JP4436917B2 - 合成皮革の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、第2に、該セリシン含有樹脂溶液を剥離材上に塗布し、乾燥して表皮層をつくり、該表皮層を繊維質基体上に接着剤を用いて接着して合成皮革とする上記の方法である。
本発明は、第3に、該セリシン含有樹脂溶液を繊維質基体上に塗布し、乾燥して表皮層をつくって合成皮革とする上記の方法である。
本発明は、第4に、極性有機溶剤がジメチルホルムアミドである上記の方法である。
本発明は、第5に、セリシン混合液における水と極性有機溶剤の総量に対する水の割合が20重量%以下である上記の方法である。
本発明は、第6に、繊維質基体に合成樹脂層を積層してなる合成皮革の表面に、該セリシン含有樹脂溶液を塗布し、乾燥して表皮層をつくって合成皮革とする上記の方法である。
(3)セリン水溶液のうち透析膜を透過した物質を除去した後、透析膜を透過しなかった物質を乾燥することにより固体のセリシンを得る。
ここで「独立粒子状態で分散して存在する」とは、粒径3μm以下のセリシン粒子が凝集することなくそれぞれが分離した状態でほぼ均一に存在する状態をいう。特に合成皮革表皮層の表面を1,000倍に拡大した電子顕微鏡で観察したとき、粒径が0.5μm以上の分散粒子数が1cm2当り1.0×106個以上であるものが好ましい。特に好ましい分散粒子数は1cm2当り、1.0×106−1.0×107個である。
本発明の合成皮革は、天然皮革の様なしっとりした触感と、吸湿性、放湿性を有し、且つ外観が良好で、加工安定性に優れている。合成樹脂中のセリシンの粒径が3μmより大きい場合は、合成皮革の外観品位を損なう虞がある。また離型紙を用いて表皮層を形成した場合に表皮層に微凹凸が形成され、離型紙と合成樹脂からなる表皮層に剥離が生じ加工安定性に欠ける虞がある。また、合成樹脂中のセリシンが1.0×106個/cm2未満の場合は、セリシン添加による効果、触感や吸放湿性が得られない虞がある。分散粒子数が1cm2当り1.0×107個を超える場合は、摩耗強度が損なわれ、見栄えも悪くなる虞がある。
また、セリシンを水に溶解して用いることから、添加するセリシンの粒径や形状は特に限定する必要が無くなる。
まずセリシンを水または温水に完全に溶解させて得たセリシン水溶液に、極性有機溶剤を加えてセリシン混合液をつくる。この時、セリシン水溶液のセリシン濃度は80重量%以下が好ましい。80重量%以上となるとセリシン水溶液とした時にセリシンの不溶物が析出し、作製した合成皮革の外観を損なう虞がある。さらにセリシン水溶液の安定性の点で、セリシン濃度は40重量%以下が好ましい。
また、セリシン混合液の水と極性有機溶剤の総量に対する水の割合は20重量%以下が好ましい。水の割合が20重量%より多くなった場合は、樹脂溶液との相溶性が悪く分離する虞がある。
第1の方法は、セリシン含有樹脂溶液を離型紙等の剥離材上に塗布し、乾燥して表皮層をつくり、該表皮層を繊維質基体上に接着剤を用いて積層してセリシンを表皮層に含有する合成皮革を得る方法である。
次に実施例によって本発明を例証する。実施例で用いた測定方法および評価法は下記の通りである。
合成皮革表皮層の表面を1,000倍に拡大した電子顕微鏡写真を撮影する。得られた写真の50μm2における凝集径0.5μm以上のセリシンの数を実測し、1cm2当りの数に換算する。同様の測定を任意の3ヶ所に行い平均値を単位面積当りのセリシンの個数とする。
合成皮革の表皮層を目視し、下記のように評価を行った。
○ 色相が均一で、色ムラ、光沢、柄消えなどの欠点がない。
× 色相が不均一、色ムラ、光沢、柄消えなどの欠点がある。
下記のような官能評価方法を実施した。
○ しっとりとした触感で、且つベトツキ感がない。
△ しっとりとした触感だが、ベトツキ感がある。
× しっとりとした触感が得られない。
105℃で2時間乾燥した試験片を20℃65%RH雰囲気中に2時間放置後重量測定し、下記式にて水分率を算出した。
水分率(%)=(B−A)/A×100
A 105℃で2時間乾燥した試験片の重量(g/m2)
B 20℃65%RH雰囲気中に2時間放置後の試験片重量(g/m2)
105℃で2時間乾燥した試験片を20℃65%RH雰囲気中に2時間放置後重量測定し、次いで40℃90%RH雰囲気中に2時間放置後再び試験片の重量測定を行ったのち、下記式にて吸湿率を算出した。
吸湿率(%)=(B−C)/A×100
A 105℃で2時間乾燥した試験片の重量(g/m2)
B 40℃90%RH雰囲気中に2時間放置後の試験片重量(g/m2)
C 20℃65%RH雰囲気中に2時間放置後の試験片重量(g/m2)
105℃で2時間乾燥した試験片を40℃90%RH雰囲気中に2時間放置後重量測定し、次いで20℃65%RH雰囲気中に2時間放置後再び試験片の重量測定を行ったのち、下記式にて吸湿率を算出した。
放湿率(%)=(B−C)/A×100
A 105℃で2時間乾燥した試験片の重量(g/m2)
B 40℃90%RH雰囲気中に2時間放置後の試験片重量(g/m2)
C 20℃65%RH雰囲気中に2時間放置後の試験片重量(g/m2)
ポリプロピレン系離型紙(フラット形状)のコーティング面をメタノールで洗浄し、表皮層樹脂を厚み200μmでコーティング、100℃で2分間乾燥することにより表皮層を得た。得られた表皮層を離型紙ごとヨコ15センチ、タテ20センチにカットして試験片を作製し、20℃65%RHの雰囲気中で図3のように試験片に負荷荷重50gを設置し、5分間に離型紙から剥離した表皮層の長さを計測した。
セリシン混合液A
セリシンパウダーS(セーレン(株)製)5gを蒸留水5gで溶解後、ジメチルホルムアミド40gを加えてセリシン混合液をつくった。
セリシン混合液B
セリシンパウダーS(セーレン(株)製)18gを蒸留水12gで溶解後、ジメチルホルムアミド40gを加えてセリシン混合液をつくった。
セリシン混合液C
セリシンパウダーS(セーレン(株)製)5gをジメチルホルムアミド45gを加えてセリシン分散液をつくった。
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂 67重量%
(大日本インキ化学工業(株)製 クリスボンNY−361)
セリシン混合液A 33重量%
ポリカーボネート/ポリエステル系ポリウレタン樹脂 67重量%
(大日本インキ化学工業(株)製 クリスボンNY−319)
セリシン混合液B 33重量%
ポリエーテル系ポリウレタン樹脂 66重量%
(大日本インキ化学工業(株)製 ゾルテックス TX−309)
セリシン混合液A 33重量%
ヘキサメチレンジイソシアネート 1重量%
〔処方4〕
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂 66重量%
(大日本インキ化学工業(株)製 クリスボンNY−361)
DMF(水15%含有) 33重量%
ヘキサメチレンジイソシアネート 1重量%
得られた合成皮革の表面に、下記処方5にて作製したセリシン含有樹脂溶液を100g/m2になるようにリバースコーターにてコーティングした後、100℃条件下で2分間乾燥することにより、セリシン含有合成皮革を得た。結果を表1に示す。
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂 33重量%
(大日精化工業(株)製 LU4305 SP)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂 33重量%
(大日精化工業(株)製 LU4347 SP マット)
セリシン混合液B 33重量%
ヘキサメチレンジイソシアネート 1重量%
処方5によるセリシン含有樹脂溶液のコーティングを行わない以外は全て実施例4と同様にして合成皮革を得た。結果を表1に示す。
下記処方6にて、その他工程、条件は実施例1と同様にしてセリシン含有合成皮革を得た。結果を表1に示す。
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂 66重量%
(大日本インキ化学工業(株)製 クリスボンNY−361)
セリシン混合液C 33重量%
ヘキサメチレンジイソシアネート 1重量%
2 合成樹脂
3 表皮層
4 離型紙
5 厚紙台紙
6 クリップ
7 負荷荷重
Claims (6)
- セリシンを水に溶解したセリシン水溶液と極性有機溶剤を混合してセリシン混合液をつくり、該セリシン混合液を合成樹脂溶液に添加してセリシン含有樹脂溶液をつくり、次いで該セリシン含有樹脂溶液を用いて合成皮革の表皮層をつくると共に、合成皮革の表皮層を表面から電子顕微鏡でみたとき、粒径0.5〜3μmのセリシン粒子が1cm 2 当り1.0×10 6 個以上独立粒子として分散して存在することを特徴とする合成皮革の製造方法。
- 該セリシン含有樹脂溶液を剥離材上に塗布し、乾燥して表皮層をつくり、該表皮層を繊維質基体上に接着剤を用いて接着して合成皮革とする請求項1記載の方法。
- 該セリシン含有樹脂溶液を繊維質基体上に塗布し、乾燥して表皮層をつくって合成皮革とする請求項1記載の方法。
- 極性有機溶剤がジメチルホルムアミドである請求項1記載の方法。
- セリシン混合液における水と極性有機溶剤の総量に対する水の割合が20重量%以下である請求項1記載の方法。
- 繊維質基体に合成樹脂層を積層してなる合成皮革の表面に、該セリシン含有樹脂溶液を塗布し、乾燥して表皮層をつくって合成皮革とする請求項1記載の方法。
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