JP4439044B2 - プリント配線板、ポリオレフィン系樹脂組成物およびプリント配線板の製造方法 - Google Patents

プリント配線板、ポリオレフィン系樹脂組成物およびプリント配線板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂と有機フィラーとを含有する層間樹脂絶縁層を有するプリント配線板、該層間樹脂絶縁層に用いるポリオレフィン系樹脂組成物、および、それを用いたプリント配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる多層ビルドアップ配線基板と呼ばれる多層プリント配線板は、セミアディティブ法等により製造されており、コアと呼ばれる0.5〜1.5mm程度のガラスクロス等で補強された樹脂基板の上に、銅等による導体回路と層間樹脂絶縁層とを交互に積層することにより作製される。この多層プリント配線板の層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の接続は、バイアホールにより行われている。
【0003】
従来、ビルドアップ多層プリント配線板は、例えば、特開平4−55555号公報等に開示された方法により製造されている。
すなわち、まず、銅箔が貼り付けられた銅貼積層板に貫通孔を形成し、続いて無電解銅めっき処理を施すことによりスルーホールを形成する。続いて、基板の表面を導体パターン状にエッチング処理して導体回路を形成し、この導体回路の表面に、無電解めっきやエッチング等により粗化面を形成する。そして、この粗化面を有する導体回路上にエポキシアクリレート等を含む樹脂絶縁層を形成した後、露光、現像処理を行ってバイアホール用開口を形成し、その後、UV硬化、本硬化を経て層間樹脂絶縁層を形成する。
【0004】
さらに、層間樹脂絶縁層に酸や酸化剤などにより粗化処理を施した後、薄い無電解めっき膜を形成し、この無電解めっき膜上にめっきレジストを形成し、電解めっきにより厚付けを行い、めっきレジスト剥離後にエッチングを行って、下層の導体回路とバイアホールにより接続された導体回路を形成する。
この工程を繰り返した後、最後に導体回路を保護するためのソルダーレジスト層を形成し、ICチップ等との接続のために開口を形成し、露出した導体回路にめっき等を施し、半田ペーストを印刷して半田バンプを形成することにより、ビルドアップ多層プリント配線板の製造を完了する。
【0005】
こうようにして製造されたプリント配線板では、導体回路と層間樹脂絶縁層との密着性を確保するために、層間樹脂絶縁層および導体回路の表面は粗化されている。
そのため、高周波の信号を伝搬させると、表皮効果により、信号は、粗化された導体回路の表面部分のみを伝搬し、その表面の凹凸に起因して信号伝搬のノイズが生じてしまう。
【0006】
また、エポキシアクリレートを含む層間樹脂絶縁層は、破壊靱性が低いため、このような層間樹脂絶縁層を有するプリント配線板では、ヒートサイクルにより導体回路と層間樹脂絶縁層との境界部でクラックが発生しやすい。
【0007】
さらに、この層間樹脂絶縁層は、誘電率が4.0前後と比較的高いため、かかる樹脂を層間樹脂絶縁層として用いたプリント配線板は、信号伝搬の遅延が避けられない。
【0008】
このようなことから、エポキシアクリレートを含む層間樹脂絶縁層の代わりに、破壊靱性、誘電性、密着性等に優れるポリオレフィン系樹脂を層間樹脂絶縁層とするプリント配線板が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、導体回路上にポリオレフィン系樹脂からなる層間樹脂絶縁層を形成した後、図11(a)に示すように、レーザ光を照射してバイアホール用開口を形成すると、レーザ光により照射された部分が目的とする円柱形状に除去されず、図11(b)に示すように、いびつな形状となってしまうという問題があった。
【0010】
すなわち、赤外線領域のレーザ光を発生する炭酸ガスレーザの場合には、レーザ光が照射された部分の樹脂が、熱分解することにより除去され、開口が形成される。その際、発生した熱が周囲のポリオレフィン系樹脂に伝わって温度が上昇するため、レーザ光が照射された部分は、引き裂かれるように削られ、開口部の内壁に凹凸が形成されてしまう。また、レーザ光が導体回路に反射して導体回路に近い部分がえぐられ、開口が大きくなってしまう(図11(b)参照)。
【0011】
また、紫外線領域のレーザ光を発生するUVレーザやエキシマレーザの場合には、レーザ光が照射された部分の樹脂が、レーザ光を吸収しないで、層間樹脂絶縁層を通過してしまい、非貫通孔であるバイアホール用開口を良好に形成することができない。その結果、層間の導通をとることができず、電気的接続に問題を引き起こしてしまう(図11(c)参照)。
【0012】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、レーザ光を用いた場合にも目的形状の開口を形成することができるポリオレフィン系樹脂組成物を層間樹脂絶縁層に用いたプリント配線板、該プリント配線板の製造に用いられるポリオレフィン系樹脂組成物、および、該ポリオレフィン系樹脂組成物を用いたプリント配線板の製造方法を提案することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意研究した結果、ポリオレフィン系樹脂中に有機フィラーを含有させることにより、目的とする形状のバイアホール用開口を容易に形成することができることを見いだし、以下に示す内容を要旨構成とする発明に到達した。
【0014】
即ち、本発明のプリント配線板は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが順次積層形成され、これら導体回路がバイアホールにより接続されたプリント配線板であって、
上記層間樹脂絶縁層は、球状の有機フィラーとポリオレフィン系樹脂とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物により構成されており、
上記有機フィラーは、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド(PPO)およびポリフェニレンエーテル(PPE)からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが順次積層形成され、これら導体回路がバイアホールにより接続されたプリント配線板の上記層間樹脂絶縁層に用いるポリオレフィン系樹脂組成物であって、
ポリオレフィン系樹脂と球状の有機フィラーとを含有し、
上記有機フィラーは、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド(PPO)およびポリフェニレンエーテル(PPE)からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とをバイアホールを介して順次積層形成するプリント配線板の製造方法であって、
上記層間樹脂絶縁層を形成する際、上記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる樹脂フィルムまたは樹脂ペーストを用いることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のプリント配線板は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが順次積層形成され、これら導体回路がバイアホールにより接続されたプリント配線板であって、
上記層間樹脂絶縁層は、球状の有機フィラーとポリオレフィン系樹脂とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物により構成されており、
上記有機フィラーは、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド(PPO)およびポリフェニレンエーテル(PPE)からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0019】
上記プリント配線板によれば、層間樹脂絶縁層が有機フィラーを含有するので、レーザ光照射によりバイアホール用開口を形成すると、目的形状のバイアホールを良好に形成することができる。
【0020】
すなわち、炭酸ガスレーザ等の赤外線レーザを照射した場合には、上記有機フィラーは熱に対する緩衝剤の役割を果たし、発生した熱や導体回路より反射した熱を一部吸収する。また、有機フィラーは、樹脂組成物が所定の形状を維持するための機械的な強化材の役割を果たし、その結果、周囲の樹脂の形状を維持することができ、目的とする形状のバイアホール用開口を形成することができる。
従って、炭酸ガスレーザを用い、高周波短パルスでバイアホール用開口する場合、ショット数を減少しても、問題なく開口を形成することができる。
【0021】
また、紫外線レーザを照射した場合、有機フィラーが紫外線を吸収し、このため、紫外線レーザが照射された部分の層間樹脂絶縁層が分解、消失し、目的とする形状のバイアホール用開口を形成することができる。
【0022】
従って、上記レーザの照射によりバイアホール用開口を形成し、この開口に金属層を形成することによりバイアホールを形成すると、該金属層は下の導体回路に密着して剥がれにくくなり、プリント配線板の接続性、信頼性が向上する。
【0023】
上記有機フィラーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、メラミン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、PPO、PPE等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記有機フィラーの含有量は、5〜60重量%が好ましい。上記有機フィラーの含有量が5重量%未満であると、有機フィラーの含有量が少なすぎるため、レーザ光照射の際に上記した役割を果たすことができず、目的とする形状のバイアホール用開口を形成することができない。一方、有機フィラーの含有量が60重量%を超えると、ポリオレフィン系樹脂の特性が失われ、例えば、誘電率が高くなりすぎるため好ましくない。
より好ましくは、14〜60重量%である。
【0025】
上記有機フィラーの形状は特に限定されず、例えば、球状、多面形状のものが挙げられるが、これらのなかでは、クラックが発生しにくく、熱や熱衝撃によって絶縁層に応力が発生しても、その応力が緩和されやすい点から、球状が好ましい。
【0026】
これらの有機フィラーの粒径は、0.05〜0.2μmが好ましい。上記有機フィラーの粒径が0.05μm未満であると、粒径が小さすぎるため、均一に有機フィラーを配合することが困難となり、一方、上記有機フィラーの粒径が0.2μmを超えると、有機フィラーの粒径が大きすぎるため、レーザにより完全に分解除去されない場合が発生する。
【0027】
有機フィラーを配合する場合、径が異なる2種以上の有機フィラーをポリオレフィン樹脂に配合してもよいが、余り多種類の粒径の異なる有機フィラーを配合すると、有機フィラーが凝集しやすくなり、該凝集物の径が0.2μmを超え、0.2μmを超えるものを使用した場合と同様の不都合が発生する場合があるので、径が異なる有機フィラーを配合する場合には、2種類の配合に留めることが望ましい。
【0028】
上記有機ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、これらの樹脂の共重合体等が挙げられる。
これらのポリオレフィン系樹脂は、熱硬化型ポリオレフィン系樹脂および熱可塑型ポリオレフィン系樹脂の両方を含む。
【0029】
上記ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、例えば、住友スリーエム社製の商品名:1592等が挙げられる。また、融点が200℃以上の熱可塑型ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、例えば、三井石油化学工業社製の商品名:TPX(融点240℃)、出光石油化学社製の商品名:SPS(融点270℃)等が挙げられる。
【0030】
次に、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物について説明する。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが順次積層形成され、これら導体回路がバイアホールにより接続されたプリント配線板の前記層間樹脂絶縁層に用いるポリオレフィン系樹脂組成物であって、
ポリオレフィン系樹脂と有機フィラーとを含有することを特徴とする。
【0031】
上記ポリオレフィン系樹脂および上記有機フィラーとしては、上述したものを用いることができる。また、有機フィラーの配合量は、上記したように、形成された層間樹脂絶縁層の含有割合が、5〜60重量%となる量が好ましい。
【0032】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、上記層間樹脂絶縁層を形成する際、樹脂フィルムまたは樹脂ペーストとして用いる。
上記ポリオレフィン系樹脂組成物を樹脂フィルムとして使用する場合、上記ポリオレフィン系樹脂組成物は、上記ポリオレフィン系樹脂と上記有機フィラーのほかに、他の樹脂等を含んでいてもよいが、通常は、上記ポリオレフィン系樹脂と上記有機フィラーとから構成される。
【0033】
上記ポリオレフィン系樹脂組成物を樹脂ペーストとして使用する場合、上記樹脂組成物中には、上記ポリオレフィン系樹脂と上記有機フィラーのほかに、キシレン、トルエン、シクロヘキサンなどの溶剤を含む。その粘度は25℃で1〜10Pa・sに調整されていることが望ましい。
【0034】
このようなポリオレフィン系樹脂からなる樹脂フィルムを用いて層間樹脂絶縁層を形成する場合には、まず、後述する工程により、導体回路が形成された基板、または、導体回路および層間樹脂絶縁層が複数層形成され、表面に導体回路が形成された基板に、ポリオレフィン系樹脂と有機フィラーとを含む樹脂フィルムを加圧、加熱、または、加圧加熱することにより接着させる。
【0035】
その後、レーザ光を所定の場所に照射し、バイアホール用開口を形成する。
このとき、使用するレーザ光としては、例えば、炭酸ガス(CO2 )レーザ、紫外線レーザ、エキシマレーザ等が挙げられるが、これらのなかでは、エキシマレーザまたは短パルスの炭酸ガスレーザが好ましい。
【0036】
また、エキシマレーザのなかでも、ホログラム方式のエキシマレーザを用いるとことが望ましい。ホログラム方式とは、レーザ光をホログラム、集光レンズ、レーザマスク、転写レンズ等を介して目的物に照射する方式であり、この方式を用いることにより、一度の照射で層間樹脂絶縁層に多数の開口を効率的に形成することができる。
【0037】
また、炭酸ガスレーザを用いる場合、そのパルスの間隔は、10-4〜10-8秒であることが望ましい。また、開口を形成するためにレーザを照射する時間は、10〜500μ秒であることが望ましい。
【0038】
ポリオレフィン系樹脂組成物からなる樹脂ペーストを用いて層間樹脂絶縁層を形成する際には、まず、後述する工程により、導体回路が形成された基板、または、導体回路および層間樹脂絶縁層が複数層形成され、表面に導体回路が形成された基板に、上記樹脂ペーストをロールコータ等を用いて塗布し、硬化させる。その後、樹脂フィルムの場合と同様にレーザ光を照射し、バイアホール用開口を形成する。
【0039】
次に、本発明のプリント配線板の製造方法について、簡単に説明する。
(1) 本発明のプリント配線板の製造方法においては、まず、絶縁性基板の表面に導体回路が形成された基板を作製する。
【0040】
絶縁性基板としては、樹脂基板が望ましく、具体的には、例えば、ガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂基板、フッ素樹脂基板、セラミック基板、銅貼積層板などが挙げられる。
【0041】
本発明では、この絶縁性基板にドリル等で貫通孔を設け、該貫通孔の壁面および銅箔表面に無電解めっきを施して表面導電膜およびスルーホールを形成する。無電解めっきとしては銅めっきが好ましい。
【0042】
この無電解めっきの後、通常、スルーホール内壁および電解めっき膜表面の粗化形成処理を行う。粗化形成処理方法としては、例えば、黒化(酸化)−還元処理、有機酸と第二銅錯体の混合水溶液によるスプレー処理、Cu−Ni−P針状合金めっきによる処理などが挙げられる。
【0043】
(2) 次に、無電解めっきが施された基板上に導体回路形状のエッチングレジストを形成し、エッチングを行うことにより導体回路を形成する。次に、この導体回路が形成された基板表面に樹脂充填剤を塗布、乾燥させて半硬化状態とした後、研摩を行い、樹脂充填材の層を研削するとともに、導体回路の上部も研削し、基板の両主面を平坦化する。この後、樹脂充填材の層を完全硬化する。
なお、樹脂充填材の層を形成する際、導体回路非形成部分に開口が形成されたマスクを用い、エッチングにより凹部が形成された導体回路非形成部分のみを樹脂充填剤で充填し、その後、上記した研磨処理等を行ってもよい。
【0044】
(3) 次に、導体回路に、必要に応じて、粗化層または粗化面(以下、粗化層という)を形成する。粗化処理方法としては、例えば、黒化(酸化)−還元処理、有機酸と第二銅錯体の混合水溶液によるスプレー処理、Cu−Ni−P合金めっきによる処理などが挙げられる。
【0045】
(4) ついで、形成された粗化層表面に、必要により、スズ、亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、タリウム、鉛等からなる被覆層を無電解めっき、蒸着などにより形成する。上記被覆層を0.01〜2μmの範囲で析出させることにより、層間絶縁層から露出した導体回路を粗化液やエッチング液から保護し、内層パターンの変色、溶解を確実に防止することができるからである。
【0046】
(5) この後、導体回路上に上述した方法によりポリオレフィン系樹脂組成物からなる層間樹脂絶縁層を設け、レーザ光を照射することにより、バイアホール用開口を設ける。
導体回路は前述の方法により粗化処理を施してもよいが、信号にノイズが生じるのを防止するため、導体回路に粗化層を設けない方が望ましい。この場合には、導体回路に、直接または接着剤等を介してポリオレフィン系樹脂組成物の層を形成する。
【0047】
(6) 次に、必要に応じて、上記層間樹脂絶縁層の表面を粗化する。この粗化は、プラズマ処理か、または、酸処理もしくは酸化処理により行う。層間樹脂絶縁層表面に粗化処理を施した場合には、その上に形成する導体回路に粗化面が形成され、信号にノイズが生じてしまうので、層間樹脂絶縁層の表面はなるべき平坦であることが望ましいく、粗化する場合には、粗化の程度が小さいことが望ましい。
【0048】
プラズマ処理を行ったり、粗化処理を行わない場合には、上層として形成する導体回路と層間樹脂絶縁層との密着性を確保するために、層間樹脂絶縁層との密着性に優れたNi、Ti、Pd等の金属を中間層として形成してもよい。上記金属からなる中間層は、スパッタリング等の物理的蒸着法(PVD)により形成することが望ましく、その厚さは、0.1〜2.0μm程度であることが望ましい。
【0049】
(7) 次に、層間絶縁樹脂上の全面に薄付けの無電解めっき膜を形成する。この無電解めっき膜は、無電解銅めっきが好ましく、その厚みは、1〜5μmが望ましく、2〜3μmがより望ましい。
【0050】
(8) さらに、この上にめっきレジストを配設する。めっきレジストとしては、市販の感光性ドライフィルムや液状レジストを使用することができる。
そして、感光性ドライフィルムを貼り付けたり、液状レジストを塗布した後、紫外線露光処理を行い、アルカリ水溶液で現像処理する。
【0051】
(9) ついで、上記処理を行った基板を電気めっき液に浸漬した後、無電解めっき層をカソードとし、めっき被着金属をアノードとして直流電気めっきを行い、バイアホール用開口をめっき充填するとともに、上層導体回路を形成する。
電解めっきとしては、電解銅めっきが好ましく、その厚みは、10〜20μmが好ましい。
【0052】
(10)ついで、めっきレジストを強アリカリ水溶液で剥離した後にエッチングを行い、無電解めっき層を除去することにより、上層導体回路およびバイアホールを独立パターンとする。
上記エッチング液としては、硫酸/過酸化水素水溶液、塩化第二鉄、塩化第二銅、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩の水溶液が使用される。
なお、非導体回路部分に露出したパラジウム触媒核は、クロム酸、硫酸、過酸化水素等により溶解除去する。
【0053】
(11)この後、必要により、(3) 〜(10)の工程を繰り返し、その後、必要により、最上層の導体回路に上記(3) の工程と同様の条件で無電解めっきやエッチング等を施して粗化層または粗化面を形成する。
【0054】
(12)次に、最上層の導体回路を含む基板面にソルダーレジスト樹脂組成物をロールコータ法等により塗布し、露光、現像による開口処理を行い、硬化処理等を行うことにより、ソルダーレジスト層を形成する。
そしてこの後、ソルダーレジスト層の開口部分に半田バンプを形成することによりプリント配線板の製造を終了する。
なお、製品認識文字などを形成するための文字印刷工程やソルダーレジスト層の改質のために、酸素や四塩化炭素などのプラズマ処理を適時行ってもよい。
以上の方法は、セミアディティブ法によるものであるが、フルアディティブ法を採用してもよい。
【0055】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
(実施例1)
A.ポリオレフィン系樹脂組成物からなる樹脂フィルムの作製
(i) 500mlのn−ヘプタン中に、スチレン104gおよびブチルリチウム10.8gを溶解させ、70℃で3時間加熱した。
(ii)上記処理を行った溶液中に、エチレン:ブタジエンの容量比が3:1の混合ガスを吹き込みながら、70℃で5時間放置した。
【0056】
(iii) この後、さらにI2 を添加し、100℃で1時間放置することにより、n−ヘプタンを除去した。
(iv) 残った生成物をアセトンにて洗浄し、未反応物およびLiIを除去した。その後、粒径が0.1μmで球状のメラミンと粒径が0.05μmの球状のメラミンを2:1の割合で配合し、凝集せずに分散するように混合した。
【0057】
(v) (iv)の工程で得られた混合物のうち、50gを再度500mlのn−ヘプタンに溶解させ、さらに1gの過酸化ベンゾイルを溶かした後、この溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に薄く広げ、このフィルム状物を50℃まで加熱した後、さらに1℃/分でゆっくりと加熱し、100℃に達した後、30分放置することにより溶剤を除去した。
このようにして、40μmの厚さの半硬化状態のポリオレフィンオリゴマーからなる樹脂フィルムが得られた。
【0058】
C.樹脂充填材の調製
ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル社製、分子量:310、YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径が1.6μmで、最大粒子の直径が15μm以下のSiO2 球状粒子(アドマテックス社製、CRS 1101−CE)170重量部およびレベリング剤(サンノプコ社製 ペレノールS4)1.5重量部を容器にとり、攪拌混合することにより、その粘度が23±1℃で40〜50Pa・sの樹脂充填材を調製した。なお、硬化剤として、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)6.5重量部を用いた。
【0059】
D.プリント配線板の製造方法
(1) 厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μmの銅箔8がラミネートされている銅貼積層板を出発材料とした(図1(a)参照)。まず、この銅貼積層板をドリル削孔し、無電解めっき処理を施し、パターン状にエッチングすることにより、基板1の両面に下層導体回路4とスルーホール9を形成した。
【0060】
(2) スルーホール9および下層導体回路4を形成した基板を水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、NaClO2 (40g/l)、Na3 PO4 (6g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(10g/l)、NaBH4 (6g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行い、そのスルーホール9を含む下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを形成した(図1(b)参照)。
【0061】
(3) 上記Bに記載した樹脂充填材を調製した後、この樹脂充填材10を、基板の片面にロールコータを用いて塗布することにより、下層導体回路4間あるいはスルーホール9内に充填し、加熱乾燥させた後、他方の面についても同様に樹脂充填剤10を導体回路4間あるいはスルーホール9内に充填し、加熱乾燥させた(図1(c)参照)。
【0062】
(4) 上記(3) の処理を終えた基板の片面を、#600のベルト研磨紙(三共理化学社製)を用いたベルトサンダー研磨により、導体回路外縁部に形成された樹脂充填材10の層や導体回路非形成部に形成された樹脂充填材10の層の上部を研磨し、ついで、上記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
なお、必要に応じて、研摩の前後にエッチングを行い、スルーホール9のランド9aおよび下層導体回路4に形成された粗化面4aを平坦化してもよい。
この後、100℃で1時間、150℃で1時間の加熱処理を行い、樹脂充填材の層を完全に硬化させた。
【0063】
このようにして、スルーホール9や導体回路非形成部に形成された樹脂充填材10の表層部および下層導体回路4の表面を平坦化し、樹脂充填材10と下層導体回路4の側面4aとが粗化面を介して強固に密着し、またスルーホール9の内壁面9aと樹脂充填材10とが粗化面を介して強固に密着した絶縁性基板を得た(図1(d)参照)。
【0064】
(5) 次に、基板の両面に、上記Aにおいて作製した厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂組成物からなるフィルムを温度160℃、圧力10kgf/cm2 で圧着、積層し、上記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる層間樹脂絶縁層2を形成した(図2(a)参照)。形成された層間樹脂絶縁層の厚さは、30μmであった。
【0065】
(6) 次に、波長0.248μmのエキシマレーザにて、ポリオレフィン系樹脂組成物からなる層間樹脂絶縁層2に直径80μmのバイアホール用開口6を設けた(図2(b)参照)。この後、酸素プラズマを用いてデスミア処理を行った。
なお、バイアホール用開口を設けた後、形成されたバイアホール用開口を顕微鏡で観察したが、開口部内の導体回路の表面に爛れた樹脂等は認められず、開口の径や形状も設定通りであった。
【0066】
(7) 次に、日本真空技術株式会社製のSV−4540を用い、Niをターゲットにしたスパッタリングを、気圧0.6Pa、温度80℃、電力200W、時間5分間の条件で行い、Ni金属層12aを層間樹脂絶縁層2の表面に形成した(図2(c)参照)。このとき、形成されたNi金属層12aの厚さは0.1μmであった。
【0067】
(8) 次に、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に基板を浸漬して、Ni金属層12aの表面全体に厚さ0.6〜1.2μmの無電解銅めっき膜12bを形成した(図2(d)参照)。
〔無電解めっき水溶液〕
EDTA 0.08 mol/l
硫酸銅 0.03 mol/l
HCHO 0.05 mol/l
NaOH 0.05 mol/l
α、α’−ビピリジル 80 mg/l
PEG 0.10 g/l
(ポリエチレングリコール)
〔無電解めっき条件〕
65℃の液温度で20分
【0068】
(9) 市販の感光性ドライフィルムを無電解銅めっき膜12bの表面に貼り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、厚さ15μmのめっきレジスト3を設けた(図3(a)参照)。
【0069】
(10)ついで、レジスト非形成部に以下の条件で電気銅めっきを施し、厚さ15μmの電気銅めっき膜13を形成した(図3(b)参照)。
〔電気めっき水溶液〕
硫酸 2.24 mol/l
硫酸銅 0.26 mol/l
添加剤 19.5 ml/l
(アトテックジャパン社製、カパラシドHL)
〔電気めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2
時間 65 分
温度 22±2 ℃
【0070】
(11)さらにめっきレジストを5%KOH水溶液で剥離除去した後、そのめっきレジスト下の無電解めっき膜を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して溶解除去し、独立の上層導体回路5(バイアホール7を含む)とした(図3(c)参照)。
(12)続いて、上記(5) 〜(11)の工程を繰り返すことにより、さらに上層の導体回路を形成し(図4(a)〜図5(a)参照)、最上層の導体回路には、以下に示す条件でCu−Ni−Pめっき処理法を用い、上層導体回路5の表面にCu−Ni−P合金からなる粗化層11を形成した(図5(b)参照)。
【0071】
まず、基板をアルカリ脱脂してソフトエッチングし、次いで、塩化パラジウムと有機酸とからなる触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与し、この触媒を活性化した。
次に、この基板に、硫酸銅(3.2×10-2mol/l)、硫酸ニッケル(2.4×10-3 mol/l)、クエン酸(5.2×10-2mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.7×10-1 mol/l)、ホウ酸(5.0×10-1 mol/l)、界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール465)(1.0g/l)の水溶液からなるpH=9の無電解めっき浴にて無電解めっきを施し、導体回路の全表面にCu−Ni−P合金からなる粗化層11を形成した。
【0072】
(13)次に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるように溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名:エピコート1001)15重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマーである多官能アクリルモノマー(日本化薬社製、商品名:R604)3重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄化学社製、商品名:DPE6A)1.5重量部、分散系消泡剤(サンノプコ社製、商品名:S−65)0.71重量部を容器にとり、攪拌、混合して混合組成物を調製し、この混合組成物に対して光重合開始剤としてベンゾフェノン(関東化学社製)2.0重量部、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学社製)0.2重量部を加えて、粘度を25℃で2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト樹脂組成物を得た。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器社製、DVL−B型)で60rpmの場合はローターNo.4、6rpmの場合はローターNo.3によった。
【0073】
(14)次に、多層配線基板の両面に、上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行った後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、200μmの直径の開口を形成した。
そして、さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト層を硬化させ、半田パッド部分が開口した、その厚さが20μmのソルダーレジスト層(有機樹脂絶縁層)14を形成した。
【0074】
(18)次に、ソルダーレジスト層(有機樹脂絶縁層)14を形成した基板を、塩化ニッケル(2.3×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.8×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.6×10-1mol/l)を含むpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき層15を形成した。さらに、その基板をシアン化金カリウム(7.6×10-3mol/l)、塩化アンモニウム(1.9×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.2×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(1.7×10-1mol/l)を含む無電解めっき液に80℃の条件で7.5分間浸漬して、ニッケルめっき層15上に、厚さ0.03μmの金めっき層16を形成した。
【0075】
(19)この後、ソルダーレジスト層14の開口に半田ペーストを印刷して、200℃でリフローすることにより半田バンプ17を形成し、半田バンプ17を有する多層配線プリント基板を製造した(図5(c)参照)。
【0076】
(実施例2)
A.ポリオレフィン系樹脂組成物からなる樹脂フィルムの作製、および、樹脂充填材の調製は、実施例1と同様にして行った。
【0077】
B.プリント配線板の製造方法
(1) 厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μmの銅箔8がラミネートされている銅張積層板を出発材料とした(図6(a)参照)。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、無電解めっき処理を施し、パターン状にエッチングすることにより、基板1の両面に下層導体回路4とスルーホール9を形成した。
【0078】
(2) スルーホール9および下層導体回路4を形成した基板を水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、NaClO2 (40g/l)、Na3 PO4 (6g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(10g/l)、NaBH4 (6g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行い、そのスルーホール9を含む下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを形成した(図6(b)参照)。
【0079】
(3) 上記Cに記載した樹脂充填材を調製した後、下記の方法により調製後24時間以内に、スルーホール9内、および、基板1の片面の導体回路非形成部と導体回路4の外縁部とに樹脂充填材10の層を形成した。
すなわち、まず、スキージを用いてスルーホール内に樹脂充填材を押し込んだ後、100℃、20分の条件で乾燥させた。次に、導体回路非形成部に相当する部分が開口したマスクを基板上に載置し、スキージを用いて凹部となっている導体回路非形成部に樹脂充填材10の層を形成し、100℃、20分の条件で乾燥させた(図6(c)参照)。
【0080】
(4) 上記(3) の処理を終えた基板の片面を、#600のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により、内層銅パターン4の表面やスルーホール9のランド表面に樹脂充填剤10が残らないように研磨し、次いで、上記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
次いで、100℃で1時間、120℃で3時間、150℃で1時間、180℃で7時間の加熱処理を行って樹脂充填剤10を硬化した。
【0081】
このようにして、スルーホール9や導体回路非形成部に形成された樹脂充填材10の表層部および下層導体回路4の表面を平坦化し、樹脂充填材10と下層導体回路4の側面4aとが粗化面を介して強固に密着し、またスルーホール9の内壁面9aと樹脂充填材10とが粗化面を介して強固に密着した絶縁性基板を得た(図6(d)参照)。
【0082】
(5) 上記基板を水洗、酸性脱脂した後、ソフトエッチングし、次いで、エッチング液を基板の両面にスプレイで吹きつけて、下層導体回路4の表面とスルーホール9のランド表面と内壁とをエッチングすることにより、下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを形成した(図7(a)参照)。エッチング液として、イミダゾール銅 (II)錯体10重量部、グリコール酸7重量部、塩化カリウム5重量部からなるエッチング液(メック社製、メックエッチボンド)を使用した。
【0083】
(6) 基板の両面に、上記Aにおいて作製した厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂組成物からなるフィルムを温度160℃、圧力10kgf/cm2 で圧着、積層し、上記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる層間樹脂絶縁層2を形成した(図7(b)参照)。形成された層間樹脂絶縁層の厚さは、30μmであった。
【0084】
(7) 次に、波長0.248μmのエキシマレーザにて、ポリオレフィン系樹脂組成物からなる層間樹脂絶縁層2に直径80μmのバイアホール用開口6を設けた(図7(c)参照)。この後、酸素プラズマを用いてデスミア処理を行った。
なお、バイアホール用開口を設けた後、形成されたバイアホール用開口を顕微鏡で観察したが、開口部内の導体回路の表面に爛れた樹脂等は認められず、開口の径や形状も設定通りであった。
【0085】
(8) 次に、日本真空技術株式会社製のSV−4540を用い、Niをターゲットにしたスパッタリングを、気圧0.6Pa、温度80℃、電力200W、時間5分間の条件で行い、Ni金属層12aを層間樹脂絶縁層2の表面に形成した(図7(d)参照)。このとき、形成されたNi金属層12aの厚さは0.1μmであった。
【0086】
(9) 次に、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に基板を浸漬して、Ni金属層12aの表面全体に厚さ0.6〜1.2μmの無電解銅めっき膜12bを形成した(図8(a)参照)。
〔無電解めっき水溶液〕
NiSO4 0.003 mol/l
酒石酸 0.200 mol/l
硫酸銅 0.030 mol/l
HCHO 0.050 mol/l
NaOH 0.100 mol/l
α、α’−ビピリジル 40 mg/l
ポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l
〔無電解めっき条件〕
35℃の液温で40分
【0087】
(10)市販の感光性ドライフィルムを無電解銅めっき膜12に熱圧着することにより貼り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2 で露光した後、0.8%炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmのめっきレジスト3を設けた(図8(b)参照)。
【0088】
(11)ついで、以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜13を形成した(図8(c)参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 2.24 mol/l
硫酸銅 0.26 mol/l
添加剤 19.5 ml/l
(アトテックジャパン社製、カパラシドHL)
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2
時間 65 分
温度 22±2 ℃
【0089】
(12)めっきレジスト3を5%KOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト3下の無電解めっき膜12を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して溶解除去し、無電解銅めっき膜12と電解銅めっき膜13からなる厚さ18μmの導体回路(バイアホール7を含む)5を形成した(図8(d)参照)。
【0090】
(13)上記 (5)〜(12)の工程を繰り返すことにより、さらに上層の層間樹脂絶縁層と導体回路とを形成した(図9(a)〜図10(b)参照)。
(14)次に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるように溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名:エピコート1001)15.0重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマーである多価アクリルモノマー(日本化薬社製 R604)3重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄社化学社製 DPE6A)1.5重量部、分散系消泡剤(サンノプコ社製、S−65)0.71重量部を容器にとり、攪拌、混合して混合組成物を調製し、この混合組成物に対して光重合開始剤としてベンゾフェノン(関東化学社製)2.0重量部、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学社製)0.2重量部を加えることにより、粘度を25℃で2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト樹脂組成物を得た。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器社製、DVL−B型)で60rpmの場合はローターNo.4、6rpmの場合はローターNo.3によった。
【0091】
(15)次に、多層配線基板の両面に、上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行った後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクフィルムをソルダーレジスト層に密着させ、1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、200μmの直径の開口を形成した。
そして、さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件で加熱処理してソルダーレジスト層を硬化させ、開口を有し、その厚さが20μmのソルダーレジスト層14を形成した。
【0092】
(16)その後、過硫酸ナトリウムを主成分とするエッチング液を毎分2μm程度のエッチング速度になるように濃度を調整した後、このエッチング液に上記工程を経た基板を1分間浸漬し、表面の平均粗度(Ra)を1μmとした。
(17)次に、上記粗化処理を行った基板を、塩化ニッケル(2.3×10-1 mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.8×10-1 mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.6×10-1 mol/l)を含むpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき層15を形成した。さらに、その基板をシアン化金カリウム(7.6×10-3 mol/l)、塩化アンモニウム(1.9×10-1 mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.2×10-1 mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(1.7×10-1 mol/l)を含む無電解めっき液に80℃の条件で7.5分間浸漬して、ニッケルめっき層15上に、厚さ0.03μmの金めっき層16を形成した。
【0093】
(18)この後、ソルダーレジスト層14の開口部に半田ペーストを印刷して、200℃でリフローすることにより半田バンプ17を形成し、半田17を有する多層配線プリント基板を製造した(図10(c)参照)。
【0094】
(比較例1)
有機フィラーが添加されていないほかは、実施例1と同様のポリオレフィン系樹脂が用いられているポリオレフィン系樹脂のフィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして、プリント配線板を得た。
【0095】
(比較例2)
有機フィラーが添加されていないほかは、実施例1と同様のポリオレフィン系樹脂が用いられているポリオレフィン系樹脂のフィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして、プリント配線板を得た。
以上、上記実施例1〜2および比較例1〜2で得られた複数のプリント配線板のうちの一部を、バイアホールを含む位置で切断し、バイアホールの形状および下層導体回路4との接続状態等について観察を行った。
【0096】
また、上記プリント配線板について、相対湿度85%、130℃の雰囲気下で500時間放置する信頼性試験を行った後、同様に、バイアホールを含む位置で切断し、バイアホールの形状および下層導体回路4との接続状態等について観察を行った。
【0097】
その結果、実施例1〜2で得られたプリント配線板では、設定通りの形状であり、導体回路上への樹脂もなく、バイアホールと下層導体回路との剥離の発生は見られなかった。また、信頼性試験の後においても、バイアホールと下層導体回路との剥離の発生は見られなかった。また、プリント配線板を切断する前に導通試験を行ったところ、断線やショートは発見されなかった。
【0098】
一方、比較例1〜2で得られたプリント配線板については、信頼性試験の後において、バイアホール中の金属が下層導体回路から剥離し、導通試験を行ったところ、断線が発見された。
【0099】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明のプリント配線板によれば、プリント配線板の層間樹脂絶縁層が有機フィラーを含有しているので、レーザ照射により目的形状のバイアホール用開口を容易に形成することができ、接続性や信頼性に優れるプリント配線板を提供することができる。
【0100】
また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物によれば、該ポリオレフィン系樹脂組成物は、有機フィラーを含有しているので、このポリオレフィン系樹脂組成物を使用することにより、プリント配線板に有機フィラーを含有する層間樹脂絶縁層を形成することができ、その結果、接続性や信頼性に優れるプリント配線板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、本発明のプリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明のプリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明のプリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明のプリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明のプリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図6】(a)〜(d)は、本発明のプリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図7】(a)〜(d)は、本発明のプリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明のプリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図9】(a)〜(c)は、本発明のプリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図10】(a)〜(c)は、本発明のプリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図11】(a)〜(c)は、従来のプリント配線板の製造工程において、層間樹脂絶縁層にバイアホール用開口を形成するためにレーザ光を照射した場合の状態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2a、2b 無電解めっき用接着剤層
2 層間樹脂絶縁層
4 下層導体回路
4a 粗化面
5 上層導体回路
6 バイアホール用開口
7 バイアホール
8 銅箔
9 スルーホール
9a 粗化面
10 樹脂充填材
11 粗化層
12a Ni金属層
12b 無電解銅めっき層
13 電解めっき層
14 ソルダーレジスト層
15 ニッケルめっき膜
16 金めっき膜
17 ハンダバンプ

Claims (4)

  1. 基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが順次積層形成され、これら導体回路がバイアホールにより接続されたプリント配線板であって、
    前記層間樹脂絶縁層は、球状の有機フィラーとポリオレフィン系樹脂とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物により構成されており、
    前記有機フィラーは、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド(PPO)およびポリフェニレンエーテル(PPE)からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とするプリント配線板。
  2. 基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが順次積層形成され、これら導体回路がバイアホールにより接続されたプリント配線板の前記層間樹脂絶縁層に用いるポリオレフィン系樹脂組成物であって、
    ポリオレフィン系樹脂と球状の有機フィラーとを含有し、
    前記有機フィラーは、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド(PPO)およびポリフェニレンエーテル(PPE)からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. 基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とをバイアホールを介して順次積層形成するプリント配線板の製造方法であって、
    前記層間樹脂絶縁層を形成する際、請求項2記載のポリオレフィン系樹脂組成物からなる樹脂フィルムまたは樹脂ペーストを用いることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
  4. バイアホール用開口を形成する工程において、レーザの照射によりバイアホール用開口を形成する請求項3に記載のプリント配線板の製造方法。
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