以下、本発明の流体噴射弁の噴孔加工装置を、ガソリンエンジンに燃料を噴射供給する燃料噴射弁の噴孔に適用して、具体化した実施形態を図面に従って説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係わる噴孔加工装置の構成を示す断面図である。図2は、図1中のダイを示す斜視図である。図3は、本実施形態に係わる噴孔加工方法を示す模式図であって、図3(a)から図3(d)は噴孔をプレス成形する過程での余肉部周りの状態を示す断面図である。図4は、本実施形態に係わる噴孔加工方法を示す模式図であって、プレス成形工程にて板状材料に噴孔を形成するため余肉部を成形した後、余肉部を除去する除去工程を示す断面図である。図5は、本実施形態に係わる噴孔加工方法を示す模式図であって、図6中の板状材料を支持するダイの上端面を上方からみた横断面図である。図6は、本実施形態に係わる噴孔加工方法を示す縦断面図である。なお、図7は、本実施形態に係わる噴孔加工方法で形成された噴孔を有する噴孔プレートの燃料の流れを示す断面図である。図8は、破断面を有する噴孔と燃料の微粒化との関係を示す模式図であって、複数個の噴孔を有する噴孔プレートのうちの所定以上の破断状態を有する噴孔の個数と、それらの噴孔から噴射された燃料の平均噴霧粒径との関係を示すグラフである。図9は、本実施形態に係わる噴孔加工方法を適用する燃料噴射弁の噴孔プレート周りを示す模式図であって、図9(a)は断面図、図9(b)は燃料入口側からみた噴孔プレートを示す平面図である。図10は、図9中の噴孔プレートの噴孔形状を示す模式図であって、図10(a)は燃料入口側からみた平面図、図10(b)は断面図である。
燃料噴射弁1は、例えば多気筒(例えば4気筒)ガソリンエンジン(以下、エンジンと呼ぶ)の吸気ポート等の吸気管または各気筒に取付けられて、気筒内の燃焼室に燃料を噴射供給する。なお、本実施形態では、燃料噴射弁1は吸気管に設けられているものとする。燃料噴射弁1には、図示しない燃料ポンプにより加圧された燃料が、燃料分配管(図示せず)を介して供給される。燃料分配管には、一般に、図示しない燃料タンク内の燃料を燃料ポンプにより吸い上げ吐出し、その吐出された燃料が導かれている。なお、吐出される燃料は、図示しないプレーシャレギュレータ等の調圧装置によって所定の圧力に調圧されて、燃料分配管へ送られる。なお、エンジンが直噴エンジンの場合には、燃焼室へ供給する燃料の圧力が約2Mpa以上とするため、燃料ポンプによって燃料タンクから吸上げられた所定圧(例えば0.2Mpa)の燃料を、図示しない高圧ポンプで加圧し、この加圧された高圧の燃料(例えば、2〜13Mpaの範囲の所定の燃料)が、燃料分配管を介して燃料噴射弁1に供給されている。燃料ポンプから吐出される燃料、高圧ポンプから燃料分配管へ供給された燃料は、図示しないプレーシャレギュレータ等の調圧装置によって所定の圧力に調圧されている。なお、以下、本実施例で説明するエンジンは、吸気管内に噴射された燃料が吸気と混合され、混合された混合気を燃焼室に導いて点火装置で着火するいわゆる予燃焼エンジンとする。
燃料噴射弁1は、略円筒形状であり、一端から燃料を受け、内部の燃料通路を経由して他端から燃料を噴射する。燃料噴射弁1は、燃料の噴射および噴射停止を行なう弁部と、弁部を駆動する電磁駆動部(図示せず)を備えており、上記一端側の燃料導入部(図示せず)から内部の燃料通路内に流入した燃料を弁部からエンジンの気筒に噴射供給する。なお、電磁駆動部は、通電により電磁力を発生する駆動コイル(図示せず)と、駆動コイルに発生した電磁力を利用して、ニードル8に協働する可動コア(図示せず)を磁気吸引する固定コア(図示せず)とを有するソレノイド等の周知の電磁駆動装置である。
弁部は、図9(a)に示すように、弁ボディ7と、弁部材としてのニードル8とを含んで構成されている。弁ボディ8は図示しないケーシングに溶接等により固定され、ケーシングに装備される電磁駆動部に接続されている。
弁ボディ7は燃料流れ方向の噴孔30側に向けて縮径する内周面としての円錐面21を有している。円錐面21には、ニードル8が離座および着座可能である。その円錐面21を形成する弁ボディ7の内周は、燃料通路20を形成している。なお、ここで、円錐面(以下、弁座と呼ぶ)21は、ニードル30が離座および着座可能な弁座を構成する。
ニードル8は略軸状に形成され、弁ボディ7内を軸方向に往復移動可能である。なお、このニードル8の噴孔30側には、弁座21に着座および離座可能な当接部22を有している。弁座21と当接部22は、弁部が燃料の噴射停止すなわち噴射を遮断するための油密機能の働きをするシート部を構成している。なお、弁座21から当接部22が離座および着座することにより、燃料通路20と燃料通路7の間の燃料の流れが流通および遮断される。
弁座21の中央側には、図9(a)に示すように、弁座21の燃料流れの下流側に向って、内部燃料通路9、20と連通可能な噴孔30が配置されている。具体的には、図9(a)および(b)に示すように、噴孔30は噴孔プレート10に形成され、弁ボディ7の先端側に配置されている。噴孔プレート10は、例えば薄い金属板状の薄板状体で形成され、複数(本実施例では、図9(b)に作図の便宜上4個)の噴孔30が配置されている。噴孔プレート10は、図9(b)に示すように、略円板状に形成されており、弁ボディ12の底部に固定されている。
なお、噴孔プレート10は、略円板状に限らず、有底筒状に形成されていてもよい。この場合、噴孔プレート10は弁ボディ12の底部および側壁部に固定されている。
この噴孔30は、要求される燃料の噴霧の形状、方向、数などに応じて、その大きさ、噴孔中心軸線(以下、噴孔軸線と呼ぶ)の方向、噴孔配列等が決定される。また、噴孔30の開口面積は、開弁時の流量を規定する。なお、燃料噴射弁1の燃料噴射量は、開弁している噴孔30の開口面積と、ニードル8のリフト量と、開弁期間とによって計量されている。ニードル8が弁座21に着座すると噴孔30からの燃料噴射が遮断され、ニードル8が弁座21から離座すると噴孔30からの燃料噴射が許容され燃料が噴射される。なお、ここで、噴孔30は、請求範囲に記載の噴孔を構成する。また、噴孔30は燃料を微粒化し、噴霧を形成する燃料噴霧形成手段を構成する。
なお、以下に説明する本実施形態では、噴孔30の形状を、テーパ状孔とする。具体的には、図9(a)に示すように、燃料入口31側から燃料出口32側に向けて内径が広がるようなテーパ状孔に形成されている。なお、ここで、図9および図10に示すように、各噴孔30a、30b、30c、30dは、傾斜内側側面部35の傾斜角度θ1よりも傾斜外側側面部37の傾斜角度θ2が大きく形成されており(θ1<θ2)、噴孔プレート10の外周側に向かって広がっている。なお、傾斜角度θ1、θ2は、それぞれ噴孔プレート10の板厚方向に対する傾斜角度を表している。
なお、ここで、図10(b)および図5に示すように、傾斜角度θ1は、15°〜50°の範囲に設けられている。θ2−θ1=γ(図5参照)とすると、0°<γ≦30°の範囲に設けられている。さらに、噴孔プレート10の板厚t(図5参照)は、0.05≦t≦0.5mmの範囲に設けられている。
なお、以下説明する本実施形態では、噴孔プレート10の板厚tを0.15mmとする。
次に、本実施形態の燃料噴射弁1の噴孔加工装置および噴孔加工方法を、図1から図6に従って説明する。なお、図14から図18は、本実施形態の噴孔加工方法との比較をするための比較例の噴孔加工方法を示している。
燃料噴射弁1の噴孔加工装置は、上型および下型よりなるプレス金型と、上型を駆動する上型駆動装置(図示せず)とを備えている。この噴孔加工装置は、噴孔加工前の噴孔プレート10であるSUS等の金属材料からなる板状部材40が上型と下型の間に挿入され、下型に支持されている。なお、ここで、板状部材40は、請求範囲に記載の板状材料を構成する。
なお、板状部材40がロール状に形成されている場合には、上型と下型の間に板状部材40を順次送り出す順送装置を備えていることが好ましい。
プレス金型の上型は、被加工物の板状部材40をプレス成形するパンチ41と、パンチ41を往復移動可能に支持するためのパンチホルダ42とを備えている。プレス金型の下型は、端面上に板状部材40を搭載し、板状部材40を支持するダイ43を有している。なお、ここで、パンチホルダ42は、請求範囲に記載のパンチガイドを構成する。パンチホルダ42は、パンチ41を往復移動可能に支持する支持孔47を有している。なお、支持孔47はパンチ41を摺動自在に支持していることが好ましい。これにより、プレス加工時においてパンチ41が板状部材40へとスムースにガイドされる。
パンチ41は、図1および図6に示すように、板状部材40の板厚方向に対して所定の傾斜角度θ1で傾斜した状態で配置されている。なお詳しくは、図6に示すように、パンチ41の中心軸線が板状部材40面に直交する垂線(詳しくは、中心軸線33)に対して所定の傾斜角度θ1で傾斜した状態で配置されている。
パンチ41の先端部44は、プレス成形予定の板状部材40に所定の噴孔30形状を転写するため、噴孔30と同じ形状を有するテーパ部を有している。なお具体的には、先端部44は先細形状のテーパ部に形成されている。これにより、先端部44を板状部材40に押し当て、燃料出口32側から板状部材40に転写することによって、余肉部45側の内周(以下、噴孔用内周と呼ぶ)45aに、燃料入口31側から燃料出口32側に向けて内径が広がる末広がり形状のテーパ孔を形成することが可能である。
なお詳しくは、余肉部45は、パンチ41を板状部材40の噴孔加工領域に押し当てて、先端部44により押し退けられた板状部材40が押し出されることで形成される。噴孔30は、先端部44を板状部材40に押し当てて、噴孔加工領域の板状部材40を押し退けて形成される。なお、余肉部45をプレス加工工程の後工程である除去工程にて除去することにより、噴孔30の内周に接続する噴孔30周縁が現われる。
なお、ここで、噴孔30および噴孔30周縁は、請求範囲に記載の噴孔に対応する。また、板状部材40から押し出される余肉部45と、板状部材40との接続部を、余肉部45の根元と呼ぶ。
なお、先端部44は、先端部44が支持孔47の摺動面に沿う形状としていることが好ましい。なお詳しくは、先端部44の中心軸線は、パンチ41全体の上記中心軸線に対して、上記中心軸線が板状部材40面と交差する鈍角側に傾斜している。プレス加工時にパンチ41を傾斜させながら板状部材40に押し当てると、一般に、板状部材40から先端部44に側方力が作用する。これに対して本実施形態では先端部44を支持孔47の摺動面に沿うように配置するので、プレス加工時に先端部44に側方力が作用する場合があっても、その側方力を摺動面で受けられ、その摺動面から先端部44への反力で側方力を相殺できる。したがって、パンチ41(詳しくは先端部44)の折損要因となる曲げモーメント発生を防止することができ、従ってパンチ41を板状部材40に押し当てるときに生じる側方力によるパンチ41の折損が防止される。
ダイ43は、図1および図6に示すように、鋼等の金属部材で構成された支持部材であり、プレス成形時にはダイ43の端面上に板状部材40が乗せられる。ダイ43はダイ孔48を有しており、ダイ孔48に、図6に示すように、パンチ41の前進により噴孔加工領域の板状部材40が押し出されて形成される余肉部45が押し出される。
ダイ孔48は、図2に示すように、板状部材40を乗せるダイ43の端面から反対端面に向け貫通している。ダイ孔48の内周は、上記端面から反対端面に向けて、大径内周48a、テーパ内周48b、および小径内周48cの順に形成されている。大径内周48aとテーパ内周48bは小径内周48cの内周より大きく形成されている。テーパ内周48bは、大径内周48aと小径内周48cにそれぞれ接続するように、テーパ状の傾斜面に形成されている。その傾斜面は、図1および図6に示すように、板状部材40側の開口部から内周の深さ方向に向けて縮径している。大径内周48aとテーパ内周48bは開口部が板状部材40の燃料入口31側に広がるすり鉢状内周を形成している。
なお、ここで、大径内周48a、テーパ内周48b、および小径内周48cは請求範囲に記載の内周を構成する。テーパ内周48bは請求範囲に記載の内周面を構成する。大径内周48aは請求範囲に記載の第2の内周面を構成する。なお、大径内周48aの高さ(深さ方向長)Lは、板状部材40の板厚tとの比率L/tが、0%<L/t<100%の範囲となるように構成されていることが好ましい。
なお、大径内周48aとテーパ内周48bは、噴孔軸線方向に沿って前進するパンチ41の先端部44に対向して配置され、先端部44の形状に沿うよう形成されていることが好ましい。大径内周48aとテーパ内周48bは、先端部44の形状に沿うようように形成された段差部を構成する。
なお具体的には、大径内周48aとテーパ内周48bは、図6に示すように、パンチ41(詳しくは先端部44)の噴孔中心軸線方向に沿って前進する側に対峙するように配置されている。さらに、余肉部45内に噴孔用内周45aをプレス成形する際には、先端部44と、大径内周48aおよびテーパ内周48bとの間で余肉部を挟み込む(図6参照)。
これにより、先端部44と、これに対向する大径内周48aおよびテーパ内周48bとの間で挟み込まれる余肉部45の部位には、パンチ41(詳しくは先端部44)の前進度合いに応じた圧縮力が作用し、その部位での余肉部45の肉厚を減少させる。肉厚の減少によりその部位周縁から余肉部45の根元側に向かって余肉部45の材料流れが形成される。したがって、余肉部45の根元側への材料流れを形成するので、パンチ41の前進により余肉部45内の噴孔用内周45aをプレス成形する際に、パンチ41の前進により生じる余肉部45を押し退ける材料流れに対抗する材料流れを形成することができる。その結果、余肉部45を押し退ける材料流れにより生じる引張り応力を緩和または相殺することができる。
さらになお、本実施形態では、先端部44と、これに対向する大径内周48aおよびテーパ内周48bとの間で挟み込まれる余肉部45の部位のうち、テーパ内周48bと先端部44との間の隙間dは、その先端部44の先端面とテーパ内周48bの傾斜面との傾斜角αが、0°≦α≦30°の範囲内に制限するように構成されていることが好ましい。これにより、テーパ内周48bと先端部44の間に挟み込まれた余肉部45の部位に、パンチ41の前進動作により圧縮力を確実に作用させることができる。したがって、パンチの前進により余肉部45を押し退ける材料流れに対抗する材料流れを安定して形成することができる。
さらになお、本実施形態では、上記隙間dは、板状部材40の板厚tとの比率d/tが、20%<d/t<100%の範囲にあるように構成されていることが好ましい。これにより、噴孔用内周45aのプレス成形時に、余肉部45を挟み込む際に効果的に圧縮力を上記部位に作用させ、その部位周縁から余肉部45の根元側への材料流れを積極的に形成できる。なお、ここで、隙間dは、余肉部圧縮部位の薄肉化範囲を規定する規定手段を構成する。
さらになお、本実施形態では、図6に示すテーパ内周48bの傾斜面間の傾斜角度をβとすると、20°≦β≦75°の範囲となるように構成されている。これにより、傾斜角度θ1(詳しくは図10(b)に示す傾斜内側側面部35の傾斜角度)を15°〜50°の範囲内で、先端部44のテーパ角γを0°<γ≦30°の範囲内でそれぞれ設定する場合であっても、パンチ41の前進により生じる余肉部45を押し退ける材料流れに対抗する材料流れを形成することが可能である。
さらになお、本実施形態では、パンチ41の先端部44とダイ43の上端面とのクリアランスの関係は以下のように設定することが好ましい。なお、図5および図6中に示すパンチ41とダイ43の位置関係は、プレス加工工程にて、噴孔用内周45aに噴孔30の形状を転写したプレス成形完了時の状態を示している。図6の縦断面図において、ダイ43の上端面の開口部と先端部44のクリアランスをCrx、Cxとしたとき、板状部材40の板厚tとの比率で示すと、Crx=20〜53%、Cx=20〜67%としている。従ってCrxおよびCxは20%程度以上を確保している。なお、このとき、図6中の先端部44の上端面位置での寸法DはD=133〜200%となっている。
また、図5の縦断面図において、ダイ43の上端面の開口部と先端部44のクリアランスをCyとしたとき、Cy=13〜33%としている。プレス加工時の先端部44の前進は図6左右方向への前進を生じるが、図5上下方向への前進は生じないため、Cyは、CrxおよびCxに比較して小さい13%程度以上を確保している。これにより、CrxおよびCxを20%程度以上、Cyを13%程度以上確保しているので、プレス加工時の余肉部45の材料流れをスムースにすることができ、従って余肉部45の根元付近で破断しないように余肉部45(詳しくは、噴孔用内周45a)をプレス成形することができる。
なお、ダイ43の上端面の開口部の形状は、真円、楕円などの略円形や、矩形等など多角形などいずれでもよい。この開口部形状が矩形の場合には、板状部材40の板厚tとの比率で示すと、角Rを、R=20〜133%となるように設けている。これにより、プレス加工時の余肉部45の材料流れがスムースとなる。
次に、本実施形態の噴孔加工方法を、図3および図4に従って説明する。図3は、プレス加工による各過程を図3(a)から図3(d)へ順に示しており、図3(d)は噴孔部用内周45aに噴孔30形状を転写したプレス成形完了の状態を示している。図4は、図3(d)の板状部材40を裏返し、裏面に突出する余肉部45を除去する除去工程を示している。なお、図14から図18は、比較例の噴孔加工方法の過程での噴孔形成予定の余肉部周りの状態を示している。また、図17は余肉部除去後の噴孔周りの状態を示す図であって、図17(a)は断面図、図17(b)は平面図である。
図3(a)に示すように、まず、プレス加工のために、板状部材40をダイ43に乗せ、パンチホルダ42にて板状部材40を上方から押さえ、板状部材40を支持する。ダイ孔47に沿ってパンチ41を板状部材40に対して傾斜させて前進させ、先端部44を板状部材40に押し当てる。先端部44を押し当てられた板状部材40は、先端部44により裏面側に押し退けられ、裏面側に突出する余肉部45の形成が開始される。
図3(b)に示すように、パンチ41の先端部44が前進するのに従って、余肉部45側に噴孔形状転写予定の噴孔用内周45aの面積が増加する。詳しくは、上型駆動装置の駆動力いわゆるプレス荷重に応じて先端部44が余肉部45を押し退けて前進する。このとき、先端部44によってプレス荷重が余肉部45に加えられ、余肉部45の側壁部分の肉厚が引張られて薄くなろうとする。この先端部44に押し退けられて形成される余肉部45は、次第にダイ孔48の内周(詳しくは大径内周48およびテーパ状内周)に迫るように成長していく。
図3(c)に示すように、先端部44の前進に伴ない成長した余肉部45は、大径内周48およびテーパ状内周に到達し、余肉部45が先端部44と大径内周48およびテーパ状内周の間で挟み込まれるようになる。さらに先端部44が前進すると、先端部44と大径内周48aおよびテーパ状内周48bの間で挟み込まれた部位(以下、余肉部圧縮部位と呼ぶ)にはパンチ41のプレス荷重による圧縮力が加わり、余肉部圧縮部位の肉厚が減少する。肉厚の減少に伴ない余肉部圧縮部位は、余肉部圧縮部位周縁から余肉部45の根元側に向け、図3(c)中の矢印方向のように材料流れを形成する。なお、その材料流れは、図3(c)の作図の便宜上、縦断面上での流れのみを示しているが、余肉部圧縮部位の周縁全周にわたって余肉部45の根元側への材料流れが発生する。
このとき、余肉部45の根元側への材料流れが発生するので、先端部44の前進により生じる余肉部45を押し退ける材料流れに対抗する材料流れを形成することができる。その結果、余肉部45を押し退ける材料流れにより生じる引張り応力を緩和または相殺することができる。そのため、先端部44の更なる前進を継続する場合であっても、余肉部45の成長に伴ない生じる引張り応力を緩和または相殺することができる。したがって、余肉部での過大な引張り応力発生を防止することができるので、余肉部45の成長途中で亀裂等の破断が発生するのを防止できる。
なお、図3(d)に示すように、余肉部45の成長により噴孔用内周45aに噴孔形状が転写されて、余肉部45(詳しくは、噴孔用内周45a)のプレス成形が完了する。このとき、図3(d)に示すように、余肉部45の内部および外周には、引張り応力による破断要因となる亀裂、割れ等の損傷発生が防止されている。
図3に示すプレス成形が終了すると、図4に示すように、板状部材40から余肉部45が突出する裏面(詳しくは燃料入口31側の端面)を、板状部材40の板厚の位置で除去する。なお、ここで、先端部44により押し退けられ裏面側に突出した余肉部45は、不要部を構成する。なお、不要部を取り除く方法しては、切削あるいは研削による除去方法に限らず、レーザ装置など高エネルギ源による除去方法等いずれの除去方法であってもよい。
なお、ここで、大径内周48およびテーパ状内周は、請求範囲に記載の内周面を構成する。大径内周48およびテーパ状内周は、余肉部45(詳しくは噴孔用内周45a)のプレス成形のためのパンチ41の前進時に、余肉部45を挟み込むことにより余肉部45の根元側への材料流れを形成する。
なお、本実施形態では、余肉部45の根元側への材料流れを創出する余肉部圧縮部位の肉厚つまり上記隙間dを以下のように設定することが好ましい。余肉部圧縮部位の肉厚を薄くすると、余肉部45の根元側への材料流れの総量が増え、上記引張り応力が効果的に緩和される。一方、余肉部圧縮部位を圧縮するパンチ41の先端部44には、余肉部圧縮部位の肉厚に応じて増加したプレス荷重が加わる。これに対し、本実施形態では、上記隙間dは、板状部材40の板厚tとの比率で示すと、例えば比率d/t=60〜100%の範囲としている。これにより、パンチ41の寿命向上が図れる。例えばd/t=60%(本実施例では、90μm)程度確保することで、20万ショット以上のパンチ寿命を確保することができる。
なお、ここで、図14から図18に示す比較例の噴孔加工方法を説明する。図14、図15、および図16は同一の噴孔加工方法を用いたものであり、余肉部545の成長過程で生じる破断箇所がそれぞれ異なる実施例である。図15および図16の(a)から(cc)の過程は図14の(c)から(e)の過程に対応する。また、図14(e)、図15(c)、および図16(c)に示す円内は、発生した破断Kの範囲を示している。比較例のプレス金型は、上型がパンチ541とパンチホルダ542とを有し、下型がダイ孔548を有するダイ543を備えている。ダイ孔543は断面形状が深さ方向に対して一様な内周を有しており、パンチ41を支持する支持孔547とほぼ同一の傾斜角度で傾斜して配置されている。図14(a)から図14(d)のプレス加工過程において、パンチ541の先端部544の前進により余肉部545の成長に伴なって、先端部544側に噴孔形状転写予定の噴孔用内周545aの面積が増加するものの、先端部544の前進により生じる余肉部545を押し退ける材料流れに対抗する材料流れを形成されることはない。そのため、余肉部545を押し退ける材料流れにより生じる引張り応力は、先端部544の更なる前進を継続する場合、増加することになるので、プレス加工の途中過程の図14(c)に示すように、余肉部545の側壁部分の薄肉箇所に亀裂などの破断Kが生じ易い。なお、この亀裂などの破断Kは、先端部544の先端面に近接する薄肉箇所を起点として生じている。
また、比較例の他の実施例の図15(a)のように、先端部544の先端面に近接する余肉部545の両側壁部分のうち、図14の実施例とは反対の側壁部分で亀裂などの破断Kが生じる場合がある。また、比較例の別の他の実施例の図16(a)のように、余肉部545のうち、先端部544の先端面と根元との中間位置で亀裂などの破断Kが生じる場合がある。
さらになお、比較例の噴孔加工方法で亀裂が余肉部545に発生してしまうと、亀裂が僅かなものである場合であっても、後工程の除去工程にて不要部の余肉部545を削除した結果、図17に示すように、破断面Kが現れる場合がある。なお、この破断面Kは、不要部除去処理後の板状部材540の噴孔用内周545aに窪みを形成させ、噴孔用内周545aつまり噴孔530内周周縁に損傷を与えることになる。
さらになお、比較例の噴孔加工方法では、プレス加工の途中過程において、図18に示すように、余肉部545の側壁部分の全周にわたって亀裂などの破断Kが生じる場合には、その破断Kにより余肉部545の下側部分が板状部材540から抜け落ちてしまうおそれがある。この場合、脱落した余肉部545の下側部分はダイ孔548へ抜け落ちてダイ孔548を塞いでしまったり、プレス金型の上型もしくは下型の板状部材540を支持する押さえ部位に入り込んでしまって、その後にプレス加工を行なう板状部材540に打痕不良等の損傷を与える可能性がある。
以上説明の比較例の噴孔加工方法を用いた各実施例において余肉部545に破断Kが生じると、図17および図19に示すように、噴孔加工を終了した板材部材540の噴孔用内周45aつまり噴孔30周縁に破断Kによる損傷を与えることになる。この板状部材540を噴孔プレートとして燃料噴射弁1に装着してしまうと、図19に示すように、噴孔530の燃料入口531において、矢印のように、破断面Kの部分で噴孔530に流れ込む燃料の流れを乱してしまうおそれがある。その結果、噴孔530から流出する燃料の微粒化の促進を阻害する可能性がある。
なお、比較例の噴孔加工方法を用いて生じた破断面Kを有する噴孔530の微粒化への影響を、図8に従って説明する。図8において、縦軸に燃料の微粒化度合いを表す平均噴霧粒径(SMD)を示しており、横軸は破断面Kが所定以上の破断状態である噴孔(以下、破断面付きの噴孔と呼ぶ)が噴孔プレート内に幾つ有るかをパラメータとしている。図8に示すように、破断面付きの噴孔が増えるに従って平均噴霧粒径が大きくなってしまい、燃料の微粒化が損なわれる。噴孔プレートの噴孔530周縁に破断面Kが形成されてしまう場合には、複数個の噴孔530を有する噴孔プレートに一つでも破断面付きの噴孔があると、その噴孔プレートは、燃料の微粒化を損なう方向に影響を与えられることになる。
次に、本実施形態の作用効果を説明すると、(1)本実施形態では、ダイ孔48を有するダイ43と、先端部44が噴孔30の形状を有するパンチ41とを備え、噴孔プレート10を形成予定の、噴孔30加工前の板状部材40をダイ43に設置し、パンチ41を噴孔軸線に沿って板状部材40に押し当てて、噴孔加工領域の板状部材40を押し退けて噴孔30形状を転写した噴孔用内周45aを形成する流体噴射弁の噴孔加工装置において、
パンチ41の前進により板状部材40の材料が押し出されて形成される余肉部45が、ダイ孔48の内周48a、48b、48cに押し出され、
そのダイ孔48の内周48a、48b、48cは、パンチ41の先端部44に対向して配置され、板状部材40側の開口部から内周の深さ方向に向けて縮径するテーパ内周48bを有している。
これにより、パンチ41の前進により板状部材40が押し出されて形成された余肉部45を、パンチ41の先端部44とこれに対向するテーパ内周面48bとの間で挟み込むことができる。その結果、先端部44とテーパ内周面48bとで挟み込まれる余肉部45の部位を圧縮するとともに、その部位の周縁側の余肉部45内に、余肉部45と板状部材40との接続部側すなわち根元側に向かう材料流れを形成することができる。
その様に構成することにより、余肉部45内に、余肉部45の根元側への材料流れを形成するので、パンチ41の先端部44の前進により生じる余肉部45を押し退ける材料流れに対抗する材料流れを形成できる。これにより、余肉部45を押し退ける材料流れにより生じる引張り応力を緩和または相殺することができるので、引張り応力が過大になるのを回避でき、余肉部45の破断発生の防止が図れる。したがって、余肉部45側の噴孔用内周45aに噴孔30形状を転写するプレス成形終了後に、不要となる余肉部45の部分を除去して形成された噴孔プレート10の噴孔30および噴孔30周縁に破断面Kが発生するのを防止できる。
なお、ここで、噴孔プレート10の噴孔30および噴孔30周縁の破断面K発生を防止するので、図19に示すような噴孔30に流入する燃料流れの乱れを生じることない。したがって、燃料流れが噴孔30内にスムースに流入することができ(図7参照)、噴孔30より噴射される燃料の微粒化が促進される(図8参照)。
(2)なお、パンチ41の先端部44とテーパ内周面48bによって挟み込まれる余肉部45の余肉部圧縮部位は、破断要因となる引張り応力ではなく、圧縮応力が作用する。そのため、パンチ41の先端部44の前進によりその部位が薄肉化する過程で、その部位自体の破断発生は生じない。
(3)なお、本実施形態では、パンチ41の先端部44に対向するテーパ内周面48bは、板状部材40側の開口部から内周の深さ方向に向けて縮径するように構成されているものとして説明したが、先端部44に対向し、縮径するテーパ内周面48bに限らず、先端部44に対向して配置され、余肉部45を先端部44とで挟み込む形状を、先端部44形状に沿った形状とする内周面であるように構成してもよい。この様に構成することで、ダイ孔48の内周に、余肉部45内に、余肉部45の根元側への材料流れを形成する材料流れ調整機能(材料流れ調整手段)を持たせることができる。
(4)なお、ダイ孔48の内周に、この様な材料流れ調整機能を持たせるための内周面形状としては、ダイ孔48に形成される内周48a、48b、48cのうち、先端部44に対向して配置され、先端部44形状に沿うような段差部となる大径内周面48aおよびテーパ状内周面48bで構成されていてもよい。
(5)さらになお、本実施形態では、上記ダイ孔48の内周を、開口部が板状部材40側に広がるすり鉢状に形成されている。これにより、ダイ孔48の内周48a、48b、48cは、開口部が板状部材40側に広がるすり鉢状の内周部分48a、48bで、余肉部45を先端部44との間で挟み込むことができるので、余肉部45内に、余肉部45の根元側への材料流れを形成することができる。
(6)さらになお、本実施形態では、上記大径内周48aは、板状部材40側の開口部が内周の深さ方向に開口面積がほぼ一定となるように形成されていることが好ましい。これにより、パンチ41の前進により押し出される余肉部45を大きさを大径内周48aの開口面積により制限できる。したがって、余肉部45を挟み込む先端部44と内周面48bとの間の隙間dを変更する場合において、隙間dを設定するための内周面48bの配置自由度の向上が図れる。
(7)なお、本実施形態では、ダイ孔48とパンチ41の先端部44の配置構成において、余肉部圧縮部位のうち、テーパ内周48bと先端部44との間の隙間dは、先端部44とこれに対向するテーパ内周面48bとのなす角度が、30°以内に制限するように構成されていることが好ましい。これにより、先端部44とテーパ内周面48bとで挟み込まれる余肉部45の部位を圧縮することが可能であるとともに、その部位の周縁側の余肉部45内に、余肉部45の根元側に向かう材料流れを形成できる。
なお、先端部44とこれに対向するテーパ内周面48bとのなす角度が、30°以内であるため、テーパ内周面48bと先端部44の間に挟み込まれる余肉部45の部位に、パンチ41の前進動作により圧縮力を確実に作用させることができる。したがって、パンチ41の前進により余肉部45を押し退ける材料流れに対抗する材料流れを安定して形成することができる。
(8)さらになお、本実施形態では、上記隙間dは、板状部材40の板厚tとの比率d/tが、20%<d/t<100%の範囲にあるように構成されていることが好ましい。これにより、噴孔部用内周45aに噴孔30形状を転写するためのプレス成形時に、余肉部45を先端部44とテーパ内周面48bとの間で挟み込む際に効果的に圧縮力を上記部位に作用させ、その部位周縁側の余肉部45内に余肉部45の根元側へ向かう材料流れを積極的に形成できる。
なお、比率d/tが100%以上の場合には、余肉部圧縮部位で余肉部45を十分に挟み込むことができない場合がある。例えば余肉部圧縮部位での挟み込み状態が不十分となって余肉部45の根元側へ向かう材料流れを形成できないおそれがある。また、比率d/tが20%以下の場合には、余肉部圧縮部位が薄くなり過ぎるため、後工程等の製造工程で余肉部45が損傷するおそれがある。
(9)さらになお、本実施形態では、後工程の除去工程にて不要部の余肉部45を除去する際に、板状部材40の板厚の位置で除去することが好ましい。これにより、噴孔プレート10を形成するため、板状部材40から除去する無駄使用の金属材料量の低減が図れる。したがって、噴孔部用内周45aに噴孔30形状を転写するプレス成形終了後に、不要となった余肉部45の部分を除去するとき、形成された噴孔プレート10の噴孔30および噴孔30周縁に破断面Kが発生するのを防止できるとともに、噴孔プレート10を形成するための板状部材40から除去する無駄使用の金属材料量の低減が図れる。
(10)一般に、余肉部45を押し退けるパンチ41の先端部44形状がテーパの場合、パンチ41により生じる余肉部45を押し退ける材料流れがテーパ角度の鋭角度合いに応じて大きくなるため、余肉部45を押し退ける材料流れにより生じる引張り応力が過大になるおそれがある。
これに対して本実施形態では、ダイ孔48の内周に、余肉部45の根元側への材料流れを余肉部45内に形成する材料流れ調節機能を有するので、テーパ部のテーパ角度の鋭角度合いに応じて比較的大きな引張り応力が生じるおそれがある場合であっても、引張り応力を緩和または相殺し、余肉部45の破断防止が図れる。したがって、テーパ部形状つまり噴孔30形状の設計自由度の向上が図れる。
(11)さらになお、本実施形態では、パンチ41を摺動自在に支持する支持孔47を有するパンチホルダ42を備え、先端部44が支持孔47の摺動面に沿うように配置されていることが好ましい。これにより、噴孔プレート10の噴孔30および噴孔30周縁に破断面Kが発生するのを防止できるとともに、パンチ41の先端部44の折損防止が図れる。
(12)さらになお、本実施形態では、上記隙間dを、比率d/tで60%(詳しくは本実施例では、90μm)程度以上に確保するように設定することが好ましい。これにより、パンチ41の寿命向上が更に図れる。
(第2の実施形態)
以下、本発明を適用した他の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態においては、上記実施形態と同じもしくは均等の構成には同一の符号を付し、説明を繰返さない。
第2の実施形態では、第1実施形態で説明したダイ孔48を、すり鉢状のものに代えて、図11に示すように、パンチ41の先端部44に対向する内周面148bのみを縮径するものとする。図11は、本実施形態に係わる噴孔加工装置の構成を示す断面図である。
図11に示すように、ダイ孔148を有するダイ143は、そのダイ孔148の内周が図中の左右で非対称に形成されている。パンチ41の先端部44に対向する左側内周面148a、148bは、第1の実施形態と同様なすり鉢状に形成されている。一方、右側内周面148dは、略ストレート状内周に形成されている。
この様な構成であっても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、ダイ孔48の内周48a、48b、48cのうち大径内周48aおよびテーパ内周48bがパンチ41の先端部44に対峙するように設けられていた。
これに対し、第3の実施形態では、図12に示すように、テーパ内周48bのみがパンチ41の先端部44に対峙するように構成されている。図12は、本実施形態に係わる噴孔加工装置の構成を示す断面図である。図13は、図12中のダイを示す斜視図である。
図12および図13に示すように、ダイ孔248は、板状部材40を支持する端面から反対端面に向けて、テーパ内周248b、小径内周248cの順に形成されている。テーパ内周248bは上記端面に接続するように形成され、ダイ孔248の板状部材40側開口部を形成している。
なお、先端部44と、これに対向するテーパ面内周48bとの間で挟み込まれる余肉部45の部位には、先端部44とテーパ面内周48bの隙間dを小さく設定するに従いその隙間dに応じた圧縮力が作用し、その部位での余肉部45の肉厚を減少させる。なお、隙間dを例えば小さくなど変更する場合、テーパ内周面48bの配置位置を変える必要があるため、ダイ孔248の板状部材40側開口部の開口面積も変化する。
この様な構成であっても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
(その他の実施形態)
以上説明した実施形態では、噴孔加工装置および噴孔加工方法を、燃料を噴射する燃料噴射弁1の噴孔30を有する噴孔プレート10に適用して説明したが、燃料噴射弁1に限らず、液体、気体などの流体を噴射する流体噴射弁に適用してもよい。
以上説明した実施形態では、パンチ41の先端部44をテーパ部として説明したが、先端部がほぼストレート状のものであってもよい。
以上説明した実施形態では、噴孔プレート10の板厚tを0.15mm程度のものとして説明したが、噴孔プレート10の板厚tは、0.05≦t≦0.5mmの範囲にあるものであればいずれの寸法であってもよい。
以上説明した実施形態では、ダイ孔48の縮径する内周面を、テーパ状の傾斜面を有するテーパ内周面48bとして説明したが、パンチ41の先端部44に対向配置され、縮径するものであれば曲面であってもよい。