JP4439217B2 - 高純度ピペリジン−n−オキシル化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、英国特許第1127127号公報には、TMHPNOがアクリル酸、ブタジエン、クロロプレン、アクリルニトリル等の重合禁止剤に用いられることが提案されている。(例えば、特許文献1参照)
また、特開昭58−15942号公報にはカチオン性ビニルモノマーの重合禁止剤としてTMHPNOを用いることが提案されている。(例えば、特許文献2参照)
例えば、特公昭44−12142号公報には、TMHPを、水、メタノール、クロロホルム、エーテル等の溶媒中、過酸化水素あるいは過酢酸、過安息香酸等の有機過酸によって酸化することにより製造できることが知られている。(例えば、特許文献3参照)
また、酸化反応に際しては、タングステン酸ナトリウムなどのタングステン酸アルカリ金属塩またはリンタングステン酸、リンモリブデン酸などのヘテロ原子がリンであるヘテロポリ酸のアルカリ金属塩を触媒として用いることによって反応が促進されることも知られている。しかし、過酸化水素を用いた酸化反応では反応速度が遅く、各種の酸化触媒による反応性の向上が提案されており、2価の金属塩を触媒として用いること、また、ヘテロ原子がケイ素であるヘテロポリ酸又はそのアルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩を用いることで反応性を改善することが知られている。
また、特開平8−3136号公報には、二酸化炭素の存在下に酸化することが提案されている。しかし、反応率が100%には達しないで2〜3%程度原料のTMHPが残存する。(例えば、特許文献5参照)
その他、チタンとケイ素を有する触媒を用いる技術、カーボネート類、ウレア類、ケイ酸、ケイ酸塩のいずれかを酸化触媒に用いる技術が提案されている。
本発明の第2は、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンを水に溶解し、過酸化水素により酸化して2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−N−オキシルを合成した後、有機溶媒および水の存在下に炭素原子数1〜4の脂肪酸により、未反応の2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンを水層へ除去し、得られた有機溶媒層から有機溶媒を分離することを特徴とする2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−N−オキシルの製造方法を提供する。
過酸化水素は、濃度は特に制限はなく、100%のものでも使用可能であるが、市販のものとしては、30〜60%水溶液を利用することができる。
原料TMHPを水に溶解する工程、
これに過酸化水素を加え、酸化反応によりTMHPNOを合成する工程、
必要に応じて、残存する過酸化水素を熱や触媒により分解する工程、
TMHPNOを有機溶媒で水層から抽出する工程、
有機溶媒層を、水に炭素数1〜4の脂肪酸を加えた水溶液で洗浄して、未反応TMHPの脂肪酸塩を水層に抽出する工程、
次いで、必要に応じて吸着剤などで処理する工程、
さらに、必要に応じて水で洗浄する工程、
有機溶媒層を脱水する工程、
必要に応じて、ろ過剤により処理する工程、及び、
脱溶剤工程、または貧溶媒を添加して晶析させる工程などが挙げられる。
反応温度は、触媒にもよるが、0〜40℃、反応時間は1〜6時間である。反応圧力には特に制限はなく、常圧でも、加圧でも、減圧でもよい。
残存過酸化水素の分解触媒としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酸化ニッケル、二酸化マンガン、プラチナ−活性炭、パラジウム−活性炭などが挙げられる。
抽出用有機溶媒としては、TMHPNOの良溶媒であって、水に対して貧溶媒であるものが好ましく、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素などが挙げられる。
該抽出溶媒の使用量は、例えばTMHPNOの0.5〜30質量倍、好ましくは1〜10質量倍である。
炭素原子数が4より大きすぎると、未反応TMHPと脂肪酸との塩が水層に移行しにくくなる。
上記脂肪酸の添加量は、原料TMHPの1〜10モル%、好ましくは3〜8モル%である。脂肪酸の添加量が上記範囲より少なすぎると未反応TMHPと脂肪酸との塩の形成が不十分になり、上記範囲より多すぎると脂肪酸の分離回収のコストが増加したり等する。
脂肪酸の添加工程は、あるいは、残存過酸化水素分解後の反応マスの水溶液に脂肪酸を添加して、未反応TMHPと脂肪酸との塩を形成させた上で、上記抽出溶媒を加え、TMHPNOを選択的に有機溶媒層に抽出するようにしてもよい。
さらに、必要に応じて有機溶媒層を水で洗浄し、酸アニオン分を除去する。
次いで、有機溶媒層を、蒸発や共沸/分液等により脱水する。
次いで、必要に応じて、セライトなどのろ過剤により酸や触媒残渣などを分離する。
その後、有機溶媒層から溶媒を除去して精製TMHPNOを回収する。有機溶媒層から溶媒を除去するには溶媒の蒸発や、有機溶媒層にヘキサンなどの貧溶媒を添加して晶析させてもよい。
好ましくは、得られた有機溶媒層から蒸発により有機溶媒を分離し、蒸発残分として精製TMHPNOを回収する。
しかし、他の工程において、飽和食塩水等を用いる場合には、塩素イオンが混入する。
TMHPNOがモノマーの重合禁止剤として使用された場合、装置の腐食防止の見地から、硫酸含有量は低いほど好ましい。硫酸含有量の目安となる硫酸アニオンは、中性塩由来のものもあるが、全て酸であったとしても、最終的に得られる精製TMHPNO中に100ppm未満であればよく、好ましくは10ppm以下である。硫酸アニオンが全て硫酸であるとして、得られたTMHPNOを20重量%になるように水溶液を調製した場合、硫酸100ppmでpHは約3.7であり、硫酸10ppmでpHは約4.7であり、硫酸1ppmでpHは約5.7であるからである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
TMHPの15.7g(0.1モル)、水150gおよびケイタングステン酸3.14gをとり、ここに60%過酸化水素水11.3g(0.2モル)を25℃で滴下し、滴下終了後50℃で3時間撹拌した。ガスクロマトグラフィーにおける反応率は98%であった。
次いで、70℃で3時間撹拌後、過酸化水素の消失を確認し、食塩を加えて飽和させた。トルエンで目的物TMHPNOを抽出した。
トルエン層を蟻酸0.27g(0.006モル)を加えた飽和食塩水20gで洗浄した。さらに飽和食塩水で洗浄したのち、セライトでろ過し、得られたトルエン溶液から減圧により脱トルエンし、融点71.5℃、分子量172の赤色固体として、目的のTMHPNO16.2g(理論収率94%、以下同様)を得た。得られた精製TMHPNO中の未反応のTMHP濃度はガスクロマトグラフで0.2重量%であった。
得られたTMHPNOを20重量%になるように水溶液を調製し、イオンクロマトグラフにより硫酸、塩素、蟻酸、酢酸の各アニオンの濃度を測定した。
イオンクロマトグラフの測定条件は下記の通りである。
カラム:IC−Pac A25S(DIONEX社製)
溶離液:炭酸ソーダ水溶液(4mmol/l)
流量:0.8ml/分
再生液:0.025N硫酸水溶液
蟻酸の代りに酢酸0.36gを用いた以外は実施例1と同様にしてTMHPNOを合成した。収量16.0g(収率92%)、未反応TMHP含有量は0.2%であった。
飽和食塩水を水に代えた以外は実施例1と同様にしてTMHPNOを合成した。収量15.6g(収率91%)、未反応TMHP含有量は0.2%であった。
蟻酸の代りに98%硫酸0.29g(0.003モル)を用いた以外は実施例1と同様にしてTMHPNOを合成した。収量16.3g(収率95%)、未反応TMHP含有量は0.2%であった。
蟻酸を用いなかった以外は実施例1と同様にしてTMHPNOを合成した。収量16.2g(収率94%)、未反応TMHP含有量は2.0%であった。
上記実施例及び比較例で得られたTMHPNO中の各アニオン濃度をまとめて表1に示す。表1で、NDは検出限界未満を示す。検出限界は、硫酸アニオンでは1ppm、塩素イオンでは1ppm、ギ酸及び酢酸アニオンでは1ppmである。
実施例3は若干の収率低下はあるものの、食塩水を用いないことで塩素イオンを含む無機酸アニオンの低減がなされており、より腐食の心配の無いものとなっている。
一方、硫酸を用いた比較例1では硫酸アニオンが200ppm検出され、アニオン濃度に対応する酸性を示すものと考えられ、水溶液として用い、還流脱水されるような使用条件では、金属製部品などを腐食する危険性がある。
また、酸化合物を用いない比較例2では、TMHPNOに含まれる酸アニオンは少なく、低腐食性であるが、未反応のTMHPを多く含むので、重合禁止剤や重合停止剤に用いる場合の効果が一定にならないことや、TMHPが塩基性を示すために副反応の原因になったり、目的とする反応を阻害する可能性があり、反応の制御が煩雑になる。
Claims (2)
- 2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンを酸化して2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−N−オキシルを合成した後、有機溶液中で未反応の2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンを炭素原子数1〜4の脂肪酸および水を用いて水層へ除去する2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−N−オキシルの製造方法。
- 2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンを水に溶解し、過酸化水素により酸化して2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−N−オキシルを合成した後、有機溶媒および水の存在下に炭素原子数1〜4の脂肪酸により、未反応の2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンを水層へ除去し、得られた有機溶媒層から有機溶媒を分離することを特徴とする2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−N−オキシルの製造方法。
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