JP4436144B2 - 軸継手 - Google Patents

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Description

この発明は、互いに平行な2軸を連結して2軸間で動力を伝達する軸継手に関する。
一般的な機械装置の2つの軸を連結して駆動側から従動側へ動力を伝達する軸継手は、連結する2軸の位置関係によって構造が異なり、2軸が1直線上にあるもの、交差するもの、互いに平行な(かつ同心でない)ものに大別される。
このうちの平行な2軸を連結する軸継手としては、オルダム継手がよく知られている。しかし、このオルダム継手は、大きな動力を伝達すると、2軸間に介装されるスライダどうしの摩擦面に潤滑不良が生じて動力伝達がスムーズに行われなくなる場合があるし、大きな偏心量(2軸の径方向のずれ量)を許容できない問題もある。
また、オルダム継手以外では、軸方向で対向する2つの回転部材(ディスク)間にプレートを挿入し、このプレートの表裏面の複数箇所に直動ガイドをその作動方向がプレートの表裏で互いに直交するように配し、プレートと直動ガイドを介して両回転部材間で動力を伝達する機構が提案されている(特許文献1参照。)。
この機構を採用すれば、直動ガイドの長さを変えるだけで必要な偏心量を得ることができるし、直動ガイド内の相対移動面に複数の鋼球を配することにより、大きな動力をスムーズに伝達することもできる。しかし、直動ガイドを多数使用するため、製造コストがかなり高くなるし、直動ガイドを精度よく組み付けることが難しく、組付作業に非常に手間がかかるようになる。
そこで、本出願人は、本発明より先に、軸方向で対向する2つの回転部材の対向面に複数の案内溝を相手側の案内溝と直交するように設け、両回転部材の案内溝の交差位置に配した転動体を介して両回転部材間で動力を伝達する軸継手を提案した(特願2003−392145号)。
この軸継手は、両回転部材の案内溝の交差位置に配された転動体が、保持器に回転部材径方向の移動を拘束された状態で、駆動側の回転部材に押され、案内溝内を転動しながら従動側の回転部材を押して動力を伝達する。従って、動力伝達時の摩擦抵抗が少なく、大きな動力を伝達できるし、案内溝の長さを変えるだけで必要な偏心量を得られる。また、両回転部材間の部品が転動体と保持器だけのため、製造コストが安く、組付性も良い等、多くの特長を有している。
ところで、この軸継手では、動力伝達時の軸方向のガタつきを防止するために、両回転部材の軸方向間隔の変化を拘束する軸方向拘束機構を設けることが望ましい。そして、この軸方向拘束機構としては、図4に示すように、各回転部材51、52の対向面と反対側に拘束部材53、54を配し、両拘束部材53、54を各回転部材51、52にあけた案内孔55、56に通される連結部材57で連結したものを提案した。
上記軸方向拘束機構では、両回転部材51、52が偏心している場合、連結部材57が継手の回転に伴って各回転部材51、52の案内孔55、56内を移動する。このため、通常は、連結部材57と案内孔55、56との間に適度の隙間58、59を設けて連結部材57の噛み込みを防止している。しかし、この隙間58、59を設けたことにより、動力伝達時には、連結部材57が案内孔55、56の内側面に接離し、その接触に伴って音や振動が発生することがあり、この点に若干の改善の余地があった。
特開2003−260902号公報
この発明の課題は、平行な2軸間で互いに直交する案内溝内を転動する転動体を介して動力を伝達する方式の軸継手において、動力伝達動作をより滑らかにすることである。
上記の課題を解決するため、この発明は、軸方向で対向し、回転軸が互いに平行でかつ同心でない状態に保持される2つの回転部材のそれぞれの対向面に、複数の案内溝を相手側の回転部材の対応する位置の案内溝と直交するように設け、前記両回転部材の案内溝が交差する位置に、各案内溝に案内されて転動する転動体を配し、これらの各転動体の回転部材径方向の移動を拘束する保持器を設けるとともに、前記各回転部材の対向面と反対側に配した拘束部材を各回転部材にあけた案内孔に通される連結部材で連結して成る軸方向拘束機構を設け、前記両回転部材の軸方向間隔の変化を拘束しながら、前記各転動体を介して両回転部材間で動力を伝達するようにした軸継手において、前記軸方向拘束機構の連結部材の外周面と前記各回転部材の案内孔の内側面の少なくとも一方に、弾性部材を取り付けたのである。
すなわち、連結部材外周面と案内孔内側面の少なくとも一方に弾性部材を取り付けることにより、動力伝達時に連結部材が案内孔内をその内側面と接離しながら移動しても、その接触の衝撃が弾性部材で緩和されて音や振動が生じにくいようにしたのである。
上記の構成において、前記弾性部材は、摺動性の高い材料で形成することが望ましい。ここで、前記弾性部材の素材となる摺動性の高い材料としては、ゴム基材にフッ素系材料を添加したものを採用することができる。
この発明の軸継手は、上述したように、軸方向拘束機構の連結部材の外周面と連結部材を通す各回転部材の案内孔の内側面の少なくとも一方に弾性部材を取り付けて、連結部材が案内孔の内側面と接触するときの衝撃を緩和するようにしたものであるから、連結部材が案内孔内を移動するときも音や振動が発生しにくく、滑らかに動力伝達を行うことができる。
また、前記弾性部材を摺動性の高い材料で形成することにより、連結部材が案内孔と摺動するときの摩擦抵抗を小さくするとともに、弾性部材の摩耗を小さくして連結部材と案内孔との隙間の拡大によるガタつきの発生を抑え、動力伝達動作をより滑らかにすることができる。
以下、図1乃至図3に基づき、この発明の実施形態を説明する。この軸継手は、図1(a)および図1(b)に示すように、軸方向で対向し、回転軸が互いに平行な状態に保持される入出力軸A、Bのそれぞれの軸端部に嵌め込まれる回転部材としてのプレート1、2と、両プレート1、2間に配される複数の転動体としての鋼球3と、各鋼球3のプレート径方向の移動を拘束する環状の保持器4とを備え、各鋼球3を介して両プレート1、2間で動力を伝達するものである。なお、図1は、説明上、入出力軸A、Bが同心の状態を示しているが、通常は後述するように入出力軸A、Bの回転軸がずれた(偏心した)状態で使用される。
前記各プレート1、2は、それぞれ筒部で入力軸Aおよび出力軸Bの軸端部外周に嵌め込まれ、軸方向で対向する状態で固定されている。各プレート1、2の対向面には、それぞれ6つの案内溝5、6が、相手側のプレートの対応する位置の案内溝と直交し、プレート径方向と45度をなす方向に直線状に延びるように設けられ、前記保持器4には、各案内溝5、6と対応する位置に、径方向と直交する方向に直線状に延びる長孔7が設けられている。各プレート1、2の案内溝5、6および保持器4の長孔7は、入出力軸A、Bの回転軸がずれる際のプレート径方向の最大移動距離に鋼球3の直径を加えた長さに形成されている。これにより、両プレート1、2の案内溝5、6の交差位置に配された鋼球3が、保持器4の長孔7に収納された状態で案内溝5、6に案内されて転動する。
また、この軸継手には、前記両プレート1、2の軸方向間隔の変化を拘束するための3つの軸方向拘束機構8と、継手内部に潤滑材を保持するとともに継手外部からの異物の侵入を防止するための外径ブーツ9、内径シール10、外カバー11および内カバー12が設けられている。
図2にも示すように、前記各軸方向拘束機構8は、各プレート1、2の対向面と反対側に配される2枚の拘束板(拘束部材)8a、8bと、入力側の拘束板8aと一体に形成され、各プレート1、2、保持器4および出力側の拘束板8bを貫通する連結部材としてのピン8cと、ピン8c先端部とねじ結合するロックナット8dとから成り、ロックナット8dを締め込むことにより、両側の拘束板8a、8bで両プレート1、2を挟み付けるようになっている。
この軸方向拘束機構8のピン8cは、胴部の外周面が弾性部材8eで覆われている。弾性部材8eの素材としては、ゴム基材にフッ素系材料を添加してゴムの弾性を保持したまま摺動性を高めたもの(例えば、NTN精密樹脂社製のベアリーER3600やベアリーER3201)を用いている。
一方、各プレート1、2には、軸方向拘束機構8のピン8cを通す案内孔13、14が、案内溝5、6と同様に、プレート径方向と45度をなす方向に直線状に延びるように形成されている。そして、各案内孔13、14とピン8cとの間には適度の隙間17、18が設けられ、ピン8cの噛み込みが生じないようになっている。また、各プレート1、2の拘束板8a、8bとの対向面には、案内孔13、14の周縁に沿って拘束板8a、8bが嵌まり込む凹部15、16が設けられている。
なお、前記保持器4は、軸方向拘束機構8のピン8cを案内する必要がないので、ピン8cを通す孔19は、ピン8cと接触しないように、ピン8c外径よりかなり大きく形成されている。
この軸継手は、上記の構成であり、入力軸Aが回転駆動されて、これに固定されたプレート1が回転すると、この入力側プレート1の案内溝5に周方向から押された鋼球3が、保持器4でプレート径方向の移動を拘束された状態で、出力軸Bに固定されたプレート2の案内溝6を押して出力側プレート2を回転させることにより、出力軸Bに動力が伝達される。なお、入力軸Aの回転方向が変わったり、入出力軸A、Bの駆動側と従動側が逆になっても、同じメカニズムで動力伝達が行われる。
上記の動力伝達のメカニズムは、図3(a)、図3(b)に示すように入出力軸A、Bの回転軸がずれた通常の使用状態でも、基本的に同じである。図3の状態では、各プレート1、2の回転軸のずれにより、案内溝5、6の交差位置がプレート周方向で変化しており、各鋼球3が案内溝5、6および保持器4の長孔7内を転動しながら両プレート1、2間の動力伝達を行っている。
このとき、軸方向拘束機構8は、ピン8cがプレート1、2の案内孔13、14内を移動し、各拘束板8a、8bがプレート凹部15、16と摺動して、両プレート1、2の軸方向間隔の変化を拘束した状態が維持される。また、ピン8cが案内孔13、14内を移動する際には、案内孔13、14内側面と接触したり離れたりするが、その接触の衝撃はピン8c外周の弾性部材8eで緩和される。
すなわち、この軸継手では、軸方向拘束機構8のピン8cが案内孔13、14内を移動するときも音や振動が生じにくく、滑らかに動力伝達を行うことができる。
また、ピン8c外周の弾性部材8eが摺動性の高い材料で形成されているので、ピン8cが案内孔13、14と摺動するときの摩擦抵抗が小さいし、弾性部材8eの摩耗も小さく、ピン8cと案内孔13、14との隙間17、18の拡大によるガタつきの発生を抑えることができる。これにより、動力伝達動作は一層滑らかなものとなっている。
上述した実施形態では、軸方向拘束機構のピンと案内孔との接触の衝撃を緩和する弾性部材をピン外周面に取り付けたが、案内孔の内側面に取り付けてもよいし、ピン外周面と案内孔内側面の両方に取り付けるようにしてもよい。
また、弾性部材は、一般的なゴムやプラスチックで形成することもできるが、動力伝達動作を滑らかにするうえでは、実施形態のように摺動性の高い材料で形成することが望ましい。
実施形態の軸継手の要部の側面図(回転軸が同心) 図1(a)のI−I線に沿った断面図 図1(b)の軸方向拘束機構とその周辺部を拡大して示す正面断面図 図1の軸継手の使用状態を示す要部の側面図(回転軸が偏心) 図3(a)のIII−III線に沿った断面図 従来の軸継手の軸方向拘束機構とその周辺部の正面断面図
符号の説明
1、2 プレート
3 鋼球
4 保持器
5、6 案内溝
7 長孔
8 軸方向拘束機構
8a、8b 拘束板
8c ピン
8d ロックナット
8e 弾性部材
13、14 案内孔
15、16 凹部
17、18 隙間
A 入力軸
B 出力軸

Claims (3)

  1. 軸方向で対向し、回転軸が互いに平行でかつ同心でない状態に保持される2つの回転部材のそれぞれの対向面に、複数の案内溝を相手側の回転部材の対応する位置の案内溝と直交するように設け、前記両回転部材の案内溝が交差する位置に、各案内溝に案内されて転動する転動体を配し、これらの各転動体の回転部材径方向の移動を拘束する保持器を設けるとともに、前記各回転部材の対向面と反対側に配した拘束部材を各回転部材にあけた案内孔に通される連結部材で連結して成る軸方向拘束機構を設け、前記両回転部材の軸方向間隔の変化を拘束しながら、前記各転動体を介して両回転部材間で動力を伝達するようにした軸継手において、前記軸方向拘束機構の連結部材の外周面と前記各回転部材の案内孔の内側面の少なくとも一方に、弾性部材を取り付けたことを特徴とする軸継手。
  2. 前記弾性部材を、摺動性の高い材料で形成したことを特徴とする請求項1に記載の軸継手。
  3. 前記弾性部材の素材として、ゴム基材にフッ素系材料を添加したものを用いたことを特徴とする請求項2に記載の軸継手。
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