JP5810959B2 - 燃料噴射ノズル - Google Patents

燃料噴射ノズル Download PDF

Info

Publication number
JP5810959B2
JP5810959B2 JP2012033697A JP2012033697A JP5810959B2 JP 5810959 B2 JP5810959 B2 JP 5810959B2 JP 2012033697 A JP2012033697 A JP 2012033697A JP 2012033697 A JP2012033697 A JP 2012033697A JP 5810959 B2 JP5810959 B2 JP 5810959B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nozzle
fuel
needle
fuel injection
valve
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012033697A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013170476A (ja
Inventor
勇二 斎藤
勇二 斎藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2012033697A priority Critical patent/JP5810959B2/ja
Publication of JP2013170476A publication Critical patent/JP2013170476A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5810959B2 publication Critical patent/JP5810959B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)

Description

本発明は、内燃機関(エンジン)の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射ノズルに関するものである。
[従来の技術]
従来より、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁として、軸線方向に往復移動するニードルと、このニードルをその軸線方向へ往復摺動可能に支持する摺動孔を有する有底筒状のノズルボデーとを備えた燃料噴射ノズルが公知である(例えば、特許文献1及び2参照)。
ここで、図4および図5は、周知の一般的な燃料噴射ノズルの主要部を示した図である。燃料噴射ノズルの開弁時には、ニードル101の弁部102とノズルボデー103のノズルシート面104との間にシート部下流隙間106が形成されている
ノズルボデー103の噴孔周辺部には、逆円錐状のノズルシート面104、サック室107および複数の噴孔108等が設けられている。
燃料噴射ノズルの閉弁時には、ピストンおよびスプリングから閉弁方向の軸力がニードル101に付与されている。
燃料噴射ノズルの開弁時にニードル101が上昇し始めて、燃料流路105からシート部下流隙間106を通ってサック室107内に高圧燃料が流れ込むと、ニードル101の弁部102に対して、ニードル101を開弁させる軸力(ノズル開弁力:F4)が働く。これにより、ニードル101が、ノズルボデー103のノズルシート面104より離脱して噴孔108を開放し、噴孔108から燃料が燃焼室内に噴射される。
燃料噴射ノズルの閉弁時には、燃料圧力とスプリング荷重によるニードル軸力(ノズル閉弁力:F1+F2)が働く。これにより、ニードル101の弁部102が、ノズルボデー103のノズルシート面104に着座して噴孔108を閉鎖する。よって、噴孔108からの燃料噴射が停止される。
このように、ノズルボデー103のノズルシート面104は、燃料噴射ノズルの閉弁時に、ニードル101の弁部102が着座することで、大きい衝撃荷重を繰り返し受けるので、硬度アップおよび耐摩耗性の向上が望まれる。
[従来の技術の不具合]
近年、ディーゼルエンジンの燃焼室内に高圧燃料を噴射する燃料噴射ノズルにおいて、環境改善や省エネ推進のため、排気ガス規制や燃費規制の要求が厳しくなって来ている。そのため、初期の噴射量精度の向上および燃料の噴射圧力の上昇が進んでいる。
この燃料の噴射圧力の高圧化に伴って燃料の噴射圧力の使用範囲がより拡大し、ノズル閉弁時における燃料圧力とスプリング荷重によるニードル軸力(ノズル閉弁力:F1+F2)が更に大きくなり、ノズルボデー103のノズルシート面104に過剰な力が加わり、ノズルシート面104の耐摩耗性が低下する可能性がある。
また、排気ガス等のエミッション性能の維持には、初期だけでなく長期間の安定的な性能が要求されて来ている。
しかし、高圧噴射化やエンジンの燃焼室内の燃焼温度上昇等で、燃料噴射ノズルの環境の変化が厳しくなり、作動を繰り返すことによって経年劣化(変化)による噴射性能変化が、上記の排気ガス規制や燃費規制を守るための課題になっている。
ところで、従来の燃料噴射ノズルにおいては、エンジンの燃焼室内に直接噴射可能なように、ノズルボデー103の噴孔周辺部が、燃焼室内に露出(突出)するように取り付けられているので、エンジンの燃焼熱に噴孔周辺部が直接晒され、エンジンの燃焼熱(被熱)の影響を受けてノズルボデー103の表面温度が過度に上昇し易い。
このとき、噴孔108を閉じるタイミングになると、ニードル101の弁部102がノズルボデー103のノズルシート面104に着座する時の衝撃荷重により、図5(c)に示したように、ノズルシート面104のシート部111の周辺がノズルボデー103の外側に凹み、ノズルシート面104よりも下流側のシート下流部112がノズルボデー103の内側へ盛り上がる態様の塑性変形が起こる。
そして、ノズルボデー103のノズルシート面104が塑性変形した状態で、図5(d)に示したように、燃料噴射ノズルが開弁すると、シート部下流隙間106が狭くなるため、ノズル開弁力(F4)がノズルシート面104の経年劣化が起きる前の初期状態よりも増大し、燃料噴射量が初期状態より増大するという問題が生じる。
特許第4140540号公報 特開2008−175102号公報
本発明は、ノズルボデーのノズルシートに、ニードルからシート部が荷重を受けた際に生じる塑性変形を許容する変形逃がし部を設けることで、ニードルのシート径下流側で微小隙間となる面積を縮小させ、ノズルシートの経年劣化が起きる前の初期状態とノズルシートの経年劣化後との間のノズル開弁力の変化を抑制して燃料噴射量の変化を低減することのできる燃料噴射ノズルを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明(燃料噴射ノズル)は、円錐形状の縮径部が形成された弁部を有し、軸線方向に往復移動可能なニードルと、燃料噴射を行う噴孔が形成されたサック部を有し、ニードルをその軸線方向に往復移動可能に支持するノズルボデーとを備えている。
ノズルボデーは、サック部よりも燃料流方向の上流側に位置し、ニードルの弁部が着座可能なノズルシートを有している。
ノズルシートは、ニードルの弁部の縮径部が当接可能なシート部、およびこのシート部よりも燃料流方向の下流側に位置し、ニードルからシート部が荷重を受けた際に生じる塑性変形による盛り上がり部を吸収する内容積の変形逃がし部を有している。
そして、縮径部は、閉弁時にノズルシートに密着するシール部と、このシール部よりも燃料流方向の下流側に位置し外径が徐々に縮径していく傾斜角度の異なる2つの円錐面とを有し、上流側の円錐面を第2円錐面、下流側の円錐面を第3円錐面と呼ぶとき、第2円錐面と第3円錐面との間に円環状の交差稜線が形成されており、変形逃がし部は、交差稜線よりも燃料流方向の上流側で第2円錐面と対峙している。
請求項1に記載の発明によれば、ノズルボデーのノズルシートに、ニードルからシート部が荷重を受けた際に生じる塑性変形を許容する変形逃がし部を設けることで、ニードルのシート径下流側で微小隙間となる面積を縮小させることができるので、ノズルシートの経年劣化が起きる前の初期状態とノズルシートの経年劣化後との間のノズル開弁力の変化を抑制することができる。したがって、噴孔から噴射される燃料の噴射量の変化を低減することが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、変形逃がし部は、ニードルの外面とノズルボデーの内面との間に環状空間を形成することで設けられる。
請求項3に記載の発明によれば、環状空間は、ノズルシートの内面をニードルの弁部側に対して反対側に凹ませることで設けられる。
請求項4に記載の発明によれば、燃料噴射ノズルは、ニードルの開弁時に、ニードルの弁部とノズルボデーのノズルシートとの間に形成される環状隙間を備えている。
環状空間は、環状隙間側に対して反対側に凹ませることで設けられる。
請求項5に記載の発明によれば、ニードルの弁部は、ノズルボデーのノズルシートに着座可能な円環状のシール部を有している。
請求項6に記載の発明によれば、ノズルボデーは、一端に向かって徐々に内径が縮径する円錐形状のシート面を有するノズルシートを備えている。
ニードルの弁部に設けられるシール部は、ノズルボデーのノズルシートに設けられるシート面に対して着座、離脱する。これにより、ノズルシートのシート面よりも燃料流方向の下流側に設けられる噴孔が閉鎖、開放される。そして、噴孔が開放されている間は、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)の気筒の燃焼室内に燃料が噴射される。
請求項7に記載の発明によれば、ニードルとノズルボデーとの間には、ノズルボデー内に供給された燃料をノズルボデーのノズルシートよりも燃料流方向の下流側へ導くための環状の燃料流路が形成されている。
請求項8に記載の発明によれば、ノズルボデーの噴孔の周辺部は、燃料流路と噴孔とを連通すると共に、燃料流路にて環状に流れる燃料を集合させて噴孔へ分配供給するサック室が形成される有底筒状のサック部を有している。
請求項9に記載の発明によれば、噴孔は、サック部の内外を連通するように貫通する複数の噴孔である。これらの噴孔は、サック部の周方向に所定の距離を隔てて形成されている。
請求項10に記載の発明によれば、ノズルボデーまたは噴孔の周辺部が、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)の燃焼室内に露出(突出)するように配置されている。
燃料噴射ノズルを備えたインジェクタを示した断面図である(実施例1)。 (a)は燃料噴射ノズルの主要部を示した断面図で、(b)はノズルボデーの噴孔周辺部を示した断面図で、(c)は(b)の拡大図である(実施例1)。 (a)、(b)は初期のニードルの開閉動作を示した説明図で、(c)、(d)は経年劣化後のニードルの開閉動作を示した説明図である(実施例1)。 (a)は燃料噴射ノズルの主要部を示した断面図で、(b)はノズルボデーの噴孔周辺部を示した断面図である(従来の技術)。 (a)、(b)は初期のニードル開閉動作を示した説明図で、(c)、(d)は経年劣化後のニードル開閉動作を示した説明図である(従来の技術)。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、ノズルボデーのノズルシートの経年劣化後におけるノズル開弁力の変化を抑え、燃料噴射量の変化を低減するという目的を、ノズルボデーのノズルシートに、ニードルからシート部が荷重を受けた際に生じる塑性変形を許容する変形逃がし部を設けて、ニードルのシート径下流側で微小隙間となる面積を縮小させることで実現した。
[実施例1の構成]
図1ないし図3は、本発明を適用した燃料噴射ノズルを備えたインジェクタ(実施例1)を示したものである。
本実施例の内燃機関の燃料噴射装置は、例えば自動車等の車両に搭載される多気筒ディーゼルエンジン等の内燃機関(以下エンジン)の各気筒の燃焼室内に高圧燃料を噴射供給するコモンレール式燃料噴射システム(蓄圧式燃料噴射装置)を備えている。
このコモンレール式燃料噴射システムは、燃料タンクから低圧燃料を汲み上げるフィードポンプを内蔵したサプライポンプと、このサプライポンプの燃料吐出口から高圧燃料が導入されるコモンレールと、このコモンレールの各燃料出口から高圧燃料が分配供給される複数のインジェクタとを備え、コモンレールの内部に蓄圧された高圧燃料を各インジェクタを介してエンジンの各気筒毎の燃焼室内に噴射供給するように構成されている。
サプライポンプは、フィードポンプから電磁弁を経て加圧室内に吸入した燃料を加圧して高圧化し、この高圧燃料をコモンレールへ圧送供給する燃料噴射ポンプ(高圧燃料ポンプ)である。サプライポンプの電磁弁は、フィードポンプから加圧室内への燃料の吸入量を調整することで、サプライポンプの燃料吐出口より吐出される燃料吐出量を制御する燃料調量弁である。
コモンレールの内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室内に噴射供給する燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧する蓄圧室が形成されている。
なお、サプライポンプまたはコモンレールは、高圧燃料を発生する高圧発生部を構成する。
ここで、本実施例のインジェクタは、燃料制御弁(燃料噴射弁)として使用されている。このインジェクタとしては、コモンレールの内部に蓄圧された高圧燃料を、直接燃焼室内に霧状に噴射供給する直接噴射タイプの内燃機関用燃料噴射弁(ディーゼルエンジン用のインジェクタ)が採用されている。
インジェクタは、エンジンへの燃料噴射を行う燃料噴射ノズルと、この燃料噴射ノズルのハウジングに締結固定される電磁弁とを一体化した電磁式燃料噴射弁である。
電磁弁は、エンジン制御ユニット(電子制御装置:ECU)から印加されるインジェクタ駆動電流によって電子制御されるように構成されている。これにより、インジェクタのノズル噴孔部から燃料噴射される燃料噴射量および噴射時期が制御される。
燃料噴射ノズルは、ニードルバルブ(ノズルニードル:以下ニードル)1の軸線方向の一端部に設けられる円錐面形状の弁部2がノズルボデー3の噴孔周辺部4の内面に形成される円錐面形状のノズルシート5に対して着座、離脱することで、サック室6に連通する複数の噴射孔(以下噴孔8)を閉鎖、開放する自動車部品(エンジン部品)である。このサック室6は、ノズルボデー3の軸線方向の一端側(先端側)に設けられるサック部(円頂部)7内に形成されている。このサック部7には、少なくとも1つ以上(複数)の噴孔8が貫通形成されている。
燃料噴射ノズルのハウジングは、一端側に燃料を噴射する複数の噴孔8が開口したノズルボデー3と、このノズルボデー3の軸線方向の他端部に連結されるインジェクタボデー9と、ノズルボデー3の結合面とインジェクタボデー9の結合面との間に円環状のチップパッキン10を挟み込んだ状態で、インジェクタボデー9とノズルボデー3とを中心軸線方向の締結軸力により結合一体化させるリテーニングナット11とによって構成されている。
ノズルボデー3は、エンジンの燃焼室内に露出してエンジンの燃焼熱に直接晒される円筒状の噴孔周辺部4を備えている。この噴孔周辺部4は、ニードル1の弁部2が着座可能な円錐面形状のノズルシート5、内部にサック室6を形成する円錐形状のサック部7、およびサック室6に連通する複数の噴孔8を備えている。
インジェクタボデー9の軸線方向の一端は、チップパッキン10を介して、ノズルボデー3の他端部に結合されている。また、インジェクタボデー9の軸線方向の他端には、ニードル1およびコマンドピストン12の背圧制御室である圧力制御室14が形成されている。
また、ノズルボデー3の軸線方向の中央部には、燃料溜り室15が形成されている。この燃料溜り室15に連通する燃料流路16は、ニードル1の弁部2と噴孔周辺部4のノズルシート5との間に形成される環状隙間(以下微小隙間17)を介して、サック室6に連通している。微小隙間17とは、燃料噴射ノズルの開弁時(ノズル開弁時)に、ニードル1の弁部2のシート径よりも燃料流方向の下流側に形成される燃料流路のことである。
燃料流路16は、ニードル1の外面とノズルボデー3の内面との間に形成されて、コモンレールから燃料溜り室15内に供給された高圧燃料をノズルシート5よりも燃料流方向の下流側の微小隙間17、サック室6および各噴孔8へ導くための円環状の燃料流路(クリアランス)である。
チップパッキン10は、コマンドピストン12やコイルスプリング13から軸方向荷重(閉弁方向の軸力)を受けるニードル1のフルリフト量を規定する規制部材である。
ここで、インジェクタは、燃料噴射ノズルのインジェクタボデー9と電磁弁のバルブボデー21との間にチップパッキン(オリフィスプレート)22を挟み込んだ状態で、インジェクタボデー9の円筒締結部(以下締結部)23の外周にリテーニングナット24を締結固定することで、燃料噴射ノズルと電磁弁とが締結一体化されている。
電磁弁は、オリフィスプレート22と、このオリフィスプレート22に対して着座、離脱することが可能なボールバルブ(電磁弁の弁体)25と、このボールバルブ25を開弁方向に駆動する電磁アクチュエータとによって構成されている。また、オリフィスプレート22には、通過する燃料の流量を調節するための入口側、出口側オリフィス26、27が形成されている。なお、出口側オリフィス27は、電磁弁の弁孔を構成している。
電磁アクチュエータは、インジェクタボデー9の圧力制御室14内の燃料圧力を増減させてニードル1の開閉動作(燃料噴射)を制御するニードルアクチュエータとして利用される。
電磁アクチュエータは、円筒状のバルブボデー21と、このバルブボデー21をその中心軸線方向に貫通する摺動孔内に摺動自在に支持される磁性体製のアーマチャ31と、通電されると周囲に磁束を発生するソレノイドコイル(以下コイル)32と、このコイル32の内周側および外周側に磁路を形成する磁性体製のステータコア33とを備えている。 ボールバルブ25およびアーマチャ31は、コイルスプリング34の付勢力によって、オリフィスプレート22のバルブシートに押し付けられている。
アーマチャ31は、ステータコア33の磁極面に所定のギャップを隔てて対向配置されている。
コイル32は、電力の供給を受けると(電流印加または通電されると)、アーマチャ31をステータコア33の磁極面側に引き寄せる磁力を発生する磁束発生手段(磁力発生手段)である。
コイル32の端末部は、一対の外部接続端子(ターミナル)35に接続されている。これらのターミナル35は、コイル32と外部回路(外部電源や外部制御回路:ECU)との接続を行うためのコネクタ端子である。
コイル32が通電されると、アーマチャ31およびステータコア33を磁束が集中して通る磁気回路が形成される。
コイル32は、アーマチャ31を吸引することで、アーマチャ31の先端収納孔に収納されているボールバルブ25をオリフィスプレート22のバルブシートより離脱させる。これにより、出口側オリフィス27を有する出口流路が開放される。
コイル32への通電が停止されると、コイルスプリング34の付勢力によって、アーマチャ31が移動してボールバルブ25がオリフィスプレート22のバルブシートに着座する。これにより、出口側オリフィス27を有する出口流路が閉鎖される。
ここで、複数のインジェクタの各電磁弁のコイル32への供給電流量は、インジェクタ駆動回路(EDU)を含んで構成されるECUによって制御されるように構成されている。このECUには、EDUの他にCPU、ROM、RAM等を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが内蔵されている。
また、マイクロコンピュータは、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、ROM、RAM等のメモリ内に格納された制御プログラムに基づいて、エンジンの各気筒毎の燃焼室内への燃料噴射圧力、各インジェクタの燃料噴射時期、各インジェクタからの燃料噴射量等を演算し、複数のインジェクタの各電磁弁のコイル32への供給電流量(所謂インジェクタ駆動電流)を電子制御する。
本実施例の燃料噴射ノズルは、エンジンの各気筒毎に対応してシリンダヘッドに搭載されている。また、燃料噴射ノズルは、その軸線方向の先端部である噴孔周辺部4が燃焼室内に露出するようにエンジンのシリンダヘッドに取り付けられている。
燃料噴射ノズルは、軸線方向に真っ直ぐに延びるニードル1、軸線方向に真っ直ぐに延びるコマンドピストン12、およびこのコマンドピストン12の周囲に螺旋状に巻装されるコイルスプリング13を内蔵するハウジングを備えている。
燃料噴射ノズルのハウジングは、ニードル1をその軸線方向に往復移動可能に収容する有底円筒状のノズルボデー3と、コモンレールより分岐するインジェクタ配管の燃料流方向の下流端に接続される円筒状のインジェクタボデー9とを備え、ノズルボデー3とインジェクタボデー9との間にチップパッキン10を挟み込んだ状態で、インジェクタボデー9の円筒締結部(以下締結部)の外周にリテーニングナット11を締結固定することで、インジェクタボデー9とノズルボデー3とが締結一体化されている。なお、インジェクタボデー9とノズルボデー3とは、燃料噴射ノズルのハウジングの軸線方向に2分割されている。
本実施例のニードル1は、クロムモリブデン鋼(SCM415)、炭素鋼(SC)またはクロム鋼(SCr)等の金属材料によって中実の丸棒形状に形成されている。なお、ニードル1は、高圧燃料の圧力に対して変形しない程度の硬度(剛性)を有している。
ニードル1は、その軸線方向に往復移動可能に設置され、且つノズルボデー3の中心軸線上に設置されている。そして、ニードル1は、ノズルシート5に対して着座、離脱して複数の噴孔8を閉鎖、開放する。
ニードル1には、円柱形状の頭部41、およびこの頭部41よりも外径が大きく、ノズルボデー3の摺動孔内に摺動自在に支持される円柱形状の大径軸部(以下摺動部)42が設けられている。なお、摺動部42の摺動面は、ノズルボデー3の摺動孔の孔壁面に対して摺動可能となっている。
また、ニードル1は、コマンドピストン12との間に、コイルスプリング13のスプリング荷重(ニードル1の閉弁方向の軸力)を受け止めるスプリング座を有するロッドプレッシャ43を装着している。
また、ニードル1には、軸線方向に延びる摺動部42と、この摺動部42よりも外径が小さい中径軸部44との間に小径軸部45が設けられている。そして、ニードル1には、摺動部42と小径軸部45との間に円錐台(円環)形状の受圧面46が設けられている。この受圧面46は、ニードル1のリフト開始時に、燃料溜り室15内の燃料圧力(開弁方向の燃料圧力:以下ノズル開弁力)を受ける第1燃料受圧部となる。
また、中径軸部44よりも先端側、つまりニードル1の軸線方向の一端部(先端部)には、中径軸部44よりも外径が小さい弁部2が設けられている。
なお、ニードル1の弁部2の詳細は、後述する。
本実施例のコマンドピストン12は、ニードル1やノズルボデー3と同じ金属材料によって丸棒形状に形成されている。なお、コマンドピストン12は、高圧燃料の圧力に対して変形しない程度の硬度(剛性)を有している。
コマンドピストン12は、インジェクタボデー9の中心軸線上に設置されており、ニードル1と同一軸線上に配設されている。このコマンドピストン12は、ニードル1に連動して中心軸線方向(図示上下方向)に往復移動する。
そして、コマンドピストン12には、インジェクタボデー9の摺動孔内に摺動自在に支持される円柱形状の大径軸部(以下摺動部)47、およびこの摺動部47よりも外径が小さい小径軸部48が設けられている。
なお、摺動部47の摺動面は、インジェクタボデー9の摺動孔の孔壁面に対して摺動可能となっている。また、小径軸部48の先端面(図示下端面)には、ロッドプレッシャ43を介して、ニードル1の頭部41の図示上端面と当接する円形状の当接面が設けられている。
また、コマンドピストン12には、摺動部47の端面に円形状の受圧面49が設けられている。この受圧面49は、ニードル1のフルリフト時に、圧力制御室14内の燃料圧力を受ける第2燃料受圧部となる。
本実施例のノズルボデー3は、ニードル1と同様に、クロムモリブデン鋼(SCM415)、炭素鋼(SC)またはクロム鋼(SCr)等の金属材料によって中空の有底円筒形状に形成されている。なお、ノズルボデー3は、高圧燃料の圧力に対して変形しない程度の硬度(剛性)を有している。
ノズルボデー3の軸線方向の一端側(先端側)には、内部に円錐形状空間を形成する逆円錐形状の噴孔周辺部4が設けられている。この噴孔周辺部4は、ノズルボデー3の軸線方向の一端側、つまりエンジンの各気筒毎の燃焼室内に露出(突出)するように配置されるノズル噴孔部である。
噴孔周辺部4の内面には、ニードル1の弁部2が着座可能な円錐面形状のノズルシート5が設けられている。このノズルシート5は、ニードル1が着座することでニードル1の全閉位置を規定している。
また、ノズルシート5よりも燃料流方向の下流側には、有底円筒状のサック部7が設けられている。サック部7の内部には、サックボリュームであるサック室6が形成されている。このサック室6は、燃料流路16と複数の噴孔8とを連通すると共に、燃料流路16にて環状に流れる燃料を集合させて複数の噴孔8へ分配供給する分配室である。
サック部7には、所定の曲率半径を有する凹曲面状の底部が設けられている。また、サック部7には、その内壁面から外壁面までを、ノズルボデー3の軸線方向に対して斜めに貫通する複数の噴孔8が形成されている。
複数の噴孔8は、サック部7の内壁面で開口した噴孔入口、サック部7の外壁面で開口した噴孔出口、および噴孔入口と噴孔出口とを連通する噴孔流路を有している。また、複数の噴孔8は、エンジンの各気筒毎の燃焼室内に燃料噴霧が効率良く行き渡るように、サック部7の円周方向に所定の間隔で複数個形成されている。
そして、ノズルボデー3の中心軸線上には、チップパッキン10を介して、インジェクタボデー9の密着面に液密的に密着する結合面(密着面)からサック部7や噴孔8側へと真っ直ぐに延びるノズル孔(軸方向孔)が設けられている。このノズル孔の内部には、ロッドプレッシャ43を介して、コマンドピストン12と当接するように配設されたニードル1がその軸線方向に往復移動可能に収容されている。
ノズル孔の図示上端側、つまりノズルボデー3の円筒部(ニードルガイド、径大部)51の内部には、単純な丸穴形状の摺動孔52が形成されている。また、ノズル孔の中間部分には、摺動孔52よりも孔径が拡げられた燃料溜り室15が設けられている。この燃料溜り室15は、インジェクタボデー9から内部に導入される燃料の油圧力が、ニードル1の開弁方向に作用する第1圧力室(油溜り室、第1燃料室)としての機能を有している。 ノズルボデー3は、ニードル1の中径軸部44との間に、燃料溜り室15に連通する燃料流路16を形成する円筒部(径小部)53を有している。また、ノズルボデー3は、サック部7と円筒部53との間に円錐台部54を有している。円筒部53の下端側および円錐台部54は、ノズルボデー3の噴孔周辺部4に含まれる。
なお、ノズルボデー3、特にノズルシート5の詳細は、後述する。
インジェクタボデー9およびチップパッキン10は、ニードル1やノズルボデー3と同じ金属材料によって円筒形状および円環形状に形成されている。なお、インジェクタボデー9およびチップパッキン10は、高圧燃料の圧力に対して変形しない程度の硬度(剛性)を有している。
そして、インジェクタボデー9は、内部にコマンドピストン12が嵌挿される円筒状のシリンダ55を有している。このシリンダ55の中心軸線上には、オリフィスプレート22の密着面に液密的に密着する結合面(密着面)からノズルボデー側へと真っ直ぐに延びるシリンダ孔(軸方向孔)が設けられている。このシリンダ孔の内部には、コマンドピストン12がその軸線方向に往復移動可能に収容されている。
シリンダ55およびシリンダ孔の図示上方側には、単純な丸穴形状の摺動孔56が形成されている。また、シリンダ55およびシリンダ孔の図示下方側には、シリンダ孔の中間部分よりも孔径が大きい単純な丸穴形状のスプリング収容室57が形成されている。このスプリング収容室57の内部には、コイルスプリング13が収容されている。
コイルスプリング13は、ニードル1の弁部2をノズルボデー3のノズルシート5に押し付ける方向(閉弁方向)に付勢する付勢力(閉弁方向の軸力)を発生するニードル付勢手段である。
シリンダ孔の図示上端には、圧力制御室14が設けられている。この圧力制御室14は、内部に導入される燃料の油圧力が、ニードル1の閉弁方向に作用する第2圧力室(背圧制御室、第2燃料室)としての機能を有している。
そして、ノズルボデー3、インジェクタボデー9およびチップパッキン10の内部には、インジェクタ配管に接続される配管ジョイント59の燃料導入流路61から高圧燃料が導入される燃料流路62〜66が形成されている。
これらの燃料流路62〜66は、インジェクタの各部(インジェクタの内部に設けられる圧力制御室14、燃料溜り室15、燃料流路16、微小隙間17、サック室6、複数の噴孔8、入口側、出口側オリフィス26、27等)に高圧燃料を導入(供給)するための高圧燃料通路である。
圧力制御室14は、オリフィスプレート22に形成された入口側オリフィス26を介して燃料流路63に連通している。また、圧力制御室14は、オリフィスプレート22の中央部に形成された出口側オリフィス27を介してバルブボデー21に形成された燃料排出流路71に連通している。この燃料排出流路71は、インジェクタボデー9のシリンダ55のシリンダ孔の側方に形成された燃料排出流路72に連通している。
燃料溜り室15は、燃料流路66に連通している。また、燃料溜り室15は、ニードル1の中径軸部44の外周とノズルボデー3の軸方向孔の孔壁面との間に形成される燃料流路16に連通している。
また、インジェクタボデー9の内部には、インジェクタボデー9のシリンダ孔、ノズルボデー3のノズル孔、チップパッキン10の軸方向孔から溢流または排出された余剰燃料、あるいは燃料排出流路71、72から排出された余剰燃料を回収する燃料回収通路73が形成されている。
燃料回収通路73内に流入した余剰燃料は、燃料戻し配管を経て燃料タンクに戻される。
次に、本実施例のニードル1の弁部2の詳細を図1ないし図3に基づいて説明する。
ニードル1は、上記の各部が鍛造加工や機械加工(切削加工、研削加工)等により設けられている。また、ニードル1は、機械加工が成されたニードル部品形状の鍛造成形体に対して、ニードル1の耐摩耗性の向上、およびニードル1の表面硬化のための熱処理(浸炭焼入れ処理および焼戻し処理等)が施されている。
ニードル1は、その軸線方向の一端側(先端側、噴孔側端部)に、ノズルボデー3のノズルシート5に対して着座、離脱して複数の噴孔8を閉鎖、開放する弁部2を備えている。この弁部2には、ニードル1の中径軸部44よりも外径が小さい円柱形状のベース部75、およびこのベース部75のエッジライン76から先端へ向かって外径が徐々に減少する概略2段または3段の円錐形状の縮径部77が一体的に形成されている。
縮径部77は、一端に向かって徐々に外径が縮径する円錐台形状の第1円錐面81、一端に向かって徐々に外径が縮径すると共に、第1円錐面81よりも傾斜(テーパ)角度が急な円錐台形状の第2円錐面82、および一端に向かって徐々に外径が縮径すると共に、第2円錐面82よりも傾斜(テーパ)角度が急な円錐形状の第3円錐面83を有している。
なお、第1円錐面81と第2円錐面82との間には、円環状の交差稜線(シートライン)が形成されている。このシートラインは、ノズルボデー3のノズルシート5に液密的に密着する所定のシート径を有するシール部84としての機能を有している。
また、第2円錐面82と第3円錐面83との間には、円環状の交差稜線(エッジライン)85が形成されている。
また、第3円錐面83は、ニードル1のリフト開始時に、サック室6内および微小隙間17内の燃料圧力(開弁方向の燃料圧力:以下ノズル開弁力)を受ける第3燃料受圧部となる。
次に、本実施例のノズルボデー3のノズルシート5の詳細を図1ないし図3に基づいて説明する。
ノズルボデー3は、ニードル1と同様に、上記の各部が鍛造加工や機械加工(切削加工、研削加工)等により設けられている。また、ノズルボデー3は、機械加工が成されたノズルボデー部品形状の鍛造成形体に対して、ノズルボデー3の耐摩耗性の向上、およびノズルボデー3の表面硬化のための熱処理(浸炭焼入れ処理および焼戻し処理等)が施されている。
ノズルボデー3は、エンジンにより被熱(ノズル被熱)を受けて、つまり非常に高い温度(例えば250℃〜300℃程度:ノズル被熱)に晒されて表面温度が上昇する噴孔周辺部4を備えている。この噴孔周辺部4は、燃料噴射ノズルの閉弁時(ノズル閉弁時)に、ニードル1の弁部2が着座可能なノズルシート5を備えている。このノズルシート5は、一端に向かって徐々に内径が縮径する円錐台形状のノズルシート面となっている。
ノズルシート5は、ノズル閉弁時にシール部84が当接可能な円環状のシート部94、およびニードル1の弁部2からシート部94が軸方向荷重(ニードル軸力)を受けた際(ノズル閉弁時)に生じる塑性変形(盛り上がる態様の塑性変形)を許容する円環状の変形逃がし凹部95を有している。
変形逃がし凹部95の内面(底面を含む)は、所定の中心点を中心とする所定の曲率半径を有する凹曲面である。また、変形逃がし凹部95の内面形状は、平面と曲面との組み合わせや、平面のみでも構わない。
なお、変形逃がし凹部95の内面(凹曲面)とノズルシート5の内面(ノズルシート面)との間には、円環状の交差稜線(シートライン)96が形成されている。また、変形逃がし凹部95の内面(凹曲面)とノズルボデー3の内面(円錐台面)との間には、円環状の交差稜線(シートライン)97が形成されている。また、ノズルボデー3の内面(円錐台面)とサック部7の内面(凹曲面)の間には、円環状の交差稜線(シートライン)98が形成されている。
変形逃がし凹部95は、例えばノズルシート5の内面(ノズルシート面)で開口し、この開口部からノズルシート面に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して底部(外側)まで延びる円環状の円周方向凹溝であり、ニードル1の弁部2の第2円錐面82とノズルボデー3の内面(変形逃がし凹部95の底面)との間に円環状の環状空間99を形成する。
環状空間99は、ノズルシート面をニードル1の弁部2側に対して反対側に凹ませることで設けられる。また、環状空間99は、ニードル1のシール部84のシート径下流側の微小隙間17側に対して反対側に凹ませることで設けられる。
変形逃がし凹部95の内容積、つまり環状空間99の容積は、ノズルシート5の経年劣化後にノズルシート5の内面に塑性変形により形成される凹み部Aと盛り上がり部Bの容積を考慮して設定されている(図3参照)。なお、少なくとも盛り上がり部Bの容積を考慮して変形逃がし凹部95の内容積(溝深さ、溝幅)を決定すると良い。
[実施例1の作用]
次に、本実施例のインジェクタの作用を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。
コモンレールからインジェクタに供給される高圧燃料は、インジェクタの燃料導入流路61に到達する。燃料導入流路61に到達した燃料は、各燃料流路62〜66を通って、インジェクタの各部(入口側オリフィス26、圧力制御室14、出口側オリフィス27、燃料溜り室15、燃料流路16等)に導入(供給)される。
これによって、ニードル1は、コマンドピストン12を介して、圧力制御室14内の燃料圧力によって押し下げる方向(ニードル1の閉弁方向)の力(軸力)を受けると共に、燃料溜り室15内の燃料圧力によって押し上げる方向(ニードル1の開弁方向)の力(軸力)を受けることになる。
ここで、ECUにより電磁弁のコイル32への通電が成されず、電磁弁のボールバルブ25がオリフィスプレート22のバルブシートに着座して出口側オリフィス27を塞いでいる場合には、圧力制御室14および燃料溜り室15の内部が高圧燃料で満たされている。したがって、ニードル1の受圧面46にて燃料溜り室15内の燃料圧力を受ける受圧面積よりも、コマンドピストン12の受圧面49にて圧力制御室14内の燃料圧力を受ける受圧面積の方が大きく、しかもコイルスプリング13によってニードル1に対して、ニードル1の弁部2を閉弁方向(噴孔8を閉じる側、ノズルシート5に押し付ける側)に付勢する付勢力(軸力)が加わる。
すなわち、ニードル1には、コマンドピストン12を介して伝達される圧力制御室14内の燃料圧力による閉弁方向の軸力(ノズル閉弁力:F1)と、コイルスプリング13のスプリング荷重による閉弁方向の軸力(ノズル閉弁力:F2)と、燃料溜り室15内の燃料圧力による開弁方向の軸力(ノズル開弁力:F3)とが働いており、F1+F2>F3が成立している。このため、ECUにより電磁弁のコイル32への通電が成されず、電磁弁のボールバルブ25が閉弁している場合には、全体として図1において図示下向きの力が勝ることになる。
その結果、電磁弁の閉弁時には、ニードル1の弁部2がノズルボデー3の噴孔周辺部4のノズルシート5に着座して各噴孔8を塞いでいる。
したがって、当該インジェクタは、ニードル1が閉弁した閉弁(全閉)状態となり、エンジンの燃焼室内への燃料噴射が成されない。
一方、ECUにより電磁弁のコイル32への通電が成されると、コイル32およびステータコア33に磁気吸引力が発生してステータコア33の磁極面側にアーマチャ31が吸引される。
これにより、ボールバルブ25がオリフィスプレート22から離脱して、オリフィスプレート22の出口側オリフィス27が開放される。したがって、圧力制御室14の内部に充満していた燃料は、圧力制御室14から出口側オリフィス27→燃料排出流路71→燃料排出流路72→燃料回収通路73を経て燃料タンクに戻される。
以上の電磁弁自身の開弁動作に伴って、圧力制御室14内の燃料圧力(ノズル閉弁力:F1)が急激に低下し、F1+F2<F3が成立すると、燃料溜り室15内の燃料圧力(ノズル開弁力:F3)によってニードル1およびコマンドピストン12が上昇する(リフトを開始する)。これにより、燃料溜り室15および燃料流路16内に貯留されていた高圧燃料が、ニードル1の弁部2とノズルボデー3のノズルシート5との間に形成される微小隙間17に流れ込み、微小隙間17内の燃料圧力によってニードル1を押し上げる方向(開弁方向)の力(ノズル開弁力:F4)が更に加わり、ニードル1の弁部2がノズルボデー3のノズルシート5より急速に離れる(離脱、離間する)。その結果、ニードル1が開弁した開弁(全開)状態となり、燃料溜り室15および燃料流路16内の高圧燃料が、微小隙間17、サック室6を通って各噴孔8から噴射される。
したがって、当該インジェクタは、エンジンの燃焼室内への燃料の噴射を開始する。
噴射タイミングから指令噴射期間が経過すると、電磁弁のコイル32への通電が停止される。すると、コイルスプリング34の付勢力(スプリング荷重)によってアーマチャ31が閉弁方向へ移動し、ボールバルブ25がオリフィスプレート22のバルブシートに押し付けられる。そして、電磁弁が閉弁すると、圧力制御室14内の燃料圧力(ノズル閉弁力:F1)が急激に上昇し、F1+F2>F3が成立するため、ニードル1およびコマンドピストン12が閉弁方向に移動する。その結果、当該インジェクタは、ニードル1の弁部2がノズルボデー3のノズルシート5に着座するため、複数の噴孔8が閉塞される。すなわち、ニードル1が閉弁した閉弁(全閉)状態に戻ることになる。よって、エンジンの燃焼室内への燃料噴射が終了する。
[実施例1の特徴]
本実施例の燃料噴射ノズルの特徴を図1ないし図3に基づいて説明する。
上記の構造を有する燃料噴射ノズルを備えたインジェクタをエンジンのシリンダヘッドに取り付けて使用した場合、ノズルシート5の経年劣化が起きる前の初期状態における、燃料噴射ノズルの閉弁時(ノズル閉弁時)には、図3(a)に示したように、燃料圧力とスプリング荷重によるニードル軸力(F1+F2)によってニードル1の軸線方向の一端部に設けられる弁部2がノズルボデー3の噴孔周辺部4に形成されるノズルシート5の内面(円錐面形状のノズルシート面)に着座することで、複数の噴孔8からの燃料噴射が成されない。
一方、初期状態における、燃料噴射ノズルの開弁時(ノズル開弁時)には、図3(b)に示したように、燃料圧力によるノズル開弁力(F3+F4)によってニードル1の弁部2がノズルボデー3のノズルシート5の内面より離脱することで、複数の噴孔8からエンジンの各気筒の燃焼室内への燃料噴射が行われる。
そして、ノズルシート5の経年劣化後において、ノズルボデー3の噴孔周辺部4およびノズルシート5がエンジンの燃焼室により非常に高い温度に晒されているとき、つまりエンジンにより被熱(ノズル被熱)を受けているときに、燃料圧力によるニードル軸力(F1+F2)が発生してニードル1の弁部2がノズルシート5に着座して大きい衝撃荷重を受けると、ノズルシート5のシート部94よりも下流側に設けられた変形逃がし凹部95の底面が盛り上がると共に、ノズルシート5のシート部94近傍が凹む態様の塑性変形が起こるが、ノズル開弁時にシート部下流隙間(ニードル1の弁部2のシート径下流側に形成される微小隙間17)が従来の燃料噴射ノズルと比較して広くなる。
ここで、従来の燃料噴射ノズルにおいては、ノズル開弁時にシート部下流隙間106のサイズ(隙間寸法)が、ノズルシート面104の経年劣化が起きる前の初期状態(図5(b)参照)と、ノズルシート面104の経年劣化後(図5(d)参照)との間で大きく変化する。つまりシート部下流隙間106が非常に狭くなる。
このような従来の燃料噴射ノズルに対して、本実施例の燃料噴射ノズルにおいては、ノズルシート5のシート部94よりも下流側(サック室6よりも上流側)に変形逃がし凹部95を設けたことで、シート部94の下流側が盛り上がる態様の塑性変形分を軽減させたことによって上記性能が得られた。なお、塑性変形により形成される盛り上がり部Bの頂部(最小内径部)がノズルシート面の延長線上よりもニードル1の弁部2側に突き出さないように変形逃がし凹部95の容積が考慮されている。
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例の燃料噴射ノズルにおいては、ノズルボデー3のノズルシート5の内面に、ニードル1からシート部94がニードル軸力を受けた際に生じる盛り上がる態様の塑性変形を許容する変形逃がし部95を設けることにより、ニードル1の弁部2のシート径下流側で微小隙間17となる面積を縮小させることができる。これにより、ノズルシート5の経年劣化が起きる前の初期状態とノズルシート5の経年劣化後との間のノズル開弁力(F4)の変化を抑制することができる。
したがって、複数の噴孔8からエンジンの各気筒の燃焼室内へ噴射される燃料噴射量の変化を低減することができる。
[変形例]
本実施例では、本発明を備えた燃料噴射弁として、コモンレールの内部に蓄圧した高圧燃料を、エンジンの気筒内に噴射供給するインジェクタ(燃料噴射ノズルと電磁弁を一体化した燃料噴射弁)に適用した例を説明したが、本発明を備えた燃料噴射弁として、列型燃料噴射ポンプや分配型燃料噴射ポンプ等の燃料噴射ポンプから燃料溜り室の内部に直接燃料が圧送され、燃料溜り室内の燃料圧力(ノズル開弁力)がスプリング(バネ)の付勢力(閉弁方向の軸力:ノズル閉弁力)よりも上回るとニードルが開弁して、エンジンの気筒内に燃料を噴射供給する燃料噴射装置に使用される燃料噴射ノズルに適用しても良い。
本実施例では、燃料を噴射する噴孔を開閉するニードル1をその軸線方向に開閉動作させるアクチュエータとして、コイル、ステータおよびアーマチャ等により構成される電磁アクチュエータによって構成しているが、ニードル1をその軸線方向に開閉動作させるアクチュエータとして、ピエゾスタックの伸縮に伴う変位を加圧ピストンに伝達し、この加圧ピストンの往復変位に伴って圧力制御室内の燃料圧力を増減させてニードル1の開閉動作(燃料噴射)を制御するピエゾアクチュエータによって構成しても良い。
また、ニードル1をその軸線方向に開閉動作させるアクチュエータを、モータ、減速機構、変換機構を備えた電動アクチュエータによって構成しても良い。
本実施例では、本発明のノズルボデー3の軸線方向の一端側(先端側)に形成される噴孔8を、サック室6と外部(燃焼室)とを区画するサック部7の内面で開口するように設けているが、本発明のノズルボデー3の先端側に形成される噴孔8を、ノズルシート5の内面(ノズルシート面)で開口するように設けても良い。
また、ノズルボデー3の軸線方向の先端側からサック室6およびサック部7を廃止しても良い。また、ノズルボデー3の軸線方向の一端側(先端側)に、ノズルボデー3の軸線方向の先端壁部(円頂部)を貫通する噴孔を設けても良い。
また、本発明の燃料噴射ノズルを備えた燃料噴射弁を、例えばガソリンエンジン等の内燃機関の気筒内に燃料を直接噴射するフューエルインジェクタに適用しても良い。
1 ニードル
2 ニードルの弁部
3 ノズルボデー
4 ノズルボデーの噴孔周辺部
5 ノズルシート(ノズルシート面)
8 ノズルボデーの噴孔
17 ニードルのシート径下流側の微小隙間(環状隙間)
94 ノズルシートのシート部
95 ノズルシートの変形逃がし凹部
99 環状空間

Claims (10)

  1. 円錐形状の縮径部(77)が形成された弁部(2)を有し、軸線方向に往復移動可能なニードル(1)と、
    燃料噴射を行う噴孔(8)が形成されたサック部(7)を有し、前記ニードル(1)をその軸線方向に往復移動可能に支持するノズルボデー(3)と
    を備えた燃料噴射ノズルにおいて、
    前記ノズルボデー(3)は、前記サック部(7)よりも燃料流方向の上流側に位置し、前記ニードル(1)の弁部(2)が着座可能なノズルシート(5)を有し、
    前記ノズルシート(5)は、前記弁部(2)の縮径部(77)が当接可能なシート部(94)、およびこのシート部(94)よりも燃料流方向の下流側に位置し、前記ニードル(1)から前記シート部(94)が荷重を受けた際に生じる塑性変形による盛り上がり部(B)を吸収する内容積の変形逃がし部(95)を有しており、
    前記縮径部(77)は、閉弁時に前記ノズルシート(5)に密着するシール部(84)と、このシール部(84)よりも燃料流方向の下流側に位置し外径が徐々に縮径していく傾斜角度の異なる2つの円錐面(82、83)とを有し、上流側の前記円錐面を第2円錐面(82)、下流側の前記円錐面を第3円錐面(83)と呼ぶとき、前記第2円錐面(82)と前記第3円錐面(83)との間に円環状の交差稜線(85)が形成されており、
    前記変形逃がし部(95)は、前記交差稜線(85)よりも燃料流方向の上流側で前記第2円錐面(82)と対峙していることを特徴とする燃料噴射ノズル。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射ノズルにおいて、
    前記変形逃がし部(95)は、前記ニードル(1)の外面と前記ノズルボデー(3)の内面との間に環状空間(99)を形成することで設けられることを特徴とする燃料噴射ノズル。
  3. 請求項2に記載の燃料噴射ノズルにおいて、
    前記環状空間(99)は、前記ノズルシート(5)の内面を前記ニードル(1)の弁部(2)側に対して反対側に凹ませることで設けられることを特徴とする燃料噴射ノズル。
  4. 請求項2または請求項3に記載の燃料噴射ノズルにおいて、
    前記ニードル(1)の開弁時に、前記弁部(2)と前記ノズルシート(5)との間に形成される環状隙間(17)を備え、
    前記環状空間(99)は、前記環状隙間(17)側に対して反対側に凹ませることで設けられることを特徴とする燃料噴射ノズル。
  5. 請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射ノズルにおいて、
    前記弁部(2)は、前記シール部(84)として、前記ノズルシート(5)に着座可能な円環状のシール部(84)を有していることを特徴とする燃料噴射ノズル。
  6. 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射ノズルにおいて、
    前記ノズルシート(5)は、一端に向かって徐々に内径が縮径する円錐形状のシート面を有していることを特徴とする燃料噴射ノズル。
  7. 請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射ノズルにおいて、
    前記ノズルボデー(3)は、前記ニードル(1)との間に、前記ノズルボデー(3)内に供給された燃料を前記ノズルシート(5)よりも燃料流方向の下流側へ導くための環状の燃料流路(16)を有していることを特徴とする燃料噴射ノズル。
  8. 請求項7に記載の燃料噴射ノズルにおいて、
    前記噴孔(8)の周辺部(4)は、前記燃料流路(16)と前記噴孔(8)とを連通すると共に、前記サック部(7)として、前記燃料流路(16)にて環状に流れる燃料を集合させて前記噴孔(8)へ分配供給するサック室(6)が形成される有底筒状のサック部(7)を有していることを特徴とする燃料噴射ノズル。
  9. 請求項8に記載の燃料噴射ノズルにおいて、
    前記噴孔(8)は、前記サック部(7)の内外を連通するように貫通する複数の噴孔(8)であって、
    前記複数の噴孔(8)は、前記サック部(7)の周方向に所定の距離を隔てて形成されていることを特徴とする燃料噴射ノズル。
  10. 請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射ノズルにおいて、
    前記ノズルボデー(3)または前記噴孔(8)の周辺部(4)は、内燃機関の燃焼室内に露出するように配置されていることを特徴とする燃料噴射ノズル。
JP2012033697A 2012-02-20 2012-02-20 燃料噴射ノズル Active JP5810959B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012033697A JP5810959B2 (ja) 2012-02-20 2012-02-20 燃料噴射ノズル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012033697A JP5810959B2 (ja) 2012-02-20 2012-02-20 燃料噴射ノズル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013170476A JP2013170476A (ja) 2013-09-02
JP5810959B2 true JP5810959B2 (ja) 2015-11-11

Family

ID=49264589

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012033697A Active JP5810959B2 (ja) 2012-02-20 2012-02-20 燃料噴射ノズル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5810959B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6329867B2 (ja) * 2014-09-17 2018-05-23 株式会社Soken 燃料噴射ノズル

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2841768B2 (ja) * 1990-07-23 1998-12-24 日産自動車株式会社 ディーゼル機関用燃料噴射ノズル
DE19547423B4 (de) * 1995-12-19 2008-09-18 Robert Bosch Gmbh Kraftstoffeinspritzventil für Brennkraftmaschinen
JP2001107826A (ja) * 1999-10-12 2001-04-17 Toyota Motor Corp 筒内噴射式内燃機関の燃料噴射ノズル
JP2007224746A (ja) * 2006-02-21 2007-09-06 Isuzu Motors Ltd インジェクタノズル

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013170476A (ja) 2013-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107709749B (zh) 流量控制阀和高压燃料供给泵
US8100110B2 (en) Fuel injector with selectable intensification
JP4591555B2 (ja) 燃料噴射ノズルおよびそれを用いた燃料噴射制御装置
KR20140032417A (ko) 내연기관용 분사 밸브
CN109072845B (zh) 高压燃料供给泵
CN106014722A (zh) 一种电控燃油泵
JP5810959B2 (ja) 燃料噴射ノズル
JP2013170475A (ja) 燃料噴射ノズルの製造方法
US20070199544A1 (en) Fuel injector having recessed check top
WO2008150387A1 (en) Fuel injector having a flow passage insert
US20160230728A1 (en) Plunger And Fluid-Line System
US20190277236A1 (en) Fuel injection valve and fuel injection system
JP2007205263A (ja) 燃料噴射装置用電磁式アクチュエータ
US6527199B1 (en) Fuel injection valve for an internal combustion engine
JP4229059B2 (ja) 内燃機関用燃料噴射装置
JP2008163772A (ja) 燃料制御弁
JP6588161B2 (ja) 高圧燃料供給ポンプ
JP2017141725A (ja) 高圧燃料供給ポンプ
JP4297041B2 (ja) 燃料噴射ノズル
JP2008175102A (ja) 燃料噴射ノズル
JP2010090738A (ja) 蓄圧式燃料噴射装置の燃料噴射弁
JP2007126975A (ja) 燃料ポンプの設計方法及びその設計方法により作製された燃料ポンプ
JP7109145B2 (ja) 燃料噴射制御方法及び燃料噴射制御装置
JP6952191B2 (ja) 燃料ポンプ
JP2020125707A (ja) ノズル及び燃料噴射弁

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140620

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150324

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150520

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150818

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150831

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5810959

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250