JP4589526B2 - Mr流速測定システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体内の磁化スピンの磁気共鳴現象に基づいて、造影剤を用いることなく、当該被検体を低速度で流れる血液やリンパ液などの流速を測定するMR流速測定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気共鳴イメージングは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをそのラーモア周波数の高周波信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生するMR信号から画像を再構成する撮像法である。
【0003】
この磁気共鳴イメージングの分野において、肺野や腹部の血流像を得る場合、臨床的には、被検体に造影剤を投与して血管造影を行うMRアンギオグラフィが行われ始めている。しかし、この造影MRアンギオグラフィ法は、造影剤の投与が伴うことから、侵襲的な処置が必要で、何よりもまず、患者の精神的且つ体力的な負担が大きい。また、検査コストも高い。さらに、患者の体質などによっては造影剤を投与できない場合もある。
【0004】
一方、造影MRアンギオグラフィ法に代わる手法として、タイム・オブ・フライト(time−of−flight:TOF)法、位相コントラスト(phase contrast:PC)法などが知られている。
【0005】
この内、タイム・オブ・フライト法及び位相コントラスト法は、血流などの流れの効果を利用する手法である。流れの効果は、移動するスピンが有する2つの性質のいずれかによって起こる。1つは、スピンが単純に位置を移動させることで、2つ目は、傾斜磁場の中をスピンが移動することによって生じる横磁化の位相シフトに依る。この内、前者の位置移動に基づく手法がTOF法であり、後者の位相シフトに基づく手法が位相コントラスト法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したTOF法や位相コントラスト法は、何れも血液などの流体の流れの効果を利用する手法であることから、MRI装置の性能にも依存するが、一般的には、速度が2〜3c[m/s]以上の血流のみを描出可能であって、これよりも低い速度の流れは殆ど検出できなかった。例えば、患者(人)の抹消静脈、リンパ管、CSF(脊髄液)、膵管などの流れは遅く、1[cm/s]以下の速度が殆どである。しかも、拍動などに因る位置ずれの影響もあるので、これら低速度の流体の流れは従来、検出不可能であった。従って、そのような低速度で移動する流体の速度を定量的に求めることは到底できなかった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の現状を打破するためになされたもので、造影剤を投与することなく、下肢の血液やリンパ液などの低流速で移動する流体の流速を定量的に測定又は評価することができるMR流速測定システムを提供することを、その目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の一実施形態に係るMR流速測定システムによれば、エコー信号を読み出すためのパルス本体及び当該パルス本体と同一の極性で時間的に連続して付加され且つ流体の磁化スピンの位相挙動を制御する制御パルスから成る読出し傾斜磁場パルスを含むパルスシーケンスに拠るスキャンを、静磁場中に置かれた被検体に対して、当該被検体内の流体の動き方向に前記読出し傾斜磁場の印加方向を実質的に合わせた状態で実行するスキャン手段と、前記スキャンに因り生じる前記被検体からのエコー信号を収集する信号収集手段と、前記エコー信号と前記制御パルスの情報とを用いて前記流体の流速を測定する流速測定手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
好適な一例によれば、前記制御パルスの強度は変更可能に設定される。また、この制御パルスは、例えば、前記磁化スピンのディフェージングを促進させるディフェーズパルスである。
【0010】
また、好適には、前記スキャン手段は、前記制御パルスの強度を変化させたパルスシーケンスに拠る前記スキャンを複数回、実行する手段であってもよい。
【0011】
さらに、前記スキャン手段は、流速を制御可能なフローファントムを前記被検体と一緒にスキャンする手段であり、前記流速測定手段は、前記エコー信号、前記制御パルスの情報、及び前記フローファントムの既知の流速情報を用いて前記流体の流速を測定する手段であってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態を、図1〜5を参照して説明する。
【0014】
この実施形態にかかるMR流体測定システムとして構成されたMRI(磁気共鳴イメージング)装置の概略構成を図1に示す。
【0015】
(1.1)装置の構成
このMRI装置は、被検体Pを載せる寝台部と、静磁場を発生させる静磁場発生部と、静磁場に位置情報を付加するための傾斜磁場発生部と、高周波信号を送受信する送受信部と、システム全体のコントロール及び画像再構成を担う制御・演算部と、被検体Pの心時相を表す信号としてのECG信号を計測する心電計測部とを備えている。
【0016】
静磁場発生部は、例えば超電導方式の磁石1と、この磁石1に電流を供給する静磁場電源2とを備え、被検体Pが遊挿される円筒状の開口部(診断用空間)の軸方向(Z軸方向)に静磁場Hを発生させる。なお、この磁石部にはシムコイル14が設けられている。このシムコイル14には、後述するホスト計算機の制御下で、シムコイル電源15から静磁場均一化のための電流が供給される。寝台部は、被検体Pを載せた天板を磁石1の開口部に退避可能に挿入できる。
【0017】
傾斜磁場発生部は、磁石1に組み込まれた傾斜磁場コイルユニット3を備える。この傾斜磁場コイルユニット3は、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の傾斜磁場を発生させるための3組(種類)のx,y,zコイル3x〜3zを備える。傾斜磁場部はまた、x,y,zコイル3x〜3zに電流を供給する傾斜磁場電源4を備える。この傾斜磁場電源4は、後述するシーケンサ5の制御のもとで、x,y,zコイル3x〜3zに傾斜磁場を発生させるためのパルス電流を供給する。
【0018】
傾斜磁場電源4からx,y,zコイル3x〜3zに供給されるパルス電流を制御することにより、物理軸である3軸(X軸,Y軸,Z軸)方向の傾斜磁場を合成して、互いに直交するスライス方向傾斜磁場G、位相エンコード方向傾斜磁場G、および読出し方向(周波数エンコード方向)傾斜磁場Gから成る論理軸方向を任意に設定・変更することができる。スライス方向、位相エンコード方向、および読出し方向の各傾斜磁場は静磁場Hに重畳される。
【0019】
送受信部は、磁石1内の撮影空間にて被検体Pの近傍に配設されるRFコイル7と、このコイル7に接続された送信器8T及び受信器8Rとを備える。この送信器8T及び受信器8Rは後述するシーケンサ5の制御のもとで動作する。送信器8Tは、核磁気共鳴(NMR)を励起させるためのラーモア周波数のRF電流パルスをRFコイル7に供給する。受信器8Rは、RFコイル7が受信したエコー信号などのMR信号(高周波信号)を取り込み、これに前置増幅、中間周波変換、位相検波、低周波増幅、フィルタリングなどの各種の信号処理を施した後、A/D変換してMR信号のデジタルデータ(原データ)を生成する。
【0020】
さらに、制御・演算部は、シーケンサ(シーケンスコントローラとも呼ばれる)5、ホスト計算機6、演算ユニット10、記憶ユニット11、表示器12、入力器13、及び音声発生器16を備える。この内、ホスト計算機6は、記憶したソフトウエア手順(図示せず)により、シーケンサ5にパルスシーケンス情報を指令するとともに、装置全体の動作を統括する機能を有する。
【0021】
シーケンサ5は、CPUおよびメモリを備えており、ホスト計算機6から送られてきたパルスシーケンス情報を記憶し、この情報にしたがって傾斜磁場電源4、送信器8T、受信器8Rの動作を制御するとともに、受信器8Rが出力したMR信号のデジタルデータを一旦入力し、これを演算ユニット10に転送するように構成されている。ここで、パルスシーケンス情報とは、一連のパルスシーケンスにしたがって傾斜磁場電源4、送信器8Tおよび受信器8Rを動作させるために必要な全ての情報であり、例えばx,y,zコイル3x〜3zに印加するパルス電流の強度、印加時間、印加タイミングなどに関する情報を含む。
【0022】
このパルスシーケンスとしては、フーリエ変換法を適用したものであれば、2次元(2D)スキャン又は3次元スキャン(3D)のものであってもよい。また、そのパルス列の形態としては、SE法、高速SE法、EPI(Echo Planar Imaging;エコープラナーイメージング)法、FASE(Fast Asymmetric SE)法(すなわち、高速SE法にハーフフーリエ法を組み合わせたイメージング法)など、SE系のパルス列が好適である。
【0023】
また、演算ユニット10は、受信器8Rが出力したデジタルデータ(原データ又は生データとも呼ばれる)を、シーケンサ5を通して入力し、その内部メモリによるk空間(フーリエ空間または周波数空間とも呼ばれる)にそのデジタルデータを配置し、このデータを1組毎に2次元又は3次元のフーリエ変換に付して実空間の画像データに再構成する。また演算ユニットは、必要に応じて、画像に関するデータの合成処理や差分演算処理(重付け差分処理も含む)も実行可能になっている。この合成処理には、画素毎に加算する処理、最大値投影(MIP)処理などが含まれる。また、上記合成処理の別の例として、フーリエ空間上で複数フレームの軸の整合をとって原データのまま1フレームの原データに合成するようにしてもよい。なお、加算処理には、単純加算処理、加算平均処理、重み付け加算処理などが含まれる。
【0024】
記憶ユニット11は、再構成された画像データのみならず、上述の合成処理や差分処理が施された画像データを保管することができる。表示器12は画像を表示する。また入力器13を介して、術者が希望する同期タイミング選択用のパラメータ情報、スキャン条件、パルスシーケンス、画像合成や差分の演算に関する情報をホスト計算機6に入力できる。
【0025】
音声発生器16は、ホスト計算機6から指令があったときに、息止め開始および息止め終了のメッセージを音声として発することができる。
【0026】
さらに、心電計測部は、被検体の体表に付着させてECG信号を電気信号として検出するECGセンサ17と、このセンサ信号にデジタル化処理を含む各種の処理を施してホスト計算機6およびシーケンサ5に出力するECGユニット18とを備える。この心電計測部による計測信号は、ECG−prepスキャンと心電同期のイメージングスキャンとのそれぞれを実行するときにシーケンサ5に必要に応じて用いることができる。これにより、心電同期法の同期タイミングを適切に設定でき、この同期タイミングに基づく心電同期のイメージングスキャンを行ってデータ収集できるようになっている。
【0027】
さらに、本実施形態のMRI装置には、被検体の近傍にフローファントムを配置できるようになっている。具体的には、フローファントムとしての生理食塩水を通す管19が、被検体の撮像領域の近傍であって撮像視野に入る空間位置に配置される。この管19には、生理食塩水を流通させるとともにその流速を調整可能なフロー供給装置20が接続されている。
【0028】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
【0029】
ホスト計算機6及びシーケンサ5は、協働して、図2に示す手順でスキャン及び測定を行い、被検体P内の低速度の血流やリンパ液の流れの流速を測定(演算)する。いま、測定対象を肺野のリンパ管であるとする。
【0030】
つまり、フローファントムである管19を、リンパ管を含む部位の近傍であって撮像視野内の空間位置に配置し、管19内を流れる生理食塩水の流速を所望値に調整する。このとき、管19は、その軸方向を、リンパ管の走行方向、つまり体軸方向にほぼ一致させて配置する。
【0031】
この状態で第1回及び第2回のスキャンが順に行なわれ、夫々のスキャンにおいて肺野の例えば2次元コロナル像のエコーデータが収集される(ステップS1,S2)。各回のスキャンでは、後述するように、読出し傾斜磁場Gに付加するディフェーズパルスPdephaseの強度が適宜に変更される。
【0032】
なお、この強度変更の態様には、強度=零も含まれる。また、本実施形態では、2回のスキャンを行うように設定しているが、これはディフェーズパルスPdephaseの強度を変更しながら、3回以上のスキャンを行って、その各回でコロナル像のエコーデータを収集するようにしてもよい。
【0033】
このエコーデータの収集が終わると、そのエコーデータに基づいて測定対象である血流やリンパ液の流れの流速が定量的に測定され、その測定結果が出力される(ステップS3)。
【0034】
第1回目のスキャンでは、図3(a)に示す2次元FSE(高速SE)法に従うパルスシーケンスが実行され、被検体の肺野の所望位置におけるコロナル像のエコーデータが収集される。このパルスシーケンスでは、励起用90°RFパルス、リフォーカス用180°RFパルス、スライス傾斜磁場パルスG、読出し傾斜磁場パルスG、及び位相エンコード傾斜磁場パルスGが使用される。
【0035】
これらのパルス及びパルス列は従来周知のもとの同等であるが、読出し傾斜磁場パルスGは肺野のリンパ管のおよその方向である体軸方向に印加される。読出し傾斜磁場パルスGはエコー信号に周波数エンコードのみを施すパルスになっている。
【0036】
なお、この第1回目のスキャンの場合、この読出し傾斜磁場パルスGを体軸に直交する横方向に印加するようにしてもよい。
【0037】
これにより、90°RFパルス及びスライス傾斜磁場Gにより所望のコロナル面が選択励起される。このコロナル面の磁化スピンのエコー信号は、その後の複数の180°RFパルスにより順次リフォーカスされ、励起からエコー時間TE後には、読出し傾斜磁場Gによる周波数エンコード(位相分散)と共に読み出される。各回のエコー読出し毎に、位相エンコード傾斜磁場Gによる位相エンコードが付与される。
【0038】
収集されたエコー信号は受信器8Rでエコーデータに生成された後、演算ユニット10内に形成される2次元k空間上に配置される。このエコーデータにはフローファントムのエコーデータも含まれている。
【0039】
また、第2回目のスキャンでは、図3(b)に示す2次元FSE(高速SE)法に従うパルスシーケンスが実行され、第1回目のスキャンと同位置における肺野コロナル像のエコーデータが収集される。
【0040】
ここで用いるパルスシーケンスは、上述した第1回目のスキャンのものに比べて、読出し傾斜磁場パルスGのみが異なっている。具体的には、この読出し傾斜磁場パルスGは図4に示す如く、エコー信号を収集する周波数エンコード用のパルス本体Pbodyと、このパルス本体Pbodyの時間的前後に連続的に付加された制御パルスとしての2つのディフェーズパルスPdephaseとから成る。このディフェーズパルスPdephaseは、周波数エンコード用のパルス本体Pbodyと同極性になっており、これにより、移動している磁化スピンに対してそのディフェージング効果を促進する機能を有する。
【0041】
なお、第2回目のスキャン時に比較すると、前述した第1回目のスキャンにおける読出し傾斜磁場パルスGはパルス本体Pbodyのみから構成されており、ディフェーズパルスPdephaseの強度を零に設定したものと見なすことができる。
【0042】
ディフェーズパルスPdephaseは、殆ど移動していない磁化スピンには殆どディフェージング機能を発揮しない。このため、読出し傾斜磁場パルスGは、測定目的の流体(血液やリンパ液)の流れの方向にほぼ一致して印加されることが重要である。
【0043】
このディフェーズパルスPdephaseの強度は、測定対象であるリンパ液や血液の速度に応じて適宜することが望ましい。図4(a)〜(c)には、この順に、ディフェーズパルスPdephaseの強度を下げる例を例示している。一般に、測定対象の流速が小さくなるに従って、ディフェーズパルスPdephaseの強度を上げて、ディフェージング機能を促進するように制御される。
【0044】
このため、第2回目のスキャンによるエコー信号収集において、読出し傾斜磁場Gの方向にほぼ沿って流れているリンパ液からのエコー信号は、ディフェーズパルスPdephaseが余分に印加されている分、ディフェージング効果が進み、その信号値は低下する。つまり、リンパ液が流れているとすると、ディフェーズパルスPdephaseによってディフェージング効果が促進され、ディフェーズパルスPdephaseを付加していない又はその強度が小さい場合に比べて、フローボイド(flow void)が大きくなって、信号値はそれだけ低下する。
【0045】
このように2回のスキャンにより収集されたエコーデータは、演算ユニット10により2次元フーリエ変換を介して実空間のコロナル像に再構成される。
【0046】
この再構成されたコロナル像を図5(a),(b)に模式的に示す。なお、これらの図は実際の画像とは白黒が反転して表現されており、黒くなっている部分は実際の画像では明るい輝度(白く光る)になる。
【0047】
同図(a)は第1回目のスキャン(ディフェーズパルスPdephaseの強度=零)による画像であり、同図(b)は第2回目のスキャン(ディフェーズパルスPdephaseの強度=零以外の所定値)による画像である。両者を比較すると、リンパ管LY及びフローファントムFLの信号値は共に、同図(b)の場合の方が低下している。図5は模式的に表したものであるが、本発明者はこの信号値の低下を比較実験により確認している。
【0048】
このため、ホスト計算機6又は演算ユニット10により、上述のように生成した2枚のコロナル像の画像データからリンパ管LY及びフローファントムFLの画素部分の信号値が求められる。次いで、それらの信号値の低下情報とディフェーズパルスPdephaseの強度の変更情報とに基づいてリンパ管LYに流れるリンパ液の流速が演算される。これにより、リンパ液の流速が定量的に測定され、表示器12に出力される。
【0049】
なお、この測定については、例えば、フローファントムの流速値を変更しながら、種々の流速値と信号値との関係を事前に求めておき、測定対象の信号値をこの関係に参照することで、測定対象の流速を定量的に演算するようにしてもよい。
【0050】
従って、このMRI装置によれば、上述したように、読出し傾斜磁場パルスの印加方向が測定対象の移動方向にほぼ一致した状態で、リフェーズパルスが印加されることから、僅かな速度であっても、かかる印加方向に流れている対象の磁化スピンのディフェージング効果が強制的に促進されて、信号値が余分に下がる。この信号値の低下(変化)を用い測定対象の流速が測定される。これにより、従来のMR診断では測定ができなかった流れの遅い(例えば1[cm/s]以下)抹消血管、リンパ管、CSF(脊髄液)、膵管であっても、大きなディフェージング効果を得て、その流速を定量的に測定できる。この流れは、一定速度のフローか一過性のフローであってもよい。
【0051】
また、この流速測定によって体内の器官の機能も評価できる。例えば、リンパ液は食事をするなどの負荷を与えたときに流れるので、この流速を測定することにより、体内の関係する器官の機能状態を推定することができる。他の流体についても、例えば運動負荷の前後に流速測定することで同様の評価が可能になる。
【0052】
なお、上述した第1回目のスキャンでは、ディフェーズパルスの強度を零に設定したが、この強度は、第2回目のスキャンとは異なる値であれば所望値に設定してもよい。また、3回以上のスキャンをディフェーズパルスの強度を変更しながら行い、上述と同様にして流速を測定するようにしてもよい。
【0053】
また、上述した流速測定には、ECG信号やPPG信号に拠る心電同期法や被検体の息止め法を併用するようにしてもよい。
【0054】
さらに、前述した実施形態は2次元スキャンで行う場合を説明したが、これは3次元スキャンの撮像であっても同様に適用できる。採用するパルスシーケンスも、FSE法に限らず、FASE法、反転回復(IR)パルスを用いたFSE法やFASE法、SE法、EPI法のシーケンスを採用してもよい。
【0055】
さらに、測定対象となる流体の流れ速度に応じて前述したディフェーズパルスの強度を制御する手段を設けることもできる。この手段は、例えば入力器13、ホスト計算機6、及び/又は記憶ユニット11から成る。オペレータが測定対象を特定する情報を入力器13から入力すると、ホスト計算機6が記憶ユニット11に予め記憶させていたテーブル(流体毎のパルス強度を格納)を参照し、この参照結果に応じてディフェーズパルスやリフェーズパルスの強度をシーケンサ5に出力すればよい。また、オペレータが入力器13を介して直接にパルス強度を与えることもできる。
【0056】
実施形態の説明は以上の通りであるが、本発明は実施形態記載の構成に限定されるものではなく、当業者においては、特許請求の範囲に記載の要旨を逸脱しない範囲で適宜に変更、変形可能なものであり、それらの構成も本発明に含まれる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るMR流速測定システムによれば、造影剤を投与することなく、従来殆ど困難であった、下肢の血液やリンパ液などの低流速で移動する流体の流速を定量的に測定又は評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るMR流速測定システムとしてのMRI装置の構成例を示す機能ブロック図。
【図2】流速測定のためのスキャン及び流速演算の手順を示す概略フローチャート。
【図3】流速測定のスキャンに用いるパルスシーケンスのタイミングチャート。
【図4】読出し傾斜磁場パルスに付加するディフェーズパルスの説明図。
【図5】ディフェージング効果の促進に因る信号値低下を模式的に示すコロナル像の図。
【符号の説明】
1 磁石
2 静磁場電源
3 傾斜磁場コイルユニット
4 傾斜磁場電源
5 シーケンサ
6 ホスト計算機
7 RFコイル
8T 送信器
8R 受信器
10 演算ユニット
11 記憶ユニット
12 表示器
13 入力器
17 ECGセンサ
18 ECGユニット

Claims (6)

  1. エコー信号を読み出すためのパルス本体及び当該パルス本体と同一の極性で時間的に連続して付加され且つ流体の磁化スピンの位相挙動を制御する制御パルスから成る読出し傾斜磁場パルスを含むパルスシーケンスに拠るスキャンを、静磁場中に置かれた被検体に対して、当該被検体内の流体の動き方向に前記読出し傾斜磁場の印加方向を実質的に合わせた状態で実行するスキャン手段と
    前記スキャンに因り生じる前記被検体からのエコー信号を収集する信号収集手段と
    前記エコー信号と前記制御パルスの情報とを用いて前記流体の流速を測定する流速測定手段
    を備えたことを特徴とするMR流速測定システム。
  2. 請求項1に記載のMR流速測定システムにおいて、
    前記制御パルスの強度は変更可能であるMR流速測定システム。
  3. 請求項2に記載のMR流速測定システムにおいて、
    前記制御パルスは、前記磁化スピンのディフェージングを促進させるディフェーズパルスであるMR流速測定システム。
  4. 請求項2に記載のMR流速測定システムにおいて、
    前記スキャン手段は、前記制御パルスの強度を変化させたパルスシーケンスに拠る前記スキャンを複数回、実行する手段であるMR流速測定システム。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載のMR流速測定システムにおいて、
    前記スキャン手段は、流速を制御可能なフローファントムを前記被検体と一緒にスキャンする手段であり、
    前記流速測定手段は、前記エコー信号、前記制御パルスの情報、及び前記フローファントムの既知の流速情報を用いて前記流体の流速を測定する手段であるMR流速測定システム。
  6. 請求項1〜4の何れか一項に記載のMR流速測定システムにおいて、
    前記流速測定手段は、前記エコー信号を再構成して得られた画像の信号値及び前記制御パルスの強度の変更情報を用いて前記流体の流速を測定する手段であるMR流速測定システム。
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