JP4442252B2 - 無細胞タンパク質合成装置 - Google Patents
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Description
また、合成後のタンパク質の精製は高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて行なわれている。
これらの検定、測定及び精製はいずれも用手法で行なわれている。
また、合成後のタンパク質の定量測定や定性測定、精製も煩雑で時間を要する作業である。
本発明はこのような煩雑で時間を要する作業を含む無細胞タンパク質合成反応を自動化できる装置を提供することを目的とするものである。
「及び/又は」の表現は、「及び」である場合と「又は」である場合の両方があることを示している。
タンパク質はオリゴペプチド及びポリペプチドを含んだ意味で使用している。
本発明は、反応容器へサンプルDNAを含む鋳型溶液を分注し、それに転写試薬を分注してmRNAを生成させ、それにタンパク質合成試薬を分注し数時間インキュベーションしてタンパク質を合成させる態様と、別に用意したmRNAを含む鋳型溶液を反応容器へ分注し、それにタンパク質合成試薬を分注し数時間インキュベーションしてタンパク質を合成させる態様の両方を含んでいる。そのため、鋳型溶液はサンプルDNAを含む溶液である場合と、mRNAを含む溶液である場合の両方を含んでいる。したがって、前記試薬は転写試薬とタンパク質合成試薬の両方を含む意味で使用している。
タンパク質合成試薬は既知のものを使用することができ、例えば胚芽、大腸菌、家兎網状赤血球などの細胞抽出物を含んだ溶液を使用することができる。好ましくは、小麦、大麦、イネ、コーンもしくはほうれん草の胚芽又は大腸菌を含んだ溶液を挙げることができる。
これらの鋳型溶液及び試薬から既知の方法により水性緩衝溶液中にリボソーム、mRNA及び基質を少なくとも含んでタンパク質を合成する無細胞タンパク質合成系を調整することができる。
タンパク質の定量は、例えば測定使用とするタンパク質を蛍光色素で標識し、電気泳動分離されたタンパク質の蛍光強度に基づいて行なうことができる。
タンパク質の定性は、例えば測定使用とするタンパク質に分子量が既知のタンパク質をキャリブレータとして添加することにより行なうことができる。
前記品質検定部の他の例は、キャピラリー電気泳動装置を備えているものである。
前記品質検定部のさらに他の例は、分光光度計を備えているものである。
前記タンパク質測定部の一例は、マイクロチップ電気泳動装置を備えているものである。
前記タンパク質精製部の一例は、カラムを用いた分離装置を備えているものである。
前記タンパク質精製部の他の例は、ゲルろ過装置を備えているものである。
前記タンパク質精製部のさらに他の例は、マイクロチップ電気泳動を備えているものである。
タンパク質の精製を行なうタンパク質精製部を備えた局面では、合成後のタンパク質の精製も自動化できるようになる。
このように、本発明ではタンパク質合成の自動化だけでなく、DNAサンプルの検定など、上に示した1つ又は2つ以上の煩雑な作業から開放され、用手法によるばらつきやミスがなくなり、処理時間も短縮される。
図1は、無細胞タンパク質合成系の反応装置、分注部、DNAの品質を検定する品質検定部、及びそれらの動作を制御する制御部を備えた本発明の第1の局面の無細胞タンパク質合成装置の一実施例を表わすものであり、タンパク質の合成だけでなく、転写工程前のDNAの検定も自動的に制御して行なうようにしたものである。
反応容器10は、例えば使い捨て可能なマイクロタイタプレートであり、複数の凹部を備え、各凹部がそれぞれ個別の反応容器として作用する。
制御部34aにより分注部20がサンプル設置部4からサンプルDNAを分取し、品質検定部12の分注口16に分注すると、品質検定部12ではサンプルDNAがミクロセルに送られて紫外線領域の吸光度が測定され、規定範囲にあるかどうかが判定される。そのサンプルDNAの吸光度が規定範囲になければエラーメッセージが出され、次の工程へ進むかどうかを聞いてくる。
ここでは、品質検定部12はサンプルDNAの品質検定のみをおこなっているが、サンプルDNAから転写されたmRNAの品質検定も行なうようにしてもよい。RNAもDNAと同様の基準により品質を検定することができる。
また、サンプルDNAの品質検定を省略し、転写されたmRNAの品質検定を行なうようにしてもよい。
図2の実施例において、反応装置2及び分注部20は図1の実施例と同じである。
品質検定部40のマイクロチップ電気泳動装置は、サンプルDNAの検定だけでなく、転写後のmRNAの検定も行なうことができることは図1の実施例と同様であるが、マイクロチップ電気泳動装置は合成後のタンパク質の定量測定装置又は定性測定装置としても利用することができる。したがって、図2の実施例は本発明の第1の局面を実現するように実施できるとともに、第2の局面を実現するように実施することもできるものである。
マイクロチップ50の分離流路55で電気泳動分離された試料成分を検出するために蛍光測定部(図示略)が設けられている。蛍光測定部は、分離流路55の一部に励起光を照射するLED(発光ダイオード)と、分離流路55を移動する試料成分がそのLEDからの励起光により励起されて発生した蛍光を受光する光ファイバと、その光ファイバからの蛍光から励起光成分を除去し、蛍光成分のみを透過させるフィルタを介して蛍光を受光する光電子増倍管とを備えている。なお、励起光の光源としては、LEDに限らずLD(レーザダイオード)を用いてもよい。
この実施例では、品質検定部40はマイクロチップ電気泳動装置を備えているが、マイクロチップ電気泳動装置に替えてキャピラリー電気泳動装置を用いることもできる。
反応装置2の近傍にタンパク質精製部70が設けられている。分注部20のノズル22によって反応容器10からタンパク質合成反応終了後の反応溶液が吸引されてタンパク質精製部70のインジェクションポート72に注入される。インジェクションポート72はサンプリングバルブ74に接続されている。サンプリングバルブ74にはサンプリングのためのサンプルループ76が接続され、さらにサンプリングした試料を移動相で送るための移動相送液流路78と、試料を移動相でカラムへ送るための送液流路80が接続されている。
検出器98,100,102は特にこれらに限定されるものではなく、タンパク質を検出できるものであれば他のものであってもよい。
タンパク質の精製はゲルろ過による精製やマイクロチップ電気泳動による精製に置き換えることもできる。
4 サンプル設置部としてのマイクロタイタプレート(MTP)
6 転写試薬容器
8 合成試薬容器
10 反応容器
12,40 品質検定部
14 分光光度計
20 分注部
22 ノズル
26 三方バルブ
28 シリンジポンプ
34a,34b,34c 制御部
50 マイクロチップ
54 試料導入流路
55 分離流路
70 タンパク質精製部
92 カラム
Claims (11)
- サンプルDNA又はmRNAからなる鋳型を含む鋳型溶液を収容したサンプル設置部、前記鋳型を基にしてタンパク質を合成するための試薬を収容した試薬設置部、並びに前記鋳型溶液及び試薬により水性緩衝溶液中にリボソーム、mRNA及び基質を少なくとも含んでタンパク質を合成する無細胞タンパク質合成系の反応溶液が形成される反応容器を含む反応装置と、
核酸の品質を検定する品質検定部と、
前記反応容器への前記鋳型溶液及び試薬の分注、並びに前記品質検定部への前記鋳型溶液及び/又は前記反応容器の反応溶液の分注を行なう分注部と、
前記反応容器における無細胞タンパク質合成反応の自動制御並びに前記品質検定部におけるサンプルDNA及び/又はmRNAの検定の自動制御を行なう制御部と、を備え、
前記制御部は、前記品質検定部における検定動作終了後、次の動作へ進むかどうかの問合せを発するとともに検定されたサンプルDNA又はmRNAが規定範囲内にない場合にはエラーメッセージを発し、次の動作へ進む指示の入力を待って無細胞タンパク質合成反応の動作へ進むように制御するものである無細胞タンパク質合成装置。 - 請求項1に記載の無細胞タンパク質合成装置において、
タンパク質の定量測定又は定性測定を行なうタンパク質測定部をさらに備え、
前記分注部は前記タンパク質測定部へのタンパク質合成後の反応溶液の分注も行なうように構成され、
前記制御部は前記タンパク質測定部におけるタンパク質の定量測定又は定性測定の自動制御も行なうように構成されている無細胞タンパク質合成装置。 - 請求項2に記載の無細胞タンパク質合成装置において、
タンパク質の精製を行なうタンパク質精製部をさらに備え、
前記分注部は前記タンパク質精製部へのタンパク質合成後の反応溶液の分注も行なうように構成され、
前記制御部は前記タンパク質精製部におけるタンパク質の精製の自動制御も行なうように構成されている無細胞タンパク質合成装置。 - 請求項1に記載の無細胞タンパク質合成装置において、
タンパク質の精製を行なうタンパク質精製部をさらに備え、
前記分注部は前記タンパク質精製部へのタンパク質合成後の反応溶液の分注も行なうように構成され、
前記制御部は前記タンパク質精製部におけるタンパク質の精製の自動制御も行なうように構成されている無細胞タンパク質合成装置。 - 前記品質検定部はマイクロチップ電気泳動装置を備えている請求項1から4のいずれかに記載の無細胞タンパク質合成装置。
- 前記品質検定部はキャピラリー電気泳動装置を備えている請求項1から4のいずれかに記載の無細胞タンパク質合成装置。
- 前記品質検定部は分光光度計を備えている請求項1から4のいずれかに記載の無細胞タンパク質合成装置。
- 前記タンパク質測定部はマイクロチップ電気泳動装置を備えている請求項2又は3に記載の無細胞タンパク質合成装置。
- 前記タンパク質精製部はカラムを用いた分離装置を備えている請求項3又は4に記載の無細胞タンパク質合成装置。
- 前記タンパク質精製部はゲルろ過装置を備えている請求項3又は4に記載の無細胞タンパク質合成装置。
- 前記タンパク質精製部はマイクロチップ電気泳動を備えている請求項3又は4に記載の無細胞タンパク質合成装置。
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