JP4442960B2 - 新規な二量体型テトラフェニレンジアミンを用いた有機エレクトロルミネッセント素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な二量体型テトラフェニレンジアミンを用いた有機エレクトロルミネッセント素子(有機EL素子)に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子においてトリフェニルアミン骨格を有する材料がホール輸送性材料として幅広く使用されている。その中でもテトラフェニレンジアミン(例えばTPD:N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,1′−ジアミノ−4,4′−ビフェニル)はホール輸送能に優れた材料である。そして、この材料は従来OPCで研究されてきた材料であり、今日ELに応用されているが、ガラス転移点が63℃という低い値のため、素子駆動時のジュール熱による結晶化を起こしやすく、素子寿命にのぞましくない影響を起こすことが知られている。
【0003】
一方、有機EL素子はアモルファス性の超薄膜を使用するために膜質の安定性に優れた材料が必要である。その解決法として分子量を大きくし、構造的に嵩高にして、熱に対して安定な材料が合成され、研究されてきた。その結果下記式群
【化2】
で示されるトリフェニルアミン誘導体が開発された。
【0004】
これらの材料は100℃以上の高いガラス転移温度を有しており、熱的安定性に優れた材料であるが、トリフェニルアミンユニットの数を増やすとイオン化ポテンシャルが低下する傾向があり、これらの化合物のイオン化ポテンシャルは5.1eV付近である。そして、この値は陽極であるITOのイオン化ポテンシャルに近い値であるため、陽極からのホール注入は容易であるが、発光層であるトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)層への注入障壁が大きくなり、結果的に素子特性の低下を避けることができなかった。いいかえれば、これらの化合物はホール注入層としては優れた特性を示すが、ホール輸送層としては好ましい化合物ではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ガラス転移温度が高く、かつイオン化ポテンシャルの低下がない新規な二量体型テトラフェニレンジアミンを用いた新規有機EL素子を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一は、ホール輸送層として少なくとも1種の下記二量体型テトラフェニレンジアミンを用いたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子に関する。
【化3】
【0007】
本発明の特許請求の範囲で示される新規二量体型テトラフェニレンジアミンは、化合物の構造中心にある−CH 2 −を中心として左右が自由に回転できる構造になっている点に特徴がある。
【0008】
実施例1
(1)4,4′−ジヨードビフェニルメタン(DIBM)の合成
マグネット、温度計と滴下漏斗のついた300mlの4つ口フラスコに濃塩酸20mlと水180mlを入れ氷浴で0℃まで冷却した。これにジアミノジフェニルメタン5.9g(30mmol)をゆっくりと投入した。1時間同温で撹拌し、この液に4.3g(63mmol)の亜硝酸ナトリウムを溶かした水溶液20mlを5℃以下で滴下した。さらに、滴下終了後5℃で30分間攪拌し不要物を濾過した。過剰な亜硝酸は、10%のスルファミン酸ナトリウム水溶液で分解し、ジアゾニウム溶液を得た。マグネット、温度計、滴下漏斗のついた500mlの4つ口フラスコに、前もって5℃に冷やされた100mlの水に溶かされたヨウ化カリウム10g(60mmol)中に前記ジアゾニウム溶液を滴下した。さらに、2時間同温で撹拌し室温に戻した。その後油浴中で60℃に保ち5時間撹拌した。この反応液は、室温まで冷却後ジエチルエーテル50mlで3回抽出した。抽出したエーテル層は、1つにし適当量の水、希酸そして希アルカリ水でそれぞれ洗浄した。さらに、この有機層は500mlの三角フラスコに移し、無水硫酸マグネシウムを加え一晩乾燥した。最後に硫酸マグネシウムを濾過し、エーテルを減圧下回収した。得られた残渣は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤CHCl3:n−C6H14=1:1)で精製し、白に薄く黄色がかった目的物4,4′−ジヨードビフェニルメタン(DIBM)6.8g(11mmol)を得た。化合物の同定は、1H−NMR、IR、元素分析にて行った。それぞれのスペクトルを図1、図2に示した。
収率:22.0%
融点:91.5〜93.0℃
1H−NMR;δ(ppm)=4.0〜4.2(2H,CH2),6.8〜
7.8(m,26H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3000(CH2)
元素分析(C13H10I2):
理論値 C=37.2%、 H=2.4%、
測定値 C=36.8%、 H=2.6%
【0009】
【化4】
【0010】
(2)N,N′−ジフェニル−N−フェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DPBD)の合成
マグネット、水冷管、温度計、窒素導入管と滴下漏斗のついた300mlの4つ口フラスコに、酢酸パラジウム6.1g(27mmol)とo−キシレン20mlを加え窒素気流下で溶解し、トリ−tert−ブチルホスフィン21.8g(108mmol)を滴下漏斗から滴下し5分間室温にて撹拌した。酢酸パラジウムが溶解したことを確認後、o−キシレン50mlで希釈したヨードベンゼン8.8g(43.2mmol)を滴下した。さらに、5分間撹拌後、o−キシレン100mlで希釈したN,N′−ジフェニルベンジジン14.5g(43.2mmol)を滴下しさらにナトリウム−tert−ブチラート5.0g(51.8mmol)を加え、反応液を油浴中で120℃に加熱し8時間反応した。反応後室温まで冷却し、300mlのクロロホルムで反応液を希釈した。その後水100mlで洗浄した有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒が減圧下回収され、得られた残渣は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤CHCl3:n−C6H14=1:1)で精製し、目的物N,N′−ジフェニル−N−フェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DPBD)2.9g(7mmol)を得た。構造確認は1H−NMR、IR、元素分析にて行い、それぞれのスペクトルを図3、図4に示した。
収率:16.2%
融点:169.5〜171.0℃
1H−NMR;δ(ppm)=5.6(s,1H,NH),6.8〜
7.8(m,4H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3316(NH)
元素分析(C10H13O2N):
理論値 C=87.35%、 H=5.86%、 N=6.79%
測定値 C=87.04%、 H=6.03%、 N=6.83%
【0011】
【化5】
【0012】
(3)TPD二量体(TPD dimer)の合成
水冷管、温度計、窒素導入管、マグネットおよび滴下漏斗のセットされた200mlの4つ口フラスコに、酢酸パラジウム2.0g(9mmol)を10mlのキシレンに溶解した。この溶液にトリ−tert−ブチルホスフィン7.3g(36mmol)を滴下し5分間室温にて撹拌した。この溶液が均一になったことを確認した後、2.2g(3.5mmol)のDIBM−o−キシレン溶液20mlを滴下した。次に、2.9g(7mmol)のDPBD−o−キシレン溶液20mlを滴下し、ナトリウム−tert−ブチラート0.8g(84mmol)を加えオイルバスにて120℃にて8時間反応した。反応後室温まで冷却し、クロロホルム100mlを加え希釈し、20mlの水で洗浄した。有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し減圧下溶媒を回収した。得られた残渣は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤CHCl3:n−C6H14=1:1)により精製し、0.24g(0.25mmol)のTPD dimer(化6に示すとおり、2つのTPD:すなわち、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,1′−ジアミノ−4,4′−ビフェニルをメチレン結合で一体化したもの)を得た。構造確認は1H−NMRスペクトル、IRスペクトル、元素分析にて行い、それぞれのスペクトルを図5、図6に示した。
収率:7%
融点:143.5〜145.0℃
1H−NMR;δ(ppm)=3.8〜4.0(bs,2H,CH2),
6.8〜7.8(m,54H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3016(ArN)
元素分析(C10H13O2N):
理論値 C=88.63%、 H=5.71%、 N=5.66%
測定値 C=88.95%、 H=5.70%、 N=5.68%
【0013】
【化6】
【0014】
実施例2
(1)N,N′−ジフェニル−N−メチルフェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DMBD)の合成
マグネット、水冷管、温度計、窒素導入管と滴下漏斗のついた300mlの4つ口フラスコに、酢酸パラジウム6.1g(27mmol)とo−キシレン20mlを加え窒素気流下で溶解し、トリ−tert−ブチルホスフィン21.8g(108mmol)を滴下漏斗から滴下し5分間室温にて撹拌した。酢酸パラジウムが溶解したことを確認後、o−キシレン50mlで希釈したp−ヨードトルエン9.4g(43.2mmol)を滴下した。さらに、5分間撹拌後、o−キシレン100mlで希釈したN,N′−ジフェニルベンジジン14.5g(43.2mmol)を滴下しさらにナトリウム−tert−ブチラート5.0g(51.8mmol)を加え、反応液を油浴中で120℃に加熱し8時間反応した。反応後室温まで冷却し、300mlのクロロホルムで反応液は希釈した。その後水100mlで洗浄した有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒が減圧下回収され、得られた残渣は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤CHCl3:n−C6H14=1:1)で精製し、目的物N,N′−ジフェニル−N−メチルフェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DMBD)4.6g(10.8mmol)を得た。構造確認は1H−NMR、IR、元素分析にて行い、それぞれのスペクトルを図7、図8に示した。
収率:25%
融点:61.5〜63.5℃
1H−NMR;δ(ppm)=2.35(t,3H,CH3),5.7〜
6.0(bs,1H,NH),6.8〜7.6(m,22H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3316(NH)
元素分析(C31H26N2):
理論値 C=87.29%、 H=6.14%、 N=6.57%
測定値 C=86.90%、 H=6.40%、 N=6.63%
【0015】
【化7】
【0016】
(2)メチル化−TPDの二量体(Me−TPD dimer)の合成
水冷管、温度計、窒素導入管、マグネットおよび滴下漏斗のセットされた200mlの4つ口フラスコに、酢酸パラジウム3.2g(14.4mmol)を20mlのキシレンに溶解した。この溶液にトリ−tert−ブチルホスフィン11.7g(57.6mmol)を滴下し5分間室温にて撹拌した。この溶液が均一になったことを確認した後、3.5g(5.6mmol)のDIBM−o−キシレン溶液30mlを滴下した。次に、4.6g(11.2mmol)のDMBD−o−キシレン溶液30mlを滴下し、ナトリウム−tert−ブチラート1.3g(134.4mmol)を加えオイルバスにて120℃にて8時間反応した。反応後室温まで冷却し、クロロホルム150mlを加え希釈し、30mlの水で洗浄した。有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し減圧下溶媒を回収した。得られた残渣は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤CHCl3:n−C6H14=1:1)により精製し、1.8g(1.8mmol)のMe−TPD dimerを得た。構造確認は1H−NMRスペクトル、IRスペクトル、元素分析にて行い、それぞれのスペクトルを図9、図10に示した。
収率:31.5%
融点:133.5〜135.0℃
1H−NMR;δ(ppm)=2.35(s,3H,CH3),3.8〜4.0(bs,2H,CH2),6.8〜7.8(m,54H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3316(ArN)
元素分析(C75H60N4):
理論値 C=88.55%、 H=5.94%、 N=5.51%
測定値 C=88.61%、 H=6.09%、 N=5.22%
【0017】
【化8】
【0018】
実施例3
(1)N,N′−ジフェニル−[1,1′−メチレン]−1−ナフチルアミン(DMNA)の合成
マグネット、水冷管、温度計、窒素導入管と滴下漏斗のついた300mlの4つ口フラスコに、酢酸パラジウム12.2g(54mmol)とo−キシレン40mlを加え窒素気流下で溶解し、トリ−tert−ブチルホスフィン43.6g(216mmol)を滴下漏斗から滴下し5分間室温にて撹拌した。酢酸パラジウムが溶解したことを確認後、o−キシレン50mlで希釈した1−ヨードナフタレン11.0g(43.2mmol)を滴下した。さらに、5分間撹拌後、o−キシレン50mlで希釈したメチレンジアニリン4.3g(21.6mmol)を滴下しさらにナトリウム−tert−ブチラート10.0g(103.6mmol)を加え、反応液を油浴中で120℃に加熱し8時間反応した。反応後室温まで冷却し、300mlのクロロホルムで反応液は希釈した。その後水100mlで洗浄した有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒が減圧下回収され、得られた残渣は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤CHCl3:n−C6H14=1:1)で精製し、目的物N,N′−ジフェニル−[1,1′−メチレン]−1−ナフチルアミン(DMNA)8.8g(19.5mmol)を得た。構造確認は1H−NMRスペクトル、IRスペクトル、元素分析にて行い、それぞれのスペクトルを図11、図12に示した。
収率:90.2%
融点:116.5〜118.0℃
1H−NMR;δ(ppm)=3.9(s,2H,CH3),5.8〜
5.9(bs,1H,NH),6.8〜7.6(m,22H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3316(NH)
元素分析(C33H26N2):
理論値 C=87.97%、 H=5.82%、 N=6.22%
測定値 C=87.62%、 H=6.01%、 N=6.36%
【0019】
【化9】
【0020】
(2)4−(4′−ヨードビフェニルイル)−N−フェニル−1−ナフチルアミン(IBPNA)の合成
マグネット、空冷管、温度計、窒素導入管のついた300mlの4つ口フラスコに、N−フェニル−1−ナフチルアミン3.5g(15.8mmol)、4,4′−ジヨードビフェニル6.4g(15.8mmol)、活性化銅0.5g、炭酸カリウム6.5g(39.7mmol)を窒素雰囲気下、230℃で24時間反応させた。その後、反応混合物をテトラヒドロフラン150mlで希釈し、無機物を濾過した。この濾液はエバポレータで溶媒の回収をし、得られた反応物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー法(クロロホルム:n−ヘキサン=1:1)により精製を行い、目的物4−(4′−ヨードビフェニルイル)−N−フェニル−1−ナフチルアミン(IBPNA)1.2g(2.4mmol)を得た。構造確認は1H−NMRスペクトル、IRスペクトル、元素分析にて行い、それぞれのスペクトルを図13、図14に示した。
収率:15.3%
融点:134.5〜136.0℃
1H−NMR;δ(ppm)=6.8〜7.6(m,20H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3316(NH)
元素分析(C28H20IN):
理論値 C=87.97%、 H=5.82%、 N=6.22%
測定値 C=87.62%、 H=6.01%、 N=6.36%
【0021】
【化10】
【0022】
(3)α−NPD二量体(α−NPD dimer)の合成
水冷管、温度計、窒素導入管、マグネットおよび滴下漏斗のセットされた200mlの4つ口フラスコに、酢酸パラジウム3.2g(14.4mmol)を20mlのキシレンに溶解した。この溶液にトリ−tert−ブチルホスフィン11.7g(57.6mmol)を滴下し5分間室温にて撹拌した。この溶液が均一になったことを確認した後、2.5g(5.6mmol)のIBPNA−o−キシレン溶液30mlを滴下した。次に、5.0g(11.2mmol)のDMBD−o−キシレン溶液30mlを滴下し、ナトリウム−tert−ブチラート1.3g(134.4mmol)を加えオイルバスにて120℃にて8時間反応した。反応後室温まで冷却し、クロロホルム150mlを加え希釈し、30mlの水で洗浄した。有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し減圧下溶媒を回収した。得られた残渣は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤CHCl3:n−C6H14=1:1)により精製し、1.3g(1.1mmol)のα−NPD dimerを得た。構造確認は1H−NMRスペクトル、IRスペクトル、元素分析にて行い、それぞれのスペクトルを図15、図16に示した。
収率:20.3%
融点:167.5〜170℃
1H−NMR;δ(ppm)=2.35(s,3H,CH3),3.8〜
4.0(q,2H,CH2),6.8〜7.8(m,62H,Ar)
IR(KBr);(cm−1)=3316(ArN)
元素分析(C89H64N4):
理論値 C=89.87%、 H=5.42%、 N=4.71%
測定値 C=88.63%、 H=5.33%、 N=4.76%
【0023】
【化11】
【0024】
<実施例1〜3で得られた二量体の熱特性>
合成した低分子のガラス転移点を測定した。その結果を図17〜19に示す。実施例1のTPD二量体のTgは107℃、実施例2のMe−TPD二量体はTgは96℃、実施例3のα−NPD二量体Tgは120℃であった。二量化することによりTgの向上をさせることができた。これは単量体に比べて分子自身がかなり嵩高くなり熱による分子配向がしにくくなったものと考えられる。またナフチル基の様なバルキーな置換基の導入は屈強性を低くするために120℃と高いTgを示したものと考えられる。
【0025】
<実施例1〜3で得られた二量体の蛍光特性>
合成した二量体の蛍光特性すなわち、UV吸収スペクトル、波長−輝度特性、蛍光スペクトル−輝度特性を図20〜28に示す。実施例1のTPD二量体の蛍光特性はλex=351nm、λem=401nm、実施例2のMe−TPD二量体の蛍光特性はλex=352nm、λem=403nm、実施例3のα−NPD二量体の蛍光特性はλex=345nm、λem=441nmであった。またこれらの蛍光スペクトルは実施例1のTPD、実施例2のMe−TPD、実施例3のα−NPDの単量体の蛍光スペクトルと同様であった。メチレン基や分子が嵩高い為に分子間相互作用が抑制され本来の蛍光スペクトルを示したものと考えられる。π共役は伸びることでイオン化ポテンシャルの低下がみられ蛍光ピークの長波長ピークが確認されるがこれらの材料からは観察されなかったのでイオン化ポテンシャルの低下は見られないものと推測される。
【0026】
<実施例1〜3で得られた二量体のイオン化ポテンシャル>
合成した二量体の電気化学特性を表1に示した。TPD二量体はHOMO=5.4eV、LUMO=2.3eV、Eg=3.1eVであった。Me−TPD二量体はHOMO=5.3eV、LUMO=2.2eV、Eg=3.1eVであった。α−NPD二量体はHOMO=5.4eV、LUMO=2.3eV、Eg=3.0eVであった。スターバーストアミン類に見られる様なπ共役系によるイオン化ポテンシャルの低下は見られなかった。これはメチレン基により二量体を形成している為にπ共役系が絶たれているものと考えられる。TPDと同様な値を示し十分ホール輸送層として機能する材料だと推測される。
【0027】
【表1】
【0028】
実施例4
<二量体ホール輸送層への応用>
合成した実施例1〜3の二量体をホール輸送層に用いた二層型素子(図29に示す)を作製した。その時の素子特性を図30〜図44に示した。素子構造はホール輸送層として合成した二量体材料を真空蒸着法により積層し、電子輸送性発光層として下記式
【化12】
で示される電子輸送性のトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)を用い、陰極電極としてMg:Ag合金を用いた二層型素子を作製し、この素子に直流電圧を印加することによりガラス基板を通して高輝度緑色発光を確認した。その時のELスペクトルはAlqの蛍光スペクトルと一致したことでこの素子において低分子材料がホール輸送層として機能し、Alq層内でキャリアの再結合が起こっていると考えられる。TPD二量体をホール輸送層として用いた素子において発光開始電圧は3Vで最高輝度は12Vで11000cd/m2、外部量子効率は0.97%であった。この素子はTPD単量体を用いた素子と同等の特性を示した。Me−TPD二量体をホール輸送層として用いた素子においても発光開始電圧は3Vで最高輝度は11Vで11000cd/m2、外部量子効率は1.09%という高い値を示した。α−NPD二量体をホール輸送層として用いた素子においても発光開始電圧は3Vで最高輝度は12Vで9000cd/m2、外部量子効率は1.07%と良好な値を示した。これらのデーターをまとめて表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
これらの材料はTPD単量体やα−NPD単量体と同様の高い素子特性を示し、またTgなど熱安定性が単量体に比べて優れているため素子寿命などの素子安定性に大きく貢献すると考えられる。
【0031】
【発明の効果】
本発明により、従来のトリフェニルアミン系のホール輸送能力の優れた点を生かしつつ、従来化合物の欠点であったガラス転移点の低い点を改善し、結果として、それを有機EL素子に用いたときの熱安定性を大きく改善することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 4,4′−ジヨードビフェニルメタン(DIBM)の1H−NMRスペクトルを示す。
【図2】 4,4′−ジヨードビフェニルメタン(DIBM)のIRスペクトルを示す。
【図3】 N,N′−ジフェニル−N−フェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DPBD)の1H−NMRスペクトルを示す。
【図4】 N,N′−ジフェニル−N−フェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DPBD)のIRスペクトルを示す。
【図5】 実施例1で得られた二量体型テトラフェニレンジアミン(TPDダイマー)の1H−NMRスペクトルを示す。
【図6】 実施例1で得られた二量体型テトラフェニレンジアミン(TPDダイマー)のIRスペクトルを示す。
【図7】 N,N′−ジフェニル−N−メチルフェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DMBD)の1H−NMRスペクトルを示す。
【図8】 N,N′−ジフェニル−N−メチルフェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(DMBD)のIRスペクトルを示す。
【図9】 実施例2で得られた二量体型メチル化テトラフェニレンジアミン(Me−TPDダイマー)の1H−NMRスペクトルを示す。
【図10】 実施例2で得られた二量体型メチル化テトラフェニレンジアミン(Me−TPDダイマー)のIRスペクトルを示す。
【図11】 N,N′−ジフェニル−[1,1′−メチレン]−1−ナフチルアミン(DMNA)の1H−NMRスペクトルを示す。
【図12】 N,N′−ジフェニル−[1,1′−メチレン]−1−ナフチルアミン(DMNA)のIRスペクトルを示す。
【図13】 4−(4′−ヨードビフェニルイル)−N−フェニル−1−ナフチルアミン(IBPNA)の1H−NMRスペクトルを示す。
【図14】 4−(4′−ヨードビフェニルイル)−N−フェニル−1−ナフチルアミン(IBPNA)のIRスペクトルを示す。
【図15】 実施例3で得られたα−NPDダイマーの1H−NMRスペクトルを示す。
【図16】 実施例3で得られたα−NPDダイマーのIRスペクトルを示す。
【図17】 実施例1で得られたTPDダイマーの窒素雰囲気中におけるDSCカーブを示す。
【図18】 実施例2で得られたMe−TPDダイマーの窒素雰囲気中におけるDSCカーブを示す。
【図19】 実施例3で得られたα−NPDダイマーの窒素雰囲気中におけるDSCカーブを示す。
【図20】 実施例1のTPD二量体−フィルムの紫外線吸収スペクトルを示す。
【図21】 実施例1のTPD二量体−フィルムの波長と蛍光強度の関係を示す。
λex=351nm、λem=401nm
【図22】 実施例1のTPD二量体−フィルムの波長と発光強度の関係を示す。
λex=351nm、λem=401nm
【図23】 実施例2のMe−TPD二量体−フィルムの紫外線吸収スペクトルを示す。
【図24】 実施例2のMe−TPD二量体−フィルムの波長と蛍光強度の関係を示す。
λex=352nm、λem=403nm
【図25】 実施例2のMe−TPD二量体−フィルムの波長と発光強度の関係を示す。
λex=352nm、λem=403nm
【図26】 実施例3のα−NPD二量体−フィルムの紫外線吸収スペクトルを示す。
【図27】 実施例3のα−NPD二量体−フィルムの波長と蛍光強度の関係を示す。
λex=345nm、λem=441nm
【図28】 実施例3のα−NPD二量体−フィルムの波長と発光強度の関係を示す。
λex=345nm、λem=441nm
【図29】 実施例で用いた二層型素子の断面図である。
【図30】 実施例1のTPD二量体を用いた二層型素子のエネルギーレベルダイヤグラムとポテンシャルエネルギーの関係を示す図である。
【図31】 実施例1のTPD二量体を用いた二層型素子の波長と輝度の関係を示す。
【図32】 実施例1のTPD二量体を用いた二層型素子の電圧−輝度の関係を丸印で、TPD単量体を用いた二層型素子の電圧−輝度の関係を三角印で、それぞれ示す。
【図33】 実施例1のTPD二量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を丸印で、TPD単量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を三角印で示す。
【図34】 実施例1のTPD二量体を用いた二層型素子の電流密度と輝度の関係を丸印で、TPD単量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を三角印で示す。
【図35】 実施例2のMe−TPD二量体を用いた二層型素子のエネルギーレベルダイヤグラムとポテンシャルエネルギーの関係を示す図である。
【図36】 実施例2のMe−TPD二量体を用いた二層型素子の波長と輝度の関係を示す。
【図37】 実施例2のMe−TPD二量体を用いた二層型素子の電圧−輝度の関係を丸印で、Me−TPD単量体を用いた二層型素子の電圧−輝度の関係を三角印で、それぞれを示す。
【図38】 実施例2のMe−TPD二量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を丸印で、Me−TPD単量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を三角印で示す。
【図39】 実施例2のMe−TPD二量体を用いた二層型素子の電流密度と輝度の関係を丸印で、Me−TPD単量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を三角印で示す。
【図40】 実施例3のα−NPD二量体を用いた二層型素子のエネルギーレベルダイヤグラムとポテンシャルエネルギーの関係を示す図である。
【図41】 実施例3のα−NPD二量体を用いた二層型素子の波長と輝度の関係を示す。
【図42】 実施例3のα−NPD二量体を用いた二層型素子の電圧−輝度の関係を丸印で、α−NPD単量体を用いた二層型素子の電圧−輝度の関係を三角印で、それぞれ示す。
【図43】 実施例3のα−NPD二量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を丸印で、α−NPD単量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を三角印で示す。
【図44】 実施例3のα−NPD二量体を用いた二層型素子の電流密度と輝度の関係を丸印で、α−NPD単量体を用いた二層型素子のバイアス電圧と電流密度の関係を三角印で示す。
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