JP2013170475A - 燃料噴射ノズルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来の燃料噴射ノズルは、ノズルボデーが非常に高い温度に晒されると、ニードルの着座時にノズルシートが塑性変形する。この状態で、ニードルが開弁すると、微小隙間が狭くなり、ノズル開弁力と燃料噴射量が初期より増大するという課題があった。
【解決手段】 燃料噴射ノズルは、ノズルボデー3の噴孔周辺部4の内面に形成されるノズルシート5にニードル1の弁部2と当接して塑性変形させた形状を、ノズルボデー3に対して焼戻し処理を施す焼戻し工程時に予めノズルシート5に形成しておくことができるので、ノズルシート5の経年劣化が起きる前の初期状態とノズルシート5の経年劣化後との間で微小隙間17が変化することはない。つまりノズルシート5の経年劣化におけるノズル開弁力(F4)の変化を抑制できる。したがって、複数の噴孔8からエンジンの各気筒の燃焼室内へ噴射される燃料噴射量の変化を低減できる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、内燃機関(エンジン)の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射ノズルの製造方法およびこの方法により製造される燃料噴射ノズルに関するものである。
[従来の技術]
従来より、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁として、軸線方向に往復移動するニードルと、このニードルをその軸線方向へ往復摺動可能に支持する摺動孔を有する有底筒状のノズルボデーとを備えた燃料噴射ノズルが公知である(例えば、特許文献1及び2参照)。
ここで、図5ないし図7は、周知の一般的な燃料噴射ノズルの主要部を示した図である。燃料噴射ノズルの開弁時には、ニードル101の弁部102とノズルボデー103のノズルシート面104との間にシート部下流隙間(燃料流路105の燃料流方向の下流側に連通する燃料流路:以下微小隙間106)が形成されている
ノズルボデー103の噴孔周辺部には、逆円錐状のノズルシート面104、サック室107および複数の噴孔108等が設けられている。
燃料噴射ノズルの閉弁時には、ピストンおよびスプリングから閉弁方向の軸力がニードル101に付与されている。
燃料噴射ノズルの開弁時にニードル101が上昇し始めて、燃料流路105から微小隙間106を通ってサック室107内に高圧燃料が流れ込むと、ニードル101の弁部102に対して、ニードル101を開弁させる軸力(ノズル開弁力:F4)が働く。これにより、ニードル101が、ノズルボデー103のノズルシート面104より離脱して噴孔108を開放し、噴孔108から燃料が燃焼室内に噴射される。
燃料噴射ノズルの閉弁時には、燃料圧力とスプリング荷重によるニードル軸力(ノズル閉弁力:F1+F2)が働く。これにより、ニードル101の弁部102が、ノズルボデー103のノズルシート面104に着座して噴孔108を閉鎖する。よって、噴孔108からの燃料噴射が停止される。
このように、ノズルボデー103のノズルシート面104は、燃料噴射ノズルの閉弁時に、ニードル101の弁部102が着座することで、大きい衝撃荷重を繰り返し受けるので、硬度アップおよび耐摩耗性の向上が望まれる。
[従来の技術の不具合]
近年、ディーゼルエンジンの燃焼室内に高圧燃料を噴射する燃料噴射ノズルにおいて、環境改善や省エネ推進のため、排気ガス規制や燃費規制の要求が厳しくなって来ている。そのため、初期の噴射量精度の向上および燃料の噴射圧力の上昇が進んでいる。
この燃料噴射圧力の高圧化に伴って燃料の噴射圧力の使用範囲がより拡大し、ノズル閉弁時における燃料圧力とスプリング荷重によるニードル軸力(ノズル閉弁力:F1+F2)が更に大きくなり、ノズルボデー103のノズルシート面104に過剰な力が加わり、ノズルシート面104の耐摩耗性が低下する可能性がある。
また、排気ガス等のエミッション性能の維持には、初期だけでなく長期間の安定的な性能が要求されて来ている。
しかし、高圧噴射化やエンジンの燃焼室内の燃焼温度上昇等で、燃料噴射ノズルの環境の変化が厳しくなり、作動を繰り返すことによって経年劣化(変化)による噴射性能変化が、上記の排気ガス規制や燃費規制を守るための課題になっている。
そこで、従来の燃料噴射ノズルにおいては、ノズルボデー103のノズルシート面104の表面硬化のための熱処理が実施されている。
先ず、例えばクロムモリブデン鋼等の鋼素材を鍛造して形成される鍛造成形品に切削加工および研削加工を施すことにより、部品形状の金属成形体を作る。
そして、この部品形状の金属成形体に熱処理(例えば浸炭処理、浸炭焼入れ処理、焼入れ焼戻し処理等)を実施してノズルボデー103のノズルシート面104の表面硬度を高めることで、ノズルボデー103の強度を向上させている。
ところで、従来の燃料噴射ノズルにおいては、エンジンの燃焼室内に直接噴射可能なように、ノズルボデー103の噴孔周辺部が、燃焼室内に露出(突出)するように取り付けられているので、エンジンの燃焼熱に噴孔周辺部が直接晒され、エンジンの燃焼熱(被熱)の影響を受けてノズルボデー103の表面温度が過度に上昇し易い。
このとき、噴孔108を閉じるタイミングになると、ニードル101の弁部102がノズルボデー103のノズルシート面104に着座する時の衝撃荷重により、図6(c)および図7(c)に示したように、ノズルシート面104のシート部111の周辺がノズルボデー103の外側に凹み、ノズルシート面104よりも下流側のシート下流部112がノズルボデー103の内側へ盛り上がる態様の塑性変形が起こる。
なお、ノズルボデー103は、近年の排気ガス規制の動向に伴って、噴射圧力の上昇および燃費向上の観点から、燃焼温度が更に上昇するため、非常に高い温度(例えば300℃)に晒される傾向にある。このように、非常に高い温度に晒されると、熱処理を施したノズルボデー103であっても、上述したようにノズルボデー103のノズルシート面104が塑性変形する問題が生じる。
ノズルボデー103のノズルシート面104が塑性変形した状態で、図7(d)に示したように、燃料噴射ノズルが開弁すると、微小隙間106が狭くなるため、ノズル開弁力(F4)がノズルシート面104の経年劣化が起きる前の初期状態よりも増大し、燃料噴射量が初期状態より増大するという問題が生じる。
特許第4140540号公報 特開2008−175102号公報
本発明は、ノズルボデーのノズルシートにニードルと当接して塑性変形させた形状を、製造時に予めノズルシートに形成しておくことで、ノズルシートの経年劣化が起きる前の初期状態とノズルシートの経年劣化後との間のノズル開弁力の変化を抑制して燃料噴射量の変化を低減することのできる燃料噴射ノズルの製造方法およびその製造方法により製造される燃料噴射ノズルを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明(燃料噴射ノズルの製造方法)は、焼戻し工程を備えている。
この焼戻し工程では、ニードルとノズルボデーのノズルシートとを当接させた状態で、且つニードルを介して、ノズルボデーの噴孔から噴射される燃料圧力と同等の軸線方向荷重(軸力)をノズルシートに加えた状態であって、ノズルボデーまたは噴孔の周辺部またはノズルシートに対して、所定の焼戻し温度で加熱した後に冷却する焼戻し処理を施すことを特徴としている。
なお、ニードルは、その軸線方向に往復移動可能に設置されている。また、ニードルは、ノズルボデー内に往復摺動可能に収容されている。
請求項1に記載の発明によれば、ノズルボデーのノズルシートにニードルと当接して塑性変形させた形状を、ノズルボデーに対して焼戻し処理を施す製造工程時に予めノズルシートに形成しておくことができるので、ノズルシートの経年劣化が起きる前の初期状態とノズルシートの経年劣化後との間で、ニードルとノズルボデーとの間に形成される微小隙間が変化することはない。つまりノズルシートの経年劣化におけるノズル開弁力の変化を抑制することができる。したがって、噴孔から噴射される燃料の噴射量の変化を低減することが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、噴孔から噴射される燃料圧力とは、使用燃料噴射圧力範囲(燃料の噴射圧力の使用範囲)内の最大値のことである。
請求項3に記載の発明によれば、所定の焼戻し温度とは、被熱の影響を受けて上昇する、ノズルボデーの表面温度のことである。
請求項4に記載の発明によれば、ノズルボデーは、鍛造加工および機械加工によって形成された成形体に対して、ノズルボデーの表面硬化のための熱処理を実施することで製造されることを特徴としている。
請求項5に記載の発明によれば、熱処理とは、成形体の表層部を炭素によって硬化する浸炭処理のことである。
そして、焼戻し工程は、浸炭処理を実施した後に行われる。
請求項6に記載の発明によれば、熱処理とは、成形体に対して、所定の焼入れ温度で加熱した後に冷却する焼入れ処理のことである。
そして、焼戻し工程は、焼入れ処理を実施した後に行われる。
請求項7に記載の発明によれば、ノズルボデーを製造する製造装置は、ニードルに対して、そのノズルシートをノズルボデーのシート面に押し付ける軸方向荷重(ニードル軸力)を付与する軸力発生手段を備えている。
請求項8に記載の発明によれば、上記の製造方法または製造装置により製造された燃料噴射ノズルにおいて、ニードルの軸線方向の一端側に(ノズルボデーのノズルシートに着座可能な)弁部を有している。
請求項9に記載の発明によれば、ノズルボデーは、一端に向かって徐々に内径が縮径する円錐形状の第1シート面、一端に向かって徐々に内径が縮径する円錐形状の第2シート面、および第1シート面と第2シート面との間に形成される円環状のシート部を有するノズルシートを備えている。
請求項10に記載の発明によれば、ニードルは、一端に向かって徐々に外径が縮径する円錐形状の第1シール面、一端に向かって徐々に外径が縮径する円錐形状の第2シール面、および第1シール面と第2シール面との間に形成された円環状のシール部を有する弁部を備えている。
第1シール面は、ノズルボデーの第1シート面に当接する。
第2シール面は、ノズルボデーの第2シート面に当接する。
シール部は、ノズルボデーのシート部に着座する。
すなわち、ノズルボデーの焼戻し処理時に、ニードルの弁部形状にノズルボデーのノズルシート形状を倣わせることが可能となる。
請求項11に記載の発明によれば、ニードルとノズルボデーとの間には、ノズルボデー内に供給された燃料をノズルボデーのノズルシートよりも燃料流方向の下流側へ導くための環状の燃料流路が形成されている。
請求項12に記載の発明によれば、ノズルボデーの噴孔の周辺部は、燃料流路と噴孔とを連通すると共に、燃料流路にて環状に流れる燃料を集合させて噴孔へ分配供給するサック室が形成される有底筒状のサック部を有している。
請求項13に記載の発明によれば、噴孔は、サック部の内外を連通するように貫通する複数の噴孔である。これらの噴孔は、サック部の周方向に所定の距離を隔てて形成されている。
請求項14に記載の発明によれば、ノズルボデーまたは噴孔の周辺部が、内燃機関の燃焼室内に露出(突出)するように配置されている。
燃料噴射ノズルを備えたインジェクタを示した断面図である(実施例1)。 (a)は燃料噴射ノズルの主要部を示した断面図で、(b)は(a)の拡大図で、(c)はノズルボデーの噴孔周辺部の拡大図である(実施例1)。 (a)、(b)ノズルボデーの焼戻し工程を示した説明図である(実施例1)。 (a)、(b)は初期のニードルの開閉動作を示した説明図で、(c)、(d)は経年劣化後のニードルの開閉動作を示した説明図である(実施例1)。 (a)は燃料噴射ノズルの主要部を示した断面図で、(b)は(a)の拡大図で、(c)はノズルボデーの噴孔周辺部の拡大図である(従来の技術)。 (a)〜(c)は初期および経年劣化後のニードルの開閉動作を示した説明図である(従来の技術)。 (a)、(b)は初期のニードルの開閉動作を示した説明図で、(c)、(d)は経年劣化後のニードルの開閉動作を示した説明図である(従来の技術)。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、ノズルボデーのノズルシートの経年劣化後におけるノズル開弁力の変化を抑え、燃料噴射量の変化を低減するという目的を、焼入れが成された成形体を所定の焼戻し温度(エンジンの被熱と同等の温度)に加熱してその状態を所定の時間維持する加熱工程を有し、所定の時間の維持が終了した2次成形体を冷却して焼戻し処理を施す焼戻し工程中に、加熱工程における加熱により変形抵抗が低下(軟化)した成形体のノズルシートに使用燃料噴射圧力と同等のニードル軸力を加えることで、ノズルボデーのノズルシートにニードルと当接して塑性変形させた形状を予めノズルシートに形成しておくことで実現した。
[実施例1の構成]
図1ないし図4は、本発明を適用した燃料噴射ノズルを備えたインジェクタ(実施例1)を示したものである。
本実施例の内燃機関の燃料噴射装置は、例えば自動車等の車両に搭載される多気筒ディーゼルエンジン等の内燃機関(以下エンジン)の各気筒の燃焼室内に高圧燃料を噴射供給するコモンレール式燃料噴射システム(蓄圧式燃料噴射装置)を備えている。
このコモンレール式燃料噴射システムは、燃料タンクから低圧燃料を汲み上げるフィードポンプを内蔵したサプライポンプと、このサプライポンプの燃料吐出口から高圧燃料が導入されるコモンレールと、このコモンレールの各燃料出口から高圧燃料が分配供給される複数のインジェクタとを備え、コモンレールの内部に蓄圧された高圧燃料を各インジェクタを介してエンジンの各気筒毎の燃焼室内に噴射供給するように構成されている。
サプライポンプは、フィードポンプから電磁弁を経て加圧室内に吸入した燃料を加圧して高圧化し、この高圧燃料をコモンレールへ圧送供給する燃料噴射ポンプ(高圧燃料ポンプ)である。サプライポンプの電磁弁は、フィードポンプから加圧室内への燃料の吸入量を調整することで、サプライポンプの燃料吐出口より吐出される燃料吐出量を制御する燃料調量弁である。
コモンレールの内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室内に噴射供給する燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧する蓄圧室が形成されている。
なお、サプライポンプまたはコモンレールは、高圧燃料を発生する高圧発生部を構成する。
ここで、本実施例のインジェクタは、燃料制御弁(燃料噴射弁)として使用されている。このインジェクタとしては、コモンレールの内部に蓄圧された高圧燃料を、直接燃焼室内に霧状に噴射供給する直接噴射タイプの内燃機関用燃料噴射弁(ディーゼルエンジン用のインジェクタ)が採用されている。
インジェクタは、エンジンへの燃料噴射を行う燃料噴射ノズルと、この燃料噴射ノズルのハウジングに締結固定される電磁弁とを一体化した電磁式燃料噴射弁である。
電磁弁は、エンジン制御ユニット(電子制御装置:ECU)から印加されるインジェクタ駆動電流によって電子制御されるように構成されている。これにより、インジェクタのノズル噴孔部から燃料噴射される燃料噴射量および噴射時期が制御される。
燃料噴射ノズルは、ニードルバルブ(ノズルニードル:以下ニードル)1の軸線方向の一端部に設けられる円錐面形状の弁部2がノズルボデー3の噴孔周辺部4の内面に形成される円錐面形状のノズルシート5に対して着座、離脱することで、サック室6に連通する複数の噴射孔(以下噴孔8)を閉鎖、開放する自動車部品(エンジン部品)である。このサック室6は、ノズルボデー3の軸線方向の一端側(先端側)に設けられるサック部(円頂部)7内に形成されている。このサック部7には、少なくとも1つ以上(複数)の噴孔8が貫通形成されている。
燃料噴射ノズルのハウジングは、一端側に燃料を噴射する複数の噴孔8が開口したノズルボデー3と、このノズルボデー3の他端部に連結されるインジェクタボデー9と、ノズルボデー3の結合面とインジェクタボデー9の結合面との間に円環状のチップパッキン10を挟み込んだ状態で、インジェクタボデー9とノズルボデー3とを中心軸線方向の締結軸力により結合一体化させるリテーニングナット11とによって構成されている。
ノズルボデー3は、例えばクロムモリブデン鋼(SCM)等の鋼素材によって有底円筒状に形成されている。このノズルボデー3は、エンジンの燃焼室内に露出してエンジンの燃焼熱に直接晒される円筒状の噴孔周辺部4を備えている。この噴孔周辺部4は、ニードル1の弁部2が着座可能な円錐面形状のノズルシート5、内部にサック室6を形成する円錐形状のサック部7、およびサック室6に連通する複数の噴孔8を備えている。
インジェクタボデー9は、例えばクロムモリブデン鋼(SCM)等の鋼素材によって円筒形状に形成されている。
インジェクタボデー9の軸線方向の一端は、チップパッキン10を介して、ノズルボデー3の後端部に結合されている。また、インジェクタボデー9の軸線方向の他端には、ニードル1およびコマンドピストン12の背圧制御室である圧力制御室14が形成されている。
また、ノズルボデー3の軸線方向の中央部には、燃料溜り室15が形成されている。この燃料溜り室15に連通する燃料流路16は、ニードル1の弁部2と噴孔周辺部4のノズルシート5との間に形成されるクリアランス(以下微小隙間17)を介して、サック室6に連通している。微小隙間17とは、燃料噴射ノズルの開弁時(ノズル開弁時)に形成される燃料流路のことである。
燃料流路16は、ニードル1の外面とノズルボデー3の内面との間に形成されて、コモンレールから燃料溜り室15内に供給された高圧燃料をノズルシート5よりも燃料流方向の下流側の微小隙間17、サック室6および各噴孔8へ導くための円環状の燃料流路(クリアランス)である。
チップパッキン10は、ノズルボデー3およびインジェクタボデー9と同じ鋼素材によって円環形状に形成されている。このチップパッキン10は、コマンドピストン12やコイルスプリング13から軸方向荷重(閉弁方向の軸力)を受けるニードル1のフルリフト量を規定する規制部材である。
ここで、インジェクタは、燃料噴射ノズルのインジェクタボデー9と電磁弁のバルブボデー21との間にチップパッキン(オリフィスプレート)22を挟み込んだ状態で、インジェクタボデー9の円筒締結部(以下締結部)23の外周にリテーニングナット24を締結固定することで、燃料噴射ノズルと電磁弁とが締結一体化されている。
電磁弁は、オリフィスプレート22と、このオリフィスプレート22に対して着座、離脱することが可能なボールバルブ(電磁弁の弁体)25と、このボールバルブ25を開弁方向に駆動する電磁アクチュエータとによって構成されている。また、オリフィスプレート22には、通過する燃料の流量を調節するための入口側、出口側オリフィス26、27が形成されている。なお、出口側オリフィス27は、電磁弁の弁孔を構成している。
電磁アクチュエータは、インジェクタボデー9の圧力制御室14内の燃料圧力を増減させてニードル1の開閉動作(燃料噴射)を制御するニードルアクチュエータとして利用される。
電磁アクチュエータは、円筒状のバルブボデー21と、このバルブボデー21をその中心軸線方向に貫通する摺動孔内に摺動自在に支持される磁性体製のアーマチャ31と、通電されると周囲に磁束を発生するソレノイドコイル(以下コイル)32と、このコイル32の内周側および外周側に磁路を形成する磁性体製のステータコア33とを備えている。 ボールバルブ25およびアーマチャ31は、コイルスプリング34の付勢力によって、オリフィスプレート22のバルブシートに押し付けられている。
アーマチャ31は、ステータコア33の磁極面に所定のギャップを隔てて対向配置されている。
コイル32は、電力の供給を受けると(電流印加または通電されると)、アーマチャ31をステータコア33の磁極面側に引き寄せる磁力を発生する磁束発生手段(磁力発生手段)である。
コイル32の端末部は、一対の外部接続端子(ターミナル)35に接続されている。これらのターミナル35は、コイル32と外部回路(外部電源や外部制御回路:ECU)との接続を行うためのコネクタ端子である。
コイル32が通電されると、アーマチャ31およびステータコア33を磁束が集中して通る磁気回路が形成される。
コイル32は、アーマチャ31を吸引することで、アーマチャ31の先端収納孔に収納されているボールバルブ25をオリフィスプレート22のバルブシートより離脱させる。これにより、出口側オリフィス27を有する出口流路が開放される。
コイル32への通電が停止されると、コイルスプリング34の付勢力によって、アーマチャ31が移動してボールバルブ25がオリフィスプレート22のバルブシートに着座する。これにより、出口側オリフィス27を有する出口流路が閉鎖される。
ここで、複数のインジェクタの各電磁弁のコイル32への供給電流量は、インジェクタ駆動回路(EDU)を含んで構成されるECUによって制御されるように構成されている。このECUには、EDUの他にCPU、ROM、RAM等を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが内蔵されている。
また、マイクロコンピュータは、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、ROM、RAM等のメモリ内に格納された制御プログラムに基づいて、エンジンの各気筒毎の燃焼室内への燃料噴射圧力、各インジェクタの燃料噴射時期、各インジェクタからの燃料噴射量等を演算し、複数のインジェクタの各電磁弁のコイル32への供給電流量(所謂インジェクタ駆動電流)を電子制御する。
本実施例の燃料噴射ノズルは、エンジンの各気筒毎に対応してシリンダヘッドに搭載されている。また、燃料噴射ノズルは、その軸線方向の先端部である噴孔周辺部4が燃焼室内に露出するようにエンジンのシリンダヘッドに取り付けられている。
燃料噴射ノズルは、軸線方向に真っ直ぐに延びるニードル1、軸線方向に真っ直ぐに延びるコマンドピストン12、およびこのコマンドピストン12の周囲に螺旋状に巻装されるコイルスプリング13を内蔵するハウジングを備えている。
燃料噴射ノズルのハウジングは、ニードル1をその軸線方向に往復移動可能に収容する有底円筒状のノズルボデー3と、コモンレールより分岐するインジェクタ配管の燃料流方向の下流端に接続される円筒状のインジェクタボデー9とを備え、ノズルボデー3とインジェクタボデー9との間にチップパッキン10を挟み込んだ状態で、インジェクタボデー9の円筒締結部(以下締結部)の外周にリテーニングナット11を締結固定することで、インジェクタボデー9とノズルボデー3とが締結一体化されている。なお、インジェクタボデー9とノズルボデー3とは、燃料噴射ノズルのハウジングの軸線方向に2分割されている。
本実施例のニードル1は、ノズルボデー3およびインジェクタボデー9と同じ鋼素材によって丸棒形状に形成されている。このニードル1は、高圧燃料の圧力に対して変形しない程度の硬度(剛性)を有している。
ニードル1は、その軸線方向に往復移動可能に設置され、且つノズルボデー3の中心軸線上に設置されている。そして、ニードル1は、ノズルシート5に対して着座、離脱して複数の噴孔8を閉鎖、開放する。
ニードル1には、円柱形状の頭部41、およびこの頭部41よりも外径が大きく、ノズルボデー3の摺動孔内に摺動自在に支持される円柱形状の大径軸部(以下摺動部)42が設けられている。なお、摺動部42の摺動面は、ノズルボデー3の摺動孔の孔壁面に対して摺動可能となっている。
また、ニードル1は、コマンドピストン12との間に、コイルスプリング13のスプリング荷重(ニードル1の閉弁方向の軸力)を受け止めるスプリング座を有するロッドプレッシャ43を装着している。
また、ニードル1には、軸線方向に延びる摺動部42と、この摺動部42よりも外径が小さい中径軸部44との間に小径軸部45が設けられている。そして、ニードル1には、摺動部42と小径軸部45との間に円錐台(円環)形状の受圧面46が設けられている。この受圧面46は、ニードル1のリフト開始時に、燃料溜り室15内の燃料圧力(開弁方向の燃料圧力:以下ノズル閉弁力)を受ける第1燃料受圧部となる。
また、中径軸部44よりも先端側、つまりニードル1の軸線方向の一端部(先端部)には、中径軸部44よりも外径が小さい弁部2が設けられている。
なお、ニードル1の弁部2の詳細は、後述する。
本実施例のコマンドピストン12は、高圧燃料の圧力に対して変形しない程度の硬度(剛性)を有している。このコマンドピストン12は、インジェクタボデー9およびノズルボデー3と同じ鋼素材によって丸棒形状に形成されている。
コマンドピストン12は、インジェクタボデー9の中心軸線上に設置されており、ニードル1と同一軸線上に配設されている。このコマンドピストン12は、ニードル1に連動して中心軸線方向(図示上下方向)に往復移動する。
そして、コマンドピストン12には、インジェクタボデー9の摺動孔内に摺動自在に支持される円柱形状の大径軸部(以下摺動部)47、およびこの摺動部47よりも外径が小さい小径軸部48が設けられている。
なお、摺動部47の摺動面は、インジェクタボデー9の摺動孔の孔壁面に対して摺動可能となっている。また、小径軸部48の先端面(図示下端面)には、ロッドプレッシャ43を介して、ニードル1の頭部41の図示上端面と当接する円形状の当接面が設けられている。
また、コマンドピストン12には、摺動部47の端面に円形状の受圧面49が設けられている。この受圧面49は、ニードル1のフルリフト時に、圧力制御室14内の燃料圧力を受ける第2燃料受圧部となる。
本実施例のノズルボデー3は、高圧燃料の圧力に対して変形しない程度の硬度(剛性)を有している。
ノズルボデー3の軸線方向の一端側(先端側)には、内部に円錐形状空間を形成する逆円錐形状の噴孔周辺部4が設けられている。この噴孔周辺部4は、ノズルボデー3の軸線方向の一端側、つまりエンジンの各気筒毎の燃焼室内に露出(突出)するように配置されるノズル噴孔部である。
噴孔周辺部4の内面には、ニードル1の弁部2が着座可能な円錐面形状のノズルシート5が設けられている。このノズルシート5は、ニードル1が着座することでニードル1の全閉位置を規定している。
また、ノズルシート5よりも燃料流方向の下流側には、有底円筒状のサック部7が設けられている。サック部7の内部には、サックボリュームであるサック室6が形成されている。このサック室6は、燃料流路16と複数の噴孔8とを連通すると共に、燃料流路16にて環状に流れる燃料を集合させて複数の噴孔8へ分配供給する分配室である。
サック部7には、所定の曲率半径を有する凹曲面状の底部が設けられている。また、サック部7には、その内壁面から外壁面までを、ノズルボデー3の軸線方向に対して斜めに貫通する複数の噴孔8が形成されている。
複数の噴孔8は、サック部7の内壁面で開口した噴孔入口、サック部7の外壁面で開口した噴孔出口、および噴孔入口と噴孔出口とを連通する噴孔流路を有している。また、複数の噴孔8は、エンジンの各気筒毎の燃焼室内に燃料噴霧が効率良く行き渡るように、サック部7の円周方向に所定の間隔で複数個形成されている。
そして、ノズルボデー3の中心軸線上には、チップパッキン10を介して、インジェクタボデー9の密着面に液密的に密着する結合面(密着面)からサック部7や噴孔8側へと真っ直ぐに延びるノズル孔(軸方向孔)が設けられている。このノズル孔の内部には、コマンドピストン12と当接するように配設されたニードル1がその軸線方向に往復移動可能に収容されている。
ノズル孔の図示上端側、つまりノズルボデー3の円筒部(ニードルガイド、径大部)51の内部には、単純な丸穴形状の摺動孔52が形成されている。また、ノズル孔の中間部分には、摺動孔52よりも孔径が拡げられた燃料溜り室15が設けられている。この燃料溜り室15は、インジェクタボデー9から内部に導入される燃料の油圧力が、ニードル1の開弁方向に作用する第1圧力室(油溜り室、第1燃料室)としての機能を有している。 ノズルボデー3は、ニードル1の中径軸部44との間に、燃料溜り室15に連通する燃料流路16を形成する円筒部(小径部)53を有している。また、ノズルボデー3は、サック部7と円筒部53との間に円錐台部54を有している。円筒部53の下端側および円錐台部54は、ノズルボデー3の噴孔周辺部4に含まれる。
なお、ノズルボデー3、特にノズルシート5の詳細は、後述する。
本実施例のインジェクタボデー9は、高圧燃料の圧力に対して変形しない程度の硬度(剛性)を有している。
そして、インジェクタボデー9は、内部にコマンドピストン12が嵌挿される円筒状のシリンダ55を有している。このシリンダ55の中心軸線上には、オリフィスプレート22の密着面に液密的に密着する結合面(密着面)からノズルボデー側へと真っ直ぐに延びるシリンダ孔(軸方向孔)が設けられている。このシリンダ孔の内部には、コマンドピストン12がその軸線方向に往復移動可能に収容されている。
シリンダ孔の図示上方側には、単純な丸穴形状の摺動孔56が形成されている。また、シリンダ孔の図示下方側には、シリンダ孔の中間部分よりも孔径が大きい単純な丸穴形状のスプリング収納室57が形成されている。このスプリング収納室57の内部には、コイルスプリング13が収容されている。
コイルスプリング13は、ニードル1の弁部2をノズルボデー3のノズルシート5に押し付ける方向(閉弁方向)に付勢する付勢力(閉弁方向の軸力)を発生するニードル付勢手段である。
シリンダ孔の図示上端には、圧力制御室14が設けられている。この圧力制御室14は、内部に導入される燃料の油圧力が、ニードル1の閉弁方向に作用する第2圧力室(背圧制御室、第2燃料室)としての機能を有している。
そして、ノズルボデー3、インジェクタボデー9およびチップパッキン10の内部には、インジェクタ配管に接続される配管ジョイント59の燃料導入流路61から高圧燃料が導入される燃料流路62〜66が形成されている。
これらの燃料流路62〜66は、インジェクタの各部(インジェクタの内部に設けられる圧力制御室14、燃料溜り室15、燃料流路16、微小隙間17、サック室6、複数の噴孔8、入口側、出口側オリフィス26、27等)に高圧燃料を導入(供給)するための高圧燃料通路である。
圧力制御室14は、オリフィスプレート22に形成された入口側オリフィス26を介して燃料流路63に連通している。また、圧力制御室14は、オリフィスプレート22の中央部に形成された出口側オリフィス27を介してバルブボデー21に形成された燃料排出流路71に連通している。この燃料排出流路71は、インジェクタボデー9のシリンダ55のシリンダ孔の側方に形成された燃料排出流路72に連通している。
燃料溜り室15は、燃料流路66に連通している。また、燃料溜り室15は、ニードル1の中径軸部44の外周とノズルボデー3の軸方向孔の孔壁面との間に形成される燃料流路16に連通している。
また、インジェクタボデー9の内部には、インジェクタボデー9のシリンダ孔、ノズルボデー3のノズル孔、チップパッキン10の軸方向孔から溢流または排出された余剰燃料、あるいは燃料排出流路71、72から排出された余剰燃料を回収する燃料回収通路73が形成されている。
燃料回収通路73内に流入した余剰燃料は、燃料戻し配管を経て燃料タンクに戻される。
次に、本実施例のニードル1の弁部2の詳細を図1ないし図4に基づいて説明する。
ニードル1は、上記の各部が、鍛造加工や機械加工(切削加工、研削加工)等により設けられている。また、ニードル1は、鍛造加工および切削加工が成された棒軸状(ニードル部品形状)の鍛造成形体に対して、所定の熱処理を施すことで製造される。
ニードル1の弁部2は、ニードル1の燃料流方向の下流側の先端部(噴孔側端部)に設けられており、ノズルボデー3のノズルシート5に対して着座、離脱して、複数の噴孔8を閉鎖、開放する。
弁部2には、中径軸部44よりも外径が小さい円柱形状のベース部75、およびこのベース部75のエッジライン76から先端へ向かって外径が徐々に減少する縮径部77が一体的に形成されている。
縮径部77は、一端に向かって徐々に外径が縮径する円錐台形状の第1シール面81、一端に向かって徐々に外径が縮径すると共に、第1シール面82よりも傾斜(テーパ)角度が急な円錐台形状の第2シール面82、および一端に向かって徐々に外径が縮径すると共に、第2シール面82よりも傾斜(テーパ)角度が急な円錐形状の円錐面83を有している。
なお、第1シール面81と第2シール面82との間に形成される円環状の交差稜線(シートライン)は、ノズルボデー3のノズルシート5に液密的に密着する第1シール部84としての機能を有している。また、第2シール面82と円錐面83との間に形成される円環状の交差稜線(シートライン)は、ノズルボデー3のノズルシート5に液密的に密着する第2シール部85としての機能を有している。
また、円錐面83は、ニードル1のリフト開始時に、サック室6内および微小隙間17内の燃料圧力(開弁方向の燃料圧力:以下ノズル開弁力)を受ける第3燃料受圧部となる。
次に、本実施例のノズルボデー3のノズルシート5の詳細を図1ないし図4に基づいて説明する。
ノズルボデー3は、ニードル1と同様に、上記の各部が、鍛造加工や機械加工(切削加工、研削加工)等により設けられている。また、ノズルボデー3は、鍛造加工および切削加工が成された棒軸状(ニードル部品形状)の鍛造成形体に対して、所定の熱処理を施すことで製造される。
ノズルボデー3のノズルシート5は、熱処理(特に焼戻し処理)の前工程である浸炭処理または焼入れ処理を実施した段階では、一端に向かって徐々に内径が縮径する円錐面形状のシート面90を有している。
ノズルボデー3のノズルシート5は、焼戻し処理を実施した段階では、ニードル1の弁部2の形状に倣うように、一端に向かって徐々に内径が縮径すると共に、初期のシート面90よりも傾斜(テーパ)角度が緩やかな円錐台形状の第1シート面91、および一端に向かって徐々に内径が縮径すると共に、第1シート面91よりも傾斜(テーパ)角度が急な円錐台形状の第2シート面92を有している。
また、第1シート面91には、燃料噴射ノズルの閉弁時(ノズル閉弁時)に、第1シール面81が当接する。また、第2シート面92には、ノズル閉弁時に、第2シール面82が当接する。
なお、シート面90と第1シール面91との間に形成される円環状の交差稜線(シートライン)は、エッジライン76が着座(当接)するシート部93としての機能を有している。また、第1シール面91と第2シール面92との間に形成される円環状の交差稜線(シートライン)は、第1シール部84が着座(当接)する第1シート部(シート溝)94としての機能を有している。また、第2シール面92とサック部7の内面との間には、第2シール部85が着座(当接)する第2シート部95としての機能を有している。
[実施例1の製造方法]
次に、本実施例の燃料噴射ノズルの製造方法を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。
ここで、ニードル1を形成する鋼素材は、一例として炭素量が0.5質量%までの炭素鋼にニッケル、クロム、モリブデン、マンガンを単独または複合して得られるクロムモリブデン鋼(SCM415)が使用されている。なお、炭素鋼(SC)、クロム鋼(SCr)等の他の鋼素材を使用しても良い。
先ず、SCM415よりなる鋼素材を鋳造することで、ニードル用のインゴット(金属塊)を作り、このインゴットを鍛造型に入れて熱間鍛造または冷間鍛造する。
そして、鍛造成形体に切削加工や研削加工等の機械加工を施すことにより、軸線方向の一端に所定の形状の弁部2を有する1次成形体(部品形状の成形体)が形成される。
次に、ニードル1の耐摩耗性の向上、およびニードル1の表面硬化のための熱処理を実施する。
本実施例の製造装置では、熱処理として、熱処理前の成形体に対して、浸炭処理、焼入れ処理および焼戻し処理を実施する(ニードル熱処理工程)。
これにより、軸線方向の一端に所定の形状の弁部2を有するニードル1が形成される。
一方、ノズルボデー3を形成する鋼素材は、一例として炭素量が0.5質量%までの炭素鋼にニッケル、クロム、モリブデン、マンガンを単独または複合して得られるクロムモリブデン鋼(SCM415)が使用されている。なお、炭素鋼(SC)、クロム鋼(SCr)等の他の鋼素材を使用しても良い。
先ず、SCM415よりなる鋼素材を鋳造することで、ノズルボデー用のインゴット(金属塊)を作り、このインゴットを鍛造型に入れて熱間鍛造または冷間鍛造する。
そして、鍛造成形体に切削加工や研削加工等の機械加工を施すことにより、軸線方向の一端に所定の形状のノズルシート5を有する1次成形体(部品形状の成形体)が形成される。
次に、ノズルボデー3の耐摩耗性の向上、およびノズルボデー3の表面硬化のための熱処理を実施する。
先ず、熱処理として、1次成形体の表層部を炭素によって硬化する浸炭処理を実施する(ノズルボデー浸炭工程)。
なお、浸炭処理を実施することによって、浸炭処理が成された2次成形体の表層部は、2次成形体の内層部に比べて炭素の含有濃度が高くなる。
次に、浸炭処理が成された2次成形体に対して、所定の焼入れ温度(例えば800℃程度)で加熱してこの状態を所定の時間維持する(加熱工程)。次に、所定の時間の維持が終了した3次成形体を油または水等の冷却媒体で急速冷却(急冷)して焼入れ処理を施す(ノズルボデー焼入れ工程)。この焼入れ処理は、焼入れ処理炉内で実施される。
次に、焼入れ処理が成された3次成形体に対して、所定の焼戻し温度(例えば270〜300℃程度)で加熱してその状態を所定の時間維持する(加熱工程)。次に、所定の時間の維持が終了した4次成形体を油または水等の冷却媒体で冷却(徐例)して焼戻し処理を施す(ノズルボデー焼戻し工程)。この焼入れ処理は、焼戻し処理炉内で実施される。 以上の製造工程によって、ノズルボデー3が製造される。
ここで、本実施例のノズルボデー3の製造工程、特にノズルボデー焼戻し工程の特徴を図2ないし図4に基づいて説明する。
3次成形体に対して焼入れ処理を行う製造装置、特に焼戻し処理炉には、図3に示したように、ニードル1に対して、その弁部2をノズルシート5に押し付ける軸方向荷重を付与する軸力発生装置(軸力付与手段)19が設けられている。この軸力発生装置19として、例えば所定のスプリング荷重を発生するスプリング装置や、所定の軸方向荷重を発生する油圧シリンダ装置を用いることが可能である。
そして、軸力発生装置19は、焼入れ処理中の加熱工程における加熱により変形抵抗が低下(軟化)した3次成形体のノズルシート5に軸方向荷重(ニードル軸力)を加えることで、ニードル1の弁部2の形状にノズルシート5の形状を倣わせるシート部熱変形処理を実施する。
ここで、軸力発生装置19によって3次成形体のノズルシート5に加える軸方向荷重は、噴孔8から燃焼室内に噴射される燃料圧力(噴射圧力)と同等の軸力が望ましい。特に、使用燃料噴射圧力範囲(燃料の噴射圧力の使用範囲)内の最大値と同等のニードル軸力(例えば0.7kN〜0.9kN)が更に望ましい。
また、所定の焼戻し温度としては、エンジンの被熱の影響を受けて上昇する、ノズルボデー3の噴孔周辺部4の表面温度と同等の温度(例えば270〜300℃程度)が望ましい。
[実施例1の作用]
次に、本実施例のインジェクタの作用を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。
コモンレールからインジェクタに供給される高圧燃料は、インジェクタの燃料導入流路61に到達する。燃料導入流路61に到達した燃料は、各燃料流路62〜66を通って、インジェクタの各部(入口側オリフィス26、圧力制御室14、出口側オリフィス27、燃料溜り室15、燃料流路16等)に導入(供給)される。
これによって、ニードル1は、コマンドピストン12を介して、圧力制御室14内の燃料圧力によって押し下げる方向(ニードル1の閉弁方向)の力(軸力)を受けると共に、燃料溜り室15内の燃料圧力によって押し上げる方向(ニードル1の開弁方向)の力(軸力)を受けることになる。
ここで、ECUにより電磁弁のコイル32への通電が成されず、電磁弁のボールバルブ25がオリフィスプレート22のバルブシートに着座して出口側オリフィス27を塞いでいる場合には、圧力制御室14および燃料溜り室15の内部が高圧燃料で満たされている。したがって、ニードル1の受圧面46にて燃料溜り室15内の燃料圧力を受ける受圧面積よりも、コマンドピストン12の受圧面49にて圧力制御室14内の燃料圧力を受ける受圧面積の方が大きく、しかもコイルスプリング13によってニードル1に対して、ニードル1の弁部2を閉弁方向(噴孔8を閉じる側、ノズルシート5に押し付ける側)に付勢する付勢力(軸力)が加わる。
すなわち、ニードル1には、コマンドピストン12を介して伝達される圧力制御室14内の燃料圧力による閉弁方向の軸力(ノズル閉弁力:F1)と、コイルスプリング13のスプリング荷重による閉弁方向の軸力(ノズル閉弁力:F2)と、燃料溜り室15内の燃料圧力による開弁方向の軸力(ノズル開弁力:F3)とが働いており、F1+F2>F3が成立している。このため、ECUにより電磁弁のコイル32への通電が成されず、電磁弁のボールバルブ25が閉弁している場合には、全体として図1において図示下向きの力が勝ることになる。
その結果、電磁弁の閉弁時には、ニードル1の弁部2がノズルボデー3の噴孔周辺部4のノズルシート5に着座して各噴孔8を塞いでいる。
したがって、当該インジェクタは、ニードル1が閉弁した閉弁(全閉)状態となり、エンジンの燃焼室内には燃料の噴射が成されない。
一方、ECUにより電磁弁のコイル32への通電が成されると、コイル32およびステータコア33に磁気吸引力が発生してステータコア33の磁極面側にアーマチャ31が吸引される。
これにより、ボールバルブ25がオリフィスプレート22から離脱して、オリフィスプレート22の出口側オリフィス27が開放される。したがって、圧力制御室14の内部に充満していた燃料は、圧力制御室14から出口側オリフィス27→燃料排出流路71→燃料排出流路72→燃料回収通路73を経て燃料タンクに戻される。
以上の電磁弁自身の開弁動作に伴って、圧力制御室14内の燃料圧力(ノズル閉弁力:F1)が急激に低下し、F1+F2<F3が成立すると、燃料溜り室15内の燃料圧力(ノズル開弁力:F3)によってニードル1およびコマンドピストン12が上昇する(リフトを開始する)。これにより、燃料溜り室15および燃料流路16内に貯留されていた高圧燃料が、ニードル1の弁部2とノズルボデー3のノズルシート5との間に形成される微小隙間17に流れ込み、微小隙間17内の燃料圧力によってニードル1を押し上げる方向(開弁方向)の力(ノズル開弁力:F4)が更に加わり、ニードル1の弁部2がノズルボデー3のノズルシート5より急速に離れる(離脱、離間する)。その結果、ニードル1が開弁した開弁(全開)状態となり、燃料溜り室15および燃料流路16内の高圧燃料が、微小隙間17、サック室6を通って各噴孔8から噴射される。
したがって、当該インジェクタは、エンジンの燃焼室内への燃料の噴射を開始する。
噴射タイミングから指令噴射期間が経過すると、電磁弁のコイル32への通電が停止される。すると、コイルスプリング34の付勢力(スプリング荷重)によってアーマチャ31が閉弁方向へ移動し、ボールバルブ25がオリフィスプレート22のバルブシートに押し付けられる。そして、電磁弁が閉弁すると、圧力制御室14内の燃料圧力(ノズル閉弁力:F1)が急激に上昇し、F1+F2>F3が成立するため、ニードル1およびコマンドピストン12が閉弁方向に移動する。その結果、当該インジェクタは、ニードル1の弁部2がノズルボデー3のノズルシート5に着座するため、複数の噴孔8が閉塞される。すなわち、ニードル1が閉弁した閉弁(全閉)状態に戻ることになる。よって、エンジンの燃焼室内への燃料噴射が終了する。
[実施例1の特徴]
本実施例の製造方法により得られる燃料噴射ノズルの特徴を図1ないし図4に基づいて説明する。
ここで、本実施例の燃料噴射ノズルを備えたインジェクタは、ノズルボデー3の噴孔周辺部4が、エンジンの各気筒の燃焼室内に露出(突出)するように取り付けられているので、噴孔周辺部4が非常に高い温度(例えば250℃〜300℃程度)に晒される。
特に、ノズルボデー3の表面温度が、焼戻し温度以上の高温になると、ノズルボデー3が軟化し易くなり、耐摩耗性が低下する。
このような温度環境下で使用されるインジェクタは、噴孔周辺部4の表層部の硬度が低下する。このため、燃料噴射ノズルの閉弁時に、圧力制御室14内の燃料圧力(ノズル閉弁力:F1)およびコイルスプリング13のスプリング荷重(ノズル閉弁力:F2)によるニードル軸力が発生すると、ノズルシート5の第1シート部94よりも下流側の第2シート面92が盛り上がる態様の塑性変形と、ノズルシート5の第1シート94近傍が窪む(凹む)態様の塑性変形とが起こる(図6および図7参照)。
そして、ノズルボデー3のノズルシート5が塑性変形した状態で、燃料噴射ノズルが開弁すると、つまりニードル1の弁部2がノズルシート5よりリフト(離脱)すると、ノズルシート5の第1シート部94よりも下流側に形成される微小隙間17が初期状態のサイズよりも狭くなるため、ニードル1の弁部2の円錐面83に作用するノズル開弁力(F4)が初期よりも増大し、燃料噴射量が初期よりも増加するという不具合がある。
本発明は、ノズルボデー3の噴孔周辺部4がエンジンの燃焼熱で焼戻しされる時にノズルシート5が塑性変形することによって、ニードル1とノズルボデー3との間に形成される微小隙間17が初期よりも狭くなり、ニードル1を開弁させる力(ノズル開弁力)が変化し、燃料噴射量を変化させてしまうという原因から、ノズル開弁力の変化を抑制することが改善に繋がることに着目し、ノズルボデー3のノズルシート5にニードル1の弁部2が当接して塑性変形した形状を予め形成することで、ノズル開弁力の変化を抑え、燃料噴射量の変化を低減することを目的とする。
ここで、ニードル1の弁部2の当接形状を、ノズルボデー3の噴孔周辺部4のノズルシート5に施す方法を図2に示し、その加工手順を図3に示す。
本実施例の製造工程は、先ず、ニードル1とノズルボデー3とを鍛造加工および機械加工して準備しておく(第1工程)。
次に、ノズルボデー3に対して、浸炭処理および焼入れ処理(または浸炭焼入れ処理)を実施する(第2工程)。
次に、焼入れ処理が成されたノズルボデー3のノズルシート5にニードル1の弁部2を突き合わせ、使用噴射圧力範囲内の最大値と同等のニードル軸力(0.7kN〜0.9kN)を加えた状態で、エンジンの被熱と同等の250℃〜350℃程度の焼戻しをノズルボデー3に対して実施する(第3工程)。なお、焼戻し時間中にノズルシート5の表面に応力(ニードル軸力)が加わると、容易に塑性変形が発生するという、プレステンバー作用が働く。
次に、焼戻し処理が成されたノズルボデー3を冷却して製造工程を完了する(第4工程)。
以上の製造工程を実施することにより、ニードル1の弁部2のシール面形状にノズルボデー3のノズルシート5のシート面形状を倣わせることが可能となる。
これによって、第1、第2シール面81、82および第1、第2シール部84、85を有する弁部2のシール面形状に対応した形状がノズルシート5に形成される。
すなわち、第1、第2シート面91、92および第1、第2シート部94、95を有するノズルシート5のシート面形状が得られる。
以上のような製造方法により製造された燃料噴射ノズルを備えたインジェクタをエンジンのシリンダヘッドに取り付けて使用した場合、ノズルシート5の経年劣化が起きる前の初期状態における、燃料噴射ノズルの閉弁時には、図4(a)に示したように、ニードル軸力(F1+F2)によってニードル1の軸線方向の一端部に設けられる弁部2がノズルボデー3の噴孔周辺部4の内面に形成されるノズルシート5に着座することで、複数の噴孔8からの燃料噴射が成されない。
一方、初期状態における、燃料噴射ノズルの開弁時には、図4(b)に示したように、ノズル開弁力(F3+F4)によってニードル1の弁部2がノズルボデー3のノズルシート5より離脱することで、複数の噴孔8からエンジンの気筒の燃焼室内への燃料噴射が行われる。
そして、ノズルシート5の経年劣化後において、ノズルボデー3の噴孔周辺部4およびノズルシート5がエンジンの燃焼室により非常に高い温度に晒されているときに、ニードル軸力(F1+F2)が発生してニードル1の弁部2がノズルシート5に着座して大きい衝撃荷重を受けた場合でも、ノズルシート5の第1シート部94よりも下流側の第2シート面92が盛り上がったり、ノズルシート5の第1シート部94近傍が凹んだりする塑性変形が起きることがないため、燃料噴射ノズルの開弁時における微小隙間17のサイズは初期状態と変わらない。
これによって、第1、第2シール面81、82および第1、第2シール部84、85を有する弁部2のシール面形状に対応した形状がノズルシート5に形成さのズルシート面104との間にシート部下流隙間113が形成されている。
この従来技術に対して、本実施例の燃料噴射ノズルにおいては、シート部下流隙間113を無くして、弁部2の第2シール面82とノズルシート5の第2シート面92とを直接面接触(当接)させたため、上記の効果を得ることができたものである。
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例の製造方法により製造される燃料噴射ノズルにおいては、ノズルボデー3の噴孔周辺部4の内面に形成されるノズルシート5にニードル1の弁部2と当接して塑性変形させた形状を、ノズルボデー3に対して焼戻し処理を施す製造工程時に予めノズルシート5に形成しておくことができるので、ノズルシート5の経年劣化が起きる前の初期状態とノズルシート5の経年劣化後との間で、ニードル1の弁部2とノズルボデー3のノズルシート5との間に形成される微小隙間17が変化することはない。つまりノズルシート5の経年劣化におけるノズル開弁力(F4)の変化を抑制することができる。 したがって、複数の噴孔8からエンジンの各気筒の燃焼室内へ噴射される燃料噴射量の変化を低減することが可能となる。
[変形例]
本実施例では、本発明の燃料噴射ノズルを、コモンレールの内部に蓄圧した高圧燃料を、エンジンの気筒内に噴射供給するインジェクタ(燃料噴射ノズルと電磁弁を一体化した燃料噴射弁)に適用した例を説明したが、本発明の燃料噴射ノズルを、列型燃料噴射ポンプや分配型燃料噴射ポンプ等の燃料噴射ポンプから燃料溜り室の内部に直接燃料が圧送され、燃料溜り室内の燃料圧力(ノズル開弁力)がスプリング(バネ)の付勢力(閉弁方向の軸力:ノズル閉弁力)よりも上回るとニードルが開弁して、エンジンの気筒内に燃料を噴射供給する燃料噴射装置に使用される燃料噴射ノズルに適用しても良い。
本実施例では、燃料を噴射する噴孔を開閉するニードル1をその軸線方向に開閉動作させるアクチュエータとして、コイル、ステータおよびアーマチャ等により構成される電磁アクチュエータによって構成しているが、ニードル1をその軸線方向に開閉動作させるアクチュエータとして、ピエゾスタックの伸縮に伴う変位を加圧ピストンに伝達し、この加圧ピストンの往復変位に伴って圧力制御室内の燃料圧力を増減させてニードル1の開閉動作(燃料噴射)を制御するピエゾアクチュエータによって構成しても良い。
また、ニードル1をその軸線方向に開閉動作させるアクチュエータを、モータ、減速機構、変換機構を備えた電動アクチュエータによって構成しても良い。
本実施例では、本発明のノズルボデー3の軸線方向の一端側(先端側)に形成される噴孔8を、サック室6と外部(燃焼室)とを区画するサック部7の内面で開口するように設けているが、本発明のノズルボデー3の先端側に形成される噴孔8を、ノズルシート5の第2シート面92で開口するように設けても良い。
また、ノズルボデー3の軸線方向の先端側からサック室6およびサック部7を廃止しても良い。また、ノズルボデー3の軸線方向の一端側(先端側)に、ノズルボデー3の軸線方向の先端壁部(円頂部)を貫通する噴孔を設けても良い。
また、本発明の燃料噴射ノズルを備えた燃料噴射弁を、例えばガソリンエンジン等の内燃機関の気筒内に燃料を直接噴射するフューエルインジェクタに適用しても良い。
本実施例では、ノズルボデー3に対して全体的に焼戻し処理を実施しているが、ノズルボデー3の噴孔周辺部4またはノズルシート5に対して部分的に焼戻し処理を実施しても良い。
本実施例では、ニードル1およびノズルボデー3の製造工程を、鍛造加工→機械加工→浸炭処理(工程)→焼入れ処理(工程)→焼戻し処理(工程)の順に実施しているが、ニードル1およびノズルボデー3の製造工程を、鍛造加工または切削加工または研削加工→焼入れ処理(工程)→焼戻し処理(工程)の順に実施しても良い。
1 ニードル
2 ニードルの弁部
3 ノズルボデー
4 噴孔周辺部
5 ノズルシート
6 サック室
7 サック部
8 ノズルボデーの噴孔

Claims (14)

  1. ニードル(1)の軸線方向の一端部(2、77)が着座可能なノズルシート(5)、およびこのノズルシート(5)よりも燃料流方向の下流側に位置する噴孔(8)を有し、
    前記ニードル(1)をその軸線方向に往復移動可能に支持する有底筒状のノズルボデー(3)を備えた燃料噴射ノズルの製造方法において、
    前記ニードル(1)と前記ノズルシート(5)とを当接させた状態で、
    且つ前記ニードル(1)を介して、前記噴孔(8)から噴射される燃料圧力と同等の軸線方向荷重を前記ノズルシート(5)に加えた状態であって、
    前記ノズルボデー(3)または前記噴孔(8)の周辺部(4)または前記ノズルシート(5)に対して、所定の焼戻し温度で加熱した後に冷却する焼戻し処理を施す焼戻し工程を備えたことを特徴とする燃料噴射ノズルの製造方法。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射ノズルの製造方法において、
    前記噴孔(8)から噴射される燃料圧力とは、使用燃料噴射圧力範囲内の最大値のことであることを特徴とする燃料噴射ノズルの製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料噴射ノズルの製造方法において、
    前記所定の焼戻し温度とは、被熱の影響を受けて上昇する、前記ノズルボデー(3)の表面温度のことであることを特徴とする燃料噴射ノズルの製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射ノズルの製造方法において、
    前記ノズルボデー(3)は、鍛造加工および機械加工によって形成された成形体に対して、前記ノズルボデー(3)の表面硬化のための熱処理を実施することで製造されることを特徴とする燃料噴射ノズルの製造方法。
  5. 請求項4に記載の燃料噴射ノズルの製造方法において、
    前記熱処理とは、
    前記成形体の表層部を炭素によって硬化する浸炭処理のことであって、
    前記焼戻し工程は、前記浸炭処理を実施した後に行われることを特徴とする燃料噴射ノズルの製造方法。
  6. 請求項4または請求項5に記載の燃料噴射ノズルの製造方法において、
    前記熱処理とは、
    前記成形体に対して、所定の焼入れ温度で加熱した後に冷却する焼入れ処理のことであって、
    前記焼戻し工程は、前記焼入れ処理を実施した後に行われることを特徴とする燃料噴射ノズルの製造方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の製造方法を使用して前記ノズルボデー(3)を製造する製造装置において、
    前記ニードル(1)に対して、前記ニードル(1)の軸線方向の一端部(2、77)を前記ノズルシート(5)に押し付ける軸方向荷重を付与する軸力発生手段(19)を備えたことを特徴とする燃料噴射ノズルの製造装置。
  8. 請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の製造方法または製造装置により製造された燃料噴射ノズルにおいて、
    前記ニードル(1)の軸線方向の一端部には、前記ノズルシート(5)に着座可能な弁部(2、77)が設けられていることを特徴とする燃料噴射ノズル。
  9. 請求項8に記載の燃料噴射ノズルにおいて、
    前記ノズルシート(5)は、一端に向かって徐々に内径が縮径する円錐形状の第1シート面(91)、一端に向かって徐々に内径が縮径する円錐形状の第2シート面(92)、および前記第1シート面(91)と前記第2シート面(92)との間に形成される円環状のシート部(94)を有していることを特徴とする燃料噴射ノズル。
  10. 請求項9に記載の燃料噴射ノズルにおいて、
    前記弁部(2、77)は、一端に向かって徐々に外径が縮径し、前記第1シート面(91)に当接する円錐形状の第1シール面(81)、一端に向かって徐々に外径が縮径し、前記第2シート面(92)に当接する円錐形状の第2シール面(82)、および前記第1シール面(81)と前記第2シール面(82)との間に形成されて、前記シート部(94)に着座可能な円環状のシール部(84)を有していることを特徴とする燃料噴射ノズル。
  11. 請求項8ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射ノズルにおいて、
    前記ノズルボデー(3)は、前記ニードル(1)との間に、前記ノズルボデー(3)内に供給された燃料を前記ノズルシート(5)よりも燃料流方向の下流側へ導くための環状の燃料流路(16)を有していることを特徴とする燃料噴射ノズル。
  12. 請求項11に記載の燃料噴射ノズルにおいて、
    前記噴孔(8)の周辺部(4)は、前記燃料流路(16)と前記噴孔(8)とを連通すると共に、前記燃料流路(16)にて環状に流れる燃料を集合させて前記噴孔(8)へ分配供給するサック室(6)が形成される有底筒状のサック部(7)を有していることを特徴とする燃料噴射ノズル。
  13. 請求項12に記載の燃料噴射ノズルにおいて、
    前記噴孔(8)は、前記サック部(7)の内外を連通するように貫通する複数の噴孔(8)であって、
    前記複数の噴孔(8)は、前記サック部(7)の周方向に所定の距離を隔てて形成されていることを特徴とする燃料噴射ノズル。
  14. 請求項8ないし請求項13のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射ノズルにおいて、
    前記ノズルボデー(3)または前記噴孔(8)の周辺部(4)は、内燃機関の燃焼室内に露出するように配置されていることを特徴とする燃料噴射ノズル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018145843A (ja) * 2017-03-03 2018-09-20 株式会社Ihi 燃料噴射弁
JP2021050742A (ja) * 2021-01-04 2021-04-01 株式会社Ihi 燃料噴射弁

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