上述のように、従来の遊技機では、取込球通路や払出球通路等に沿って複数の検出領域が設けられており、夫々の検出領域に対して球検出スイッチが固定されている。かかる構成では検出領域の数と同数の球検出スイッチが必要となるが、遊技球の検出が多点で必要とされる最近の遊技機では、多数の球検出スイッチが配設されている。ところが、こうした遊技機にあっては、球検出スイッチが一つでも故障すると、遊技球数を正確に確認できなくなるため、検出領域が多くなるほど遊技機の故障発生率が高くなるという問題がある。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、少数の球検出スイッチで、従来同様に遊技球を検出し得る遊技機の提供を目的とする。
本発明は、遊技球を遊技媒体とする遊技機において、遊技球が通過する球通路に沿って設けられる複数の検出領域と、該検出領域に遊技球が存在するか否かを検出する球検出スイッチと、該球検出スイッチを移送して、複数の検出領域に位置させるスイッチ案内移動装置と、該スイッチ案内移動装置を作動させて、球検出スイッチを、複数の検出領域のいずれかに選択的に移動する移動装置制御手段とを備えることを特徴とする遊技機である。ここで、移動装置制御手段は、遊技制御に用いられる電気回路が組み込まれた基板と、該基板で実行されるプログラムなどにより実現し得るものである。
かかる構成にあっては、球検出スイッチが一つの検出領域に対して固定されるのではなく、スイッチ案内移動装置によって移送されることにより複数の検出領域に位置変換可能となっており、該球検出スイッチを、移動装置制御手段によって任意の検出領域へ選択的に移送する。すなわち、本発明の遊技機では、遊技球の検出を同時に必要としない複数の検出領域に対して、球検出スイッチを適時に移送することによって、多数の検出領域における遊技球の有無を、少数の球検出スイッチによって確認することができ、従来構成に比べて、検出領域の数に対する球検出スイッチの数を削減可能となっている。
具体的には、投入用の遊技球を貯留する機体前面の投入用貯留皿と、該投入用貯留皿の貯留部から流入する遊技球を整列状に停留させる取込待機球通路部と該取込待機球通路部の下流部から機体内部へ遊技球を流下させる取込後流下球通路部とが連続してなる取込球通路と、該取込待機球通路部の下流部から取込後流下球通路部へ遊技球を送出する取込装置と、該取込装置を作動させる取込装置制御手段と、取込待機球通路部の下流部から取込後流下球通路部へ所要個数の遊技球を送出するように取込装置制御手段へ要求するための取込要求操作手段とを備えた遊技機であって、取込待機球通路部内と取込後流下球通路部内とに夫々検出領域が設けられており、移動装置制御手段は、スイッチ案内移動装置を作動させて、球検出スイッチを、取込装置の作動前は取込待機球通路部内の検出領域に、取込装置の作動中は取込後流下球通路部内の検出領域に位置させるものである構成が提案される。上述したように、取込待機球通路部に整列する遊技球の検出は取込装置の作動前に必要であり、一方、取込装置から送出されて取込後流下球通路部を流下する遊技球の検出は取込装置の作動中に必要となる。すなわち、取込待機球通路部の検出領域と取込後流下球通路部の検出領域とは、遊技球の検出を同時に必要とするものではない。かかる構成にあっては、同じ球検出スイッチを、取込装置の作動前は取込待機球通路部の検出領域に、取込装置の作動中は取込後流下球通路部の検出領域に位置させることによって、取込待機球通路部に整列する遊技球数の検出と、取込装置によって送出される遊技球の検出とを、同一の球検出スイッチで実行可能となる。
また、上記構成にあっては、取込待機球通路部内の検出領域は、所定数の遊技球が整列する長さ領域に亘っており、移動装置制御手段は、取込装置の作動前にスイッチ案内移動装置を作動させて、球検出スイッチを該検出領域の長さ方向に沿って移送して、該検出領域の遊技球を順次検出させるものであり、さらに、球検出スイッチからの検出信号を受信して、取込待機球通路部の遊技球を計数する待機球計数手段を備えることが提案される。かかる構成にあっては、取込待機球通路部内の、所定数の遊技球が整列する長さ領域が検出領域に設定されており、球検出スイッチは、かかる検出領域の一部のみで遊技球を検出するのではなく、該検出領域に沿って移動しながら、その各部位で連続的に遊技球の有無を検出し、検出信号を待機球計数手段へ送信する。そして、待機球計数手段が、かかる検出信号に基づいて検出領域の遊技球を計数する。この計数結果によって、取込待機球通路部に送出可能な個数の遊技球が停留しているか否かを確認可能となる。なお、検出領域の長さは様々に設定可能である。例えば、検出領域を取込待機球通路部の全長に亘って設け、取込待機球通路部に整列する遊技球全てを計数してもよいし、取込待機球通路部の一部のみを検出領域に設定して、球検出スイッチによる検出を短時間で行うようにしてもよい。また、球検出スイッチが検出領域を移動する時間は、球検出スイッチを移送する速度に反比例し、移送速度の上昇しより移動時間を短縮できる。一方で、移動速度を上げると検出精度は低下するため、移動速度は、充分な検出精度を確保できる範囲内に止めることが望ましい。また、移動装置制御手段による、スイッチ案内移動装置の制御態様も種々考えられる。定期的又は周期的に作動させるよう制御してもよいし、取込待機球通路部の遊技球を検出する必要が生じた場合にのみスイッチ案内移動装置を作動させるよう制御してもよい。
ところで、上記構成にあっては、取込装置の作動前に、球検出スイッチを取込待機球通路部内の検出領域に沿って移動させ、取込装置の作動中に、同じ球検出スイッチを取込後流下球通路部の検出領域に位置させている。ここで、取込作動中は、球検出スイッチによって取込後流下球通路部に送出された遊技球を検出するものであるから、取込装置が遊技球を送出開始する時において、球検出スイッチは取込後流下球通路部の検出領域に位置していなくてはならない。言い換えれば、球検出スイッチが当該検出領域に移送するまでは、取込装置を作動させることができない。このため、上記構成にあっては、移動装置制御手段は、取込要求操作手段から取込装置制御手段への要求に起因して、取込装置の作動前に、球検出スイッチを取込待機球通路部の検出領域の上流端から下流端へ移送して、該検出領域の遊技球を順次検出させ、その後に、球検出スイッチを取込後流下球通路部内の検出領域に位置させるものであることが望ましい。かかる構成では、球検出スイッチを取込待機球通路部内の検出領域に沿って移送した時点で、球検出スイッチは、取込待機球通路部の検出領域の下流側、すなわち取込後流下球通路部に近い側に位置することとなる。したがって、球検出スイッチを取込後流下球通路部の検出領域まで短時間で移送することができ、取込装置を迅速に作動させることが可能となる。
一方で、取込待機球通路部に沿って複数の検出領域が設けられており、移動装置制御手段は、取込要求操作手段から取込装置制御手段への要求に起因して、取込装置制御手段が取込装置を作動させる前に、スイッチ案内移動装置を作動させて、球検出スイッチを、取込待機球通路部の下流側から数えて当該所要個数目の遊技球があるべき場所の検出領域に移動するものである構成も提案される。かかる構成にあっては、取込要求操作手段から取込制御装置へ例えば5個の遊技球の取込が要求されると、移動装置制御手段はスイッチ案内移動装置を作動させて、球検出スイッチを、取込待機球通路部の下流側から数えて5個目の遊技球があるべき場所の検出領域に移送する。かかる状態では、取込待機球通路部に5個以上の遊技球が整列している場合には、球検出スイッチによって当該検出領域で遊技球が検出され、整列する遊技球が5個未満の場合には、当該検出領域では遊技球が検出されないこととなる。すなわち、かかる検出領域へ移送した球検出スイッチの検出信号によって、取込待機球通路部に所要個数(5個)の遊技球が停留しているか否かを検知することができ、かかる検出信号を取込装置制御手段等へ送信させることによって、所要個数(5個)の遊技球を送出可能であるか否かを容易に確認可能となる。このように、取込待機球通路部に沿って検出領域を複数設定し、取込要求操作手段の要求個数に応じて球検出スイッチを移動させるようにすれば、取込待機球通路部に所要個数以上の遊技球が停留しているか否かを一つの球検出スイッチによって確認可能となる。
また、取込待機球通路部や取込後流下球通路部以外の複数の検出領域に対して、球検出スイッチを移動可能とする構成も提案される。具体的には、機外の装置から遊技球の供給を受けるための背面上部の球タンクと、投入用の遊技球を貯留する機体前面の投入用貯留皿と、球タンクから流入する遊技球を整列状に停留させる払出待機球通路部と該払出待機球通路部の下流部から投入用貯留皿へ遊技球を流下させる払出後流下球通路部とが連続してなる払出球通路と、該払出待機球通路部の下流部から払出後流下球通路部へ遊技球を送出する払出装置とを備えた遊技機であって、払出待機球通路部内と払出後流下球通路部内とに夫々検出領域が設けられており、移動装置制御手段は、スイッチ案内移動装置を作動させて、球検出スイッチを、払出装置の作動前は払出待機球通路部内の検出領域に、払出装置の作動中は払出後流下球通路部内の検出領域に位置させるものである構成も提案される。上述のように、払出待機球通路部に整列する遊技球の検出は払出装置の作動前に必要となり、払出後流下球通路部を流下する遊技球の検出は払出装置の作動中に必要となるものであり、払出待機球通路部の検出領域と払出後流下球通路部の検出領域とは、遊技球の検出を同時に必要とするものではない。したがって、かかる構成にあっては、同一の球検出スイッチを、払出装置の作動前は払出待機球通路部の検出領域に、払出装置の作動中は払出後流下球通路部の検出領域に位置させることによって、払出待機球通路部に整列する遊技球の検出と、払出装置によって送出される遊技球の検出を、同じ球検出スイッチで実行可能となる。
同様に、払出待機球通路部内の検出領域は、所定数の遊技球が整列する長さ領域に亘っており、移動装置制御手段は、払出装置の作動前にスイッチ案内移動装置を作動させて、球検出スイッチを該検出領域の長さ方向に沿って移送して、該検出領域の遊技球を順次検出させるものであり、さらに、球検出スイッチからの検出信号を受信して、払出待機球通路部の遊技球を計数する待機球計数手段を備える構成が提案される。すなわち、かかる構成は、払出待機球通路部内の所定数の遊技球が整列する長さ領域を検出領域とし、球検出スイッチが、該検出領域に沿って移動しながら、遊技球の有無を順次検出し、待機球計数手段がかかる検出信号を受信して検出領域内の遊技球を計数することによって、払出待機球通路部内の遊技球数を事前に確認可能とするものである。
さらに、移動装置制御手段は、払出装置の作動前に、球検出スイッチを払出待機球通路部の検出領域の上流端から下流端へ移送して、該検出領域の遊技球を順次検出させ、その後に、球検出スイッチを払出後流下球通路部内の検出領域に位置させるものである構成も提案される。かかる構成では、球検出スイッチを払出待機球通路部内の検出領域に沿って移送した時点で、球検出スイッチが、払出待機球通路部の検出領域の下流側、すなわち払出後流下球通路部に近い側に位置するため、払出後流下球通路部の検出領域まで球検出スイッチを速やかに移送して、払出後流下球通路部への遊技球の送出を遅滞なく開始することが可能となる。
また、払出待機球通路部に沿って複数の検出領域が設けられており、移動装置制御手段は、払出装置制御手段が払出装置を作動させる前に、スイッチ案内移動装置を作動させて、球検出スイッチを、払出待機球通路部の下流側から数えて当該所要個数目の遊技球があるべき場所の検出領域に移動するものである構成も提案される。かかる構成にあっては、払出待機球通路部に沿って検出領域を複数設定し、入賞発生時に払出後流下球通路部へ送出すべき遊技球(賞球)の数に応じて球検出スイッチを移動させるものであり、これにより、払出待機球通路部に送出すべき個数の遊技球が停留しているか否かを単一の球検出スイッチによって確認可能とする。
球検出スイッチは、マイクロスイッチや光電スイッチといった、従来構成の球検出スイッチを使用可能である。ここで、本発明に係る球検出スイッチは、複数の検出領域に位置するものであり、構成によっては検出領域の長さ方向に沿って移送されながら遊技球を検出するものであるから、非接触状態で遊技球を検出でき、応答が速く、信頼性の高い光電スイッチを用いることが望ましい。
スイッチ案内移動装置は、球検出スイッチを直線状に動かす構成が最も効率的であり、
球通路の各検出領域を設ける部分は直線状として、球検出スイッチを直線移動によって各検出領域へ移送可能とすることが望ましい。また、こうした場合には、スイッチ案内移動装置を、球通路に沿って設けられる螺子軸と、球検出スイッチが固定されるものであって、螺子軸に螺装されて、該螺子軸の回転に伴い、該螺子軸に沿って往復移動する移送ステージ部材と、螺子軸を両方向に回転駆動するステッピングモータとで構成することが提案される。かかる構成にあっては、スイッチ案内移動装置が簡易で安定性の高いものとなると共に、ステッピングモータを電気的に制御することにより、必要な時に必要な検出領域へ球検出スイッチを迅速かつ正確に移送することが可能となる。
以上に述べたように、本発明は、球通路に沿って複数の検出領域を設けると共に、球検出スイッチを、スイッチ案内移動装置によって当該複数の検出領域に位置させるよう移送可能とし、さらに、移動装置制御手段がスイッチ案内移動装置を作動させて、球検出スイッチを、複数の検出領域のいずれかに選択的に移動するようにした遊技機であるから、検出領域の数に比べて球検出スイッチの数を削減できるため、球検出スイッチの故障によって遊技に支障が生じる頻度を減少させることができる。また、球検出スイッチが減少することによって、遊技機の部品点数も削減できるため、製造コストを抑えることができる。
ここで、取込待機球通路部内と取込後流下球通路部内とに夫々検出領域が設けられており、移動装置制御手段は、スイッチ案内移動装置を作動させて、球検出スイッチを、取込装置の作動前は取込待機球通路部内の検出領域に、取込装置の作動中は取込後流下球通路部内の検出領域に位置させるものである場合には、取込待機球通路部に整列する遊技球の検出と、取込装置から送出される遊技球の検出とを、同じ球検出スイッチによって行うことができる。
また、上記構成にあって、取込待機球通路部内の検出領域が、所定数の遊技球が整列する長さ領域に亘って設けられており、移動装置制御手段が、取込装置の作動前に球検出スイッチを移送して、該検出領域の遊技球を順次検出させ、さらに、待機球計数手段が球検出スイッチからの検出信号を受信して、取込待機球通路部の遊技球を計数する場合には、取込待機球通路部の遊技球を、固定位置で検出するのではなく、通路に沿って連続的に検出することにより、通路に整列する遊技球を従来よりも正確に検知することが可能となる。特に、かかる構成では、遊技球の整列状態が不均一で、整列する遊技球の個数と、遊技球列の長さが一致していない場合でも、遊技球を正確に検出できるといった利点がある。
さらに、上記構成にあって、移動装置制御手段が、取込装置の作動前に、球検出スイッチを取込待機球通路部の検出領域の上流端から下流端へ移送して、該検出領域の遊技球を順次検出させた後に、球検出スイッチを取込後流下球通路部内の検出領域に位置させる構成にあっては、球検出スイッチの移動を効率的に行うことによって、取込待機球通路部の遊技球を確認後、取込装置を遅滞なく作動させることができる。
また、取込待機球通路部に沿って複数の検出領域を設け、移動装置制御手段が、取込要求操作手段から取込装置制御手段への要求に起因して、取込装置制御手段が取込装置を作動させる前に、スイッチ案内移動装置を作動させて、球検出スイッチを、取込待機球通路部の下流側から数えて当該所要個数目の遊技球があるべき場所の検出領域に移動するようにした場合には、取込待機球通路部に所要個数以上の遊技球が停留しているか否かを、一つの球検出スイッチによって確認できる。特に、かかる構成では、移動後に球検出スイッチが出力するON・OFFの検出信号のみによって、所要個数の遊技球を送出可能であるか否かを確認できるため、遊技球の計数処理などを行うことなく、取込装置の作動の是非を容易に判定することができる。
一方、払出待機球通路部内と払出後流下球通路部内とに夫々検出領域が設けられており、移動装置制御手段は、スイッチ案内移動装置を作動させて、球検出スイッチを、払出装置の作動前は払出待機球通路部内の検出領域に、払出装置の作動中は払出後流下球通路部内の検出領域に位置させるものである構成にあっては、払出待機球通路部に整列する遊技球の検出と、払出装置から送出される遊技球の検出とを、同じ球検出スイッチによって行うことができる。
また、払出待機球通路部内の検出領域が、所定数の遊技球が整列する長さ領域に亘って設けられており、払出装置の作動前に移動装置制御手段が球検出スイッチを移送して、該検出領域の遊技球を順次検出させ、さらに、待機球計数手段が球検出スイッチからの検出信号を受信して、払出待機球通路部の遊技球を計数する構成では、払出待機球通路部に停留する遊技球数を従来より正確に検知することが可能となる。
さらに、移動装置制御手段が、払出装置の作動前に、球検出スイッチを払出待機球通路部の検出領域の上流端から下流端へ移送して、該検出領域の遊技球を順次検出させ、その後に、球検出スイッチを払出後流下球通路部内の検出領域に位置させる構成では、球検出スイッチが無駄のない移動をすることにより、払出装置を迅速に作動開始させることができる。
また、払出待機球通路部に沿って複数の検出領域が設けられており、移動装置制御手段は、払出装置制御手段が払出装置を作動させる前に、球検出スイッチを、払出待機球通路部の下流側から数えて当該所要個数目の遊技球があるべき場所の検出領域に移動するものである構成にあっては、払出待機球通路部に所要個数以上の遊技球が停留しているか否かを、一つの球検出スイッチによって確認できる。
また、スイッチ案内移動装置を、球通路に沿って設けられる螺子軸と、螺子軸に沿って往復移動する移送ステージ部材と、螺子軸を両方向に回転駆動するステッピングモータとで構成する場合には、電気的制御によって、球検出スイッチを安定に、かつ正確に移動させることができる。
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。なお、以下の実施例は、本発明をパロット機に適用したものである。
本発明にかかるパロット機1はパチンコ機用の遊技球を遊技媒体として遊技を行うものであって、図1,2に示すように、パチンコ機用の遊技島(図示省略)に固定される木製の外枠2を備えている。該外枠2は、板材を矩形枠状に組み付けてなり、一般的なパチンコ機の木製外枠と同一形状に形成されている。この外枠2の前面には、一側縁が上下のヒンジ部材3,3により枢結された前枠4が開閉可能に取り付けられている。
図2に示すように、前枠4の背面上部には、リールユニット10が取り付けられる。ここで、リールユニット10は、三つの回転リール11a〜11cと、各回転リール11a〜11cを夫々駆動するための複数のリール駆動モータ(図示省略)とを組み付けてユニット化したものである。また、リールユニット10が取り付けられる前枠4の中央上部には、図1に示すように、表示窓8a〜8cが形成されており、各回転リール11a〜11cの表面に付された図柄を前方から視認可能としている。また、表示窓8a〜8cの下方には、遊技者に遊技状態を報知する各種の表示器7が設けられ、さらにその下方には、貸球の要求やプリペイドカードの返却要求を機外のカードユニット(図示省略)へ行うためのカード操作部9が配設される。
また、前枠4の前面下部には余剰用貯留皿13が配設されており、前枠4には該余剰用貯留皿13内に臨むように球放出口14が形成される。この余剰用貯留皿13には、上方に配設される投入用貯留皿15に入りきらない遊技球が球放出口14から流入して貯留される。
投入用貯留皿15は、前枠4に対して着脱可能に取り付けられる開閉パネル12の前面に固定される。この投入用貯留皿15は、その上部に遊技球を貯留可能な貯留部30を備え、前枠4の左部に開口する球供給口16から貯留部30に遊技球が流入するようになっている。また、図1,3に示すように、投入用貯留皿15の上部後縁には、遊技球を整列状に停留させ得る取込待機球通路部31が形成される。貯留部30と取込待機球通路部31は、投入用貯留皿15の右側部から延びる隔壁51により前後に区画されており、取込待機球通路部31左端の球流入口39を介して連通している。貯留部30の底面には球流入口39へ向かう下り勾配が設けられており、貯留部30に貯留される遊技球は、取込待機球通路部31へ順次流入して整列し、後述する取込装置35によって機体内部へ取り込み可能となる。
また、図1に示すように、投入用貯留皿15の前壁面には、スタートスイッチ56や停止スイッチ58a〜58c、返却スイッチ59が設けられており、さらに上壁面の右側にはMAXBETスイッチ57aと1BETスイッチ57bが設けられている。パロット機1の遊技は、これらのレバー型やボタン型のスイッチの操作により行われる。ここで、MAXBETスイッチ57aと1BETスイッチ57bは遊技球の取込要求を行うためのものであり、これらのBETスイッチ57a,57bを押圧操作すると、5個単位で最大15個までの遊技球が取込待機球通路部31の下流端部から機体内部に送出され、送出した遊技球数に応じた賭数が設定される。すなわち、かかるBETスイッチ57a,57bはパロット機1の取込要求操作手段を構成するものである。そして、賭数が設定された状態において、スタートスイッチ56を押し下げると、各回転リール11a〜11cが回転してゲームが開始される。停止スイッチ58a〜58cは回転リール11a〜11cの停止操作に用いるものであり、回転リール11a〜11cの回転中にこれらのスイッチを押圧操作すると、その操作タイミングに基づいて遊技制御手段が各停止スイッチ58a〜58cに対応する回転リール11a〜11cを停止させる。返却スイッチ59は、取込待機球通路部31の遊技球を余剰用貯留皿13に返却するためのものであり、かかるスイッチ操作によって、取込待機球通路部31から余剰用貯留皿13へ遊技球が送出される。また、上記BETスイッチ57a,57b,停止スイッチ58a〜58cは夫々内部にランプを備えており、夫々のランプの点灯によりスイッチ操作が有効であることを遊技者に報知するようになっている。
前枠4の背面側には、図2に示すように、一側縁が枢結された裏機構板5が開閉可能に取り付けられている。この裏機構板5の背面には複数の基板ユニット6が装着されており、基板ユニット6には電子回路が組み込まれた複数の基板100〜106(図10参照)が内蔵されている。これらの基板100〜106は、相互に電気的に接続されると共に、パロット機1が備える各種センサ、スイッチ、モータ、ランプ等と接続されている。パロット機1の各種制御手段はこれらの基板100〜106より構成される。
裏機構板5の上部には、遊技島の球供給装置(図示省略)から遊技球の供給を受ける球タンク20が設けられる。また、裏機構板5の側部には、球タンク20と連通して球タンク20から流下する遊技球を整列状に停留させる払出待機球通路部21と払出待機球通路部21の下流部から投入用貯留皿15へ遊技球を流下させる払出後流下球通路部23とが連続してなる払出球通路19が設けられる。そして、この払出球通路19の、払出待機球通路部21と払出後流下球通路部23の接続部位に払出装置22が配設される。払出装置22は、払出待機球通路部21から払出後流下球通路部23へ遊技球を送出する払出モータ24(図22参照)を具備してなるものであり、払出制御基板101(図10参照)からの制御信号に従って払出モータ24が駆動して、払出待機球通路部21に整列する遊技球を払出後流下球通路部23に送出し、投入用貯留皿15へ流下させる。なお、払出後流下球通路部23は球放出口14とも連通しており、投入用貯留皿15が満杯である場合には、投入用貯留皿15に入りきらない遊技球が球放出口14まで流下して、余剰用貯留皿13へ放出される。
前記取込待機球通路部31は、その下流側で取込後流下球通路部33と連通しており、取込待機球通路部31と取込後流下球通路部33とにより取込球通路18が構成される。取込待機球通路部31は、図3〜5に示すように、開閉パネル12の前面と投入用貯留皿15の隔壁51との間に直線状に形成される。この取込待機球通路部31は、遊技球一個を通過させ得る幅寸法をなすと共に、その底面が緩やかに右方へ下り傾斜しており、左端の球流入口39から流入する遊技球xを右方に案内して、右端の下流端部から一列に停留可能とする。また、取込待機球通路部31は15個以上の遊技球xを整列させ得る長さを有しており、取込待機球通路部31の下流端部から15個の遊技球が整列する長さ領域に検出領域yが設けられている。ここで、本実施例のパロット機1は、遊技球5個を賭数一単位とし、ゲーム一回につき1〜3単位のいずれかの賭数を選択可能とするものであり、取込待機球通路部31の検出領域yには一回のゲームで使用され得る最大数の遊技球が整列可能となっている。そして、本実施例のパロット機1にあっては、第一球検出スイッチ60がこの検出領域yに沿って移送可能に配設されており、その下方には該スイッチ60を取込球通路18に沿って移動させる第一スイッチ案内移動装置61が設けられる。これらの第一球検出スイッチ60及び第一スイッチ案内移動装置61の構成は、本発明の要部に係るため別途詳述する。
図4〜7に示すように、取込待機球通路部31は、下流端部に形成される取入口34を介して取込後流下球通路部33と連通している。取込後流下球通路部33は、取込待機球通路部31から送出される遊技球xを機体内部へ流下させるものであり、開閉パネル12を貫通して裏機構板5まで通じており、取入口34から機体内部へ遊技球を案内する。一方、この取込後流下球通路部33の下流側は、図2に示すように、機体背面下部で開口し、該開口部から遊技球xを機外へ排出するようにしている。そして、この開口部の下方位置に遊技島の球回収装置(図示省略)が設置されることとなる。また、後述するように、取込後流下球通路部33の、取入口34近傍位置には、該取込後流下球通路部33に流入する遊技球を検出するための検出領域zが設けられている。
また、開閉パネル12背面の、取入口34の後方にあたる位置には取込装置35が配設される。取込装置35は、取込用ソレノイド46のプランジャに遮蔽板部48を取り付けてなるものであり、その非作動状態では、図8(イ)に示すように、遮蔽板部48を前方に進出させて取入口34を横断状に遮蔽し、その作動状態では遮蔽板部48を後方に退避させて取入口34を開放し、取込待機球通路部31の下流端部から遊技球xを取込後流下球通路部33へ送出可能とする。すなわち、取込待機球通路部31に遊技球xが整列している状態で、かかる取込装置35を作動させると、図8(ロ)に示すように、取込待機球通路部31の遊技球xが取込後流下球通路部33へ送出されて、機外に排出されることとなる。なお、後述するように、本実施例にあっては、取込後流下球通路部33の検出領域zにおいて、取込待機球通路部31から流入する遊技球を検出し、計数することによって、所要個数の遊技球が送出された時点で取込装置35の作動を停止するようにしている。
取込後流下球通路部33の開閉パネル12背面側には、返却装置37が配設されており、取込後流下球通路部33を流下する遊技球xを返却球通路32へ流入させる。返却装置37は、返却用ソレノイド52のプランジャに返却部材53を取り付けてなる。返却部材53は樋形状をなすものであって、返却装置37の非作動時は、この返却部材53が下方に保持されて、取込後流下球通路部33の中途部位において樋部材として機能する(図8(ロ))。そして、返却装置37の作動時には、返却部材53が上方に変位して保持されて、取込後流下球通路部33の中途部位の樋部材が脱落することにより、取込後流下球通路部33の遊技球xが下方の返却球通路32へ流入するようになっている(図8(ハ))。返却球通路32は、取込待機球通路部31の遊技球xを余剰用貯留皿13へ流下させて遊技者に返却するためのものであり、図2に示すように、機体内部を貫通して裏機構板5まで続いており、流入する遊技球xを余剰用貯留皿13まで流下させる。すなわち、本実施例のパロット機1にあっては、投入用貯留皿15の前壁面の返却スイッチ59が操作されると、かかる返却装置37と前記取込装置35が作動して、取込待機球通路部31から取込後流下球通路部33へ遊技球が流入し、さらに、かかる遊技球が取込後流下球通路部33から返却球通路32へ流入して、余剰用貯留皿13に返却されることとなる。
また、図7に示すように、開閉パネル12の中央上部位置には、縦長の貫通孔43が形成されており、該貫通孔43の背面側には、封鎖用ソレノイド42が取り付けられる。この封鎖用ソレノイド42のプランジャには、貫通孔43を通過し得る封鎖板部44が固定される。封鎖板部44は、プランジャの進退に伴って、貫通孔43を通して開閉パネル12前面へ突出する位置と、封鎖板部44が貫通孔43の後方に退避する位置とに変換される。ここで、図4に示すように、貫通孔43は、取込待機球通路部31の検出領域yの上流側を区画する位置に形成されており、通常状態では、封鎖板部44が貫通孔43の後方に退避して遊技球xを検出領域yに流入可能とするが(図9(イ))、封鎖板部44が開閉パネル12の前面に突出すると(図9(ロ))、取込待機球通路部31が検出領域yの上流側で封鎖されて、検出領域yに遊技球が流入不能となる。
図10は、本発明にかかるパロット機1の遊技制御手段を構成する各種基板及び該基板の接続態様を示すブロック図である。
マイクロコンピュータにより構成される主制御基板100には、パロット機1の遊技作動を統括的に制御するための主制御用中央制御装置(CPU)を備えた基板回路が設けられている。この主制御基板100の基板回路には、周辺機器とデータ通信を行う入力ポート及び出力ポート(図示省略)が設けられており、この出力ポートを介して主制御基板100からの制御信号が、払出制御基板101,表示制御基板102,ランプ制御基板103,情報端子基板105の各入力ポートに向けて出力されるようになっている。また、主制御基板100の出力ポートには、上述の取込用ソレノイド46,封鎖用ソレノイド42,返却用ソレノイド52も接続されており、主制御基板100からの制御信号に応じて各ソレノイドが変動する。一方、主制御基板100の入力ポートには、上述したスタートスイッチ56,各BETスイッチ57a,57b,停止スイッチ58a〜58c,返却スイッチ59等が接続されており、主制御基板100は所定時間毎(例えば2ms毎)にこれらの作動状態を調べ、そのON作動に応じて遊技状態を制御する。すなわち、主制御基板100が本実施例のパロット機1の取込装置制御手段を構成する。また、主制御基板100には、演算処理に用いる動作プログラムを格納する記憶装置ROMと、必要なデータを随時読み書きできる記憶装置RAMとが、バス(図示省略)を介して主制御用中央制御装置CPUに接続される。また、主制御基板100の入力ポート及び出力ポートには、本発明に係る第一球検出スイッチ60や、第一スイッチ案内移動装置61のステッピングモータ64も接続されており、取込装置35の作動直前に第一スイッチ案内移動装置61を作動させると共に、第一球検出スイッチ60からの検出信号に基づいて、取込待機球通路部31の検出領域yの遊技球を計数する。すなわち、第一球検出スイッチ60及び第一スイッチ案内移動装置61に係る本発明の移動装置制御手段と待機球計数手段は、この主制御基板100によって構成される。
上記払出制御基板101には、遊技球の払出作動の制御を行うための基板回路が設けられる。この基板回路は、裏機構板5の払出装置22に内蔵される払出モータ24と接続されており、主制御基板100から送出されるコマンドに従い払出装置22を作動させて、貸球や賞球の払い出しを実行する。すなわち、この払出制御基板101と前記主制御基板100とが、パロット機1の払出装置制御手段を構成する。また、払出制御基板101は、貸球数を記憶したプリペイドカードの読込みや書込みを行う付属装置であるカードユニットと、このプリペイドカードのデータ処理を中継するCR接続基板104を介して接続され、遊技球の残球データ等をやり取りする。また、払出制御基板101の入力ポート及び出力ポートには、本発明に係る第二球検出スイッチ80や、第二スイッチ案内移動装置81のステッピングモータ84も接続されており、払出装置22を作動させる直前に第二スイッチ案内移動装置81を作動させると共に、第二球検出スイッチ80からの検出信号に基づいて、払出待機球通路部21の検出領域yの遊技球を計数する。すなわち、第二球検出スイッチ80及び第二スイッチ案内移動装置81に係る本発明の移動装置制御手段と待機球計数手段は、この払出制御基板101によって構成される。
上記表示制御基板102は、回転リール11a〜11cの停止制御を行うための基板回路が設けられる。この基板回路には、各回転リール11a〜11cを回転駆動するリール駆動モータと、回転リール11a〜11cの回転角度を検出する基準位置センサとが接続され、主制御基板100から送出されるコマンドに従ってリール駆動モータを作動させ、各回転リール11a〜11cを回転させるとともに、所定回転角度で停止させる。また、表示制御基板102は、前枠4の各種表示器7と接続されるとともに、効果音や音声の出力制御を行う音声制御基板106を介してスピーカとも接続されている。
上記ランプ制御基板103には、投入用貯留皿15に設けられる各種スイッチ57a,57b,58a〜58cに内蔵されたランプが接続されており、主制御基板100から送出されるコマンドに従い各種ランプを点灯制御して、スイッチ操作が有効となったことを遊技者に報知する。さらに、ランプ制御基板103には前枠4前面の各所に配設される装飾ランプも接続されており、主制御基板100から送出されるコマンドに従って、ランプ制御基板103が所定態様で装飾ランプを点灯・点滅させる。
また、上記情報端子基板105は、遊技島に設備される集中管理装置と接続するためのものであり、主制御基板100や払出制御基板101から送られた賞球数や当り回数等の情報が、この情報端子基板105を介して集中管理装置へ送信される。
上述のように、本実施例では、取込球通路18に沿って、取込待機球通路部31と取込後流下球通路部33とに、本発明の要部に係る検出領域y,zが設けられる。この検出領域y,zに対して、第一球検出スイッチ60及び第一スイッチ案内移動装置61が配設される。以下、かかる構成について詳述する。
上述したように、取込待機球通路部31の検出領域yは、取込待機球通路部31の下流端部から15個の遊技球が整列する長さ領域に設けられており、および取込後流下球通路部33の検出領域z部分は、取込後流下球通路部33の、取入口34近傍位置に設けられている。これらの検出領域y,zは、図3,4に示すように、取込球通路18が左右に一直線状となる部分に配置されており、球通路18の部分の底面は、屈曲形成された金属製の整列板40により区画形成される。この整列板40は、図11に示すように、検出領域y,zの底面を形成する位置に、細幅の検出用開口溝41が取込球通路18に沿って形成されており、該整列板40の前側に第一球検出スイッチ60が配設される。ここで、第一球検出スイッチ60は、図16,17に示すように、その検出用光線pが、整列板40の検出用開口溝41を貫通して検出領域y,zを上下に通過するように設置される。
第一球検出スイッチ60は、投光部と受光部とが対向状に設けられる光電スイッチからなり、図15に示すように、第一スイッチ案内移動装置61によって、検出領域y,zに沿って移動可能に保持される。また、この第一球検出スイッチ60は、上述のように主制御基板100と接続しており、投光部から発した検出用光線pが受光部に達している場合には検出信号をOFFとして、検出用光線pが検出対象(遊技球)で遮られて受光部に達しない場合には検出信号をONとして主制御基板100へ送信する。なお、かかる球検出スイッチ60は、マイクロスイッチ等によっても構成可能であるが、本実施例のように非接触状態で遊技球を検出可能な光電スイッチを用いることが望ましい。
第一スイッチ案内移動装置61は、図11,12に示すように、取込待機球通路部31に沿って設けられる螺子軸62と、螺子軸62に螺装されて、螺子軸62の回転に伴い、螺子軸62に沿って往復移動する移送ステージ部材63と、螺子軸62を回転駆動するステッピングモータ64とからなる。
螺子軸62は、その一端にステッピングモータ64が、他端にベアリング68が取り付けられており、ステッピングモータ64をモータ取付部材66に、ベアリング68をベアリング取付部材67に固定することにより、取込待機球通路部31の下方に沿って回転可能に保持される(図4〜6参照)。また、ステッピングモータ64は、主制御基板100に接続しており、主制御基板100から送信されるパルス信号に応じて螺子軸62を両方向に選択的に回転駆動する。また、螺子軸62の下方には、ステージ支持部材65が設けられる。このステージ支持部材65は、移送ステージ部材63が回転しないように下部から支持する凹部71と、移送ステージ部材63と係合して、移送ステージ部材63を水平方向に案内する案内溝70とを備える。
移送ステージ部材63は、図13,14に示すように、上部に第一球検出スイッチ60が固定される本体ケース72a,72bと、該本体ケース72a,72bの内部に回転可能に保持される上下5本のローラ73とで構成される。移送ステージ部材63は、全てのローラ73を螺子軸62に噛合させることにより螺子軸62に螺装されており、螺子軸62に沿って移動する際に螺子軸62との摩擦抵抗が小さくなるようにしている。また、5本のローラ73のうち、下側2本のローラ73は、本体ケース72a,72bの下底面に露出しており、該ローラ73,73をステージ支持部材65の凹部71と当接することにより、支持部材65との摩擦抵抗も低減させている。
そして、かかる第一スイッチ案内移動装置61よれば、図15に示すように、主制御基板100がステッピングモータ64を任意方向に回転させることによって、移送ステージ部材63が螺子軸62に沿って移動することとなり、第一球検出スイッチ60を検出領域y,zに沿って往復移送することができる。また、その際のステッピングモータ64の回転角度及び回転速度を制御することにより、球検出スイッチ60を所要速度で、所要位置まで移動させることができる。
次に、第一球検出スイッチ60の移送態様を、取込装置35の作動と共に説明する。
通常状態では、第一球検出スイッチ60は、図18(イ),19(イ)に示すように、スイッチ案内移動装置61によって取込待機球通路部31の検出領域yの左方に保持されており、かかる位置を第一球検出スイッチ60の定常位置としている。また、かかる通常状態では、取込待機球通路部31の取入口34が遮蔽板部48で閉塞されると共に、封鎖板部44が開閉パネル12の背面側に退避しており、貯留部30から取込待機球通路部31に遊技球xが流入し、取入口34を先頭として整列状に停留するようになっている。
そして、上記通常状態においてMAXBETスイッチ57a又は1BETスイッチ57bが操作されると、主制御基板100は、まず、封鎖用ソレノイド42を通電して封鎖板部44を開閉パネル12の前面に突出させる(図9参照)。これにより、取込待機球通路部31が検出領域yの上流側で遮断され、検出領域yに遊技球xが流入不能となる。
続いて主制御100は、第一スイッチ案内移動装置61のステッピングモータ64を回転させて、第一球検出スイッチ60を定常位置から右方に一定速度で移送させる(図18(ロ),19(ロ))。これにより、第一球検出スイッチ60は、取込待機球通路部31の検出領域yに沿って遊技球xを順次検出し、検出信号を逐次送信する。主制御基板100は、ステッピングモータ64の制御と同時に、移動する第一球検出スイッチ60からの検出信号を受信して、該検出信号に基づいて検出領域yの遊技球を計数する。
そして、計数の結果、BETスイッチ57a,57bの操作によって取込待機球通路部31からの送出を要求された個数以上の遊技球が検出領域yに確認された場合には、取込後流下球通路部33の検出領域zまで第一球検出スイッチ60を移動して停止させた後に、図18(ハ),19(ハ)に示すように、主制御基板100は、取込用ソレノイド46を通電状態にして取込装置35を作動させて取入口34を開放する。これにより検出領域yに整列する遊技球xは取込後流下球通路部33へ流入し、機体内部に流下した後に機体背面側へ排出されることとなる。また、これに伴い、第一球検出スイッチ60は、取込後流下球通路部33へ流入した遊技球xが検出領域zを通過する度に検出信号をONにする。そして、主制御基板100は、第一球検出スイッチ60からの検出信号に基づいて検出領域zを通過する遊技球xを計数し、かかる遊技球数がBETスイッチ57a,57bの操作によって要求された個数に達すると、取込用ソレノイド46を非通電状態として取込装置35の作動を停止させて取入口34を閉塞状態とすると共に、かかる遊技球数に基づいて賭数を設定する。ここで、図18,19に示すように、取込後流下球通路部33の検出領域zは取入口34の直後に設けられるため、第一球検出スイッチ60が当該所要個数の遊技球を検出した時点で取込装置35を停止させることによって、それ以上の遊技球の流入は取入口34で阻止されることとなる。そして、主制御基板100は、取込装置35の停止させた後、第一球検出スイッチ60を定常位置まで移送させると共に、封鎖板部44を開閉パネル12の背面側へ退避させて、図18(イ),19(イ)の通常状態に復帰させる。なお、検出領域yの遊技球を計数した結果、検出領域yの遊技球数が、送出すべき遊技球数に満たない場合には、主制御基板100は、BETスイッチ57a,57bの操作を無効として、取込装置35を作動させることなく、図18(イ),19(イ)の通常状態に復帰させる。
次に、第一球検出スイッチ60が取込待機球通路部31の検出領域yに沿って移動する際の検出信号の態様と、主制御基板100が該検出信号に基づいて検出領域yの遊技球を計数する態様について説明する。
第一球検出スイッチ60は、図16,17に示すように、その検出用光線pが、整列板40の長さ方向に沿った検出用開口溝41を通り、検出領域yを垂直に通過するように設置されている。ここで、検出用開口溝41は、取込待機球通路部31の中央よりも前寄り位置に形成されており、検出用光線pは、検出領域yの遊技球列の中央よりも前寄り部分を垂直に通過する。すなわち、第一球検出スイッチ60は、その検出用光線pにより、遊技球同士の接触部位より前方部分を、列に沿って縦断するようにして移動するものであり、検出領域yに沿って移動する第一球検出スイッチ60は、図20(イ),(ロ)に示すように、遊技球を1個検出する度にパルス状のON信号を送信し、かかるON信号を検出領域yに並ぶ遊技球の数だけ主制御基板100に送信する。ここで、第一球検出スイッチ60は検出領域yに沿って略一定の速度で移送されるため、図20(イ)に示すように、遊技球検出時に第一球検出スイッチ60が検出信号をONにする時間(以下、感知時間という。)は略一定のTiとなる。主制御基板100は、感知時間がTiとなった検出信号を累積加算することにより、検出領域yの遊技球を計数する。
また、図20に示すように、整列板40の、取込待機球通路部31の検出領域yの左右両縁には、検出用開口溝41を縦断して、第一球検出スイッチ60の検出用光線pを遮る遮光縁部54a,54bが設けられる。この遮光縁部54a,54bは、左右で夫々異なる幅をなしており、第一球検出スイッチ60は、検出用光線pが左側の遮光縁部54aを通過する際には感知時間がTsの検出信号を出力し、右側の遮光縁部54bを通過する際には感知時間がTeの検出信号を出力する。この感知時間Ts,Teは、遊技球の検出時に出力される感知時間Tiよりも短時間であり、主制御基板100は、かかる感知時間Ts,Teの検出信号の受信によって、取込待機球通路部31の検出領域yの両縁を検出する。すなわち、主制御基板100は、第一球検出スイッチ60の移送開始後、感知時間がTsの検出信号を受信すると検出領域yの遊技球の計数を開始し、感知時間Teの検出信号を受信すると遊技球の計数を終了する。
このように、本実施例のパロット機1では、取込球通路18に沿って設けられる二つの検出領域y,zの遊技球xを、単一の第一球検出スイッチ60のみによって検出できるため、球検出スイッチが減少する分だけ、球検出スイッチを原因とする故障の発生頻度が、従来構成よりも少ないという利点がある。また、取込待機球通路部31の検出領域yは遊技球15個が整列する長さ領域に亘って設けられ、該検出領域yに沿って移動する第一球検出スイッチ60の検出信号によって検出領域yに整列する遊技球を計数している。このため、取込待機球通路部31に複数の球検出スイッチが固定される従来構成に比べて、少ない数の球検出スイッチで詳細に取込待機球通路部31の遊技球数を確認することができる。また、本実施例では、遊技球の送出を要求するBETスイッチ57a,57bが投入用貯留皿15の上壁面に設けられているため、遊技者がBETスイッチ57a,57bを操作した時に、操作時の衝撃により投入用貯留皿15が振動して、図20(ハ)に示すように、遊技球x同士の間隔が広がることがある。しかし、本実施例の第一球検出スイッチ60は、取込待機球通路部31に沿って遊技球xを検出順次するものであるため、遊技球の位置が一定していない場合でも確実に検出することができる。さらには、取込装置35の作動前に、取込待機球通路部31の検出領域yの遊技球を第一球検出スイッチ60によって検出する際に、第一球検出スイッチ60を、取込待機球通路部31の上流端から下流端へ移送するようにしている。このため、検出領域yから検出領域zへ第一球検出スイッチ60を迅速に移送して、取込装置を迅速に作動させることができる。
なお、本実施例では、整列板40の前面側に第一球検出スイッチ60を配設して、垂直方向に発する検出用光線pにより遊技球を検出するようにしているが、実施例の構成に限らず、整列板の下方や上方に第一球検出スイッチ60を配設することも可能である。また、本実施例の取込待機球通路部31は遊技球を一列に整列させるものであるが、取込待機球通路部は、遊技球を複数列に整列させるものにあっても本発明は適用可能である。さらには、取込待機球通路部31は、実施例の形態に限らず、投入用貯留皿15の前縁に配置されるものや、開閉パネル12の背面側に配設されるものであっても構わない。
また、本実施例のパロット機1にあっては、払出球通路19に沿って二つの検出領域v,wが設けられ、これらの検出領域v,wに対して、第二球検出スイッチ80及び第二スイッチ案内移動装置81が配設される。以下、かかる構成について、図21,22を参照して説明する。
払出待機球通路部21は、その下流部が細幅状をなしており、図21に示すように、遊技球xを前後二列に整列させて停留可能とする。そして、本実施例では、この払出待機球通路部21の下流部の、10個の遊技球xが垂直に整列する長さ領域が検出領域vとして設定される。一方、払出後流下球通路部23は、その上流部が遊技球を二列に流下させ得る細幅形状となっており、この払出後流下球通路部23の上流部位に、遊技球xの通過を検出するための検出領域wが設けられる。ここで、払出待機球通路部21の検出領域vと、払出後流下球通路部23の検出領域wは上下方向に一致する位置に設けられており、第二球検出スイッチ80の上下移送によって、該球検出スイッチ80が各検出領域v,wに位置し得るようにしている。また、払出球通路19の各列を構成する樋部材86には、前後に検出用開口溝87が設けられており、検出領域v,wに位置する遊技球xの周辺部位は該開口溝87から通路外へ突出する。
第二球検出スイッチ80は、通路前列と、通路後列を検出するものの二つを使用する。各球検出スイッチ80,80は、第一球検出スイッチ60と同じ光電スイッチを用いる。第二スイッチ案内移動装置81は、垂直方向に配設される螺子軸82と、該螺子軸82を回転駆動するステッピングモータ84と、二つの第二球検出スイッチ80が固定されるものであって、螺子軸82に螺装されて、該螺子軸82の回転に伴い、該螺子軸82に沿って往復移動する移送ステージ部材83とで構成される。また、第二スイッチ案内移動装置81の右方には、移送ステージ部材83が回転せずに上下移動するように、側方から支持するガイド部材85が配設される。
第二球検出スイッチ80および第二スイッチ案内移動装置81は、上述のように払出制御基板101と接続される。そして、第二スイッチ案内移動装置81は、払出制御基板101からの制御信号に従って、ステッピングモータ64を駆動させて、移送ステージ部材83に固定された各第二球検出スイッチ80を払出待機球通路部21の検出領域vに沿って移送すると共に、払出後流下球通路部23の検出領域wに変位させる。ここで、各第二球検出スイッチ80は、図21に示すように、移送ステージ部材83に固定された状態で、その検出用光線pが、検出領域v,wに位置する遊技球xの樋部材86から突出する部位と交わるようになっており、これにより各検出領域v,wの遊技球を検出し、検出信号を払出制御基板101に送信する。
なお、第二スイッチ案内移動装置81の構成は、上記第一スイッチ案内移動装置61の構成と同様であり、詳細な説明は省略する。
次に、第二球検出スイッチ80の移送態様を、払出装置22の作動と共に説明する。
第二球検出スイッチ80は、図22(イ)に示すように、通常状態では、スイッチ案内移動装置81により検出領域yの上端位置に保持されており、かかる位置を第二球検出スイッチ80の定常位置としている。また、かかる通常状態では、払出装置22は停止しており、球タンク20から流下する遊技球xが、払出待機球通路部21に整列状に停留するようになっている。
そして、通常状態において、回転リール11a〜11cが所定態様で回転停止して、主制御基板100が入賞と判定すると、主制御基板100から払出制御基板101へ所定数の賞球を払い出すよう制御信号が送信される。払出制御基板101は、かかる制御信号を受信すると、払出装置22によって遊技球を送出する前に、ステッピングモータ64を回転させて、第二球検出スイッチ80を、定常位置から払出待機球通路部21の検出領域vの下流端部まで一定速度で移送させる(図22(ロ))。これにより、第二球検出スイッチ80は、払出待機球通路部21の検出領域vに沿って遊技球xを順次検出し、検出信号を逐次払出制御基板101へ送信する。払出制御基板101は、ステッピングモータ64の制御と同時に、移動する第二球検出スイッチ80からの検出信号を受信して、これを基にして検出領域vの遊技球を計数する。
そして、払出制御基板101は、この計数の結果に基づいて、払出装置22から送出し得る遊技球数を算出し、その数字が、主制御基板100から送出を要求された遊技球数よりも大きい場合には、払出後流下球通路部23の検出領域wまで第二球検出スイッチ80を移送して停止させた後、図22(ハ)に示すように、払出モータ24を駆動して、投入用貯留皿15へ遊技球xを送出開始する。ここで、送出された全ての遊技球xは、取込後流下球通路部33の検出領域wを通過する際に、該検出領域wに位置する第二球検出スイッチ80によって検出されることとなる。払出制御基板101は、送出した遊技球が、第二球検出スイッチ80によって検出されてから次の遊技球を送出させるものであり、送出を要求された遊技球数が検出されると、払出モータ24を停止すると共に、第二球検出スイッチ80を定常位置へ移送して、図22(イ)の通常状態に復帰させる。なお、払出待機球通路部21の検出領域vの遊技球を計数した結果、送出し得る遊技球数が、送出すべき遊技球数に満たない場合には、遊技球不足であるためエラーとなる。また、上述したように、第二球検出スイッチ80及び第二スイッチ案内移動装置81に係る移動装置制御手段と待機球計数手段は、払出制御基板101によって構成されるが、その制御態様および計数態様は、上記主制御基板100が、第一球検出スイッチ60及び第一スイッチ案内移動装置61に関して行うものと同様であり、説明を省略する。
このように、本実施例のパロット機1では、上述の取込球通路18の場合と同様に、第二球検出スイッチ80を、払出球通路19の二つの検出領域v,wに変位させることによって、払出装置22作動前の遊技球数の確認と、払出装置22により送出された遊技球の確認とを、同一の球検出スイッチ80を行うことができる。
次に、上記実施例において、取込待機球通路部31に三つの検出領域を設け、各検出領域に第一球検出スイッチ60を移送するようにした変形例について説明する。なお、かかる変形例は、第一球検出スイッチ60を移送する制御態様のみが異なるものであり、第一スイッチ案内移動装置61やその他の機械的構成は上記実施例と同じであるため、図中の符号を共通して説明を省略する。
本変形例の各検出領域i,j,kは、複数の遊技球が整列する長さに亘るものでなく、局所的なものであり、図23,24に示すように、取込待機球通路部の下流側から数えて5個目、10個目、15個目の位置に設けられる。第一球検出スイッチ60は、上記実施例同様に、封鎖板部44の封鎖部位よりも左方位置を定常位置とし、通常状態では定常位置に保持される(図18(イ),19(イ)参照)。そして、通常状態において、MAXBETスイッチ57a又は1BETスイッチ57bが操作されて、遊技球の送出が要求されると、主制御基板100は、送出要求された個数に応じて第一球検出スイッチ60を対応する検出領域i,j,kへ移送して、当該検出領域i,j,kの遊技球xの有無を検出させる。すなわち、5個の遊技球(賭数1単位)の送出が要求された場合には、取込待機球通路部31の下流端部から遊技球5個目にあたる位置の検出領域iに第一球検出スイッチ60を移送し(図23(イ),図24(イ))、10個の遊技球が要求された場合には遊技球10個目にあたる検出領域jへ(図23(ロ),図24(ロ))、15個が要求された場合には15個目の検出領域kへ第一球検出スイッチ60を移送させる(図23(ハ),図24(ハ))。そして、主制御基板100は、検出領域i,j,kの第一球検出スイッチ60からの検出信号を受信し、当該検出領域i,j,kで遊技球xが検出された場合には、取込待機球通路部31に送出要求された遊技球数以上の遊技球が整列していると判定し、上記実施例同様に、取込後流下球通路部33の検出領域zまで第一球検出スイッチ60を移送して停止させた後、取込装置35を作動させて、要求された遊技球数を送出させる。一方、検出領域i,j,kで遊技球xが検出されなかった場合には、主制御基板100は、取込待機球通路部31に整列する遊技球xが、送出要求された遊技球数に満たないと判定し、BETスイッチ57a,57bの操作を無効として、取込装置35を作動させることなく通常状態に復帰させる(図18(イ),19(イ)参照)。
このように、取込待機球通路部31に複数の検出領域i,j,kを設け、第一球検出スイッチ60を必要な検出領域i,j,kに移送して、当該検出領域i,j,kにおける検出信号を確認することによっても、取込待機球通路部31に送出すべき数の遊技球が停留しているかを単一の球検出スイッチで確認することができる。特に、かかる構成にあっては、第一球検出スイッチ60が出力するON・OFFの検出信号のみによって、所要個数の遊技球を送出可能であるか否かを確認できるため、主制御基板100が遊技球の計数処理を行うことなく、取込装置35の作動の是非を遅滞なく判定できるといった利点がある。なお、かかる変形例の構成は、払出待機球通路部21の遊技球数の検出に対しても、同様にして適用することができる。
尚、本発明の実施形態は、上述の実施例の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、本発明に係る検出領域の位置は、上記実施例の取込球通路18や払出球通路19とは別の球通路に設けることが可能である。また、実施例の取込装置35や返却装置37、払出装置22は一例に過ぎず、これらに替えて、既知の取込装置や返却装置、払出装置を適宜使用できる。また、実施例は本発明をパロット機に適用したものであるが、実施例と同様にして、パチンコ機などの類似の遊技機に本発明を適用することも可能である。