以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づき説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るMRI(磁気共鳴イメージング)装置を、図1〜3を参照して説明する。
このMRI装置は、特徴的には、造影剤を使用することなく、被検体内の動く対象物としての例えば血流の動態を表す擬似的なダイナミック画像を例えばシネモード画像として提示する非造影MRアンギオグラフィ(MRA)を実行する機能を有する。この非造影MRAを行なうパルスシーケンスには、選択励起の高調波反転回復(IR)パルスを用いる。
このMRI装置の概略構成を図1に示す。この装置構成は、後述する各実施形態で共通に使用可能なものである。
このMRI装置は、被検体としての患者Pを載せる寝台部と、静磁場を発生させる静磁場発生部と、静磁場に位置情報を付加するための傾斜磁場発生部と、高周波信号を送受信する送受信部と、システム全体のコントロール及び画像再構成を担う制御・演算部と、被検体Pの心時相を表す信号としてのECG信号を計測する心電計測部と、患者Pに息止めを指令するための息止め指令部とを備えている。
静磁場発生部は、例えば超電導方式の磁石1と、この磁石1に電流を供給する静磁場電源2とを備え、被検体Pが遊挿される円筒状の開口部(診断用空間)の軸方向(Z軸方向)に静磁場H0 を発生させる。なお、この磁石部にはシムコイル14が設けられている。このシムコイル14には、後述するホスト計算機の制御下で、シムコイル電源15から静磁場均一化のための電流が供給される。寝台部は、被検体Pを載せた天板を磁石1の開口部に退避可能に挿入できる。
傾斜磁場発生部は、磁石1に組み込まれた傾斜磁場コイルユニット3を備える。この傾斜磁場コイルユニット3は、互いに直交するX、Y及びZ軸方向の傾斜磁場を発生させるための3組(種類)のx,y,zコイル3x〜3zを備える。傾斜磁場部はまた、x,y,zコイル3x〜3zに電流を供給する傾斜磁場電源4を備える。この傾斜磁場電源4は、後述するシーケンサ5の制御のもと、x,y,zコイル3x〜3zに傾斜磁場を発生させるためのパルス電流を供給する。
傾斜磁場電源4からx,y,zコイル3x〜3zに供給されるパルス電流を制御することにより、物理軸である3軸X,Y,Z方向の傾斜磁場を合成して、互いに直交するスライス方向傾斜磁場Gs、位相エンコード方向傾斜磁場Ge、および読出し方向(周波数エンコード方向)傾斜磁場Grの各論理軸方向を任意に設定・変更できる。スライス方向、位相エンコード方向、および読出し方向の各傾斜磁場は、静磁場H0に重畳される。
送受信部は、磁石1内の撮影空間にて被検体Pの近傍に配設されるRFコイル7と、このコイル7に接続された送信器8T及び受信器8Rとを備える。この送信器8T及び受信器8Rは、後述するシーケンサ5の制御のもとで動作する。送信器8Tは、核磁気共鳴(NMR)を起こさせるためのラーモア周波数のRF電流パルスをRFコイル7に供給する。受信器8Rは、RFコイル7が受信したエコー信号(高周波信号)を取り込み、これに前置増幅、中間周波変換、位相検波、低周波増幅、フィルタリングなどの各種の信号処理を施した後、A/D変換してエコー信号に応じたデジタル量のエコーデータ(原データ)を生成する。
さらに、制御・演算部は、シーケンサ(シーケンスコントローラとも呼ばれる)5、ホスト計算機6、演算ユニット10、記憶ユニット11、表示器12、入力器13、および音声発生器16を備える。この内、ホスト計算機6は、記憶したソフトウエア手順により、シーケンサ5にパルスシーケンス情報を指令するとともに、装置全体の動作を統括する機能を有する。
ホスト計算機6は、位置決め用スキャンなどの準備作業に引き続いて、図2に示すパルスシーケンスに基づいてイメージングスキャンを実施する。このイメージングスキャンは、画像再構成に必要なエコーデータの組を収集するスキャンであり、ここでは2次元スキャンに設定されている。イメージングスキャンは、ECG信号に依るECGゲート法を併用して行われる。なお、このECGゲート法は場合によっては併用しなくてもよい。
このパルスシーケンスとしては、3次元(3D)スキャンまたは2次元(2D)スキャン)である。そのパルス列の形態としては、SE(スピンエコー)法、FSE(高速SE)法、FASE(高速 Asymmetric SE)法(すなわち、高速SE法にハーフフーリエ法を組み合わせたイメージング法)、EPI(エコープラナーイメージング)法、などが用いられる。
シーケンサ5は、CPUおよびメモリを備えており、ホスト計算機6から送られてきたパルスシーケンス情報を記憶し、この情報にしたがって傾斜磁場電源4、送信器8T、受信器8Rの動作を制御するとともに、受信器8Rが出力したエコーデータを一旦入力し、これを演算ユニット10に転送するように構成されている。ここで、パルスシーケンス情報とは、一連のパルスシーケンスにしたがって傾斜磁場電源4、送信器8Tおよび受信器8Rを動作させるために必要な全ての情報であり、例えばx,y,zコイル3x〜3zに印加するパルス電流の強度、印加時間、印加タイミングなどに関する情報を含む。
また、演算ユニット10は、受信器8Rが出力したエコーデータ(原データ又は生データ)をシーケンサ5を通して入力し、その内部メモリ上のフーリエ空間(k空間または周波数空間とも呼ばれる)にエコーデータを配置し、このエコーデータを各組毎に2次元又は3次元のフーリエ変換に付して実空間の画像データに再構成する。また演算ユニットは、必要に応じて、画像に関するデータの合成処理、差分演算処理などを行うことができる。
この合成処理には、2次元の複数フレームの画像データを対応する画素毎に加算する加算処理、3次元データに対して視線方向の最大値又は最小値を選択する最大値投影(MIP)又は最小値(MIP)投影処理などが含まれる。また、合成処理の別の例として、フーリエ空間上で複数フレームの軸の整合をとってエコーデータのまま1フレームのエコーデータに合成するようにしてもよい。なお、加算処理には、単純加算処理、加算平均処理、重み付け加算処理などが含まれる。
記憶ユニット11は、再構成された画像データのみならず、上述の合成処理や差分処理が施された画像データを保管することができる。表示器12は画像を表示する。また入力器13を介して、術者が希望する撮影条件、パルスシーケンス、画像合成や差分演算に関する情報をホスト計算機6に入力できる。
また、息止め指令部の一要素として音声発生器16を備える。この音声発生器16は、ホスト計算機6から指令があったときに、息止め開始及び息止め終了のメッセージを音声として発することができる。
さらに、心電計測部は、被検体の体表に付着させてECG信号を電気信号として検出するECGセンサ17と、このセンサ信号にデジタル化処理を含む各種の処理を施してホスト計算機6およびシーケンサ5に出力するECGユニット18とを備える。この心電計測部による計測信号は、イメージングスキャンを実行するときにシーケンサ5により用いられる。これにより、ECGゲート法(心電同期法)による同期タイミングを適切に設定でき、この同期タイミングに基づくECGゲート法のイメージングスキャンを行ってデータ収集できるようになっている。
次に、図2〜3を参照して、本実施形態に係るMRI装置の動作を説明する。
図2には、本実施形態に係る非造影MRアンギオグラフィで用いるパルスシーケンスを、図3には、スキャンから表示画像生成までの処理過程を説明する図を示す。なお、理解を容易にするため、この実施形態で行なう非造影MRアンギオグラフィは、3回の2次元スキャンを行なって、連続する3枚の最終的な画像を得て、これらをシネ表示する。また、実際の画像では信号値が低い画素ほど暗く表示されるが、図2(b)〜(d)では、高信号に描出される部分ほど濃いハッチングで表し、低信号の描出領域は薄いハウジングで表す。
最初にパルスシーケンスを説明する。図2(a)〜(c)に示すパルスシーケンスは、非常に短い時間(2〜10ms)の間に2つのインバージョンパルスを印加する前述した図15の手法に基づくパルス列である。具体的には、ECG信号のR波に同期して(R波に対する遅延時間は任意)1回目のインバージョンパルスPinv−Aが撮像したい領域CS(図3(a)参照)を含むように非選択的に印加される。
この後、血流速度から見た場合、同時であると見なすことができる、極めて短い時間が経過した後で、2回目のインバージョンパルスPinv−Bが選択励起傾斜磁場Geと共に印加される。この後、予め定めた一定のTI時間(例えば600ms)が経過すると、例えばFSE法に拠るパルスシーケンスに基づくイメージングスキャンが撮像領域CSに対して実行される。
なお、図2(a)〜(c)の各パルスシーケンスは、2回目のインバージョンパルスPinv−Bに拠る選択励起位置、すなわち撮像領域CSに対するタグ領域RGA(スピン反転領域)の空間的位置を変えるように構成されている点が相互に異なる。具体的には、インバージョンパルスPinv−Bの搬送周波数のオフセット量Dfが互いに変更されている。
そこで、2回目のインバージョンパルスPinv−Bによって選択的に励起されるタグ領域RGA(:RGA1〜RGA3)は、選択励起傾斜磁場Geと周波数オフセット量Dfの調整によって、最初には、図3(a)左欄の点線で如く、撮像対象である患者(被検体)における、撮像する領域CS(例えば断面)に流入する血液BDの上流部分に設定される。
撮像時には、ホスト計算機6は、かかるタグ領域RGAの設定位置の情報を含むパルシーケンス情報をシーケンサ5に送る。これに応答し、シーケンサ5は、与えられたパルスシーケンス情報にしたがって、傾斜磁場電源4及び送信器8Tを駆動する。これにより、図2(a)のパルスシーケンスのパルス列を構成するパルスが時系列に印加される。
これにより、前述の図15で説明した如く、最初のインバージョンパルスPinv−Aにより撮像領域CS全体のスピンが180度、反転される。しかし、その後直ぐに印加される2回目のインバージョンパルスPinv−Bにより、選択されたタグ領域RGAのスピンのみが再び180度反転(タグ付け)されて、ほぼ初期状態に戻される(図15(b)参照)。このスピンのフリップ角の戻り、すなわちタグ付けに拠り、前述の図15(c)に模式的に示す如く、両方のインバージョンパルスPinv−A及びPinv−Bで励起された部分の血液のエコー信号が一番、高強度に発生する。
この血液からのエコー信号を含む全体のエコー信号は、RFコイル7を介して受信器8Rで受信され、エコーデータとしてシーケンサ5を介して演算ユニット10に送られる。
演算ユニット10は、このエコーデータを適宜な処理に付して2次元k空間に配置する。このk空間全部がエコーデータで埋まると、演算ユニット10は、そのエコーデータを2次元フーリエ変換し、図3(b)左欄に示す如くの2次元の再構成画像IMrec1を得る。
この再構成画像IMrec1から分かるように、2回目のインバージョンパルスPinv−Bを印加するときにタグ領域RGA内にあった血液BDは、その磁化スピンが殆ど初期状態に戻されていることから、撮像領域CS上において、2回目のインバージョンパルスPinv−Bを印加した後、イメージング用のパルスシーケンスPseqを印加するまでの間にタグ領域から流れ出た分だけ部分的に高信号に描出される。また、タグ領域RGAのうち、背景となる動きの無い組織の部分は、2回目のインバージョンパルスPinv−Bを受けて殆ど初期状態のスピンになっているので、最初のインバージョンパルスPinv−Aが印加されただけの動きの無い部分とは異なるコントラストで描出される。
この再構成が終わると、演算ユニット10により、再構成画像IMrec1の内、コントラストが異なる部分についてマスキング処理が実行される。同図中、クロスハッチング部分MG1はマスキング領域を示す。マスキング処理は、画像上のある範囲の画像値をある一定の画素値に書き換える処理である。マスキング処理により、図3(c)左欄のように表される中間画像IMint1が得られる。
上述した第1回目のスキャンと同様にして第2回目及び第3回目のスキャンも行なわれる。そして、それらのスキャンにより得たエコー信号も同様に処理されて、図3(c)の真中欄及び右欄に示す如く、マスキング処理を行った中間画像IMint2及びIMint3が得られる。
ただし、第2回目及び第3回目のスキャンの場合には、2回目に選択的に印加するインバージョンパルスPinv−Bの印加位置は図3(a)〜(c)の真中欄及び右欄に示す如く、血液の流れ方向に沿って少しずつ移動させるように、選択励起傾斜磁場Ge及びインバージョンパルスPinv−Bの搬送周波数(高周波)のオフセット量が変更されて、前述したパルスシーケンスが実行される。
なお、演算ユニット10において実行される画像再構成及びマスキング処理による中間画像の生成の処理のタイミングは任意でよい。
このようにして中間画像IMint1,IMint2,IMint3が得られると、演算ユニット10は、この画像を適宜に組み合わせて最大値投影処理を実行し、複数枚の最終画像IMfin1,IMfin2,IMfin3が生成される。この最大値投影処理の際、最初の中間画像IMint1については、そのままマスキング領域を外して1番目の最終画像IMfin1として再記憶し、1番目及び2番目の中間画像IMint1,IMint2については、それら画像間の対応する2つの画素を相互に比較して大きい方を採ることで2番目の最終画像IMfin2が生成され、さらに、1番目、2番目、及び3番目の中間画像IMint1,IMint2,IMint3については、それらの対応する3画素を互いに比較して最大値を採ることで3番目の最終画像IMfin3が生成される。
この3枚の最終画像IMfin1,IMfin2,IMfin3は、表示器12によって、シネモードの元に連続的に動画表示される。これにより、関心領域に流入する血液の流入状況(動態)をダイナミックに観察し、把握することができる。
とくに、血液の動態が時間的により短い場合でも同様のダイナミック観察を行うことができる。この場合、全体のスキャン時間は長くなるが、インバージョンパルスPinv−Bを印加するタグ領域RGAの空間的位置の移動量を小さくして、より多くの画像を収集すればよい。さらに、各画像の空間分解能を更に向上させたい場合、インバージョンパルスPinv−Bを印加するタグ領域RGAの空間的位置を変えずに、繰り返してスキャンすればよい。これにより、マトリクス数の多い、すなわち空間分解能が高い画像を得ることができる。さらに、S/Nの高い画像を得たい場合も同様に、インバージョンパルスPinv−Bを印加する空間的位置を変えずにスキャンを繰り返し、加算回数の多いスキャンを行なえばよい。
つまり、前述した従来のCE−DMRAの場合(図12参照)、造影剤に因って関心領域にて信号変化が起こる時間は一定であるため、スキャンの繰返し数などの撮像条件を変更すると、時間分解能が低下するという問題があったが、本実施形態によれば、インバージョンパルスによる反転励起を繰返し実行可能であるため、従来のような制約は無い。したがって、許される時間内で、空間分解能、時間分解能を自由に変更でき、かつ、その両方を共に向上させることができる。
この実施形態は、以下のように種々の変形が可能である。
例えば、上述のダイナミック表示法の他の例として、表示器12に3枚の最終画像IMfin1,IMfin2,IMfin3を単純に同時表示させ、読影者が目視によりそれらの画像を相互に比較するようにしてもよい。これにより、目視による血行動態の観察が可能になる。
また、本実施形態は血液を画像化するMRAについて説明したが、撮像対象としてその他の動きのある対象物、例えばCSFなどについても同様に画像化できる。このCSFの場合、インバージョンパルスの印加からイメージングスキャンまでの時間幅を適宜変更すればよい。
また、図2に示すパルスシーケンスにおいて、必要に応じて、2回目のインバージョンパルスPinv−BとイメージングスキャンPseqとの間にて、撮像する断面に在る脂肪からの信号を抑える脂肪抑制パルスを印加するようにしてもよい。
さらに、本実施形態は、前述した図15の手法と同様にインバージョンパルスを2つ用いる手法に基づく実施形態を説明したが、これに代えて、前述した図14に示すように、インバージョンパルスを1つだけ用いる手法に基づいて上述の実施形態を行なってもよい。この場合の後処理は、前述の最大値投影処理に代えて、最小値投影処理を行なえばよい。
また、本実施形態で使用可能なパルスシーケンスは、上述したようにFSE法を使用する例に限らず、FE法、セグメンティドFE法、SE法、エコープラナー法などの各種の手法を採用できる。さらに、データ収集及び画像再構成についても、上述した2次元スキャン及び2次元再構成に限定されるものでは無く、それらを3次元で行なってもよい。
さらに、上述した実施形態では、中間画像IMint1〜IMint3から最大値投影処理を行なって最終画像IMfin1〜IMfin3を生成するようにしたが、これについても各種の変形が可能である。例えば、最大値投影処理を実行しないで、複数枚の中間画像をシネモードで順に表示させるだけであっても、血流の動態を観察することができる。また、中間画像を作成するためのマスキング処理を省いてもよい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るMRI装置を、図4,5を参照して説明する。なお、これ以降の実施形態において、前述した第1の実施形態におけるのと同一又は同等の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。
この実施形態のMRI装置は、前述の図15記載の手法に基づくMRAを実施するものであるが、とくに、インバージョンパルスの印加からスキャンまで、すなわちイメージング用のスキャンを実行するまでの時間内に血液が移動する距離よりも広い範囲の血管像又は血流動態を表すシネ画像を収集することに特徴を有する。
このMRI装置のハードウエア的な構成は第1の実施形態のものと同一である。
図4には、本実施形態に係る非造影MRアンギオグラフィ撮像で用いるパルスシーケンスを、図5には、スキャンから表示画像生成までの処理過程を説明する図を示す。この実施形態で行なう非造影MRアンギオグラフィは、3回の2次元スキャンを行なって、1枚の広い範囲の最終的な血管像を得ものとする。
なお、図5(b)〜(d)では画素値の大小をハッチングの濃さで表しており、高信号に描出される部分ほど濃いハッチングで表している。
最初にパルスシーケンスを説明する。図4(a)〜(c)に示すパルスシーケンスは、非常に短い時間(2〜10ms)の間隔で4つのインバージョンパルスを印加する。具体的には、ECG信号のR波に同期して(R波に対する遅延時間は任意)1回目のインバージョンパルスPinv−Aが撮像したい領域CS(図5(a)参照)を含むように非選択的に印加される。この後、血流速度から見た場合、同時であると見なすことができる、極めて短い時間間隔で、2回目〜4回目のインバージョンパルスPinv−B〜Pinv−Dが順次、選択励起傾斜磁場Geと共に印加される。このインバージョンパルスPinv−B〜Pinv−Dの印加位置は、図5(a)左欄に示す如く、撮像領域CSに流入する血液の上流部分から下流方向に向かって一定間隔で並ぶように、選択励起傾斜磁場Geとそれらのパルスの周波数のオフセット量Dfが設定されている。このタグ領域間の血流走行方向における空間間隔は、第1の実施形態の場合とは異なり、インバージョンパルスが印加されてからスキャンが開始されるまでの間に血液が進む距離よりもやや長くなるように設定されている。なお、インバージョンパルス間の時間間隔は非常に短いので、これらの4個のインバージョンパルスは血流から見て同時と見なすことができる。
この一連のインバージョンパルスの印加の後、予め定めた一定のTI時間(例えば600ms)が経過すると、例えばFSE法に拠るパルスシーケンスに基づくイメージングスキャンが撮像領域CSに対して実行される。
なお、図4(a)〜(c)の各パルスシーケンスにおいて、周波数のオフセット量Dfがシーケンス毎に調整されている。これにより、2回目〜4回目のインバージョンパルスPinv−B〜Pinv−Dに拠る3個の選択励起位置、すなわち撮像領域CSに対するタグ領域RGA〜RGCの空間的位置が図5(a)〜(c)の左欄、真中欄、右欄に示す如く、互いに変更されている。
撮像が開始されると、第1の実施形態と同様に、シーケンサ5により、与えられたパルスシーケンス情報にしたがって図4(a)のパルスシーケンスが実行される。これにより、前述の如く、最初のインバージョンパルスPinv−A及び2回目〜4回目のインバージョンパルスPinv−B〜Pinv−Dの何れかで励起された部分の血液のエコー信号が一番、高強度に発生する。このエコー信号はエコーデータとして演算ユニット10に送られる。演算ユニット10は、このエコーデータを適宜な処理に付して2次元k空間に配置し、このデータを2次元フーリエ変換する。これにより、図5(b)左欄に示す如くの2次元の再構成画像IMrec1を得る。
この再構成画像IMrec1から分かるように、2回目〜4回目のインバージョンパルスPinv−B〜Pinv−Dを印加するときにタグ領域RGA〜RGC内にあった血液BDは、その磁化スピンが殆ど初期状態に戻されていることから、撮像領域CS上において、2回目〜4回目のインバージョンパルスPinv−B〜Pinv−Dを印加した後、イメージング用のパルスシーケンスPseqを印加するまでの間にタグ領域から流れ出た分だけ部分的に高信号に描出される。また、タグ領域RGA〜RGCのうち、背景の動きの無い組織の部分は、2回目〜4回目のインバージョンパルスPinv−B〜Pinv−Dの何れかを受けて殆ど初期状態のスピンになっているので、最初のインバージョンパルスPinv−Aが印加されただけの動きの無い部分とは異なるコントラストで描出される。
この再構成が終わると、演算ユニット10により、再構成画像IMrec1の内、コントラストが異なる部分についてマスキング処理が実行される。同図中、クロスハッチング部分MG11〜MG21はマスキング領域を示す。このマスキング処理により、図5(c)左欄のように表される中間画像IMint1が得られる。
上述した第1回目のスキャンと同様にして第2回目及び第3回目のスキャンも行なわれる。そして、それらのスキャンにより得たエコー信号も同様に処理されて、図5(c)の真中欄及び右欄に示す如く、マスキング処理を行った中間画像IMint2及びIMint3が得られる。
ただし、第2回目及び第3回目のスキャンの場合には、2回目〜4回目に選択的に印加するインバージョンパルスPinv−B〜Pinv−Dの印加位置は図5(a)〜(c)の真中欄及び右欄に示す如く、血液の流れ方向に沿って少しずつ下流に移動させるように、選択励起傾斜磁場Ge及びインバージョンパルスPinv−B〜Pinv−Dの周波数オフセット量Dfが変更されて、前述したパルスシーケンスが実行される。
なお、演算ユニット10において実行される画像再構成及びマスキング処理による中間画像の生成の処理のタイミングは任意でよい。
このように得られた中間画像IMint1,IMint2,IMint3は、演算ユニット10により、最大値投影処理に付され、1枚の最終画像IMfinが生成される。この最終画像IMfinは表示器12によって表示される。これにより、関心領域に流入する血液の流入状況(動態)を観察することができる。
このように、複数回行う各回のスキャンにおいて、2回目〜4回目のインバージョンパルスの印加時に複数のタグ領域RGA〜RGCに在った血液の移動分を同時に検出して、インバージョンパルス印加からスキャンまでの間に血流が移動する距離以上に広い範囲の血管像が得られる。これにより、1回のスキャンで設定する複数個のタグ領域の数(つまり2回目以降のインバージョンの印加数)、その幅(選択励起幅)、全体のスキャン回数などの条件を適宜に選択することにより、血流速度が遅い場合でも、少ないスキャン回数で、血流の全走行路を網羅した広い領域にわたって精細な血管像を提供できる。
この実施形態は、以下の変形も可能である。
上述した実施形態において得られた複数の中間画像IMint1〜IMint3から、マスキング処理を施していない残りの部分の画像R1〜R9を切り出し、例えばこの順に表示してもよい。
また、前述した図3(d)に示した如く、最大値投影処理に付す元画像(ここでは中間画像)を増やしながら、複数枚の最大値投影画像を作成し、それらを適宜な順番に表示するようにしてもよい。これにより、擬似的に血流動態のダイナミック画像を提供することができ、血流の挙動の把握が容易化される。
さらに、本実施形態は血液を画像化するMRAについて説明したが、撮像対象としてその他の動きのある対象物、例えばCSFなどについても同様に画像化できる。このCSFの場合、インバージョンパルスの印加からイメージングスキャンまでの時間幅を適宜に変更すればよい。
また、図4に示すパルスシーケンスにおいて、必要に応じて、4回目のインバージョンパルスPinv−DとイメージングスキャンPseqとの間で脂肪抑制パルスを印加するようにしてもよい。
さらに、本実施形態は、前述した図15の手法に基づく実施形態を説明したが、これに代えて、前述した図14に示す手法に基づいて上述の実施形態を行なってもよい。この場合は、前述の最大値投影処理に代えて、最小値投影処理を行なえばよい。
一方、本実施形態では、イメージング用のパルスシーケンスは、FE法、セグメンティドFE法、SE法、エコープラナー法などの各種の手法を採用できる。さらに、データ収集及び画像再構成は3次元で行なってもよい。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図6〜8に基づき説明する。この実施形態に係るMRI装置は、流れの方向を分離して表す血管像を表示する機能に特徴を有する。
図6は、このMRAで使用するパルスシーケンスを、図7は、紙面上方に流れる血流(例えば静脈BDV)を描出する手法を、さらに、図8は、紙面下方に流れる血流(例えば動脈BDA)を描出する手法を夫々示す。
図6に示すパルスシーケンスは、2回目に印加するインバージョンパルスPinv−Bの周波数オフセット量Dfの設定を除いて、前述した図2のものと同様に設定される。すなわち、一例としての合計3回のスキャンにおいて印加される2回目のインバージョンパルスPinv−Bのオフセット量Dfは+極性の所定値、零、及び−極性の所定値に設定される。これにより、この3回のスキャンによって選択的に励起されるタグ領域RGA1〜RGA3の空間的位置は、図7(a)及び図8(a)に示す如く、撮像領域CS上で血流の流れ方向において対称的に上部、中間、及び下部の所定部位に位置し、且つ、相互に所定距離ずつ離して設定される。
いま、図7,8に示す如く、左右1本ずつ上下方向にて相互に反対向きに流れている2本の血管を含む撮像部位CSの動静脈分離をしたMR像を得るものとする。
最初に、静脈BDVを画像化する場合を図6,7に基づき説明する。図6(a)〜(c)に示すパルスシーケンスがそれぞれ実行される。これにより、図7(a)の左欄、中央欄、右に示す如く、2回目のインバージョンパルスPinv−Bに拠る選択励起によって、血流走行方向に等距離ずつ離れ、且つ、対称な位置に在るタグ領域RGA1〜RGA3が励起される(タグ付けされる)。この選択励起を反映したエコー信号がそれぞれ収集される。
このエコー信号は、前述と同様に、デジタル量のエコーデータに処理され、演算ユニット10により再構成される。この再構成画像を図7(b)の画像IMrec1,IMrec2,IMrec3として示す。
この再構成画像IMrec1,IMrec2,IMrec3から分かるように、2回目のインバージョンパルスPinv−Bを印加するときにタグ領域RGA1〜RGA3内にあった動脈BDA及び静脈BDVは、その磁化スピンが殆ど初期状態に戻されていることから、撮像領域CS上において、2回目のインバージョンパルスPinv−Bを印加した後、イメージング用のパルスシーケンスPseqを印加するまでの間にそのタグ領域から流れ出た分(符号A1〜A3及びV1〜V3参照)だけ部分的に高信号に描出される。このとき流れ出る距離は、動脈及び静脈の流速に応じて差が生じる。
また、タグ領域RGA1〜RGA3のうち、背景の動きの無い組織の部分は、2回目のインバージョンパルスPinv−Bを受けて殆ど初期状態のスピンになっているので、最初のインバージョンパルスPinv−Aが印加されただけの動きの無い部分とは異なるコントラストで描出される。
この再構成が終わると、演算ユニット10により、再構成画像IMrec1,IMrec2,IMrec3の内、背景のコントラストが異なる部分についてマスキング処理が実行される。すなわち、図7(c)に示す如く、撮像領域CSを二分するタグ領域RGA1〜RGA3のそれぞれを境にして、この各タグ領域RGA1(〜RGA3)を含む静脈上流側の部分がそれぞれマスキングされる。同図中、クロスハッチング部分MG1〜MG3はマスキング領域を示す。このマスキング処理により、図7(c)左欄、中央欄、右欄のように表される中間画像IMint1〜IMint3が得られる。
このように得られた中間画像IMint1,IMint2,IMint3は、演算ユニット10により、最大値投影処理に付され、1枚の最終画像IMfin−Vが図7(d)に示す如く生成される。この最終画像IMfin−Vは表示器12によって表示される。これにより、関心領域を流れる静脈BDVのMRA像を得ることができる。
一方、動脈BDAを画像化する場合を図6,8に基づき説明する。このときも図6(a)〜(c)に示すパルスシーケンスがそれぞれ実行される。これにより、静脈BDVのときと同様に、再構成画像画IMrec1,IMrec2,IMrec3が得られ(図8(b))、次いでマスキング処理に付される。この場合のマスキング処理は、静脈の場合とは反対に、図8(c)に示す如く、撮像領域CSを二分するタグ領域RGA1〜RGA3のそれぞれを境にして、この各タグ領域RGA1(〜RGA3)を含む動脈上流側の部分がそれぞれマスキングされる。
これにより作成された中間画像IMint1,IMint2,IMint3は次いで最大値投影処理に付され、動脈BDAのみが現われたMRA像を表示することができる。
このように本実施形態によれば、エコー信号収集後の後処理において、マスキング処理の位置を変えるだけの簡単な方法により、動静脈を分離したMRA像を簡単に提供することができる。また、このMRA像を利用して、単純に、動静脈の走行方向を調べることもできる。
なお、この実施形態にあっても、マスキングされてできた残りの動静脈別の画像R1,R2,R3を順に連続表示してもよいし、再構成画像IMrec1,IMrec2,IMrec3を順に連続表示してもよい。これにより、動静脈の擬似的なダイナミック画像を観察することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図9,10に基づき説明する。この実施形態に係るMRI装置は、イメージングスキャン(本スキャン)を行うときにパルスシーケンスに用いるインバージョン(IR)より選択的に励起する厚さ(スライス厚又はスラブ厚)を最適値に設定するためのスキャン(プリスキャン)に関する。
前述した第2の実施形態に係る図4,5、又は、前述した図14,15に係るMRアンギオグラフィを実施するときに、撮像する断面や動態を観察しようとする血管に応じて血流の流入速度が変わることから、インバージョンパルスによって高信号化する部分の距離が短かったり、反対に長過ぎて別のインバージョンで励起されたタグ領域に高信号部分が残ったりして、画像合成やシネ画像表示に適さない場合もあり得る。本実施形態では、このような事態を確実に排除できるプリスキャンの手法を教示する。
このプリスキャンでは、インバージョンパルスによる励起厚さを段階的に変えながら連続的にスキャンを行って、最適な励起厚さ及び励起位置が求められる。
図9には、このプリスキャンに使用するパルスシーケンスの例を、図10には、プリスキャンの手順を模式的に示す。
図9(a)〜(c)は、1回目〜3回目までの3回のスキャンに用いるパルスシーケンスをそれぞれ表している。これらのパルスシーケンスにおいて、スキャンの度に、2回目のインバージョンパルスPinv−Bの搬送周波数のオフセット量Df及び選択励起傾斜磁場Geの強度の内、少なくとも一方が調整されている。これにより、図10(a)の左欄、中央欄、及び右欄に示す如く、撮像する領域CSに対して設定するタグ領域RGA(RGA1〜RGA3)の厚さが徐々に厚くなるとともに、1回目〜3回目の何れのスキャンであっても、帯状のタグ領域RGA1〜RGA3の血流下流側における境界位置が同じになるように位置選択される。つまり、スキャン回数が増えるにつれて、タグ領域RGA1〜RGA3の血流上流側における境界位置のみが変化して厚くなるように励起位置が設定されている。図9(a)〜(c)のパルスシーケンスにおいて、その他のパルス列は前述したもとの同等である。
なお、このプリスキャンにおけるスキャンの回数、血流上流側の境界位置の変動幅などの条件は、撮像部位の血流速度とかかる変化幅の所望値とを含む条件を考慮して決定される。
プリスキャンとして、これらのパルスシーケンスを順次実行することにより、図10(a)〜(c)に示す如く、シーケンス毎に再構成画像IMrec1〜IMrec3が得られる。
そこで、例えば、操作者は、この一連の画像IMrec1〜IMrec3を目視観察して、目的とする撮像部位に最適と思われる、インバージョンパルスによる励起厚さ及び空間位置を決定する。このとき、かかる決定を容易にするため、一連の画像IMrec1〜IMrec3をタグ領域の厚さの順に連続表示するようにしてもよい。なお、上述の決定は、操作者のよる人為的判断に拠る手法のほか、血流の輪活抽出法など、適宜なアルゴリズムを用いて自動的に行うようにしてもよい。
以上のプリスキャンにより得られた励起厚さ及び空間位置の情報は、本スキャンのパルスシーケンスにおいて印加される2回目のインバージョンパルスPinv−Bの搬送周波数及びこれと同時に印加される選択励起傾斜磁場の例えば強度に反映される。この結果、本スキャンにより得られるMRA像において、インバージョンパルスPinv−Bによりタグ付けされた血流部分の撮像長さと血流速度との関係が適正になり、的確な画像合成やシネ画像表示を行うことができる。
なお、上述の実施形態は血液を画像化するMRAについて説明したが、撮像対象としてその他の動きのある対象物、例えばCSFなどについても同様に画像化できる。このCSFの場合、タグ付け用インバージョンパルスの印加からイメージングスキャンまでの時間幅を適宜に変更すればよい。
また、図9に示すパルスシーケンスにおいて、必要に応じて、2回目のインバージョンパルスPinv−BとイメージングスキャンPseqとの間で脂肪抑制パルスを印加するようにしてもよい。
さらに、本実施形態は、前述した図15の手法に基づく実施形態を説明したが、これに代えて、前述した図14に示す手法に基づいて上述の実施形態を行なってもよい。この場合は、前述の最大値投影処理に代えて、最小値投影処理を後処理として行なえばよい。
一方、本実施形態では、イメージング用パルスシーケンスは、FSE法に限らず、FE法、セグメンティドFE法、SE法、エコープラナー法などの各種の手法を採用できる。さらに、データ収集及び画像再構成は3次元で行なってもよい。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係るMRI装置を説明する。この実施形態は、選択励起に拠るタグ付け領域の別の例に関する。
図11(a)には、このMRI装置で使用するパルスシーケンスの一例を示し、同図(b)には、再構成画像の一例を示す。
このパルスシーケンスに拠れば、インバージョンパルスは1個のパルスPinv−Oのみを用いる。このパルスの搬送周波数と選択励起傾斜磁場Geは、インバージョンパルスPinv−Oにより励起される領域RGAは図11(b)に示す如く、撮像する領域CSと同じになるように設定される。つまり、このインバージョンパルスPinv−Oはスピンを180度、反転させてタグ付けする機能を有するが、このタグ付けは、スキャン時に流入する新しい血流による高信号に対してコントラストを付けるため、領域RGAのスピンを低信号化させる逆タグ付けの機能になる。図11(a)に示す如く、インバージョンパルスは、かかるタグ付けのパルスPinv−Oのみが単独で印加される。その他のパルス列は前述した各実施形態のものと同じである。
このパルスシーケンスを実行してエコー信号が収集され、このエコー信号から図11(b)に例示する再構成画像IMrecが得られる。
したがって、インバージョンパルスPinv−Oにより撮像領域CSと同じ領域RGAが逆タグ付けされ、その後、反転時間TIの後に、スキャンが実行される。
このため、スキャン時には、インバージョンパルスPinv−Oにより選択励起されなかった領域から、例えば動脈BDA及び静脈BDVが飽和されていないスピンとして撮像領域CSに流入する。したがって、動脈BDA及び静脈BDVから高信号を得て、それらを確実に描出することができる。
とくに、動静脈では流速に速度差があるので、スキャン時に撮像領域CSに流入する部分の長さは異なるのが通常である。このため、例えば静脈BDVの流入長さL分だけ、撮像領域CSよりも静脈上流側に入り込んだ領域を選択励起するように設定することで、動脈BDAのみを表示した画像を提示することができる。
なお、以上説明してきた全部の実施形態に共通の変形例として、同期法の手法がある。つまり、前述の各実施形態は心電同期法を前提としたMRイメージングを説明してきたが、この同期法に代えて、脳波同期法、呼吸同期法などを用いてもよい。また、同じ心電同期法であっても、脈波同期法(PPG)を用いることもできる。
さらに、前述した各実施形態では、タグ付け用インバージョンパルスによる励起位置を変更することによって血液やCSFの動態を表示する手法を教示してきたが、同期法で使用するトリガの発生から一連のインバージョンパルスの印加までの時間幅(遅延時間)を適宜に変更しながらスキャンを行うようにしてもよい。これにより得られた画像を適宜な順に表示したり、複数の最大値投影画像を作成し表示したりすることにより、心拍や呼吸に同期した撮像対象の周期的な動きを観察することができる。
更に、上述した各実施形態は種々の形態に展開できる。第1に、タグ付けインバージョンパルスの印加に伴って画像化される血流部分の転置は、血流の流速に応じて異なるので、この対応関係に基づき血流の流速を測定することができる。
第2に、タグ付けインバージョンパルスの搬送周波数のオフセット量と選択励起傾斜磁場の強度を適宜に可変することで、タグ領域を任意のスライス位置(スラブ位置)、スライス厚(スラブ厚)、又はオブリーク励起位置に設定することができる。
第3に、タグ付けインバージョンパルスによるスライス厚(スラブ厚)を可変することで、任意のスライス厚(スラブ厚)の血管を描出することができる。
第4に、タグ付けインバージョンパルスのフリップ角の好適な一例は180度であるが、このフリップ角は必ずしもこれに限定されない。この角度を180度未満の適宜な値に設定することで、より短いTI時間で、信号低下させた領域の信号を収集して、スキャン時間全体を短縮させることができる。
なお、本発明は、代表的に例示した上述の実施形態及び変形形態に限定されるものではなく、当業者であれば、特許請求の範囲の記載内容に基づき、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の態様に変形でき、それらも本発明の権利範囲に属する。