JP4438735B2 - フッ素樹脂プリント基板 - Google Patents
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Description
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、10以上の高誘電率を達成できるとともに、基板の厚み精度及びスルーホール信頼性に優れ、基板成形時に基板に膨れが発生しないフッ素樹脂プリント基板を提供することを目的としている。
前記プリプレグ積層体が、フッ素樹脂、チタン酸ストロンチウム及びポリオキシエチレン多環フェニルエーテルを主成分とする界面活性剤1〜2重量%を含む水性ディスパージョンを、Hガラスのガラスクロスに含浸及び乾燥させてなる第1プリプレグを有していることを特徴としている。
この場合、金属箔に接する第2プリプレグは、Hガラスのガラスクロスにフッ素樹脂のみを含浸させたものであって、無機充填剤等が含まれていないため、フッ素樹脂が有するアンカー効果により金属箔とフッ素樹脂との間の密着性が改善されて、密着性のよいプリント基板が得られる。
第1プリプレグ4は、フッ素樹脂7、誘電率が100以上の無機充填剤8及びポリオキシエチレン多環フェニルエーテルを主成分とする界面活性剤を含む水性ディスパージョンを、Hガラスのガラスクロス(Hガラスクロス)6に含浸及び乾燥させてなる。
そして、Hガラスクロス6には、フッ素樹脂7、誘電率が100以上の無機充填剤8及びポリオキシエチレン多環フェニルエーテルを主成分とする界面活性剤を含む水性ディスパージョンが含浸されている。
フッ素樹脂7としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が用いられるが、これ以外にも、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)を用いることができる。
さらに、フッ素樹脂7及び無機充填剤8の分散性、含浸性を向上させるために、水性ディスパージョンにポリオキシエチレン多環フェニルエーテルを主成分とする界面活性剤が添加されている。この界面活性剤として、具体的には、下記式:
第2プリプレグ5は、上述のHガラスクロス6に上述のフッ素樹脂7を含浸及び乾燥させてなる。フッ素樹脂7としては、PTFE及びPFAが用いられる。フッ素樹脂7のみが含浸されて無機充填剤8等が全く含まれない第2プリプレグ5が銅箔3と第1プリプレグ4の間に配置されることにより、フッ素樹脂7が有するアンカー効果により金属箔3とフッ素樹脂7の密着性が改善される。
そして、フッ素樹脂プリント基板1は、銅箔3と第1プリプレグ4の間に、Hガラスクロス6にフッ素樹脂7のみを含浸させた第2プリプレグ5が配置されていることにより、フッ素樹脂7が有するアンカー効果により銅箔3とフッ素樹脂7の密着性が改善され、プリプレグ積層体2と銅箔3との密着性が向上する。
金属箔としては、銅箔4を用いているが、アルミニウム、鉄、ステンレス、ニッケル等の金属又はこれらの合金の箔を使用してもかまわない。
上記実施形態では、プリプレグ積層体2の内層として第1プリプレグ4のみが積層されているが、本発明のフッ素樹脂プリント基板1は、プリプレグ積層体2の少なくとも片面側に銅箔3が配置され、この銅箔3に接して第2プリプレグ5が配置されていればよく、この第2プリプレグ5の銅箔3と接触しない面の下に、第1プリプレグ4と第2プリプレグ5とを交互に積層させてもかまわないし、第1プリプレグ4のみを数枚積層した後、第2プリプレグ5のみを複数枚積層してもかまわない。
誘電率360のチタン酸ストロンチウム(富士チタン工業(株)製ST)を1〜2重量%の界面活性剤(日本乳化剤(株)製Newcol 710)の存在下、平均粒径0.2〜0.5μm、比重2.13〜2.22、比誘電率2.1のPTFE中に配合比約60vol%で均一に混合して水性ディスパージョンを得た。このディスパージョンをガラス坪量140g/m2のHガラスクロス((株)有沢製作所製H1485−545)にディッピング法により含浸させ、次いで約100℃で乾燥して脱水し、次いで305℃でベーキングして界面活性剤を除去し、Hガラスクロス上に未シンター状態の含浸層を形成した。続いて、上記各工程を3回繰り返し、第1プリプレグを得た。この時の樹脂含浸率は、71%であった。
上述のHガラスクロスに、上述のPTFEの水性ディスパージョンをディッピング法により2〜4回含浸させ、最後に比誘電率2.1、比重2.12〜2.17のPFA樹脂(融点300〜310℃)の水性ディスパージョンをディッピング法により含浸させ、約100℃にて脱水後、370℃にてベーキングして界面活性剤を除去して第2プリプレグを得た。
次いで、第1プリプレグを20枚積層させ、その両外側にこの第2プリプレグを配置し、その両外側に銅箔を配置し、次いで焼成温度380℃、成形面圧10MPaの成形条件で80分間焼成及び加圧成形し、実施例1のプリント基板(基板厚み3.2mm)を得た。
無機充填剤として、チタン酸ストロンチウムの代わりに酸化チタン(誘電率120、富士チタン工業(株)製TM−1)を使用する以外は実施例1と同様にして比較例1のフッ素樹脂基板を作製した。
無機充填剤として、チタン酸ストロンチウムの代わりに比較例1と同様の酸化チタンを使用し、界面活性剤としてNewcol 710の代わりにトライトンXを使用する以外は実施例1と同様にして比較例2のフッ素樹脂基板を作製した。
平均粒径1.0μm、比重4.2の酸化チタン粒子を適量の界面活性剤トライトンXの存在下、平均粒径0.2〜0.5μm、比重2.13〜2.22、比誘電率2.1のPTFE中に配合比約60vol%で均一に混合して水性ディスパージョンを得た。このディスパージョンを厚み60μmのEガラスクロス((株)有沢製作所製♯108クロス)にディッピング法により含浸させ、次いで約100℃で乾燥して脱水し、次いで305℃でベーキングして界面活性剤を除去し、Eガラスクロス上に未シンター状態の配合含浸層を形成した。続いて、上記各工程を3回繰り返し、約80μmの粒子含有PTFE層を有する第1プリプレグを得た。この時の樹脂含浸率は、65%であった。
この第1プリプレグ上に、比誘電率2.1、比重2.12〜2.17のPFA樹脂(融点300〜310℃)のみの水性ディスパージョンをディッピング法により含浸させ、約100℃にて脱水後、370℃にてベーキングして界面活性剤を除去し、第1プリプレグ上に未シンター状態のPFA含浸層を形成し、最終的に厚み95μmの第2プリプレグを得た。
次いで、第1プリプレグを8枚積層させ、その両外側にこの第2プリプレグを配置し、その両外側に銅箔を配置し、次いで焼成温度380℃、成形面圧10MPaの成形条件で80分間焼成及び加圧成形し、比較例3のプリント基板を得た。
スルーホール信頼性は、図2のテストパターン(全穴数:200穴(2.54mm格子)ラ2系列、穴径:0.9mmφ、ランド径:1.3mmφ、線幅:0.2mm、ドリル加工条件;回転数:60,000rpm、送り速度:50μm/rev、重ね枚数:2枚)に銅スルーホールめっきをした試験片を作製し、260℃のオイルに10秒間浸漬→20℃の水に10秒間浸漬→エアブローを1サイクルとする熱衝撃を与え、断線までのサイクル回数をカウントした。
2 プリプレグ積層体
3 金属箔(銅箔)
4 第1プリプレグ
5 第2プリプレグ
6 Hガラスクロス
7 フッ素樹脂
8 誘電率が100以上の無機充填剤
Claims (2)
- プリプレグ積層体の少なくとも片面側に、所定の導体パターンを形成する金属箔を配してなる誘電率が10以上のフッ素樹脂プリント基板において、
前記プリプレグ積層体が、フッ素樹脂、チタン酸ストロンチウム及びポリオキシエチレン多環フェニルエーテルを主成分とする界面活性剤1〜2重量%を含む水性ディスパージョンを、Hガラスのガラスクロスに含浸及び乾燥させてなる第1プリプレグを有していることを特徴とするフッ素樹脂プリント基板。 - 前記プリプレグ積層体が、前記第1プリプレグ及びフッ素樹脂をHガラスのガラスクロスに含浸及び乾燥させてなる第2プリプレグを有し、当該第2プリプレグが前記金属箔に接して配置されている請求項1に記載のフッ素樹脂プリント基板。
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