JP4436917B2 - 合成皮革の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、合成皮革に関するもので、特に天然皮革様のしっとりした触感を有し、吸湿性、放湿性に優れ、また加工安定性に優れた表皮層を有する合成皮革の製造方法に関するものである。
天然皮革は人類が古くから利用してきた素材のひとつであり、現在では衣料をはじめ靴、鞄、衣料、家具や自動車内装材などに利用されている。天然皮革の特徴の一つとして人が皮膚に接触しても不快感を示さないしっとりとした触感や、汗によるベタツキ感がない高透湿性、高吸放湿性がある。この特徴を合成皮革で人工的に模倣する試みが現在まで行われているが、天然皮革と同等もしくは上回る性能をもつには至っていない。
しっとりした触感や高吸放湿性を付与する目的で、合成皮革の表皮層に、親水基を導入したポリウレタン、シリコーン変性ポリウレタン、或いはポリアミノ酸ウレタン等を使用した合成皮革が提案されている。
しかし、このような合成皮革は高吸放湿性を得ることができるものの、天然皮革特有のしっとり感を付与するには至っていない。この点を改善するため、特許文献1や特許文献2には、天然皮革やタンパク質(天然コラーゲン粉末)の微粉末を表皮樹脂に練りこんだ合成皮革も提案されているが、天然皮革やタンパク質といった天然物は親水性であるものが多く溶剤系の樹脂や溶融樹脂との相溶性が悪く、天然物が樹脂中に均一に分散しないため、表皮層の表層に天然物が斑状になって見えてしまい外観が著しく損なわれるといった欠点が見られた。
天然物と樹脂との相溶性を改善する手法として、特許文献3には、ポリペプチド結合を有するポリアミノ酸ウレタン樹脂を用いることにより天然物(絹繊維や羊毛繊維の微粉末)との親和性を持たせる方法が開示されている。しかし、ポリアミノ酸ウレタン樹脂を用いることによる方法では、合成皮革に使用される樹脂が制限されるため、強度が要求される用途への利用が難しいという問題がある。また特許文献4には、天然物セリシンの粒径を小さくしたり、形状を球形にしたりすることによって、粒子に滑性を持たせることにより容易に樹脂に均一に分散させる方法が開示されている。しかし、セリシンの粒径を小さくした場合、セリシンの表面積が増すため粉体間の凝集力が強くなり2次凝集、3次凝集を起こしやすく、樹脂に添加したセリシンの凝集物の粒径が添加前のセリシン微粉末の粒径に比べて大きくなるため、合成皮革の表皮層として使用した場合、部分的にセリシンの凝集物が斑状に存在し外観が損なわれる虞がある。また、セリシンが添加された表皮層は、セリシン粒子によって表面に微小な凹凸が形成されるために接着強度が低下し、表皮層をフィルム形成によって形成する場合の加工安定性にかけるという問題があった。
特許第2526055号公報 特許第2812790号公報 特許第2953532号公報 特許第3111290号公報
本発明の目的は、上記のような問題を解決することにあり、特に天然皮革様のしっとりした触感と吸放湿性を有し、且つ外観が良好で加工安定性に優れた合成皮革の製造方法を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、顕著な効果を示す本発明に到達した。
本発明は、第1に、セリシンを水に溶解したセリシン水溶液と極性有機溶剤を混合してセリシン混合液をつくり、該セリシン混合液を合成樹脂溶液に添加してセリシン含有樹脂溶液をつくり、次いで該セリシン含有樹脂溶液を用いて合成皮革の表皮層をつくると共に、合成皮革の表皮層を表面から電子顕微鏡でみたとき、粒径0.5〜3μmのセリシン粒子が1cm 当り1.0×10 個以上独立粒子として分散して存在することを特徴とする合成皮革の製造方法である。
本発明は、第2に、該セリシン含有樹脂溶液を剥離材上に塗布し、乾燥して表皮層をつくり、該表皮層を繊維質基体上に接着剤を用いて接着して合成皮革とする上記の方法である。
本発明は、第3に、該セリシン含有樹脂溶液を繊維質基体上に塗布し、乾燥して表皮層をつくって合成皮革とする上記の方法である。
本発明は、第4に、極性有機溶剤がジメチルホルムアミドである上記の方法である。
本発明は、第5に、セリシン混合液における水と極性有機溶剤の総量に対する水の割合が20重量%以下である上記の方法である。
本発明は、第6に、繊維質基体に合成樹脂層を積層してなる合成皮革の表面に、該セリシン含有樹脂溶液を塗布し、乾燥して表皮層をつくって合成皮革とする上記の方法である。
本発明によれば、合成皮革の表皮材を構成する合成樹脂中に、セリシンが独立した微細粒子としてほぼ均一に分散しているため、合成皮革としての外観が良好で、加工安定性に優れ、且つ天然皮革のようなしっとりとした触感を有し、さらに吸湿性、放湿性に優れた合成皮革を提供することができる。
本発明に用いられる繊維質基体は、合成皮革用繊維質基材として従来公知の合成繊維、再生繊維または/および天然繊維からなる不織布、編物、織物などであり、用途に応じて構成、組織を変更することができる。強度や加工性の点から、繊維質基体は合成繊維からなる編物が好ましく、特にはポリエステル繊維からなる編物が好ましい。
これらの繊維質基体に積層して使用される合成皮革の表皮材を構成する合成樹脂としては、合成皮革用に従来公知の高分子化合物が使用できる。例えば、ポリウレタン樹脂、ポリアミノ酸樹脂、塩化ビニル樹脂、SBR樹脂、NBR樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂(これら樹脂の共重合体および混合物も含む)などが挙げられる。中でも耐摩耗性、風合いなどの観点から、ポリウレタン樹脂(その共重合体、ポリウレタン樹脂を主成分とした混合樹脂も含む)を用いることが好ましく、なかでもポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
合成樹脂には、必要に応じて、従来公知の添加剤、例えば可塑剤、安定剤、充填剤、滑剤、顔料、塗料、発泡剤、離型剤等を含有させても良い。また合成樹脂は溶液として合成皮革の形成に供される。溶液を形成する溶剤は用いる合成樹脂に応じ従来公知の溶剤が適宜用いられる。その典型例は、後記する極性有機溶剤、特に好ましくはジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、スルホランなどである。
本発明において、合成皮革を構成する繊維質基体、その表皮層を形成するための合成樹脂溶液およびそれからの合成皮革の形成条件は、従来公知の技術に従って選択することができる。
本発明に用いられるセリシンは、繭または生糸に含まれる天然蛋白質セリシンに由来するものであり、これらから加水分解して取り出したセリシン(これを「セリシン加水分解物」という場合がある)が好ましい。セリシンのアミノ酸組成は、皮膚角質層の水分調整にかかわる天然保湿因子のアミノ酸組成に類似しており、特に親水性に富むセリンを多く含んでいるため吸湿性が高い。また、放湿性に優れるためべたつきを生じることもない。
セリシン(加水分解物)は、繭または生糸に含有されるセリシンを、酸、アルカリ、あるいは酵素によって部分加水分解して抽出してから、例えば(1)、(2)、または(3)のような方法で得ることができる。特に高純度(好ましくは90%以上)で、分子量が100,000以下、特に好ましくは40,000以下の粉末として得たものが特に好ましい。
(1)セリシン水溶液を有機酸あるいは無機酸によってpH3〜5に調整した後、有機凝集剤あるいは無機凝集剤を添加してセリシンを析出させ、ろ過、乾燥して固体のセリシンを得る。
(2)セリシン水溶液をメタノール、エタノール、ジオキサン等の水溶性溶媒と混合してセリシンを析出させた後、ろ過、乾燥して固体のセリシンを得る。
(3)セリン水溶液のうち透析膜を透過した物質を除去した後、透析膜を透過しなかった物質を乾燥することにより固体のセリシンを得る。
本発明は、上記セリシンの吸放湿性に着目したものであり、セリシンを合成皮革の表皮層に所定の状態および/または所定の方法で添加することにより天然皮革様のしっとりとした触感と、吸放湿性の良好な合成皮革を得ようとするものである。
本発明の合成皮革は、合成皮革を構成する表皮層の合成樹脂中にセリシンを粒径3μm以下の独立粒子状態で分散して存在することを特徴としている。
ここで「独立粒子状態で分散して存在する」とは、粒径3μm以下のセリシン粒子が凝集することなくそれぞれが分離した状態でほぼ均一に存在する状態をいう。特に合成皮革表皮層の表面を1,000倍に拡大した電子顕微鏡で観察したとき、粒径が0.5μm以上の分散粒子数が1cm当り1.0×10個以上であるものが好ましい。特に好ましい分散粒子数は1cm当り、1.0×10−1.0×10個である。
合成皮革の表皮層中にセリシン粉末が凝集物を形成して分散しているイメージ図を図1に、また本発明の合成皮革の表皮層中のセリシン粉末の分散状態を示すイメージ図を図2に示す。
本発明の合成皮革は、天然皮革の様なしっとりした触感と、吸湿性、放湿性を有し、且つ外観が良好で、加工安定性に優れている。合成樹脂中のセリシンの粒径が3μmより大きい場合は、合成皮革の外観品位を損なう虞がある。また離型紙を用いて表皮層を形成した場合に表皮層に微凹凸が形成され、離型紙と合成樹脂からなる表皮層に剥離が生じ加工安定性に欠ける虞がある。また、合成樹脂中のセリシンが1.0×10個/cm未満の場合は、セリシン添加による効果、触感や吸放湿性が得られない虞がある。分散粒子数が1cm当り1.0×10個を超える場合は、摩耗強度が損なわれ、見栄えも悪くなる虞がある。
セリシンを合成皮革の表皮層に添加する方法としては、セリシン粉末を表皮層を形成する合成樹脂に混練分散する方法や、セリシン水溶液を合成樹脂溶液に混合する方法が考えられるが、前者の方法ではセリシンが粉末のため凝集しやすく外観を損なったり加工安定性に欠けたりという問題があり、後者の方法ではセリシン水溶液と合成樹脂溶液との相溶性が劣るため均一に含有させることが困難であった。
本発明においてはセリシンを水に溶解してセリシン水溶液をつくり、これに希釈用の極性有機溶剤を混合してセリシン混合液をつくり、これを表皮層形成用の合成樹脂溶液に加えることによって、セリシンの凝集や、合成樹脂溶液との相溶性を改善することができるのである。
セリシンを一旦水に溶解したセリシン水溶液と希釈用の極性有機溶剤を後記する比率で配合することによってセリシンが溶液から析出しにくくなり、該セリシン混合液を加えた合成樹脂溶液にはセリシンがほぼ均一に分散することになる。
また、該合成樹脂溶液を用いて表皮層を形成した場合、表皮層形成の乾燥工程で合成樹脂から溶剤が揮発して樹脂粘度が高くなることによって合成樹脂中のセリシンが動きにくくなるため、セリシンが凝集することなく均一に分散した状態を保ったままで表皮層が形成できる。
セリシン水溶液との混合に使用する溶剤としては、水と合成樹脂が分離しないようにするため、水と合成樹脂溶液の両方に相溶性のある極性有機溶剤を使用する。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコールなどのアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、スルホランなどの極性有機溶剤、およびそれらを少量の非極性溶剤と混合した状態のものが挙げられる。なかでも、水、合成樹脂溶液との相溶性、コストおよび汎用性の点からジメチルホルムアミドを用いることが好ましい。
このように、セリシンを水溶液に極性有機溶剤を添加してから合成樹脂溶液に添加することによってつくったセリシン含有樹脂溶液からつくった表皮層はセリシンが合成樹脂中に粒径3μm以下の大きさで、1cm当り1.0×10個以上が、ほぼ均一に分散した表皮層である。これにより表皮層に粒径の小さなセリシンが緻密に分布することになり、吸放湿性が良好で、表皮層が摩耗しても機能性の低下が生じにくい合成皮革が得られる。また、表皮層でセリシンが凝集しないため外観品位の良好な合成皮革となる。
また、表皮層だけでなく、セリシンを混合した合成樹脂を有孔表皮層と繊維の間の中間層に使用することによっても透湿性や吸放湿性を付与することが可能である。
また、セリシンを水に溶解して用いることから、添加するセリシンの粒径や形状は特に限定する必要が無くなる。
本発明のセリシンの合成樹脂への添加方法を具体的に説明する。
まずセリシンを水または温水に完全に溶解させて得たセリシン水溶液に、極性有機溶剤を加えてセリシン混合液をつくる。この時、セリシン水溶液のセリシン濃度は80重量%以下が好ましい。80重量%以上となるとセリシン水溶液とした時にセリシンの不溶物が析出し、作製した合成皮革の外観を損なう虞がある。さらにセリシン水溶液の安定性の点で、セリシン濃度は40重量%以下が好ましい。
このときセリシンの分子量は溶解性の点で、特に40,000以下が好ましい。
また、セリシン混合液の水と極性有機溶剤の総量に対する水の割合は20重量%以下が好ましい。水の割合が20重量%より多くなった場合は、樹脂溶液との相溶性が悪く分離する虞がある。
このようにしてつくったセリシン混合液を合成樹脂溶液に添加することによりセリシン含有樹脂溶液を得ることができる。この時、合成樹脂溶液に加えるセリシン混合液の量は任意であり、目的に応じて調整することが可能であるが、セリシン含有樹脂溶液中のセリシン量が20重量%以下となるように調整することが好ましい。セリシン含有樹脂溶液中のセリシン量が20重量%より多い場合は合成皮革の耐摩耗性などの物性が低下する虞がある。
この時、セリシンの固着性を向上する目的で架橋剤を添加してもよく、ポリウレタン樹脂を使用する場合は、脂肪族系化合物であるヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、脂環族系化合物であるジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、芳香族系化合物であるトリレンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などのイソシアネート系架橋剤を用いても良い。
次にセリシンを表皮層に含有する合成皮革の製造工程について述べる。
第1の方法は、セリシン含有樹脂溶液を離型紙等の剥離材上に塗布し、乾燥して表皮層をつくり、該表皮層を繊維質基体上に接着剤を用いて積層してセリシンを表皮層に含有する合成皮革を得る方法である。
接着層には従来公知の高分子化合物が用いられる。例えばポリウレタン樹脂、ポリアミノ酸樹脂、塩化ビニル樹脂、SBR樹脂、NBR樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂(これら樹脂の共重合体および混合物も含む)などが挙げられる。表皮層との接着性、耐久性の観点から、ポリウレタン樹脂やその共重合体、またポリウレタン樹脂を主成分とした混合樹脂を選択することが好ましく、中でもポリカーボネート系ポリウレタン樹脂であって、イソシアネート系化合物によって架橋された二液タイプの湿式硬化型ホットメルト樹脂が好ましい。
また、接着層の形成方法としては、従来公知の例えばスプレー塗布、グラビア塗布、ナイフコーティング、ロールコーティング等による乾式コーティング、またダイレクトコーティングなどの手法で繊維質基体に塗布、または、離型紙上に形成した表皮層に塗布することによって形成可能である。
上記の方法によって得られたセリシン含有表皮層は、セリシンが合成樹脂中に粒径3μm以下で1cm当り1.0×10個以上が、ほぼ均一に分散している状態となっているため、表皮層の表面にセリシンの凝集や斑が形成されることがない。このことにより、離型紙等との接着強度の低下が解消され、セリシン粉末を合成樹脂に混合して形成したセリシン含有表皮層と比べて、曲げ、衝撃等による剥離が起こりにくくなり、柄消え、光沢、表層のしわなどの問題が生じにくくなり加工安定性が向上する。
第2の方法は、セリシン含有樹脂溶液を繊維質基体上に塗布し、乾燥して繊維質基体上に表皮層をつくる方法である。セリシン含有樹脂溶液の塗布方法としては、従来公知のスプレー塗布、グラビア塗布、ナイフコーティング、ロールコーティングによる乾式塗布や湿式塗布が挙げられる。また、セパレーターにてセリシン含有樹脂のフィルムを作製したのち、セリシン含有樹脂または合成樹脂による繊維質基材への乾式ラミネート、湿式ラミネート、およびフィルム単体によるサーマルラミネートでも同様の合成皮革を得ることは可能である。
また、従来の合成皮革(すなわち繊維質基体に合成樹脂層を積層してなる合成皮革)の表面に、本発明の方法により製造されたセリシン含有樹脂溶液をスプレー塗布、グラビア塗布、ナイフコーティング、ロールコーティングによる乾式塗布や湿式塗布することによっても、同様の合成皮革を得ることができる。
〔実施例〕
次に実施例によって本発明を例証する。実施例で用いた測定方法および評価法は下記の通りである。
〔セリシンの粒径および数〕
合成皮革表皮層の表面を1,000倍に拡大した電子顕微鏡写真を撮影する。得られた写真の50μmにおける凝集径0.5μm以上のセリシンの数を実測し、1cm当りの数に換算する。同様の測定を任意の3ヶ所に行い平均値を単位面積当りのセリシンの個数とする。
〔外観〕
合成皮革の表皮層を目視し、下記のように評価を行った。
○ 色相が均一で、色ムラ、光沢、柄消えなどの欠点がない。
× 色相が不均一、色ムラ、光沢、柄消えなどの欠点がある。
〔触感(官能評価)〕
下記のような官能評価方法を実施した。
○ しっとりとした触感で、且つベトツキ感がない。
△ しっとりとした触感だが、ベトツキ感がある。
× しっとりとした触感が得られない。
〔水分率〕
105℃で2時間乾燥した試験片を20℃65%RH雰囲気中に2時間放置後重量測定し、下記式にて水分率を算出した。
水分率(%)=(B−A)/A×100
A 105℃で2時間乾燥した試験片の重量(g/m
B 20℃65%RH雰囲気中に2時間放置後の試験片重量(g/m
〔吸湿性〕
105℃で2時間乾燥した試験片を20℃65%RH雰囲気中に2時間放置後重量測定し、次いで40℃90%RH雰囲気中に2時間放置後再び試験片の重量測定を行ったのち、下記式にて吸湿率を算出した。
吸湿率(%)=(B−C)/A×100
A 105℃で2時間乾燥した試験片の重量(g/m
B 40℃90%RH雰囲気中に2時間放置後の試験片重量(g/m
C 20℃65%RH雰囲気中に2時間放置後の試験片重量(g/m
〔放湿性〕
105℃で2時間乾燥した試験片を40℃90%RH雰囲気中に2時間放置後重量測定し、次いで20℃65%RH雰囲気中に2時間放置後再び試験片の重量測定を行ったのち、下記式にて吸湿率を算出した。
放湿率(%)=(B−C)/A×100
A 105℃で2時間乾燥した試験片の重量(g/m
B 40℃90%RH雰囲気中に2時間放置後の試験片重量(g/m
C 20℃65%RH雰囲気中に2時間放置後の試験片重量(g/m
〔接着強度〕
ポリプロピレン系離型紙(フラット形状)のコーティング面をメタノールで洗浄し、表皮層樹脂を厚み200μmでコーティング、100℃で2分間乾燥することにより表皮層を得た。得られた表皮層を離型紙ごとヨコ15センチ、タテ20センチにカットして試験片を作製し、20℃65%RHの雰囲気中で図3のように試験片に負荷荷重50gを設置し、5分間に離型紙から剥離した表皮層の長さを計測した。
〔セリシン混合液の作製〕
セリシン混合液A
セリシンパウダーS(セーレン(株)製)5gを蒸留水5gで溶解後、ジメチルホルムアミド40gを加えてセリシン混合液をつくった。
セリシン混合液B
セリシンパウダーS(セーレン(株)製)18gを蒸留水12gで溶解後、ジメチルホルムアミド40gを加えてセリシン混合液をつくった。
セリシン混合液C
セリシンパウダーS(セーレン(株)製)5gをジメチルホルムアミド45gを加えてセリシン分散液をつくった。
下記処方1にてセリシン含有樹脂溶液を作製し、ジメチルホルムアミドを加え粘度2,000cpsにした溶液を、離型紙へ塗布厚200μmになるようにコーティングした後、100℃条件下で2分間乾燥することにより、セリシン含有表皮層を得た。
作製したセリシン含有表皮層にポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業(株)製 クリスボン TA−205)にジメチルホルムアミドを加え粘度5,000cpsに調整した接着剤を塗布厚200μmになるようコーティングした後、100℃条件下で1分間乾燥し、ポリエステルトリコット布へ4kgf/cm条件下1分間プレス圧着することにより、セリシン含有合成皮革を得た。結果を表1に示す。
〔処方1〕
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂 67重量%
(大日本インキ化学工業(株)製 クリスボンNY−361)
セリシン混合液A 33重量%
下記処方2にて作製したセリシン含有表皮層と接着剤としてポリエーテル/ポリエステル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業(株)製 クリスボン TA−465)を用いた以外のその他工程、条件は実施例1と同様にして、セリシン含有合成皮革を得た。結果を表1に示す。
〔処方2〕
ポリカーボネート/ポリエステル系ポリウレタン樹脂 67重量%
(大日本インキ化学工業(株)製 クリスボンNY−319)
セリシン混合液B 33重量%
下記処方3にて作製したセリシン含有表皮層と接着剤としてポリエーテル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業(株)製 クリスボン TA−265)を用いた以外のその他工程、条件は実施例1と同様にして、セリシン含有合成皮革を得た。結果を表1に示す。
〔処方3〕
ポリエーテル系ポリウレタン樹脂 66重量%
(大日本インキ化学工業(株)製 ゾルテックス TX−309)
セリシン混合液A 33重量%
ヘキサメチレンジイソシアネート 1重量%
下記処方4にて、その他の工程、条件は実施例1と同様にして合成皮革を得た。
〔処方4〕
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂 66重量%
(大日本インキ化学工業(株)製 クリスボンNY−361)
DMF(水15%含有) 33重量%
ヘキサメチレンジイソシアネート 1重量%
得られた合成皮革の表面に、下記処方5にて作製したセリシン含有樹脂溶液を100g/mになるようにリバースコーターにてコーティングした後、100℃条件下で2分間乾燥することにより、セリシン含有合成皮革を得た。結果を表1に示す。
〔処方5〕
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂 33重量%
(大日精化工業(株)製 LU4305 SP)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂 33重量%
(大日精化工業(株)製 LU4347 SP マット)
セリシン混合液B 33重量%
ヘキサメチレンジイソシアネート 1重量%
[比較例1]
処方5によるセリシン含有樹脂溶液のコーティングを行わない以外は全て実施例4と同様にして合成皮革を得た。結果を表1に示す。
[比較例2]
下記処方6にて、その他工程、条件は実施例1と同様にしてセリシン含有合成皮革を得た。結果を表1に示す。
〔処方6〕
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂 66重量%
(大日本インキ化学工業(株)製 クリスボンNY−361)
セリシン混合液C 33重量%
ヘキサメチレンジイソシアネート 1重量%
セリシン粉末が凝集物の状態で合成樹脂に分散している概念図である。 本発明のセリシンを合成樹脂に分散させた概念図である。 接着強度測定方法の概念図である。 本発明の合成皮革表皮層の電顕写真
符号の説明
1 セリシン
2 合成樹脂
3 表皮層
4 離型紙
5 厚紙台紙
6 クリップ
7 負荷荷重

Claims (6)

  1. セリシンを水に溶解したセリシン水溶液と極性有機溶剤を混合してセリシン混合液をつくり、該セリシン混合液を合成樹脂溶液に添加してセリシン含有樹脂溶液をつくり、次いで該セリシン含有樹脂溶液を用いて合成皮革の表皮層をつくると共に、合成皮革の表皮層を表面から電子顕微鏡でみたとき、粒径0.5〜3μmのセリシン粒子が1cm 当り1.0×10 個以上独立粒子として分散して存在することを特徴とする合成皮革の製造方法。
  2. 該セリシン含有樹脂溶液を剥離材上に塗布し、乾燥して表皮層をつくり、該表皮層を繊維質基体上に接着剤を用いて接着して合成皮革とする請求項1記載の方法。
  3. 該セリシン含有樹脂溶液を繊維質基体上に塗布し、乾燥して表皮層をつくって合成皮革とする請求項1記載の方法。
  4. 極性有機溶剤がジメチルホルムアミドである請求項1記載の方法。
  5. セリシン混合液における水と極性有機溶剤の総量に対する水の割合が20重量%以下である請求項1記載の方法。
  6. 繊維質基体に合成樹脂層を積層してなる合成皮革の表面に、該セリシン含有樹脂溶液を塗布し、乾燥して表皮層をつくって合成皮革とする請求項1記載の方法。
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