JP2015037400A - ミックスジュース - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 それぞれ、1又は2以上の種類の植物性食材を過熱蒸気により加熱軟化処理したのち、これを裏漉し処理してなる2以上の種類の流動性裏漉し処理物を混合してなるミックスジュースであって、ミックスジュースを構成する2以上の種類の流動性裏漉し処理物は、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物と分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物とのいずれかに属するものであり、ミックスジュース100容積%のうちで、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の割合は、5〜60容積%の範囲である、ことを特徴とする。
【選択図】図9
Description
本発明のジュースに用いる流動性裏漉し処理物の製造方法を詳細に説明する。流動性裏漉し処理物製造工程のフローチャートが図1に示されている。
先ずはじめに、傷みがある等の不適な原料を取り除き、原料となる果実や野菜を水で洗浄する(ステップ101)。この洗浄処理は単に汚れを落とすのみではなく殺菌や消毒も目的の一つであるため、菌の付きにくい原料に関しては流水で洗うのみでもよいが、菌の付きやすい原料の場合には適当な大きさの容器に原料を入れ、所定時間浸漬させて洗うことが好ましい。また、洗浄処理においては必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム等の食品用殺菌剤を用いてもよいが、この場合には食品用殺菌剤の使用後に改めて水によるすすぎが必要となり、加えて、食品用殺菌剤を加えた水に長時間に亘って原料を浸漬すると原料に食品用殺菌剤が浸透し過ぎてしまうので注意が必要である。
次いで、洗浄した原料の皮むき・切断処理を行う(ステップ102)。具体的には、グレープフルーツやオレンジ、スイカ等の厚い外皮を持つものについては外皮をむいて適当な大きさに切断する。また、苺であれば皮むきや切断は不要であるため、ヘタのみを取り除く。グレープフルーツ等の外皮内側のわた部分は、風味や分散安定性の付与等の理由から、少量加えるようにしてもよい。
次いで、過熱蒸気による加熱軟化処理を行う(ステップ103)。先にも述べたように、本発明においては過熱蒸気にて原料の加熱処理を行う。この加熱工程においては原料を容器に入れて加熱処理を行うが、ここで用いる容器としては、ネット状の容器やバット状の容器など原料の性状に適した容器を適宜選択して用いることができ、汁気の少ない葉物野菜等であればネット状の容器を用い、汁気が多く加熱処理時にドリップが生じる果実などはバット状の容器を用いることが望ましい。本発明において用いる過熱蒸気としては、120〜500℃の過熱蒸気を用いることが好ましく、180〜350℃の過熱蒸気であればより好ましい。また、加熱温度や加熱時間は原料によって異なるが、キャベツやほうれん草などの葉菜類であれば180〜300℃で5〜18分程度、トマトやカボチャなどの果菜類であれば180〜350℃で8〜20分程度、大根や人参などの根菜類であれば180〜350℃で15〜25分程度、果物類であれば180〜350℃で3〜18分程度、穀物類であれば180〜350℃で25〜50分程度であることが好ましい。
次いで、加熱した原料の温度が高いうちに裏漉し処理を行う(ステップ104)。裏漉し処理を行う場合に用いる装置としては、垂直公転軸の周りを公転しつつ傾斜自転軸の周りを自転する複数の円筒状容器内に、同容器よりも小径な有底円筒状ストレーナを配置し、この有底円筒状ストレーナ内に置かれた軟化処理物を公転と自転との合成遠心力により円筒状ストレーナの周壁に押しつけ通過させて原材料を裏漉しするようなものが好ましく、一例として特開2001−299191号公報に記載された食用粉混練装置が挙げられる。運転条件や用いるストレーナの径等は原料や求める流動性裏漉し処理物の粗さによっても異なるが、流動性裏漉し処理物をジュースに用いる場合であれば、公転回転数800〜2400rpm、自転回転数200〜600rpm程度の回転速度で孔径0.3〜8mm程度のストレーナを用いて裏漉し処理を行うと、ジュースに適した粗さの流動性裏漉し処理物とすることができ、パイナップル等の固めの繊維、ブドウの皮、柑橘類の薄皮や種等も取り除くことができる。また、ブレード等による破砕処理を伴わないために、種が砕かれて流動性裏漉し処理物に苦みを生じさせることもない。
次いで、裏漉し処理で得られた流動性裏漉し処理物の包装及び冷凍処理を行う(ステップ105)。衛生面(安全性、菌対策)から、裏漉し処理が済んだ流動性裏漉し処理物はすぐに保存用のビニール袋に入れて密封する。密封した流動性裏漉し処理物は保存のために冷凍処理を行うが、原料の種類や操業条件等によってはこの段階で流動性裏漉し処理物の温度が40〜50℃程度の比較的高い温度を保持している場合もある。このような場合には、密封状態のまま流水などで冷却してから冷凍処理を行う。なお、製造した流動性裏漉し処理物をすぐにジュース原料として用いる場合には、包装・冷凍工程が不要であることは言うまでもない。
本発明においては、流動性裏漉し処理物を軽くかき混ぜて分散させた後、2時間静置しても上澄み及び/又は沈殿が生じずに安定しているものを「分散安定性を有する流動性裏漉し処理物」、2時間以内に上澄み及び/又は沈殿が生じたものを「分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物」とする。
次いで、本発明に係る流動性裏漉し処理物ミックスジュースの製造方法について説明を行う。流動性裏漉し処理物ジュース製造工程のフローチャートが図2に示されている。
先ずはじめに、原料となる流動性裏漉し処理物の解凍処理を行う(ステップ201)。本発明において流動性裏漉し処理物の解凍処理は、衛生面の観点から包装状態のまま解凍処理を行うことが好ましく、解凍方法としては、冷蔵庫の中で数時間〜一日程度静置して解凍する、流水で解凍する、等の一般的な解凍方法を用いることができ。なお、製造した流動性裏漉し処理物を冷凍保存せずにすぐにジュース原料として用いる場合には、解凍工程が不要であることは言うまでもない。
次いで、原料となる各流動性裏漉し処理物を混合・攪拌し、流動性裏漉し処理物ミックスジュースを製造する(ステップ202)。解凍された流動性裏漉し処理物を所定の割合で混ぜ合わせ、低速で攪拌することで本発明に係る流動性裏漉し処理物ミックスジュースが得られる。攪拌を高速で行うと流動性裏漉し処理物中に気泡が入りやすくなり、細かい気泡が流動性裏漉し処理物中に混ざると浮上する際に流動性裏漉し処理物中の果肉等の浮遊物(固形物)を巻き込むため、流動性裏漉し処理物の分離が起こりやすくなるおそれがある。
次いで、流動性裏漉し処理物ミックスジュースの包装・冷凍処理を行う(ステップ203)。均一に混ざった流動性裏漉し処理物ミックスジュースを保存用のビニール袋に入れて密封し、保存のための冷凍処理を行う。なお、得られた流動性裏漉し処理物ミックスジュースをすぐに消費者に提供する場合には、包装・冷凍工程が不要であることは言うまでもない。
本発明に係るミックスジュースは基本的には飲用に用いるものであるため、消費者への訴求力を考慮して、色合いが食欲をそそるようなものであることが好ましい。色彩の好みには個人差があるものの、ジュースであれば、極端に暗い色合いのものや不自然な印象を与える青系の色彩のものはあまり好ましくないと考えられる。このような理由から本発明に係るミックスジュースは、JIS Z 8729によるL値が20以上、a値が−50以上、b値が−50以上であることが望ましい。
原料となる生の植物性素材を水で洗浄し、次いで、イチゴはへたを取り除き、イチゴ以外の原料は外皮をむいて適度な大きさに切断する。切断した原料を180〜350℃の過熱蒸気で3〜18分間軟化加熱処理した後に、公転と自転との合成遠心力により円筒状ストレーナの周壁に押しつけ通過させて原材料を裏漉しする裏漉し装置にて、孔径2.5mmのストレーナを用いて裏漉し処理を行い各原料毎のピューレを得た。
各原料毎のピューレを所定の割合で混合して、気泡が入らないようにゆっくりかき混ぜることでそれぞれのミックスピューレジュースを得た。
原料となる生の植物性素材を水で洗浄し、次いで、イチゴはへたを取り除き、イチゴ以外の原料は外皮をむいて適度な大きさに切断する。切断した原料をミキサーで粉砕して、目的となる果実ジュースを得た。
各原料毎の果実ジュースを所定の割合で混合して、気泡が入らないようにゆっくりかき混ぜることでそれぞれのミックス果実ジュースを得た。
試験対象となるジュースをゆっくり攪拌して十分に混ざったところでメスシリンダーに入れ、所定時間後の分離状態を目視で確認した。
それぞれのジュースを軽く攪拌した上で糖度計で糖度(°Bx)の測定を行った。
保存用のビニール袋に入った各ピューレ(解凍状態)の任意の5箇所に袋の上からハンディ型色彩計(NR−11 日本電色工業(株))をあててL値、a値、b値を測定し、各測定毎の値と5回分の平均値とを求めた。
500mlのビーカーに試験対象となるジュースを入れ、粘度計(ビスメトロン、芝浦システム(株))にて、同一のローター及び回転速度条件で3回ずつ粘度の測定を行い、その平均値を各条件における粘度とした。なお、測定結果は、粘度計の特定から測定値20以上を信用できる値とみなし、20を大きく下回る値、及び各測定条件に測定上限に近い値を好ましくない値とし、○、△、×、の3段階で判定した。ここで、○判定があったものは○判定であった数値の平均値をそのジュースの粘度(mPa・s/CP値)とし、○判定がなかったものは△判定であった数値の平均値をそのジュースの粘度(mPa・s/CP値)とした(図19参照)。また、図15〜18において測定不可であったものはNGと記した。
○:測定値として信用できる(測定値20以上)
△:測定値としてやや信用できる(測定値が10〜20程度、若しくは85以上)
×:測定値としてあまり信用できない(測定値10未満)
試験対象となるジュースを飲んだときの飲みやすさを比較した。
○:流動性が適切な範囲であり、飲みやすいジュースであった
△:やや流動性に劣り、多少飲みにくかった(実用の範囲)
×:流動性に劣り、飲みにくかった
はじめに、生の果実を用いたジュースと、本発明に係るピューレジュースとの分離性の比較試験を行った。オレンジ、スイカ、パイナップル、イチゴ、リンゴ、グレープフルーツ、キウイの7種類の果実を用いて、上記の単品ピューレジュース及び単品果実ジュースの作成方法に従ってそれぞれの単品ジュースを作成し、分離性試験を行った。ピューレジュースの分離性試験の結果が図3に、果実ジュースの分離性試験の結果が図4にそれぞれ示されている。ここで、各図中の「上層」「中層」「下層」は分離している場合のそれぞれの部分のことであり、「上層」は分離している場合の液面側の部分の量、「下層」は分離している場合の底面側の部分の量、「中層」は3層に分離した場合の「上層」と「下層」に挟まれた部分の量をそれぞれ意味する。また、「100」は分離していないことを意味する。なお、この例では、イチゴ、リンゴ、キウイのピューレは分散安定性ピューレに相当し、オレンジ、スイカ、パイナップル、グレープフルーツのピューレは非分散安定性ピューレに相当する。
ジューススタンド等で販売されている果実ジュースは、果実のみではジュースとして適した流動性を得ることが困難であるため、果実と同量程度の水を加えた上でミキサー等で破砕して提供するのが一般的であることから、ジュースに加水した場合の分離性についても検討を行った。実施例2においては、実施例1で得られた7種類のピューレジュース、及び7種類の果実ジュースに同量の水を加えた場合の分離性を調べた。ピューレジュースに加水した場合の分離性試験の結果が図5に、果実ジュースに加水した場合の分離性試験の結果が図6に、それぞれ示されている。
ジューススタンド等における果実ジュースの販売では、単品の果実ジュースや複数種類の果実ジュースを混合したミックスジュースのみではなく、乳製品等と混ぜ合わせて提供されることもある。このため、実施例3においては、実施例1で得られた各7種類ずつのジュースのうち、イチゴ、リンゴ、キウイ、グレープフルーツを原料とした4種類のピューレジュース、及び果実ジュースに同量の牛乳を加えた場合の分離性を調べた。ピューレジュースに牛乳を加えた場合の分離性試験の結果が図7に、果実ジュースに牛乳を加えた場合の分離性試験の結果が図8に、それぞれ示されている。
実施例1〜3においては、単一の原料からなるジュースの分離性について評価を行ったが、実施例4においては単一の原料からなるジュースを複数種類混ぜて得られたミックスジュースの分離性について検討を行う。複数のピューレジュースを混合した場合の分離性試験の結果が図9〜11に示されている。
次に、各単品ピューレジュースの色差の測定を行い、各単品ピューレジュースの測定結果が図13に、ミックスジュースの測定結果が図14にそれぞれ示されている。なおここで、図14におけるミックスジュース1〜4はそれぞれ図12に示す重量比でピューレジュースを混合したものである。両図12,13に示されるように、いずれのジュースもジュースとして好ましい色合いであった。
次に、幾つかのミックスピューレジュース、単品ピューレジュース、単品果実ジュースについて粘度を測定した結果が図15〜18に、それらから得られた各ジュースの粘度が図19にそれぞれ示されている。なお、図15〜19において、ブルーベリー、パイン、リンゴ、イチゴ(あまおう)はそれぞれ前述の手法で作成された単品ピューレジュースであり、ミックス5,6は図12に示された割合で単品ピューレジュースを混合したミックスピューレジュース、市販オレンジは市販のオレンジジュース(果実ジュースに相当)である。
Claims (10)
- それぞれ、1又は2以上の種類の植物性食材を過熱蒸気により加熱軟化処理したのち、これを裏漉し処理してなる2以上の種類の流動性裏漉し処理物を混合してなるミックスジュースであって、
前記ミックスジュースを構成する2以上の種類の流動性裏漉し処理物は、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物と分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物とのいずれかに属するものであり、
前記ミックスジュース100容積%のうちで、前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の割合は、5〜60容積%の範囲である、ことを特徴とするミックスジュース。 - 前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物は、前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物を泡立たない程度の速度で均一になるまで撹拌して分散させた後、2時間静置しても上澄み及び/又は沈殿が生じずに安定したものである、ことを請求項1に記載のミックスジュース。
- 前記2以上の種類の流動性裏漉し処理物は、いずれも、単一種類の植物性食材を過熱蒸気により加熱軟化処理したのち、これを裏漉し処理してなるものである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のミックスジュース。
- 前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の元となる植物性食材は、イチゴ、キウイ、又はリンゴのいずれかであり、かつ前記分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物の元となる植物性食材が、パイナップル、オレンジ、又はスイカのいずれかである、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のミックスジュース。
- 前記ミックスジュースを構成する2以上の種類の流動性裏漉し処理物は、3種類の流動性裏漉し処理物であり、前記ミックスジュース100容積%のうちで、前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の割合は、40〜60容積%の範囲である、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のミックスジュース。
- 前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の元となる植物性食材は、イチゴである、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のミックスジュース。
- 糖度が8°Bx以上であり、砂糖や蜂蜜等の糖分を添加していないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のミックスジュース。
- JIS Z 8729によるL値が20以上、a値が−50以上、b値が−50以上であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のミックスジュース。
- それぞれ、1又は2以上の種類の植物性食材を過熱蒸気により加熱軟化処理したのち、これを裏漉し処理してなる2以上の種類の流動性裏漉し処理物を混合してなる植物性食品であって、
前記植物性食品を構成する2以上の種類の流動性裏漉し処理物は、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物と分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物とのいずれかに属するものであり、
前記植物性食品100容積%のうちで、前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の割合は、5容積%以上である、ことを特徴とする植物性食品。 - それぞれ、1又は2以上の種類の植物性食材を過熱蒸気により加熱軟化処理したのち、これを裏漉し処理してなる2以上の種類の流動性裏漉し処理物を混合してなる植物性食品を含む食品であって、
前記植物性食品を構成する2以上の種類の流動性裏漉し処理物は、分散安定性を有する流動性裏漉し処理物と分散安定性を有しない流動性裏漉し処理物とのいずれかに属するものであり、
前記植物性食品100容積%のうちで、前記分散安定性を有する流動性裏漉し処理物の割合は、5容積%以上である、ことを特徴とする植物性食品を含む食品。
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