施例1で得られたTPDダイマーの窒素雰囲気中におけるDSCカーブを示す。
【図18】 実施例2で得られたMe−TPDダイマーの窒素雰囲気中におけるDSCカーブを示す。
【図19】 実施例3で得られたα−NPDダイマーの窒素雰囲気中におけるDSCカーブを示す。
【図20】 実施例1のTPD二量体−フィルムの紫外線吸収スペクトルを示す。
【図21】 実施例1のTPD二量体−フィルムの波長と蛍光強度の関係を示す。
λex=351nm、λem=401nm
【図22】 実施例1のTPD二量体−フィルムの波長と発光強度の関係を示す。
λex=351nm、λem=401nm
【図23】 実施例2のMe−TPD二量体−フィルムの紫外線吸収スペクトルを示す。
【図24】 実施例2のMe−TPD二量体−フィルムの波長と蛍光強度の関係を示す。
λex=352nm、λem=403nm
【図25】 実施例2のMe−TPD二量体−フィルムの波長と発光強度の関係を示す。
λex=352nm、λem=403nm
【図26】 実施例3のα−NPD二量体−フィルムの紫外線吸収スペクトルを示す。
【図27】 実施例3のα−NPD二量体−フィルムの波長と蛍光強度の関係を示す。
λex=345nm、λem=441nm
【図28】 実施例3のα−NPD二量体−フィルムの波長と発光強度の関係を示す。
λex=345nm、λem=441nm
【図29】 実施例で用いた二層型素子の断面図である。
【図30】 実施例1のTPD二量体を用いた二層型素子のエネルギーレベルダイヤグラムとポテンシャルエネルギーの関係を示す図である。
【図31】 実施例1のTPD二量体を用いた二層型素子の波長と輝度の関係を示す。
【図32】 実施例1のTPD二量体を用いた二層型素子の電圧−輝度の関係を丸印で、TPD単量体を用いた二層型素子の電圧−輝度の関係を三角印で、それぞれ示す。
【図33】 実施例1のTPD二量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を丸印で、TPD単量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を三角印で示す。
【図34】 実施例1のTPD二量体を用いた二層型素子の電流密度と輝度の関係を丸印で、TPD単量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を三角印で示す。
【図35】 実施例2のMe−TPD二量体を用いた二層型素子のエネルギーレベルダイヤグラムとポテンシャルエネルギーの関係を示す図である。
【図36】 実施例2のMe−TPD二量体を用いた二層型素子の波長と輝度の関係を示す。
【図37】 実施例2のMe−TPD二量体を用いた二層型素子の電圧−輝度の関係を丸印で、Me−TPD単量体を用いた二層型素子の電圧−輝度の関係を三角印で、それぞれを示す。
【図38】 実施例2のMe−TPD二量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を丸印で、Me−TPD単量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を三角印で示す。
【図39】 実施例2のMe−TPD二量体を用いた二層型素子の電流密度と輝度の関係を丸印で、Me−TPD単量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を三角印で示す。
【図40】 実施例3のα−NPD二量体を用いた二層型素子のエネルギーレベルダイヤグラムとポテンシャルエネルギーの関係を示す図である。
【図41】 実施例3のα−NPD二量体を用いた二層型素子の波長と輝度の関係を示す。
【図42】 実施例3のα−NPD二量体を用いた二層型素子の電圧−輝度の関係を丸印で、α−NPD単量体を用いた二層型素子の電圧−輝度の関係を三角印で、それぞれ示す。
【図43】 実施例3のα−NPD二量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を丸印で、α−NPD単量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を三角印で示す。
【図44】 実施例3のα−NPD二量体を用いた二層型素子の電流密度と輝度の関係を丸印で、α−NPD単量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を三角印で示す。

Claims (1)

  1. ホール輸送層として少なくとも1種の下記二量体型テトラフェニレンジアミンを用いたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子。
    Figure 0004442960
JP26827099A 1999-09-22 1999-09-22 新規な二量体型テトラフェニレンジアミンを用いた有機エレクトロルミネッセント素子 Expired - Fee Related JP4442960B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26827099A JP4442960B2 (ja) 1999-09-22 1999-09-22 新規な二量体型テトラフェニレンジアミンを用いた有機エレクトロルミネッセント素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26827099A JP4442960B2 (ja) 1999-09-22 1999-09-22 新規な二量体型テトラフェニレンジアミンを用いた有機エレクトロルミネッセント素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001089428A JP2001089428A (ja) 2001-04-03
JP4442960B2 true JP4442960B2 (ja) 2010-03-31

Family

ID=17456244

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26827099A Expired - Fee Related JP4442960B2 (ja) 1999-09-22 1999-09-22 新規な二量体型テトラフェニレンジアミンを用いた有機エレクトロルミネッセント素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4442960B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7960587B2 (en) * 2004-02-19 2011-06-14 E.I. Du Pont De Nemours And Company Compositions comprising novel compounds and electronic devices made with such compositions
US7365230B2 (en) 2004-02-20 2008-04-29 E.I. Du Pont De Nemours And Company Cross-linkable polymers and electronic devices made with such polymers
KR20120024999A (ko) 2004-03-31 2012-03-14 이 아이 듀폰 디 네모아 앤드 캄파니 전하 수송 물질용 트리아릴아민 화합물
JP5084368B2 (ja) * 2007-06-27 2012-11-28 キヤノン株式会社 アリールアミン組成物の精製方法、および、電子写真感光体の製造方法
KR20120086319A (ko) 2009-10-19 2012-08-02 이 아이 듀폰 디 네모아 앤드 캄파니 전자적 응용을 위한 트라이아릴아민 화합물
WO2011049953A2 (en) 2009-10-19 2011-04-28 E. I. Du Pont De Nemours And Company Triarylamine compounds for electronic applications

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001089428A (ja) 2001-04-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4642850B2 (ja) 新しい有機発光素子材料およびこれを用いた有機発光素子(10)
US8980442B2 (en) Aromatic amine derivative and organic electroluminescent element using same
JP3780264B2 (ja) ゲスト−ホスト・エレクトロルミネッセンス系のためのカルバゾール基材料
US7745819B2 (en) Pyrene derivatives and organic electronic device using pyrene derivatives
JP5540339B2 (ja) 非対称構造の有機電気発光素子用アリールアミン誘導体、その製造方法、これを含む有機電気発光素子用有機薄膜材料及びこれを利用した有機電気発光素子
TWI305199B (en) Arylamine compound and organic electroluminescence device
JP4561221B2 (ja) 化合物、電荷輸送材料および有機電界発光素子
US20030143430A1 (en) Organic electroluminescence device and phenylenediamine derivative
US20140326979A1 (en) Spirobifluorene compounds for light emitting devices
WO1996022273A1 (fr) Elements organiques electroluminescents, films minces organiques et composes de la triamine
US6777111B1 (en) Electro luminescent element
WO2005022962A1 (ja) 化合物、電荷輸送材料および有機電界発光素子
JP2010525054A (ja) 新規のジアミン誘導体およびこれを用いた有機電子素子
JP2003261473A (ja) トルクセン誘導体
JP3251932B2 (ja) 新規なジアミン正孔移動物質およびそれを含有する有機電界発光素子
TWI391367B (zh) Aromatic amine compounds and organic electroluminescent elements
JPH10308280A (ja) 電界発光素子
JP4442960B2 (ja) 新規な二量体型テトラフェニレンジアミンを用いた有機エレクトロルミネッセント素子
KR20150082156A (ko) 신규한 화합물 및 이를 포함하는 유기 발광 소자
US20070243416A1 (en) Amine Compound and Organic Electroluminescent Element Employing the Same
JP2004115441A (ja) 高分子量ペリレン誘導体、その製法それを含むホール輸送材料、ドーパントおよびそれを用いた有機el素子
JP2008166538A (ja) 有機電界発光素子
JP5891055B2 (ja) アリールアミン化合物および有機エレクトロルミネッセンス素子
JPH09316038A (ja) ジアミン化合物及び該化合物を用いる有機電界発光素子
JP3893165B2 (ja) トリアミン化合物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060906

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090924

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090929

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091222

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100112

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4442960

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130122

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130122

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160122

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees