JP4439691B2 - ゴルフ靴底の突出部の配置方法及びゴルフ靴 - Google Patents

ゴルフ靴底の突出部の配置方法及びゴルフ靴 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はゴルフ靴底の突出部の配置方法と、この配置方法によって突出部が配置されたゴルフ靴とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴルファーがゴルフボールを打撃する際は、左右の足を結ぶ線が打撃方向とほぼ平行となるようにアドレスする。右利きのゴルファーのアドレスでは、左足が打撃方向前側に位置し、右足が打撃方向後側に位置する。アドレスでは、ゴルフクラブのヘッドはゴルフボールの近くに位置する。この状態からテイクバックを開始し、ゴルファーはヘッドを後へ、次いで上方へと振り上げる。最もヘッドが振り上げられた位置がトップ位置である。トップ位置からダウンスイングが開始されてヘッドが振り下ろされ、ヘッドがゴルフボールと衝突する(インパクト)。インパクト後、ゴルファーはゴルフクラブを前方へ、次いで上方へと振り抜き(フォロースルー)、フィニッシュを迎える。
【0003】
トップ位置からフィニッシュにかけて、ゴルファーは左足を軸としてボディターンを行う。同時にゴルファーは、右足で地面を蹴ってその力をゴルフボールに伝える。つまり、右利きのゴルファーは、左足を軸足として使い、右足を蹴足として使う。左利きゴルファーの場合は、逆に右足を軸足として使い、左足を蹴足として使う。
【0004】
トップ位置からフィニッシュにかけて、ゴルファーの両足には大きな力がかかる。この力によって、ゴルフ靴が地面とスリップを起こすことがある。スリップが起こると、スイングフォームが乱れてミスショットが発生してしまうことがある。
【0005】
スリップの防止のため、ゴルフ靴の底面に針状の金属製スパイクピンが設けられることがある。このゴルフ靴ではスリップはかなり防止されるものの、スパイクピンがパッティンググリーンの芝生、クラブハウスの床、ゴルフコース中に設けられた歩行用通路の路面等を傷めるという問題が指摘されている。従って、金属製スパイクピンを備えたゴルフ靴は近年ではあまり好まれて用いられてはいない。
【0006】
スパイクピンに代えてゴムや合成樹脂からなる突出部が底面に設けられたゴルフ靴が提案され、普及しつつある。このゴルフ靴では、芝生等が傷つけられることが少ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このゴルフ靴では、ゴルフスイング中の荷重方向が十分考慮されて突出部が配置されているわけではなく、特に前述のような左右の足の役割についてはほとんど配慮がなされていない。従って、このゴルフ靴には、スリップ防止(すなわち防滑)の観点から未だ改良の余地がある。
【0008】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであり、防滑性能に優れたゴルフ靴のための突出部の配置方法の提供をその目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するためになされた発明は、
側壁を備えた多数の突出部をゴルフ靴の底面に配置する方法であって、
ゴルフスイング中の水平方向及び鉛直方向の床反力を三次元床反力計で測定し、鉛直荷重に対する水平荷重の比率を算出するステップと、
この比率が最大値となる時点であるピーク時点を決定するステップと、
この比率が最大値に向かって上昇している段階にあってかつこの比率が最大値の60%となる時点である開始時点と、この比率が最大値から下降している段階にあってかつこの比率が最大値の60%となる時点である終了時点とを決定するステップと、
この開始時点と終了時点との間に所定間隔で測定された三次元床反力データの水平成分ベクトルをその原点を一致させて並べるステップと、
これらのベクトルの前端を結ぶ線である基準線を想定するステップと、
この基準線に沿って側壁が並ぶように突出部の位置を決定するステップと
を含むことを特徴とする配置方法、
である。
【0010】
ゴルフスイングは、旋回運動(ボディターン)と並進運動とが混合された非常に複雑な運動様式である。従って、スイング中の足の挙動も極めて複雑である。本発明の配置方法によって得られたゴルフ靴では、基準線に沿って側壁が並ぶように突出部が配置されるので、足が複雑な挙動を示すゴルフスイングであっても、優れた防滑効果が得られる。本明細書では、基準線に沿った側壁は防滑面とも称される。
【0011】
好ましくは、スイング中の足圧分布が測定され、ピーク時点の足圧が最大となる箇所の近傍に防滑面が存在するように突出部が配置される。これにより、スイング中に最もスリップが起こりやすい局面での防滑が達成されうる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、本発明の実施形態が説明される。
【0013】
図1は、三次元床反力計による測定の様子が示された模式図である。この図には、ゴルファーの足1と、ゴルフ靴3と、三次元床反力計5と、コンピュータ7とが示されている。ゴルフ靴3は、アッパー部9と、アウトソール11と、インソール13とを備えている。三次元床反力計5としては、例えばキスラー社の「水晶圧電式多成分フォースプレート9287B」が好適に用いられうる。また、この三次元床反力計5によって床反力を測定する方法は、例えば特開平9−201208号公報等に開示されている。
【0014】
図2は、本発明の配置方法の手順の一例が示されたフローチャートである。この配置方法では、まず、三次元床反力計5によって床反力が測定される(SP1)。この三次元床反力計5では、水平方向及び鉛直方向の荷重が測定される。測定は、ゴルファーにゴルフクラブを持たせ、これをスイングさせて行われる。測定データの信号はケーブル14を通じてコンピュータ7に送られる。そして、水平荷重の垂直荷重に対する比率が、時刻歴として算出される(SP2)。
【0015】
図3は、水平荷重の垂直荷重に対する比率が示されたグラフである。本発明の配置方法では、比率線Rが最大値Pとなる時点(すなわちピーク時点Tp)が決定される(SP3)。次に、比率が最大値Pの60%であることを示す横線Lが引かれ、比率線Rと横線Lとの交点S及びEが求められる。そして、交点Sの時点Tsと、交点Eの時点Teとが決定される(SP4)。この時点Tsは、比率が最大値Pに向かって上昇している段階にあって最大値Pの60%となる時点(すなわち開始時点)である。また、時点Teは、比率が最大値Pから下降している段階にあって最大値Pの60%となる時点(終了時点)である。
【0016】
次に、開始時点Tsから終了時点Teまで間の、所定間隔の三次元床反力データの水平成分ベクトルが、互いの原点が一致するように並べられる(SP5)。この間隔は、開始時点Tsから終了時点Teまでの時間を3以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは7以上に等分するような間隔である。
【0017】
図4は、所定間隔をおいて測定された水平成分ベクトルが並べられた模式図である。この図は右利きゴルファーの軸足(左足)についての測定データから得られたものであり、鉛直方向上方から下向きに見たものである。この例では、開始時点Tsから終了時点Teまでの時間が5等分されており、ベクトルVは6本示されている。最も右側のベクトルVは開始時点Tsにおけるものであり、最も左側のベクトルVは終了時点Teにおけるものである。ベクトルVは、開始時点Tsから終了時点Teにかけて、図中反時計回りに移行する。
【0018】
次に、これらのベクトルVの前端を結ぶ線(基準線Bj)が想定される(SP6)。この基準線Bjは本来的には折れ線となるが、これが曲線に近似されるのが好ましい。近似の方法としては、移動平均法又はスプライン平滑化法によってなされるのが好ましい。
【0019】
軸足では、力は大まかには踵から爪先に向かう方向(以下「正面方向」と称される)にかかっている。詳細には、トップ位置では力の方向はやや打撃方向後側向きな正面方向ある。スイングの進行に応じて力の方向は完全な正面方向へ、そしてやや打撃方向前側向きな正面方向へと移行する。これらの変化は、軸足が軸とされたボディーターンと体重の移動とに起因すると考えられる。軸足がこのような挙動を示すので、軸足靴体の基準線Bjは図4に示されるように正面方向に対して凸な形状となる。
【0020】
図5は、右利きゴルファーの蹴足(右足)についての測定データから得られたベクトルVと基準線Bkとが示された模式図である。この例でも、開始時点Tsから終了時点Teまでの時間が5等分されており、ベクトルVは6本示されている。最も右側のベクトルVは開始時点Tsにおけるものであり、最も左側のベクトルVは終了時点Teにおけるものである。ベクトルVは、開始時点Tsから終了時点Teにかけて、図中時計回りに移行する。
【0021】
蹴足では、力は大まかには爪先から踵に向かう方向(以下「背面方向」と称される)にかかっている。詳細には、トップ位置では力の方向はやや打撃方向前向きな背面方向である。スイングの進行に応じて力の方向は完全な背面方向へ、そしてやや打撃方向後向きな背面方向へと移行する。これらの変化は、ダウンスイング開始時の蹴足から軸足への体重移動と、その後の蹴足の回転とに起因すると考えられる。蹴足がこのような挙動を示すので、蹴足靴体の基準線Bkは図5に示されるように背面方向に対して凸な形状となる。なお、一部のゴルファーでは、図5における反時計回りにベクトルVが移行することもあるが、この場合であっても得られる基準線Bkの形状はほぼ同等である。
【0022】
図6は、左足用のゴルフ靴3の底面が基準線Bjと共に示された模式図である。この図に置いて線分Lcは、底面の最大長さを示す線分である。また、直線L1は、線分Lcから最も左に離れた位置P1を通過する、線分Lcと平行な直線である。また、直線L2は、線分Lcから最も右に離れた位置P2を通過する、線分Lcと平行な直線である。図4で想定された基準線Bjは、その一端が直線P1上に位置し、かつ他端が直線P2上に位置するように、変倍(拡大又は縮小)される。そして、複数個が、底面上に配置される(SP7)。なお、図6は底面図なので、基準線Bjは、図4に示されたものが反転された形状となっている。
【0023】
次に、この基準線Bjに沿って側壁が並ぶように、突出部の位置が決定される。基準線Bjに沿った側壁は、防滑面となる。図示はされていないが、右足用のゴルフ靴3の場合は、基準線Bkに沿って側壁が並ぶように突出部の位置が決定される。基準線Bkに沿った側壁は、防滑面となる。こうして、ゴルフ靴3の底面への突出部の配置が完了する(SP8)。
【0024】
図7(a)は本発明の配置方法によって得られたゴルフ靴3の軸足靴体15(右利きゴルファーにとっての左足用の靴体)が示された底面図であり、図7(b)はそのB−B線に沿った断面図である。また、図7(c)はこのゴルフ靴3の蹴足靴体17(右利きゴルファーにとっての右足用の靴体)が示された底面図であり、図7(d)はそのD−D線に沿った断面図である。なお、図示されていないが、このゴルフ靴3は、通常のゴルフ靴3と同様のアッパー部9等を備えている。図7(a)及び図7(c)において右方向が打撃方向前側であり、左方向が打撃方向後側である。また、図7(a)から図7(d)において上方向が爪先方向であり、下方向が踵方向である。
【0025】
図7(a)及び図7(b)から明らかなように、軸足靴体15は突出部としての筋山19を多数備えている。筋山19の前方側壁21は鉛直方向に起立しており、後方側壁23は鉛直方向に対して傾斜している。この軸足靴体15では、前方側壁21が基準線Bj(図4参照)に沿うように筋山19が形成されている。従って、筋山19の形状も正面方向に対して凸である。前方側壁は19、防滑面でもある。この防滑面によって、軸足のスリップが防止される。
【0026】
図7(c)及び図7(d)から明らかなように、蹴足靴体17も突出部としての筋山25を多数備えている。筋山25の後方側壁27は鉛直方向に起立しており、前方側壁29は鉛直方向に対して傾斜している。この蹴足靴体17では、後方側壁27が基準線Bk(図5参照)に沿うように筋山25が形成されている。従って、筋山25の形状も背面方向に対して凸である。後方側壁27は、防滑面でもある。この防滑面によって、蹴足のスリップが防止される。
【0027】
三次元床反力の測定と同期されて、スイング中の足圧分布が測定されるのが好ましい。足圧分布の測定は、足圧センサ(例えばニッタ社の「f−scan」)によって測定される。足圧センサによって、スイング中の各時点の足圧分布が求められる。そして、ピーク時点Tpの足圧が最大となる箇所に防滑面が位置するように、筋山19、25の位置の決定がなされるのが好ましい。これにより、最もスリップが起こりやすいピーク時点Tpにおける防滑効果が向上する。
【0028】
図7(a)においてWpで示される領域は、軸足のピーク時点Tpにおいて足圧が最も高い領域である。軸足靴体15では領域Wpに防滑面が存在しているので、最もスリップが生じやすいピーク時点Tpにおける防滑効果が高い。また、図7(c)においてWpで示される領域は、蹴足のピーク時点Tpにおいて最も足圧が高い領域である。蹴足靴体17では領域Wpに防滑面が存在しているので、最もスリップが生じやすいピーク時点Tpにおける防滑効果が高い。
【0029】
また、ピーク時点Tpの足圧が最大となる箇所以外への防滑面の配置も、なるべくスリップが防止されるように工夫が施されるのが好ましい。好ましい配置方法の具体例としては、以下のような配置方法が挙げられる。
(1)開始時点Tsから終了時点Teまでの各時点において最大足圧となる箇所全てに防滑面を配置する。
(2)鉛直荷重に対する水平荷重の比率が0.5以上である各時点において最大足圧となる箇所全てに防滑面を配置する。
(3)踏みつけ部分(足1の指の付け根から、土踏まずの前端までの部分)に重点的に防滑面を配置する。
(4)ダウンスイング開始時点の水平荷重の中心に防滑面を配置する。
(5)スイング中において水平荷重が60N以上となる領域全てにおいて、この領域内に少なくとも1つの防滑面を配置する。
【0030】
足圧センサの位置はゴルフ靴3と三次元床反力計5との間でもよいが、ゴルフ靴3の内部に設けられるのが好ましい。これにより、ゴルファーの足1の挙動が直接的に足圧センサに伝わり、足圧分布の測定精度が向上する。
【0031】
防滑面が水平方向に対してなす内角の角度は、60°(degree)以上、特には80°以上が好ましい。角度が上記範囲未満であると、防滑効果が不十分となってしまうことがある。また、内角の角度は、120°以下、特には90°以下が好ましい。内角の角度が上記範囲を超えると、筋山19、25の間に土が詰まりやすくなり、またアウトソール11成形時の脱型が困難となってしまうことがある。
【0032】
全ての側壁(図7の例では前方側壁21、29及び後方側壁23、27)に占める防滑面の面積比率は10%以上が好ましく、25%以上が特に好ましく、40%以上がさらに好ましい。面積比率が上記範囲未満であると、ゴルフ靴3の防滑効果が不十分となってしまうことがある。防滑効果の観点から面積比率は多きほど好ましいが、筋山19、25の形成には防滑面以外の側壁(後方側壁23及び前方側壁29)も必要なので、面積比率は通常は80%以下である。
【0033】
図7(a)から図7(d)のゴルフ靴3は右利きゴルファー用のものであるが、左利きゴルファー用のゴルフ靴3の場合は、図7(a)及び図7(c)に示された筋山19、25が左右反転された形状の筋山となる。
【0034】
図8(a)は本発明の配置方法によって得られた他のゴルフ靴の軸足靴体31が示された底面図であり、図8(b)はそのB−B線に沿った断面図である。また、図8(c)はこのゴルフ靴の蹴足靴体33が示された底面図であり、図8(d)はそのD−D線に沿った断面図である。なお、図示されていないが、このゴルフ靴は、通常のゴルフ靴と同様のアッパー部9等を備えている。図8(a)及び図8(c)において右方向が打撃方向前側であり、左方向が打撃方向後側である。また、図8(a)から図8(d)において上方向が爪先方向であり、下方向が踵方向である。
【0035】
図8(a)及び図8(b)から明らかなように、軸足靴体31は突出部としての凸状ブロック35を多数備えている。底面のうち凸状ブロック35以外の部分は、凹陥部37である。凸状ブロック35の前方側壁39は鉛直方向に起立しており、後方側壁41は鉛直方向に対して傾斜している。
【0036】
前述のように、軸足靴体31の基準線Bj(図4参照)は正面方向に対して凸な形状となる。図8(a)及び図8(b)に示された軸足靴体31では、前方側壁39が基準線に沿うように凸状ブロック35が配列されている。この前方側壁39は、防滑面でもある。この防滑面によって、軸足のスリップが防止される。図8(a)においてWpで示される領域は、ピーク時点Tpにおいて最も足圧が高い領域である。軸足靴体31では領域Wpに防滑面が存在しているので、最もスリップが生じやすいピーク時点Tpにおける防滑効果が高い。
【0037】
図8(c)及び図8(d)から明らかなように、蹴足靴体33も突出部としての凸状ブロック43を多数備えている。底面のうち凸状ブロック43以外の部分は、凹陥部45である。凸状ブロック43の後方側壁47は鉛直方向に起立しており、前方側壁49は鉛直方向に対して傾斜している。
【0038】
前述のように、蹴足靴体33の基準線Bk(図5参照)は背面方向に対して凸な形状となる。図8(c)及び図8(d)に示された蹴足靴体33では、後方側壁47が基準線に沿うように凸状ブロック43が配列されている。この後方側壁47は、防滑面でもある。この防滑面によって、軸足のスリップが防止される。図8(c)においてWpで示される領域は、ピーク時点Tpにおいて最も足圧が高い領域である。蹴足靴体33では領域Wpに防滑面が存在しているので、最もスリップが生じやすいピーク時点Tpにおける防滑効果が高い。
【0039】
この軸足靴体31及び蹴足靴体33においても、防滑面が水平方向に対してなす内角の角度は、60°(degree)以上、特には80°以上が好ましい。角度が上記範囲未満であると、防滑効果が不十分となってしまうことがある。また、内角の角度は、120°以下、特には90°以下が好ましい。内角の角度が上記範囲を超えると、凹陥部37、45に土が詰まりやすくなり、またアウトソール11成形時の脱型が困難となってしまうことがある。
【0040】
この軸足靴体31及び蹴足靴体33においても、全ての側壁(前方側壁39、49、後方側壁41、47及び左右の側壁)に占める防滑面の面積比率は10%以上が好ましく、25%以上が特に好ましく、40%以上がさらに好ましい。面積比率が上記範囲未満であると、ゴルフ靴3の防滑効果が不十分となってしまうことがある。防滑効果の観点から面積比率は多きほど好ましいが、凸状ブロック35、43の形成には防滑面以外の側壁も必要なので、面積比率は通常は80%以下である。
【0041】
図8(a)から図8(d)のゴルフ靴は右利きゴルファー用のものであるが、左利きゴルファー用のゴルフ靴の場合は、図8(a)及び図8(c)に示された凸状ブロック35、43が左右反転された形状の凸状ブロックとなる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきでないことはもちろんである。
【0043】
[実施例]
ソール部分が発泡ゴムからなる市販の紳士用革靴を用意し、電熱ナイフで底面に筋溝を彫り込んで筋山を形成し、実施例1のゴルフ靴を得た。軸足靴体(左足用)の筋山を、図7(a)及び図7(b)に示されるような、正面方向に凸であり、前方側壁が鉛直方向に起立しており、後方側壁が鉛直方向に対して傾斜している形状とした。また蹴足靴体(右足用)の筋山を、図7(c)及び図7(d)に示されるような、背面方向に凸であり、後方側壁が鉛直方向に起立しており、前方側壁が鉛直方向に対して傾斜している形状とした。
【0044】
[比較例]
軸足靴体及び蹴足靴体の筋山を打撃方向に伸びる直線状とし、前方側壁及び後方側壁を鉛直方向に起立する形状とした他は実施例と同様にして、比較例のゴルフ靴を得た。
【0045】
[ゴルフ靴の評価]
右利きのゴルファー10名それぞれに、実施例及び比較例のゴルフ靴を着用させ、ゴルフ場のティグラウンドでドライバーにてゴルフボールを打撃させた。そして、防滑性を、「1」から「5」の5段階で官能評価させた。最もスリップしにくいものを「5」とし、最もスリップしやすいものを「1」とした。10名のゴルファーの評価点の平均値が、下記の表Iに示されている。
【0046】
【表1】
Figure 0004439691
【0047】
表Iにおいて、実施例のゴルフ靴は比較例のゴルフ靴に比べて評価点が優れている。このことから、本発明の優位性が確認された。
【0048】
【発明の効果】
以上説明されたように、本発明の突出部配置方法によれば、防滑性能に優れたゴルフ靴が得られる。このゴルフ靴をゴルファーが着用することにより、スイング中のスリップが防止される。これにより、スイングフォームの乱れによるミスショットが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、三次元床反力計による測定の様子が示された模式図である。
【図2】図2は、本発明の配置方法の手順の一例が示されたフローチャートである。
【図3】図3は、水平荷重の垂直荷重に対する比率が示されたグラフである。
【図4】図4は、所定間隔をおいて測定された水平成分ベクトルが並べられた模式図である。
【図5】 図5は、右利きゴルファーの蹴足についての測定データから得られたベクトルVと基準線Bkとが示された模式図である。
【図6】図6は、左足用のゴルフ靴の底面が基準線Bjと共に示された模式図である。
【図7】図7(a)は本発明の配置方法によって得られたゴルフ靴の軸足靴体が示された底面図であり、図7(b)はそのB−B線に沿った断面図であり、図7(c)はこのゴルフ靴の蹴足靴体が示された底面図であり、図7(d)はそのD−D線に沿った断面図である。
【図8】図8(a)は本発明の配置方法によって得られた他のゴルフ靴の軸足靴体が示された底面図であり、図8(b)はそのB−B線に沿った断面図であり、図8(c)はこのゴルフ靴の蹴足靴体が示された底面図であり、図8(d)はそのD−D線に沿った断面図である。
【符号の説明】
3・・・ゴルフ靴
5・・・三次元床反力計
15、31・・・軸足靴体
17、33・・・蹴足靴体
19、25・・・筋山
21、29、39、49・・・前方側壁
23、27、41、47・・・後方側壁
35、43・・・凸状ブロック
37、45・・・凹陥部

Claims (3)

  1. 側壁を備えた多数の突出部をゴルフ靴の底面に配置する方法であって、
    ゴルフスイング中の水平方向及び鉛直方向の床反力を三次元床反力計で測定し、鉛直荷重に対する水平荷重の比率を算出するステップと、
    この比率が最大値となる時点であるピーク時点を決定するステップと、
    この比率が最大値に向かって上昇している段階にあってかつこの比率が最大値の60%となる時点である開始時点と、この比率が最大値から下降している段階にあってかつこの比率が最大値の60%となる時点である終了時点とを決定するステップと、
    この開始時点と終了時点との間の、所定間隔の三次元床反力データの水平成分ベクトルをその原点を一致させて並べるステップと、
    これらのベクトルの前端を結ぶ線である基準線を想定するステップと、
    この基準線に沿って側壁が並ぶように突出部の位置を決定するステップと
    を含むことを特徴とする配置方法。
  2. 上記突出部の位置を決定するステップにおいて、ピーク時点の足圧が最大となる箇所の近傍に基準線に沿った側壁が存在するように突出部の位置が決定される請求項1に記載の配置方法。
  3. 上記請求項1又は請求項2に記載の配置方法によって突出部が配置されたゴルフ靴。
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