本発明の開閉装置は、枠部材に対して開閉可能な開閉部材に設けられており、開閉部材の一端部から外側に向かって突出する施錠位置及び前記開閉部材の一端部から外側に向かって突出しない開錠位置のいずれかの位置を取り得る引掛け部を有する操作部材と、枠部材に設けられており、前記引掛け部が施錠位置にあるときに前記引掛け部を開閉部材の開閉方向に係止する係止部とを備えており、前記操作部材は、回動可能に設けられると共に、前記操作部材の回転軸上に設けられたロック機構を有しており、前記引掛け部は、前記操作部材が一方向に回動されることによって前記施錠位置から前記開錠位置に移動すると共に、前記操作部材が他方向に回動されることによって前記開錠位置から前記施錠位置に移動するものであって、前記ロック機構は、前記操作部材に形成され且つ前記操作部材の回転軸上に配置された角孔に嵌り込む位置と嵌り込まない位置とのいずれかに配置されるように前記操作部材の回転軸に沿って移動可能に設けられたストッパ角軸であり、前記角孔に嵌り込むことにより前記操作部材が回動できないようにするストッパ角軸を有する押圧部材を備えており、前記ストッパ角軸が前記角孔に嵌り込むことにより前記引掛け部が前記施錠位置から前記開錠位置に移動できない第1のロック状態と、前記ストッパ角軸が前記角孔に嵌り込まないことにより前記引掛け部が前記施錠位置から前記開錠位置に移動可能な第1のロック解除状態とのいずれかの状態に切り換え可能であると共に、前記ストッパ角軸が前記角孔に嵌り込むことにより前記引掛け部が前記開錠位置から前記施錠位置に移動できない第2のロック状態と、前記ストッパ角軸が前記角孔に嵌り込まないことにより前記引掛け部が前記開錠位置から前記施錠位置に移動可能な第2のロック解除状態とのいずれかの状態に切り換え可能である。
この構成によると、操作部材には、引掛け部の状態を第1のロック状態及び第1のロック解除状態とのいずれかの状態に切り換えるロック機構が備えられている。そのため、開閉部材が枠部材に対して閉じられた状態で且つ引掛け部が施錠位置から開錠位置に移動できない第1のロック状態である場合には、ロック機構を操作することによって第1のロック解除状態に切り換えた後でなければ、操作部材に対して開閉装置を開錠するための操作を行うことができない。従って、不注意やいたずらによって容易に開閉部材が開かれるのを抑制することができる。
また、操作部材にロック機構が備えられているので、開閉部材を枠部材に対して開く場合に、開閉部材に設けられた操作部材を片手で持つと共に、その手でロック機構を操作することによってロック解除状態に切り換えることができる。従って、片手を使うだけで、ロック解除操作及び開閉部材の開閉動作の両方が行えるので、操作性を向上させることができる。また、ロック機構を操作部材に備えることによって、引掛け部を移動させる機構とロック機構とを集約することができるので、開閉装置の製造コストを低減することができる。
また、開閉部材が枠部材に対して開かれた状態で且つ引掛け部が開錠位置から施錠位置に移動できない第2のロック状態である場合には、ロック機構を操作することによって第2のロック解除状態に切り換えた後でなければ、操作部材に対して開閉装置を施錠するための操作を行うことができない。そのため、開錠位置にある引掛け部が、知らない間にまたは自然に、施錠位置に戻った状態で、開閉部材が枠部材に対して閉じられるのを抑制することができる。従って、引掛け部が枠部材に衝突することによって、操作部材及び枠部材が破損するのを抑制することができる。
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る開閉装置10を備えた非常用窓1の斜視図である。図2は、図1の開閉装置10の斜視図である。図3(a)は、図2の開閉装置10の上面図である。図3(b)は、図3(a)のL1−L1線における断面図である。図4は、ハンドル軸22の斜視図である。図5は、ハンドル23の斜視図である。図6は、連結部材50の斜視図である。
鉄道車両に設けられた非常用窓1は、図1に示すように、略矩形状のガラス窓5と、ガラス窓5を保持する窓枠6とを含む開閉部材7と、開閉部材7とほぼ同じ形状の開口8aを有する枠部材8とを有している。ここで、開閉部材7の下端部と枠部材8の開口8a内の下端部とは、ヒンジ(図示しない)によって連結されている。従って、開閉部材7は、ヒンジを支点として枠部材8に対して開閉可能になっている。なお、非常用窓1は、車両の内側(図1の紙面手前)に向かって開閉部材7を開く構成の内倒し窓である。また、開閉部材7の高さ方向中央部の両端部には、開閉部材7が枠部材8に対して所定角度を超えて開くのを防止するための規制部材9が取り付けられている。
非常用窓1の上端部近傍には、開閉装置10が取り付けられている。開閉装置10は、開閉部材7に設けられたハンドル錠11と、枠部材8に設けられた錠受け15とを有している。ここで、ハンドル錠11には、ロック機構12が内蔵されている。
ハンドル錠11は、開閉部材7の上端部中央に取り付けられている。ハンドル錠11は、図2及び図3に示すように、窓枠6に固定された取付座21と、取付座21に固定されたハンドル軸22と、ハンドル軸22の周りを回動可能なハンドル23とを有している。
また、錠受け15は、略矩形状の開口16が形成された部材であって、枠部材8に対して2つのネジ17によって固定されている。ここで、錠受け15の開口16には、開閉部材7が施錠されている場合に、後述するハンドル23の引掛け部25が嵌入され、引掛け部25を開閉部材7の開閉方向に係止可能になっている。
ハンドル23は、ハンドルカバー24と、ハンドルカバー24の下端部から一方向(図3(a)では上方向)に向かって延在する引掛け部25と、ハンドルカバー24の下端部から反対方向(図3(a)では下方向)に延在した後で直角に曲がる方向(図3(a)では左方向)に延在する操作部26とを有している。
取付座21は、略矩形の板状部材であって、窓枠6に対して2つのネジ18によって固定されている。また、取付座21の中央部近傍には、ハンドル軸22を取り付けるための取付孔21aが形成されている。
ハンドル軸22は、取付座21の取付孔21aとほぼ同じ外径を有する略円筒状の部材であって、その底面31には貫通孔32が形成されている。なお、貫通孔32の大きさ及び形状は、後述する連結部材50の角軸56の大きさ及び形状とほぼ同じである。また、ハンドル軸22の底面31の外側には、その全周にわたる溝が形成された溝部33が設けられている。従って、取付座21の取付孔21aの縁部が溝部33に嵌合されることによって、ハンドル軸22が取付座21に固定される。
また、ハンドル軸22の上端には、図4に示すように、所定高さの切り欠きが形成されることによって、2つのハンドルストッパ35、36が設けられている。このハンドル軸22の上端の2つのハンドルストッパ35、36間(切り欠きの底面)は、ストッパガイド38となる。ここで、ハンドルストッパ35とハンドル軸22の中心軸Oとを結ぶ直線と、ハンドルストッパ36とハンドル軸22の中心軸Oとを結ぶ直線とは直交している。つまり、ストッパガイド38は、ハンドル軸22の中心軸Oの周りにおいて90度の角度の範囲に形成されている。
ハンドルカバー24は、図3(b)に示すように、ハンドル軸22の外径とほぼ同じ内径を有する円筒状の部材であって、その上面41が閉塞されている。そして、ハンドルカバー24は、ハンドル軸22を覆うように配置されており、その内周面とハンドル軸22の外周面とが接触しつつハンドル軸22の周りを回動可能になっている。また、ハンドルカバー24の上面41の中央には、図5に示すように、矩形状の角孔42が形成されている。なお、角孔42の大きさ及び形状は、後述する連結部材50のストッパ角軸53の大きさ及び形状とほぼ同じである。
また、ハンドルカバー24の上面41の内側には、ストッパ45が設けられている。ストッパ45は、略円柱状の部材であって、ハンドル軸22の上端の切り欠きの高さより短い長さだけ内側に向かって突出している。なお、ハンドルカバー24が、ハンドル軸22を覆うように配置される場合には、ストッパ45がストッパガイド38の範囲に配置される。
従って、ハンドル23がハンドル軸22を支点として回動される場合には、ストッパ45がストッパガイド38に沿って移動する。そのため、ハンドル23は、ストッパ45がハンドルストッパ36に当接するまで、ハンドル軸22の周りを反時計回りに回動することができると共に、ストッパ45がハンドルストッパ35に当接するまで、ハンドル軸22の周りを時計回りに回動することができる。つまり、ハンドル23は、操作部26が錠受け15と平行になる位置(図3(a)参照)と、操作部26が錠受け15と垂直になる位置(図9(a)参照)との間で回動することができる。
ハンドル軸22の内部には、ハンドル軸22とハンドルカバー24とを連結する連結部材50が配置されている。連結部材50は、図6に示すように、その一端部(図3(b)では上端部)が略円盤形状のロックボタン51となっており、他端部に向かって、ストッパ丸軸52、ストッパ角軸53、止め板54、丸軸55及び角軸56が、この順に接続されている。
連結部材50の下端部の角軸56は、ハンドル軸22の底面31の貫通孔32に貫挿されている。また、連結部材50のロックボタン51と止め板54との間に、ハンドルカバー24の上面41が配置されている。つまり、このとき、連結部材50のストッパ丸軸52またはストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41の角孔42に貫挿される。なお、図3(b)では、連結部材50のストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41
の角孔42に貫挿されている。
また、ハンドル軸22の内部において、その底面31と連結部材50の止め板54との間には、コイルバネ58が配置されている。従って、連結部材50は、ハンドル軸22内から外側(図3(b)では上方向)に向かって付勢されている。なお、図3(b)では、連結部材50がコイルバネ58の付勢力によって止め板54とハンドルカバー24の上面41とが接触している状態が図示されている。
そして、このとき、連結部材50のストッパ角軸53が、ハンドルカバー24の上面41の角孔42に嵌り込んでいるので、ハンドル23はハンドル軸22の周りを回動することができない。このとき、引掛け部25は、開閉部材7の上端部から外側に突出する施錠位置(図3(a)に示す位置)に配置されている。従って、ハンドル23は、引掛け部25が開閉部材7の上端部から外側に突出する状態において、ロック状態(第1のロック状態)となる。
なお、後で詳述するように、ロックボタン51がハンドルカバー24の上面41と接触するまで押されることによって、連結部材50のストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41の角孔42から抜けると、連結部材50のストッパ丸軸52がハンドルカバー24の上面41の角孔42に貫挿するようになるので、ハンドル23はハンドル軸22の周りを回動することができるようになる。従って、ハンドル23は、ロック解除状態つまりフリー状態(第1のロック解除状態)となる。
また、ハンドル23がハンドル軸22の周りを回動されて、操作部26が錠受け15と垂直になる位置まで回転すると、再度、連結部材50のストッパ角軸53が、ハンドルカバー24の上面41の角孔42に嵌り込むので、ハンドル23はハンドル軸22の周りを回動することができなくなる。このとき、引掛け部25は、開閉部材7の上端部から外側に突出しない開錠位置(図9(a)に示す位置)に配置されている。従って、ハンドル23は、引掛け部25が開閉部材7の上端部から外側に突出しない状態において、再度、ロック状態(第2のロック状態)となる。
その後、ロックボタン51がハンドルカバー24の上面41と接触するまで押されることによって、連結部材50のストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41の角孔42から抜けると、連結部材50のストッパ丸軸52がハンドルカバー24の上面41の角孔42に貫挿するようになるので、ハンドル23はハンドル軸22の周りを回動することができるようになる。従って、ハンドル23は、ロック解除状態(第2のロック解除状態)となる。
本実施の形態では、連結部材50のロックボタン51、ストッパ角軸53及びハンドル軸22の上面41の角孔42を含む機構が、ロック機構12として機能する。また、連結部材50が押圧部材に相当すると共に、ハンドル軸22の上面41の角孔42の縁部が第1当接部に相当し、連結部材50のストッパ角軸53の端部が第2当接部に相当する。
次に、開閉部材7が枠部材8に対して開閉される際の動作について、図3及び図7〜図9を参照して説明する。図7〜図9は、開閉部材7が枠部材8に対して開閉される際の動作を説明するための図である。なお、図7(a)、図8(a)及び図9(a)は、開閉装置10の上面図である。図7(b)、図8(b)及び図9(b)は、図7(a)のL2−L2線、図8(a)のL3−L3線及び図9(a)のL4−L4線における断面図である。なお、図3及び図7〜図9では、開閉部材7の上端部の位置が二点鎖線で図示されている。
開閉装置10が施錠されている状態では、図3に示すように、開閉部材7の上端部から外側に突出する施錠位置にある引掛け部25が、錠受け15によって開閉部材7の開閉方向に係止される。従って、開閉部材7を枠部材8に対して開くことはできない。このとき、連結部材50が、コイルバネ58によって、上方に向かって付勢されている。従って、連結部材50のストッパ角軸53がハンドルカバー22の上面41の角孔42に嵌り込んでいるので、ハンドル23は回動することができない。つまり、ハンドル23はロック状態になっている。
そして、図7に示すように、ロックボタン51が、ハンドルカバー24の上面41に接触するまで押されると、連結部材50のストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41の角孔42から抜ける。このとき、連結部材50のストッパ丸軸52がハンドルカバー24の上面41の角孔42に貫挿される。従って、ハンドル23が回動できるようになる。つまり、ハンドル23はロック解除状態になる。
引き続き、ロックボタン51が押されてロックが解除された状態が維持されつつ、図8に示すように、ハンドル23がハンドル軸22の周りを反時計回りに回動させられると、開閉部材7の上端部から外側に突出する施錠位置にある引掛け部25が、開閉部材7の内側に向かって移動する。なお、ロック解除状態からハンドル23が回動され始めた後は、ロックボタン51が押されていなくてもハンドル23は回動することができる。
その後、ハンドル23が、最初の状態(図3に示すように施錠された状態であって、図9で一点鎖線で図示された状態)からハンドル軸22の周りを反時計回りに90度だけ回動させられると、図9に示すように、完全に開錠された状態となる。このとき、引掛け部25は、開閉部材7の上端部から外側に突出しない開錠位置まで移動しており、引掛け部25は錠受け15によって開閉部材7の開閉方向に係止されなくなる。従って、開閉部材7を枠部材8に対して開くことができる。
また、連結部材50はコイルバネ58によって上方に向かって付勢されているので、ハンドル23がこの位置まで回動させられると、再度、ストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41の角孔42に嵌り込む。従って、ハンドル23は回動することができなくなる。つまり、ハンドル23はロック状態になる。
このように、完全に開錠された状態においては、ハンドル23はロック状態になっているので、引掛け部25は開閉部材7の上端部から外側に突出しない開錠位置に維持される。そして、ロックを解除して、ハンドル23を回動させない限り、引掛け部25が開閉部材7の上端部から外側に突出する施錠位置に移動することはない。
一方、開閉装置10が開錠されている状態から施錠される際には、引掛け部25が開閉部材7の上端部から外側に突出しない開錠位置にある状態において、開閉部材7が枠部材8に対して完全に閉じられ、引掛け部25が錠受け15の開口16内に嵌入可能な状態にされる。そして、ロックボタン51がハンドルカバー24の上面41に接触するまで押されると、連結部材50のストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41の角孔42から抜ける。このとき、連結部材50のストッパ丸軸52がハンドルカバー24の上面41の角孔42に貫挿される。従って、ハンドル23が回動できるようになる。つまり、ハンドル23はロック解除状態になる。
引き続き、ロックボタン51が押されてロックが解除された状態が維持されつつ、ハンドル23がハンドル軸22の周りを時計回りに回動させられると、開閉部材7の上端部から外側に突出しない開錠位置にある引掛け部25が、開閉部材7の外側に向かって移動する。なお、ロック解除状態からハンドル23が回動され始めた後は、ロックボタン51が押されていなくてもハンドル23は回動することができる。
その後、ハンドル23が、最初の位置に戻るまで、ハンドル軸22の周りを時計回りに90度だけ回動させられると、図3に示すような施錠された状態となる。このとき、引掛け部25は、開閉部材7の上端部から外側に突出する施錠位置まで移動しており、引掛け部25は錠受け15によって開閉部材7の開閉方向に係止される。従って、開閉部材7を枠部材8に対して開くことができなくなる。
また、連結部材50はコイルバネ58によって上方に向かって付勢されているので、ハンドル23がこの位置まで回動させられると、再度、ストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41の角孔42に嵌り込む。従って、ハンドル23は回動することができなくなる。つまり、ハンドル23はロック状態になる。
以上説明したように、本実施の形態の開閉装置10では、ハンドル錠11にはハンドル23の状態をロック状態及びロック解除状態とのいずれかの状態に切り換えるロック機構12が備えられている。そのため、開閉部材7が枠部材8に対して閉じられた状態で且つハンドル23の状態がその引掛け部25が施錠位置から開錠位置に移動できないロック状態である場合には、ロックボタン51を押して、ロックを解除した後でなければ、ハンドル23に対して開閉装置10を開錠するための操作を行うことができない。従って、不注意やいたずらによって容易に開閉部材7が開かれるのを抑制することができる。
また、ハンドル錠11にロック機構12が備えられているので、開閉部材7を枠部材8に対して開く場合に、開閉部材7に設けられたハンドル23を片手で持つと共に、その手でロックボタン51を押すことによって、ハンドル23のロックを解除することができる。従って、片手を使うだけで、ロック解除操作及び開閉部材7の開閉動作の両方が行えるので、操作性を向上させることができる。また、ロック機構12をハンドル錠11に備えることによって、ハンドル23を回動させる機構とロック機構とを集約することができるので、開閉装置10の製造コストを低減することができる。
また、開閉部材7が枠部材8に対して開かれた状態で且つハンドル23の状態がその引掛け部25が開錠位置から施錠位置に移動できないロック状態である場合には、ロックボタン51を押して、ロックを解除した後でなければ、ハンドル23に対して開閉装置を施錠するための操作を行うことができない。そのため、開錠位置にある引掛け部25が、知らない間にまたは自然に、施錠位置に戻った状態で、開閉部材7が枠部材8に対して閉じられるのを抑制することができる。従って、引掛け部25が枠部材8に衝突することによって、ハンドル錠11及び枠部材8が破損するのを抑制することができる。
また、ハンドル23はハンドル軸22の周りを回動可能に設けられており、ハンドル23を回動させることによって、その引掛け部25の位置を施錠位置と開錠位置と間で移動させることができる。従って、引掛け部25の位置を移動させる構成を簡略化することができる。
また、ハンドル23がロック状態である場合に、ロックボタン51が押されることによって、連結部材50のストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41の角孔42から抜けると、ハンドル23がハンドル軸22の周りを回動できるようになる。従って、ハンドル23の状態をロック状態とロック解除状態とのいずれかに切り換えるロック機構12の構成を簡略化することができると共に、ロック解除操作を容易に行うことができる。
また、ハンドル23の操作部26が水平になる位置及びその位置から反時計回りに90度だけ回動させると、ハンドル23のロック解除状態(連結部材50のストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41の角孔42に嵌り込んでいない状態)からハンドル23のロック状態(連結部材50のストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41の角孔42に嵌り込む状態)に自動的に変化するので、ハンドル23の状態を確実にロック状態に切り換えることができる。
次に、本発明の第1の参考例について、図面を参照しつつ説明する。
第1の参考例の開閉装置110が第1の実施の形態の開閉装置10と主に異なる点は、ハンドル軸22の上端に設けられたストッパガイド38の範囲と、ハンドル軸122の上端に設けられたストッパガイド138の範囲である。なお、開閉装置110のその他の構成は、第1の実施の形態の開閉装置10と同じであるので、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
ハンドル軸122の上端には、図10に示すように、所定高さの切り欠きが形成されることによって、2つのハンドルストッパ135、136が設けられている。このハンドル軸122の上端の2つのハンドルストッパ135、136間は、ストッパガイド138となる。ここで、ハンドルストッパ135とハンドル軸122の中心軸とを結ぶ直線と、ハンドルストッパ136とハンドル軸122の中心軸とを結ぶ直線とは、その間の角度が鋭角になるように交差する。つまり、ストッパガイド138は、ハンドル軸122の中心軸の周りにおいて90度よりも小さい角度(図10(a)では、85度)の範囲に形成されている。
従って、ハンドル23は、ストッパ45がハンドルストッパ136に当接するまで、ハンドル軸122の周りを反時計回りに回動することができると共に、ストッパ45がハンドルストッパ135に当接するまで、ハンドル軸122の周りを時計回りに回動することができる。つまり、ハンドル23は、操作部26が錠受け15と平行になる位置(図10(a)参照)と、操作部26が錠受け15と垂直になる直前の位置(図13(a)参照)との間で回動することができる。
次に、開閉部材7が枠部材8に対して開閉される際の動作について、図10〜図13を参照して説明する。図10〜図13は、開閉部材7が枠部材8に対して開閉される際の動作を説明するための図である。なお、図10(a)〜図13(a)は、開閉装置110の上面図である。図10(b)〜図13(b)は、図10(a)のL5−L5線、図11(a)のL6−L6線、図12(a)のL7−L7線及び図13(a)のL8−L8線における断面図である。
開閉装置110が施錠されている状態では、図10に示すように、開閉部材7の上端部から外側に突出する施錠位置にある引掛け部25が、錠受け15によって開閉部材7の開閉方向に係止される。従って、開閉部材7を枠部材8に対して開くことはできない。このとき、連結部材50が、コイルバネ58によって、上方に向かって付勢されている。従って、連結部材50のストッパ角軸53がハンドルカバー22の上面41の角孔42に嵌り込んでいるので、ハンドル23は回動することができない。つまり、ハンドル23はロック状態になっている。
そして、図11に示すように、ロックボタン51が、ハンドルカバー24の上面41に接触するまで押されると、連結部材50のストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41の角孔42から抜ける。このとき、連結部材50のストッパ丸軸52がハンドルカバー24の上面41の角孔42に貫挿される。従って、ハンドル23が回動できるようになる。つまり、ハンドル23はロック解除状態になる。
引き続き、ロックボタン51が押されてロックが解除された状態が維持されつつ、図12に示すように、ハンドル23がハンドル軸122の周りを反時計回りに回動させられると、開閉部材7の上端部から外側に突出する施錠位置にある引掛け部25が、開閉部材7の内側に向かって移動する。なお、ロック解除状態からハンドル23が回動され始めた後は、ロックボタン51が押されていなくてもハンドル23は回動することができる。
その後、ハンドル23が、最初の状態(図10に示すように施錠された状態であって、図13で一点鎖線で図示された状態)からハンドル軸122の周りを反時計回りに85度だけ回動させられると、図13に示すように、完全に開錠された状態となる。このとき、引掛け部25は、開閉部材7の上端部から外側に突出しない開錠位置まで移動しており、引掛け部25は錠受け15によって開閉部材7の開閉方向に係止されなくなる。従って、開閉部材7を枠部材8に対して開くことができる。
また、第1の実施の形態のように、ハンドル23がハンドル軸122の周りを反時計回りに90度だけ回動されると、再度、ストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41の角孔42に嵌り込むようになるが、ハンドル23がハンドル軸122の周りを反時計回りに85度だけ回動された時点で、ストッパ45がハンドルストッパ136に当接すると、それ以上はハンドル23をハンドル軸122の周りを反時計回りに回動することができない。従って、ハンドル23がハンドル軸122の周りを反時計回りに回動された場合には、再度、ストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41の角孔42に嵌り込むことはないので、ハンドル23はロック状態にならない。
一方、開閉装置10が開錠されている状態から施錠される際には、引掛け部25が開閉部材7の上端部から外側に突出しない開錠位置にある状態において、開閉部材7が枠部材8に対して完全に閉じられ、引掛け部25が錠受け15の開口16内に嵌入可能な状態にされる。
その後、ハンドル23が、最初の位置に戻るまで、ハンドル軸122の周りを時計回りに85度だけ回動させられると、図10に示すような施錠された状態となる。このとき、引掛け部25は、開閉部材7の上端部から外側に突出する施錠位置まで移動しており、引掛け部25は錠受け15によって開閉部材7の開閉方向に係止される。従って、開閉部材7を枠部材8に対して開くことができなくなる。
また、連結部材50はコイルバネ58によって上方に向かって付勢されているので、ハンドル23がこの位置まで回動させられると、再度、ストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41の角孔42に嵌り込む。従って、ハンドル23は回動することができなくなる。つまり、ハンドル23はロック状態になる。
なお、本参考例では、上述したように、ハンドル23の操作部26が水平になる位置から反時計回りに回動させられても、連結部材50のストッパ角軸53がハンドルカバー24の上面41の角孔42に嵌り込まないので、ハンドル23の状態は、引掛け部25が開錠位置から施錠位置に移動できないロック状態にはならない。
次に、本発明の第2の参考例について、図面を参照しつつ説明する。図14(a)は、本発明の第2の参考例に係る開閉装置210の上面図である。図14(b)は、図14(a)のL9−L9線における断面図である。
第2の参考例の開閉装置210が第1の実施の形態の開閉装置10と主に異なる点は、開閉装置10ではロックボタン51が押されることによってロックが解除されるのに対して、開閉装置210ではロックレバー251が引かれる(スライドされる)ことによってロックが解除される点である。
開閉装置210は、開閉部材7に設けられたハンドル錠211と、枠部材8に設けられた錠受け215とを有している。ここで、ハンドル錠211には、ロック機構212が内蔵されている。
ハンドル錠211は、窓枠6に固定された取付座221と、ハンドル回転軸222を有すると共に、ハンドル回転軸222を支点として回動可能なハンドル223とを有している。
また、錠受け215は、略矩形状の開口216が形成された部材であって、枠部材8に対して2つのネジによって固定されている。ここで、錠受け215の開口216には、開閉部材7が施錠されている場合に、後述するハンドル223の引掛け部225が嵌入され、引掛け部225を開閉部材7の開閉方向に係止可能になっている。
ハンドル223は、略L字形状の部材であって、一方向(図14(a)では上方向)に向かって延在する引掛け部225と、その反対方向(図14(a)では下方向)において一方向に対して直角に曲がる方向(図14(a)では左方向)に延在する操作部226とを有している。
取付座221は、中空の略直方体形状の部材であって、窓枠6に対して2つのネジ218によって固定されている。また、取付座221の中央部近傍には、ハンドル23を取り付けるための円形の取付孔221aが形成されている。
ハンドル23の屈曲部の下面には、その全周にわたる溝が形成された溝部233が設けられている。従って、取付座221の取付孔221aの縁部が溝部233に嵌合されることによって、ハンドル23が取付座221に回動可能に支持される。なお、溝部233の底部は円柱状になっており、その外径は取付座221の取付孔221aとほぼ同じ径を有している。
ハンドル回転軸222は、ハンドル223の屈曲部近傍の溝部233の下面から突出している。ハンドル回転軸222は、略矩形状の断面形状を有している。ここで、ハンドル回転軸222の1つの角部(図14(a)では左上の角部)は、ハンドルストッパ242に近接している場合でも、ハンドル223が回動し易くするために円弧状になっている。
取付座221の一側面(図14(a)では下側の面)には、その長さ方向に延びる略長方形の開口241が形成されている。そして、開口241内には、ハンドルストッパ242が配置されている。ハンドルストッパ242は、開口241の幅とほぼ同じ幅を有する略矩形状の部材であって、開口241に沿って、その長さ方向(図14(a)では左右方向)に移動可能である。また、ハンドルストッパ242は、その一方の面(図14(a)では下側の面)から突出するロックレバー245と、その反対の面(図14(a)では上側の面)から突出する係止部246とを有している。
ここで、以下の説明では、ハンドル回転軸222の円弧状の角部を挟む2つの側面のうち、施錠時にハンドルストッパ242の係止部246に当接する側面(図14(a)では左側の側面)を「側面222a」と称し、他方の側面(図14(a)では上側の側面)を「側面222b」と称する。そして、ハンドル回転軸222の側面222bの一端部(側面222aと反対側の端部)には、ストッパ228が形成されている。
従って、ロックレバー241が引かれてハンドル223がハンドル回転軸222を支点として反時計回りに回動される場合(ハンドル223が回動され始めた後でロックレバー241は引かれなくなる)には、ハンドルストッパ242の係止部246とハンドル回転軸222の側面222bとが当接すると共に、ストッパ228がハンドルストッパ242の係止部246の先端に当接するまで回動することができる。一方、ロックレバー241が引かれていない状態において、ハンドル223がハンドル回転軸222を支点として時計回りに回動される場合には、ハンドル回転軸222の側面222aがハンドルストッパ242の係止部246に当接するまで回動することができる。
また、ハンドルストッパ242と開口241内の一方の側面(操作部226の先端側の面)との間には、コイルバネ243が配置されている。従って、ハンドルストッパ242は、その係止部246がハンドル回転軸222に近づく方向(図14(a)では右方向)に向かって付勢される。なお、図14(a)では、ハンドルストッパ242が、コイルバネ243の付勢力によって、係止部246とハンドル回転軸222の側面222aとが接触している状態が図示されている。
そして、このとき、ハンドルストッパ242の係止部246がハンドル回転軸222の側面222aに当接しているので、ハンドル223は回動することができない。このとき、引掛け部225は、開閉部材7の上端部から外側に突出する施錠位置(図10(a)に示す位置)に配置されている。従って、ハンドル223は、引掛け部225が開閉部材7の上端部から外側に突出する状態において、ロック状態(第1のロック状態)となる。
なお、後で詳述するように、ロックレバー241がコイルバネ243の付勢力と反対方向に引かれることによって、ハンドルストッパ242の係止部246がハンドル回転軸222の側面222aから離隔すると、ハンドル223がハンドル回転軸222を支点として回動することができるようになる。従って、ハンドル223は、ロック解除状態つまりフリー状態(第1のロック解除状態)となる。
次に、開閉部材7が枠部材8に対して開閉される際の動作について、図14〜図17を参照して説明する。図14〜図17は、開閉部材7が枠部材8に対して開閉される際の動作を説明するための図である。なお、図15〜図17は、開閉装置210の上面図である。なお、図14〜図17では、開閉部材7の上端部の位置が二点鎖線で図示されている。
開閉装置210が施錠されている状態では、図14に示すように、開閉部材7の上端部から外側に突出する施錠位置にある引掛け部225が、錠受け15によって開閉部材7の開閉方向に係止される。従って、開閉部材7を枠部材8に対して開くことはできない。このとき、ハンドルストッパ242が、コイルバネ243によって、ハンドル回転軸222に向かって付勢されている。従って、ハンドルストッパ242の係止部246がハンドル回転軸222の側面222aに接触しているので、ハンドル223は回動することができない。つまり、ハンドル223はロック状態になっている。
そして、図15に示すように、ロックレバー245が、係止部246がハンドル回転軸222から離れる方向に引かれると、ハンドルストッパ242の係止部246がハンドル回転軸222の側面222aから離隔する。従って、ハンドル223が回動できるようになる。つまり、ハンドル223はロック解除状態になる。
引き続き、ロックレバー245が引かれてロックが解除された状態が維持されつつ、図16に示すように、ハンドル223がハンドル回転軸222を支点として反時計回りに回動させられると、開閉部材7の上端部から外側に突出する施錠位置にある引掛け部225が、開閉部材7の内側に向かって移動する。なお、ロック解除状態からハンドル223が回動され始めた後は、ロックレバー245が引かれていなくてもハンドル223は回動することができる。
その後、ハンドル223が、最初の状態(図14に示すように施錠された状態であって、図17で一点鎖線で図示された状態)からハンドル回転軸222を支点として反時計回りに90度だけ回動させられると、図17に示すように、完全に開錠された状態となる。このとき、引掛け部225は、開閉部材7の上端部から外側に突出しない開錠位置まで移動しており、引掛け部225は錠受け15によって開閉部材7の開閉方向に係止されなくなる。従って、開閉部材7を枠部材8に対して開くことができる。
なお、ハンドルストッパ242はコイルバネ243によってハンドル回転軸222に近づく方向に向かって付勢されているので、ロックレバー245が引かれていない場合には、ハンドルストッパ242の係止部246がハンドル回転軸222の側面222aに接触する。そして、ハンドル回転軸222のストッパ228がハンドルストッパ242の係止部246の先端に当接すると、それ以上はハンドル223をハンドル回転軸222を支点として反時計回りに回動することができなくなる。なお、このとき、ハンドル223をハンドル回転軸222を支点として時計回りに回動することができるので、ハンドル223はロック状態にならない。
一方、開閉装置10が開錠されている状態から施錠される際には、引掛け部225が開閉部材7の上端部から外側に突出しない開錠位置にある状態において、開閉部材7が枠部材8に対して完全に閉じられ、引掛け部225が錠受け215の開口216内に嵌入可能な状態にされる。
その後、ハンドル223が、最初の位置に戻るまで、ハンドル回転軸222を支点として時計回りに90度だけ回動させられると、図14に示すような施錠された状態となる。このとき、引掛け部225は、開閉部材7の上端部から外側に突出する施錠位置まで移動しており、引掛け部25は錠受け15によって開閉部材7の開閉方向に係止される。従って、開閉部材7を枠部材8に対して開くことができなくなる。
また、ハンドルストッパ242はコイルバネ243によってハンドル回転軸222に近づく方向に向かって付勢されているので、ハンドルストッパ242の係止部246がハンドル回転軸222の側面222aに接触する。従って、ハンドル223は回動することができなくなる。つまり、ハンドル223はロック状態になる。
以上説明したように、本参考例の開閉装置110では、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、本参考例では、上述したように、ハンドル223の操作部226が水平になる位置から反時計回りに回動させられても、ハンドル223の状態は、引掛け部225が開錠位置から施錠位置に移動できないロック状態にはならない。
なお、本参考例では、上述したように、ハンドル223の操作部226が水平になる位置から反時計回りに回動させられても、ハンドル223は開錠状態ではロックされない。
以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
上述の実施の形態では、鉄道車両に備えられた非常用窓に用いられる開閉装置について説明しているが、本発明は、鉄道車両以外の車両(例えばバス等)に備えられた開き窓や開き戸に用いられる開閉装置にも適用できるし、一般住宅設備等に備えられた開き窓や開き戸に用いられる開閉装置にも適用できる。