JP6112565B2 - ミックスジュース - Google Patents

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Description

本発明は、果実、野菜、穀物、乳製品等を用いたミックスジュースに係り、特に、複数の原料のジュースを混ぜた場合でも、分離や原料由来の沈殿が起こりにくく分散性に優れたミックスジュースに関する。
従前より果実や野菜を原料とした複数種類のジュースを混ぜたミックスジュースが知られており、紙パックやペットボトルに充填したものや、ジューススタンドの店頭でミックスジュースをプラスチックや紙製のコップに入れて販売するなど様々な形態で提供されている。
店頭でこの種のミックスジュースを提供する場合には、原料を丸ごと、若しくは皮や種等非可食部分を取り除き適当な大きさに切り分けた上でジューサーやミキサー等の機械で細かく破砕し、水や牛乳等で適切な濃度に薄めた上で客に提供するのが一般的である。
このようなミックスジュースには、ジュース中に果肉や果皮の断片等が含まれることが多く、果肉や果皮の断片等が含まれある程度のとろみと食感を有することで飲む者に果実や野菜の使用量が多く健康的な飲料である印象を与え、高級感を感じさせることができる。その一方で、ジュース中に含まれる果肉や果皮等が沈殿したり、一部の成分が分離して2層に分かれたりすることもあり、沈殿や分離が生ずると成分の偏りによってミックスジュースの風味が変化したり、また見た目にも好ましくない。そのため、従前よりジュースや飲料の沈殿乃至分離を防ぐための工夫が種々なされている。
ジュースや飲料の沈殿乃至分離を抑制する技術として、特許文献1にはマンゴー果汁内のパルプ分を低減させることで沈殿の発生を防止する技術が開示されている。また特許文献2には、スチームブランチング処理及び/又はマイクロ波照射工程と、植物組織崩壊酵素を用いて酵素処理する工程と、機械的剪断処理する工程とを含む野菜汁及び/又は果汁の製造方法が開示されている。また特許文献3には、飲料やドレッシング等に脱アシル型ジェランガム、イオタ−カラギナン及び可溶性カルシウム塩を添加することで、小さくカットした果実や野菜、パルプやファイバー等を液中で長期間安定に均一分散させる技術が開示されている。
特開2002−238513号公報 特開2010−284132号公報 特開2002−017272号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術はその対象がマンゴー果汁に限定されたものであることに加え、マンゴー由来のパルプを取り除くことで素材感が減少し栄養的にも劣るものとなる。また特許文献2においては沈殿性や分離性については検証されておらず、複数のジュースを混ぜた場合についても検証がなされていない。また特許文献3においては薬品の添加で課題の解決を図っており、自然派志向の消費者にはあまり好まれないものと考えられる。
また、一般的なミックスジュースは、生の植物性食材をミキサー等で破砕して所定の割合で混合することで製造するが、生の果実や野菜等に元々含まれる水分のみではジュースとして十分な流動性が得られないことが多いため、ミキサーで処理する際にある程度の水分を加えて破砕処理を行うのが一般的であり、加水により薄くなった味を補うために、ガムシロップや蜂蜜等で加糖することも珍しくない。
本発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、分散剤等の薬品の添加を行わず、原料となる果実、野菜、穀物等の植物性食材のみで安定した分散性を有するミックスジュースを提供することにある。
また、本発明の他の目的とするところは、加水しなくともジュースとして十分な流動性を有し、植物性食材による流動性裏漉し処理物以外の糖分を添加しないミックスジュースを提供することにある。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
上記課題を解決するために、本発明のミックスジュースは、それぞれ、1又は2以上の種類の植物性食材を過熱蒸気により加熱軟化処理したのち、これを裏漉し処理してなる2以上の種類の流動性裏漉し処理物を混合してなるものである。ここで、前記ミックスジュースを構成する2以上の種類の流動性裏漉し処理物は、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物と分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物とのいずれかに属するものであり、前記ミックスジュース100容積%のうちで、前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の割合は、5〜60容積%の範囲である。
このような構成によれば、分散剤等の薬品等の添加を行わずとも分散安定性に優れ、また流動性裏漉し処理物のみでジュースとして適切な流動性を有したミックスジュースが得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物は、前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物を泡立たない程度の速度で均一になるまで撹拌して分散させた後、2時間静置しても上澄み及び/又は沈殿が生じずに安定したものであってもよい。
このような構成によれば、高い分散安定性を有する流動性裏漉し処理物が含まれているため、製造後数十分〜2時間程度の間に分離や沈殿等が生じず、最後まで美味しく飲めるミックスジュースが得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記2以上の種類の流動性裏漉し処理物は、いずれも、単一種類の植物性食材を過熱蒸気により加熱軟化処理したのち、これを裏漉し処理してなるものであってもよい。
このような構成によれば、各植物性食材毎に最適な条件で加熱軟化処理が行えるため、過剰な加熱で食材の風味が損なわれたりせず、より風味に優れたミックスジュースが得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の元となる植物性食材は、イチゴ、キウイ、又はリンゴのいずれかであり、かつ前記分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物の元となる植物性食材が、パイナップル、オレンジ、又はスイカのいずれかであってもよい。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ミックスジュースを構成する2以上の種類の流動性裏漉し処理物は、3種類の流動性裏漉し処理物であり、前記ミックスジュース100容積%のうちで、前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の割合は、40〜60容積%の範囲であってもよい。
このような構成によれば、3種類以上の流動性裏漉し処理物を混ぜた場合であっても、ジュースとして適切な流動性と分散安定性を兼ね備えたミックスジュースが得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の元となる植物性食材は、イチゴであってもよい。
このような構成によれば、イチゴを原料とした流動性裏漉し処理物は特に分散安定性に優れているため、少量の添加でも高い分散安定性を有したミックスジュースが得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、糖度が8°Bx以上であり、砂糖や蜂蜜等の糖分を添加していないものであってもよい。
このような構成によれば、流動性裏漉し処理物のみでミックスジュースとして適した糖度が得られ、砂糖や蜂蜜等で糖分を添加しないことから自然派志向の消費者にも好まれるミックスジュースとすることができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、JIS Z 8729によるL値が20以上、a値が−50以上、b値が−50以上であってもよい。
このような構成によれば、果実や野菜、穀物を含む食品として好ましい色合いのミックスジュースが得られる。
また本発明は、植物性食品に関する発明としても捉えることができる。
本発明に係る植物性食品は、それぞれ、1又は2以上の種類の植物性食材を過熱蒸気により加熱軟化処理したのち、これを裏漉し処理してなる2以上の種類の流動性裏漉し処理物を混合してなり、前記植物性食品を構成する2以上の種類の流動性裏漉し処理物は、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物と分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物とのいずれかに属するものであり、前記植物性食品100容積%のうちで、前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の割合は、5容積%以上であることを特徴とするものである。
このような構成によれば、分散安定性と風味に優れ、乳製品やアルコール等と混ぜて用いるのに好ましい植物性食品が得られる。
また本発明は、植物性食品を含む食品としても捉えることが出来る。
本発明に係る植物性食品を含む食品は、それぞれ、1又は2以上の種類の植物性食材を過熱蒸気により加熱軟化処理したのち、これを裏漉し処理してなる2以上の種類の流動性裏漉し処理物を混合してなり、前記植物性食品を構成する2以上の種類の流動性裏漉し処理物は、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物と分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物とのいずれかに属するものであり、前記植物性食品100容積%のうちで、前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の割合は、5容積%以上である、ことを特徴とする。
そして、このような構成によれば、食品中に上述の植物性食品が適度に分散し、風味に優れた食品が得られる。
本発明のミックスジュースによれば、分散剤等の薬品の添加を行わずとも分散安定性に優れ、流動性裏漉し処理物のみでジュースとして適切な流動性を有したミックスジュースが得られる。
流動性裏漉し処理物の製造工程を示すフローチャートである。 流動性裏漉し処理物を用いたジュースの製造工程を示すフローチャートである。 ピューレジュースの分離性試験の結果を示す図表である。 果実ジュースの分離性試験の結果を示す図表である。 ピューレジュース加水時の分離性試験の結果を示す図表である。 果実ジュース加水時の分離性試験の結果を示す図表である。 ピューレジュースに牛乳を加えた場合の分離性試験の結果を示す図表である。 果実ジュースに牛乳を加えた場合の分離性試験の結果を示す図表である。 複数のピューレジュースを混合した場合の分離性試験の結果を示す図表(その1)である。 複数のピューレジュースを混合した場合の分離性試験の結果を示す図表(その2)である。 複数のピューレジュースを混合した場合の分離性試験の結果を示す図表(その3)である。 ミックスジュースの混合割合を示す図表である。 ピューレジュースの色差試験の結果を示す図表(その1)である。 ピューレジュースの色差試験の結果を示す図表(その2)である。 ピューレジュース及び果実ジュースの粘度測定結果を示す図表(その1)である。 ピューレジュース及び果実ジュースの粘度測定結果を示す図表(その2)である。 ピューレジュース及び果実ジュースの粘度測定結果を示す図表(その3)である。 ピューレジュース及び果実ジュースの粘度測定結果を示す図表(その4)である。 ピューレジュース及び果実ジュースの粘度を示す図表である。
以下に、本発明に係るミックスジュースの好適な実施形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
先にも述べたように、本発明に係るミックスジュースは、それぞれ、1又は2以上の種類の植物性食材を過熱蒸気により加熱軟化処理したのち、これを裏漉し処理してなる2以上の種類の流動性裏漉し処理物を混合してなるミックスジュースであって、前記ミックスジュースを構成する2以上の種類の流動性裏漉し処理物は、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物と分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物とのいずれかに属するものであり、前記ミックスジュース100容積%のうちで、前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の割合は、5〜60容積%の範囲である、ことを特徴とするものである。
本願発明者等は、先に、各種食材に過熱蒸気により無酸素状態で熱を加え、食材の温度が高く保たれているうちに遠心力等で裏漉しすることにより、原材料の細胞膜があまり破壊されずに細胞単位でほぐしたような流動性裏漉し処理物が得られることを先に見出している。このようにして得られた流動性裏漉し処理物は、酸素存在下で長時間煮込むという一般的な製法で作られた流動性裏漉し処理物等と比べて栄養成分や香り等の残存率が極めて高く、また、退色も少なくいものである。加えて、原料によっては加熱により糖度が増したり、酵素の一部失活により口当たりが柔らかになったりするという利点もある。
本発明において原料として用いる植物性食材としては、食用される果実、野菜、穀類等を適宜選択して用いることができる。このような植物性食材としては、例えば、イチゴ、ブルーベリー、ラズベリー、パイン、オレンジ、レモン、マンゴー、バナナ、キウイ、メロン、スイカ、リンゴ、ブドウ、グレープフルーツ、ハスカップ、ジャガイモ、サツマイモ、ムラサキイモ、タマネギ、カボチャ、ニンジン、トマト、キャベツ、ダイコン、ホウレンソウ、ブロッコリ、アスパラガス、白米、玄米、大麦、小麦、豆類、茶葉、などが挙げられる。
また、本発明においては、糖度が8°Bx以上となるように各流動性裏漉し処理物を混合することで、砂糖や蜂蜜等の糖分を添加しなくても適度な甘さを有するミックスジュースとすることができる。先にも述べたように本発明に係るミックスジュースは植物性食材より製造された流動性裏漉し処理物のみを原料とするものであるが、流動性は低いが分散安定性に優れた流動性裏漉し処理物と分離しやすいが流動性が高い流動性裏漉し処理物とを所定の割合で混合することで加水せずともジュースとして適した流動性を有し、また加水により薄まることがないためシロップや蜂蜜等で加糖を行う必要がなく、自然派志向を持つ消費者にも好まれるミックスジュースとすることができる。
本発明においては、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物と、分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物とを所望の割合で混合して用いることで、適度な流動性により飲みやすく、しかも薬品等を添加せずとも安定した分散性を有し、分離や沈殿等が生じにくいミックスジュースが得られる。具体的には、ミックスジュース100容積%のうち、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の割合を5〜60容積%の範囲とすることで流動性と分散安定性とを両立させたミックスジュースとすることができる。分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の割合が5容積%未満であると十分な分散安定性が得られにくくなり、逆に60容積%を超えると流動性が低くなりジュースとしては飲みにくいものとなる。
なお、流動性裏漉し処理物のみからなるミックスジュースではなく、牛乳やアルコール等と混ぜたり、またカップデザートのような形態で提供したり、他の食品に添加したりする場合には、流動性はそれほど重要視されず分散安定性が得られれば十分であることから、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の割合が60容積%を超えても問題ないものと考えられる。
また、実際にジュースを提供する場合の状況を考慮すると、ジューススタンド等で販売されているジュースは消費者への提供後、数分〜数十分程度で飲み干されることが多いため、ジューススタンド等でミックスジュースを提供する場合には、攪拌停止から30分程度の間分散安定性が保たれれば十分実用性を有するものと考えられる
<流動性裏漉し処理物製法>
本発明のジュースに用いる流動性裏漉し処理物の製造方法を詳細に説明する。流動性裏漉し処理物製造工程のフローチャートが図1に示されている。
1.洗浄工程
先ずはじめに、傷みがある等の不適な原料を取り除き、原料となる果実や野菜を水で洗浄する(ステップ101)。この洗浄処理は単に汚れを落とすのみではなく殺菌や消毒も目的の一つであるため、菌の付きにくい原料に関しては流水で洗うのみでもよいが、菌の付きやすい原料の場合には適当な大きさの容器に原料を入れ、所定時間浸漬させて洗うことが好ましい。また、洗浄処理においては必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム等の食品用殺菌剤を用いてもよいが、この場合には食品用殺菌剤の使用後に改めて水によるすすぎが必要となり、加えて、食品用殺菌剤を加えた水に長時間に亘って原料を浸漬すると原料に食品用殺菌剤が浸透し過ぎてしまうので注意が必要である。
2.皮むき・切断工程
次いで、洗浄した原料の皮むき・切断処理を行う(ステップ102)。具体的には、グレープフルーツやオレンジ、スイカ等の厚い外皮を持つものについては外皮をむいて適当な大きさに切断する。また、苺であれば皮むきや切断は不要であるため、ヘタのみを取り除く。グレープフルーツ等の外皮内側のわた部分は、風味や分散安定性の付与等の理由から、少量加えるようにしてもよい。
3.加熱軟化工程
次いで、過熱蒸気による加熱軟化処理を行う(ステップ103)。先にも述べたように、本発明においては過熱蒸気にて原料の加熱処理を行う。この加熱工程においては原料を容器に入れて加熱処理を行うが、ここで用いる容器としては、ネット状の容器やバット状の容器など原料の性状に適した容器を適宜選択して用いることができ、汁気の少ない葉物野菜等であればネット状の容器を用い、汁気が多く加熱処理時にドリップが生じる果実などはバット状の容器を用いることが望ましい。本発明において用いる過熱蒸気としては、120〜500℃の過熱蒸気を用いることが好ましく、180〜350℃の過熱蒸気であればより好ましい。また、加熱温度や加熱時間は原料によって異なるが、キャベツやほうれん草などの葉菜類であれば180〜300℃で5〜18分程度、トマトやカボチャなどの果菜類であれば180〜350℃で8〜20分程度、大根や人参などの根菜類であれば180〜350℃で15〜25分程度、果物類であれば180〜350℃で3〜18分程度、穀物類であれば180〜350℃で25〜50分程度であることが好ましい。
4.裏漉し工程
次いで、加熱した原料の温度が高いうちに裏漉し処理を行う(ステップ104)。裏漉し処理を行う場合に用いる装置としては、垂直公転軸の周りを公転しつつ傾斜自転軸の周りを自転する複数の円筒状容器内に、同容器よりも小径な有底円筒状ストレーナを配置し、この有底円筒状ストレーナ内に置かれた軟化処理物を公転と自転との合成遠心力により円筒状ストレーナの周壁に押しつけ通過させて原材料を裏漉しするようなものが好ましく、一例として特開2001−299191号公報に記載された食用粉混練装置が挙げられる。運転条件や用いるストレーナの径等は原料や求める流動性裏漉し処理物の粗さによっても異なるが、流動性裏漉し処理物をジュースに用いる場合であれば、公転回転数800〜2400rpm、自転回転数200〜600rpm程度の回転速度で孔径0.3〜8mm程度のストレーナを用いて裏漉し処理を行うと、ジュースに適した粗さの流動性裏漉し処理物とすることができ、パイナップル等の固めの繊維、ブドウの皮、柑橘類の薄皮や種等も取り除くことができる。また、ブレード等による破砕処理を伴わないために、種が砕かれて流動性裏漉し処理物に苦みを生じさせることもない。
5.包装・冷凍工程
次いで、裏漉し処理で得られた流動性裏漉し処理物の包装及び冷凍処理を行う(ステップ105)。衛生面(安全性、菌対策)から、裏漉し処理が済んだ流動性裏漉し処理物はすぐに保存用のビニール袋に入れて密封する。密封した流動性裏漉し処理物は保存のために冷凍処理を行うが、原料の種類や操業条件等によってはこの段階で流動性裏漉し処理物の温度が40〜50℃程度の比較的高い温度を保持している場合もある。このような場合には、密封状態のまま流水などで冷却してから冷凍処理を行う。なお、製造した流動性裏漉し処理物をすぐにジュース原料として用いる場合には、包装・冷凍工程が不要であることは言うまでもない。
なお、本発明のミックスジュースに用いる流動性裏漉し処理物を製造する際には、単一原料毎で流動性裏漉し処理物を製造しても良いし、複数の原料をまとめて処理して流動性裏漉し処理物を製造してもよいが、最適な加熱温度や加熱時間、また前処理の手順などは原料毎に異なるため、単一原料毎に処理を行いそれぞれの単一原料からなる流動性裏漉し処理物を製造した後に、所定の割合で混合することが好ましい。
<分散安定性>
本発明においては、流動性裏漉し処理物を軽くかき混ぜて分散させた後、2時間静置しても分離が生じずに安定しているものを「分散安定性を有する流動性裏漉し処理物」、2時間以内に分離が生じたものを「分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物」とする。

各流動性裏漉し処理物が分散安定性を有する流動性裏漉し処理物であるか、それとも分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物であるかは、原料の種類、外皮等をどこまで取り除くか、ストレーナの径の大きさ、等の複数の条件が影響する。発明者等の知見によれば、孔径0.5〜6mm程度のストレーナで処理するのであれば、ヘタを取り除いたイチゴ、皮をむいたキウイ、皮をむいたリンゴ等を原料とするものは分散安定性を有する流動性裏漉し処理物に相当し、外皮のみを取り除きわたの部分を残したオレンジ、外皮のみを取り除いたスイカ、外皮のみを取り除いたパイナップル等を原料とするものは分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物に相当する。
また、基本的な傾向として、流動性が高くさらっとした性状の流動性裏漉し処理物(目安として粘度50mPa・s未満)は分散安定性を有しない場合が多く、このような非分散安定性流動性裏漉し処理物としては、例えばパイン、スイカ、ブドウ、オレンジ、トマトなどを原料としたものが含まれる。一方、流動性が低くどろっとした性状の流動性裏漉し処理物は分散安定性を有する場合が多く、このような流動性裏漉し処理物としては、例えば、イチゴなどのベリー類、リンゴ、キウイ、ニンジンなどを原料とした粘度が50mPa・以上である流動性裏漉し処理物や、グレープフルーツ、八朔、夏みかん、甘夏、文旦などのわた部分が比較的柔らかい柑橘類を原料とした流動性裏漉し処理物などが含まれる。
なお、グレープフルーツや文旦等の一部の柑橘類を原料とした流動性裏漉し処理物については、粘度が基本的に50mPa・s未満となり液もさらっとしているが、高い分散安定性を有することが確認されている。これは、流動性裏漉し処理物中に含まれているグレープフルーツ等の白いわた部分が柔らかな繊維質であり、この繊維質が網の目のように広がることにより分散安定性がもたらされるのではないかと推定される。同じ柑橘類であっても、オレンジのわた部分はグレープフルーツのわた部分よりも繊維が固いためか、オレンジの流動性裏漉し処理物は基本的には分散安定性を有しないものであった。
本発明においては、ミックスジュース100容積%のうちで、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の割合は、5〜70容積%の範囲であれば好ましく、5〜60容積%の範囲であればより好ましい。
また、用いる流動性裏漉し処理物の種類にもよるが、ミックスジュースに用いる流動性裏漉し処理物の種類が増えると、異なる粘度を有する複数の液体が混ざるためか分散安定しにくくなる傾向が見られる。このため、3種類以上の流動性裏漉し処理物を混ぜてミックスジュースを製造する場合には、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の混合割合を増やすか、若しくは粘性が特に高い分散安定性裏漉し処理物を用いることが好ましい。配合割合で調整する場合には、ミックスジュース100容積%のうちで、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の割合は、40〜60容積%の範囲であることが好ましく、粘性が特に高い分散安定性裏漉し処理物を用いる場合であれば、イチゴ、リンゴ、ニンジン等の裏漉し処理物を用いることが好ましい。
本発明において複数の流動性裏漉し処理物を混合して得られるミックスジュースは、飲みやすさの点から粘度が1000mPa・s未満であることが好ましく、800mPa・s未満であればより好ましい。
<流動性裏漉し処理物ジュース製法>
次いで、本発明に係る流動性裏漉し処理物ミックスジュースの製造方法について説明を行う。流動性裏漉し処理物ジュース製造工程のフローチャートが図2に示されている。
1.解凍工程
先ずはじめに、原料となる流動性裏漉し処理物の解凍処理を行う(ステップ201)。本発明において流動性裏漉し処理物の解凍処理は、衛生面の観点から包装状態のまま解凍処理を行うことが好ましく、解凍方法としては、冷蔵庫の中で数時間〜一日程度静置して解凍する、流水で解凍する、等の一般的な解凍方法を用いることができ。なお、製造した流動性裏漉し処理物を冷凍保存せずにすぐにジュース原料として用いる場合には、解凍工程が不要であることは言うまでもない。
2.混練工程
次いで、原料となる各流動性裏漉し処理物を混合・攪拌し、流動性裏漉し処理物ミックスジュースを製造する(ステップ202)。解凍された流動性裏漉し処理物を所定の割合で混ぜ合わせ、低速で攪拌することで本発明に係る流動性裏漉し処理物ミックスジュースが得られる。攪拌を高速で行うと流動性裏漉し処理物中に気泡が入りやすくなり、細かい気泡が流動性裏漉し処理物中に混ざると浮上する際に流動性裏漉し処理物中の果肉等の浮遊物(固形物)を巻き込むため、流動性裏漉し処理物の分離が起こりやすくなるおそれがある。
3.包装・冷凍工程
次いで、流動性裏漉し処理物ミックスジュースの包装・冷凍処理を行う(ステップ203)。均一に混ざった流動性裏漉し処理物ミックスジュースを保存用のビニール袋に入れて密封し、保存のための冷凍処理を行う。なお、得られた流動性裏漉し処理物ミックスジュースをすぐに消費者に提供する場合には、包装・冷凍工程が不要であることは言うまでもない。
<色差>
本発明に係るミックスジュースは基本的には飲用に用いるものであるため、消費者への訴求力を考慮して、色合いが食欲をそそるようなものであることが好ましい。色彩の好みには個人差があるものの、ジュースであれば、極端に暗い色合いのものや不自然な印象を与える青系の色彩のものはあまり好ましくないと考えられる。このような理由から本発明に係るミックスジュースは、JIS Z 8729によるL値が20以上、a値が−50以上、b値が−50以上であることが望ましい。
本発明に係るミックスジュースは、飲料としてそのまま提供する他に、牛乳やヨーグルト等の乳製品やアルコール等と混ぜて提供したり、料理、菓子類、パン等に調理用ジュースとして添加して用いてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例における各ジュースの作成方法、及び試験方法は次の通りである。
<単品ピューレジュースの作成>
原料となる生の植物性素材を水で洗浄し、次いで、イチゴはへたを取り除き、イチゴ以外の原料は外皮をむいて適度な大きさに切断する。切断した原料を180〜350℃の過熱蒸気で3〜18分間軟化加熱処理した後に、公転と自転との合成遠心力により円筒状ストレーナの周壁に押しつけ通過させて原材料を裏漉しする裏漉し装置にて、孔径2.5mmのストレーナを用いて裏漉し処理を行い各原料毎のピューレを得た。
<ミックスピューレジュースの作成>
各原料毎のピューレを所定の割合で混合して、気泡が入らないようにゆっくりかき混ぜることでそれぞれのミックスピューレジュースを得た。
<単品果実ジュースの作成>
原料となる生の植物性素材を水で洗浄し、次いで、イチゴはへたを取り除き、イチゴ以外の原料は外皮をむいて適度な大きさに切断する。切断した原料をミキサーで粉砕して、目的となる果実ジュースを得た。
<ミックス果実ジュースの作成>
各原料毎の果実ジュースを所定の割合で混合して、気泡が入らないようにゆっくりかき混ぜることでそれぞれのミックス果実ジュースを得た。
<分離性試験>
試験対象となるジュースをゆっくり攪拌して十分に混ざったところでメスシリンダーに入れ、所定時間後の分離状態を目視で確認した。
<Brix値の測定>
それぞれのジュースを軽く攪拌した上で糖度計で糖度(°Bx)の測定を行った。
<色差の測定>
保存用のビニール袋に入った各ピューレ(解凍状態)の任意の5箇所に袋の上からハンディ型色彩計(NR−11 日本電色工業(株))をあててL値、a値、b値を測定し、各測定毎の値と5回分の平均値とを求めた。
<粘度の測定>
500mlのビーカーに試験対象となるジュースを入れ、粘度計(ビスメトロン、芝浦システム(株))にて、同一のローター及び回転速度条件で3回ずつ粘度の測定を行い、その平均値を各条件における粘度とした。なお、測定結果は、粘度計の特定から測定値20以上を信用できる値とみなし、20を大きく下回る値、及び各測定条件に測定上限に近い値を好ましくない値とし、○、△、×、の3段階で判定した。ここで、○判定があったものは○判定であった数値の平均値をそのジュースの粘度(mPa・s/CP値)とし、○判定がなかったものは△判定であった数値の平均値をそのジュースの粘度(mPa・s/CP値)とした(図19参照)。また、図15〜18において測定不可であったものはNGと記した。
○:測定値として信用できる(測定値20以上)
△:測定値としてやや信用できる(測定値が10〜20程度、若しくは85以上)
×:測定値としてあまり信用できない(測定値10未満)
<飲みやすさの評価>
試験対象となるジュースを飲んだときの飲みやすさを比較した。
○:流動性が適切な範囲であり、飲みやすいジュースであった
△:やや流動性に劣り、多少飲みにくかった(実用の範囲)
×:流動性に劣り、飲みにくかった
<実施例1:分離性の比較>
はじめに、生の果実を用いたジュースと、本発明に係るピューレジュースとの分離性の比較試験を行った。オレンジ、スイカ、パイナップル、イチゴ、リンゴ、グレープフルーツ、キウイの7種類の果実を用いて、上記の単品ピューレジュース及び単品果実ジュースの作成方法に従ってそれぞれの単品ジュースを作成し、分離性試験を行った。ピューレジュースの分離性試験の結果が図3に、果実ジュースの分離性試験の結果が図4にそれぞれ示されている。ここで、各図中の「上層」「中層」「下層」は分離している場合のそれぞれの部分のことであり、「上層」は分離している場合の液面側の部分の量、「下層」は分離している場合の底面側の部分の量、「中層」は3層に分離した場合の「上層」と「下層」に挟まれた部分の量をそれぞれ意味する。また、「100」は分離していないことを意味する。なお、この例では、イチゴ、リンゴ、キウイのピューレは分散安定性ピューレに相当し、オレンジ、スイカ、パイナップル、グレープフルーツのピューレは非分散安定性ピューレに相当する。
図3,4に示されるように、ピューレジュース及び果実ジュースに加水しない状態での分離性を比較したところ、120分までの観察で、ピューレジュースについてはオレンジ、スイカ、パイナップルの3種類について分離が生じ(図3参照)、果実ジュースについてはオレンジ、スイカ、パイナップル、グレープフルーツの4種類で分離が生じた(図4参照)。
オレンジ、スイカ、パイナップルを用いたジュースについては、ピューレジュースと果実ジュースの双方で分離が生じているものの、その分離状態には差異がある。ピューレジュースのうちの分離したもの(1−1,1−2,1−3)については果実片等の固形分が下層側に溜まる傾向が見られた。一方、果実ジュースのうちの分離したもの(2−1,2−2,2−3,2−6)については、ジュース全体に占める上層の割合が高い傾向が見て取れ、これは上層に果実片等の固形分が浮いていたためであると考えられる。ピューレジュースと果実ジュースとでこのような差異が生じたのは、加熱軟化処理後にストレーナで裏漉しするという方法で作られたピューレジュースでは、果汁を内包した果肉があまり破壊されず、果実が糖分を含む果汁を内包したままであるためその重さで沈んだのに対して、ミキサーで作られた果実ジュースでは、ブレードで果実が破砕されて果肉と糖分を含む果汁とがバラバラになったことにより糖分を殆ど含まず軽い果肉が液上層に浮き上がったものと考えられる。今回の実験においては検討を行っていないが、分離が見られなかったジュースについても、果汁のうち糖分を多く含む部分は下層に、糖分の含有量が少ない部分は上層に集まっている可能性も考えられる。
<実施例2:加水時の分離性の比較>
ジューススタンド等で販売されている果実ジュースは、果実のみではジュースとして適した流動性を得ることが困難であるため、果実と同量程度の水を加えた上でミキサー等で破砕して提供するのが一般的であることから、ジュースに加水した場合の分離性についても検討を行った。実施例2においては、実施例1で得られた7種類のピューレジュース、及び7種類の果実ジュースに同量の水を加えた場合の分離性を調べた。ピューレジュースに加水した場合の分離性試験の結果が図5に、果実ジュースに加水した場合の分離性試験の結果が図6に、それぞれ示されている。
加水状態での分離性を比較したところ、120分までの観察で、ピューレジュースについてはイチゴ以外の6種類について分離が生じ(図5参照)、果実ジュースについては7種類全てで分離が生じた(図6参照)。イチゴのピューレジュースについて分離が生じなかった理由は定かではないが、イチゴのピューレは保水力(分散力)が高く、同量の水が加えられた場合でも十分に保水力を保持できたためではないかと推測される。
<実施例3:牛乳を加えた場合の分離性の比較>
ジューススタンド等における果実ジュースの販売では、単品の果実ジュースや複数種類の果実ジュースを混合したミックスジュースのみではなく、乳製品等と混ぜ合わせて提供されることもある。このため、実施例3においては、実施例1で得られた各7種類ずつのジュースのうち、イチゴ、リンゴ、キウイ、グレープフルーツを原料とした4種類のピューレジュース、及び果実ジュースに同量の牛乳を加えた場合の分離性を調べた。ピューレジュースに牛乳を加えた場合の分離性試験の結果が図7に、果実ジュースに牛乳を加えた場合の分離性試験の結果が図8に、それぞれ示されている。
牛乳を加えた場合の分離性を比較したところ、120分までの観察で、ピューレジュースについては、イチゴとリンゴのピューレジュースではまったく分離が見られず、またキウイとグレープフルーツのピューレジュースでもごく少量の上澄みが生じただけであった(図7参照)。また、グレープフルーツのピューレジュースに牛乳を加えたものでは(5−4)、外観的な変化上述の通り殆ど認められなかったものの、飲んでみたところヨーグルトやカッテージチーズに近い風味を呈しており、微視的には牛乳中のタンパク質がグレープフルーツの酸により凝固している可能性が考えられる。
これに対して、果実ジュースにおいては、イチゴとキウイの果実ジュースでは分離は見られなかったものの、リンゴとグレープフルーツの果実ジュースでは果実片が液表面に浮き上がり、明確な分離が認められた。これは、先にも述べたように果実ジュースでは果肉と果汁とがバラバラにされていることに由来するものと考えられる。
<実施例4:複数のピューレジュースを混合した場合の分離性の比較>
実施例1〜3においては、単一の原料からなるジュースの分離性について評価を行ったが、実施例4においては単一の原料からなるジュースを複数種類混ぜて得られたミックスジュースの分離性について検討を行う。複数のピューレジュースを混合した場合の分離性試験の結果が図9〜11に示されている。
図9には、オレンジピューレジュースとリンゴピューレジュースとを混合した場合の分離性試験の結果が示されている。同図に示されたように、分散安定性ピューレであるリンゴピューレジュースの配合量が10容積%である7−1では、60分以上経過すると少量の上澄みが見られたが、リンゴピューレジュースを30容積%以上入れた7−2,7−3,7−4では、120分経過時点で分離は見られなかった。その一方で、リンゴピューレジュースの配合量が70容積%となった7−4の配合例では、流動性の低いリンゴピューレの配合割合が高いためにジュース全体としての流動性も低くなり、ジュースとしての飲みやすさに劣るものであった。なお、実際にジュースを提供する場合の状況を考慮すると、ジューススタンド等で販売されているジュースは消費者への提供後数分〜数十分程度で飲み干されることが多いため、消費者へ提供した後60分以上静置されるという状況は実際には殆ど起こらず、7−1の配合例も実用上問題ないレベルの分離であると考えられる。
次いで、図10にはスイカピューレジュースとイチゴピューレジュースとを混合した場合の分離性試験の結果が示されている。同図に示されたように、イチゴピューレジュースとスイカピューレジュースとを用いた配合例では、イチゴピューレジュースの配合割合が10〜70容積%のいずれの割合であっても120分経過時点までで分離が生じず、非常に分散性に優れ安定したものであった。これは、加水した場合(図5参照)と同様にイチゴピューレジュースの高い分散性によるものであると考えられる。その一方で、イチゴピューレジュースの配合量が70容積%となった8−4の配合例では、流動性の低いイチゴピューレの配合割合が高いためにジュース全体としての流動性も低くなり、ジュースとしての飲みやすさに劣るものであった。
次に、図11にはパイン、キウイ、イチゴ、スイカのピューレジュース混合した場合の分離性試験の結果が示されている。同図に示された例では、分散安定性ピューレ(イチゴ、キウイ)の配合量が50容積%以上の例において安定した分散性が認められた。安定に必要な分散安定性ピューレの配合量が図9,10の例と大きく異なる理由は定かではないが、図9,10の配合例では2種類のピューレジュースを混合しているのに対して、9−1〜9−4の配合例では3種類のピューレジュースを混合しているためこの影響である可能性も考えられる。また、非分散安定性ピューレであるパインピューレジュースとスイカピューレジュースのみを混合した9−5の配合例では、早い時点から明確な分離が見られた。なお飲みやすさについては、2種類のピューレジュースを配合した場合と同様に、分散安定性ピューレの配合割合が70容積%を超えると飲みにくくなるものであった。
<実施例5:色差評価>
次に、各単品ピューレジュースの色差の測定を行い、各単品ピューレジュースの測定結果が図13に、ミックスジュースの測定結果が図14にそれぞれ示されている。なおここで、図14におけるミックスジュース1〜4はそれぞれ図12に示す重量比でピューレジュースを混合したものである。両図12,13に示されるように、いずれのジュースもジュースとして好ましい色合いであった。
<実施例6:粘度測定>
次に、幾つかのミックスピューレジュース、単品ピューレジュース、単品果実ジュースについて粘度を測定した結果が図15〜18に、それらから得られた各ジュースの粘度が図19にそれぞれ示されている。なお、図15〜19において、ブルーベリー、パイン、リンゴ、イチゴ(あまおう)はそれぞれ前述の手法で作成された単品ピューレジュースであり、ミックス5,6は図12に示された割合で単品ピューレジュースを混合したミックスピューレジュース、市販オレンジは市販のオレンジジュース(果実ジュースに相当)である。
分散安定性を有しないジュースは、パインピューレジュース(12−4)の粘度が9.3mPa・s、市販オレンジジュース(12−7)の粘度が7mPa・sといずれも非常に低い値であり、さらっとした液性であることがわかった。なお、パインピューレジュースと市販オレンジジュースについては、粘度が低すぎてあまり正確な測定が行えなかったために、実際の数値とはやや誤差があるものと考えられる。
一方、分散安定性を有するジュースは、ミックスピューレジュース5(12−1)の粘度が233〜303mPa・s、ミックスピューレジュース6(12−2)の粘度が67〜106mPa・s、ブルーベリーピューレジュース(12−3)の粘度が310〜558mPa・s、リンゴピューレジュース(12−5)の粘度が2500〜3966mPa・s、イチゴピューレジュース(12−6)の粘度が1808〜2683mPa・sと、いずれも分散安定性を有しないジュースと比べるとはるかに粘度が高いことがわかる。
これらの結果から、粘度が高いピューレジュースは分散安定性を有し、目安としては粘度が50〜60mPa・s以上であると安定していると考えられる。一方、粘度が低いジュースは分散安定性を有しないことが多いが、グレープフルーツピューレジュースはパインピューレジュースやオレンジジュースと同程度の粘性でありながら高い分散安定性を有することを考慮すると、粘度が低いピューレジュースであってもピューレジュース内に柔軟性のある繊維を含むものであれば分散安定性を有するものであると認められる。なお、本実施例において幾つかのピューレジュースで粘度の測定結果に幅があるのは、液中に含まれる果実等により部分毎に粘度の偏りがあるためだと考えられる。
本発明に係るミックスジュースは、薬品等の添加を行わずとも分散安定性に優れ、流動性裏漉し処理物のみでジュースとして適切な流動性を有したミックスジュースとして好ましいものである。
また本発明に係るミックスジュースは、飲料としてそのまま提供する他に、牛乳やヨーグルト等の乳製品やアルコール等と混ぜて提供したり、料理、菓子類、パン等に調理用ジュースとして添加して用いてもよい。

Claims (6)

  1. イチゴ及び/又はキウイである第1の植物性素材を過熱蒸気により加熱して軟化処理する第1の軟化処理行程と、
    前記第1の軟化処理行程にて軟化処理された処理物を裏漉しして、第1の流動性裏漉し処理物を得る第1の裏漉し処理行程と、
    第2の植物性素材を過熱蒸気により加熱して軟化処理する第2の軟化処理行程と、
    前記第2の軟化処理行程にて軟化処理された処理物を裏漉しして、第2の流動性裏漉し処理物を得る第2の裏漉し処理行程と、
    前記第1の流動性裏漉し処理物と前記第2の流動性裏漉し処理物とを所定の割合で混合して、ミックスジュースを得る混合行程と、を備えたミックスジュースの製造方法であって、
    前記第1の流動性裏漉し処理物は、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物であり、前記第2の流動性裏漉し処理物は、分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物であり、
    前記所定の割合は、前記ミックスジュース100容積%のうちで、前記第1の流動性裏漉し処理物の割合が、50〜60容積%の範囲となる割合である、
    ことを特徴とするミックスジュースの製造方法。
  2. 前記第1の流動性裏漉し処理物は、泡立たない程度の速度で均一になるまで撹拌して分散させた後、2時間静置しても分離が生じない安定したものである、ことを特徴とする請求項1に記載のミックスジュースの製造方法。
  3. 前記第2の植物性素材は、パイナップル、オレンジ、又はスイカのいずれか1つ以上である、ことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1つに記載のミックスジュースの製造方法。
  4. 前記ミックスジュースは、糖度が8°Bx以上であり、前記第1の流動性裏漉し処理物及び前記第2の流動性裏漉し処理物に含まれる糖分以外の糖分は含まないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のミックスジュースの製造方法。
  5. 前記ミックスジュースは、JIS Z 8729によるL値が20以上、a値が−50以上、b値が−50以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のミックスジュースの製造方法。
  6. イチゴである第1の植物性素材を過熱蒸気により加熱して軟化処理する第1の軟化処理行程と、
    前記第1の軟化処理行程にて軟化処理された処理物を裏漉しして、第1の流動性裏漉し処理物を得る第1の裏漉し処理行程と、
    1種類の第2の植物性素材を過熱蒸気により加熱して軟化処理する第2の軟化処理行程と、
    前記第2の軟化処理行程にて軟化処理された処理物を裏漉しして、第2の流動性裏漉し処理物を得る第2の裏漉し処理行程と、
    前記第1の流動性裏漉し処理物と前記第2の流動性裏漉し処理物とを所定の割合で混合して、ミックスジュースを得る混合行程と、を備えたミックスジュースの製造方法であって、
    前記第1の流動性裏漉し処理物は、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物であり、前記第2の流動性裏漉し処理物は、分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物であり、
    前記所定の割合は、前記ミックスジュース100容積%のうちで、前記第1の流動性裏漉し処理物の割合が、5〜60容積%の範囲となる割合である、
    ことを特徴とするミックスジュースの製造方法。
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