JP4441923B2 - 板状部材の分割方法及び分割装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置や電子部品等のチップを製造する板状部材の分割方法及び分割装置に係り、特に、ウエーハの裏面を研削して所定の厚さに加工した後、レーザー光による改質領域形成加工を行い個々のチップに分割するのに好適な板状部材の分割方法及び分割装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、スマートカードに代表される薄型ICカード等に組込まれる極薄のICチップが要求されるようになってきている。このような極薄のICチップは、100μm以下の極薄のウエーハから個々のチップに分割することによって製造されている。
【0003】
このような背景の下に、従来の半導体装置や電子部品等の板状部材の分割方法は、図10のフローチャートに示されるように、先ず表面に半導体装置や電子部品等が多数形成されたウエーハの表面を保護するために、片面に粘着剤を有する保護テープをウエーハ表面に貼る保護テープ貼付工程が行われる(ステップS101)。次いで、ウエーハを裏面から研削して所定の厚さに加工する裏面研削工程が行われる(ステップS103)。
【0004】
裏面研削工程の後、片面に粘着剤を有するダイシングテープを用いてウエーハをダイシング用フレームに取り付けるフレームマウント工程が行われ、ウエーハとダイシング用のフレームとが一体化される(ステップS105)。次いで、この状態でウエーハをダイシングテープ側で吸着し、表面に貼付されている保護テープを剥離する保護テープ剥離工程が行われる(ステップS107)。
【0005】
保護テープが剥離されたウエーハは、フレームごとダイシングソーに搬送され、高速回転するダイヤモンドブレードで個々のチップに切断される(ステップS109)。次いで、エキスパンド工程でダイシングテープが放射状に引き伸ばされて、個々のチップの間隔が広げられ(ステップS111)、チップマウント工程でリードフレーム等のパッケージ基材にマウントされる(ステップS113)。
【0006】
ところが、この従来の板状部材の分割方法では、ウエーハの裏面研削時にウエーハの表面の汚染防止のための保護テープと、ダイシング以後のチップを保持するためのダイシングテープとを必要とし、消耗品費用の増大につながっていた。
【0007】
また、厚さ100μm以下の極薄のウエーハの場合、この従来のダイシングソーで切断する方法では、切断時にウエーハにチッピングや割れ欠けが生じ、良品チップを不良品にしてしまうという問題があった。
【0008】
この切断時にウエーハにチッピングや割れ欠けが生じるという問題を解決する手段として、従来のダイシングソーによる切断に代えて、たとえば、特許文献1〜特許文献6等に記載されたウエーハの内部に集光点を合わせたレーザー光を入射し、ウエーハ内部に多光子吸収による改質領域を形成して個々のチップに分割するレーザー加工方法に関する技術が提案されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−192367号公報
【0010】
【特許文献2】
特開2002−192368号公報
【0011】
【特許文献3】
特開2002−192369号公報
【0012】
【特許文献4】
特開2002−192370号公報
【0013】
【特許文献5】
特開2002−192371号公報
【0014】
【特許文献6】
特開2002−205180号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特許文献で提案されている技術は、従来のダイシングソーによるダイシング装置に代えて、レーザー光を用いた割断技術によるダイシング装置を提案したもので、切断時にウエーハにチッピングや割れ欠けが生じるという問題は解決するものの、エキスパンド工程において分割されるチップの端面形状が不良となる問題点を生じる。
【0016】
図11及び図12は、この現象を説明する概念図である。図11において、ウエーハWの裏面にダイシングテープSが貼付されており、ダイシングテープSの周縁部は枠状のフレームFに固定されている。レーザー光によりウエーハWに碁盤の目状の改質領域Kが形成される。次いで、エキスパンド工程において、ダイシングテープSが伸長され、その結果、ウエーハWが改質領域を起点として分割され、複数のチップTとなる。
【0017】
エキスパンド工程におけるダイシングテープSの伸長は、たとえば、ダイシングテープSのフレームFとウエーハWとの間の輪環状部分に円筒状のリング部材を下から押し上げることによりなされる。
【0018】
図12は、エキスパンド工程におけるウエーハWの分割を説明する概略図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、断面図である。同図(b)に示されるように、レーザー光により形成される改質領域Kは、ウエーハWの内部に存在する。
【0019】
エキスパンド工程において、図12(a)に示されるように左右方向に均等な張力が加えられた場合、線状の改質領域Kの割断起点が不安定となり、分割されるチップの端面形状が直線状にならずに不良となることが多い。
【0020】
また、エキスパンド工程において、ダイシングテープSの伸長が、前記のような円筒状のリング部材により行われた場合、最初に割断された線の部分のダイシングテープSが大きく伸長し、他の部分の割断予定線(改質領域K)での割断が行われずに、ウエーハWの分割が不良となる問題も生じている。
【0021】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ウエーハの裏面を研削して所定の厚さに加工した後、レーザー光による改質領域形成加工を行い個々のチップに分割する際に、チッピングや割れ欠けが生じることがなく、端面形状が良好な極薄のチップを確実に製造することのできる板状部材の分割方法及び分割装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、硬脆材よりなる板状部材の表面又は内部に線状の改質領域を形成し、該線状の改質領域に沿って前記板状部材を分割することにより複数枚の基板を得る板状部材の分割方法において、前記板状部材の表面にテープを貼付するテープ貼付工程と、前記テープが貼付された板状部材の表面又は内部に改質領域を形成する改質領域形成工程と、前記改質領域形成工程の後、前記テープに張力を与えて引き伸ばすエキスパンド工程と、を有する板状部材の分割方法であって、前記エキスパンド工程において、前記テープと略同一の平面サイズを有し、第1層と第2層の2つの層からなり、縦弾性係数が前記テープより大であって、前記第2層が前記第1層より縦弾性係数が大であるシート材を、前記テープの前記板状部材が貼付された側の反対側に配し、前記シート材の前記板状部材が貼付された側とこの反対側とに圧力差を設け、前記シート材を前記テープの側に凸状に撓ませることを特徴とする板状部材の分割方法を提供する。
【0023】
本発明によれば、エキスパンド工程において、テープを板状部材が貼付された側に凸状に撓ませる。テープを板状部材が貼付された側に凸状に撓ませた場合には、テープが全面に亘って略均一に延伸され、線状の改質領域Kより割断が行える。その結果、分割不良やチッピングや割れ欠けが生じることがなく、端面形状が良好な極薄のチップを確実に製造することができる。
【0024】
また、テープを板状部材が貼付された側に凹状に撓ませた場合であっても、テープに張力を加えて引き伸ばす方式と組み合わせれば、テープが全面に亘って略均一に延伸され、線状の改質領域Kより割断が行える。その結果、分割不良やチッピングや割れ欠けが生じることがなく、端面形状が良好な極薄のチップを確実に製造することができる。
【0025】
本発明において、前記エキスパンド工程において、前記テープの前記板状部材が貼付された側とこの反対側とに圧力差を設けることが好ましい。このように、テープの表裏に圧力差を設ければ、テープを板状部材が貼付された側に凹状に又は凸状に撓ませることが容易となるからである。
【0026】
また、本発明において、前記エキスパンド工程において、前記板状部材と略同一の平面サイズを有し、かつ、断面が凸状になっている型押し板を、前記テープの前記板状部材が貼付された側の反対側に配し、前記型押し板を前記テープに押しつけることが好ましい。このような型押し板を使用しても、テープを板状部材が貼付された側に凸状に撓ませることが容易となるからである。
【0027】
また、本発明において、前記エキスパンド工程において、前記テープと略同一の平面サイズを有し、かつ、縦弾性係数が前記テープより大であるシート材を、前記テープの前記板状部材が貼付された側の反対側に配し、前記シート材を前記テープの側に凸状に撓ませることが好ましい。
【0028】
このように、シート材を、テープの板状部材が貼付された側の反対側に配し、このシート材をテープの側に凸状に撓ませることにより、テープが全面に亘って略均一に延伸されるからである。また、このようなシート材を装置に固定しておけば、テープの両面側に圧力差を設ける構成に比べて、シート材の両面側に圧力差を設けることが容易となり、使用上便宜だからである。すなわち、テープの両面側に圧力差を設ける構成は、テープと装置との間のシールを考慮する必要があるが、シート材を装置に固定しておく構成では、このような必要がないからである。
【0029】
また、本発明において、前記改質領域形成工程において、前記板状部材にレーザー光を入射させ、前記板状部材の表面又は内部に改質領域を形成することが好ましい。板状部材の表面に線状の改質領域を形成する方法は、ダイシング、スクライビング等の方法でも可能であるが、レーザー光を使用すれば、生産性、ランニングコスト、品質等の各面で優位性が発揮できるからである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って、本発明に係る板状部材の分割方法及び分割装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0031】
図1は、本発明の板状部材の分割方法に係る第1の実施形態を表わすフローチャートである。この第1の実施形態では、先ず、表面側に多数のIC回路が形成されたウエーハの裏面側をテーブルに載置し、次いで、リング状のダイシング用フレームをウエーハの外側に配置する。次いで、上方から片面に紫外線(以下UVと称す)硬化型粘着剤を有するダイシングテープをフレームとウエーハの表面とに貼付し、ウエーハをフレームにマウントする(ステップS11)。この状態でウエーハの表面はダイシングテープで保護されるとともに、フレームと一体化されているので搬送性がよい(以上、テープ貼付工程に相当)。
【0032】
次いで、バックグラインダでウエーハの裏面が研削され所定の厚さ(たとえば50μm)近傍まで加工される。研削の後は、研削時に生成された加工変質層を研磨加工で除去する。ここで用いられるバックグラインダは、研磨機能付きのポリッシュグラインダであり、研削後にウエーハの吸着を解除せずに、そのまま研磨して加工変質層を除去できるので、厚さ30μm程度であっても破損することがない。研磨されたウエーハはバックグラインダに設けられた洗浄、乾燥装置で洗浄され、乾燥される(ステップS13)。
【0033】
次いで、所定の厚さに加工されたウエーハは、研磨機能付きのポリッシュグラインダに組込まれているレーザーダイシング装置で、個々のチップに分割されるべくダイシングされる。ここではウエーハはフレームごとテーブルに吸着され、ダイシングテープを介してウエーハの表面側からレーザー光が入射される。レーザー光の集光点がウエーハの厚さ方向の内部に設定されているので、ウエーハの表面を透過したレーザー光は、ウエーハ内部の集光点でエネルギーが集中し、ウエーハの内部に多光子吸収による改質領域が形成される(以上、改質領域形成工程に相当)。これによりウエーハは分子間力のバランスが崩れ、自然に割断するかあるいは僅かな外力を加えることにより割断されるようになる(ステップS15)。
【0034】
図2は、ポリッシュグラインダに組込まれているレーザーダイシング装置を説明する概念図である。レーザーダイシング装置10は、同図に示されるように、マシンベース11上にXYZθテーブル12が設けられ、ウエーハWを吸着載置してXYZθ方向に精密に移動される。同じくマシンベース11上に設けられたホルダ14にはダイシング用の光学系13が取り付けられている。
【0035】
光学系13にはレーザー光源13Aが設けられ、レーザー光源13Aから発振されたレーザー光はコリメートレンズ、ミラー、コンデンスレンズ等の光学系を経てウエーハWの内部に集光される。ここでは、集光点におけるピークパワー密度が1×108(W/c m2 )以上でかつパルス幅が1μs以下の条件で、ダイシングテープに対して透過性を有するレーザー光が用いられる。なお、集光点の厚さ方向位置は、XYZθテーブル12のZ方向微動によって調整される。
【0036】
また、図示しない観察光学系が設けられており、ウエーハ表面に形成されているパターンを基にウエーハのアライメントが行われ、レーザー光の入射位置が位置決めされる。アライメントが終了すると、XYZθテーブル12がXYに移動してウエーハのダイシングストリートに沿ってレーザー光が入射される。
【0037】
図1に示されるステップS15のレーザーダイシングの後は、ダイシングテープを放射状に伸延させ各チップ間の隙間を広げるエキスパンド工程が行われる(ステップS17)。この詳細については、後述する。
【0038】
ダイシングテープがエキスパンドされた状態でダイシングテープ側からUVを照射し、ダイシングテープの粘着剤を硬化させ粘着力を低下させる。なお、このUV照射は、ダイシング工程の最後に行ってもよい。
【0039】
次いで、エキスパンドされた状態で1個のチップがダイシングテープ側から突き上げピンで突き上げられてダイシングテープから剥離され、ピックアップヘッドで吸引され、表裏反転されてチップマウント用のコレットに吸引され、リードフレーム等のパッケージ基材にマウントされる(ステップS19)。チップマウント工程後は、ワイヤボンディング、モールディング、リード切断成形、マーキング等のパッケージング工程が施されICが完成される。以上が第1の実施形態の概略である。
【0040】
次にエキスパンド工程の詳細について説明する。図3は、本発明に係る板状部材の分割方法の原理を説明する概念図であり、図4は、第1の実施形態の概要を示す断面図である。
【0041】
本実施形態においては、エキスパンド工程において、ダイシングテープSを板状部材であるウエーハWが貼付された側に凸状に撓ませる分割方法が採用されている。そして、ダイシングテープSを凸状に撓ませるために、ダイシングテープSのウエーハWが貼付された側とこの反対側とに圧力差を設ける構成が採用されている。
【0042】
図3に示されるように、レーザー光により形成される改質領域Kは、ウエーハWの内部に存在する。同図に示されるように、ダイシングテープSのウエーハWが貼付された側とこの反対側との圧力差pにより、ダイシングテープSが凸状に撓み、これにより、ダイシングテープSに張力Pが加わる。その結果、線状の改質領域Kの割断起点よりウエーハWが分割され、複数のチップTとなる。このように、ダイシングテープSが均一に伸長されるので、チッピングや割れ欠けが生じることがなく、端面形状が良好な極薄のチップを製造することができる。
【0043】
図4は、このような分割方法を行うための分割装置20である。同図に示されるように、分割装置20の装置本体22には、ウエーハWと略同一平面サイズの凹陥部24が形成されている。ダイシングテープSの周縁部を固定するフレームFは、装置本体22の凹陥部24の周縁に固定されている。この状態で、凹陥部24に圧縮エアを供給し、ダイシングテープSのウエーハWが貼付された側とこの反対側とに圧力差を設けることにより、ダイシングテープSが凸状に撓み、これにより、線状の改質領域Kの割断起点(図3参照)よりウエーハWが分割され、複数のチップTとなる。
【0044】
以上説明した第1の実施形態によれば、エキスパンド工程において、ダイシングテープSを板状部材が貼付された側に凸状に撓ませる。ダイシングテープSを板状部材が貼付された側に凸状に撓ませた場合には、ダイシングテープSが全面に亘って略均一に延伸され、線状の改質領域Kより割断が行える。その結果、分割不良やチッピングや割れ欠けが生じることがなく、端面形状が良好な極薄のチップを確実に製造することができる。
【0045】
次に、本発明に係る第2の実施形態について、図5及び図6に基いて説明する。この第2の実施形態は前述の第1の実施形態と比べ、エキスパンド工程のみが異なっている。したがって、共通の工程についての詳細な説明は省略する。
【0046】
図5は、本発明に係る板状部材の分割方法の原理を説明する概念図であり、図6は、第2の実施形態の概要を示す断面図である。
【0047】
本実施形態においては、エキスパンド工程において、ダイシングテープSを板状部材であるウエーハWが貼付された側に凹状に撓ませる分割方法が採用されている。そして、ダイシングテープSを凹状に撓ませるために、ダイシングテープSのウエーハWが貼付された側とこの反対側とに圧力差を設ける構成が採用されている。
【0048】
図5に示されるように、レーザー光により形成される改質領域Kは、ウエーハWの内部に存在する。同図に示されるように、ダイシングテープSのウエーハWが貼付された側とこの反対側との圧力差pにより、ダイシングテープSが凹状に撓む。同時に、ダイシングテープSを周縁に伸長させるように張力Pが加えられる。これにより、線状の改質領域Kの割断起点よりウエーハWが分割され、複数のチップTとなる。このように、ダイシングテープSが均一に伸長されるので、チッピングや割れ欠けが生じることがなく、端面形状が良好な極薄のチップを製造することができる。
【0049】
単にダイシングテープSをウエーハWが貼付された側に凹状に撓ませた場合には、ウエーハWの分割予定箇所に圧縮力が加わり、その結果、この箇所にチッピングや割れ欠けが生じることがあるが、図5に示されるように、ダイシングテープSに張力Pを加えて引き伸ばす方式と組み合わせれば、ダイシングテープSが全面に亘って略均一に延伸され、線状の改質領域Kより割断が行える。その結果、分割不良やチッピングや割れ欠けが生じることがなく、端面形状が良好な極薄のチップを確実に製造することができる。
【0050】
図6は、このような分割方法を行うための分割装置30である。同図に示されるように、分割装置30の装置本体32には、ウエーハWと略同一平面サイズの凹陥部34が形成されている。ダイシングテープSの周縁部を固定するフレームFは、既述の図11に示されるものと異なり、図7に示されるように、たとえば4分割されている。4分割された各フレームFは、それぞれ上フレームF1と下フレームF2とよりなり、上フレームF1と下フレームF2とでダイシングテープSの周縁部を挟んで固定する構成となっている。
【0051】
図6に示されるこの状態で、凹陥部24を真空ポンプの吸引により減圧状態とし、ダイシングテープSのウエーハWが貼付された側とこの反対側とに圧力差を設けることにより、ダイシングテープSを凹状に撓ませ、同時に、ダイシングテープSを周縁に伸長させるように、図7に示されるように張力Pを加える。これにより、線状の改質領域Kの割断起点(図5参照)よりウエーハWが分割され、複数のチップTとなる。
【0052】
分割されたそれぞれのフレームFに独立して張力を加えるための機構としては、公知の各種直動装置が採用できる。たとえば、モータとねじ(シャフトとしての雄ねじと軸受としての雌ねじとの組み合わせ)よりなる直動装置が採用できる。
【0053】
なお、図7に示されるように分割されたフレームFを使用せず、既述の図11に示されるフレームFを使用してダイシングテープSを周縁に伸長させるように張力を加える構成も採用できる。たとえば、ダイシングテープSのフレームFとウエーハWとの間の輪環状部分に円筒状のリング部材を下から押し上げることによりダイシングテープSを周縁に伸長させる構成が採用できる。
【0054】
以上説明した第2の実施形態によれば、エキスパンド工程において、ダイシングテープSを板状部材が貼付された側に凹状に撓ませる。この場合であっても、ダイシングテープSに張力を加えて引き伸ばす方式と組み合わせたので、ダイシングテープSが全面に亘って略均一に延伸され、線状の改質領域Kより割断が行える。その結果、分割不良やチッピングや割れ欠けが生じることがなく、端面形状が良好な極薄のチップを確実に製造することができる。
【0055】
次に、本発明に係る第3の実施形態について、図8に基いて説明する。この第3の実施形態は前述の第1、第2の実施形態と比べ、エキスパンド工程のみが異なっている。したがって、共通の工程についての詳細な説明は省略する。
【0056】
図8は、本発明に係る板状部材の分割方法の第3の実施形態の概要を示す概念図である。本実施形態においては、エキスパンド工程において、ダイシングテープSを板状部材であるウエーハWが貼付された側に凸状に撓ませる分割方法が採用されている。そして、ダイシングテープSを凸状に撓ませるために、ウエーハWと略同一の平面サイズを有し、かつ、断面が凸状になっている型押し板40を、ダイシングテープSのウエーハWが貼付された側の反対側に配し、型押し板40をダイシングテープSに押しつける構成が採用されている。
【0057】
図8に示されるように、レーザー光により形成される改質領域Kは、ウエーハWの内部に存在する。同図に示されるように、型押し板40の上昇によりダイシングテープSが凸状に撓み、これにより、ダイシングテープSに張力Pが加わる。その結果、線状の改質領域Kの割断起点よりウエーハWが分割され、複数のチップTとなる。このように、ダイシングテープSが均一に伸長されるので、チッピングや割れ欠けが生じることがなく、端面形状が良好な極薄のチップを製造することができる。
【0058】
型押し板40の断面形状は、ダイシングテープSの伸長を均一にするものであれば、各種の形状が採用できる。また、型押し板40の材質、型押し板40を上昇させる高さ、型押し板40を上昇させる際の速度等も、ダイシングテープSの伸長を均一にさせる限りにおいて、任意の値が選択できる。
【0059】
以上説明した第3の実施形態によれば、エキスパンド工程において、ダイシングテープSを板状部材が貼付された側に凸状に撓ませる。ダイシングテープSを板状部材が貼付された側に凸状に撓ませた場合には、ダイシングテープSが全面に亘って略均一に延伸され、線状の改質領域Kより割断が行える。その結果、分割不良やチッピングや割れ欠けが生じることがなく、端面形状が良好な極薄のチップを確実に製造することができる。
【0060】
次に、本発明に係る第4の実施形態について、図9に基いて説明する。この第4の実施形態は前述の第1、第2及び第3の実施形態と比べ、エキスパンド工程のみが異なっている。したがって、共通の工程についての詳細な説明は省略する。
【0061】
図9は、本発明に係る板状部材の分割方法の第4の実施形態の概要を示す概念図である。本実施形態においては、エキスパンド工程において、ダイシングテープSを板状部材であるウエーハWが貼付された側に凸状に撓ませる分割方法が採用されている。そして、ダイシングテープSを凸状に撓ませるために、ダイシングテープSと略同一の平面サイズを有し、かつ、縦弾性係数がダイシングテープSより大であるシート材50を、ダイシングテープSのウエーハWが貼付された側の反対側に配し、シート材50をダイシングテープSの側に凸状に撓ませる構成が採用されている。
【0062】
図9に示されるように、レーザー光により形成される改質領域Kは、ウエーハWの内部に存在する。同図に示されるように、シート材50のダイシングテープS側とこの反対側との圧力差pにより、シート材50が凸状に撓み、これに倣ってダイシングテープSも凸状に撓む。これにより、ダイシングテープSに張力Pが加わる。その結果、線状の改質領域Kの割断起点よりウエーハWが分割され、複数のチップTとなる。このように、ダイシングテープSが均一に伸長されるので、チッピングや割れ欠けが生じることがなく、端面形状が良好な極薄のチップを製造することができる。
【0063】
このように、シート材50を、ダイシングテープSのウエーハWが貼付された側の反対側に配し、このシート材50をダイシングテープSの側に凸状に撓ませることにより、ダイシングテープSが全面に亘って略均一に延伸される。また、このようなシート材50を装置に固定しておけば、ダイシングテープSの両面側に圧力差を設ける構成に比べて、シート材50の両面側に圧力差を設けることが容易となり、使用上便宜である。すなわち、ダイシングテープSの両面側に圧力差を設ける構成は、ダイシングテープSと装置との間のシールを考慮する必要があるが、シート材50を装置に固定しておく構成では、このような必要がないからである。
【0064】
本実施形態において、シート材50の縦弾性係数がダイシングテープSより大であることが必須である。この理由は、シート材50の縦弾性係数がダイシングテープSより小であれば、シート材50はダイシングテープSより伸びが大きく、これにより、摩擦等で不均一にダイシングテープSを伸長させ得ると考えられるためである。
【0065】
図9に示される構成においては、シート材50は第1層52と第2層54との2層構成となっている。第1層52には、縦弾性係数がダイシングテープSより大であるポリ塩化ビニル等が採用でき、第2層54には、縦弾性係数が第1層52より大であるポリ塩化ビニル等が採用できる。なお、シート材50の構成は、2層構成に限定されるものではなく、単層構成であっても、3層以上の構成であってもよい。
【0066】
以上説明した第4の実施形態によれば、エキスパンド工程において、ダイシングテープSをウエーハWが貼付された側に凸状に撓ませる。ダイシングテープSを板状部材が貼付された側に凸状に撓ませた場合には、ダイシングテープSが全面に亘って略均一に延伸され、線状の改質領域Kより割断が行える。その結果、分割不良やチッピングや割れ欠けが生じることがなく、端面形状が良好な極薄のチップを確実に製造することができる。
【0067】
以上、本発明に係る板状部材の分割方法及び分割装置の実施形態の各例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0068】
たとえば、実施形態の例では、ダイシングテープSが貼付されたウエーハWの表面又は内部に改質領域を形成する改質領域形成工程にレーザーダイシング装置が採用されているが、これ以外の装置、たとえば、ダイシングソーによりウエーハWの表面に改質領域を形成する構成の改質領域形成工程を採用できる。
【0069】
また、実施形態の例では、硬脆材よりなる板状部材としてウエーハWが採用されているが、これ以外の各種硬脆材をも採用できる。たとえば、各種表示素子(LC、EL等)に使用されるガラス基板の分割にも適用できる。このようなガラス基板のスクライビングによる分割では、ガラス切粉の発生によるキズの発生が大きな問題であったが、本発明によれば、この問題の有効な対処が可能である。
【0070】
また、実施形態の例では、厚さ30μm〜100μm程度の極薄のウエーハに加工して極薄のチップを得るという例で説明したが、本発明の板状部材の分割方法は100μm以上のチップに対しても適用することができる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、エキスパンド工程において、テープを板状部材が貼付された側に凹状に又は凸状に撓ませる。テープを板状部材が貼付された側に凸状に撓ませた場合には、テープが全面に亘って略均一に延伸され、線状の改質領域Kより割断が行える。その結果、分割不良やチッピングや割れ欠けが生じることがなく、端面形状が良好な極薄のチップを確実に製造することができる。
【0072】
また、テープを板状部材が貼付された側に凹状に撓ませた場合であっても、テープに張力を加えて引き伸ばす方式と組み合わせれば、テープが全面に亘って略均一に延伸され、線状の改質領域Kより割断が行える。その結果、分割不良やチッピングや割れ欠けが生じることがなく、端面形状が良好な極薄のチップを確実に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る板状部材の分割方法の第1の実施形態の流れを示すフローチャート
【図2】レーザーダイシング装置を説明する概念図
【図3】本発明に係る板状部材の分割方法の原理を説明する概念図
【図4】本発明に係る板状部材の分割方法の第1の実施形態の概要を示す断面図
【図5】本発明に係る板状部材の分割方法の原理を説明する概念図
【図6】本発明に係る板状部材の分割方法の第2の実施形態の概要を示す断面図
【図7】第2の実施形態のエキスパンド工程を説明する概念図
【図8】本発明に係る板状部材の分割方法の第3の実施形態の概要を示す概念図
【図9】本発明に係る板状部材の分割方法の第4の実施形態の概要を示す概念図
【図10】従来の板状部材の分割方法の流れを示すフローチャート
【図11】従来のエキスパンド工程を説明する概念図
【図12】従来のエキスパンド工程におけるウエーハの分割を説明する概略図
【符号の説明】
10…レーザーダイシング装置、11…マシンベース、12…XYZθテーブル、13…光学系、13A…レーザー光源、14…ホルダ、F…フレーム、K…改質領域、S…ダイシングテープ、T…チップ、W…ウエーハ(板状部材)
Claims (1)
- 硬脆材よりなる板状部材の表面又は内部に線状の改質領域を形成し、該線状の改質領域に沿って前記板状部材を分割することにより複数枚の基板を得る板状部材の分割方法において、
前記板状部材の表面にテープを貼付するテープ貼付工程と、
前記テープが貼付された板状部材の表面又は内部に改質領域を形成する改質領域形成工程と、
前記改質領域形成工程の後、前記テープに張力を与えて引き伸ばすエキスパンド工程と、
を有する板状部材の分割方法であって、
前記エキスパンド工程において、前記テープと略同一の平面サイズを有し、第1層と第2層の2つの層からなり、縦弾性係数が前記テープより大であって、前記第2層が前記第1層より縦弾性係数が大であるシート材を、前記テープの前記板状部材が貼付された側の反対側に配し、前記シート材の前記板状部材が貼付された側とこの反対側とに圧力差を設け、前記シート材を前記テープの側に凸状に撓ませることを特徴とする板状部材の分割方法。
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