JP4441589B2 - 破砕加工食品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ピューレ状、ペースト状、練り状、擦りおろし状、ジュース状等の破砕加工食品の製造方法に関するものである。
従来から、魚肉や野菜,果物等の食材は、すり身加工やすりおろし加工等のような破砕加工を行って各種の食品の原料として用いることが行われている。このような破砕加工食品は、他の食材と混合したり練りこんだりして新たな食品の原料としての利用価値が高いことから、中間加工品として袋詰等にされて市場に流通している。
ここで、破砕加工食品は、破砕していない食品に比べて劣化しやすいことから、できるだけ長い品質保持期限を確保するため、十分な殺菌を行ってから袋詰等を行う必要がある。このような食材の殺菌は、従来から湿熱殺菌や乾熱殺菌等の加熱殺菌が広く行われている。
上記湿熱殺菌は、水分の多い条件で食材を加熱(80〜130℃)し、速やかに殺菌する方法である。また、上記乾熱殺菌は、水分の非常に少ない食品素材に対し、乾燥した状態でかつ比較的高い温度(130〜160℃)で加熱して殺菌する方法である。しかし、湿熱殺菌の場合、殺菌処理の際に色、香り、味、栄養価等の食材の品質が急速に変化してしまうという問題がある。また、乾熱殺菌の場合は、殺菌速度が遅く、食品素材を長時間高温で処理しなければならず、やはり殺菌処理の際に色、香り、味等の食材の品質が変化してしまうという問題があり、いずれの場合も、食材の品質を維持させたい場合には適用できない。
そこで、下記の特許文献1に示すように、食材をプレス等で押し潰して加圧しながら加熱殺菌する方法が開示されている。また、下記の特許文献2に示すように、大根おろしのような擦りおろし加工食品を包装容器に密封し、温水で加熱したのちさらに冷水中に浸漬する殺菌方法が開示されている。
特開2004−135537 特開2001−238652
上記特許文献1記載の方法は、プレス等の剛性材で食材を押し潰して加圧する必要があるため、トマトピューレのように、やわらかい食材をある程度粒状に残すような破砕加工食品には適用できない。また、大根おろしのような破砕食材の場合、擦りおろす前に加圧すると、食材である大根がつぶれてしまってその後の擦りおろし加工ができなくなってしまうし、擦りおろした後では流動が激しくてプレス機での加圧に適さず、結局適用できないという問題がある。
また、上記特許文献2記載の方法では、擦りおろし加工食品に適用できるという利点があるものの、加熱温度が60〜75℃程度と一般の加熱殺菌に比べて極めて低いため、十分な殺菌効果が得られず、劣化しやすい破砕食品の品質保持期限を十分に延ばすことはできない。殺菌効果を高めるために加熱温度を上げると、やはり殺菌処理の際に色、香り、味等の食材の品質が変化してしまうという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、殺菌効果が高くて十分な品質保持期限が確保でき、しかも、色、香り、味等の食材の品質変化の少ない破砕加工食品の製造方法の提供をその目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の破砕加工食品の製造方法は、食材として生の野菜120〜500℃の過熱水蒸気で30〜240秒間第1の加熱殺菌した後、ストレーナを通過させることにより破砕加工を行い、破砕加工後の上記食材をさらに120〜500℃の過熱水蒸気で30〜240秒間第2の加熱殺菌をすることを要旨とする。
本発明の破砕加工食品の製造方法は、破砕加工前に120〜500℃の過熱水蒸気で30〜240秒間第1加熱殺菌を行うことにより、食材表面のほとんどの一般生菌等を殺菌により死滅させることができる。そして、第1加熱殺菌を行った食材を破砕加工した後さらに120〜500℃の過熱水蒸気で30〜240秒間第2加熱殺菌を行うことにより、第1加熱殺菌で死滅させることができなかった食材内部に潜んでいた生菌(袋詰、瓶詰め等の加工時の汚染菌)をほぼ完全に死滅させることが可能になる。このように柔らかくて流動性が高い破砕後の食材でも、過熱水蒸気による殺菌であるため、問題なく適用できて効果的に殺菌することができる。また、過熱水蒸気による加熱殺菌を行うため、従来の湿熱殺菌や乾熱殺菌に比べて高い温度で十分な殺菌効果を得ることができるうえ、第2加熱殺菌において破砕加工後の食材の加熱殺菌を行うため、破砕加工食品のほぼ完全な殺菌を実現することができ、十分な品質保持期限が確保できるようになる。さらに、過熱水蒸気は、通常の水蒸気よりエネルギー量が多く短時間で加熱殺菌が可能となるうえ、無酸素状態で加熱殺菌ができるので、色、香り、味等の食材の品質の変化が極めて少ない。しかも、破砕加工前の第1加熱殺菌と破砕後の第2過熱殺菌を過熱水蒸気によって行うことから、1回の殺菌時間を短縮しながらほぼ完全な殺菌効果を得ることができるため、殺菌の際の色、香り、味等の食材の品質の変化が極めて少ない。
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明の破砕加工食品の製造方法を示す工程図である。本発明の破砕加工食品の製造方法は、食材を適当な大きさに切断する前処理工程と、食材を過熱水蒸気で第1の加熱殺菌する第1殺菌工程と、上記第1殺菌された食材をストレーナを通過させることにより破砕加工を行う破砕工程と、上記破砕加工後の食材をさらに過熱水蒸気で第2の加熱殺菌をする第2殺菌工程と、第2殺菌工程後の破砕食品を袋詰にする袋詰工程と、袋詰された破砕加工食品を冷凍する冷凍工程とを備えている。なお、前処理前の食材に対して第1殺菌工程を行い、その後前処理を行って破砕工程を行いようにしてもよい。
以下、上記各工程について詳しく説明する。
上記前処理工程は、食材を適当な大きさに切断し、第1殺菌工程での殺菌を行いやすくするほか、破砕工程で用いるストレーナ・ミルにスムーズに食材を投入し、ストレーナ・ミルに複数種類の食材を投入して破砕する際の食材同士の混合が行われやすくする。
上記第1殺菌工程は、図2に示す殺菌装置により行われる。この殺菌装置は、殺菌槽2と、上記殺菌槽2に送り込む過熱水蒸気を発生する過熱水蒸気発生装置1とを備えている。上記殺菌槽2は、長方形の箱状で、一端側(この図では左側)に食材入口が設けられ、他端側(この図では右側)に食材出口が設けられ、上記食材入口から食材出口にわたってコンベア3が設けられ、食材入口から出たコンベアに食材を載せると、殺菌槽2内を通過して食材出口から排出されるようになっている。
上記殺菌槽2には、過熱水蒸気発生装置1から過熱水蒸気が導入され、槽内が所定温度の殺菌雰囲気にされる。また、上記コンベア3はメッシュ状のコンベア3が用いられるとともに、殺菌槽2内には、上記コンベア3の上下に過熱水蒸気の噴射ノズルが設けられ、コンベア3上に載置された食材に対して上下から過熱水蒸気を噴射して殺菌するようになっている。なお、過熱水蒸気とは、100℃の飽和水蒸気をさらに加熱した水蒸気をいい、食材の種類や形状等の条件によって適切な温度に設定される。過熱の手法に関しては、例えば高周波加熱等が用いられるが、特に限定するものではない。
上記第1殺菌工程において、食材に噴射する過熱水蒸気は、120℃〜500℃程度の温度範囲ものを使用するのが好ましく、より好ましいのは230℃〜280℃である。120℃以下では、加熱殺菌に対する過熱水蒸気の十分な効果がえられず、500℃を超えると食材を加熱しすぎて変質させるおそれが生じるからである。
上記第1殺菌工程において、上記過熱水蒸気による食材の加熱殺菌時間は、加熱殺菌に対する過熱水蒸気の十分な効果をえるとともに、食材を加熱しすぎて変質させないという観点から、30秒〜240秒程度の時間に設定されるが、処理する食材の大きさや量によって適宜設定される。この時間調節はコンベア速度を調節することにより行われる。
このように、第1加熱殺菌に過熱水蒸気を使用することにより、食材表面のほとんどの一般生菌等を殺菌により死滅させることができる。また、従来の湿熱殺菌や乾熱殺菌に比べて高い温度で十分な殺菌効果を得ることができる。さらに、通常の水蒸気よりエネルギー量が多く短時間で加熱殺菌が可能となるうえ、過熱水蒸気は水滴を含まないために高温の水滴による火傷を起させることがなく、さらに、無酸素状態で加熱殺菌ができるので、色、香り、味等の食材の品質の変化が極めて少ない。さらに、多少温度が下がっても、食材を湿らせることがないことから、余分な水分付着による食材の劣化を防止する。しかも、食材によっては、殺菌と同時に余分な油も除去されるため、油分の多い食材の油抜きにも効果的である。
上記破砕工程は、図3および図4に示すストレーナ・ミルによって行われる。上記ストレーナ・ミルは、公転テーブル4上に複数(この例では2つ)の自転ケース5が等間隔で配置されている。
図3に示すように、上記公転テーブル4は円盤状で、基台6内の回転駆動装置(図示せず)により、公転テーブル4自体が基台6上で回転するとともに、2つの自転シャフト9がそれぞれ自転するようになっている。したがって、上記ストレーナ・ミルでは、自転ケース5が公転しながら自転するようになっている。上記自転シャフト9は、一般の遠心分離機で採用されているように、内側に45度傾斜した状態で回転駆動されるようになっている。
図4に示すように、上記自転ケース5は有底筒状であり、円筒状の缶13が収容されるようになっている。自転ケース5の底部には、複数(この例では2つ)の嵌合凹部11が形成されるとともに、缶13の底部にも上記嵌合凹部11に嵌合する突部12が形成されている。このように、缶13を自転ケース5に収容した状態で、嵌合凹部11に突部12が嵌合させることにより、自転ケース5が自転および公転したときに、缶13が自転ケース内で空転するのを防止するようになっている。
上記缶13には、ストレーナ14が収容されている。上記ストレーナは、有底筒状で上縁部に水平方向に延びるフランジ17が設けられ、上記フランジ17が缶13の開口縁に係止されてストレーナの位置決めが行われるようになっている。この状態で、ストレーナ14は、缶13と略同心状で、ストレーナ14の底部が缶13の低部から所定距離隔たった状態に配置され、ストレーナ14が缶13の内部空間の中央部に位置するようになっている。図において、ストレーナ14がセットされた缶13の上部開口は蓋15で蓋され、この蓋15はストッパ16で固定される。
この装置により、食材の破砕はつぎのようにして行われる。第1殺菌工程および切断工程を経た食材は、缶13内にセットされたストレーナ14内に投入され、蓋15で蓋されてストッパ16で固定される。この状態で、回転駆動装置を駆動することにより、上記缶13は自転ケース5とともに、公転テーブル4の回転に伴い公転するとともに、自転ケース5の自転に伴い自転する。このとき、上記公転と自転の作用によって公転による加速度と自転による加速度が食材に加わり、強力な遠心力が働いてストレーナ14を通過して破砕されるのである。上記ストレーナ14を通過した食材は、ストレーナ14と缶13との間の隙間に到達するが、ここでも、上記公転と自転の作用を受けることにより、強い混練作用を受け、ストレーナ14を通過することにより適度な大きさに破砕された食材同士の混練が行われる。
上記ストレーナ・ミルによる破砕加工では、例えば魚を破砕する場合、魚肉だけが破砕されてペースト状の破砕食材が得られ、骨や皮はストレーナ14を通過せずに残るため、破砕加工と骨や皮の除去が1工程でできてしまうので、極めて便利である。また、内側に45度傾斜させた状態で自転・公転するようになっているため、ストレーナ14を通過したペーストが、自転ケース5の底部に溜まり、破砕後のペーストを取出しやすいようになっている。
上記ストレーナ・ミルでは、ストレーナ14のメッシュの開口大きさを変えることにより、破砕食材の粒の大きさを適宜設定することができ、食材の種類や用途に応じて適宜の大きさに破砕することができる。これにより、食感に変化を持たせたり、破砕食材の新たな用途に適用したりすることが容易に行えるようになる。なお、上記ストレーナ14としては、メッシュ状のものやパンチングメタル状のもの等、食材の種類や用途に応じて各種の態様のものを用いることができる。
ストレーナ14を通過させることにより食材を破砕するので、食材の破砕片は、例えば野菜等では細胞が破壊されずに一定の塊で残り、その大きさもそろっており、高品質な破砕食品を得ることができる。また、良好な混練効果も得られるため、複数の食材をストレーナ14内に投入して破砕するだけで、複数の食材が適度な大きさに破砕され均一に混練された破砕食品を得ることができる。破砕された破砕食品は、蓋15とストレーナ14を外して缶13内から取り出される。
つぎに、上記のようにして得られた破砕食品を第2殺菌する。第2殺菌は、図2に示した殺菌装置で過熱水蒸気を噴射することにより行われる。破砕食品は、柔らかくて流動性があるため、そのままではコンベア3に載せられないので、深さの浅いトレイ等に移して薄く引き延ばし、トレイごとコンベア3に載せて殺菌槽2内に装入し、上下から加熱水蒸気を噴射する。
上記第2殺菌工程において、食材に噴射する過熱水蒸気は、120℃〜500℃程度の温度範囲ものを使用するのが好ましく、より好ましいのは230℃〜280℃である120℃以下では、加熱殺菌に対する過熱水蒸気の十分な効果がえられず、500℃を超えると食材を加熱しすぎて変質させるおそれが生じるからである。
上記第2殺菌工程において、上記過熱水蒸気による食材の加熱殺菌時間は、加熱殺菌に対する過熱水蒸気の十分な効果をえるとともに、食材を加熱しすぎて変質させないという観点から、30秒〜240秒程度の時間に設定されるが、処理する食材の大きさや量によって適宜設定される。この時間調節はコンベア速度を調節することにより行われる。
このように、第1加熱殺菌を行った食材を破砕加工した後さらに第2加熱殺菌を行うことにより、第1加熱殺菌で死滅させることができなかった食材内部に潜んでいた生菌をほぼ完全に死滅させることが可能になる。また、柔らかくて流動性が高い破砕後の食材でも、過熱水蒸気による殺菌であるため、問題なく適用できて効果的に殺菌することができる。また、第2加熱殺菌において破砕加工後の食材の加熱殺菌を行うため、破砕加工食品のほぼ完全な殺菌を実現することができ、十分な品質保持期限が確保できるようになる。さらに、破砕加工前の第1加熱殺菌と破砕後の第2過熱殺菌を過熱水蒸気によって行うことから、1回の殺菌時間を短縮しながらほぼ完全な殺菌効果を得ることができるため、殺菌の際の色、香り、味、栄養価等の食材の品質の変化が極めて少ない。
上記第2殺菌工程を経た破砕食品は、袋詰工程で袋詰されたのち、冷凍工程で冷凍され、市場に供給される。
上記のようにして得られた破砕加工食品は、第1加熱殺菌を行った食材を破砕加工した後さらに第2加熱殺菌を行うことにより、第1加熱殺菌で死滅させることができなかった食材内部に潜んでいた生菌がほぼ完全に死滅されている。このように柔らかくて流動性が高い破砕後の食材でも、過熱水蒸気による殺菌であるため、問題なく適用できて効果的に殺菌することができる。また、過熱水蒸気による加熱殺菌が行われるため、従来の湿熱殺菌や乾熱殺菌に比べて高い温度で十分に殺菌されているうえ、第2加熱殺菌において破砕加工後の食材が加熱殺菌されているため、ほぼ完全に殺菌された加工食品となり、十分な品質保持期限が確保できるようになる。さらに、過熱水蒸気は、通常の水蒸気よりエネルギー量が多く短時間で加熱殺菌が可能となるうえ、無酸素状態で加熱殺菌ができるので、色、香り、味、栄養価等の食材の品質の変化が極めて少ない加工食品となる。しかも、破砕加工前の第1加熱殺菌と破砕後の第2過熱殺菌を過熱水蒸気によって行うことから、1回の殺菌時間を短縮しながらほぼ完全な殺菌効果を得ることができるため、殺菌の際の色、香り、味等の食材の品質の変化が極めて少ない破砕加工食品となる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
素材の食材として、カボチャ,ジャガイモ,ニンジン,トマトを使用し、実施例と比較例の試験サンプルを下記の要領で作製した。
◆実施例 皮を剥き、上述した本発明の方法で殺菌,破砕加工を行った。
◆比較例1 皮を剥き、生のままフードプロセッサで破砕加工を行った。
◆比較例2 皮を剥き、茹でたのちフードプロセッサで破砕加工を行った。
まず、実施例および比較例の試験サンプルの水分量と糖度の測定を行った。その結果を下記の表1に示す。
Figure 0004441589
上記表1からわかるとおり、実施例は、各比較例に比べて水分量は若干減少しているものの、糖度が大幅に向上している。
つぎに、各試験サンプルを作製後に冷凍保存を行い、3日経過後にそれぞれ常温解凍し、色差計(ND−001DP)により色度(L値 a値 b値)の測定を行った。その測定値を下記の表2に示し、表2の測定値から実施例が比較例2と比較して示す傾向を下記の表3に示す。なお、L値は明度であり、数値が大きいほど明度が高い。a値は赤緑度であり、数値が大きいほど赤の度合いが増しマイナス側は緑の度合いが増す。b値は黄青度であり、数値が大きいほど黄色の度合いが増しマイナス側は青の度合いが増す。
Figure 0004441589
Figure 0004441589
上記表2からわかるとおり、実施例は比較例に比べて鮮やかな色彩を保ち、良好な結果を得ることができた。
つぎに、加熱処理の違いによるビタミンCの残存量を計測した。サンプル野菜としてブロッコリーを使用し、本発明の過熱水蒸気(SHV;Super Heated Vaper)による加熱を2分間行ったもの(実施例)および、比較例1として2分間茹でたもの、比較例2として3分間蒸したものをそれぞれ準備した。角サンプルのビタミンC量を、各試料約10gを1.5%メタリン酸にて磨砕抽出後、F−キット(JKインターナショナル)にて測定した。その結果を図5に示す。
図5から明らかなように、比較例1および2より実施例のサンプルの方がビタミンC残存量が多い。このことから、本発明によれば、ビタミンC量が多く残存することがわかる。
つぎに、生野菜と本発明の加熱処理品との成分含量逆転について調査した。サンプル野菜としてブロッコリーを使用した。生野菜100gに対して過熱水蒸気による加熱(SHV)を行うと、SHV処理により生野菜中の水分が抜けるため製品重量は原材料より少なくなって、製品重量は80g程度に減量される。SHV処理では加熱によるビタミンC破壊が少なく、さらに水分蒸発による濃縮が起こるため、SHV試料100gとすると生の状態よりビタミンC含量が見かけ上増加する。その結果を図6に示す。
図6に示すように、生100gと、生100gをSHV処理したもの(80g)ではビタミンC量はほとんど変わっていない。このことは、SHV処理によるビタミンCの破壊がほとんど起こっていないことを示している。そして、SHV処理したもの100gでは、上述した濃縮が起こるため、生100gと、生100gをSHV処理したものよりもビタミンCの見かけ上の残存量が多くなっていることがわかる。このことから、本発明によれば、ビタミンCの見かけの残存量が多くなることがわかる。
つぎに、本発明のストレーナによる破砕処理が組織に及ぼす影響について調査した。本発明のストレーナで破砕したもの(実施例)と、従来の 方法で破砕してピューレにしたもの(比較例)との顕微鏡組織を調べた。図7はほうれん草、図8はニンジン、図9はカボチャの結果である。
図7からわかるとおり、ほうれん草では、実施例は葉片が大きく、繊維や細胞が破壊されずに残っているのに対し、比較例では塊がなく細胞質が流出しているのがわかる。図8からわかるとおり、ニジンでは、実施例は繊維や細胞が残っているのに対し、比較例では塊がなく細胞質が流出しているのがわかる。図9からわかるとおり、カボチャでは、実施例は細胞がひとつづつばらばらになっており、繊維が細かいのに対し、比較例では塊がなく細胞が破壊されていびつで複雑形状になっているのがわかる。このことから、本発明によれば、良好な破砕品が得られることがわかる。
本発明は、野菜,肉,魚肉等各種の食材を対象とするものであり、例えば、野菜ピューレ,野菜ペースト,納豆ペースト,豆乳,魚肉練り製品,ハム,ソーセージ等、各種の食品に適用できる。
本発明の破砕加工食品の製造方法の工程を示す図である。 殺菌工程を行う殺菌装置の構成を示す図である。 ストレーナ・ミルの構造を示す図である。 ストレーナ・ミルの構造を示す図である。 ビタミンCの残存量の測定結果を示す。 ビタミンCの見かけの残存量の測定結果を示す。 ほうれん草の破砕後の組織写真を示す。 ニンジンの破砕後の組織写真を示す。 カボチャの破砕後の組織写真を示す。
符号の説明
1 過熱水蒸気発生装置
2 殺菌槽
3 コンベア
4 公転テーブル
5 自転ケース
6 基台
9 自転シャフト
11 嵌合凹部
12 突部
13 缶
14 ストレーナ
15 蓋
16 ストッパ
17 フランジ

Claims (1)

  1. 食材として生の野菜を120〜500℃の過熱水蒸気で30〜240秒間第1の加熱殺菌した後、ストレーナを通過させることにより破砕加工を行い、破砕加工後の上記食材をさらに120〜500℃の過熱水蒸気で30〜240秒間第2の加熱殺菌をすることを特徴とする破砕加工食品の製造方法。
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