そこで、本発明は以上の問題点を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、目的物質の解析(例えば、目的核酸の塩基配列の解析)をキャピラリー電気泳動法によって行う電気泳動処理(シーケンス処理を含む)を、臨床時等において行うに際し、クロスコンタミネーションを防止しかつユーザの手間を軽減して、サンプルからの目的物質(例えば、目的核酸)の抽出から、標識化、加工(例えば、核酸の断片化、増幅)さらには目的物質の解析(例えば、核酸の塩基配列の決定)までを一貫して自動化し、ユーザの手を経ることなく迅速かつ効率的に処理を実行することができる電気泳動全自動処理装置またはその方法を提供することである。
第2の目的は、キャピラリー電気泳動法を用いて目的物質の解析を行う際のその生成物や関連する化学物質の品質評価をも、手動や、他の専用装置を用いることなく、同一の装置を用いて行うことを可能にすることによって、ユーザの手間を軽減し、かつ、外部からの異物の侵入や、コンタミネーションを確実に防止し、信頼性の高い化学物質を用い、かつ高い品質の生成物を得て精度の高い目的物質の解析を行うことができる電気泳動全自動処理装置およびその方法を提供することである。
第3の目的は、分注装置のみならず、PCR法に基づく核酸増幅装置等の化学物質の処理装置、キャピラリー電気泳動専用装置、制御部および光測定器を組み込み、かつ部品や器具、機構を共通に利用することで装置規模を拡大することなく、効率的に処理を行い、かつ安価に製造し使用することができる電気泳動全自動処理装置およびその方法を提供することである。
第4の目的は、複数種類の目的物質の一部または全部を並行してかつ高い精度で処理可能とすることによって、処理を迅速かつ効率的に行うにも拘らず高い精度の解析を行うことができる電気泳動全自動処理装置およびその方法を提供することである。
第1の発明は、複数本の電気泳動用キャピラリーを有し、電圧を印加することにより該キャピラリー内で目的物質を泳動させるキャピラリー電気泳動部と、サンプルからの前記目的物質の抽出処理、該目的物質の加工処理、および各処理に関する生成物または化学物質の品質評価を経て得られた前記目的物質を含有する電気泳動用試料を、前記キャピラリー電気泳動部の前記各キャピラリーに各々供給可能とする電気泳動前処理部と、前記電気泳動部の各前記キャピラリーに関する光の測定および前記電気泳動前処理部の前記品質評価のための光の測定からなるグループの中から選択して、任意の少なくとも1の光の測定を実行可能とする光選択測定部と、前記サンプルからの前記目的物質の抽出処理、該目的物質の加工処理、前記目的物質の解析処理、および前記品質評価を制御する制御部とを有する電気泳動全自動処理装置である。
ここで、「電気泳動用キャピラリー」とはキャピラリー電気泳動で用いる毛細管であって、「キャピラリー電気泳動」には、種々の分離方式があり、本発明はその分離方式のいずれにも適用可能である。該分離方式には、例えば、(1) キャピラリー内に緩衝液を満たし、一端から試料を注入する方式(自由ゾーン電気泳動方式)。(2) 電気的に中性である複数の成分が試料中に存在している場合に、硫酸ドデシルナトリウム(SDS)という陰イオン性界面活性剤を用いるSDSミセルに取り込んで移動させる方式(動電クロマトグラフィー方式)。(3) ポリアクリルアミドゲルをキャピラリー内に形成する方式。またはその代わりに高分子溶液を用いる方式(ゲル電気泳動方式)。(4) キャピラリー内に、様々な等電点を持つ両性電解質と試料の混合物を満たし、正極は酸に浸し、その酸は両性電解質の中で最も等電点が低いものよりさらに酸性の強いものとし、負極には、塩基で満たし、該塩基は最も等電点の高い両性電解質よりも塩基性が強いものとする方式(等電点方式)。(5) 試料混合物の前端にいずれの成分よりも速やかに電気泳動するイオンを含む媒体、後端に逆の性格の媒体、試料液は両者の中間という設定で電気泳動を行う方式(等速電気泳動方式)等がある。「電気泳動用キャピラリー」は、キャピラリーの両端部を一対の液収容部(例えば後述する可動液収容部および泳動後収容部)内に挿入し、収容された緩衝液を含有する電気泳動用試料に浸し、例えば、10〜30kVの高電圧を印加して電気泳動させるものである。泳動中、試料はキャピラリー内を移動しながら徐々に分離され、キャピラリーの途中に設けられたセルにおいて、試料内容の検出が行われる。キャピラリーの内径は、100μm以下、例えば50μmである。隣接するキャピラリー間のピッチは、例えば、18mmである。またキャピラリーの長さは、例えば、約80cmである。キャピラリーは、例えばシリカまたはガラス製である。
「目的物質」とは、主として核酸またはその一部であるが、その他、例えば、タンパク質、アミノ酸、糖鎖、脂肪等の生化学物質を含む。「目的物質の加工処理」とは、目的物質を、電気泳動に適するように行う処理であって、例えば、目的物質とバッファ液の混合、目的物質が核酸等の場合の断片化処理、増幅処理、標識化処理等である。「キャピラリー電気泳動部」には、例えば、複数本のゲルが充填された電気泳動用キャピラリーが設けられ、その一端部は各可動液収容部に設けられ、その他端部は泳動後収容部に挿入されて連通し、各収容部に電極対(負極、正極の対または陰極、陽極)の一方をそれぞれ設け、該電極対間に所定の電圧を印加して、電気泳動用キャピラリー内に蛍光物質で標識化された目的物質またはその断片、例えば、DNA断片(電気泳動用試料)を泳動させて、分子量の大きさに応じてその断片の位置または泳動の順序から塩基配列を解析するものである。電気泳動用試料は、例えば、4種(A,C,G,T)の塩基に対応する蛍光体の混合物であるので、例えば、4色の波長の光を同時に検出することによって測定を行う(サンガー法)。「前記キャピラリーに関する光の測定」には、該キャピラリーの側壁において光を測定する場合、および、前記泳動後収容部の側壁で光を測定する場合がある。ここで、「電気泳動用試料」とは、電気泳動用キャピラリーに供給される試料であって、目的物質、または目的物質を電気泳動用に加工処理したものまたは加工処理に必要な試薬、電気泳動に必要な試薬、またはバッファ液等を含有するものである。
例えば、「断片の生成」は、塩基配列測定対象となる目的核酸の断片に熱を加えて、2本鎖から1本鎖に変性し、さらに鋳型DNA,プライマー、DNA合成酵素、ヌクレオチドに、低濃度の4種類の内の1種類の鎖停止ヌクレオチド(ターミネータ)をそれぞれ加えた4つの反応容器内で反応させることによってランダムな長さのA,C,G,Tで停止した断片を生成する(サンガー法)。
「品質評価」とは、抽出処理、断片生成処理、および増幅処理等の加工処理の結果生成された生成物または使用する化学物質に関する品質の評価を行うものであって、これによって、最終的に得られた結果が信頼性の高いものであることを保証し、または、どの処理で誤りがあったかを確認することによって、その原因をより容易に突き止め、処理または工程の結果得られた生成物の品質の向上を図ることができる。
品質の評価は、例えば、得られた目的物質、例えば、核酸またはその断片の分子量や濃度を評価するために前記光選択測定部を利用して流管、電気泳動用キャピラリー、反応容器または泳動後収容部内の光学的状態を測定することによって行う。例えば、分子量の範囲を解析し、塩基配列を解析し、核酸の増幅量または該吸光度を光測定することでその核酸またはその断片の濃度等を測定することである。品質の評価には、例えば、生成物、生化学物質の検出または定量測定、または生化学物質溶液の濃度若しくは吸光度の測定が含まれる。「測定」には、その他、比色法、比濁法等を含有する場合がある。さらに、「測定」には、例えば、リアルタイムPCR、酵素活性、若しくは反応速度等のように、前記増幅量、生化学物質量、反応量、濃度、若しくは吸光度等の時間的変化の測定を含有することがある。
「物理化学的性質」とは、例えば、測定対象の生成物または化学物質の特定、目的物質(目的核酸)の有無、生成物、化学物質の構造の特定、塩基配列、分子構造、ウィルスの有無、細菌の有無、免疫測定等である。
「物理化学的数値」とは、例えば、化学物質溶液量、化学物質量、濃度、吸光度、分子量等である。
「光学的状態」には、発光、呈色、変色、変光を含み、「変光」には、光の反射、吸収、散乱を含む。
「化学物質」とは、化学反応に用いられる物質、特に、例えば、核酸等の遺伝物質、免疫物質等のタンパク質、糖類、ペプチド等の生化学物質が該当する。
「核酸増幅法」には、例えば、PCR(polymerase chain reaction)法、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法、LCR(ligase chain reaction)法、SDA(strand displacement amplification)法、MTD(transcription mediated amplification)法等がある。「核酸検出法」には、相補性を利用した標的核酸の検出を行う場合がある。
「制御部」とは、該電気泳動全自動処理装置に内蔵したコンピュータ(CPU)および該コンピュータを駆動するプログラム等からなり、例えば、メモリ、表示装置、キーボード、タッチパネル、マウス等の入力装置を有し、DA変換器およびAD変換器を通して信号を後述する吸引吐出機構やノズル移動機構、ノズルヘッドを有する電気泳動前処理部、または、光源、光電変換部、または電気泳動部等との間で信号をやり取りして制御が行われる。
ここで、前記流管内に吸引して保持されまたは前記測光用容器内に収容される化学物質溶液の量は、予め定めた規定量であることが好ましい。「前記受光端で受光した光」とは、「前記測定用光を該流管内または前記測光用容器内を通り上下方向に沿って照射することによって生じた光、または流管内または測光用容器内で生じた光」であり、例えば、前記化学物質溶液の透過光、散乱光、または発光、呈色、変色若しくは変光に係る光である。
該制御部は、例えば、測定対象の化学物質溶液の透過光の強度から吸光度を導くことで、該吸光度に基づいて種々の物理量を得て該化学物質溶液を解析することが可能である。
例えば、各種化学物質(核酸、脂質、タンパク質、糖質等)の濃度の解析を行うには、該吸光度から、ランベルト・ベールの法則に基づいて以下に示すように該溶液の濃度を導く。
前記流管の前記化学物質溶液に入射する前の測定用光(波長λ)の強度をI0とし、透過後の光の強度をIとし、モル吸光係数(前記波長λおよび測定対象となる化学物質に応じて定まる単位モル濃度で規格化した)をε、最終的に求めるべきモル濃度をc、光路長をLとした場合、I=I0・10(-εcL) となる。一方、吸光度 Aλ=−log10(I/I0) の関係から、
吸光度 Aλ、したがって、透過率 I/I0を求めることで、次の関係式より溶液に含有する核酸等のモル濃度cを求めることができることになる。
Aλ=εcL (1)
なお、実際には測定用光は散乱や反射によってそのまま平行に進むことにはならないので、精度を高めるためには検量線や検量式を用いてこの式を修正することが好ましい。
また、測定対象となる化学物質(サンプル)が、各種酵素(AST、ALT、リパーゼ、LDH、γ-GTP等)によって反応し、その濃度が変化する場合には、該化学物質溶液の透過光から導いた吸光度に基づいて、前記酵素活性を解析することができる。
酵素活性を求めるには、反応速度、すなわち、前記化学物質の濃度の変化速度dc/dt(濃度:mol/リットルの変化速度)で表されるので、前記ランベルト・ベールの法則の式(1)に基づいて、吸光度変化の単位時間当たりの吸光度変化(dAλ/dt)によって表されることになる。すなわち、
dc/dt=(dAλ/dt)・(1/εL) (2)となる。
εは、例えば、NADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)については、6300リットル/(mol・cm)である。
すると、酵素活性は、次のように表される。すなわち、
酵素活性=(dc/dt)・(Vt/Vs) (3)
Vt=前記化学物質溶液の全容量(リットル)
Vs=サンプル容量(リットル)
したがって、(3)式を(2)式に代入することによって、
酵素活性=(dAλ/dt)・ Vt/(εLVs) (4)となる。
ただし、酵素の単位は、最適条件下で、試料1リットル中において1分間に1μmolの基質を変換させることができる酵素量を1U (Unit)と定義しているので、酵素活性の単位は、1U/リットルと表されることになり、上記(4)式を変形した以下の式で表される。
酵素活性(U/リットル)=ΔAλ・(Vt・106)/(εLVs)
ΔAλ: 1分間当たりの吸光度変化
Vt: 全反応物容量(mリットル)
Vs: サンプル容量(mリットル)
ε: モル吸光度(リットル/(mol・cm))
L: 光路長(cm)
である。
さらに、前記制御部は、未知の化学物質溶液(サンプル)の濃度を、濃度既知の物質(標準液)の吸光度を測定し、濃度と吸光度の関係を表す検量線をグラフまたは表で作成しておく。該検量線または表を用いて、未知の化学物質溶液の吸光度からその濃度を求めることができることになる。
ここで、ある化学物質溶液(A1)について、その測定に適した波長をもつ測定用光に対する該当する吸光度をA1、吸光係数をε1、該化学物質の濃度をc1とする。また、内部標準(A0)について、その測定に適した波長をもつ標準測定用光に対する該当する吸光度をA0、吸光係数をε0、該内部標準の規定濃度をc0とする。また、流管に混合して吸引された場合の光路長をL(混合液として共通)とすると、ランベルト・ベールの法則から各々次の式が得られる。
A1=ε1c1L
A0=ε0c0L
これらの式から光路長を消去すると、c1=(A1ε0c0)/(A0ε1)より濃度c1が求められることになり、変動しやすい光路長の影響を受けずに内部標準との相対比に基づく信頼性の高い濃度を得ることができることになる。
また、前記制御部は、免疫抗体定量測定(CPR、FDP、Dダイマー等)を行うことができる。検体中のヘモグロビン等の測定を抗原抗体反応を利用して抗体を樹脂製のラテックス粒子に固定し、サンプル中の抗原と抗原抗体反応を起こさせ該ラテックス粒子を凝集させる。この凝集反応を吸光度変化としてとらえると、吸光度の変化量は、サンプル中の抗原量に依存して増加する。この濃度既知の標準液を用いて検量線を作成しておけば、吸光度の変化量から検体中の抗原量を測定することができる。
なお、前記制御部は、前記1または2種類以上の透過光に基づいて前記1または2種類以上の化学物質の吸光度を求め、該吸光度に基づいて前記1または2種類以上の化学物質の濃度等を求めることができる。同様にして、前記1または2種類以上の透過光、散乱光等に基づいて前記1または2種類以上の化学物質溶液の物理化学的性質または数値を求めることができる。
第2の発明は、前記光選択測定部は、測光内容または前記目的物質を含む前記生成物または前記化学物質により定まる測定用光を照射可能な複数個の導光路の各一端部である照射端を各組に有する複数組の照射端組、および、該照射端組に対応する位置に位置しまたは位置付け可能に設けられ、該照射端から照射された測定用光に基づいて生ずる光を各々受光可能な複数個の導光路の各一端部である受光端を各組に有する複数組の受光端組と、前記制御部による目的物質の解析処理または品質評価の指示があった場合に、前記複数組の照射端組および複数組の受光端組の中から対となる1組の照射端組および1組の受光端組を選択して対応する1対の照射端および受光端からなる照射受光対ごとに、前記照射端に所定の測定用光を順次供給し、前記受光端により順次受光した光の強度を測定する照射受光対選択測定部とを有する電気泳動全自動処理装置である。
「測定用光」は、測定対象の化学物質溶液の物理化学的性質または数値を測定するために照射される光であって測光内容(例えば、標識物質の有無)及び化学物質や生成物のサイズや分子量等に応じた波長をもつ光である。例えば、吸光度の測定の場合であって、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド等の核酸の場合には、260nm付近の紫外光が適当である。これは、核酸の塩基がこの付近に吸光ピークをもつからである(A:259nm,T:267nm, G:253nm, C:267nm)。吸光の値は核酸の構造(一本鎖、二本鎖)や長さ、塩基組成によって影響を受けることになる。その他の物質にあっては、例えば白色光を用いる。また、標識物質として蛍光物質を用いる場合には、該蛍光に対応する波長を持つ励起光である。「照射端(または受光端)」とは、光を照射(または受光)することができる導光路の端部であって、レンズ等の光学素子を有する場合がある。「導光路」は、導光可能な通路であって、導光方向に沿って細長く形成され、例えば、透光性のある部材、空洞等があり、可撓性がある場合としては、例えば光ファイバである。
ここで、「複数個」とは、例えば、前記「複数本」、すなわち、前記電気泳動用キャピラリーの個数(n)と同一の場合(n)である。なお、後述する収容部群数、さらにはノズル数や全収容部群に属する収容部列数を含めて、必ずしもnの場合に限定されず、該キャピラリーの個数の倍数の場合、例えば、2n, 3n等の場合があり得る。前処理に多種類の試薬を使用する場合や複雑な処理を行う場合もあるからである。
「照射端組(受光端組)」とは、前記複数個の照射端(または受光端)からなる組である。本発明にあっては、これらの照射端組および受光端組の組数が各々複数組含まれている。その際、照射端組の組数と、受光端組の組数とは必ずしも一致していない。したがって、1対の照射端組と受光端組の選択は、組数の少ない方が重複して選択されることがあることになる。「選択」は、例えば、該当する測定用光を出射する光源のみをオン状態とし、それ以外の光源をオフ状態とすることによって、またはその光源と照射端を接続する導光路を導光状態とし、それ以外の光源と接続する導光路を非導光状態とすることによって、かつ該当する光を受光する光電変換部のみをオン状態とし、それ以外の光電変換部をオフ状態とすることによって、または、その光電変換部と受光端を接続する導光路を導光状態とし、それ以外の光電変換部と接続する導光路を非導光状態とすることによって行われる。
第3の発明は、前記照射受光対選択測定部は、前記指示に応じて選択された所定の測定用光を出射する1または2以上の光源と、受光した光を電気信号に変換する1または2以上の光電変換部と、前記指示に基づいて、複数組の照射端組および複数組の受光端組の中から、1対の照射端組および受光端組を選択し、1または2以上の前記光源と選択された前記照射端組に属する照射端との間の接続または遮断と、1または2以上の前記光電変換部と選択された前記受光端組に属する受光端との間の接続または遮断とを、前記照射受光対ごとに連動して切り換える対選択連動切換部と、を有する電気泳動全自動処理装置である。
「1または2以上の光源」であるので、これらと光学的に接続する1または2以上の後述する照射測定端が設けられている。「1または2以上の光電変換部」であるので、これらと光学的に接続する1または2以上の後述する受光測定端が設けられている。「切換え」は、例えば、後述する複数対接続端組配列体と後述する複数対測定端組配列体間の、所定方向に沿って、所定速度での相対的な移動、例えば往復運動、または搖動による所定周期で繰り返して行われる。
ここで、「1の光源」とは、例えば、波長220-350nmの範囲の白色光(紫外線を含む)の測定用光を照射する白色光光源であり、「2以上の光源」とは、例えば、6種類の励起光(例えば、496nm, 527nm, 555nm, 587nm, 593nm, 647nm)を各々照射可能となるように設定された6台の可変光源である。一方、「1の光電変換部」とは、例えば、分光器を介して設けられた光電変換部であり、「2以上の光電変換部」とは、例えば、複数のバンドパスフィルタ(例えば、517nm, 549nm, 580nm, 599nm, 613nm, 653nm、これらの波長は、蛍光物質、FAM, HEX, TAMURA, ROX, Texas Red, Cy5に対応するものである。)を介して接続された複数の光電変換部である。
また、「光源」としては、例えば、LED、重水素ランプ(例えば、浜松ホトニクス株式会社、L10691D)、ハロゲンランプ等の波長可変光源を用いて、紫外線領域から可視領域に至るまでの連続的な波長を試料に照射することができる。「光電変換部」とは、光の強度を対応する電気信号およびデジタル信号に変換するものであって、例えば、増幅を伴うPMT(光電子増倍管)、ADP、CCDイメージセンサ、フォトダイオード等の受光素子である。
第4の発明は、前記照射受光対選択測定部は、前記一端部が前記照射端組に属する1の照射端を各々有する前記複数個の導光路の各他端部が各々有する照射接続端が前記複数個属する照射接続端組、および、前記一端部が前記受光端組に属する1の受光端を各々有する前記複数個の導光路の各他端部が各々有する受光接続端が前記複数個属する受光接続端組が、各々複数組あって、各同一の組に属する前記照射接続端または前記受光接続端が所定方向に沿って1列状に所定間隔で配列され、対となり得る異なる組に属する前記照射接続端または前記受光接続端同士は前記所定方向に直交する方向に沿って対間隔を開けて並列に配列されている接続端配列面を有する複数対接続端組配列体をさらに有し、前記対選択連動切換部は、オンオフ可能な前記光源と光学的に接続され、前記照射接続端組に属する照射接続端と順次接続可能に設けられた1または2以上の照射測定端が前記所定方向に沿って1列状に所定間隔で各々設けられた複数組の照射測定端組、およびオンオフ可能な前記光電変換部と光学的に接続され、前記受光接続端組に属する受光接続端と順次接続可能に設けられた1または2以上の受光測定端が前記所定方向に沿って1列状に所定間隔で各々設けられた複数組の受光測定端組が前記所定方向に直交する方向に沿って前記対間隔を開けて配列された測定端配列面を有する複数対測定端組配列体と、前記接続端配列面と前記測定端配列面とが向き合って前記所定方向に沿って摺動するように前記複数対接続端組配列体と前記複数対測定端組配列体を相対的に移動させて、選択された前記照射接続端および受光接続端と前記照射測定端および受光測定端の各々の同時の接続または遮断を可能にして、選択された組同士の照射受光対ごとに、前記照射端とオン状態にある前記光源との接続または遮断が、前記受光端とオン状態にある前記光電変換部との接続および遮断と連動して順次行われる切換機構とを有する電気泳動全自動処理装置である。
この場合、複数対接続端組配列体の接続端配列面は1平面の場合、1曲面の場合、または複数平面、複数曲面の場合があり得る。各前記照射接続端組は所定方向(例えば、水平方向またはマトリクス状に配列された複数の収容部群の列方向(Y軸方向)または行方向(X軸方向)に沿って1列状に複数の照射接続端が配列され、各前記受光接続端組は前記所定方向に沿って1列状に複数の受光接続端が配列され、したがって、これらは相互に平行であって、前記所定方向に直交する方向(例えば、上下方向(Z軸方向)または前記マトリクス状に配列された複数の収容部群の行方向(X軸方向)または列方向(Y軸方向))に各々所定距離空けて並列に配列されている(所定方向とそれに直交する方向の例は相互に入れ換えることが可能である)。その際、対となり得る照射接続端組に属する照射端および受光接続端組に属する受光端が前記所定方向に直交する方向に沿って対間隔をもって配列される。その際、対となり得る照射接続端組および受光接続端組が複数ある場合には、それらを、直交する方向に並列に配列する場合であって、照射接続端組または受光接続端組のいずれか一方が共通する場合には対間隔を異ならせる必要がある。なお、同一の対間隔をもって直列に配列することもできる。
一方、前記複数対測定端組配列体の測定端配列面は1平面の場合、1曲面の場合、複数平面の場合、複数曲面の場合(例えば、分割可能な平面)があり得る。その場合、前記複数対の照射接続端組および受光接続組と接続すべき複数の光源と接続した複数対の照射測定端組および接続すべき複数の光電変換部と接続した受光測定端組が、各々組ごとに前記所定方向(例えば水平方向またはマトリクス状に配列された複数の収容部群の列方向(Y軸方向)または行方向(X軸方向))に沿って1列状に配列され(1個しかない場合には単独で配置され)、かつ対となり得る照射測定端組および受光測定端組は、前記所定方向に直交する方向(例えば、上下方向(Z軸方向)または前記マトリクス状に配列された複数の収容部群の行方向(X軸方向)または列方向(Y軸方向))に沿って各対に対応する位置に前記接続端配列面における前記対間隔を空けて配列されている(所定方向とそれに直交する方向の例は相互に入れ換えることが可能である)。
なお、前記配列面が分割可能に配列されている場合には、対応する1対の光源84と光電変換部83が各々含まれているもの(対測定端体)を単位に分割可能となることが好ましい。これらの各分割配列面は、分割可能な対測定端組配列体の組合せにより形成され、各分割配列体は、その処理内容に応じて任意に前記対測定端体ごとに挿抜することができる。前述したように前記接続端配列面上の前記複数対の前記照射接続端組と前記受光接続端組との間の対間隔と、前記測定端配列面上の対応する複数対の前記照射測定端組と前記受光測定端組との間の対間隔とは等しく設けられている。ここで、「対間隔」とは、対となり得る照射接続端組および受光接続端組との間の前記所定方向に直交する方向における接続端配列面上の間隔、または対となり得る照射測定端組および受光測定端組との間の前記所定方向に直交する方向における測定端配列面上の間隔であって、対応する接続端配列面上の対間隔と、測定端配列面上の対間隔は等しい。ここで、前記対測定端体は、前記対測定端組配列体を形成するために、例えば、複数個を連結して収容可能な枠体に収容される。また前記複数対測定端組配列体811を形成するために、例えば、複数の対測定端配列体、または前記対測定端体を収容可能な枠体に収容される。
前記「1列状」は、例えば、配列面が平面の場合には直線状が好ましい。前記複数対接続端組配列体と前記複数対測定端組配列体の相対的な移動方向は、前記各組の接続端列、および各組の測定端列に沿った方向、すなわち前記所定方向に沿って相対的に移動可能にであって、該第1の接続端列と前記第1の測定端列が重なり、該第2の接続端列と該第2の測定端列が重なりかつ切換えが移動によって連動するように配列されている。この場合には、1または2以上の照射受光対の各切り換えを1の切換機構で共用することができるので、装置規模の拡大を防止することができる。ここで、「オン(状態)」とは、活性の状態、電気回路において回路が成立している状態、「オフ(状態)」とは、非活性の状態、電気回路が成立している状態をいう。
第5の発明は、前記電気泳動前処理部は、気体の吸引吐出を行う吸引吐出機構と連通し、液体の吸引吐出が可能な流管が着脱可能に装着される複数連のノズルおよび該ノズルに装着された該流管に外部から磁場を及ぼしかつ除去することが可能な磁力部と、検査対象となるサンプルおよび磁性粒子懸濁液を含む各種の化学物質溶液を収容する液収容部および温度昇降器により温度制御可能な反応容器を少なくとも各々有し、前記各ノズルに対応して設けられた複数群の収容部群を有するステージと、前記ノズルと前記ステージとの間を相対的に移動可能とするノズル移動機構とを有し、前記光選択測定部の前記照射端組および前記受光端組の一方の第1組は、前記ノズルまたは吸引吐出機構に設けられ、該一方の第2組は前記電気泳動用キャピラリーまたは泳動後収容部の外側面に接触または接近して設けられ、前記照射端組および前記受光端組の他方の第1組は、前記一方の第1組と対をなすように前記ノズルまたは吸引吐出機構に設けられ、該他方の第2組は、前記一方の第2組と対をなすように、前記各電気泳動用キャピラリーまたは各泳動後収容部の外側面に接触または接近して設けられた電気泳動全自動処理装置である。
前記吸引吐出機構、前記ノズルおよび前記磁力部はノズルヘッドに設けられるのが好ましい。この場合、前記ノズル移動機構は、例えば、前記ステージおよびノズルヘッドが固定されるステージにおいて、該ノズルのみをステージに対して移動する場合、ノズルヘッドに固定されたノズルを、前記ステージに対してノズルヘッドとともに相対的に移動する場合、ノズルヘッドに対してノズルを相対的に移動可能に設け、かつノズルヘッドを前記ステージに対して相対的に移動可能とする場合等がある。
前記ステージには、前記流管を、前記ノズル移動機構による前記ノズルの下降によりノズルに装着可能となるように前記装着用開口部を上側にして収容するチップ収容部を設けることが好ましい。また、液収容部の他に温度制御が可能な反応容器を設けることが好ましい。前記制御部は、前記ノズル移動機構を制御して、ノズルの相対的な下降によって該ノズルに前記流管を装着させるように制御することが好ましい。この場合には、前記ノズルヘッドには、前記ノズル移動機構を制御することによって、前記流管をノズルから脱着させる脱着機構を設けることが好ましい。これによって、人手を介することなく、流管等の装着脱着を行うことで、クロスコンタミネーションを防止し、かつ測定対象の液量に合った流管を使用することができる。
ここで、「相対的」とは、比較すべき他の対象との関係において成り立つことを示すものである。したがって、「相対的に移動」する場合には、対象の一方(例えば、ノズル)が動いて、対象の他方(例えば、ステージ)が静止している場合、対象の一方が静止して、対象の他方が動く場合、またはその両方の場合(速度が異なる場合)がある。
「磁性粒子」とは、磁性をもつ粒子であって、その大きさは、例えば、約1nmから数10μmである。該サイズ、質量、材料、構造(単一ドメイン、表面に種々の被覆物質で被覆等)、その性質(常磁性、超常磁性、強磁性、フェリ磁性等、磁力の大きさ)等は、その処理目的に応じて定めることができる。被覆物質としては、各種の官能基を生じさせる有機物質、イオンを生じさせるイオン性物質、磁場による凝集や沈澱を防ぐ表面安定化物質(脂肪族ジー、ポリカルボン酸およびこれらの置換生成物および誘導体等)、特異的結合物質(リガンド、受容体等)、薬利的活性物質等がある。
なお、複数対の照射端組または受光端組の一方の第1組は、ノズルまたは吸引吐出機構、すなわちノズルヘッドに設けられ、該一方の第2組は電気泳動用キャピラリーまたは泳動後収容部に設けられ、複数対の照射端組または受光端組の他方の第1組は、ノズルまたは吸引吐出機構に設けられ、該他方の第2組は、電気泳動用キャピラリーまたは泳動後収容部に設けられている。しかし、光源または光電変換部も、照射端または受光端と同じノズルヘッド、ステージまたはキャピラリー部に必ずしも設けられる必要はない。前記一方の第1組と、前記他方の第1組が対をなす場合には、前記ノズルには流管が装着される必要がなく、その場合には、ノズルにはシリンダ等の吸引吐出機構が連通する必要がないことになる。ここで、「複数連のノズル」または「複数の収容部群」の「複数」は、例えば、複数本に対応する複数、すなわち、前記電気泳動用キャピラリーの個数(n)と同一の場合(n)、または、該キャピラリーの個数の倍数の場合(特にノズル数または収容部列数の場合)、例えば、2n, 3n等の場合があり得る。前処理に多種類の試薬を使用する場合や複雑な処理を行う場合もあるからである。
「流管」は、下端に前記口部を有し、上端に前記ノズルに着脱可能に装着される装着用開口部を有する管状の部材である。流管は、先端に口部を有し測定対象となる化学物質溶液が収容される前記ノズルよりも細く形成された細管、該細管と連通し前記装着用開口部を有する該細管よりも太く形成された太管を有するチップ状容器であることが好ましい。ノズルよりも細く形成される細管を有する前記流管は、前記測定用光が通過可能な断面の形状および大きさを有し、例えば、流管の内部空間は、断面が円形の円筒状で、例えば、その内径は0.05mm〜10mmであり、好ましくは、0.1mm〜5mm、さらに好ましくは、0.5mm〜1mm程度である。この断面の大きさおよび形状は、前記照射端および受光端の形状または大きさに基づいて定められる。これによって、液量の小さい(例えば、0.1μL〜10μL程度)化学物質溶液に応じた光路長を設定可能な軸方向または上下方向の長さを有する。その他、流管の内部空間は円錐台状若しくは角柱状の場合があり得る。
流管は、液体の吸引および吐出によって、1の液収容部における液体の撹拌、複数の液収容部間での液体の移動、分注を行う分注用流管、および、内部に吸引した溶液に対してその上下方向に沿った透過光の強度が測定される測光用流管を含有する。測光用流管は、例えば、側壁部を遮光部材としての黒色物質で形成しまたは透光性のある素材を黒色塗料で塗布することで外光を遮光することが好ましい。「外光」とは、主として可視光または紫外線であり、黒色物質で形成する場合としては樹脂に黒色顔料を練り込んで成型することによって形成する。分注用流管または微小量分注用流管と測光用流管を兼用する場合、または別のものとして形成することもある。ノズルに対して流管が着脱可能に装着されることから、ノズルから流管を脱着する脱着機構が、例えば、後述するノズルヘッドに設けられる。なお、前記照射端組および前記受光端組は、複数連またはその倍数のノズルまたは吸引吐出機構の一部のみに設けられる場合がある。例えば、第2のピッチ(ノズルの第1のピッチの複数倍のピッチ)の間隔のノズルまたは吸引吐出機構にのみ設ける場合がある。また、流管も、ノズルの一部に装着する場合がある。例えば、前記第2のピッチの間隔のノズルにのみ装着する場合である。これは収容部群の収容部の配列において、該ノズルに対応する収容部列に光の測定を行う収容部や反応容器や測定領域が集中し、他のノズルに対応する収容部列には存在しないような場合であり、収容部の配列に依存して定まる。
第6の発明は、前記照射端組および前記受光端組の他方の第3組をさらに有し、該他方の第3組は、前記流管外であって、該流管の口部がその上方に位置付け可能となって前記一方の前記第1組と対をなすことが可能なように設けられた電気泳動全自動処理装置である。
この場合には、前記他方の第3組をステージの受光領域に設ける場合またはステージに設けた測光用容器の底部に設ける場合がある。該測光用容器は、前記測光用流管の下端部が上方から挿入または緩挿可能であって、該測光用容器の前記底部の略中央に形成された筒状の凹部を有し、前記透光領域が該凹部の細底部に形成され、該凹部の細側壁部は前記外光に対して遮光されるように形成されるのが好ましい。
「測光用容器」は、前記流管の口部が挿入可能であるので、その断面は流管の前記細管の断面よりも大きいことになり、液量が小さい化学物質溶液を測定する場合には、測光用容器に化学物質溶液を収容するよりも、液量および測光内容に応じたより小さい断面を持つ流管に前記吸引吐出機構を用いて該化学物質溶液を吸引して保持させることでより適切な光路長を設定することができて測光上好ましい。
この場合には、測定対象となる化学物質溶液を通る光路の全体を遮光することができて、該光路への外光の進入を防止し精度の高い測定を行うことができる。なお、前記凹部は、流管の下端部が挿入または緩挿可能な程度の前記測光用容器の開口部よりも十分に小さい断面積をもつ開口部を有する細筒状に形成される。ここで凹部の細底部は、前記受光端の受光端面と空気層を介さずに密着または密接して光学的に接続されることが好ましい。これによって、流管に収容された液体の上端面から受光端まで、空気層を介さずに光路長を設定することができる。「略中央」は好ましくは「中央」である。
前記測光用容器は、例えば、前記密閉蓋(上側がノズルに嵌合可能)の下側で嵌合可能な筒状の太筒部と、該太筒部(従って、ノズル)よりも細く形成された円筒状で、内側及び外側が水平方向に平坦な底部が下端に形成された細筒部と、太筒部と細筒部と連通しそれらの間に挟まれるように形成され、前記太筒部および細筒部の中間の内径及び外径をもつように形成された先細り形状の中間部とを有する。中間部には、前記密閉蓋のシール部を嵌合して受け止めるための円筒状の受止部がその中央付近に形成されている。細筒部の外径は、例えば3.0mm、内径は2.5mmであり、該細筒部の底部の厚みは、例えば0.5mmである。これによって、該測光用反応容器の細筒部の軸方向に後述する照射端から照射された測定用光が底部を確実に透過し、該底部と下側で密接する後述する受光端により空気層を介さずに前記透過光を確実に受光することができる。また、測定用光が通過可能な程度の断面をもつ細筒状に化学物質溶液を収容させるので、測定に必要な液量を抑制し、小容量の液体についての測光を可能にする。
さらに、細筒部の上下方向の長さの範囲内に収容した液量に応じた適切な光路長を設定することができ、かつ照射端および受光端と該溶液とを接触させることなく測定用光を照射しかつ受光することができてクロスコンタミネーションを防止して信頼性が高い。
また、制御部は、前記流管の口部から一定間隔上方に空けた位置より上側に前記化学物質溶液を吸引するように制御することがある。これによって、流管の下端の口部からの液漏れを防止して、光路長を安定させて精度の高い物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)を得ることができる。また、照射端と受光端を結ぶ垂直共通軸線上に沿った流管内の光路は、流管の壁部を含み化学物質溶液及び空気以外の物質で遮られることがないので、流管及び容器を含め測定用光に透明な物質で形成する必要がなく、安価で精度の高い物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)の測定を行うことができる。
ここで、例えば、全長3cm〜20cm程度の流管にあっては、前記一定間隔は例えば、0.5mm〜10mm、好ましくは1mm〜5mmであり、化学物質溶液または混合液の収容されている部分は例えば、1mm〜15mmである。これによって、流管の口部からの液漏れを防止して、光路長を安定させて信頼性の高い吸光度、濃度を始め種々の数値または性質を得ることができる。
なお、例えば、化学物質溶液、抽出用試薬、増幅用試薬、蛍光物質や化学発光物質等の標識化試薬、若しくは酵素等の試薬を収容可能な複数の液収容部、温度制御可能な1または2以上の反応容器、または該測光用容器は、1列状に形成されたカートリッジ容器に設けられて1列状または複数列状に配列され、該カートリッジ容器の略長方形状の基板にその長手方向に沿った片側の縁部に所定高さの隔壁が形成されているものが好ましい。該隔壁は、該カートリッジ容器を隣接して複数並べて使用する場合に、他のカートリッジ容器からの試薬等の飛沫の混入を防止するためのものである。該カートリッジ容器の長手方向の基板の長さは、例えば150mm〜200mmである。
第7の発明は、前記制御部によって、前記生成物または化学物質溶液について、蛍光物質で標識化された目的物質の有無または量の測定が指示された場合には、前記生成物または化学物質溶液が収容されている収容部にまで前記ノズルを移動し、前記対選択連動切換部は、前記照射端組および前記受光端組の一方の前記第1組、および前記照射端組および前記受光端組の他方の第1組に、各々属する照射端および受光端と接続可能となる1対の前記照射測定端組および受光測定端組を選択し、選択された該照射測定端組に属する1または2以上の照射測定端と光学的に接続する1または複数種類の波長の励起光を測定用光とする1または複数種類の光源のみをオン状態とし、選択された該受光測定端組に属する1または複数の受光測定端と光学的に接続する前記励起光によって励起される蛍光を通過可能なバンドパスフィルタを介する光電変換部のみをオン状態とし、前記照射端および受光端と前記照射測定端および受光測定端との間の接続および遮断とを連動して順次切り換え、前記制御部によって、前記目的物質の電気泳動を用いた解析処理の指示があった場合には、前記電気泳動用試料が収容されている各可動液収容部内に各前記電気泳動用キャピラリーの一端部を挿入させ、前記対選択連動切換部は、前記照射端組および前記受光端組の一方の第2組、および前記照射端組および前記受光端組の他方の第2組に、各々属する照射端および受光端と接続可能となる1対の前記照射測定端組および受光測定端組を選択し、選択された該照射測定端組に属する1または複数の照射測定端と光学的に接続する1または複数種類の波長の励起光、または白色光を測定用光とする1または複数種類の光源のみをオン状態とし、選択された該受光測定端組に属する1または複数の受光測定端と光学的に接続する前記励起光によって励起される蛍光を通過可能なバンドパスフィルタを介する光電変換部または分光光度計のみをオン状態とし、前記照射端および受光端と前記照射測定端および受光測定端との間の接続および遮断とを連動して順次切り換える電気泳動全自動処理装置である。
前記「照射端組および受光端組の一方の第1組」および「照射端組および受光端組の他方の第1組」とは、「照射端組」および「受光端組」(順不同)であって、両者は対として、前記ノズルまたは前記吸引吐出機構、例えば、前記ノズルの下端、前記ノズルの上側に設けられた前記吸引吐出機構が有するシリンダ内を摺動するプランジャの下端、またはノズルに設けた凹部や凸部等であって、照射端面または受光端面を下方向に向けて設けられる。主として、qPCRの測定に用いられる。なお、電気泳動を用いて塩基配列の解析を行う場合には、塩基A,C,G,Tに対応して4種類の蛍光を測定するために4種類の励起光を照射するのが好ましく、したがって、例えば、4種類の光源を用いる。電気泳動用キャピラリーについて、吸光度の測定を行う場合とは、例えば、タンパク質のサイズに基づいて分離して測定を行う場合である。
前記「照射端組および受光端組の一方の第2組」および「照射端組および受光端組の他方の第2組」とは、「照射端組」および「受光端組」(順不同)であって、両者は、対として、前記複数本の電気泳動用キャピラリーまたは泳動後収容部の各々外側面に近接しまたは接触して設けられている。主に、電気泳動部による目的物質の解析のため、例えば、目的核酸の塩基配列の決定に用いられる。
なお、「照射端組および受光端組の一方の第1組」および「照射端組および受光端組の他方の第3組」とは、「照射端組」または「受光端組」のどちらか一方が、前記ノズルまたは前記吸引吐出機構、例えば、前記ノズルの下端、前記ノズルの上側に設けられた前記吸引吐出機構が有するシリンダ内を摺動するプランジャの下端、またはノズルに設けた凹部や凸部等であって、照射端面または受光端面を下方向に向けて設けられ、「照射端組」または「受光端組」の前記他方が、前記ステージに直接または収容部群の測光用容器の透光領域が設けられた底部に第2のピッチで複数個配列して設けられ、前記照射端面または受光端面を上方向に向けて設けられる。主に、制御部より、前記生成物または化学物質溶液について、吸光度の測定が指示された場合に用いられる。
なお、吸光度または濃度の測定をも可能とするには、さらに前記1または2以上の光源の少なくとも1は測定用光として白色光を発する白色光光源、および1の分光器を介して接続された複数の光電変換部を設ける。前記生成物または化学物質溶液について、その吸光度または濃度の測定が指示された場合には、前記ノズルに着脱可能に下端に口部を有する流管を上端で装着し、測定すべき生成物または化学物質溶液を該流管内に吸引して収容保持し、または測光用容器に収容保持し、前記対選択連動切換部は、前記照射端組および前記受光端組の一方の第1組、および前記照射端組および前記受光端組の他方の第1組に、各々属する照射端および受光端と接続可能となる前記照射測定端および受光測定端を選択し、選択された該照射測定端と光学的に接続された前記白色光源をオン状態とし、選択された該受光測定端と光学的に接続された1の分光器と接続された光電変換部をオン状態とし、前記照射端および受光端と前記照射測定端および受光測定端との間の接続および遮断とを連動して順次切り換える。前記制御部によって、または、使用時にあっては、前記照射受光対に属する照射端の端面と受光端の端面とを共通に通る垂直線、すなわち垂直共通軸線が存在する状態で使用することが好ましい。さらに、前記ノズルに装着された前記流管の前記口部を前記垂直共通軸線が通る状態に位置することが好ましい。前記照射受光対のいずれか一方を少なくとも1の前記ノズルまたは前記吸引吐出機構の前記流管の前記垂直共通軸線上に設け、他方をステージ上に設けることによって、後述するノズル移動機構を用いて前記受光端および前記照射端を前記垂直共通軸線上に容易かつ確実に位置付けすることができるので、測定用光の照射を流管の垂直共通軸線方向に沿って容易かつ確実に行うことができることになる。「上下方向」は、流管をノズルに装着した場合の方向であって、前記流管の垂直共通軸線に沿った方向または流管の吸引吐出方向に相当させるのが好ましい。
より好ましくは、前記ノズルまたは前記吸引吐出機構に設ける前記「照射受光対の一方」(の要素)は「照射端」であり、「照射受光対の他方」は「受光端」である。これによって、照射端から照射される測定用光は口部または底部から上方向に照射する場合に比較してより確実に化学物質溶液に照射され、光の全量または主要部を前記流管内を通過させることができる。特に、流管がチップ状容器のように先細りに形成されている場合には、その程度が高い。
第8の発明は、前記電気泳動前処理部において、前記ノズルは列方向および上下方向に沿ってのみ移動可能に設けられ、かつ1列状に行方向に沿って第1のピッチで配列して設けられ、前記各収容部群は、列方向に沿って1列状または複数列状に延びかつ行方向に沿って第2のピッチで配列して設けられ、前記キャピラリー電気泳動部において、前記電気泳動用キャピラリーは列方向に沿って延び、行方向に第3のピッチで配列して設けられ、前記ノズルの内前記第2のピッチで配列された1群または複数群のノズル群に装着された複数の流管は一斉に各収容部に挿入可能に設けられ、1列状に前記行方向に沿って可変ピッチで配列された前記複数の可動液収容部からなる1群の可動液収容部群または該可動液収容部群が列方向に間隔を開けて並列に複数群設けられた可変ピッチ液収容架台と、該架台を前記行方向に沿って前記第1のピッチごとまたは前記電気泳動前処理部と前記キャピラリー電気泳動部との間を移動するように設けられた架台移動部と、前記可変ピッチを前記第2のピッチと前記第3のピッチの間で変換可能に設けられたピッチ変換機構とを有し、前記電気泳動用キャピラリーの一端部は1群の可動液収容部群に属する複数の前記可動液収容部に一斉に挿入可能に設けられた電気泳動全自動処理装置である。
ここで、「列方向」および「行方向」とは、前記収容部群の収容部が水平面に行列状に配列された場合の配列方向に沿った直交する2方向であり、例えば、直交座標系(X,Y,Z)のY軸方向およびX軸方向である。なお、この場合Z軸方向はステージに対して直交する上下方向である。「ピッチ」とは、同一または異なる要素(例えば、容器、ウェル、液収容部、ノズル等)が等間隔に配列されているとき、その配列された要素の中心間の距離をいう。
「第1のピッチ」とは、前記ノズルの配列されているピッチであって、各収容部群内に属する1列の収容部列間の間隔、および前記可変ピッチ液収容架台が移動可能な距離の1つに相当する。「第2のピッチ」は、前記第1のピッチと同じ場合または第1のピッチの複数倍であり、複数倍の「複数」は、前記収容部群に属する収容部列の列数に等しく、さらに前記可変ピッチ液収容架台の可動液収容部群の群数と同じである。第2のピッチが第1のピッチに等しい場合とは、前記各収容部群は、列方向に沿って1列状に延びる場合であって、ノズルに装着された1群の流管は一斉に各収容部に挿入可能に設けられている場合である。第2のピッチが第1のピッチの複数倍の場合には、各収容部群の列数が複数になるために、多くの試薬や反応容器を収容部群の各列の長さを増加させることなく収容することができるので、ステージをしたがって装置規模を、コンパクトに形成することができることになる。この場合、各列の配列は同一ではないが、1の流管収容部および1の液収容部または1の反応容器を有している。この場合、第2のピッチで配列された複数群の流管群や密閉蓋群を有するように一列置きまたは(複数−1)列置きに流管や密閉蓋を収容部列に配列することができる(図1,4参照)。
「第3のピッチ」は、一般に、「第2のピッチ」とは相違する。なお、「第2のピッチ」で配列された流管の個数は、前記電気泳動用キャピラリーの本数と等しいことが好ましい。すると、ノズルの全数は、収容部群数の1または複数倍あり、各収容部群には、第1のピッチで1または複数列の収容部列が設けられることになる。例えば、第2のピッチは44mmであり、第3のピッチは18mmである。
なお、前記各収容部群において、光測定を行わない収容部列に対応するノズル群については、照射端および受光端を設ける必要がない。
また、ノズル移動機構が列方向および上下方向に沿ってのみ移動可能に設ける場合には、行方向および上下方向に沿ってのみ移動可能な1のノズルを有する横断ノズルを設けて、共通収容領域から前記各収容部群に、サンプルとは無関係な共通に使用する試薬を反応容器に供給するようにするのが好ましい。これによって、ステージに予め収容する試薬数を削減して、ステージをコンパクトに形成することができる。また、前記可変ピッチ液収容架台において前記各可動液収容部群は、各可動液収容部の配列方向に直交する方向に沿って間隔を空けて並列に配列されるのが好ましい。
第9の発明は、複数本の電気泳動用キャピラリー内に電圧を印加することにより目的物質の泳動を行うキャピラリー電気泳動工程と、前記目的物質のサンプルからの抽出処理、および加工処理、並びに各処理に関する生成物または化学物質の品質評価を経て得られた前記目的物質を含む電気泳動用試料を前記各電気泳動用キャピラリーに供給可能とする電気泳動前処理工程と、前記キャピラリー電気泳動工程で使用する前記各キャピラリーに関する光の測定および前記電気泳動前処理工程での前記品質評価のための光の測定からなるグループの中から選択して、任意の少なくとも1の測定を実行可能とする光選択測定工程と、各処理に関する品質評価および目的物質の解析を行う解析工程と、を有する電気泳動全自動処理方法である。
第10の発明は、前記光選択測定工程は、測光内容または前記目的物質を含む前記生成物または前記化学物質により定まる測定用光を照射可能な複数個の導光路の各一端部である照射端を各組に有する複数組の照射端組、および、該照射端組に対応する位置に位置しまたは位置付け可能に設けられ該照射端から照射された測定用光に基づいて生ずる光を各々受光可能な複数個の導光路の各一端部である受光端を各組に有する複数組の受光端組とが設けられ、前記目的物質の電気泳動に基づく解析処理または品質評価の指示があった場合には、前記複数組の照射端組および複数組の受光端組の中から対となる1組の照射端組および1組の受光端組を選択して、対応する1対の照射端および受光端からなる照射受光対ごとに、前記照射端に所定の測定用光を順次供給し、前記受光端により順次受光した光の強度を測定する照射受光対選択測定工程を有する電気泳動全自動処理方法である。ここで、「複数個」は前記複数本に対応するのが好ましい。
第11の発明は、前記照射受光対選択測定工程は、前記指示に基づいて、複数組の照射端組および複数組の受光端組の中から、1対の照射端組および受光端組を選択し、指示に応じて選択された所定の測定用光を出射する1または2以上の光源と、選択された前記照射端組に属する照射端との間の接続または遮断と、受光した光を電気信号に変換する1または2以上の光電変換部と、選択された前記受光端組に属する受光端との間の接続または遮断とを、前記照射受光対ごとに連動して切り換える対選択連動切換工程を有する電気泳動全自動処理方法である。
第12の発明は、前記対選択連動切換工程は、前記一端部が前記照射端組に属する1の照射端を各々有する前記複数個の導光路の各他端部が各々有する照射接続端が前記複数個属する照射接続端組、および、前記一端部が前記受光端組に属する1の受光端を各々有する前記複数個の導光路の各他端部が各々有する受光接続端が前記複数個属する受光接続端組が、各々複数組あって、各同一の組に属する前記照射接続端または前記受光接続端が所定方向に沿って1列状に所定間隔で配列され、対となり得る異なる組に属する前記照射接続端または前記受光接続端同士は前記所定方向に直交する方向に沿って対間隔を開けて並列に配列されている接続端配列面を有する複数対接続端組配列体と、オンオフ可能な前記光源と光学的に接続され、該照射接続端組に属する照射接続端と順次接続可能に設けられた1または2以上の照射測定端が前記所定方向に沿って1列状に所定間隔で各々設けられた複数組の照射測定端組、およびオンオフ可能な前記光電変換部と光学的に接続され、前記受光接続端組に属する受光接続端と順次接続可能に設けられた1または2以上の受光測定端が前記所定方向に沿って1列状に所定間隔で各々設けられた複数組の受光測定端組が前記所定方向に直交する方向に沿って前記対間隔を開けて配列された測定端配列面を有する複数対測定端組配列体とを、前記接続端配列面と前記測定端配列面とが向き合って前記所定方向に沿って摺動するように相対的に移動させて、選択された前記照射接続端および受光接続端と前記照射測定端および受光測定端の各々を連動して接続または遮断を行い、選択された組同士の照射端および受光端の対ごとに、前記照射端とオン状態にある前記光源との接続遮断が、前記受光端とオン状態にある前記光電変換部との接続および遮断と連動して順次行われる電気泳動全自動処理方法である。
第13の発明は、前記電気泳動前処理工程は、気体の吸引吐出を行う吸引吐出機構と連通し、液体の吸引吐出が可能な流管が着脱可能に装着される複数連のノズルおよび該ノズルに装着された該流管に外部から磁場を及ぼしかつ除去することが可能な磁力部が設けられ、検査対象となるサンプルおよび磁性粒子懸濁液を含む各種の化学物質溶液を収容する液収容部および温度昇降器により温度制御可能な反応容器を少なくとも各々有し、前記各ノズルに対応して設けられた複数群の収容部群を有するステージと、前記ノズルと前記ステージとの間を相対的に移動するノズル移動工程を有し、前記光選択測定工程は、前記照射端組および前記受光端組の一方の第1組は、前記ノズルまたは吸引吐出機構に設けられ、該一方の第2組は前記電気泳動用キャピラリーまたは各泳動後収容部の外側面に接触または接近して設けられ、前記照射端組および前記受光端組の他方の第1組は、前記一方の第1組と対をなすように前記ノズルまたは吸引吐出機構に設けられ、該他方の第2組は、前記一方の第2組と対をなすように、前記電気泳動用キャピラリーまたは前記泳動後収容部の外側面に接触または接近して設けられることで測定が行われる電気泳動全自動処理方法である。ここで、「複数個」は前記複数本に対応するのが好ましい。
第14の発明は、前記光選択測定工程は、前記照射端組および前記受光端組の他方の第3組をさらに有し、該他方の第3組は、前記流管外であって、該流管の口部がその上方に位置付け可能となって前記一方の前記第1組と対をなすようにして測定を行う電気泳動全自動処理方法である。
第15の発明は、前記光選択測定工程は、前記生成物または化学物質溶液について、蛍光物質で標識化された目的物質の有無または量の測定が指示された場合には、前記生成物または化学物質溶液が収容されている収容部にまで前記ノズルを移動した後、前記照射端組および前記受光端組の一方の前記第1組、および前記照射端組および前記受光端組の他方の第1組に、各々属する照射端および受光端と接続可能となる1対の前記照射測定端組および前記受光測定端組を選択し、選択された該照射測定端組に属する1または2以上の照射測定端と光学的に接続する1または複数種類の波長の励起光を測定用光とする1または2以上の光源のみをオン状態とし、選択された該受光測定端組に属する1または2以上の受光測定端と光学的に接続する前記励起光によって励起される蛍光を通過可能なバンドパスフィルタを介する前記光電変換部のみをオン状態とし、前記照射端および受光端と前記照射測定端および受光測定端との間の接続および遮断とを連動して順次切り換える対選択連動切換工程を有し、前記目的物質の電気泳動による解析処理の指示があった場合には、前記電気泳動用試料が収容されている可動液収容部内に前記電気泳動用キャピラリーの一端部を挿入させた後、前記照射端組および前記受光端組の一方の第2組、および前記照射端組および前記受光端組の他方の第2組に、各々属する照射端および受光端と接続可能となる1対の前記照射測定端組および受光測定端組を選択し、選択された該照射測定端組に属する1または複数の照射測定端と光学的に接続する1または複数種類の波長の励起光、または白色光を測定用光とする1または複数種類の光源のみをオン状態とし、選択された該受光測定端組に属する1または複数の受光測定端と光学的に接続する前記励起光によって励起される蛍光を通過可能なバンドパスフィルタを介する光電変換部または分光光度計のみをオン状態とし、前記照射端および受光端と前記照射測定端および受光測定端との間の接続および遮断とを連動して順次切り換える対選択連動切換工程を有する電気泳動全自動処理方法である。
第16の発明は、前記電気泳動前処理工程は、前記ノズルは1列状に行方向に沿って第1のピッチで配列して設けられ、かつ、列方向および上下方向に沿ってのみ移動可能であり、前記各収容部群は、列方向に沿って1列状または複数列状に延びかつ行方向に沿って第1のピッチまたはその複数倍に相当する第2のピッチで配列され、1列状または複数列状に前記行方向に沿って第2のピッチで配列された前記複数の可動液収容部からなる1群または複数群の可動液収容部群が設けられた可変ピッチ液収容架台に、第2のピッチで配列された複数の前記ノズルに装着された流管によって、1群の該可動液収容部内に吐出して収容し、前記行方向に沿って該架台を前記第1のピッチごとまたは前記キャピラリー電気泳動部にまで移動させ、前記キャピラリー電気泳動工程は、前記可変ピッチ液収容架台の各可動液収容部の第2のピッチを第3のピッチに変換して、前記電気伝導用キャピラリーの一端部を挿入させて、該キャピラリーの端部間に所定電圧を印加して前記電気泳動用試料に含有する目的物質の泳動を行う電気泳動全自動処理方法である。
第1の発明、または第9の発明によれば、目的核酸の塩基配列の解析を含むキャピラリー電気泳動処理を、臨床時等において行うに際し、クロスコンタミネーションを防止しかつユーザの手間を軽減して、サンプルからの目的物質(例えば目的核酸)の抽出から、標識化、断片化、増幅等の加工処理さらには目的物質の電気泳動を用いた解析(例えば、塩基配列の決定)までを一貫して自動化し、ユーザの手を経ることなく迅速かつ効率的に処理を実行することができる。また、目的物質の電気泳動を用いた解析(例えば目的核酸の塩基配列の解析)を行う際のその生成物や関連する化学物質の品質評価をも、手動や、測定すべき内容に応じた個数の専用装置の使用を不要とし、同一の装置を用いて、行うことを可能にすることによって、ユーザの手間を軽減し、かつ、外部からの異物の侵入や、コンタミネーションを確実に防止し、信頼性の高い化学物質を用い、かつ高い品質の生成物を得て精度の高い目的物質の電気泳動に基づく解析をすることができる。さらに、分注装置のみならず、PCR法に基づく核酸増幅装置、電気泳動専用装置、制御部および光測定器(光選択測定部)を組み込み、かつ部品や器具、機構を共通に利用することで装置規模を拡大することなく、効率的に処理を行い、かつ安価に製造し使用することができる。
第2の発明または第10の発明によれば、複数組の導光路組を用いて、各導光路の一端部である照射端または受光端を各組に有する複数組の照射端組、または、該照射端組に対応する位置に位置しまたは位置付け可能に設けられた複数組の受光端組を、目的物質の電気泳動を用いた解析処理または品質評価の対象となる生成物や化学物質が収容された収容部または流管が装着されるノズル若しくは吸引吐出機構、ステージ上の位置や測光用容器、電気泳動用キャピラリー、又は泳動後収容部の側壁等に設けることによって、導光路を通して測定用光を供給し、受光することで、種々の場面における対象に対する光測定を共通の1の光測定器に集中させて、装置規模を拡大または複雑化することなく、同一の操作でコンパクトかつ容易に、かつ効率的に確実に行うことができることになる。
第3の発明または第11の発明によれば、複数組の照射端組および複数組の受光端組の中から、1対の照射端組および受光端組を選択し、指示に応じて選択された各組に属する1対の照射端と受光端と該当する光源および該当する光電変換部との各々の接続および遮断を連動して行うようにしている。したがって、1の化学物質溶液について、種々の光源若しくは光源からの遮断および種々の光電変換部を組み合わせて種々の測定を行うことができて汎用性が高い。また、複数の化学物質溶液に対して複数種類の測定を同時並行して行うことができるので効率性が高く、複数の化学物質溶液ごとに光源や光電変換部を設ける必要がないので、装置規模の拡大や製造費用の増大を防止することができる。
第4の発明または第12の発明によると、多数の照射端と1または2以上の光源との接続および遮断と、多数の受光端と1または2以上の光電変換部との接続および遮断とを、共通の連動切換機構による複数対接続端組配列体と複数対測定端組配列体との相対的な一直線に沿った移動によって実現することができるので、複数の電気泳動処理の対象となるサンプルに対する、前記目的物質の解析処理、および生成物または化学物質溶液の品質評価を1の装置で同時並行して行うことができるので、装置規模の拡大や部品点数の増大を防止し、かつ効率性が高いことになる。また、前記複数対接続端組配列体において配列された対となり得る照射接続端組および受光接続端組と、それと向き合って摺動する複数対測定組配列体に設けられた対となり得る照射測定端組および受光測定端組が行方向および列方向に沿って配列されているため、ユーザのニーズに応じたそれらの追加による拡張、削減による縮小が容易で柔軟性が高い。
第5の発明または第13の発明によれば、装置に設けられたノズルまたは吸引吐出機構、電気泳動用キャピラリーに各々1対の照射端組および受光端組を設けるととともに、それらは、導光路を用いて前記光選択測定部の複数対接続端組配列体上に、対として同時に接続および遮断可能なように照射接続端組および受光端組として1列状に所定方向に沿って配列されかつその直交する方向に所定間隔を開けて配列されることによって、線型の運動によって光源および光電変換部と確実かつ簡単に接続することができるので、目的核酸の塩基配列の解析のみならず、その品質評価をも1の装置で実行することができるので、装置全体をコンパクトかつ効率性が高い。
ノズルまたは吸引吐出機構に対しその基本的形態および基本的機能を変えることなく照射端または受光端を設けることによって、分注処理とは別個に測光処理に専用のノズルや吸引吐出機構または専用部品を設けることなく、また、吸引吐出機能を妨害することなく通常の分注処理と共通のノズルおよび吸引吐出機構を用いて、前記ノズルに流管を装着させることで通常の分注処理および測光処理を行うことができるので処理が容易で作業効率が高い。
第6の発明または第14の発明によれば、測定用光が通過可能な程度の断面をもつ細柱状に化学物質溶液を流管内または測光容器内に保持または収容させて、測定に必要な液量を抑制し小容量の液体についての物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)の測定を可能にする。また、化学物質溶液を収容する流管または透光領域を有する測光用流管によって測定用光が遮られることがないので、測定用光に対する光学的影響を除去または削減して精度の高い物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)を得ることができる。また、流管または測光用容器の透光領域によって測定用光が遮られることがないので、測定用光の種類に応じた専用素材のみで製造した流管や測光用容器を用いることなく安価に製造することができるとともに、測定用光に不透明な部材(例えば、黒色物質)を流管や測光用容器に使用して外部からの光の進入を防止し精度の高い物理化学的性質または数値(例えば、濃度)の測定を行うことができることになる。ここで「細柱状」とは、例えば、ノズルの断面に比較して細く形成されていることをいい、前記流管または測光用容器に液を収容かつ保持することで形成される。
前記流管の上下方向の長さの範囲内で前記吸引した液量に応じた適切な光路長(例えば透過光や散乱光の場合)を設定することができ、照射端および受光端を溶液と接触させることなく測定用光を照射しかつ受光することができる。したがって、受光端、照射端と溶液との接触によるクロスコンタミネーションを防止して信頼性が高く、かつ容器のサイズによって光路長が固定されることなく、液量に応じた適切な光路長を設定することができて種々の液量に応じた物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)を測定することができるので汎用性が高い。
さらに、定量性の高い吸引吐出機構および制御部を用いることで、光路長を精度良く確定しかつ安定させて、信頼性の高い測定を行うことができることになる。
また、複数のノズルを用いることで、複数の化学物質溶液の性質または数値を並行して測定することが可能であるとともに、1の化学物質溶液に対して種々の性質または数値を順次測定することが可能であり、効率性が高い。
第7の発明または第15の発明によれば、複数対の照射端組および受光端組と、1または複数種類の励起光または白色光を出射可能な1または複数の光源および該当する1または複数種類の蛍光のバンドパスフィルタを介しての1または複数の光電変換部または分光光度計との接続および遮断とを、選択した1対の各照射端組および受光端組ごとに連動して行うことを可能にして、目的物質を含む複数種類の生成物または化学物質溶液についての1または複数種類の蛍光物質で標識化された目的物質の有無または量を、または吸光度を用いて目的物質の有無または量を、1の対選択連動切換装置や工程によって、容易かつ効率良く、種々のキャピラリー電気泳動法に対応することができて汎用性が高い。
第8の発明または第16の発明によれば、第2のピッチで配列された複数の可動液収容部からなる可動液収容部群が、1群または複数群(例えば、該配列方向に直交する方向に間隔を空けて配列される)が可変ピッチ液収容架台に設けられ、その1群に電気泳動前処理部で生成した電気泳動用試料を収容し、該可変ピッチ液収容架台を、電気泳動部に移動し、かつ第3のピッチで配列された複数列の電気泳動用キャピラリーの一端部を前記1群の可動液収容部群に属する各可動液収容部に確実に挿入しかつ接触させる位置に移動させることができる。したがって、人手を介することなく、電気泳動部における処理を確実、円滑かつ迅速に実行することができることになる。また、他の可動液収容部群について、前記第2のピッチで配列された各可動液収容部を前記各収容部群のある収容部列の列方向に揃えて位置させた後、該架台を第1のピッチごとに移動することで各収容部群に属する収容部列間でノズルに装着された流管を用いて液の移動を行うことが可能となる。したがって、前記ノズルヘッドの移動機構や、横断ヘッドを用いることなく、前記可変ピッチ液収容架台の移動により、同一の収容部群の第1のピッチで行方向に配列された収容部列間での液体の移動を簡単な機構で装置規模を拡大することなく、効率良く行うことができる。
図1に基づいて、本発明の実施の形態に係る電気泳動全自動処理装置10を説明する。
該電気泳動全自動処理装置10は、ゲルが充填された複数本(n本)の電気泳動用キャピラリーを有し、該キャピラリー内に対して、電圧を印加して目的物質を該キャピラリー内で泳動可能とする電気泳動部5と、複数種類のサンプルからの前記目的物質の抽出処理、該目的物質の加工処理(例えば目的核酸の断片の生成および増幅処理)、および各処理における生成物または化学物質の品質評価を経て得られた複数種類の電気泳動用試料(例えば、前記断片を含む複数種類の電気泳動用試料)を、前記電気泳動部に供給する電気泳動前処理部3,4と、前記電気泳動部5の前記各キャピラリー内での光の測定および前記電気泳動前処理部の各処理における前記品質評価のための光の測定からなるグループの中から選択して、任意の少なくとも1の測定を実行可能とする光選択測定部8と、前記サンプルからの前記目的物質の抽出処理、該目的物質の加工処理(例えば、目的核酸の断片の生成および増幅処理)、前記目的物質の電気泳動を用いた解析処理(例えば、目的核酸の塩基配列の解析処理)、および各処理における生成物または前記化学物質溶液の品質評価を制御する制御部としてのCPU+プログラム+メモリ9と、該CPU+プログラム+メモリ9に対するユーザの指示等の操作を行うタッチ式タブレット、キーボード、スイッチ等の操作パネル94とを有する。
前記電気泳動前処理部3,4は、1または2種類以上の化学物質溶液、各種試薬を収容する液収容部、(分注用)流管21〜2n,21〜2n、微小量(分注用)流管(例えば、測光用流管を兼ねる)、穿孔用チップ等を収容する流管収容部および温度制御可能な1または2以上の反応容器を含有する収容部列が、Y軸方向(列方向)に沿って延び、かつX軸方向(行方向)に沿って前記第1のピッチの間隔で2列に渡って配列された前記収容部列を各々有し、かつX軸方向(行方向)に沿って第2のピッチ(第1のピッチの2倍)で配列された複数の収容部群31〜3nを有するステージ3と、気体の吸引吐出を行う吸引吐出機構41、該吸引吐出機構41と連通し、第1のピッチでX軸方向に沿って配列され、第2のピッチで1つおきに交互に配列された2つのノズル群41〜4n,4'1〜4'nに各々属する複数のノズル、および該複数のノズルが支持されたノズル支持体44を有するノズルヘッド4と、該複数のノズルを前記ステージ3に対して相対的に移動可能とするノズル移動機構(ノズルヘッド移動機構49およびノズルZ軸移動部42)とを有する。したがって、1の各収容部群31〜3nに、2つのノズル群の各1のノズルが対応している。
測定対象となる化学物質溶液としては、例えば、目的物質が核酸の場合には核酸溶液であり、各種試薬としては、例えば、核酸抽出用試薬、核酸増幅用試薬、リアルタイムPCR用試薬、標識化物質、磁性粒子を含む各種担体懸濁液である。前記流管21〜2n,21〜2nは(例えば、図13(a)参照)、下端に液体の吸引吐出が可能で前記収容部群の各収容部内または反応容器(測光用容器を含む)内に一斉に挿入可能な口部2a、上端に前記ノズル群41〜4n,4'1〜4'nに着脱可能に装着される装着用開口部2bを有し、該流管として、分注に用いる分注用流管(分注チップ)と測光に用いる測光用流管とを有する場合と、両者を一種類の流管で兼用する場合がある。
前記ステージ3の前記各収容部群31〜3nには、サンプル(後述する場合では、サンプル領域にある収容部35に収容)、前記1または2種類以上の前記化学物質溶液、各種試薬等が収容されている液収容部331〜33n、分注チップとして用いる分注用流管、また測光を行う測光用流管または微小量分注用流管、および穿孔用チップが前記ノズル群41〜4n,4'1〜4'nに装着可能となるように前記装着用開口部2bを上側にして収容されている収容部群311〜31n、温度制御が可能な反応容器321〜32n,32'1〜32'n(測光用容器を含む)、および温度制御の際に反応容器を密閉する密閉蓋収容部341〜34nが、この例では、各収容部群ごと2列に渡って配列されている。なお、これらの密閉蓋34は、反応容器装着後に前記穿孔用チップによって穿孔可能に設けられている。該ステージ3には、温度制御を行うペルチェ素子やヒートブロック等を有する温度昇降器39が設けられている。
なお、以下、説明を簡単にするために、符号61,63を照射端組、符号71,73,75を受光端組とする(これらについて、照射端組と受光端組を入れ変えることは可能である)。これらは、光測定の対象となる反応容器(測光用容器を含有する)、後述する測光領域38の受光端組75が設けられている各収容部群31〜3nの1列目の収容部列に対応するノズル群41〜4nに設けられ、各収容部群31〜3nの2列目の収容部列に対応するノズル群4'1〜4'nには設けられていないとする。すると、前記光選択測定部8は、少なくとも1の(測光用)流管21〜2n、前記反応容器321〜32n(測光用容器を含む)、電気泳動用キャピラリーまたは泳動後収容部に対して、前記1または2種類以上の測定用光を照射可能な2以上の照射端611〜61n,631〜63nからなる2組の照射端組61,63、および該照射端611〜61n,631〜63nからの光を受光可能な2以上の受光端711〜71n,731〜73n,751〜75n,771〜77nからなる4組の受光端組71,73,75,77と、前記制御部(9)による目的物質の電気泳動を用いた解析処理または品質評価の指示があった場合に、前記複数組の照射端組の中から1組の照射端組を選択して所定の測定用光を順次供給し、前記複数組の受光端組の中から1組の受光端組を選択して1対の照射受光対とし、受光した光の強度を順次測定する照射受光対選択測定部80を有する。
ここで、照射端組61の各照射端611〜61nは前記ノズル41〜4nまたは吸引吐出機構441〜44nに設けられ、照射端組63の各照射端631〜63nは、前記電気泳動用キャピラリーに設けられ、前記受光端組71の各受光端711〜71nは前記ノズル41〜4nまたは吸引吐出機構441〜44nに設けられ、前記受光端組73の各受光端731〜73nは、前記電気泳動用キャピラリーまたは泳動後収容部に設けられ、前記受光端組75は、前記ステージ3の測光領域38に設けられ,各受光端751〜75nは、前記収容部群31〜3nの配列に応じた間隔で配列されている。前記受光端組77の各受光端771〜77nは測光用容器(321〜32n)の底部に設けられている。
したがって、5対の照射端組および受光端組(61,71),(61,75),(61,77),(63,73)が形成される。なお、2対の照射端組および受光端組(61,75),(61,77)の場合、前記照射端611〜61nと受光端751〜75nまたは受光端771〜77nとの対は、前記ノズル41〜4nに装着された前記流管21〜2nの前記口部2aと前記装着用開口部2bを共通に通る垂直共通軸線上にあることが好ましい。また、前記測光用容器(321〜32n)には、前記化学物質溶液等を収容可能で前記測定用光に対して透光性のある透光領域が形成された底部を有する。なお、この例では、照射端組61は、前記「照射端組および受光端組の一方の第1組」に相当し、照射端組63は前記「照射端組および受光端組の一方の第2組」に相当し、受光端組71は、前記「照射端組および受光端組」の他方の第1組に相当し、受光端組73は、前記「照射端組および受光端組の他方の第2組」に相当し、受光端組75または受光端組77は、前記「照射端組および受光端組の他方の第3組」に相当する。
前記照射受光対選択測定部80は、前記制御部(9)の前記指示に基づいて選択された所定の測定用光を出射する光源84と、受光した光を電気信号に変換する光電変換部83と、前記制御部(9)の指示に基づいて複数組の照射端組および複数組の受光端組の中から、1対の照射端組および受光端組を選択し、選択された1または2以上の光源84と選択された前記照射端組に属する照射端との間の接続または遮断と、選択された1または2以上の前記光電変換部83と選択された前記受光端組に属する受光端との間の接続または遮断とを、対応する該照射端と受光端(照射受光対)毎に連動して切り換える対選択連動切換部81とを有する。
さらに、該照射受光対選択測定部80は、前記一端部が前記照射端組61,63に属する1の照射端611〜61n,631〜63nを各々有する複数の導光路161,163の各他端部が各々有する照射接続端621〜62n,641〜64nが前記複数個属する照射接続端組62,64および、前記一端部が前記受光端組71,73,75,77の複数の受光端711〜71n,731〜73n,751〜75n,771〜77nを有する複数の導光路171,173,175,177の各他端部が各々有する受光接続端721〜72n,741〜74n,761〜76n,781〜78nが複数個属する受光接続端組72,74,76,78が、各々複数組あって、各同一の組に属する前記照射接続端または受光接続端が所定方向(例えば、行方向)に沿って1列状に所定間隔で配列され、異なる組に属する対となり得る照射接続端または受光接続端同士は前記所定方向に直交する方向(例えば、列方向)に沿って対間隔を開けて並列に配列されている接続端配列面を有する複数対接続端組配列体82をさらに有する。
複数の光源として、例えば、複数種類の特定波長光源を有する場合があり、または各特定波長に設定された複数の波長可変光源を用いる。複数の光電変換部としては、複数種類の特定波長の光に対応するバンドパスフィルタを介した複数の光電変換部を設ける場合や、分光計を介して、各波長に対応して光電変換部を設ける場合がある。
前記ノズルヘッド4には、さらに前記ノズル群41〜4n,4'1〜4'nを一斉に該ノズルヘッド4に対してZ軸方向に沿って移動させるノズルZ軸移動部42と、前記ノズル群41〜4n,4'1〜4'nに装着された前記流管21〜2n,21〜2n内に磁力を及ぼすことが可能な磁力機構43と、前記ノズル群41〜4n,4'1〜4'nから前記流管21〜2n,21〜2nを一斉に脱着可能とする脱着機構45とが設けられている。ここで、前記ノズル41〜4n,4'1〜4'nをZ軸方向に移動可能な前記ノズルZ軸移動部42と前記ノズルヘッド移動機構49とを合わせたものが前記ノズル移動機構49,42に相当する。
該ノズルヘッド4には、さらに、前記全収容部群31〜3nをX軸方向に沿って横断するように前記ステージ3またはノズルヘッド4に対して前記相対的に移動可能であって、前記各収容部群31〜3nの前記反応容器または前記液収容部に挿入可能な先端部を通して液体の吸引および吐出を行う1の分注チップ20が着脱可能に装着された横断ヘッド46および該横断ヘッド46をX軸方向に沿って移動させる横断ヘッド移動機構47を有する。また、該全収容部群31〜3n外に設けられ該横断ヘッド46に着脱可能に装着される複数の分注チップ20を収容するチップ収容部を少なくとも有する共通収容領域30が該ステージ3に設けられる。
該共通収容領域30には、その他、前記全収容部群31〜3nの反応容器に供給されるべきサンプルと無関係な共通の種々の試薬等の液、例えば、目的物質が目的核酸である場合には、リアルタイムPCRのための温度管理が必要な酵素、標識化に用いるためのプライマー、プローブ等、または、大量に用いられる水、バッファ等を収容する液収容部が設けられている。これによって、全収容部群31〜3nの規模を縮小することができる。さらに、本実施の形態に係る装置10にあっては、前記電気泳動部5と電気泳動前処理部3,4との間で移動可能に設けられ、各々1列状にX軸方向に沿って所定ピッチで配列された複数(n個)の可動液収容部からなる2群の可動液収容部群361〜36n,36'1〜36'nがY軸方向に間隔を開けて並列に設けられた可変ピッチ液収容架台36と、該可変ピッチ液収容架台36をX軸方向に沿って前記電気泳動部5と電気泳動前処理部3,4との間を移動可能に設けた架台移動部37とを有し、前記可変ピッチ液収容架台36には、前記所定ピッチを、前記第2のピッチと前記電気泳動部5の前記複数本の電気泳動用キャピラリーのX軸方向に沿って配列された第3のピッチとの間で変換可能とするピッチ変換機構が設けられている。
前記CPU+プログラム+メモリ9には、前記ノズル移動機構(49,42)、前記吸引吐出機構41、前記磁力機構43、温度昇降器39に対して抽出または反応の指示を行う抽出・反応制御部91と、前記電気泳動部5に対する制御を行う電気泳動制御部95、前指定された測光内容に基づいて、前記ノズル移動機構49,42、前記吸引吐出機構41、光選択測定部8に対して前記測光内容に関する制御を行う測光制御部92と、前記光選択測定部8から得られた生成物、化学物質または標識物質に関する透過光、散乱光、または発光、呈色、変色若しくは変光に係る光の強度に基づいて、前記目的物質の電気泳動を用いた解析、品質評価を行う測光解析部93とを有する。
続いて、図2乃至図13に基づいて、図1で説明した本発明の実施の形態に係る電気泳動全自動処理装置10をより具体的に示す。目的物質として目的核酸を使用する場合の電気泳動全自動処理装置100を説明する。
図2に示すように、本電気泳動全自動処理装置100は、1または2種類以上の化学物質溶液、各種試薬、分注用流管21〜2n,21〜2n、穿孔用チップ231〜23n等、密閉蓋34を収容する1または2以上の収容部、または温度制御可能で前記測光内容により定まる測定用光に対して透光性のある透光領域が形成された底部を有する測光用容器を含む2以上の反応容器がY軸方向(列方向)に沿って延び、かつX軸方向(行方向)に沿って前記第1のピッチの間隔で2列に渡って配列された前記収容部列を各々有し、かつX軸方向(行方向)に沿って第2のピッチ(この例では、第1のピッチの2倍)の間隔で配列された複数(この例では6個)の収容部群31〜36をカートリッジ容器として装填可能な装填用の孔部が設けられたステージ3と、気体の吸引吐出を行う吸引吐出機構41、該吸引吐出機構41と連通し、各ノズルが第1のピッチでX軸方向に沿って配列され、各々第2のピッチで1つおきに交互に配列された2群のノズル群41〜46,4'1〜4'6(収容部群と同じ添え数字をもつノズルは同一の添え数字をもつ収容部群に対応している。)を有するノズルヘッド4と、該ノズルヘッド4と前記ステージ3との間を相対的にY軸方向に沿って移動可能とするノズルヘッド移動機構(図示せず)と、前記光選択測定部8(図6、図7、図8に示す)と、2列状に行方向(X軸方向)に沿って可変ピッチで配列された複数(この例では6個)の可動収容部を各々有する2群の可動液収容部群361〜366,36'1〜36'6が設けられた可変ピッチ液収容架台36および該架台36を行方向に沿って移動可能とする架台移動部37と、Z軸方向に湾曲するようにX軸方向に沿って第3のピッチで配列され、ゲルが充填された複数本(この例では、6本)の電気泳動用キャピラリー511〜516を有し、複数種類の塩基配列の解析を行う目的核酸から生成した断片を含む電気泳動用試料に電圧を印加し て該キャピラリー511〜516内を泳動可能とする電気泳動部5とを有する。なお、前記可変ピッチ液収容架台36は、前記第3のピッチと第2のピッチとの間でピッチ変換を可能とするピッチ変換機構を有する。
前記ノズルヘッド4には、さらに、前記下端に液体吸引吐出が可能で前記収容部内に挿入可能な口部2a、上端に前記ノズル群41〜4n,4'1〜4'nに着脱可能に装着される装着用開口部2bを有する2n本(この例では12本)の流管21〜2n,21〜2nと、該ノズル41〜4n,4'1〜4'nを前記ステージ3に対して一斉にZ軸方向に沿って移動可能とするノズルZ軸移動部42と、前記ノズル群41〜4n,4'1〜4'nに装着された流管21〜2n,21〜2nの内部に一斉に磁力を及ぼしかつ除去することが可能となるように前記流管21〜2n,21〜2nに対して磁石を進退動作可能に設けた磁力機構43と、前記ノズル群41〜4n,4'1〜4'nに装着された流管21〜2n,21〜2nをノズルから脱着することが可能な脱着機構45とが設けられている。ここで、前記ノズルZ軸移動部42とノズルヘッド移動機構49(図示せず)を合わせたものが前記ノズル移動機構に相当する。
なお、本実施の形態にあっては、前記ノズル群4'1〜4'6は、ノズル群41〜46と同様に、流管21〜26が装着され、従って吸引吐出機構41が搭載されているが、後述する1対の照射端組および受光端組(61,71)は設けられていない点で異なる。該ノズル群4'1〜4'6に対応する収容部列には光測定が行われる反応容器等が設けられていないからである。
該ノズルヘッド4は、該ノズルヘッド移動機構49によってY軸方向に移動可能なY軸移動体425に支持されている。前記ノズルヘッド移動機構49は、該電気泳動全自動処理装置100の基板13に設けられたY軸方向に敷設されたレール、Y軸方向に沿ってロータに掛け渡されたタイミングベルトを有し、前記Y軸移動体425は該タイミングベルトと連結し、該タイミングベルトによってY軸方向に移動可能となる。
図2、図3、図6または図7に示すように、該ノズルヘッド4の前記Y軸移動体425はそのX軸方向に延びる梁425aに設けられたモータ421と、該モータ421によって回転駆動される下方向に延びるように設けられたボール螺子422(図7参照)と、該ボール螺子422の回転によって、該ボール螺子422と螺合するナット部(図示せず)に取り付けられたZ軸移動体(前記ノズル支持体)44と、前記Y軸移動体425に設けられZ軸方向に沿って敷設された案内用レール(図示せず)が設けられている。
図2、図3、図6または図7に示すように、前記ノズルヘッド4の前記吸引吐出機構41は、前記Z軸移動体(前記ノズル支持体)44に支持された気体の吸引吐出用モータ411、該モータ411により回転駆動されるカップリング412を介して連結されたボール螺子と、該ボール螺子と螺合するナット部と連結して上下動可能なプランジャ駆動板413(図6参照)と、該プランジャ駆動板413と係合して複数(この例では6本)のシリンダ416内を摺動する複数(この例では、6本)のプランジャ414とを有する。なお、該プランジャ414はシリンダ416内に設けられたコイル状のばねが巻装されていて前記シリンダ416に対して常に下方向に付勢されている。
図2、図3、図6または図7に示すように、前記複数本のシリンダ416は、前記Z軸移動体44に取り付けられたシリンダ支持部材415にその上端で支持され、下方に延びその下端で前記Z軸移動体44に取り付けられたノズル支持部材417に取り付けられている。該ノズル支持部材417の下側にノズル群41〜46,4'1〜4'6のノズルが交互に配列され、かつ該ノズル支持部材417に対して移動可能に脱着部材452が設けられている。
図2、図3、図6または図7に示すように、前記ノズルヘッド4には、前記ノズル群41〜46,4'1〜4'6に装着された流管21〜26,21〜26を脱着するための脱着機構45を有し、該脱着機構45は前記脱着部材452を有し、該脱着部材452は前記ノズル群41〜46,4'1〜4'6の各ノズルの外径よりも大きいが、該ノズル群41〜46,4'1〜4'6nに装着される流管の外径よりも小さい内径をもち内部を前記各ノズルが貫通する脱着用の孔または隙間が形成されている。前記ノズル支持部材417の両端を通り、前記脱着部材452の両端に取り付けられたばね453を通り、下側が前記脱着部材452に固定され、上端が前記シリンダ支持部材415を貫通してその上側に達するが、前記プランジャ駆動板413の下側に所定距離を空けて位置する2本のポール451と、該ポール451の周囲を螺旋状に巻き付きその上端が該ポール451に取り付けられ、その下端がシリンダ支持部材415に取り付けられたばね453とを有する。前記プランジャ駆動板413が吸引吐出のための高さ位置よりも低い位置に移動させることで前記脱着部材452を下方向に移動させて前記流管の脱着を行う。前記プランジャ駆動板413を吸引吐出の高さ位置に戻せば、前記ばね453によって前記脱着部材452を元の位置にまで後退させる。
図2、図3、または図6に示すように、該ノズルヘッド4には、さらに、横断ヘッド46と、該横断ヘッドをX軸方向(行方向)に沿って移動させる横断ヘッド移動機構47が設けられている。したがって、横断ヘッド46自体はノズルヘッド4とともにY軸方向に移動可能である。横断ヘッド46は、ノズル461が支持されたノズル支持部材462と、該ノズル支持部材462上に設けられ前記ノズル461と連通するシリンダ466と、前記シリンダ466内を摺動するプランジャを上下方向に駆動するモータ464と、該プランジャを駆動するプランジャ駆動板467と、該プランジャ駆動板467の下側に所定距離を空けて位置する2本のポール463と、該ポール463の周囲を螺旋状に巻き付きその上端が該ポール463に取り付けられたばねとを有する。前記プランジャ駆動板467が吸引吐出のための高さ位置よりも低い位置で移動させることで脱着部材465を下方向に移動させて分注チップ20の脱着を行う。前記プランジャ駆動板467を吸引吐出の高さ位置に戻せば、前記ばねによって前記脱着部材465を元の位置にまで後退させる。なお、符号464は、吸引吐出のための前記プランジャを駆動するモータである。
該横断ヘッド46は、横断ヘッド移動機構47によって、X軸方向およびZ軸方向に移動可能に設けられている。該横断ヘッド移動機構47は、前記横断ヘッド46をZ軸方向に移動可能に取り付けたX軸移動体475と、該X軸移動体475をX軸方向に移動可能に支持するX軸移動体支持板473と、該X軸移動体支持板473に設けられ前記X軸移動体475と連結したタイミングベルト474と、該タイミングベルト474が架け渡されたプーリ474a,474bとを有する。前記X軸移動体475は、モータ472と、該モータ472によって回転駆動されるボール螺子476と、該ボール螺子476と螺合し前記横断ヘッド46が取り付けられたナット部とを有するものである。
図2、図3、図5または図6に示すように、本電気泳動全自動処理装置100には、さらに、前記可変ピッチ液収容架台36および該可変ピッチ液収容架台36を前記キャピラリー電気泳動部5と電気泳動前処理部3,4との間で移動可能とする架台移動部37が設けられている。
該可変ピッチ液収容架台36は、1列状に行方向(X軸方向)に沿って前記可変ピッチで配列された複数(この例では6個)の可動液収容部361〜366を有する第1の可動液収容部群および該第1の可動液収容部群と列方向(Y軸方向)に間隔を開けて設けられ前記第2のピッチで配列された複数(この例では6個)の可動液収容部36'1〜36'6を有する第2の可動液収容部群と、前記可変ピッチを、前記収容部群31〜36の第2のピッチから前記キャピラリー電気泳動部5に設けられた前記電気泳動用キャピラリー511〜516の第3のピッチに変換可能なピッチ変換機構とを有するものである。
該ピッチ変換機構は、架台本体361と、該架台本体361にX軸方向に沿って横設された案内用レール361aと、該案内用レール361aにX軸方向に沿って摺動可能に案内され、前記各可動液収容部群361〜366,36'1〜36'6の各群の対となる2個の可動液収容部が上端に設けられた並列に配列された6枚の支持プレート3651〜3656と、隣接する支持プレート間を連結する6本のリンク3661〜3666と、を有する。
前記支持プレート3651は前記架台本体361に固定され、前記案内用レール361aは、前記支持プレート3651に一端が支持され、他端は前記架台本体に設けられた側板361cに支持されている。隣接する前記支持プレート3651〜3656は、6本のリンク3661〜3666を介して所定の節点で回り対偶で結合されている。さらに、6枚の支持プレート3651〜3656の内、端の前記支持プレート3656を除く5枚の支持プレート3651〜3655を前記X軸方向に移動させるためのタイミングベルト364、および該タイミングベルト364が架け渡されたプーリ363a,363b、プーリ363aを回転駆動するモータ363が前記架台本体361に設けられている。前記他端の支持プレート3651は前記タイミングベルト364と結合している。
さらに、図2または図3または図6に示すように、前記架台移動部37は、前記架台本体361を、X軸方向に沿って、前記電気泳動前処理部3,4から電気泳動部5に移動するためのもので、前記可変ピッチ液収容架台36の前記可動液収容部361〜366,36'1〜36'6が設けられた支持プレート3651〜3656が摺動可能に収容された支持プレート収容部374と、前記架台本体361をX軸方向に沿って移動可能とするために該架台本体361に設けられた連結部362と連結するタイミングベルト372と、該タイミングベルト372が架け渡された第1のプーリ372aおよびモータ371によって回転駆動される第2のプーリ(図示せず)と、該可変ピッチ液収容架台36および架台移動部37を組み込んだ枠体373とを有する。
続いて、図4に基づいて、本発明の実施の形態に係る電気泳動全自動処理装置100のステージ3を説明する。
該ステージ3は、プレート状に形成され、複数(この例では12)列の前記収容部群31〜3n(各収容部群は2列からなり、n=6)が、列方向(Y軸方向)に沿ってカートリッジ容器として配列されている。各収容部群31〜3nは、定量PCRおよびサンガー法シーケンス反応が行われる反応領域32と、DNAの抽出、抽出液を収容する領域33、流管(2種類の分注用流管21〜26,21〜26,221〜226、(測光用)微小量分注用流管211〜216、穿孔用チップ231〜236,231〜236)が収容される流管収容領域31、サンプルが収容されるサンプル領域35、および前述した電気泳動用試料等が収容される可変ピッチ液収容架台36を有する。
前記反応領域32には、反応容器3211〜3216、測光が可能な反応容器3221〜3226、反応容器3211〜3216,3221〜3226の開口部を密閉可能な密閉蓋34を収容部する収容部341〜346が設けられている。なお、該密閉蓋34は、前記穿孔用チップ231〜236,231〜236または穿孔用部材123によって、穿孔可能に設けられている。
前記DNA抽出領域33には、サンプルから目的とする核酸を抽出するための抽出用試薬、磁性粒子懸濁液等を収容するカートリッジ容器332、サンプルからの抽出液を収容する抽出液チューブ331を有している。サンプル領域35には、例えば採血管351や1.5mlチューブ352が設けられている。
続いて、図2、図3、図6、および図7に基づいて、本発明の実施の形態に係る電気泳動全自動処理装置100の電気泳動部5について説明する。
該キャピラリー電気泳動部5には、内部にゲルが充填された複数本(この例では6本)の電気泳動用キャピラリー511〜516と、各該キャピラリー511〜516の一端部が挿入され、前記可変ピッチ液収容架台36に設けられて前記電気泳動前処理部3,4からX軸方向に移動して、前記第2のピッチから変換された第3のピッチで配列された6個の第1の可動液収容部群の可動液収容部361〜366と、各該キャピラリー511〜516の他端部が挿入されるべき泳動後収容部(図示せず)と、前記キャピラリー511〜516を前記一端部側において第3のピッチで保持する該キャピラリーホルダー52と、該キャピラリー511〜516を前記他端部側において保持するとともに、該キャピラリー511〜516の外側壁に近接または接触して設けた一対の照射端組および受光端組(63,73)を有するキャピラリーホルダー53と、前記キャピラリーホルダー52に保持されて前記可動液収容部361〜366内に挿入可能に設けた負電極541〜546と、前記キャピラリーホルダー53に保持されて前記泳動後収容部(図示せず)内に挿入可能に設けた正電極55とを有する。なお、前記電気泳動用キャピラリー511〜516の一端部および前記負電極541〜546は、前記可変ピッチ液収容架台36が、前記キャピラリー電気泳動部5に移動した後、一端部昇降機構(図示せず)により、前記キャピラリー511〜516の各一端部を下降させることによって第1の可動液収容部群の各可動液収容部361〜366内に挿入され、該一端部昇降機構によって該一端部を上昇させて、可動液収容部から抜出した後に該可変ピッチ液収容架台36が移動されることになる。
続いて、図7、図8、図9に基づいて、本実施の形態に係る電気泳動全自動処理装置100の光測定系について詳細に説明する。
図7は、本実施の形態に係る電気泳動全自動処理装置100の光選択測定部8の内、該装置100の背面に搭載された照射受光対選択測定部80を示すものであり、該照射受光対選択測定部80は、選択された所定の測定用光を出射するオンオフ可能な光源84と、受光した光を電気信号に変換するオンオフ可能な光電変換部83と、複数対接続端組配列体82と、対選択連動切換部81とを有する。
図7に示すように、該対選択連動切換部81は、測定端配列面813を有する複数対測定端組配列体811と、切換機構(814,815,816)とを有する。該切換機構には、前記ノズルヘッド4のY軸移動体425に取り付けられたプーリ815と、モータ816によって回転駆動されるプーリ(図示せず)と、該プーリ間にX軸方向に沿って掛け渡されたタイミングベルト814とを有し、該タイミングベルト814と連結した複数対接続端組配列体82が、X軸方向に沿って前記複数対測定端組配列体811に対して摺動可能に設けられている。
図8(a)は、本実施の形態の第1の実施例に係る光選択測定部8の1対の照射端組および受光端組(61,71)の照射受光対(611,711)〜(616,716)の一部を示すものであって、ノズル群41〜46に設けられているものである。
図8(b)は、1対の照射端組および受光端組(63,73)の照射受光対(631,731)〜(636,736)を示すものであって、前記電気泳動用キャピラリー511〜516の測定部に設けられており、例えば、照射端と受光端が各キャピラリー511〜516を例えば、径方向に対向して挟むように、各キャピラリーの外壁面に対して同一半径方向に揃えてまたは所定角度をもって設けられる。
図8(c)は、前記複数組の照射端組61,63および複数組の受光端組71,73の中から対となる照射端組および受光端組(61,71),(63,73)のいずれかを選択して、選択した組に属する照射端および受光端の各対を各照射受光対とし、照射端に所定の測定用光を順次供給し、前記受光端により順次受光した光の強度を順次測定する前記照射受光対選択測定部80を示すものである。
図8(c)は、該照射受光対選択測定部80の複数対接続端組配列体82および前記対選択連動切換部81の前記複数対測定端組配列体811とを示すものである。
該複数対接続端組配列体82は、一端部が2組の前記照射端組61,63の各他端部が各々有する照射接続端621〜626,641〜646が前記複数個(この例では6個)属する2組の照射接続端組62,64および、前記一端部が前記受光端組71,73の複数の受光端711〜716,731〜736を有する複数の導光路としての光ファイバ171,173の各他端部が各々有する受光接続端が複数個(この例では6個)属する2組の受光接続端組72,74があって、各同一の組に属する前記照射接続端または受光接続端が行方向(X軸方向)に沿って1列状に所定間隔で配列され、対となり得る異なる組に属する照射接続端および受光接続端同士は前記行方向(X軸方向)に直交する方向(この例では列方向、すなわちY軸方向)に沿って対間隔を隔てて並列に配列されている接続端配列面を有する複数対接続端組配列体82と、対選択連動切換部81の前記複数対測定端組配列体811とを有するものである。なお、それらと対となり得ない異なる組に属する照射接続端および受光接続端同士は、前記行方向(X軸方向)に沿って所定間隔空けた位置または列方向(Y軸方向)に前記対間隔と異なる対間隔を開けて並列に配列可能である(図12参照)。
該複数対測定端組配列体811は、図8(c)に示すように、オンオフ可能な前記光源84と光学的に接続され、前記照射接続端組62,64の照射接続端621〜626,641〜646と順次接続可能に設けられた1または2以上の照射測定端841a〜841d,842a〜842dが各々設けられた複数組の照射測定端組841,842と、オンオフ可能な前記光電変換部83と光学的に接続され、前記受光接続端組72,74の受光接続端721〜726,741〜746と順次接続可能に設けられた1または2以上の受光測定端831a〜831d,832a〜832dが各々設けられた複数組の受光測定端組831,832が平行に所定方向(この例ではX軸方向)に沿って配列された測定端配列面813を有する(対応関係は、符号順)。ここで、対となり得る照射測定端組841および受光測定端組831は、対となり得る前記対間隔を開けて設けられた各照射測定端および受光測定端(841a,831a)〜(841d,831d)ごとの対測定端体に分割可能な対測定端組配列体8111を形成し、対となり得る照射測定端組842および受光測定端組832は、対となり得る照射測定端および受光測定端(842a,832a)〜(842d,832d)ごとの対測定端体に分割可能な対測定端組配列体8112を形成している。該対測定端組配列体8111,8112には、各々該当する光源84および光電変換部83が各対測定端体ごとに1対ずつ含まれている。
ここで、前記接続端配列面と前記測定端配列面813は向き合い前記所定方向(この例では行方向、すなわち、X軸方向)に沿って摺動するように切換機構(814,815,816)によって前記複数対接続端組配列体82を前記複数対測定端組配列体811に対して相対的に移動させる。すると、対として選択された照射接続端組および受光接続端組(62,72),(64,74)に属する各接続端対(621,721)〜(626,726)、(641,741)〜(646,746)と、選択されてオン状態にある光源84と接続する照射測定端組および選択されてオン状態にある光電変換部83と接続する受光測定端組からなる第1の測定端組の対(841,831)に属する各測定端対(841a,831a)〜(841d,831d)、または第2の測定端組の対(842,832)に属する各測定端対(842a,832a)〜(842d,832d)との、各対同士の接続および遮断を可能にして、これらと接続する照射端および受光端の対(照射受光対)ごとに、オン状態にある前記光源およびオン状態にある前記光電変換部との接続または遮断が連動して順次行われる。なお、第1の測定端組の対または第2の測定端組の対の一方が選択されて該当する光源および光電変換部はオン状態となっている場合には、他方は選択されていないので、該当する光源および光電変換部はオフ状態となっている。
ここで、前記照射端組61の各照射端611〜616は、qPCRの測定に用いられるものであるので、これらと複数対接続端組配列体82の照射接続端組62の照射接続端621〜626および前記複数対測定端組配列体811の前記照射測定端組841の照射測定端841a〜841dを介して接続する光源84としては、例えば、4色の励起光(例えば、波長496nm、波長527nm、波長555nm、波長587nm)を出射する4種類のLEDである。すると、選択されて対となる受光端組71の各受光端711〜716は、これらと複数対接続端組配列体82の受光接続端組72の受光接続端721〜726および複数対測定端組配列体811の前記受光測定端組831の受光測定端831a〜831dを介して接続する光電変換部83としては、4色の蛍光を受光するための波長517nmのバンドパスフィルタを介して接続された高感度フォトダイオード、波長549nmのバンドパスフィルタを介して接続された高感度フォトダイオード、波長580nmのバンドパスフィルタを介して接続された高感度フォトダイオード、および波長599nmのバンドパスフィルタを介して接続された高感度フォトダイオードである。これらは、各々、蛍光物質FAM, HEX, TAMURA, ROXに対応するものである。
さらに、前記照射端組63の各照射端631〜636は、電気泳動用キャピラリー511〜516に関する測定に用いられるものであるので、これらと複数対接続端組配列体82の照射接続端組64の照射接続端641〜646および前記複数対測定端組配列体811の照射測定端組842の照射測定端842a〜842dを介して、例えば、4色の励起光を出射する4種類のLEDである。すると、選択されて対となる受光端組73の各受光端731〜736は、これらと複数対接続端組配列体82の受光接続端組741〜746および前記複数対測定端組配列体811の前記受光測定端組832の受光測定端832a〜832dを介して接続する該当する波長のバンドパスフィルタを介して接続された高感度フォトダイオードである。なお、前記複数対測定端組配列体811は、1対の照射測定端および受光測定端ごとに測定分割が可能となっていて、部分的に他の波長範囲をもつ光源および光電変換部と置き換えることが可能であり、汎用性がある。
図9(a)は、本発明の実施の形態に係るノズル4n(n=1〜6)および該ノズル4nと連通する吸引吐出機構41nを示すものである。該ノズル4nは前記流管2nの装着用開口部2bが装着可能に設けられ前記流管2nと連通する。該ノズル4nは内部に中空部が形成され、その中心軸を通る中央に前記導光路としての光ファイバ161n,171nが設けられその先端が1対の照射端61nおよび受光端71nに相当し、その下側にレンズ1nがノズル4nの先端部の中央に周囲にノズル4nの先端開口部と連通する隙間を設けた状態で支持されている。該隙間は吸引吐出用流路416dおよび吸引吐出口416eを介してシリンダ416と連通し、かつ横孔416gを通じて圧力センサ416fと連通している。
該シリンダ416内には、内部に空洞を有するとともに、該空洞と摺動可能に設けられたプランジャ414を有する。該空洞には、小径領域416a、該小径領域416aよりも内径が大きい大径領域416b、小径領域416aと大径領域416bの間に設けられた遊動領域416cが設けられ、前記プランジャ414は、前記小径領域416aと摺動する細軸部414a、前記大径領域416bと摺動する太軸部414bとを有し、前記遊動領域416c内では前記太軸部414b(したがって、細軸部414aも)は摺動せずに移動可能である。これによって、1の各ノズル41〜4nと連通する1の各吸引吐出機構411〜41nによって、微小量および大量の双方の体積の液体の分注を可能とするものである。
図9(b)は、反応容器322の開口部に装着された密閉蓋34に装着して該密閉蓋34の透光性を有する穿孔可能な透光膜34aを介して反応容器内の光学的状態を測定する場合を示すものである。
続いて、図10に基づいて、本発明の実施の形態に係る電気泳動全自動処理装置100の動作について、目的物質としてイヌゲノムの解析を行う場合を説明する。
前記電気泳動全自動処理装置100のステージ3上に設けられたサンプル領域35に設けられた採血管には、6匹の異なるイヌから採取された全血が収容されている。該全血からイヌゲノムを抽出し、抽出したDNAの濃度を測定して、その品質評価を行い、さらにそのイヌゲノムの塩基配列の解析を行う場合について説明する。
そのため、前記サンプル領域35の液収容部には、イヌの全血を生理食塩水で希釈化した血清溶液を収容しておく。また、前記DNA抽出領域33の各液収容部には、抽出用試薬、洗浄液を予めプレパックされている。
ステップS1で、前記操作パネル94により、前記サンプルからのイヌゲノムの処理を指示する。
ステップS2で、前記電気泳動全自動処理装置100のCPU+プログラム+メモリ9の前記抽出・反応制御部91は、前記ノズルヘッド移動機構49に支持して、前記ノズルヘッド4をY軸方向に移動して、前記流管収容領域31の収容されている穿孔用チップの上方にノズル群41〜46,4'1〜4'6を移動して、前記ノズルZ軸移動部42を用いて下降させることによって穿孔用チップ231〜236,231〜236を前記ノズル群41〜46,4'1〜4'6に装着し、前記ノズルヘッド移動機構49を用いて前記DNA抽出領域33の最初の液収容部の上方に前記穿孔用チップを位置させ前記ノズルZ軸移動部42によってノズルを下降させることで、前記液収容部の開口部を被覆するフィルムを穿孔し、同様にして、前記ノズルヘッド移動機構49によって、Y軸方向に移動させて他の液収容部および反応容器についても順次穿孔する。なお、前記DNA抽出領域33には、分離抽出用溶液を次のように収容する。例えば、第1の液収容部には、Lysis 1を40μL、第2の液収容部には、Lysis 2を200μL、第3の液収容部には、結合バッファ液を500μL、第4の液収容部には、磁性粒子懸濁液、第5の液収容部には、洗浄液1を700μL、第6の液収容部には、洗浄液2を700μL、第7の液収容部には解離液として蒸留水を50μL収容し、第8の液収容部には、前記タンパク質分離抽出用溶液の一部として、タンパク質の除去等に用いるイソプロピルアルコール(isopropanol)が収容されているものとする。これらは各収容部群31〜36の1列目の第1の収容部列(カートリッジ容器332)にのみ収容されている。
次に、前記ノズルヘッド移動機構49によって再度Y軸方向に移動させて、前記流管収容領域31にまで移動させて、穿孔用チップを前記脱着機構45により脱着させ、再度ノズルヘッド移動機構49をY軸方向に移動させ、ノズル群41〜46,4'1〜4'6を前記ノズルZ軸移動部42により下降させて、各収容部群31〜36の内の流管収容領域31の第1列目の収容部列にのみ収容されている分注用流管221〜226を前記ノズル群41〜46のみに装着させる(図4に示すように、流管収容領域31では、ノズル群4'1〜4'6に対応する収容部内は空になっている)。
次に、前記サンプルが収容されているサンプル領域35にまで移動した後、ノズルZ軸移動部42を用いて、流管221〜226の口部2aを下降挿入させて、前記吸引吐出機構41のプランジャ駆動板413を上昇および下降させることで該サンプル領域に収容されている全血の懸濁液について、吸引吐出を繰り返すことで該サンプルを液中に懸濁させた後、該サンプル懸濁液を流管221〜226内に吸引する。該サンプル検体懸濁液は前記ノズルヘッド移動機構49とによってY軸に沿って分離抽出用溶液としてのLysis 1 (酵素)が収容されている液収容部の第1の液収容部にまで移動させて、穿孔されたフィルムの孔を通して前記流管221〜226の口部2aを挿入して前記サンプル懸濁液と前記Lysis 1とを撹拌するため吸引吐出を繰り返す。
次に、撹拌した該液の全量を前記流管221〜226によって吸引し、前記温度昇降器39によって55℃に設定された温度制御可能な反応容器に収容してインキュベーションを行う。これによって、前記サンプルに含まれるタンパク質を破壊して低分子化する。所定時間経過後、該反応液を前記反応容器に残したまま、前記流管221〜226を前記ノズルヘッド移動機構49および前記吸引吐出機構41を用いて前記第2の液収容部に収容されている液の全量を吸引し、前記ノズルヘッド移動機構49により前記流管221〜226を用いて移送し、前記第3の液収容部内に前記フィルムの孔を貫通して前記口部を挿入して前記反応溶液を吐出する。
次に、該第3の液収容部内に収容されている分離抽出溶液としての結合バッファ液と前記反応溶液とを撹拌して、可溶化したタンパク質をさらに脱水させ、核酸等を溶液中に分散させる。
次に、該流管221〜226を用いて該第3の液収容部中にその口部を前記フィルムの孔を貫通して挿入し、全量を吸引してノズル移動部42により該流管221〜226を上昇させ、該反応溶液を第4の液収容部にまで移送し、該第4の液収容部内に収容されている磁性粒子懸濁液と該反応溶液とを撹拌する。該磁性粒子懸濁液内に含まれる磁性粒子の表面に形成された水酸基にNa+イオンが結合するカチオン構造が形成されている。そのために負に帯電したDNAが磁性粒子に捕獲される。
次に、前記流管221〜216の細管に前記磁力機構43の磁石を各流管221〜226に対応するようにY軸方向に延びる磁石支持部材に配列して設けられた磁石進退機構(図示せず)を用いて一斉にY軸方向に沿って接近させることによって該流管221〜226の細管の内壁に前記磁性粒子を吸着させる。該磁性粒子を該流管221〜226の細管の内壁に吸着させた状態で、前記ノズルZ軸移動部42により上昇させ、前記ノズルヘッド移動機構49を用いて該流管221〜226を該第4の液収容部から第5の液収容部にまで移動させ、前記フィルムの孔を貫通して前記細管を挿入する。
前記磁力機構43の前記磁石を該流管221〜226の細管から一斉に離間させることによって前記細管内への磁力を除去した状態で、該第5の液収容部に収容されている洗浄液1(NaCl, SDS, isopropanol)について吸引吐出を繰り返すことにより、前記磁性粒子を前記内壁から離脱させて洗浄液1中で攪拌することでタンパク質を洗浄する。その後、前記磁力機構43の磁石を再び前記流管221〜226の細管に接近させることで前記磁性粒子を細管の内壁に吸着させた状態で、前記流管221〜226を前記ノズルZ軸移動部42および前記ノズルヘッド移動機構49を用いて該第5の液収容部から第6の液収容部にまで移動させる。
次に、前記流管221〜226の細管をノズルZ軸移動部42を用いて前記フィルムの孔を貫通して挿入する。前記磁力機構43の磁石を前記流管221〜226の細管から離間させることで前記細管内への磁力を除去した状態で、該第6の液収容部に収容されている洗浄液2(isopropanol)について吸引吐出を繰り返すことで、前記磁性粒子を液中で攪拌させ NaClおよびSDSを除去し、タンパク質を洗浄する。その後、前記磁力機構43の磁石を再び前記流管221〜226の細管に接近させることで前記磁性粒子を細管の内壁に吸着させた状態で、前記流管221〜226を前記ノズルZ軸移動部42により上昇させた後、該第6の液収容部から蒸留水が収容されている前記第7の液収容部に前記ノズルヘッド移動機構49によって移動させる。
次に、前記ノズルZ軸移動部42によって、前記流管221〜226の細管を前記孔を通って下降させ、前記磁力を前記流管221〜226の細管内に及ぼした状態で、ゆっくりとした流速での前記蒸留水の吸引吐出を繰り返すことで、洗浄液2(isopropanol)を水と置き換えて除去する。その後、前記磁力機構43の磁石を前記流管221〜226の細管から離間させて磁力を除去した状態で前記磁性粒子を前記解離液としての蒸留水中で吸引吐出を繰り返すことで攪拌して、前記磁性粒子が保持していた核酸を磁性粒子から液中に解離(溶出)する。その後、前記流管221〜226の細管に前記磁石を接近させることで細管内に磁場を及ぼし磁性粒子を内壁に吸着させ、前記第8の液収容部内に前記抽出した核酸等を含有する溶液を残留させる。ノズルヘッド移動機構49により前記流管221〜226を前記流管収容領域31にまで移動させ、前記脱着機構45を用いて該ノズル41〜48から磁性粒子を吸着した該流管221〜226を前記磁性粒子と共に該収容部内に脱着させる。
ステップS3において、ステップS2で抽出されたDNAの内、少量の5μLについて、その濃度を測定するためFAM蛍光物質等を用いたリアルタイムPCR試薬を用いて測定する。
この例では、前記電気泳動全自動処理装置100の前記ステージ3には、図5におけるリアルタイムPCR測定用の反応容器3221〜3226には、増幅すべき目的核酸の増幅領域両端の2種類のプライマーに加えて、増幅領域内で相補的に結合する蛍光プローブとして、蛍光レポーターとその隣にクエンチャーを入れた4種対の塩基配列を持つもの、例えば、蛍光物質HEX、蛍光物質TAMURA、蛍光物質ROX、蛍光物質Texas Redで標識化したリアルタイムPCR試薬が収容されている。これらの試薬は、前記横断ヘッド46を用いて共通収容領域30から各反応容器に分注する。
次に、前記ノズルヘッド4をノズルヘッド移動機構49を用いて前記流管収容領域31の上方にまで移動させ、前記ノズルZ軸移動部42を用いて前記ノズル41〜46,4'1〜4'6を下降させることによって、微小量分注用流管211〜216をノズル41〜48のみに装着させる。該装着した流管211〜216を用いて前記第8の液収容部内に収容された抽出した核酸溶液、例えば、各50μLの内、少量、例えば、各5μLを吸引する。
ステップS4で、前記ノズルヘッド移動機構49を用いてY軸方向に移動し、かつノズルZ軸移動部42を用いてZ軸方向に移動して前記液収容部に収容されている前記抽出した核酸溶液の5μLを反応容器3221〜3226内に吐出収容し混合する。一方、第8の液収容部内に残された各45μLの核酸溶液については、前記ノズルヘッド移動機構49を用いてY軸方向に移動し、前記微小量分注用流管211〜216内に吸引し、前記可変ピッチ液収容架台36の1群の可動液収容部群36'1〜36'6に収容する。
次に、前記ノズルヘッド移動機構49によって、該流管211〜216を前記流管収容領域31の上方に位置付け、前記脱着機構45によって該流管211〜216を該流管収容領域31内に脱着する。該ノズルヘッド移動機構49によって該ノズル群41〜46,4'1〜4'6を前記反応領域32の密閉蓋収容部341〜346の上方に位置付け下降することによって該ノズル群41〜46に各収容部群31〜36の第1列目の収容部列にある密閉蓋34を装着させ、再び、該反応容器3221〜3226の上方に位置させた後、前記ノズルZ軸移動部42によってノズルを下降させて、該反応容器3221〜3226の開口部に密閉蓋34を嵌合させる。
次に、qPCR法に従い前記温度昇降器39によって、前記反応容器3221〜3226に対して一斉に温度制御を行いかつ増幅するとともに、前記光選択測定部8の前記照射受光対選択測定部80によって、該ノズル41〜46に設けられた1対の照射端組61および受光端組71が選択され、すなわち、複数対の照射端および受光端(611,711)〜(616,716)が選択され、したがって、複数対接続端組配列体82の対応する1対の照射接続端組62および受光接続端組72、したがって、複数対測定端組配列体811の1対の照射測定端組841,842および受光測定端組831,832が選択されて、前記複数対接続端組配列体82を、複数対測定端組配列体811に対してX軸方向に所定速度で移動させ、さらに、定められた所定周期で繰り返し往復移動させる。それによって、前記複数対接続端組配列体82の選択された1対の各接続端組(62,72)を順次該当する複数対測定端組配列体811の使用された蛍光物質に対応する1対の測定端組(841,831)に対して接続および遮断を繰り返す。その往復運動は、PCR法の1温度サイクル(例えば30秒で、例えば40サイクル繰り返される)に対し、例えば2〜3秒の所定周期で行うことで光学的な接続および遮断を繰り返させる。
なお、照射受光対の選択は、選択される1対の照射端組61および受光端組71と接続されるべき、前記1対の照射測定端組841および受光測定端組831と光学的に接続される光源84および光電変換部83をオン状態とし、それ以外の光源84及び光電変換部83をオフ状態とすることによって行われる。前記測光解析部93は、得られた蛍光強度を縦軸とし、前記各温度サイクルを横軸としてグラフ化すれば図11に示す増幅曲線が各々得られることになる。これによって、6個のサンプルについて同時に並行して増幅曲線を得ることができる。
ステップS5において、前記測光解析部93によって、核酸溶液中に目的核酸の量が十分存在するかどうかを判断し、十分に存在しない場合には、ステップS9に進み、処理は終了することになる。核酸溶液中に目的核酸の量が十分に存在すると判断された場合には、ステップS6に進む。
ステップS6において、前記可変ピッチ液収容架台36をX軸方向に沿って第1のピッチ分移動することによって、該可変ピッチ液収容架台36に設けられ前記核酸溶液45μLが収容されている前記可動液収容部36'1〜36'6を、各収容部群31〜36の第1の収容部列から第2の収容部列に沿った位置に移動させる。次に、前記ノズルヘッド4をノズルヘッド移動機構49を用いて前記流管収容領域31の上方にまで移動させ、前記ノズルZ軸移動部42を用いて前記ノズル群41〜46,4'1〜4'6を下降させることによって、分注用流管21〜26,21〜26をノズル群41〜46,4'1〜4'6に各々装着させる。該ノズルヘッド4をY軸方向に移動させて、前記可変ピッチ液収容架台36の上方に位置した後、下降させることによって、ノズル群4'1〜4'6に装着された分注用流管21〜26が該可動収容部36'1〜36'6内に挿入して前記核酸溶液45μLを吸引し、ノズル群41〜46に装着された分注用流管21〜26は、前記可動液収容部群361〜366,36'1〜36'6を支える支持プレート3651〜3656外の空間部分を下降し、該可変ピッチ液収容架台36に衝突することはない。可変ピッチ液収容架台36は第2のピッチを最大のピッチとする可変ピッチであるために隣接する可動液収容部間に隙間が形成されているからである。
該ノズル群4'1〜4'6に装着された流管21〜26に収容された前記45μLの核酸溶液を、前記ノズルヘッド4をY軸方向に移動させることによって、前記流管21〜26,21〜26を前記反応容器3211〜3216および該反応容器3211〜3216と交互に設けられている6個の逃げ孔324の上方に位置させた後、下降させることによって、ノズル群4'1〜4'6に装着された分注用流管21〜26が反応容器3211〜3216内に挿入して前記核酸溶液45μLを吐出し、ノズル群41〜46に装着された流管21〜26は、前記逃げ孔324内を下降し、該収容部群31〜36と衝突することはない。なお、該反応容器3211〜3216には、前記横断ヘッド46を用いて、予め共通収容領域30からサンガー法に基づき、プライマー、DNAポリメラーゼ、4種類の蛍光物質で標識化された標識化ジデオキシヌクレオチド(ddATP,ddGTP,ddCTP,ddTTP)が分注されている。
ステップS7において、前記ノズルヘッド7を前記流管収容領域31にまで移動して、前記流管21〜26,21〜26を一斉に前記流管脱着機構45により脱着させた後、前記ノズルヘッド7を密閉蓋収容部341〜346の上方に位置づけた後、下降することによって前記ノズル群41〜46に密閉蓋34を装着し、該ノズルヘッド7を反応容器3211〜3216の上方に位置した後、下降することで該密閉蓋34を開口部に嵌合させて、反応容器を密閉させた後、該反応容器3211〜3216を前記温度昇降器39を用いてPCR法により、目的核酸の断片の生成および増幅を行う。
次に、生成された断片化された核酸溶液は、前記ノズルヘッド4をY軸方向に移動して前記流管収容領域31の穿孔用チップ231〜236,231〜236の収容部上に位置した後、下降して各ノズル41〜48に装着し、再びY軸方向に移動して、前記反応容器3211〜3216を塞ぐ密閉蓋34を穿孔し、再び該ノズル41〜48,4'1〜4'6に前記流管21〜26,21〜26を装着し、生成された断片化された核酸溶液を該流管内に吸引し、該ノズルヘッド移動機構49を用いて、前記可変ピッチ液収容架台36の可動液収容部群361〜366に収容し、前記可変ピッチ液収容架台36は、架台移動部37によってX軸方向に移動して前記電気泳動部5に移動し、同時に、該可動液収容部361〜366のピッチを、第2のピッチから第3のピッチに変換する。
ステップS8において、生成された前記目的核酸の断片がランダムに含まれる電気泳動用試料が収容された前記各可動液収容部361〜366に前記電気泳動部5のn本(この例では6本)の前記電気泳動用キャピラリー511〜516の一端部および負電極541〜546が挿入され、前記電極対間に所定の電圧が印加されることで、前記目的核酸の断片が泳動する。
すると、前記光選択測定部8の前記照射受光対選択測定部80によって、前記電気泳動用キャピラリー511〜516の他端部の近くで該キャピラリー511〜516を保持するキャピラリーホルダー53に設けられて前記各電気泳動用キャピラリー511〜516の外側面に近接または接触する該1対の照射端組63および受光端組73が選択され、すなわち、複数対の照射端および受光端(631,731)〜(636,736)が選択され、したがって、複数対接続端組配列体82の対応する1対の照射接続端組64および受光接続端組74、したがって、複数対測定端組配列体811の対測定端組配列体8112に配列された1対の照射測定端組842および受光測定端組832が選択されて、前記複数対接続端組配列体82を、複数対測定端組配列体811に対してX軸方向に所定速度で移動させ、さらに、定められた所定周期で繰り返し往復移動させる。それによって前記複数対接続端組配列体82の選択された1対の各接続端組(64,74)を順次該当する複数対測定端組配列体811の使用された蛍光物質に対応する1対の測定端組(842,832)に対して接続および遮断を繰り返す。
なお、照射受光対の選択は、選択される1対の照射端組63および受光端組73と接続されるべき、前記1対の照射測定端組842および受光測定端組832と光学的に接続される光源84および光電変換部83をオン状態とし、それ以外の光源84及び光電変換部83をオフ状態とすることによって行われる。前記測光解析部93は、得られた蛍光強度を縦軸とし、検出時間(断片の大きさ)を横軸としてグラフ化すれば図14(a)に示すように各キャピラリーごとの各種類の蛍光強度のグラフが得られることになる。この蛍光強度のデータを重ねると図14(b)に示すように塩基配列が得られる。したがって、6個のサンプルについて同時に並行して塩基配列を決定することができる。なお、測光解析部93による解析の処理は前記解析工程での処理に相当する。
続いて、本発明の実施の形態に係る第2の実施例に係る光選択測定部8'を説明する。
図12(a)は、本発明の第2の実施例に係る光選択測定部8'の1対の照射端組および受光端組(61,71)の照射受光対(611,711)〜(616,716)の一部を示すものであって、ノズル群41〜46に設けられているものである。なお、第1の実施例に係る光選択測定部8と重複する部分については、同一の符号を用い、説明を省略することがある。
図12(b)は、照射端組および受光端組(63,73)の照射受光対(631,731)〜(636,736)を示すものであって、前記電気泳動用キャピラリー511〜516の測定部に設けられており、例えば、照射端と受光端が各キャピラリー511〜516を径方向に対向して挟むように、各キャピラリーの外壁面に対して同一半径方向に揃えてまたは所定角度をもって設けられる。
図12(c)は、1対の照射端組および受光端組(61,75)の照射受光対(611,751)〜(616,756)の一部を示すものであり、照射端組611〜616は、ノズル群41〜46に設けられ、各受光端組751〜756は、前記測光領域38にX軸方向(行方向)に沿って第2のピッチで配列され、かつ前記各収容部群31〜36の第1の収容部列に位置するように配列されている。また、前記各照射受光対の該照射端と受光端とは、ノズル41〜46に装着した流管の口部2aと装着用開口部2bを結ぶ垂直共通軸線上に位置付け可能に設けられている。
図12(d)は、前記複数組の照射端組61,63および複数組の受光端組71,73,75の中から対となる照射端組および受光端組(61,71),(63,73),(61,75)のいずれかを選択して、選択した組に属する照射端および受光端の対を照射受光対とし、照射端に所定の測定用光を順次供給し、前記受光端により順次受光した光の強度を測定する前記照射受光対選択測定部80を示すものである。
図12(d)は、該照射受光対選択測定部80'の複数対接続端組配列体82'および前記対選択連動切換部81'の前記複数対測定端組配列体811'とを示すものである。
該複数対接続端組配列体82'は、一端部が2組の前記照射端組61,63の各他端部が各々有する照射接続端621〜626,641〜646が前記複数個(この例では6個)属する2組の照射接続端組62,64および、前記一端部が前記受光端組71,73,75の複数の受光端711〜716,731〜736,751〜756を有する複数の導光路としての光ファイバ171,173,175の各他端部が各々有する受光接続端が複数個(この例では6個)属する3組の受光接続端組72,74,76があって、各同一の組に属する前記照射接続端または受光接続端が行方向(X軸方向)に沿って1列状に所定間隔で配列され、対となり得る異なる組に属する照射接続端および受光接続端同士は前記行方向(X軸方向)に直交する方向(この例では列方向、すなわちY軸方向)に沿って対間隔を開けて並列に配列されている接続端配列面を有する複数対接続端組配列体82'と、対選択連動切換部81'の前記複数対測定端組配列体811'とを有するものである。なお、それらと対となり得ない異なる組に属する照射接続端および受光接続端同士は、前記行方向(X軸方向)に沿って所定間隔空けた位置(図8参照)または列方向(Y軸方向)に前記対間隔と異なる対間隔を開けて並列に配列可能である。
該複数対測定端組配列体811'は、図12(d)に示すように、オンオフ可能な前記光源84と光学的に接続され、前記照射接続端組62,64の照射接続端621〜626,641〜646と順次接続可能に設けられた1または2以上の照射測定端841a〜841d,842a〜842d,843a,843bが各々設けられた複数組の照射測定端組841,842,843と、オンオフ可能な前記光電変換部83と光学的に接続され、前記受光接続端組72,74,76の受光接続端721〜726,741〜746,761〜766と順次接続可能に設けられた1または2以上の受光測定端831a〜831d,832a〜832d,833a,833bが各々設けられた複数組の受光測定端組831,832,833とが平行に所定方向(この例ではX軸方向)に沿って配列された測定端配列面813を有する(対応関係は、符号順)。ここで、対となり得る照射測定端組843および受光測定端組833は、対となり得る照射測定端および受光測定端(843a,833a)〜(843b,833b)ごとの各対測定端体に分割可能な対測定端組配列体8113を形成している。
ここで、前記接続端配列面と前記測定端配列面813は向き合い、前記所定方向(この例では行方向、すなわち、X軸方向)に沿って摺動するように切換機構(814,815,816)によって前記複数対接続端組配列体82を前記複数対測定端組配列体811に対して相対的に移動させる。すると、対として選択された照射接続端組および受光接続端組(62,72),(64,74),(62,76)に属する各接続端対(621,721)〜(626,726),(641,741)〜(646,746),(621,761)〜(626,766)と、選択されてオン状態にある光源84と接続する照射測定端組および選択されてオン状態にある光電変換部83と接続する受光測定端組からなる第1の測定端組の対(841,831)(対測定端組配列体8111に配列されている)に属する各測定端対(841a,831a)〜(841d,831d)、第2の測定端組の対(842,832)(対測定端組配列体8112に配列されている)に属する各測定端対(842a,832a)〜(842d,832d)、または第3の測定端組(対測定端組配列体8113に配列されている)に属する各測定端対(843a,833a)〜(843b,833b)との、各対同士の接続および遮断を可能にして、これらと接続する照射端および受光端の対(照射受光対)ごとに、オン状態にある前記光源およびオン状態にある前記光電変換部との接続または遮断が連動して順次行われる。なお、第1の測定端組の対、第2の測定端組の対および第3の測定端組の3つの内の1が選択されて該当する光源および光電変換部はオン状態となっている場合には、他の2は選択されていないので、該当する光源および光電変換部はオフ状態となっている。前記対測定端組配列体8113には該当する光源84および光電変換部83が各対測定端体ごとに1対ずつ含まれている。
ここで、第2の実施例にあっては、第1の実施例で説明したqPCRの測定に追加し、吸光度の測定をも可能とするものであり、これによって、qPCRの代わりに吸光度を測定することで核酸の濃度を測定に用いることができる。
この場合、前記照射端組61の各照射端611〜616は、複数対接続端組配列体82の照射接続端組62の照射接続端621〜626および複数対測定端組配列体811'の前記照射測定端組843の照射測定端843a,843bを介して、光源84として、例えば、波長260nmおよび波長280nmの紫外線を各々出射する重水素ランプをオン状態とし他の光源をオフ状態として、光学的に接続する。すると、選択されて対となる受光端組75の各受光端751〜756は、複数対接続端組配列体82'の受光接続端組76の受光接続端761〜766および複数対測定端組配列体811'の前記受光測定端組833の受光測定端833a,833bを介して、光電変換部83としてラインセンサ型分光光度計をオン状態とし、他の光電変換部をオフ状態として、光学的に接続する。
該第2の実施例にあっては、第1の実施例の場合と異なり、ステップS4では、目的核酸の品質評価処理としてqPCR法の代わりに、該核酸溶液の吸光度を測定することによって目的核酸の量を測定する。
図2、図4、図12および図13に基づいて説明する。なお、第1の実施例と重複する部分については説明を省略した。ステップS4として、前記微少量分注用流管211〜216を用いて前記第8の液収容部内に収容された抽出した核酸溶液5μLを吸引した際に、前記ノズルZ軸移動部42により上昇させた後、前記ノズルヘッド移動機構49を用いて前記ステージ3の前記測光領域38の受光端751〜756の上方であって、前記ノズル41〜46の下端に設けた照射端611〜616と前記受光端751〜756が、該流管211〜216の口部2aと装着用開口部2bを結ぶ垂直共通軸線上にくるように位置付ける。
次に、前記光選択測定部8'の前記照射受光対選択測定部80'によって、該ノズル41〜46に設けられた1対の照射端組61および受光端組75が選択され、すなわち、複数対の照射端および受光端(611,751)〜(616,756)が選択され、したがって、複数対接続端組配列体82'の対応する1対の照射接続端組62および受光接続端組76、したがって、複数対測定端組配列体811'の1対の照射測定端組843および受光測定端組833が選択されて、前記複数対接続端組配列体82を、複数対測定端組配列体811'に対してX軸方向に所定速度で移動させ、さらに、定められた所定周期で繰り返し往復移動させる。前記測定端それによって前記複数対接続端組配列体82'の選択された1対の各接続端組(62,76)を順次該当する複数対測定端組配列体811'の対応する1対の測定端組(843,833)に対して接続および遮断を繰り返す。図13(b)はその接続および遮断の様子を示すものである。
これによって、例えば、重水素ランプ(またはキセノンランプ)による前記白色光の光源84をオン状態とし、例えば波長260nmおよび280nmの白色光(紫外線を含む)の測定用光を照射し、受光端751〜756に設けられたレンズを介して受光された前記溶液の透過光の強度を前記測定端組832から分光器を介して波長260nmおよび280nmに対する前記光電変換部83をオン状態にして電気信号としての強度データを得る。
次に、前記制御部としてのCPU+プログラム+メモリ9の前記測光解析部93によって、前記強度データI0および前記強度データIに基づいて、前記核酸溶液の吸光度を得る。
すなわち、前記測光解析部93は、前述したように、予め求めた入射光強度I0から、化学物質溶液Aの波長λの吸光度が Aλ=−log10(I/Io)より得られる。すると、化学物質溶液Aの濃度をcとすると、化学物質溶液A(dNTP)の既知の吸光係数ε(モル吸光係数、=0.002mg/mL)を用い、例えば、光路長Lより、前記関係式 Aλ=εcLから濃度cを求めることができる。
その際、前記吸光度曲線のピークの波長λ=260nm、280nmにおける吸光度A260かA280から、その光路長Lまたは液量を用いて、予め得られた関係式から濃度cを得るのが好ましい。図13は、このようにして得られた前記犬の全血から抽出されたイヌゲノムの核酸溶液を収容した流管211〜216に対応した各核酸溶液の強度データを示すものである。吸光度A260の例を示すものであり、前記測光解析部93は、予め得られた関係式を用いて吸光度A260かA280から濃度を得ることができる。図13(c)の縦軸は波長260nm、および280nmにおける強度データIを示すものであり、横軸は前記各流管211〜216、およびノズル41〜46の照射受光対に対応する前記複数対接続端組配列体82'と前記複数対測定端組配列体811'に対するX軸方向に沿ったX座標を表す。測定は所定速度、例えば、X軸方向に沿って、例えば、0.1mmを1msecの速さで一方向に進みながら1の所定周期(1秒)内で順次測定を行ったものである。
以上の説明では、6本の電気泳動用キャピラリーおよび流管が設けられ、6群の収容部群が設けられている場合のみについて説明したが、6に限定されることはない。また、対となる照射端および受光端は入れ換えることが可能であり、以上の説明の場合に限られない。
さらに、以上説明した各構成要素の形状、構造、機能は、実施の形態で説明した例のみに限られることはない。例えば、以上の説明では、ノズルヘッド移動機構はタイミングベルトを用い、ノズル移動部はボール螺子を用いた場合について説明したが、タイミングベルトとボール螺子は任意に入れ換えることが可能であり、その他の機構を用いても同様に構成することができる。以上の説明において、X軸、Y軸、Z軸は直交座標系をなすものとする。また、行方向および列方向はX軸方向およびY軸方向に相当するとしたが、Y軸方向およびX軸方向に相当するとしても良い。
以上の説明では分光器を受光部側に用いて吸光度を測定したが、フィルタを用いて測定することも可能である。分光器として光電変換部をもその内部に含むようなマルチチャネル分光器等を用いる場合には、前記受光切換部は不要となる。また、照射部側についても分光器またはフィルタを用いることも可能である。
また、以上の説明では、化学物質として核酸を測定対象としたが、該場合に限られることなく、その他の高分子物質、例えば、アミノ酸、タンパク質、糖鎖、脂肪等や、磁性体等の固形物、泡、気体、または液体等の各種化学物質を含有する各種液量の化学物質溶液であっても良い。
目的物質としてタンパク質を主として分子サイズの違いを電気泳動法により測定するには、例えば、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いる。この場合、選択された前記キャピラリーに設けられた1対の照射端組および受光端組(63、73)に属する照射受光端対(631,731)〜(636,736)は、1対の照射接続端組および受光接続端組(64,74)に属する1対の照射接続端および受光接続端(641,741)〜(646,746)を介して、1対の照射測定端組および受光測定端組(842,832)に属する1対の照射測定端および受光測定端(842a,832a)〜(842b,832b)を有する対測定端組配列体と光学的に接続することになる。その際、該対測定端組配列体を形成する分割可能な各対測定端体は波長260nmまたは280nmの紫外線を各々出射する重水素ランプと光学的に接続するものと置き換えられ、該重水素ランプをオン状態とし他の光源をオフ状態とし、かつラインセンサ型分光光度計をオン状態とし他の光電変換部をオフ状態とすることによって、前記電気泳動用キャピラリー511〜516内の紫外線を用いた吸光度を測定することによって行う。
なお、以上の説明において、対となる照射端組および受光端組(61,71),(61,75),(61,77),(63,73)において、必要な修正および入れ換えを行うことで照射端と受光端を入れ換えて使用することが可能である。