JP4439097B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気共鳴現象に基づいて撮像対象内部を画像化する磁気共鳴(MR)イメージング(MRI)に係り、とくに、動いている対象を観察するため、高速な撮像を連続的に行う連続撮像法を用いた磁気共鳴イメージングに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、医療用の撮像法の1つとして、磁気共鳴イメージングが広く用いられている。この磁気共鳴イメージングは、静磁場中に置かれた撮像対象の原子核スピンをそのラーモア周波数の高周波信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生するMR信号から撮像対象内部の画像を再構成する撮像法である。
【0003】
磁気共鳴イメージングには各種のタイプのものが在り、磁気的励起及び信号収集に用いるパルスシーケンスに拠っても、そのタイプは分かれる。この磁気共鳴イメージング法の1つとして、近年、動いている撮像対象を高速(例えば0.1秒から1秒程度)に且つ連続的に撮像する連続撮像法(MRフルオロスコピーなどとも呼ばれる)が脚光を浴びている。
【0004】
この連続撮像法は、具体的には、パルスシーケンスの実行と画像再構成とを非同期で行うことで、出力画像の空間分解能を若干犠牲にして、その分、時間分解能を向上させる撮像法である。このパルスシーケンスを行うスキャンは、リアルタイムスキャンとも呼ばれており、その実現は、近年のハードウエア技術の進歩に依るところが大きい。図5には、FE法に拠るリアルタイムスキャンのパルスシーケンスを例示する。
【0005】
これにより、MR信号収集、画像再構成、及び画像表示までの過程を殆どリアルタイムに行うことで、動いている対象に追随したリアルタイムな画像表示や高精度な位置決めを行うことができる。このリアルタイムスキャンでは、パルスシーケンスの繰返し時間TRが一般的には3〜100ms程度の短い値に設定され且つ励起パルスのフリップ角が20〜60度程度の低い値に設定される。このため、例えば図6に示す如く、撮像対象が静止していると、RF励起されたスライス内のスピンの縦磁化は初期状態には回復できず、ある一定の大きさを保った定常状態になるので、この定常状態の縦磁化の元に信号収集が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のリアルタイムスキャンにあっては、縦磁化がある一定の大きさを保った定常状態に拠る撮像中に、図7の矢印方向に、撮像対象がスライス方向に急に動いた場合(図6の状態から図7の状態参照)、選択励起スライスの少なくとも一部領域の空間的な位置が相対的に変化することになり、撮像スライスSL0の外側から初期状態のままの縦磁化成分を有するスピンがスライス内に入ってくる(図7の斜線部参照)。このため、収集される信号の強度が急激に増えたり、画像のコントラストが一時的に変化して、画質が不安定になるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術が直面する現状を打破するためになされたもので、連続撮像中において、撮像対象が急に動いたり、撮像位置を変えるなど、撮像条件が急変した場合でも、画質の不安定化を確実に防止することを、その目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の磁気共鳴イメージング装置は、イメージング対象の所望領域をイメージング用励起パルスで選択的に励起する第1の選択励起手段と、この第1の選択励起手段による前記所望領域の選択励起前に、前記イメージング用励起パルスと同等の励起能力を有する励起パルスで前記所望領域のスライス方向外側に位置する別領域を選択的に励起する第2の選択励起手段と、前記第1の選択励起手段により当該所望領域で発生したMR信号を収集する収集手段と、この収集手段により収集されたMR信号に基いて画像を再構成する再構成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このように、所望領域(例えば撮像スライス)を選択励起する前に既に、そのスライス方向外側に位置する別領域(例えば隣接スライス)が選択励起される。しかも、その励起パルスの励起能力はイメージング用励起パルスのそれと同等であるので、かかる別領域のスピンの縦磁化成分は所望領域におけるそれと殆ど同じ状態でイメージング用励起パルスが選択的に印加されることになる。
【0010】
このため、スキャン中に撮像対象が急に動いて、目的とする撮像スライスの位置が空間的に相対的にずれてしまった場合でも、上記別領域のスライス方向の幅を適宜に設定しておくことにより、このずれ位置は上記別領域内に収まる。MR信号は位置急変した新しい領域から収集されるが、その新しい領域のスピンの縦磁化成分は目的としていた撮像用所望領域のそれと同程度である。したがって、撮像領域の急変が生じた場合でも、それによってMR信号の強度が急変することは無く、かかる急変に伴ったアーチファクトの発生やコントラストの急変を確実に排除して、画質の不安定化を防止することができる。
【0011】
なお、上述した構成は更に変形して実施することができる。好適な一例として、第1の選択励起手段は連続撮像法の条件を満たすように構成された手段である。この条件は、例えば、前記イメージング用励起パルスのフリップ角及びこのイメージング用励起パルスを印加する繰返し時間を含む。この場合、第1の選択励起手段は、前記イメージング用励起パルスとして、FE法に拠るパルスシーケンスに組み込まれた励起パルスを印加する手段を有していてもよい。
【0012】
また好適には、前記第2の選択励起手段は、前記別領域として、前記所望領域に隣接するスライス方向両側の2つの領域を選択的に励起する手段として構成してもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る1つの実施の形態を、図1〜4を参照して説明する。
【0016】
この実施形態に係るMRI(磁気共鳴イメージング)装置の概略構成を図1
に示す。
【0017】
このMRI装置は、撮像対象(被検体)Pを載せる寝台部と、静磁場を発生させる静磁場発生部と、静磁場に位置情報を付加するための傾斜磁場発生部と、高周波信号を送受信する送受信部と、システム全体のコントロール及び画像再構成を担う制御・演算部と、撮像対象Pの心時相を表す信号としてのECG信号を計測する心電計測部と、撮像対象Pに息止めを指令するための息止め指令部とを備えている。
【0018】
静磁場発生部は、例えば超電導方式の磁石1と、この磁石1に電流を供給する静磁場電源2とを備え、撮像対象Pが遊挿される円筒状の開口部(診断用空間)の軸方向(Z軸方向)に静磁場H0 を発生させる。なお、この磁石部にはシムコイル14が設けられている。このシムコイル14には、後述するホスト計算機の制御下で、シムコイル電源15から静磁場均一化のための電流が供給される。寝台部は、撮像対象(被検体)Pを載せた天板を磁石1の開口部に退避可能に挿入できる。
【0019】
傾斜磁場発生部は、磁石1に組み込まれた傾斜磁場コイルユニット3を備える。この傾斜磁場コイルユニット3は、互いに直交するX、Y及びZ軸方向の傾斜磁場を発生させるための3組(種類)のx,y,zコイル3x〜3zを備える。傾斜磁場部はまた、x,y,zコイル3x〜3zに電流を供給する傾斜磁場電源4を備える。この傾斜磁場電源4は、後述するシーケンサ5の制御のもと、x,y,zコイル3x〜3zに傾斜磁場を発生させるためのパルス電流を供給する。
【0020】
傾斜磁場電源4からx,y,zコイル3x〜3zに供給されるパルス電流を制御することにより、物理軸である3軸X,Y,Z方向の傾斜磁場を合成して、互いに直交するスライス方向傾斜磁場Gs、位相エンコード方向傾斜磁場Ge、および読出し方向(周波数エンコード方向)傾斜磁場Grの各論理軸方向を任意に設定・変更することができる。スライス方向、位相エンコード方向、および読出し方向の各傾斜磁場は、静磁場H0に重畳される。
【0021】
送受信部は、磁石1内の撮影空間にて撮像対象Pの近傍に配設されるRFコイル7と、このコイル7に接続された送信器8T及び受信器8Rとを備える。この送信器8T及び受信器8Rは、後述するシーケンサ5の制御のもとで動作する。送信器8Tは、核磁気共鳴(NMR)を起こさせるためのラーモア周波数のRF電流パルスをRFコイル7に供給する。受信器8Rは、RFコイル7が受信したMR信号(高周波信号)を取り込み、これに前置増幅、中間周波変換、位相検波、低周波増幅、フィルタリングなどの各種の信号処理を施した後、A/D変換してMR信号に応じたデジタル量のデータ(原データ)を生成する。
【0022】
さらに、制御・演算部は、シーケンサ(シーケンスコントローラとも呼ばれる)5、ホスト計算機6、演算ユニット10、記憶ユニット11、表示器12、入力器13、および音声発生器16を備える。この内、ホスト計算機6は、記憶したソフトウエア手順により、シーケンサ5にパルスシーケンス情報を指令するとともに、装置全体の動作を統括する機能を有する。
【0023】
ホスト計算機6は、位置決め用スキャン(図示しない)などの準備作業に引き続いて、図2に示すパルスシーケンスに基づく連続撮像法のスキャン(リアルタイムスキャン)を実施して、画像再構成に必要なエコーデータの組を収集する。このスキャンに使用するパルスシーケンスには、FE(フィールドエコー)法に拠るシーケンス又はFE法をベースにしたシーケンスが好適であるが、SE(スピンエコー)法に拠るシーケンス又はSE系のシーケンスを用いることもできる。
【0024】
なお、図2に示すパルスシーケンスは2次元スキャンとして構成されているが、3次元スキャンとして構成してもよい。また、患者が息を吸った状態または吐いた状態で息を止める息止めてスキャンを実行する息止め法、及び/又は、ECG信号に依るECGゲート法を併用したスキャンであってもよい。
【0025】
シーケンサ5は、CPUおよびメモリを備えており、ホスト計算機6から送られてきたパルスシーケンス情報を記憶し、この情報にしたがって傾斜磁場電源4、送信器8T、受信器8Rの動作を制御するとともに、受信器8Rが出力したMR信号のデジタルデータを一旦入力し、これを演算ユニット10に転送するように構成されている。ここで、パルスシーケンス情報とは、一連のパルスシーケンスにしたがって傾斜磁場電源4、送信器8Tおよび受信器8Rを動作させるために必要な全ての情報であり、例えばx,y,zコイル3x〜3zに印加するパルス電流の強度、印加時間、印加タイミングなどに関する情報を含む。
【0026】
また、演算ユニット10は、受信器8Rが出力したデジタル量の生データ(原データとも呼ぶ)を、シーケンサ5を通して入力し、その内部メモリ上のフーリエ空間(k空間又は周波数空間)に生データを配置し、この生データをその各組毎に2次元又は3次元のフーリエ変換に付して実空間の画像データに再構成する。また演算ユニットは、必要に応じて、画像データの合成(加算)処理、差分演算処理などを行うことができる。
【0027】
記憶ユニット11は、本装置の信号制御、データ処理、及びデータ演算に必要なソフトウェアプログラム、並びに、再構成された画像データのみならず、上述の合成処理や差分処理が施された画像データを保管することができる。このため、この記憶ユニット11に搭載される記録媒体には、本発明に係る、目的スライス外の領域を選択励起するソフトウェアプログラムも記憶されており、ホスト計算機5により読み出される。
【0028】
表示器12は画像を表示する。また入力器13を介して、術者が希望する撮像条件、パルスシーケンス情報、画像合成や差分処理などの演算法のパラメータ等をホスト計算機5に入力することができる。
【0029】
また、息止め指令部の一要素として音声発生器16を備える。演算に関する情報をホスト計算機6に入力できる。この音声発生器16は、ホスト計算機6から指令があったときに、息止め法における息止め開始及び息止め終了のメッセージを音声として発することができる。
【0030】
さらに、心電計測部は、撮像対象の体表に付着させてECG信号を電気信号として検出するECGセンサ17と、このセンサ信号にデジタル化処理を含む各種の処理を施してホスト計算機6およびシーケンサ5に出力するECGユニット18とを備える。この心電計測部による計測信号は、心電同期法に拠るスキャンを実行するときにシーケンサ5により用いられる。
【0031】
本実施形態の構成において、磁石1、静磁場電源2、傾斜磁場コイルユニット3、傾斜磁場電源4、シーケンサ5、ホスト計算機6、RFコイル7、送信器8T、及び記憶ユニット11が本発明の第1、第2の選択励起手段の主要部を成し、シーケンサ5、ホスト計算機6、RFコイル7、及び受信器8Rが本発明の収集手段の主要部を成し、さらに、ホスト計算機6及び演算ユニット10が本発明の再構成手段の主要部を成す。
【0032】
次に、図2〜4を参照して、本実施形態のMRI装置によるスキャンの動作を説明する。
【0033】
ホスト計算機6は、撮像に際し、図示しない所定のメインプログラムを実行する中で、図2に示すFE法のパルスシーケンスを実行することで、連続撮像法(MRフルオロスコピー)のスキャン(即ち、リアルタイムスキャン)を行う。
【0034】
このパルスシーケンスによれば、図示の如く、フリップ角を20〜60°程度の小さい値に設定し且つ所定キャリア周波数f0のRF励起パルスPexと共に、所定振幅値を有するスライス傾斜磁場パルスGsexが印加されてスライス選択が行われる。これにより、図3又は図4に示す如く、所定厚さのスライスSL0がスライス選択で励起される。なお、このショット(RF励起)の繰返し時間TRは3〜100ms程度の短い値に設定される。
【0035】
ところで、本発明の原理によって、この撮像スライスSL0の選択励起の直前には、必ずその隣接スライスが予備的に選択励起されるが、図示の関係から、その説明は後述する、次のショット(RF励起)時に譲る。
【0036】
上述の撮像スライスSL0に対する選択励起の後、スピンリフェーズのために、スライス傾斜磁場パルスGsの極性を反転させて逆極性パルスを印加する。本実施形態では、この逆極性パルスGsの印加と並行して、読出し傾斜磁場パルスGr及び位相エンコード傾斜磁場パルスGeが印加される。位相エンコード傾斜磁場パルスGeの振幅及び極性は各ショット(RF励起)毎に制御されて、位相エンコード量が変更される。
【0037】
その後、読出し傾斜磁場パルスGrの極性が反転されてグラジェントエコー信号が読み出される。
【0038】
このエコー信号が収集され、繰返し時間TRの経過前の所定タイミングにおいて、本発明に係わる隣接スライスに対するRF励起が予備的に実行される。即ち、スライス傾斜磁場パルスGs1,Gs2と共に2個のRF励起パルスPad1、Pad2が続いて印加される。
【0039】
この隣接スライスに対する予備的なRF励起は、その直後に実行される撮像スライスからの信号収集時の信号の乱れを抑制するために行われる。つまり、イメージング用のRF励起に先だって、常に、隣接スライスの励起が行われる。
【0040】
上述のスライス傾斜磁場パルスGs1,Gs2の振幅値は、先に印加したスライス傾斜磁場パルスGsexのそれよりも低い値に設定してもよいし、同じ値であってもよい。また、2個のRF励起パルスPad1、Pad2のキャリア周波数f0′は、先に印加したRF励起パルスPexのキャリア周波数f0(撮像スライスSL0の中心位置に対応したRF周波数)からオフセットされており、そのオフセット周波数Dfは2個のRF励起パルスPad1、Pad2それぞれにおいて、その絶対値が互いに等しく且つ逆極性(中心周波数f0を中心にみたとき)になっている。これにより、図3,4に示す如く、上述した撮像スライスSL0のスライス方向両隣に位置する隣接スライスSL1、SL2が励起される。このとき、スライス傾斜磁場パルスGs1,Gs2の振幅値及びRF励起パルスPad1、Pad2のオフセット周波数Dfを適宜に制御することにより、隣接スライスSL1、SL2の位置及びスライス厚を適宜に変えることができる。
【0041】
なお、撮像スライスSL0の位置が変えられると、これに応じてRF励起パルスPad1、Pad2のキャリア周波数も追随して調整されるので、オフセット周波数Dfも変わる。
【0042】
また、隣接スライスSL1、SL2の位置は極力、ギャップレスの状態で撮像スライスSL0に隣接していることが望ましいが、スライスの励起プロファイルによっては若干のギャップが存在することもある。
【0043】
この隣接スライスSL1、SL2に対する選択励起が終わると、直ぐに、繰返し時間TRが到来して、撮像スライスSL0に対する次のRF励起(ショット)を行うべきタイミングになる。このため、シーケンサ5から次のRF励起が撮像スライスSL0に対して指令され、前述と同様に、選択励起が行われる。
【0044】
なお、この隣接スライスSL1、SL2に対する選択励起とその次の撮像スライスSL0に対する選択励起との間には、時間的間隔を設けるようにパルス列を組んでもよいが、後述するように、磁化スピンの状態を隣接スライス及び撮像スライスの双方でなるべく同じにするという趣旨から、隣接スライスSL1、SL2に対する選択励起は撮像スライスSL0に対する選択励起の直前に行うことが最も望ましい。
【0045】
この撮像スライスSL0に対する選択励起の後は、前述と同様に、スライス傾斜磁場パルスGsによるリフェーズパルスの印加、読出し傾斜磁場パルスGrの印加、及び位相エンコード傾斜磁場パルスGeの印加が行われる。
【0046】
読出し傾斜磁場パルスGrと伴に読み出されたグラジェントエコーの信号はRFコイル7を介して受信器8Rに送られ、前置増幅、中間周波変換、直交位相検波、低周波増幅、ローパスフィルタリングなど、各種の受信処理の後、デジタル量のエコーデータに変換される。このエコーデータは次いでシーケンサ5を介して演算ユニット10に送られ、信号収集とは非同期でフーリエ変換による画像再構成に付される。この再構成画像はフルオロスコピー画像として、殆どリアルタイムに(高い時間分解能で)表示器12に表示される。
【0047】
なお、連続撮像法の時間分解能を向上させるために、前述したような励起パルスの小さめのフリップ角α及び短めの繰返し時間TRの設定のほか、画像マトリクスサイズを通常画像よりも小さくしたり、1回の撮像で収集する収集サイズを小さくするなどの処置を併用することもできる。
【0048】
以上のように、この連続撮像においては、撮像スライスSL0の選択励起に先だって、その直前に必ず、撮像用励起パルスと同等の励起能力を持たせた励起パルスで、その隣接スライスSL1、SL2が予備的に選択励起される。この結果、撮像には無関係な隣接スライスSL1、SL2を含め、3つのスライスSL1、SL0、SL2に在るスピンの縦磁化成分Mzが、ショット時には、常にほぼ同一の縦磁化成分を有する定常状態に置かれる(図3,4参照)。
【0049】
このため、撮像対象Pが動かないときには図3に示す如く、目的とする撮像スライスSL0自体のスピンの縦磁化成分Mzを反映させたフルオロスコピー画像を得ることができる。
【0050】
これに対し、図4に示す如く、撮像対象Pがスキャン中にスライス方向に動いた場合(同図の矢印参照)、実際に信号収集する領域が相対的にずれてしまう。つまり、実際の撮像スライスは別の領域SL0′に急に変化してしまうことなる。
【0051】
しかし、この場合でも、撮像スライスSL0の外側の領域SL1も所定範囲にわたって撮像スライスSL0と同程度の縦磁化状態になっているので、移動した新しい撮像スライスSL0′がこの所定範囲に収まっている限り、従来のように、縦磁化成分Mzが初期値M0を維持しているスピンが撮像スライスSL0′に存在してしまうということはない(前述した図6,7参照)。つまり、この新しい撮像スライスSL0′に在るスピンは、最初に目的としている撮像スライスSL0と同程度に定常化された縦磁化成分のみを有している。
【0052】
このため、新しい撮像スライスSL0′から移動前のスライスと同程度の強度のエコー信号を収集することができるので、従来のように撮像対象Pが移動したことに伴うアーチファクトの出現やコントラストの急変を排除した、常に安定した画質のフルオロスコピー画像を提供することができる。
【0053】
このように連続撮像の途中で操作者の意思に沿って又は反して頻繁に起こり得る、撮像位置などの撮像条件に対し、画質安定性に優れたイメージング法を提供することができ、MRI装置の信頼性を格段に高めることができる。
【0054】
加えて、本実施形態においては、隣接スライスSL1、SL2を選択励起するパルス列を撮像用励起パルスの直前に加えるだけで済むので、既存の連続撮像法に用いるパルスシーケンスにも容易に適用できる。しかも、その繰返し時間TRを格別長くすること無く実施でき、時間分解能を低下させなくても済む。
【0055】
なお、上述した実施形態では、撮像スライスSL0の両隣にスライスSL1、SL2を設定するようにしているが、例えば、撮像対象Pのスライス方向における動き方向が予め分かっている場合には、撮像スライスSL0のスライス方向一方の側のみに隣接スライスを設定するようにしてもよい。
【0056】
また、上述した実施形態にあっては、オペレータが撮像スライスSL0の位置及び幅を指定すると、これに応じて隣接スライスSL1、SL2の位置及び幅が自動的に設定され、撮像スライスSL0の位置変更が指定されない限り、この状態は保持されるようになっていたが、隣接スライスの厚さを撮像対象Pの動きに応じて可変制御するようにしてもよい。
【0057】
例えば、ホスト計算機6又はシーケンサ5は、撮像対象の動き(スライス方向における動きの方向及び単位時間当たりの動き量)を周知の手法で検出又は演算し、この動き情報と繰返し時間TRを参酌して隣接スライスの励起厚さを演算し、隣接スライスに対するオフセット周波数Dfとスライス傾斜磁場パルスGsを可変制御するように構成する。これにより、例えば図4において矢印の方向に撮像対象Pが移動した場合、その移動量に応じて図中、左側の隣接スライスSL1の厚さが事前に調整される。これにより、かかる移動量が大きい場合でも、移動に因って相対的にずれた撮像スライスSL0′が、「スピン縦磁化成分=定常状態」の領域からはみ出してしまうという事態を未然に防止することができる。この結果、連続撮像において撮像位置などの撮像条件が急変したときの画質安定化機能に対する信頼性を一段と向上させることができる。
【0058】
さらに、本発明は上述した実施形態及びその変形形態の構成に限定されることなく、特許請求の範囲に記載の要旨を逸脱しない範囲で更に別の形態で実施可能なものである。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、イメージング用励起パルスと同等の励起能力を有する別の励起パルスで所望領域のスライス方向外側に位置する別領域を選択的に励起し、この後、その所望領域をイメージング用励起パルスで選択的に励起してMR信号を発生させるようにしたので、スキャン時には常に、上記別領域のスピンの縦磁化成分が撮像用の所望領域のそれと殆ど同じ状態に保持されることから、撮像対象が急に動いたり、撮像位置を変えるなど、撮像条件が急変した場合でも、アーチファクトが発生したり、コントラストが急変するなどの画質の不安定化要因を確実に排除でき、従って、信頼性の高い連続撮像を実施させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るMRI(磁気共鳴イメージング)装置の構成の一例を示す機能ブロック図。
【図2】連続撮像に使用する、FE法に拠るリアルタイムスキャンの一例を示すパルスシーケンス。
【図3】撮像対象が静止している場合の、撮像スライスとその両隣の隣接スライスの位置関係及びスピン縦磁化成分の様子を説明する図。
【図4】撮像対象が移動した場合の、撮像スライスとその両隣の隣接スライスの位置関係及びスピン縦磁化成分の様子を説明する図。
【図5】従来の連続撮像に使用する、FE法に拠るリアルタイムスキャンの一例を示すパルスシーケンス。
【図6】従来の連続撮像時における撮像対象が静止している場合の、撮像スライスの位置及びスピン縦磁化成分の様子を説明する図。
【図7】従来の連続撮像時における撮像対象が移動した場合の、撮像スライスの位置及びスピン縦磁化成分の様子を説明する図。
【符号の説明】
1 磁石
2 静磁場電源
3 傾斜磁場コイルユニット
4 傾斜磁場電源
5 シーケンサ
6 ホスト計算機
7 RFコイル
8T 送信器
8R 受信器
10 演算ユニット
11 記憶ユニット
12 表示器
13 入力器
Claims (5)
- イメージング対象の所望領域をイメージング用励起パルスで選択的に励起する第1の選択励起手段と、この第1の選択励起手段による前記所望領域の選択励起前に、前記イメージング用励起パルスと同等の励起能力を有する励起パルスで前記所望領域のスライス方向外側に位置する別領域を選択的に励起する第2の選択励起手段と、前記第1の選択励起手段により当該所望領域で発生したMR信号を収集する収集手段と、この収集手段により収集されたMR信号に基いて画像を再構成する再構成手段と、を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記第1の選択励起手段は連続撮像法の条件を満たすように構成された手段である磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記条件は、前記イメージング用励起パルスのフリップ角及びこのイメージング用励起パルスを印加する繰返し時間を含む磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項3記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記第1の選択励起手段は、前記イメージング用励起パルスとして、FE法に拠るパルスシーケンスに組み込まれた励起パルスを印加する手段を有する磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項1〜4の何れか一項記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記第2の選択励起手段は、前記別領域として、前記所望領域に隣接するスライス方向両側の2つの領域を選択的に励起する手段である磁気共鳴イメージング装置。
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