JP4436135B2 - 新規タンパク質 - Google Patents

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Description

本発明は、新しい細菌ウイルス(バクテリオファージ)ライシン(溶解素、lysin)と、それを含む医薬組成物に関する。
また本発明は、病原性クロストリジウム(Clostridium)細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)に関係する疾患を治療する方法に関する。
さらに本発明は、病原性クロストリジウム細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンスを破壊する方法に関する。
また本発明は、バクテリオファージのライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主に関する。
さらに本発明は、試料中のクロストリジウム細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンスを検出する方法に関する。
クロストリジウム・パーフリンジェンスは、壊疽性腸炎、ガス壊疸および食中毒を含むさまざまな障害の原因となる病原性細菌である。クロストリジウム・パーフリンジェンス(C.perfringens)は主として土壌生物である。クロストリジウム・パーフリンジェンスは重要な病原性嫌気性生物である。体内には(例えば腸管内および口腔内に)、概して嫌気性である生息場所がいくつかあり、そこには常在微生物叢の一部として偏性嫌気性細菌を見いだすことができる。しかし身体の他の部分は、損傷部位への血液供給の減少をもたらす組織損傷または外傷の結果として嫌気性になる場合もあり、クロストリジウム・パーフリンジェンスなどの偏性嫌気性生物は、そのような嫌気性部位を、定着に利用することができるようになる。
動物の腸管内にクロストリジウム・パーフリンジェンスが存在すると、例えば壊疽性腸炎、食中毒および成長遅延などが起こりうる。特に、家禽(とりわけブロイラー鶏)の腸管におけるクロストリジウム・パーフリンジェンスの存在は、腸病変や壊疽性腸炎などのさまざまな状態と関連づけられており、家禽の成長に著しい抑制をもたらしうる。
またクロストリジウム・パーフリンジェンスはガス壊疽の原因微生物でもあり、ガス壊疸は、組織の損傷または外傷により、クロストリジウム・パーフリンジェンスなどの偏性嫌気性生物の定着に適した嫌気性環境が生じた結果として起こりうる。
ウイルス全般と同様に、バクテリオファージもRNAゲノム(たいていは小さくて一本鎖)を有するもの、小さいDNAゲノム(一般的には10kb未満で、たいていは一本鎖)を有するもの、および中ぐらい〜大きいDNAゲノム(30〜200kb)を有するものに分類することができる。
バクテリオファージ中の遺伝子は、初期遺伝子群と後期遺伝子群に分かれてクラスターを形成している。
ビルレントファージの場合、ファージDNA合成と宿主DNA分解に必要な産物(例えばヌクレオチド代謝を媒介するものや、複製複合体を構成するタンパク質など)をコードする遺伝子はすべて、感染後直ちに発現される。時間が経つにつれて、初期合成はシャットオフされ、ウイルス粒子成分をコードする他の遺伝子と溶解遺伝子が活性化される。初期遺伝子のシャットオフは、転写レベルでも翻訳レベルでも達成される。
テンペレートファージの場合、ファージは溶原性を示しうる。その場合は、感染時に、宿主ゲノムへのファージの組み込みを引き起こす遺伝子群のスイッチが入り、その結果、ファージはこの手段によって間接的に増幅される。いったん確立された溶原状態は極めて安定である。溶原性細菌宿主を傷つける環境事象は、溶原状態の崩壊を引き起こすことができ、組み込まれたファージの溶菌サイクルを誘発することができる。ファージは、この時点で、溶菌サイクルを引き起こす遺伝子(初期と後期の両方)に切り替わる。
ビルレントファージでも、テンペレートファージでも、後期遺伝子群がいったん発現すると、ウイルス粒子を組み立てる準備に入る。頭部、尾部、テールファイバーおよびテールファイバーの付加を触媒する可溶性タンパク質がすべて別個に製造される。典型的にはまず頭部と尾部が組み合わされて複合体を形成し、最後にその複合体にテールファイバーが付加される。
このサイクルの最終段階は、培地中にウイルス粒子を放出する細胞溶解である。溶解には通常、2つの遺伝子産物、すなわち強固なムレイン層中のN−アセチルグルコサミンをつないでいる結合を攻撃するライシンと、内膜に孔を開けてライシンがその基質に到達できるようにするホリン(holin)とが必要である。
したがってバクテリオファージのライシンは、ファージがコードしている細胞壁加水分解酵素であり、ファージ増殖の溶菌サイクルにおいて後期遺伝子発現中に合成され、細菌のペプチドグリカンを分解することにより、感染細胞からの子孫ウイルス粒子の放出をもたらす。
EP 0 510 907には、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)のファージに由来するライシンと、バクテリオファージそのものを実質的に含まない前記ライシンの製剤とが、リステリア・モノサイトゲネス(L.monocytogenes)の破壊方法と共に、開示されている。EP 0 510 907はクロストリジウム・チロブチリカム(Clostridium tyrobutyricum)のファージに由来するライシンの使用も示唆しているが、その明細書には、そのような単離されたライシンを取得する方法も、その配列も、記載されていない。
WO 00/11472には、タンパク質および/または酵素の細胞壁結合ドメインを使った検出方法が教示されている。
クロストリジウム・パーフリンジェンスに感染するバクテリオファージの溶菌サイクルは、本発明までほとんど研究されていなかった。
本明細書で使用する用語「バクテリオファージ」は、用語「ファージ」と可換であるとみなすべきである。
本発明の重要な知見は、病原性クロストリジウム細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンスへの定着能を有するバクテリオファージに由来するライシンをコードするヌクレオチド配列の同定およびその配列決定、ならびに病原性クロストリジウム細菌、特に病原性クロストリジウム・パーフリンジェンスを溶解するための前記ライシンの使用である。
一態様として、本発明は、クロストリジウム・パーフリンジェンスへの定着できるバクテリオファージから取得可能なライシンに関する。前記ライシンは、好ましくは、実質的に純粋な形態をとっている。
さらに本発明は、配列番号2に示すアミノ酸配列またはその変異体、ホモログもしくは誘導体を含む実質的に純粋な形態のライシンに関する。
さらにもう一つの態様として、本発明は、配列番号2に示すアミノ酸配列またはその変異体、ホモログもしくは誘導体を含むライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸に関する。
さらにもう一つの態様として、本発明は、ライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸であって、前記ヌクレオチド配列が配列番号1に示す配列またはその変異体、ホモログもしくは誘導体である核酸に関する。
さらにもう一つの態様として、本発明は、以下のヌクレオチド配列から選択されるヌクレオチド配列を含む核酸に関する。
(a)配列番号1に記載のヌクレオチド配列、
(b)配列番号1に記載のヌクレオチドの変異体、ホモログ、誘導体または断片であるヌクレオチド配列、
(c)配列番号1に記載のヌクレオチド配列の相補鎖であるヌクレオチド配列、
(d)配列番号1に記載のヌクレオチド配列の変異体、ホモログ、誘導体または断片の相補鎖であるヌクレオチド配列、
(e)配列番号1に記載のヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列、
(f)配列番号1に記載のヌクレオチド配列の変異体、ホモログ、誘導体または断片にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列、
(g)配列番号1に記載のヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列の相補鎖であるヌクレオチド配列、
(h)配列番号1に記載のヌクレオチド配列の変異体、ホモログ、誘導体または断片にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列の相補鎖であるヌクレオチド配列、
(i)配列番号1に記載のヌクレオチド配列の相補鎖にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列、
(j)配列番号1に記載のヌクレオチド配列の変異体、ホモログ、誘導体または断片の相補鎖にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列、
(k)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)および/または(j)のいずれか1つを含むヌクレオチド配列。
さらにもう一つの態様として、本発明は、ライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸であって、前記ヌクレオチド配列が、
(a)配列番号1に示す配列を含むヌクレオチド配列、
(b)高いストリンジェンシーの条件下および/または中程度のストリンジェンシーの条件下で配列番号1に示す配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、および
(c)遺伝コードの縮重によって配列番号1のヌクレオチド配列に関係づけられるヌクレオチド配列
からなる群より選択される核酸に関する。
さらにもう一つの態様として、本発明は、本発明のヌクレオチド配列を含む核酸の発現によって取得可能であるか、または取得される、実質的に純粋なライシンに関する。
さらにもう一つの態様として、本発明は、本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主を提供する。
EP 0 510 907には、リステリア・モノサイトゲネスのファージのライシンを発現させるための手段によって形質転換された微生物宿主が開示されている。EP 0 510 907が教示する内容は本発明に適合させることができる。
本発明のさらにもう一つの態様は、配列番号1に示すヌクレオチド配列またはその変異体、ホモログもしくは誘導体を含む核酸で形質転換された宿主を提供する。
さらに本発明は、本発明の宿主を培養することによって得られるライシンも提供する。このライシンは、好ましくは、実質的に純粋な形態をとっている。
さらにもう一つの態様として、本発明は、本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主を含む組成物、好ましくは医薬組成物に関する。
また本発明は、医薬品として使用される、本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主に関する。
さらにもう一つの態様として、本発明は、クロストリジウム属の病原種、好ましくはクロストリジウム・パーフリンジェンスに関係する障害、疾患または状態を処置するための医薬品の製造における、本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む核酸を含む核酸で形質転換された宿主の使用に関する。
さらにもう一つの態様として、本発明は、家禽、好ましくはニワトリの腸管内に存在するクロストリジウム属の病原種、好ましくは病原性クロストリジウム・パーフリンジェンスが引き起こす低体重増加を処置するための医薬品の製造における、本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチドを含む核酸で形質転換された宿主の使用に関する。
さらにもう一つの態様として、本発明は、家禽、好ましくはニワトリの腸管内に存在するクロストリジウム属の病原種、好ましくは病原性クロストリジウム・パーフリンジェンスが引き起こす低体重増加を処置するための医薬品の製造における、配列番号2に示すアミノ酸配列またはそれと少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含む実質的に純粋な形態のライシンの使用に関する。
さらに本発明は、本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主を含む医薬品に関する。
さらに本発明は、配列番号2に示すアミノ酸配列もしくはそれと少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含む実質的に純粋な形態のライシンおよび/または配列番号2に示すアミノ酸配列もしくはそれと少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含むライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主を含む医薬品に関する。
さらにもう一つの態様として、本発明は、処置を必要とする対象の障害、疾患または状態を処置する方法であって、有効量の本発明のライシン、および/または有効量の、本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主、または本発明の組成物を、前記対象に投与することを含む方法に関する。
さらにもう一つの態様として、本発明は、家禽、特にニワトリの低重量増加を処置する方法であって、有効量の本発明のライシン、および/または有効量の、本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主、または本発明の組成物を、前記家禽に投与することを含む方法に関する。
さらにもう一つの態様として、本発明は、家禽、好ましくはニワトリの減少した体重増加を処理する方法であって、有効量の、配列番号2に示すアミノ酸配列もしくはそれと少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含む実質的に純粋な形態のライシンおよび/または配列番号2に示すアミノ酸配列もしくはそれと少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含むライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主を、前記家禽に投与することを含む方法に関する。
また本発明は、1つ以上の区画を含む医薬パックであって、少なくとも1つの区画が、1つ以上の本発明のライシン、および/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された1つ以上の宿主、または本発明の組成物を含む医薬パックに関する。
また本発明は、1つ以上の区画を含む医薬パックであって、少なくとも1つの区画が、配列番号2に示すアミノ酸配列もしくはそれと少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含む実質的に純粋な形態の1つ以上のライシンおよび/または配列番号2に示すアミノ酸配列もしくはそれと少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含むライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された1つ以上の宿主を含む医薬パックに関する。
もう一つの態様として、本発明は、医薬組成物の製造方法であって、1つ以上の本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された1つ以上の宿主を、薬学的に許容できる希釈剤、賦形剤または担体と混合することを含む方法に関する。
もう一つの態様として、本発明は、医薬組成物の製造方法であって、配列番号2に示すアミノ酸配列もしくはそれと少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含む実質的に純粋な形態の1つ以上のライシンおよび/または配列番号2に示すアミノ酸配列もしくはそれと少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含むライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された1つ以上の宿主を、薬学的に許容できる希釈剤、賦形剤または担体と混合することを含む方法に関する。
さらに本発明は、クロストリジウム属の病原性細菌を破壊する方法であって、実質的に純粋な本発明のライシンまたは本発明の組成物を使って病原性クロストリジウム細菌を溶解することを含む方法に関する。
さらに本発明は、クロストリジウム属の病原性細菌を破壊する方法であって、配列番号2に示すアミノ酸配列もしくはそれと少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含む実質的に純粋な形態のライシンまたは前記ライシンを含む組成物を使って病原性クロストリジウム細菌を溶解することを含む方法に関する。
さらにもう一つの態様として、本発明は、本発明のヌクレオチオド配列と、適切な宿主中でコード配列を発現させるためにそれに付随している調節領域とを含む核酸を含む発現媒体を提供する。
さらに本発明は、クロストリジウム・パーフリンジェンスが家禽の腸管またはその一部に定着することによって起こる家禽の成長障害を処置するための医薬品の製造における、本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主の使用も提供する。
さらに本発明は、本発明のライシンまたはそのミメティックに基づく診断マーカーを使って、試料中の病原性クロストリジウム細菌、好ましくはクロストリジウム・パーフリンジェンスを検出する方法も提供する。
また本発明は、配列番号2に示すアミノ酸配列もしくはそれと少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含むライシンまたはそのミメティックに基づく診断マーカーを使って、試料中の病原性クロストリジウム細菌、好ましくはクロストリジウム・パーフリンジェンスを検出する方法も提供する。
ここで使用する「に基づく」という用語は、その診断マーカーが本発明のライシンまたはその一部を含むことを意味する。本発明のライシンの少なくとも溶解部分と細胞壁結合ドメイン部分との両方を、好適に使用することができる。その場合、その溶解部分は完全に機能的であってもよい(すなわち細胞壁溶解能力を持ってもよい)し、ライシンの溶解機能が変更および/またはスイッチオフされるように改変されていてもよい。前記ライシンの好適な改変方法として、ランダムおよび/または部位特異的突然変異誘発による方法が挙げられる。ライシンの細胞壁結合ドメイン部分だけまたはその一部だけを含む診断マーカーも好適である。
診断マーカーは容易に同定することができるマーカーを含みうる。好適なマーカーとしては、レポーター、例えば本明細書の「レポーター」の項に詳述するレポーターなどが挙げられる。マーカーは、ライシンまたはその一部に、直接的または間接的に結合させることができる。例えば、好適なレポーターとして、蛍光タンパク質を挙げることができる。レポーターは、ライシンまたはその一部に、直接的または間接的に結合させることができる。
細菌細胞が診断マーカーによって溶解される場合は、1つ以上の細菌細胞の溶解をモニターすることができる。溶解は例えば光学的にモニターすることができる。溶解は、細菌細胞の溶解によって放出される細胞内容物を測定することによってモニターすることもでき、例えばATPの放出は生物発光によって測定することができる。
診断マーカーは、ライシンまたはその一部に直接的または間接的に取り付けられた固相(例えば活性ポリスチレン、活性ガラス、ケイ素またはガラス様材料、活性ラテックス、金または金化合物、種々の強磁性担体材料、疎水性または荷電合成材料など、ただしこれらに限らない)を含み、前記ライシンまたはその一部に結合する能力を有する細胞を、前記固相上にまたは前記固相に対して固定化することができるようになっていてもよい。
本発明の検出方法の利点は、種特異的でないこと、クロストリジウム細菌に対する抗体を産生させるよりも容易であること、そして/または結合と検出がどちらも容易に達成できることである。
さらにもう一つの態様として、本発明は、薬物送達用の、本発明のライシンの細胞壁結合ドメイン部分またはその一部を提供する。
さらにもう一つの態様として、本発明は、本発明で使用するための代替ポリペプチドを求めてデータベースをスクリーニングする方法であって、配列番号2に示すアミノ酸配列を使ってデータベースをスクリーニングし、配列番号2に示すアミノ酸配列と相同な1つ以上のアミノ酸配列を選択することを含む方法を提供する。配列は、好ましくは、配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも80%相同である。
さらにもう一つの態様として、本発明は、1つ以上の細菌種に関するライシンの溶解活性を変化させるために、本発明のライシンを改変する方法を提供する。
本発明のライシンは、そのライシンが活性を示す細菌スペクトルを拡大するために、改変することができる。あるいは、特定の細菌種および/または細菌株にその活性を集中させるために、すなわち、その宿主特異性を増加させるために、ライシンを改変することもできる。
本発明のこれらの態様および他の態様を、参照しやすいように適当な見出しを付けて、以下に説明する。ただし、各項に教示する内容は、必ずしもその各項に限定されるわけではない。
[好ましい態様]
好ましくは、本発明の核酸は実質的に純粋な形態をとっている。
好ましくは、本発明の核酸は単離された形態をとっている。
好ましくは、本発明のヌクレオチド配列を含む核酸は、クロストリジウム・パーフリンジェンスへの感染能および/または定着能を有するバクテリオファージから取得可能である。
好適には、本発明の核酸および/またはライシンは、クロストリジウム・パーフリンジェンスへの感染能および/または定着能を有するバクテリオファージから取得される。
好ましくは、本発明の核酸は、クロストリジウム・パーフリンジェンスに感染および/または定着したバクテリオファージから取得可能であるか、または取得される。
好ましくは、本発明の核酸および/またはライシンは、バクテリオファージφ3626またはバクテリオファージφ8533から取得可能であるか、または取得される。
好ましくは、本発明の医薬組成物は、薬学的に許容できる希釈剤、賦形剤または担体をさらに含む。
好ましくは、上記障害、疾患および/または状態は、クロストリジウム属の病原種、好ましくはクロストリジウム・パーフリンジェンスに関係するものである。
好適には、疾患および/または状態として、例えば壊疽性腸炎、ガス壊疸、食中毒、腸病変および低体重増加などが挙げられる。
上述のように、ある種の動物、特にブロイラー鶏などの家禽の腸管内に存在するクロストリジウム属の種、特にクロストリジウム・パーフリンジェンスは、これらの動物の成長能が非感染動物と比較して低いことと関係づけられている。その影響は、腸管内の細菌数がある閾値レベルを超えると、最も顕著になる。例えば、閾値レベルは、典型的には約106〜108cfu/gだろう。本発明のライシンおよび/または本発明のライシンを含む宿主は、この低下した成長能の処置に使用することができる。言い換えると、本発明のライシンおよび/または本発明のライシンを含む宿主は、動物、特にブロイラー鶏などの家禽の腸管内の細菌数を制御し、よってその動物の体重増加を増進するために使用することができる。ある実施形態では、本発明のライシンおよび/または本発明のライシンを含む宿主により、前記動物の腸管内の前記細菌を完全に除去することができる。別の実施形態では、本ライシンおよび/または宿主により、前記細菌の数を閾値レベル(すなわちその動物に体重増加の減少をもたらすレベル)未満まで減少させることができる。
好ましくは、本発明の宿主は微生物宿主である。
好ましくは、本発明の宿主は食品用微生物である。
好ましくは、本発明の宿主は腸内定着生物である。
好適には、宿主は、GRAS(generally−recgonised−as−safe=一般に安全と認められる)生物、好ましくはGRAS微生物である。
好ましくは、本発明の微生物宿主は、以下の属から選択される1つ以上の微生物である。エシェリキア(Escherichia)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、バチルス(Bacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属。
好ましい一態様では、微生物宿主が、以下の種の1つ以上から選択される細菌である。大腸菌(Escherichia coli)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、スタフィロコッカス・カルノサス(Staphylococcus carnosus)または類縁種。
好ましくは、前記宿主中の核酸は、宿主の細胞膜越しに起こる本発明のライシンの分泌を指示する1つ以上のシグナル配列を含む。
好ましくは、本発明のライシンは実質的に純粋な形態をとっている。
好ましくは、本発明のライシンは単離された形態をとっている。
好ましくは、本明細書にいうクロストリジウム細菌は種クロストリジウム・パーフリンジェンスである。
好ましくは、本明細書にいうクロストリジウム細菌は対象の腸管内に存在する。
好適には、クロストリジウム細菌は食品または飲料中に存在しうる。
好適には、本発明のライシンは、ランダム突然変異誘発法または部位特異的突然変異誘発法などによって、改変されていてもよい。
[発明の詳細な説明]
一般に、本明細書に記載する分子技術はいずれも当分野ではよく知られているが、特にSambrook et al.,「Molecular Cloning,A Laboratory Manual」(1989)およびAusubel et al.,「Short Protocols in Molecular Biology」(1999)第4版,John Wiley & Sons,Inc.を参照することができる。
ライシン
本明細書で使用する用語「ライシン」は用語「エンドライシン」を包含する。本明細書で使用する用語「ライシン(溶解素)」は、細胞を溶解する能力を有する酵素または毒素などの任意の薬剤(agent)を意味する。
薬剤
本明細書で使用する用語「薬剤」は、本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主を意味する。
医薬品
本明細書で使用する用語「医薬品」は、ヒト医学および獣医学におけるヒト用および動物用の医薬品をどちらも包含する。また、本明細書で使用する用語「医薬品」は、動物飼料、特に家禽飼料への配合を意図した製品も包含する。
処置
本明細書で処置と言えば、治療的処置、待期的処置および予防的処置を包含すると理解すべきである。
組換え法
通例、本発明のヌクレオチド配列は、組換えDNA技術によって製造することができる。
アミノ酸配列
本明細書で使用する用語「アミノ酸配列」は、用語「ポリペプチド」および/または用語「タンパク質」と同義である。用語「アミノ酸配列」は用語「ペプチド」と同義である場合もある。用語「アミノ酸配列」は用語「タンパク質」と同義である場合もある。
アミノ酸配列は、適切な単離源からの単離によって調製するか、合成的に作製するか、または組換えDNA技術を利用して製造することができる。
一態様として、本発明は、病原性クロストリジウム細菌、好ましくはクロストリジウム・パーフリンジェンス細菌の細胞壁を加水分解する能力を有するライシンであるアミノ酸配列を提供する。
好ましくは、本ライシンは、配列番号2に示すアミノ酸配列またはその変異体、誘導体もしくはホモログを含む。
好ましくは、本ライシンは単離されたライシンであり、および/または実質的に単離されたライシンであり、および/または精製され、および/または実質的に精製され、および/または非天然型である。したがって、本ライシンは純粋または実質的に純粋な形態をとりうる。
本発明のライシンは、そのライシンの意図する目的を妨害しない担体または希釈剤と混合することができ、その場合でも純粋および/または単離されていると見なされる。
ヌクレオチド配列
本明細書で使用する用語「ヌクレオチド配列」は用語「ポリヌクレオチド」と同義である。
ヌクレオチド配列は、ゲノム由来の、または合成された、または組換え生産されたDNAまたはRNAであることができる。ヌクレオチド配列は、センス鎖であるかアンチセンス鎖であるかその組合せであるかを問わず、二本鎖でも一本鎖でもよい。
一部の用途には、ヌクレオチド配列は、好ましくは、DNAである。
一部の用途には、ヌクレオチド配列は、好ましくは、組換えDNA技術の使用によって製造される(例えば組換えDNAである)。
一部の用途には、ヌクレオチド配列は、好ましくは、cDNAであることが好ましい。
一部の用途には、ヌクレオチド配列は、好ましくは、この態様の天然型と同じでありうる。
本発明の一態様では、本ヌクレオチド配列は、クロストリジウム細菌、好ましくはクロストリジウム・パーフリンジェンス細菌の細胞壁を加水分解する能力を有するライシンをコードする。
遺伝コードが縮重しているために、数多くの異なるヌクレオチド配列が同じライシンをコードし得ることは、当業者には理解されるだろう。また、標的を発現させる特定の宿主生物のコドン使用頻度を反映させるために、定型的な技術を使って、本発明のヌクレオチドがコードしている活性に実質的に影響を及ぼさないヌクレオチド置換を施しうることは言うまでもない。したがって、添付の配列表に記載のヌクレオチド配列に関して、用語「変異体」「ホモログ」または「誘導体」は、結果として得られるヌクレオチド配列が機能的な本発明のライシンをコードするのであれば、配列から配列への1つ以上のヌクレオチドの置換、変異、改変、置き換え、欠失または付加を含みうる。
上述のように、配列相同性については、本願の配列番号1に対して、少なくとも75%、より好ましくは85%、さらに好ましくは少なくとも90%の相同性があることが好ましい。少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%の相同性があることが、より好ましい。ヌクレオチドの相同性の比較は後述するように行うことができる。好ましい配列比較プログラムは上述のGCGウィスコンシン・ベストフィット(Wisconsin Bestfit)プログラムである。デフォルトのスコア行列は、各一致ヌクレオチドにつき10の一致スコアを有し、各ミスマッチにつき−9のスコアを有する。デフォルトのギャップ開始ペナルティは−50であり、デフォルトのギャップ延長ペナルティは各ヌクレオチドにつき−3である。
本発明は、本明細書に記載する配列またはその変異体、断片もしくは誘導体に、あるいは前記配列のいずれかの相補鎖に、選択的にハイブリダイズする能力を有するヌクレオチド配列も包含する。ヌクレオチド配列は好ましくは15ヌクレオチド長、より好ましくは少なくとも20、30、40または50ヌクレオチド長である。これらの配列はプローブとして、例えば診断キットなどに使用することができるだろう。
変異体/ホモログ/誘導体
本明細書に記載する特定のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列ならびに前記ヌクレオチド配列から得ることができるアミノ酸配列だけでなく、本発明は、その変異体、ホモログおよび誘導体の使用も包含する。この場合、用語「相同性」は「一致度」と同一視することができる。
本明細書において、相同配列とは、少なくとも75、85または90%同一、好ましくは少なくとも95または98%同一でありうるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を包含すると解釈される。特に相同性は、典型的には、その配列のうち、活性に不可欠であることが知られている領域に関して考慮すべきである。相同性は類似性(すなわち類似する化学的性質/機能を有するアミノ酸残基)という観点から考察することもできるが、本発明の場合は、相同性を配列一致度という観点から表すことが好ましい。
好ましい一態様では、変異体、ホモログまたは誘導体は、配列番号1と少なくとも75、85または90%同一、好ましくは少なくとも95または98%同一なヌクレオチド配列である。
さらにもう一つの態様では、変異体、ホモログまたは誘導体は、配列番号1に示す配列のうち、細胞壁結合ドメインをコードする部分と少なくとも75、85または90%同一、好ましくは少なくとも95または98%同一なヌクレオチド配列である。
好ましい一態様では、変異体、ホモログまたは誘導体は、配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも75、85または90%同一、好ましくは少なくとも95または98%同一なアミノ酸である。
さらにもう一つの態様では、変異体、ホモログまたは誘導体は、配列番号2に示す配列の細胞壁結合ドメインと、少なくとも75、85または90%同一、好ましくは少なくとも95または98%同一なアミノ酸である。
相同性の比較は、目視によって、またはより一般的には容易に入手できる配列比較プログラムの助けを借りて行うことができる。これら市販のコンピュータプログラムは、2つ以上の配列間の相同率を計算することができる。
相同率は隣接させた配列に対して計算することができる。すなわち、一方の配列を他方の配列と整列させ、一方の配列中の各アミノ酸を他方の配列中の対応するアミノ酸と、1度に1残基ずつ、直接比較する。これを「ギャップなし」のアラインメントという。このようなギャップなしアラインメントは、通例、残基数が比較的少ない場合だけに行われる。
これは極めて簡単で着実な方法であるが、例えば、1ヶ所に挿入または欠失があるために、それ以外は同一な一対の配列であっても、その挿入または欠失以降のアミノ酸残基が揃わなくなり、グローバルアラインメントを行った場合に、相同率の大幅な低下が生じるおそれあるがことを考慮できていない。そのため、ほとんどの配列比較法は、全体的相同性スコアに不当なペナルティを課さずに、考えうる挿入や欠失を考慮に入れて、最適なアラインメントを生成するように設計されている。これは、局所的相同性が最大になるように、配列アラインメントに「ギャップ」を挿入することによって達成される。
ただし、より複雑なこれらの方法は、アラインメント中に生じる各ギャップに「ギャップペナルティ」を割り当てるので、一致アミノ酸数が同じであれば、ギャップの数ができるだけ少ない(これは比較している2つの配列間の類縁性が高いことを反映している)配列アラインメントの方が、多くのギャップを有するものよりも、高いスコアをもたらすことになる。ギャップの存在に対して比較的高いコストを課し、そのギャップ内のそれ以降の各残基についてはそれより少ないペナルティを課す「アフィンギャップコスト」が、典型的には用いられる。これはもっともよく用いられるギャップスコアリングシステムである。高いギャップペナルティは当然、ギャップの少ない最適化されたアラインメントをもたらす。ほとんどのアラインメントプログラムは、ギャップペナルティを変更することができる。しかし、配列比較にそのようなソフトウェアを使用する場合は、デフォルト値を用いることが好ましい。例えば、GCGウィスコンシン・ベストフィット・パッケージ(下記参照)を使用する場合、アミノ酸配列に関するデフォルトのギャップペナルティはギャップ1つにつき−12、各延長につき−4である。
したがって、最大相同率を計算するには、まずギャップペナルティを考慮して最適なアラインメントを生成する必要がある。そのようなアラインメントに適したコンピュータプログラムが、GCGウィスコンシン・ベストフィット・パッケージ(米国ウィスコンシン大学;Devereux et al.,1984,Nucleic Acids Research 12:387)である。配列比較を行うことができる他のソフトウェアの例には、BLASTパッケージ(Ausubel et al.,1999(前掲)第18章参照)、FASTA(Atschul et al.,1990,J.Mol.Biol.,403−410)およびGENEWORKS比較ツールスイートなどがあるが、これらに限るわけではない。BLASTとFASTAは、オフライン検索およびオンライン検索に利用することができる(Ausubel et al.,1999(前掲)7−58〜7−60頁参照)。しかし、GCGベストフィットプログラムを使用することが好ましい。BLAST2 Sequencesという新しいツールも、タンパク質配列およびヌクレオチド配列の比較に利用することができる(FEMS Microbiol Lett 1999 174(2):247−50;FEMS Microbiol Lett 1999 177(1):187−8およびtatiana@ncbi.nlm.nih.govを参照)。
最終的な相同率は一致度という観点で測定することができるが、アラインメントの過程そのものは、通例、全か無かのペア比較に基づくわけではなく、化学的類似性または進化距離に基づいて各ペアワイズ比較にスコアを割り当てる尺度付きの類似度スコア行列が一般に使用される。よく使用されるそのようなマトリックスの一例にBLOSUM62行列があり、これはBLASTプログラムスイートのデフォルト行列である。GCGウィスコンシンプログラムでは、一般に、共用のデフォルト値を使用するか、または個別仕様の記号比較テーブルが用意されるのであれば、それを使用する(詳しくはユーザーマニュアルを参照されたい)。GCGパッケージには共用のデフォルト値を使用し、または他のソフトウェアの場合は、BLOSUM62などのデフォルトの行列を使用することが好ましい。
ソフトウェアが最適なアラインメントを作成し終えたら、相同率、好ましくは配列一致率を計算することができる。通例、ソフトウェアは、配列比較の一部としてこれを行い、数値結果を生成する。
配列は、サイレントな変化をもたらし、その結果、機能的に等価な物質を与える、アミノ酸残基の欠失、挿入または置換を有しうる。その物質の二次的な結合活性が保たれるのであれば、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性および/または両親媒性の類似度に基づいて、意図的なアミノ酸置換を施してもよい。例えば、負荷電アミノ酸にはアスパラギン酸およびグルタミン酸があり、正荷電アミノ酸にはリジンおよびアルギニンがあり、親水性値が同じぐらいの非荷電極性頭部を有するアミノ酸にはロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、およびチロシンがある。
保存的置換は例えば下記の表に従って行うことができる。第2列の同じブロックにあるアミノ酸、好ましくは第3列の同じ行にあるアミノ酸を、互いに置換することができる。
Figure 0004436135
本発明では、相同的置換(本明細書では、置換という用語と置き換えという用語を、どちらも、既存のアミノ酸と別の残基との交換を表すのに用いる)、すなわち類似残基同士の置換、例えば塩基性残基同士、酸性残基同士、極性残基同士などの置換が存在してもよい。また、非相同的置換、すなわちある種類の残基から異なる種類の残基への置換、あるいは非天然アミノ酸、例えばオルニチン(以下、Zという)、ジアミノ酪酸オルニチン(以下、Bという)、ノルロイシンオルニチン(以下、Oという)、ピリジルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニンおよびフェニルグリシンなどの組み込みを伴う置換が存在してもよい。
置換は、非天然アミノ酸、例えばアルファ*およびアルファ−二置換*アミノ酸、N−アルキルアミノ酸*、乳酸*、天然アミノ酸のハロゲン化物誘導体、例えばトリフルオロチロシン*、p−Cl−フェニルアラニン*、p−Br−フェニルアラニン*、p−I−フェニルアラニン*など、L−アリル−グリシン*、β−アラニン*、L−α−アミノ酪酸*、L−γ−アミノ酪酸*、L−α−アミノイソ酪酸*、L−ε−アミノカプロン酸#、7−アミノヘプタン酸*、L−メチオニンスルホン#*、L−ノルロイシン*、L−ノルバリン*、p−ニトロ−L−フェニルアラニン*、L−ヒドロキシプロリン#、L−チオプロリン*、フェニルアラニン(Phe)のメチル誘導体、例えば4−メチル−Phe*、ペンタメチル−Phe*など、L−Phe(4−アミノ)#、L−Tyr(メチル)*、L−Phe(4−イソプロピル)*、L−Tic(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸)*、L−ジアミノプロピオン酸#およびL−Phe(4−ベンジル)*などを使って行うこともできる。*の表記は(相同的置換または非相同的置換に関する)上の議論に合わせて、誘導体の疎水性を示すために使用し、#は誘導体の親水性を示すために使用した。また、#*は両親媒性を表す。
変異アミノ酸配列は、グリシン残基やβ−アラニン残基などのアミノ酸スペーサーの他に、メチル、エチルまたはプロピル基などのアルキル基など、任意の2アミノ酸配列残基間に挿入しうる適当なスペーサー基を含んでもよい。当業者にはよくわかるだろうが、変異のもう一つの形態は、1つ以上のペプトイド型アミノ酸残基が関わるものである。疑念が生じないように述べると、「ペプトイド型」は、α−炭素置換基が、α炭素ではなくその残基の窒素原子上にある変異アミノ酸残基を表すために用いられる用語である。ペプトイド型ペプチドの製造方法は、当分野では、例えばSimon RJ et al.,PNAS(1992)89(20),9367−9371およびHorwell DC,Trends Biotechnol.(1995)13(4),132−134などで知られている。
ハイブリダイゼーション
本明細書で使用する用語「ハイブリダイゼーション」は、「ヌクレオチド配列の鎖が塩基対形成によって相補鎖と結びつく過程」、ならびにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術で行われるような増幅過程を包含するものとする。
本明細書に記載のヌクレオチド配列またはその相補鎖に選択的にハイブリダイズすることができる本発明のヌクレオチド配列は、一般に、少なくとも20個、好ましくは少なくとも25または30個、例えば少なくとも40、60または100個以上の連続するヌクレオチドからなる領域で、本明細書に記載の対応する相補的ヌクレオチド配列に対して、少なくとも75%、好ましくは少なくとも85または90%、より好ましくは少なくとも95%または98%相同であるだろう。
「選択的にハイブリダイズすることができる」という用語は、そのヌクレオチド配列が、プローブとして使用される場合に、標的ヌクレオチド配列がバックグラウンドより有意に高いレベルでプローブにハイブリダイスすることが見いだされるような条件下で使用されることを意味する。バックグラウンドハイブリダイゼーションは、例えばスクリーニング対象であるcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリー中に他のヌクレオチド配列が存在するために起こりうる。この場合、バックグランドとは、プローブとライブラリーの非特異的DNAメンバーとの相互作用によって生じるシグナルが、標的DNAで観察される特異的相互作用の10分の1未満、好ましくは100分の1未満のレベルであることを意味する。相互作用の強さは、例えばプローブを32Pなどで放射性標識することによって測定することができる。
ハイブリダイゼーション条件は、BergerおよびKimmel(1987,Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology,Vol.152,Academic Press,カリフォルニア州サンディエゴ)に記載されているように、ヌクレオチド結合複合体の融解温度(Tm)に基づき、後述するように所定の「ストリンジェンシー」を与える。
最高ストリンジェンシーは、通例、およそTm−5℃(プローブのTmより5℃低い温度)で、また高いストリンジェンシーはTmより約5〜10℃低い温度で、また中程度のストリンジェンシーはTmより約10℃〜20℃低い温度で、また低いストリンジェンシーはTmより約20℃〜25℃低い温度で生じる。当業者には理解されるだろうが、同一ヌクレオチド配列を同定または検出するには、最高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションを使用することができ、類似または類縁ポリヌクレオチド配列を同定または検出するには中(または低)ストリンジェンシーハイブリダイゼーションを使用することができる。
好ましい一態様として、本発明の変異体、ホモログまたは誘導体は、高いストリンジェンシーおよび/または中程度のストリンジェンシー条件下で、配列番号1に示すヌクレオチド配列にハイブリダイズする。
もう一つの態様として、本発明の変異体、ホモログまたは誘導体は、高いストリンジェンシーおよび/または中程度のストリンジェンシーで、配列番号1に示すヌクレオチド配列またはその相補鎖に選択的にハイブリダイズすることができ、配列番号1に示す対応する相補ヌクレオチド配列に対して、少なくとも20個、好ましくは少なくとも25または30個、例えば少なくとも40、60または100個以上の連続するヌクレオチドにわたって、一般的には少なくとも75%、好ましくは少なくとも85または90%、およびより好ましくは少なくとも95%または98%相同であるだろう。
好ましい一態様として、本発明は、ストリンジェントな条件(例えば65℃および0.1×SSC[1×SSC=0.15M NaCl、0.015M クエン酸Na3、pH7.0])で、本発明のヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を包含する。本発明のヌクレオチド配列が二本鎖である場合は、その二重鎖の両方の鎖が、個別にまたは組み合わせとして、本発明に包含される。ヌクレオチド配列が一本鎖である場合は、そのヌクレオチド配列の相補配列も、本発明の範囲に包含されると理解すべきである。
本発明の配列と100%相同ではないが本発明の範囲に包含されるヌクレオチド配列は、いくつもの方法で取得することができる。本明細書に記載する配列の他の変異体は、例えば、ある範囲の由来源から作成したDNAライブラリーをプローブすることによって取得することができる。また、他のウイルス/細菌または細胞ホモログ、特に哺乳類細胞(例えばラット、マウス、ウシおよび霊長類細胞)中に見いだされる細胞ホモログを得ることもでき、そのようなホモログおよびその断片は一般に、本願の配列表に示す配列に選択的にハイブリダイズする能力を有するだろう。そのような配列は、他の動物種から作成したcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーをプローブすることにより、そのようなライブラリーを、中〜高ストリンジェンシー条件下で、本明細書に記載するヌクレオチド配列の全部または一部を含むプローブを使ってプローブすることにより、取得することができる。本発明のアミノ酸および/またはヌクレオチド配列の種ホモログおよび対立遺伝子変異体の取得にも、同様のことが言える。
変異体および株/種ホモログは、本発明の配列内の保存されたアミノ酸配列をコードする変異体およびホモログ中の標的配列を標的とするように設計されたプライマーを使用する縮重PCRを使って取得することもできる。保存された配列は、例えばいくつかの変異体/ホモログから得たアミノ酸配列を整列させることによって、予測することができる。配列アラインメントは当分野で知られているコンピュータソフトウェアを使って行うことができる。例えばGCGウィスコンシン・パイルアップ(Wisconsin PileUp)プログラムは広く使用されている。縮重PCRに使用するプライマーは、1つ以上の縮重位置を含み、既知の配列に対する単一配列プライマーを使って配列をクローニングする際に用いる条件よりはストリンジェンシーの低い条件で使用されるだろう。
あるいは、そのようなヌクレオチド配列は、特徴づけられた配列、例えば本発明の配列表の配列番号1に記載したヌクレオチド配列の部位特異的突然変異誘発によって取得することもできる。これは、例えば、そのヌクレオチド配列を発現させようとしている特定の宿主細胞について、コドン選択性を最適化するために、配列にサイレントコドン変化が必要な場合などに役立つ。制限酵素認識部位を導入するために、またはそのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の活性を改変するために、他の配列変化が望ましい場合もある。
本発明のヌクレオチド配列は、プライマー、例えばPCRプライマー、他の増幅反応用のプライマーなど、プローブ、例えば、放射性または非放射性ラベルを使って、従来の手段により、顕示ラベルで標識したものを作成するために使用することができ、またヌクレオチド配列をベクターにクローニングすることもできる。そのようなプライマー、プローブおよび他の断片は、少なくとも15ヌクレヌクレオチド長、好ましくは少なくとも20ヌクレオチド長、例えば少なくとも25、30または40ヌクレオチド長になり、本明細書で使用する「本発明のヌクレオチド配列」という用語に包含される。
本発明のDNAポリヌクレオチドおよびプローブなどのヌクレオチド配列は、組換え生産するか、合成的に製造するか、または当業者が利用できる任意の手段によって製造することができる。また、標準的技術によってクローン化することもできる。
一般に、プライマーは、所望するヌクレオチド配列を1度に1ヌクレオチドずつ段階的に製造する合成手段によって製造されるだろう。自動化された方法によってこれを達成する技術は、当分野では容易に利用することができる。
より長いヌクレオチド配列は、一般に、組換え手段を使って、例えばPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)クローニング技術などを使って製造されるだろう。その場合は、クローン化しようとする標的配列の領域に隣接する一対のプライマー(約15〜30ヌクレオチドのもの)を作製し、そのプライマーを、動物細胞またはヒト細胞から得たmRNAまたはcDNAと接触させ、所望する領域の増幅が起こる条件下でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、増幅された断片を(例えばアガロースゲルで反応混合物を精製することなどによって)単離し、増幅されたDNAを回収することになる。プライマーは適当な制限酵素認識部位を含むように設計することができるので、増幅されたDNAを適切なクローニングベクターにクローンニングすることができる。
遺伝コードは縮重しているので、実質的に同じアミノ酸配列または機能的に等価なアミノ酸配列をコードする他のDNA配列を使って、標的配列をクローン化し発現させることができる。当業者には理解されるだろうが、一部の発現システムでは、非天然コドンを使って標的配列を製造することが有利な場合もある。例えば、標的の発現率を向上させるために、または天然配列から製造される転写物よりも望ましい性質(例えば長い半減期)を有する組換えRNA転写物を製造するために、特定の原核宿主または真核宿主が好むコドン(Murray E et al(1989)Nuc Acids Res 17:477−508)を選択することができる。
実質的に純粋な形態および/または単離された形態
本発明のライシンまたはそれをコードするヌクレオチド配列を含むヌクレオチドは、好ましくは、実質的に純粋な形態をとっているか、または単離された形態をとっている。
「実質的に純粋な形態」という用語は、その成分、例えば本発明のライシンおよび/または本発明のヌクレオチド配列を含むヌクレオチドが、高レベルに存在することを示すために使用される。その成分、すなわち本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含むヌクレオチドは、望ましくは、組成物中に存在する主成分である。好ましくは、考慮中の組成物全体に対して、乾燥重量/乾燥重量で、30%を超えるレベル、50%を超えるレベル、75%を超えるレベル、90%を超えるレベル、さらには95%を超えるレベルで存在する。
極めて高レベル(例えば90%を超えるレベル、95%を超えるレベル、または99%を超えるレベル)の成分は、「単離されている」とみなすことができる。本発明の生物活性物質(ポリペプチド、核酸分子、スクリーニングによって同定される/同定されうる成分などを含む)は、その物質に本来ならば付随しているかもしれない1つ以上の夾雑物を実質的に含まない形態で提供することができる。したがって、例えば、それらは混入する可能性のある1つ以上のポリペプチドおよび/または核酸分子を実質的に含まないことができる。それらは、他の細胞成分(例えば細胞膜、細胞質など)を実質的に含まない形態で提供することができる。ある夾雑物を組成物が実質的に含まない場合、その夾雑物は、低レベル(上述した乾燥重量/乾燥重量換算で、例えば10%未満、5%未満または1%未満のレベル)に存在するだろう。
薬学的に許容できる塩
本発明のライシンは、薬学的に許容できるその塩(例えば酸付加塩もしくは塩基塩)またはその溶媒和物(その水和物を含む)の形態をとることができ、そして/またはそのような形態で投与することができる。適切な塩に関する総説としてBerge et al.,J.Pharm.Sci.,1977,66,1−19を参照されたい。
通例、薬学的に許容できる塩は、適宜、所望の塩または塩基を使って、容易に製造することができる。塩は溶液から沈殿させて濾過によって集めるか、溶媒の蒸発によって回収することができる。
適切な酸付加塩は無毒性の塩を形成する酸から形成され、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、サッカリン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩などがその例である。
適切な塩基塩は無毒性の塩を形成する塩基から形成され、ナトリウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、ジオールアミン(diolamine)塩、オールアミン(olamine)塩、エチレンジアミン塩、トロメタミン塩、クロイン(chloine)塩、メグラミン(megulamine)塩およびジエタノールアミン塩などがその例である。適切な医薬塩に関する総説として、Berge et al.,J.Pharm.Sci.,66,1−19(1977);Gould P.L.,International J.of Pharmaceutics,33(1986)201−217;およびBighley et al.,Encyclopaedia of Pharmaceutical Technology,Marcel Dekker Inc.,ニューヨーク(1996)第13巻,453〜497頁を参照されたい。
本発明の化合物の、すなわちライシンの、薬学的に許容できる溶媒和物には、その水和物が包含される。
以下、本発明のいずれかの態様で定義した本発明のライシン、または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主、それらの薬学的に許容できる塩、溶媒和物および多型を含む化合物(化学過程における中間化合物以外)を、「本発明の化合物」または「本発明の薬剤」という。
多型/不斉炭素
本薬剤、例えばライシンは、多型として存在しうる。
本薬剤は1つ以上の不斉炭素原子を含みうるので、2つ以上の立体異性体として存在する。薬剤がアルケニル基またはアルケニレン基を含む場合、シス(E)およびトランス(Z)異性が存在しうる。本発明は、薬剤の個々の立体異性体と、しかるべき場合には、個々の互変異性体、ならびにその混合物を包含する。
ジアステレオ異性体またはシスおよびトランス異性体の分離は、従来の技術によって、例えば薬剤の立体異性混合物または適切なその塩もしくは誘導体の分別結晶、クロマトグラフィーまたはHPLCなどによって、達成することができる。本薬剤の個々のエナンチオマーは、対応する光学的に純粋な中間体から製造するか、または分割によって、例えば適切なキラル支持体を用いた対応するラセミ体のHPLCや、対応するラセミ体を適切な光学活性酸または光学活性塩基と適宜反応させることによって形成させたジアステレオ異性体塩の分別結晶などによって製造することができる。
アイソトープ変異体
本発明は、ライシンまたは薬学的に許容できるその塩の適切なアイソトープ変異体もすべて包含する。本発明のライシンまたは薬学的に許容できるその塩のアイソトープ変異体は、少なくとも1つの原子が、原子番号は同じであるが原子質量が自然界に通常見いだされる原子質量とは異なっている原子で置き換えられているものと定義される。本薬剤および薬学的に許容できるその塩に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体、例えばそれぞれ2H、3H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clなどがある。本薬剤および薬学的に許容できるその塩のアイソトープ変異体の一部、例えば3Hまたは14Cなどの放射性同位体が組み込まれているものは、薬物および/または基質の組織分布研究に役立つ。トリチウム(すなわち3H)同位体および炭素14(すなわち14C)同位体は、製造が容易で検出しやすいので、特に好ましい。さらに、重水素(すなわち2H)は、高い代謝安定性に起因する特定の治療上の利点、例えば生体内半減期の増加や、所要量の減少などをもたらすので、好ましい場合がありうる。ライシンおよび薬学的に許容できるその塩のアイソトープ変異体は一般に、従来の方法により、適切な試薬の適当なアイソトープ変異体を使って、製造することができる。
プロドラッグ
本発明のライシンがプロドラッグに由来してもよいことは、当業者には理解されるだろう。プロドラッグの例として、ある種の保護基を有し、そのままでは薬理活性を有し得ないが、一定の場合には、投与(例えば経口投与または非経口投与)されると、体内で代謝されて、薬理活性な薬剤を生成するような物体が挙げられる。
本発明化合物の保護誘導体およびプロドラッグはすべて、本発明の範囲に包含される。
プロ部分
さらに、例えばH.Bundgaardの「Design of Prodrugs」(Elsevier,1985)(その開示は参照することにより本明細書に組み込まれる)などに記載されいているように、「プロ部分(pro−moiety)」と呼ばれる一定の部分を、薬剤の適当な官能基上に置くことができることも、理解されるだろう。そのようなプロドラッグも本発明の範囲に包含される。
医薬組成物
本発明は、治療有効量の本発明の薬剤、すなわち本発明のライシン、および薬学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤(その組合せを含む)を含む医薬組成物も提供する。
医薬組成物はヒト医学および獣医学におけるヒト用または動物用の組成物であることができ、典型的には、薬学的に許容できる希釈剤、担体または賦形剤の1つ以上を含むだろう。好ましい一実施形態として、本医薬組成物は、家禽、特にブロイラー鶏用であることができる。許容できる治療用途用の担体または希釈剤は、薬学分野では周知であり、例えば、A.R.Gennaro編「Remington’s Pharmaceutical Sciences」Mack Publishing Co.,1985などに記載されている。医薬担体、賦形剤または希釈剤の選択は、意図している投与経路および標準的な薬学実務を考慮して選択することができる。医薬組成物は、担体、賦形剤または希釈剤として、または担体、賦形剤または希釈剤に加えて、任意の適切な結合剤、潤滑剤、懸濁剤、被覆剤、可溶化剤を含むことができる。
保存剤、安定剤、色素、さらには着香剤も、医薬組成物に混合することができる。保存剤の例には、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、およびp−ヒドロキシ安息香酸のエステルなどがある。酸化防止剤および懸濁化剤も使用することができる。
送達系が異なると、それに応じて、組成/製剤要件も異なりうる。例えば、本発明の医薬組成物は、ミニポンプを使って送達されるように製剤化するか、または粘膜経路で、例えば鼻腔スプレーもしくは吸入用エアロゾルまたは摂取可能な溶液などとして送達されるように、もしくは非経口的に(この場合、例えば静脈内、筋肉内または皮下経路などで送達するために、組成物は、注射可能な形態で製剤化することができる)送達されるように、製剤化することができる。あるいは、どちらの経路でも送達されるように、製剤を設計することもできる。
胃腸粘膜を通して薬剤を経粘膜的に送達する場合は、胃腸管を通過している間は安定な状態を保ちうるべきである。例えば、タンパク質分解による分解に対して耐性であり、酸性pHで安定であり、胆汁の界面活性剤作用にも耐性であるべきである。
医薬組成物は、吸入によって、坐剤または膣坐剤の形で、ローション、溶液、クリーム、軟膏または散布剤の形で局所的に、皮膚パッチを使って、デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤を含む錠剤の形でまたは単独でもしくは賦形剤と混合してカプセル剤もしくはオブル剤(ovules)の形でまたは着香剤もしくは着色剤を含むエリキシル剤、溶液剤もしくは懸濁剤の形で経口的に投与することができ、また非経口的に、例えば静脈内、筋肉内もしくは皮下に注射することができる。非経口投与の場合、組成物は滅菌水溶液の形で用いるのがもっともよいだろう。この滅菌水溶液は他の物質、例えばその溶液を血液と等張にするのに十分な塩類または単糖類なども含みうる。口腔粘膜投与または舌下投与の場合、組成物は錠剤または口中剤の形で投与することができ、それらの錠剤または口中剤は通常の方法で製剤化することができる。
一部の実施形態では、本発明の薬剤を、シクロデキストリンと組み合わせて使用することもできる。シクロデキストリンは、薬物分子と包接複合体および非包接複合体を形成することが知られている。薬物−シクロデキストリン複合体の形成は、薬物分子の溶解度、溶解速度、生物学的利用率および/または安定性を変化させうる。薬物−シクロデキストリン複合体は、ほとんどの剤形および投与経路に広く役立つ。薬物との複合体を直接形成させる方法に代えて、シクロデキストリンを補助添加物として、例えば担体、希釈剤または可溶化剤として使用することもできる。アルファ−、ベータ−およびガンマ−シクロデキストリンはもっともよく使用されており、好適な例がWO−A−91/11172、WO−A−94/02518およびWO−A−98/55148に記載されている。
好ましい実施形態では、本発明の薬剤を、全身的に(例えば経口的に、口腔粘膜に、舌下に)、より好ましくは経口的に送達する。したがって、薬剤は、好ましくは経口送達に適した形態をとる。
投与
「投与」という用語は、ウイルス技術または非ウイルス技術による送達を包含する。ウイルス送達機構には、例えばアデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、およびバキュロウイルスベクターなどがあるが、これらに限るわけではない。非ウイルス送達機構には、例えば脂質を使ったトランスフェクション、リポソーム、イムノリポソーム、リポフェクチン、陽イオン性面状両親媒性物質(cationic facial amphiphile=CFA)およびそれらの組合せなどがある。
本発明の薬剤、すなわち本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主は、単独でも投与することができるが、例えば薬剤が意図する投与経路および標準的な薬学実務を考慮して選択された適切な医薬賦形剤、希釈剤または担体と混合されている場合は、一般に、医薬組成物として投与されるだろう。
例えば薬剤は、即時放出、遅延放出、放出調節、持続放出、パルス放出、または制御放出用に、着香剤または着色剤を含みうる錠剤、カプセル剤、オブル剤(ovule)、エリキシル剤、溶液剤または坐剤の形で(例えば経口的にまたは局所的に)投与することができる。
錠剤は、微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素二カルシウムおよびグリシンなどの賦形剤、デンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよびある種の複合ケイ酸塩などの崩壊剤、ならびにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ショ糖、ゼラチンおよびアラビアゴムなどの造粒結合剤を含みうる。また、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクなどの潤滑剤も含めることができる。
同様のタイプの固形組成物は、ゼラチンカプセル中の充填剤として使用することもできる。この点で好ましい賦形剤には、例えばラクトース、デンプン、セルロース、乳糖、または高分子量ポリエチレングリコールなどがある。水性懸濁剤および/またはエリキシル剤の場合は、薬剤を、さまざまな甘味剤または着香剤、着色剤または色素、乳化および/または懸濁化剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリシンなどの希釈剤、ならびにそれらの組合せと混合することができる。
薬剤、すなわち本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主は、動物用飼料または飼い葉に入れて、または動物用飼料または飼い葉添加物として投与することができる。特に、本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主は、家禽の飼料に組み込むか添加することができる。
投与(送達)経路には、経口(例えば錠剤、カプセル剤として、または摂取可能な溶液剤として)、局所外用、粘膜経路(例えば鼻腔スプレーまたは吸入用エアロゾルとして)、鼻腔、非経口(例えば注射用剤形によるもの)、胃腸、脊髄内、腹腔内、筋肉内、静脈内、子宮内、眼内、皮内、頭蓋内、気管内、腟内、脳室内、大脳内、皮下、眼(硝子体内または眼房内を含む)、経皮、直腸、口腔粘膜、陰茎、膣、硬膜外、舌下などの1つ以上が含まれるが、これらに限るわけではない。
本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主は、同じ経路で投与する必要はないと理解すべきである。また、組成物が2つ以上の成分を含む場合は、それらの成分を異なる経路で投与することもできる。
本発明の薬剤を非経口投与する場合、そのような投与の例には、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内または皮下投与すること、および/または注入法を用いることの1つ以上が含まれる。
非経口投与の場合、薬剤は、滅菌水溶液の形で用いるのがもっともよい。この滅菌水溶液は他の物質、例えばその溶液を血液と等張にするのに十分な塩類または単糖類なども含みうる。水溶液は、必要に応じて、適切に(好ましくはpH3〜9に)緩衝化すべきである。滅菌条件での適切な非経口製剤の製造は、当業者に周知の標準的な薬学技術によって容易に達成される。
上述のように、本発明の薬剤は、鼻腔内投与するか、吸入によって投与することができ、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134A(商標))または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227EA(商標))などのヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素または他の適切なガスを使って、加圧容器、ポンプ、スプレーもしくはネブライザーから、乾燥粉末吸入器またはエアロゾルスプレーによる投与の形で、便利に送達される。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は、バルブを設けて計量した量を送達することによって決定することができる。加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーは、例えばエタノールと噴射剤との混合物を溶剤(これはさらにトリオレイン酸ソルビタンなどの潤滑剤を含んでもよい)とする活性化合物の溶液または懸濁液を含みうる。吸入器用または散布器用のカプセル剤およびカートリッジ(例えばゼラチン製のもの)は、薬剤とラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含むように製剤化することができる。
あるいは、本発明の薬剤は、坐剤または膣坐剤の形で投与するか、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液剤、クリーム剤、軟膏または散布剤の形で局所外用することができる。本発明の薬剤は、例えば皮膚パッチなどを使って、皮膚投与または経皮投与することもできる。また、肺経路もしくは直腸経路で投与することもできる。眼経路で投与することもできる。眼科用には、本化合物をpH調節した等張滅菌食塩水中の微細懸濁剤として製剤化するか、好ましくはpH調節した等張滅菌食塩水中に溶液剤として製剤化することができ、所望であれば、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤を配合してもよい。あるいは、ワセリンなどの軟膏に製剤化することができる。
皮膚への局所外用には、本発明の薬剤を、例えば以下の物質の1つ以上を含む混合物中に懸濁または溶解した活性化合物を含む適切な軟膏として、製剤化することができる。鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、および水。あるいは、例えば以下の物質の1つ以上を含む混合物中に懸濁または溶解した適切なローション剤またはクリーム剤として製剤化することもできる。鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水。
本発明の組成物は直接注射によって投与することができる。
一部の用途には、本薬剤を経口投与することが好ましい。
用量レベル
通例、医師または獣医師が個々の対象に最適であろう実投与量を決定することになる。特定の対象に対する具体的な用量レベルおよび投与頻度はさまざまであり、例えば使用する化合物の活性、代謝安定性およびその化合物の作用の長さ、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食餌、投与の形式と時間、排泄速度、併用薬、その状態の重症度、および治療を受けている対象を含む種々の要因に依存するだろう。本発明の薬剤および/または医薬組成物は、1日1〜10回、例えば1日1回または2回という用法で投与することができる。
ヒトまたは動物に経口および非経口投与する場合は、薬剤の1日量レベルを1回でまたは分割して投与することができる。
必要に応じて、薬剤は、0.01〜30mg/kg体重、例えば0.1〜10mg/kg、より好ましくは0.1〜1mg/kg体重の用量で投与することができる。もちろん、ここで述べる投与量は平均的事例の典型である。当然、より高い投与量範囲またはより低い投与量範囲が妥当な個別の例も存在しうる。
典型的には、経口一日量として、例えば20〜1000mg、好ましくは例えば50〜300mgを挙げることができる。
適切な投与量には、クロストリジウム属の病原性細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンス細菌の数を治療的に減少させることができる用量が含まれるだろう。
製剤
本発明の薬剤は、例えば、当分野で知られている技術を使って1つ以上の適切な担体、希釈剤または賦形剤と混合することなどによって、医薬組成物に製剤化することができる。
被検対象
本明細書で使用する用語「被検対象(subject)」は、脊椎動物、特に哺乳動物種のメンバーを指す。この用語には、家畜、スポーツ動物、農業家畜、霊長類およびヒトが包含されるが、これらに限定されない。用語「農業家畜」は家禽、例えばブロイラー鶏を包含する。
生物学的利用率
好ましくは、本発明の化合物(または組合せ)は経口生物学的利用能を有する。経口生物学的利用率とは、経口投与した薬物のうち体循環に達する薬物の割合を指す。薬物の経口生物学的利用率を決定する要因は、溶解、膜透過性および代謝安定性である。通例、経口生物学的利用率の決定には、まずはin vitro法、次にin vivo法による、スクリーニングカスケードが使用される。
溶解、胃腸管(GIT)の水性内容物による薬物の可溶化は、GITを模倣するために適当なpHでインビトロ溶解度実験を行うことによって予測することができる。本発明の化合物は、好ましくは、最低でも50mcg/mlの溶解度を有する。溶解度は当分野で知られている標準的方法、例えばAdv.Drug.Deliv.Rev.23,3−25,1997に記載されている方法などによって決定することができる。
膜透過性とは、GITの細胞を横切る化合物の通過を指す。親油性はこれを予測する上で重要な性質であり、有機溶媒と緩衝液を使ったインビトロLog D7.4測定によって定義される。本発明の化合物は、好ましくは−2〜+4、より好ましくは−1〜+2のLog D7,4を有する。log Dは、当分野で知られている標準的方法、例えばJ.Pharm.Pharmacol.1990,42:144に記載されている方法などによって決定することができる。
さらに、CaCO2などの細胞単層アッセイでは、p−糖タンパク質などの排出トランスポーターの存在下で、有利な膜透過性の予測、いわゆるcaco−2フラックスが得られる。本発明の化合物は、好ましくは2×10-6cms-1を超える、より好ましくは5×10-6cms-1を超えるcaco−2フラックスを有する。cacoフラックス値は、当分野で知られている標準的方法、例えばJ.Pharm.Sci.1990,79,595−600に記載されている方法などによって、決定することができる。
代謝安定性では、吸収の過程で化合物を代謝するGITまたは肝臓の能力、すなわち初回通過効果を取り扱う。ミクロソーム、肝細胞などのアッセイ系は、代謝傾向の予測に役立つ。本発明の薬剤は、好ましくは、アッセイ系で0.5未満の肝抽出率に相当する代謝安定性を示す。アッセイ系とデータ操作の例は、Curr.Opin.Drug Disc.Devel.,201,4,36−44、Drug Met.Disp.,2000,28,1518−1523に記載されている。
上記のプロセスの相互関係により、ある薬物が人体で経口生物学的利用能を有するであろうことを示す証拠を、動物でのin vivo実験で得ることができる。薬剤を単独で、または混合物として、経口経路で投与することにより、絶対的な生物学的利用率が、これらの研究で決定される。絶対的決定(吸収率)には、静脈内経路も使用する。動物での経口生物学的利用率の評価の例は、Drug Met.Disp.,2001,29,82−87、J.Med Chem,1997,40,827−829、Drug Met.Disp.,1999,27,221−226に記載されている。
化学合成法
本発明のライシンは、化学合成法によって製造することができる。
ライシンまたはその変異体、ホモログ、誘導体、断片もしくはミメティックは、その薬剤の全部または一部を化学的方法で合成することによって製造することができる。例えば、ペプチドを、固相法によって合成し、樹脂から切り離し、分取用高速液体クロマトグラフィーで精製することができる(例えばCreighton(1983)Proteins Structures And Molecular Principles,WH Freeman and Co,ニューヨーク州ニューヨーク)。合成ペプチドの組成は、アミノ酸分析または配列決定によって確認することができる(例えばエドマン分解法;Creigthon,前掲)。
ライシンまたはその変異体、ホモログ、誘導体、断片もしくはミメティックの直接合成は、さまざまな固相技術を使って行うことができ(Roberge JY et al(1995)Science 269:202−204)、例えばABI431Aペプチド合成装置(Perkin Elmer)を製造者が提供する説明書に従って使用することにより、自動合成を行うことができる。また、薬剤またはその一部を含むアミノ酸配列を直接合成中に改変し、そして/または化学的方法で、他のサブユニットに由来する配列またはその一部と組み合わせて、変異型薬剤を製造することもできる。
本発明のもう一つの実施形態では、ライシンまたはその変異体、ホモログ、誘導体、断片もしくはミメティックのコード配列の全部または一部を、当分野で周知の化学的方法を使って合成することができる(Caruthers MH et al(1980)Nuc Acids Res Symp Ser 215−23、Horn T et al(1980)Nuc Acids Res Symp Ser 225−232)。
ミメティック
本明細書で使用する用語「ミメティック」は、基準薬剤と定性的に同じ活性または作用を有する任意の化学物質(例えばペプチド、ポリペプチド、抗体または他の有機化学物質を含むが、これらに限らない)に関する。すなわち、ミメティックは、既知の薬剤の機能的等価物である。
化学誘導体
本明細書で使用する用語「誘導体」または「誘導体化」には、薬剤の化学修飾が含まれる。そのような化学修飾の実例として、ハロ基、アルキル基、アシル基またはアミノ基による水素の置き換えが挙げられる。
化学修飾
本発明の一実施形態として、ライシンは化学修飾ライシンであることができる。
ライシンの化学修飾は、薬剤と標的との間の水素結合相互作用、電荷相互作用、疎水相互作用、ファンデルワールス相互作用または双極子相互作用を、増強または減弱させうる。
ある態様では、同定されたライシンは、他の化合物を開発するためのモデル(例えばテンプレート)として役立ちうる。
ベクター
本発明の一実施形態として、本発明のライシンは、対象に直接投与することができる。
本発明のもう一つの実施形態では、本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含むベクターを、被検対象に投与する。
好ましくは、遺伝子ベクターを使ってこの組換え薬剤を製造し、および/または標的部位に送達する。
当分野ではよく知られているように、ベクターは、ある環境から別の環境への物体の移動を可能にするまたは容易にする道具である。例えば、本発明では、本発明のヌクレオチド配列を含むベクターを複製させ、および/または本発明のヌクレオチド配列によってコードされる本発明のタンパク質を発現させるために、組換えDNA技術で使用されるいくつかのベクターにより、DNAのセグメント(例えば、異種cDNAセグメントなどの異種DNAセグメント)を、ある宿主および/または標的細胞中に導入することができる。組換えDNA技術に用いられるベクターの例には、プラスミド、染色体、人工染色体、ウイルスなどがあるが、これらに限るわけではない。
「ベクター」という用語は、発現ベクターおよび/または形質転換ベクターを包含する。
「発現ベクター」という用語は、in vivoまたはin vitro/ex vivo発現が可能なコンストラクトを意味する。
「形質転換ベクター」という用語は、ある種から別の種に導入することができるコンストラクトを意味する。
裸のDNA
本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含むベクターは、「裸の核酸コンストラクト」(好ましくは宿主細胞ゲノムに相同な隣接配列を含むもの)として、直接投与することができる。
本明細書で使用する用語「裸のDNA」は、本発明の薬剤をコードするヌクレオチド配列とその生産を制御する短いプロモーター領域とを含むプラスミドを指す。これらのプラスミドはどんな送達媒体にも担持されていないので、これを「裸」のDNAと呼ぶ。そのようなDNAプラスミドが真核細胞または原核細胞などの宿主細胞に侵入すると、それによってコードされるタンパク質(本発明の薬剤など)が、その細胞内で転写され、翻訳される。
非ウイルス送達
あるいは、本発明のヌクレオチド配列を含むベクターまたは本発明のライシンを、当分野で知られるさまざまな非ウイルス技術、例えばトランスフェクション、形質転換、エレクトロポレーションおよびバイオリスティック(biolistic)形質転換などを使って、適切な宿主細胞中に導入することもできる。
本明細書で使用する用語「トランスフェクション」は、非ウイルスベクターを使って標的哺乳類細胞に遺伝子を送達するプロセスを指す。
典型的なトランスフェクション法として、例えばエレクトロポレーション、DNAバイオリスティック、脂質を使ったトランスフェクション、凝縮DNAを使ったトランスフェクション、リポソーム、イムノリポソーム、リポフェクチン、陽イオン性物質を使ったトランスフェクション、陽イオン性面状両親媒性物質(CFA)(Nature Biotechnology 1996 14:556)、スペルミン、陽イオン脂質またはポリリジンなどの多価陽イオン、1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP)−コレステロール複合体(WolffおよびTrubetskoy 1998 Nature Biotechnology 16:421)およびそれらの組合せが挙げられる。
哺乳類細胞による裸の核酸コンストラクトの取り込みは、例えばトランスフェクション剤を利用する方法など、いくつかの既知のトランスフェクション法によって増進される。これらの薬剤の例には、陽イオン性剤(例えばリン酸カルシウムおよびDEAE−デキストラン)や、リフェクタント(lipofectant)類(例えばリポフェクタム(lipofectam(商標))およびトランスフェクタム(transfectam(商標)))がある。典型的には、核酸コンストラクトをトランスフェクション剤と混合して組成物とする。
ウイルスベクター
あるいは、本発明の薬剤または本発明のヌクレオチド配列を含むベクターは、当分野で知られているさまざまなウイルス法を使って、例えばレトロウイルス、単純疱疹ウイルスおよびアデノウイルスなどの組換えウイルスベクターによる感染などを使って、適切な宿主細胞に導入することもできる。
ベクターは、好ましくは、組換えウイルスベクターである。好適な組換えウイルスベクターには、例えばアデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、ポックスウイルスベクターまたはパルボウイルスベクターなどがあるが、これらに限るわけではない(Kestle et al 1999 Human Gene Ther 10(10):1619−32)。ウイルスベクターの場合は、本発明の薬剤をコードするヌクレオチド配列を含む核酸の送達は、標的細胞のウイルス感染によってもたらされる。
標的指向性ベクター
「標的指向性ベクター」という用語は、細胞に感染/トランスフェクト/形質導入する能力または宿主および/または標的細胞中で発現される能力が、宿主生物内の一定の細胞タイプ(通常は共通するまたは類似する表現型を有する細胞)に制限されているベクターを指す。
複製ベクター
本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、組換え複製ベクターに組み込むことができる。このベクターは、適合する宿主細胞中で前記ヌクレオチド配列を複製するために使用することができる。したがって、本発明の一実施形態として、本発明は、本発明のヌクレオチド配列を含む核酸を複製可能なベクターに導入し、そのベクターを適合する宿主細胞中に導入し、その宿主細胞をベクターの複製をもたらす条件下で成長させることによって、本発明のヌクレオチド配列を含む核酸を製造する方法を提供する。ベクターは、宿主細胞から回収することができる。
発現ベクター
ベクターに挿入された本発明のヌクレオチド配列または本発明のライシンは、好ましくは、宿主細胞によるコード配列の発現に備えることができる制御配列に作動可能に連結される。すなわちこのベクターは発現ベクターである。「作動可能に連結」という用語は、記載した成分が意図する形で機能できるような関係にある並置を指す。コード配列に「作動可能に連結」された調節配列は、その制御配列に適合する条件下でコード配列の発現が達成されるような形で連結されている。「調節配列」という用語は、プロモーターおよびエンハンサーならびに他の発現調節シグナルを包含する。
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現の増進は、発現を増加させ、必要であれば、選択した発現宿主からの目的タンパク質の分泌レベルを増加させるのに役立ち、そして/または本発明のポリペプチドの発現の誘導制御を可能にするのに役立つ異種調節領域、例えばプロモーター、分泌リーダーおよびターミネーター領域などを選択することによって、達成することもできる。
宿主組換え細胞に生産させた本発明のライシンは、使用する配列および/またはベクターに依存して、分泌させることも、細胞内にとどめることもできる。当業者には理解されるだろうが、本発明の薬剤を含む発現ベクターは、特定の原核細胞膜または真核細胞膜越しに起こる本発明のライシンの分泌を指示するシグナル配列を有するように設計することができる。
プロモーター
本発明のポリペプチドの発現を指示するには、本発明のポリペプチドの遺伝子に固有のプロモーターだけでなく、他のプロモーターを使用することもできる。
プロモーターは、所望の発現宿主中で本発明のポリペプチドの発現を指示する効率に基づいて選択することができる。
もう一つの実施形態として、所望する本発明のポリペプチドの発現を指示するために、構成的プロモーターを選択することもできる。真菌発現宿主用として好ましい強力な構成的および/または誘導性プロモーターの例は、キシラナーザ(xlnA)、フィターゼ、ATP−シンセターゼ、サブユニット9(oliC)、トリオースリン酸イソメラーゼ(tpi)、アルコールデヒドロゲナーゼ(AdhA)、α−アミラーゼ(amy)、アミログルコシダーゼ(AG、glaA遺伝子由来)、アセトアミダーゼ(amdS)およびグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(gpd)プロモーターの真菌遺伝子から取得可能なものである。
強力な酵母プロモーターの例は、アルコールデヒドロゲナーゼ、ラクターゼ、3−ホスホグリセリン酸キナーゼおよびトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子から取得可能なものである。
強力な細菌プロモーターの例は、α−アミラーゼおよびSP02プロモーターならびに細胞外プロテアーゼ遺伝子由来のプロモーターである。
発現コンストラクトの誘導調節を改良するために、ハイブリッドプロモーターも使用することができる。
インビトロでの発現
本発明のベクターは、本発明のライシンを発現させることができるように、以下に述べるように、適切な宿主細胞および/または標的細胞に形質転換またはトランスフェクトすることができる。このプロセスには、発現ベクターで形質転換された宿主細胞および/または標的細胞を、本発明のライシンをコードするコード配列がベクターによって発現されるような条件下で培養し、要すれば、発現した本発明の薬剤を回収することが含まれうる。ベクターとしては、例えば、複製起点を有し、要すれば、前記ポリヌクレオチドを発現させるためのプロモーターと、要すれば、そのプロモーターの調節因子を有するプラスミドまたはウイルスベクターが挙げられる。ベクターは、1つ以上の選択可能マーカー遺伝子、例えば細菌プラスミドの場合はアンピシリン耐性遺伝子、哺乳類ベクターの場合はネオマイシン耐性遺伝子などを含みうる。本発明の薬剤または本発明の標的の発現は、それらが構成的に産生されるように構成的であってもよいし、誘導性であって、発現を開始するのに刺激を必要としてもよい。誘導性発現の場合は、必要な時に、例えば、デキサメタゾンやIPTGなどの誘導物質を培養培地に添加することなどによって、本発明の薬剤または標的の産生を開始させることができる。
分泌リーダー配列
本発明のポリペプチドは、多くの場合、発現宿主から培養培地に分泌させることが望ましく、培養培地から本発明のポリペプチドを回収する方が容易である。本発明では、本発明のポリペプチドの天然分泌リーダー配列を使って、発現された本発明のポリペプチドの分泌を達成することができる。しかし、本発明のポリペプチドの発現量が増加すると、タンパク質の産生が、発現宿主のプロセシング能力および分泌能力を超えて、ボトルネックを生じ、その結果、タンパク質産物が細胞内に蓄積する場合がある。そこで本発明は、選択した発現宿主から本発明のポリペプチドが最も効率よく分泌されるように、異種リーダー配列も提供する。
本発明では、所望する発現宿主に基づいて、分泌リーダー配列を選択することができる。発現コンストラクトの他の調節領域と相同な異種分泌リーダーを選択することができる。例えば、高分泌アミログルコシダーゼ(AG)タンパク質のリーダーは、アミログルコシダーゼ(AG)プロモーターそのものと組み合わせて使用することができ、他のプロモーターと組み合わせて使用することもできる。本発明では、ハイブリッドシグナル配列も使用することができる。
好ましい異種分泌リーダー配列の例は、真菌アミログルコシダーゼ(AG)遺伝子(glaA、例えばアスペルギルス(Aspergillus)などの18アミノ酸型と24アミノ酸型の両方)、α因子遺伝子(酵母、例えばサッカロミセス(Saccharomyces)およびクルイベロミセス(Kluyveromyces))またはαアミラーゼ遺伝子(バチルス)に由来するものである。
融合タンパク質
本発明のライシンは、本発明のライシンの抽出および精製および/または被検対象への送達を助けるために、融合タンパク質として発現させることができる。融合タンパク質パートナーの例には、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6×His、GAL4(DNA結合ドメインおよび/または転写活性化ドメイン)およびβ−ガラクトシダーゼなどがある。また、融合タンパク質配列を除去することができるように、融合タンパク質パートナーと目的のタンパク質配列との間にタンパク質分解部位を含めると便利だろう。融合タンパク質は、好ましくは、ライシンの活性を妨害しない。
融合タンパク質は、本発明の物質に融合された抗原または抗原決定基を含みうる。この実施形態では、融合タンパク質は、免疫系の全般的な刺激をもたらすという意味でアジュバントとして働きうる物質を含む非天然融合タンパク質であることができる。抗原または抗原決定基は、本物質のアミノ末端またはカルボキシ末端に取り付けることができる。
本発明のもう一つの実施形態として、アミノ酸配列を異種配列に連結して、融合タンパク質をコードさせてもよい。例えば、本物質の活性に影響を及ぼしうる薬剤を求めてペプチドライブラリーをスクリーニングするには、市販の抗体によって認識される異種エピトープを発現させるキメラ物質をコードするとよいだろう。
宿主細胞
本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を発現させるには、広範囲にわたる多様な宿主細胞を使用することができる。これらの細胞は原核宿主細胞でも真核宿主細胞でもよい。したがって、さらにもう一つの態様として、本発明は、本発明のポリペプチドを製造する方法であって、上述の発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を、前記ポリペプチドをコードするコード配列がベクターによって発現されるような条件下で培養し、発現されたポリペプチドを回収することを含む方法を提供する。好適な宿主細胞としては、大腸菌、ラクトバチルス属の種、バチルス属の種、およびラクトコッカス属の種、酵母、糸状菌、昆虫細胞、哺乳類細胞、通例、不死化したもの、例えばマウス、CHO、ヒトおよびサル細胞株ならびにその誘導体が挙げられる。
ベクターは、例えば、複製起点を有し、要すれば前記ポリヌクレオチドを発現させるためのプロモーターと、要すればそのプロモーターの調節因子を有するプラスミド、ウイルスまたはファージベクターであることができる。ベクターは、1つ以上の選択可能マーカー遺伝子を含みうる。工業用微生物に最も適した選択系は、宿主細胞中の突然変異を必要としない選択マーカー群によって形成されるものである。真菌選択マーカーの例は、アセトアミダーゼ(amdS)、ATPシンセターゼ、サブユニット9(oliC)、オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ(pvrA)、フレオマイシンおよびベノミル耐性(benA)の遺伝子である。非真菌選択マーカーの例は、細菌G418耐性遺伝子(これは酵母でも使用できるが、カビでは使用できない)、アンピシリン耐性遺伝子(大腸菌(E.coli))、ネオマイシン耐性遺伝子(バチルス)およびβ−グルクロニダーゼ(GUS)をコードする大腸菌のuidA遺伝子である。ベクターは、例えばRNAを生産するためにインビトロで使用することができ、宿主細胞をトランスフェクトまたは形質転換するためにも使用することができる。
本発明のさらにもう一つの実施形態は、本発明のポリヌクレオチドで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。前記ポリヌクレオチドは、好ましくは、前記ポリヌクレオチドを複製および発現させるためのベクターに保持される。細胞は前記ベクターと適合するように選択され、例えば原核細胞(例えば細菌細胞)、真菌細胞、酵母細胞または植物細胞などでありうる。
バチルス属およびラクトバチルス属の細菌は、タンパク質を培養培地中に分泌する能力を持っているので、異種宿主として極めて好適である。宿主として適している他の細菌は、ラクトコッカス属の細菌である。
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの性質および/または発現したタンパク質のさらなるプロセシングを望むかどうかによって、酵母または真菌などの真核宿主が好ましい場合もある。一般に、酵母細胞は操作しやすいのでカビ細胞よりも好ましい。しかし、一部のタンパク質は酵母細胞からはあまり分泌されないか、場合によっては適切にプロセシングされない(例えば酵母における過剰糖鎖付加)こともある。このような場合は、カビ宿主生物を選択すべきである。
本発明のポリペプチドが他のライシンを実質的に含まない形で生産される異種宿主を選択することもできる。これは、そのような物質を通常は産生しない宿主を選択することによって達成することができる。
本発明の範囲に含まれる好ましい発現宿主の例は、真菌、例えばアスペルギルス属の種およびトリコデルマ(Trichoderma)属の種、細菌、例えばバチルス属の種およびラクトバチルス属の種、ならびに酵母、例えばクルイベロミセス属の種およびサッカロミセス属の種である。
特に好ましい発現宿主は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ニガー変種ツビゲニス(tubigenis)、アスペルギルス・ニガー変種アワモリ(awamori)、アスペルギルス・アクレアチス(Aspergillus aculeatis)、アスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)およびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)から選択することができる。
本発明では、1つ以上の本発明のポリヌクレオチドで形質転換されている微生物発現宿主を通常の栄養発酵培地で培養することによって、本発明のポリペプチドの製造を達成することができる。
発酵培地は、炭素源(例えばグルコース、マルトース、糖蜜など)、窒素源(例えば硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムなど)、有機窒素源(例えば酵母エキス、麦芽エキス、ペプトンなど)および無機栄養源(例えばリン酸塩、マグネシウム、カリウム、亜鉛、鉄など)を含有する既知の培養培地を含むことができる。所望であれば、誘導物質を加えてもよい。
適切な培地の選択は、発現宿主の選択に基づいて行うことができ、そして/または発現コンストラクトの調節要件に基づいて行うことができる。そのような培地は当業者にはよく知られている。所望であれば、混入している可能性がある他の微生物よりも形質転換された発現宿主が有利になるような追加成分を培地に加えてもよい。
発酵後は、遠心分離または濾過によって、細胞を発酵液から除去することができる。細胞を除去した後、通常の手段によって、本発明の変異型ポリペプチドを回収し、所望であれば、精製および単離することができる。
生物
本発明に関して、用語「生物」は、本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸および/またはそこから得られる産物を含むことができる生物であって、転写調節配列が、その生物内に存在する時に、本発明のヌクレオチド配列の発現を可能にするような、任意の生物を包含する。好適な生物としては、原核生物、真菌、酵母または植物を挙げることができる。好ましい生物として、細菌、好ましくはラクトバチルス属の細菌、より好ましくはラクトバチルス・アシドフィラスを挙げることができる。
本発明に関して、用語「トランスジェニック生物」は、本発明のタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸および/またはそこから得られる産物を含む生物であって、転写調節配列がその生物内で本発明のヌクレオチド配列の発現を可能にすることができる任意の生物を包含する。前記ヌクレオチド配列は、好ましくは、その生物のゲノムに組み込まれる。
自然環境にある天然ヌクレオチドコード配列が、その天然プロモーター(やはりその自然環境にあるもの)の制御下にある場合、「トランスジェニック生物」という用語は、その配列を対象としない。
したがって、本発明のトランスジェニック生物には、本発明のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、本発明のコンストラクト(その組合せを含む)、本発明のベクター、本発明のプラスミド、本発明の細胞、本発明の組織またはその産物のいずれか一つまたは任意の組合せを含む生物が包含される。形質転換された細胞または生物は、許容できる量の所望の化合物を産生し、それはその細胞または生物から容易に回収することができるだろう。
宿主細胞/宿主生物の形質転換
前述のように宿主生物は原核生物または真核生物であることができる。好適な原核宿主の例には、大腸菌、枯草菌またはラクトバチルス・アシドフィラスなどがある。原核宿主の形質転換については当分野では詳細に記載されている。例えばSambrook et al.,(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Press)およびAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(1995),John Wiley & Sons,Inc.を参照されたい。
原核宿主を使用する場合は、形質転換前にヌクレオチド配列を、例えばイントロンの除去などによって、適切に改変する必要があるかもしれない。
もう一つの実施形態ではトランスジェニック生物は酵母であることができる。これに関連して、酵母も異種遺伝子発現の媒体として広く使用されてきた。サッカロミセス・セレビシェという種は、異種遺伝子発現への利用を含めて、工業的利用に関して、長い歴史を持っている。サッカロミセス・セレビシェにおける異種遺伝子の発現については、Gooodey et alによる総説(1987,Yeast Biotechnology,D R Berry et al編,401〜429頁,Allen and Unwin,ロンドン)およびKingらによる総説(1989,Molecular and Cell Biology of Yeasts,E F WaltonおよびG T Yarronton編,107〜138頁,Blackie,グラスゴー)がある。
いくつかの理由で、サッカロミセス・セレビシェは、異種遺伝子発現にとても適している。第1に、この微生物は、ヒトにとって非病原性であり、一定の内毒素を産生する能力を持たない。第2に、この微生物は、種々の目的で何世紀にもわたる商業的利用を経て、安全に使用されてきたという長い歴史がある。そのため広く一般に受け入れられる。第3に、広範囲にわたる商業的利用とこの生物に関する研究により、サッカロミセス・セレビシェの遺伝学および生理学ならびに大規模発酵特性について、豊富な知見が得られている。
サッカロミセス・セレビシェにおける異種遺伝子発現と遺伝子産物の分泌の原理については、E Hinchcliffe E Kennyによる総説がある(1993「Yeast as a vehicle for the expression of heterologous genes」,Yeasts,第5巻,Anthony H RoseおよびJ Stuart Harrison編,第2版,Academic Press Ltd.)。
自らの維持には宿主ゲノムとの組換えを必要とする組込みベクターや、自律的に複製するプラスミドベクターを含めて、いくつかのタイプの酵母ベクターを利用することができる。
トランスジェニックサッカロミセスを作製するには、酵母での発現を意図したコンストラクトに本発明のヌクレオチド配列を挿入することによって発現コンストラクトを作製する。数タイプの異種発現用コンストラクトが開発されている。これらのコンストラクトは、本発明のヌクレオチド配列に融合された、酵母中で活性なプロモーターを有し、通常は酵母由来のプロモーター、例えばGAL1プロモーターなどが使用される。通常は、酵母由来のシグナル配列、例えばSUC2シグナルペプチドをコードする配列などを使用する。酵母中で活性なターミネーターがこの発現系を終了させる。
酵母の形質転換については、いくつかの形質転換プロトコールが開発されている。例えば、本発明のトランスジェニックサッカロミセスは、Hinnen et al(1978,Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA 75,1929)、Beggs,J D(1978,Nature,London,275,104)およびIto,H et al(1983,J Bacteriology 153,163−168)の記載に従って作製することができる。
形質転換した酵母細胞は、種々の選択マーカーを使って選択することができる。形質転換に用いられるマーカーには、数多くの栄養要求性マーカー、例えばLEU2、HIS4およびTRP1など、ならびに優性抗生物質耐性マーカー、例えばG418などのアミノグリコシド抗生物質マーカーなどがある。
もう一つの宿主生物は植物である。遺伝子改変植物構築の基本原理は、挿入された遺伝物質が安定に維持されるように、植物ゲノムに遺伝情報を挿入することである。遺伝情報挿入技術はいくつかあり、遺伝情報の直接導入と、ベクター系を使った遺伝情報の導入の2つが、主な原理である。一般的技術は、例えばPotrykus(Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol[1991]42:205−225)およびChristou(Agro−Food−Industry Hi−Tech March/April 1994 17−27)による記事に概説されている。植物形質転換についてはEP−A−449375にも記載がある。
レポーター
本発明の検出方法およびアッセイ方法(ならびにスクリーニング)には多種多様なレポーターを使用することができ、好ましいレポーターは、便利に(例えば分光法などによって)検出できるシグナルを与える。一例として、レポーター遺伝子は、光吸収特性を変化させる反応を触媒する酵素をコードしてもよい。
レポーター分子の例には、β−ガラクトシダーゼ、インベルターゼ、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコール、アセチルトランスフェラーゼ、β−グルクロニダーゼ、エキソグルカナーゼおよびグルコアミラーゼなどがあるが、これらに限るわけではない。あるいは、放射性標識ヌクレオチドまたは蛍光タグ標識ヌクレオチドを、新生転写物に組み込み、オリゴヌクレオチドプローブに結合させてそれを同定することもできる。
本発明の検出方法では、ライシンまたはその一部を、レポーターに、好ましくは蛍光タンパク質(例えば緑色蛍光タンパク質など)に、直接的または間接的に、遺伝子翻訳融合物として結合させてもよい。
タンパク質の発現を、例えば、そのタンパク質に特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体などを使って検出および測定するためのプロトコールは、当分野では種々知られている。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)および蛍光活性化細胞分別法(FACS)などがその例である。ポリペプチド上の干渉しない2つのエピトープに反応するモノクローナル抗体を利用する2部位モノクローナル型イムノアッセイは好ましいが、競合結合アッセイも使用できる。これらのアッセイおよび他のアッセイは、例えばHampton R et al(1990,Serological Methods,A Laboratory Manual,APS Press,ミネソタ州セントポール)およびMaddox DE et al(1983,J Exp Med 15 8:121 1)などに記載されている。
レポーター分子の産生は、レポーター遺伝子産物(例えばβ−ガラクトシダーゼ)の酵素活性によって測定することができる。
当業者には多種多様なラベルおよびコンジュゲーション技術が知られており、それらをさまざまな核酸アッセイおよびアミノ酸アッセイに使用することができる。標的ポリヌクレオチド配列を検出するための標識ハイブリダイゼーションプローブまたは標識PCRプローブを作製する手段には、標識ヌクレオチドを使ったオリゴラベリング、ニックトランスレーション、エンドラベリングまたはPCR増幅などがある。あるいは、コード配列またはその一部を、mRNAプローブ作製用のベクターにクローニングしてもよい。当分野ではそのようなベクターが知られており、市販されていて、適当なRNAポリメラーゼ(例えばT7、T3またはSP6)と標識ヌクレオチドとを添加することにより、インビトロでRNAプローブを合成するために使用することができる。
Pharmacia Biotech(ニュージャージー州ピスカタウェイ)、Promega(ウィスコンシン州マディソン)およびUS Biochemical Corp(オハイオ州クリーブランド)など、数多くの会社が、これらの手法のために市販のキットとプロトコールを供給している。好適なレポーター分子またはラベルには、放射性核種、酵素、蛍光、化学発光、または発色剤ならびに基質、補因子、阻害剤、磁気粒子などがある。そのようなラベルの使用が記載されている特許には、US−A−3817837、US−A−3850752、US−A−3939350、US−A−3996345、US−A−4277437、US−A−4275149およびUS−A−4366241などがある。また、US−A−4816567に示されているように、組換え免疫グロブリンを作製することもできる。
特定分子の発現を定量する他の方法には、ヌクレオチドの放射性標識(Melby PC et al 1993 J Immunol Methods 159:235−44)またはビオチン化(Duplaa C et al 1993 Anal Biochem 229−36)、対照核酸の同時増幅、および実験結果の内挿に用いる標準曲線などがある。目的のオリゴマーがさまざまな希釈率で存在し分光光度法的応答または比色法的応答によって迅速な定量化が行われるELISA形式でアッセイを行うことにより、複数試料の定量速度を高めることができる。
マーカー遺伝子発現の存在/不在は目的遺伝子も存在することを示唆するが、その存在および発現を確認すべきである。例えば、ヌクレオチド配列がマーカー遺伝子配列内に挿入されている場合は、それを含む組換え細胞を、マーカー遺伝子機能の不在によって同定することができる。あるいは、マーカー遺伝子を、1つのプロモーターの制御下に、標的コード配列と直列に置くこともできる。誘導または選択に反応してマーカー遺伝子の発現が起これば、通常、標的も発現していることが示される。
あるいは、標的のコード配列を含み、標的コード領域を発現させる宿主細胞を、当業者に知られているさまざまな方法によって同定することもできる。これらの方法には、例えばDNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションや、膜、溶液またはチップに基づく核酸またはタンパク質の検出および/または定量法を含むタンパク質バイオアッセイまたはイムノアッセイ法などがあるが、これらに限らない。
スクリーニング
1つ以上の適当な標的(例えば1つ以上の病原性クロストリジウム細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンス細菌を含む試料)を使って、さまざまな薬物スクリーニング技術で、本発明のライシンを同定することができる。そのような試験で使用される標的は溶解した状態で遊離していてもよいし、固相に固定されていてもよいし、細胞表面に担持されていてもよいし、細胞内にあってもよい。さらに、標的は動物モデルの体内にあってもよく、この場合、その標的は外来の標的または導入された標的であることができる。動物モデルは非ヒト動物モデルだろう。標的活性の消滅または標的と被験ライシンとの結合複合体の形成を測定することができる。
本発明のアッセイ方法は、試験化合物の小規模スクリーニングにも大規模スクリーニングにも適していると考えられ、また定量的アッセイにも適していると考えられる。
好ましい一態様として、本発明のスクリーニングは、少なくとも以下のステップを含む(この通りの順序である必要はない)。(a)候補ライシンが関連活性(例えば1つ以上の病原性クロストリジウム細菌、好ましくはクロストリジウム・パーフリンジェンス細菌を溶解する能力)を持っているかどうかを決定するためのin vitroスクリーニングを行うこと、および(b)前記候補ライシンを使ってin vivoスクリーニングを(例えば機能的動物モデルを用いて)行うこと。典型的には、前記候補薬剤がスクリーニング(a)に合格したら、次にスクリーニング(c)を行う。
診断薬
本発明は、標的、すなわち病原性クロストリジウム細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンス細菌を検出するための診断組成物またはキットも提供する。この組成物またはキットは、試験試料中に1つ以上のクロストリジウム細菌(特にクロストリジウム・パーフリンジェンス細菌)が存在することまたは存在しないことを示す能力を有する本発明のライシンに基づく診断マーカーを含むだろう。試験試料として、好ましくは、食料品、消化混合物(digesta)または対象の腸管から得られる試験試料などを挙げることができる。
本診断組成物またはキットは、例えば食品、消化混合物などに含まれる標的、すなわち病原性クロストリジウム細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンス細菌の検出に使用することができる。
診断組成物またはキットは、病原性クロストリジウム細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンスの存在によって起こる障害、例えば壊疽性腸炎、食中毒または壊疽などの診断に使用することができる。
そのような診断アッセイは、特定の処置方法の効力または特定のライシンの効力を評価できるように設計することができ、動物実験、臨床試験、または対象の処置のモニタリングに使用することができる。疾患の診断に根拠を与えるには、正常プロファイルまたは標準プロファイルを確立すべきである。これは、正常な(すなわち非感染)対象(動物またはヒト)から採取した体液もしくは細胞抽出物または他の試料を本発明のライシンと混合することによって達成される。疾患が立証されたら、治療剤、すなわち本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主を投与し、処置プロファイルまたは処置値を得ることができる。最後に、アッセイを定期的に繰り返して、値が正常パターンまたは標準的パターンに向かって進行または回復するかどうか、すなわち、処置中の家禽の腸内などの試料中の細菌の量が減少するかどうか、そして/または根絶されるかどうかを評価することができる。継続的な処置プロファイルを使って、数日または数ヶ月にわたる処置効力を示すことができる。
診断試験
疾患の診断に根拠を与えるには、試料中の病原性クロストリジウム細菌の量、特にクロストリジウム・パーフリンジェンス細菌の量の正常値または標準値を確立すべきである。例えば、対象の腸管内に一定レベルの前記細菌が存在しても、必ずしもその個体に有害であるとは限らない。細菌数が閾値レベルを超えて増加した場合にのみ、有害な影響が観察され、疾患状態が確立されうる。したがって、診断試験は、試料中に病原性クロストリジウム細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンスが存在することを確認することができるだけでなく、感染レベルを定量することもできるだろう。試料中の細菌量は、既知量の細菌を添加した陽性対照の希釈系列と比較することによって、定量することができる。
プローブ
本発明のもう一つの態様は、本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列をコードするポリヌクレオチド配列(ゲノム配列を含む)または近縁関係にある分子(例えば対立遺伝子)を検出する能力を有する核酸ハイブリダイゼーションプローブまたはPCRプローブの提供である。プローブの特異性、すなわちそれが高度に保存された領域もしくはドメインに由来するか、保存された領域もしくはドメインに由来するか、それとも保存されていない領域もしくはドメインに由来するかと、ハイブリダイゼーションまたは増幅のストリンジェンシー(高、中、低)は、そのプローブにより、本発明のライシンをコードする天然ヌクレオチド配列だけが同定されるか、類縁配列が同定されるかを決定するだろう。類縁核酸配列を検出するためのプローブは、標的ファミリーメンバーの保存されたまたは高度に保存されたヌクレオチド領域から選択され、そのようなプローブを、縮重プローブのプールとして使用することができる。同一核酸配列の検出が目的である場合、または最大限の特異性を望む場合は、標的ポリヌクレオチドの非保存的ヌクレオチド領域またはユニーク領域から、核酸プローブを選択する。本明細書で使用する用語「非保存的ヌクレオチド領域」とは、本明細書に開示するライシンコード配列に特有であって、類縁ファミリーメンバー中には存在しないヌクレオチド領域を指す。
US−A−4683195、US−A−4800195およびUS−A−4965188に記載されているPCRは、本ヌクレオチド配列に基づくオリゴヌクレオチドのさらなる用途をもたらす。このようなオリゴマーは一般に化学合成されるが、酵素的に作製するか、組換え供給源から製造することもできる。オリゴマーは一般に2つのヌクレオチド配列からなる。その一方はセンス方向(5’→3’)、他方はアンチセンス方向(3’←5’)を有し、特定遺伝子または特定条件の同定には、それらが最適化された条件下で用いられる。近縁DNAまたはRNA配列の検出および/または定量には、ストリンジェンシーを下げた条件で、同じ2本のオリゴマー、入れ子状のオリゴマーセット、または縮重オリゴマープールを使用することができる。
本発明のライシンの核酸配列を使って、内在ゲノム配列をマッピングするための上述のようなハイブリダイゼーションプローブを作製することもできる。配列は、周知の技術を使って、特定の染色体またはその染色体の特定領域にマッピングすることができる。そのような技術には、染色体展開標本(Verma et al(1988)Human Chromosomes:A Manual of Basic Techniqeus,Pergamon Press,ニューヨーク市)、フローソーティングした染色体調製物または人工染色体構築物、例えばYAC、細菌人工染色体(BAC)、細菌PI構築物または単一染色体cDNAライブラリーへのインサイチューハイブリダイゼーションなどがある。
染色体調製物のインサイチューハイブリダイゼーションと、確立された染色体マーカーを用いる連鎖解析などの物理マッピング技術は、遺伝地図の拡大には極めて有用である。遺伝地図の例はScience(1995;270:410fおよび1994;265:1981f)に記載されている。別の哺乳類種の染色体上に遺伝子を配置すると、特定のヒト染色体の番号または腕がわからなくても、関連するマーカーが明らかになる場合がある。新しい配列は、物理マッピングにより、染色体の腕またはその一部に割り当てることができる。これは、ポジショナルクローニングまたは他の遺伝子発見技術を使って疾患遺伝子を検索している研究者に、有益な情報を与える。ある疾患または症候群を特定ゲノム領域への遺伝子連鎖によって大雑把に局在化したら、その領域にマッピングされる配列はいずれも、関連遺伝子または調節遺伝子としてさらなる調査対象にすることができる。本発明のヌクレオチド配列は、正常個体、キャリア個体または罹患個体の間で、転座、逆位などによる染色体位置の相違を検出するためにも使用することができる。
用途
一般的な意味で、本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主は、病原性クロストリジウム細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンス細菌の存在に関係する障害を処置するための医薬品の製造に使用することができる。
本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主は、病原性クロストリジウム細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンスに関する試験および/または病原性クロストリジウム細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンスの破壊に使用することができる。
特に本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主は、動物の腸管内に存在する病原性クロストリジウム細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンスの量を減少させるために、動物飼料中に、または動物飼料添加物として、使用することができる。したがって、病原性クロストリジウム細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンスの存在によって起こる低体重増加および壊疽性腸炎などの障害を予防および/または処置することができる。
本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主は、病原性クロストリジウム細菌、特にクロストリジウム・パーフリンジェンスの存在に関係する壊疽および他の疾患の予防および/または処置に使用することもできる。
これに加えて、またはこれに代えて、本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主は、集団食中毒発生時に原因微生物を試験し検出するためのアッセイに、および/または個体の食中毒を予防または処置するために、および/または診断薬として研究目的に使用することもできる。
食料品の製造
本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主は、動物飼料を含む食料品に使用することもできる。
一態様として、本発明の食品および/または飼料添加物は、本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主を、食品および/または飼料添加物と直接混合することによって、製造することができる。一例として、本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主を、例えば粉砕したコムギ、トウモロコシまたはダイズ粉などの穀物ベースの食品および/または飼料添加物に(例えば噴霧などによって)接触させることができる。
本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主を、第2の(異なる)食品および/または飼料または飲料水に組み込み、それを本発明の食品および/または飼料添加物に添加することもできる。したがって、本発明のライシンおよび/または本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主を、穀物ベースの食品および/または飼料添加物そのものに組み込むことは本発明の特に好ましい態様ではあるものの、そのような組み込みが不可欠なわけではない。
本発明の一実施形態として、本食品および/または飼料添加物は、穀物ベースの食品および/または飼料を製造するために、他の食品および/または飼料成分と混合することができる。そのような他の食品および/または飼料成分としては、例えば1つ以上の(好ましくは熱安定性)酵素添加物、食品および/または飼料用ビタミン添加物、食品および/または飼料用ミネラル添加物、および食品および/または飼料用アミノ酸添加物などを挙げることができる。次に、その結果得られる(混合された)食品および/または飼料添加物(数タイプの化合物を含みうる)を、適当な量で、穀物およびタンパク質添加物などの他の食品および/または飼料成分と混合して、ヒト用の食品および/または動物飼料を得ることができる。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく例示する。
〔実施例1〕
クロストリジウム・パーフリンジェンスからのバクテリオファージの分離と精製
方法:さまざまな分離源から分離された51株のクロストリジウム株を、Loessner et al(1990 Appl.Environ.Microbiol,56,1912−8)に記載のUV照射法により、溶原性についてスクリーニングした。指数増殖期のクロストリジウム(10ml)をUV光(254nm,0.0132Jcm-2)に5分間ばく露した。暗所で3時間培養(37℃)した後、培養物を遠心分離(10分,8000g)し、滅菌濾過した。ローン(lawn)法により、すべてのクロストリジウム・パーフリンジェンス株に対して、ファージ活性を調べた。
ファージの精製と増殖には、Adams(1959「Methods of study of bacterial viruses」443〜457頁「Bacteriophages」Intersciences Publishers Inc.,ニューヨーク)に記載の軟寒天層法を使用した。溶解活性を示す上清の希釈液を、溶融した寒天3.5mlに加え、適当な増殖株の指数増殖期培養物0.1mlを接種した。その軟寒天をTY平板上に注ぎ、終夜培養した。十分に分離している単一プラークを滅菌パスツールピペットで拾い、0.45mlのTY培地に入れた。4℃で4時間インキュベートした後、そのファージ含有液を滅菌濾過し、2回目の精製に使用した。
バクテリオファージからDNAを単離するには、高力価ストック(109pfu/ml)が不可欠だった。液体培養により、ファージを高力価になるまで増殖させた。適当な宿主の培養物(OD600=0.1)に、約1の感染多重度でファージ溶液を加えた。感染培養物の成長を測光法によってモニターし、遠心分離(10000gで10分)による細胞片の除去と培養上清の滅菌濾過により、ファージを収集した。
さらなる分子的研究に必要な高力価ストックからのファージの精製は、Zink et al(1992 Appl.Environ.Microbiol.58,296−302)に記載されている。簡単に述べると、ポリエチレングリコール8000沈殿、段階的CsCl密度勾配遠心分離および透析によって、ファージを精製し、濃縮した(例えばSambrook et al.,「Molecular Cloning:a laboratory manual」第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,ニューヨーク州コールドスプリングハーバーを参照されたい)。ファージと推定される粒子を電子顕微鏡(EM)によって調べた。
結果:ATCC3626株とNCTC8533株では、UV誘導滅菌培養上清中に観察された溶解活性がバクテリオファージの存在によるものであることが、EMによって確認された。これらのファージはシフォウイルス科タイプで、これらをφ3626およびφ8533と名付けた。これら2つのファージにとって最適な増殖宿主は、それぞれNCTC3110およびATCC3628株であると決定された。
〔実施例2〕
バイクテリオファージの溶解範囲の決定
方法:上記2つのファージのクロストリジウム・パーフリンジェンス株溶解能力を、ドロップ・オン・ザ・ローン(drop−on−the−lawn)法によって調べた。クロストリジウム・パーフリンジェンス株を接種した平板上に10μlのファージストック(107pfu/ml)を置いた。終夜培養後の細菌ローンにおけるプラークの形成によって溶解活性を観察した。
結果:ファージφ3626はクロストリジウム・パーフリンジェンス51株中11株(21.6%)に溶解性を示し、ファージφ8533は4株(7.8%)を溶解することができた。
〔実施例3〕
クロストリジウム・パーフリンジェンス由来のバクテリオファージφ3626のゲノムDNAの配列決定と解析
方法:バクテリオファージλDNAの標準的抽出方法(Sambrook et al.,(前掲)参照)を使ってφ3626のゲノムDNAを得た。バクテリオファージφ3626のゲノムライブラリーの構築は、Loessner et al(2000 Mol.Microbiol 35,324−40)に詳述されているように行った。DNAをTsp509I(New England Biolabs)で時間を制限して消化し、HindIII(MBI Fermentas)およびTaqI(Roche)を使って完全に消化した。望ましい長さ(1〜2kbp)の断片をアガロースゲルから回収し、pBluescriptベクター(Stratagene)にライゲートした。そのライゲーション産物を大腸菌DH5αMCRにエレクトロポレーションした。インサートを保有する形質転換体の同定には、Xgal含有寒天平板上でのブルーホワイトスクリーニングを用いた。小規模培養物からプラスミドを単離し(Qiaprep Miniprep Kit,Qiagen)、PauI(MBI)で消化した。1〜2kbpのさまざまな長さの異なるインサートを保有する58個のクローンを、アガロースゲルでの制限酵素切断パターンによって同定した。これらのクローンを使って、pBluescriptのマルチクローニング部位に隣接する配列に相補的な蛍光標識(IRD−8000 LI−COR)標準プライマーによる配列決定を行った。配列決定は、耐熱性ポリメラーゼ(SequiTherm EXCEL II DNAシークエンシングキットLC;Epicentre Technologies)を使って、自動DNAシーケンサー(4200IR2;IL−COR)で行った。
得られた配列のアラインメントは、DNASISバージョン2.10ソフトウェア(日立)を使って行った。そのアラインメントによって得られたコンティグを使って、ギャップを埋めるための特異的プローブの設計を行った。cos部位での明確な鎖終結が観察されるまで、φ3626DNAでプライマーウォーキングを行うことによって、残りのギャップを埋めた。cos部位の上流および下流にある配列に相補的なプライマーを使って、溶原性宿主のDNA上で、PCRにより、cos部位のコア配列を決定することによって、ゲノム配列を完成させた。プライマーウォーキング法によって得たDNAストレッチおよびPCR産物は、ダイターミネーター法により、ABI373A自動DNAシーケンサーで配列決定した。
ヌクレオチド配列とアミノ酸配列の解析には、DNASIS/PROSIS(日立)と、GCGパッケージを含むHusar Analysis Package(http://genius.embnet.dkfz−heidelberg.de;ドイツ癌研究センター(DKFZ)のバイオコンピューティングサービスグループ)を使用した。米国国立バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)または上記バイオコンピューティングサービスグループを介して利用できるデータベースのホモロジー検索には、Altschul et al(1990 J.Mol.Biol.215,403−10)が記載したBLASTアルゴリズムを用いた。
結果:φ3626ゲノムは長さ33507bpで、9ヌクレオチド長の3’−突出一本鎖付着末端を持っている。平均モルGC含量は28.4モル%である。φ3626ゲノムのバイオインフォマティック解析により、タンパク質をコードすると推定される領域が50個存在し、それらは配列の94.1%を覆っていることが明らかになった。
φ3626ゲノムのタンパク質コード領域は、ORFの向きによって識別できる3つの主要な機能クラスターにまとめることができる(図3参照)。cos部位から始まり、位置1〜19804にあって、ゲノム地図(図3)の右方向に転写される第1のクラスターは、構造タンパク質および溶解系をコードする遺伝子に相当する。これらの遺伝子は「後期遺伝子」と要約することができる。第2のクラスターはbp19805〜23645に位置し、att部位、インテグラーゼ、リプレッサーおよび推定cro−リプレッサーなど、溶原性の制御を担う産物をコードしている。ヌクレオチド23680から33507までの最後のクラスターは、もっぱら右方向(図3)を向いたORFを含んでいる。これらの推定産物は、ファージDNAの複製、組換え、修飾を担い、「初期」遺伝子に相当する。
〔実施例3〕
ライシン遺伝子の配列決定
方法:他のバクテリオファージ(φ105、Sfi2l、φadh、φSLT、φPVL)と比較したところ、φ3626のゲノムはよく似た構成を有することがわかった。典型的には、エンドライシンは溶原性制御領域の上流に位置し、そのORFは通常は反対方向を向いている(図3参照)。ORF19の産物は、枯草菌ファージφ105由来のホリンと思われる配列(Kobayashi,K et al.,未公表,アクセッション番号AB016282)との類似性(105アミノ酸にわたって50%)を示した。Sonnhammer et al(1998 Proc.Int.Conf.Intell.Syst.Mol.Biol.,6:175−182)に記載のTmHMMを実行するバイオインフォマティック解析により、この推定タンパク質は2つの膜貫通ヘリックス領域を有する可能性が高いことが証明された。したがって、ORF19はφ3626のホリンをコードしていると、暫定的に考えた。
有尾バクテリオファージでは、エンドライシン遺伝子が、ホリンをコードする遺伝子の下流に位置する場合がある(Wang et al(2000 Ann.Rev.Microbiol.54:799:825)参照)。BLASTP2を使った相同性検索により、ORF20の推定遺伝子産物が、機能未知のクロストリジウム・パーフリンジェンスの仮説タンパク質と強い類似性(265〜346アミノ酸にわたって72〜75%)を有することが明らかになった(Garnier et al 1988 Plasmid 19:135−50;Lyristis et al 1994 Mol.Microbiol 12:761−77;Shimizu et al 1994 J.Bacteriol.176:1616−23参照)。アミノ末端は、さまざまな由来源を有するN−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ類に類似性を示した(枯草菌アウトライシン、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)バクテリオファージ12862エンドライシン、パエニバチルス・ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)のCwlV、163〜166アミノ酸にわたって43〜45%の類似性)(Ishikawa et al 1999 Mol.Gen.Genet 262:738−48、Kunst et al 1997 Nature 390:249−56、およびLoessner et al 1997 J.Bacteriol 179:2845−51参照)。PFAMデータベースを使った隠れマルコフモデル(HMM)スキャン(Durbin et al 1998 Biological Sequence Analysis:Probabilistic Models of Proteins and Nucleic Acids,ケンブリッジ大学出版局)でも、N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼドメインと推定されるドメインの存在が示唆された。
結果:ORF20は、エンドライシンコード遺伝子ply3626と同定され、ホリンをコードする遺伝子のすぐ下流に見いだされた。この酵素がそのアミノ末端にアミダーゼドメインを有する可能性からも、ORF20はエンドライシンであることが示された。エンドライシンのカルボキシ末端の機能はわかっていないが、多くのエンドライシンがモジュラー構成を示すという知見(Garcia et al 1990 Gene 86:81−8)から判断して、ply3626のカルボキシ末端には、細胞壁結合ドメインになりうるドメインが存在するかもしれないと考えられる。
〔実施例4〕
大腸菌におけるply3626の発現
バイオインフォマティック解析に基づいて、PCRを使ってply3626を増幅するためのプライマーを設計した。これらのプライマーは、遺伝子の両端に相補的であるように設計すると共に、発現ベクターpQE30(Qiagen)への定方向的クローニングを可能にする目的で、遺伝子の上流と下流に制限部位を有するように設計した。PCR産物を精製し、適当な制限エンドヌクレアーゼで消化し、調製したベクターにライゲートした。そのライゲーション産物をエレクトロポレーションによって大腸菌JM109に形質転換した。この大腸菌JM109は、Zdanovsky et al(2000 App.Environ Microbiol.166:3166−73)の厚意で提供されたプラスミドpACYC−IRL10で形質転換することにより、前もって準備しておいたものである。pACYC−IRL10は、大腸菌ではまれにしか使用されないがクロストリジウムでは頻繁に使用されるtRNAの遺伝子(ileX、argUおよびleuW)を、大腸菌に与える。
エンドライシンをコードするベクターで形質転換した大腸菌を室温(22℃)で成長させたところ、ベクター系のバックグラウンド発現により、エンドライシンだけが生産された。IPTGを使って誘導した場合に観察される封入体の形成は、これによって防止されることがわかった。16時間後に細胞を遠心分離(8000g、15分)によって収集した。ペレットをPBS緩衝液に再懸濁し、フレンチプレスセルを使って40000kPaで細胞の粗抽出物(RE)を調製した。そのREを35000gで30分遠心分離し、滅菌濾過した。クロストリジウム・パーフリンジェンスNCTC3110株での溶解アッセイによって、酵素の活性を明らかにした。
エンドライシンは、発現ベクターpQE30によってエンドライシンに融合されたHIS−tagを使って精製することもできた。精製したエンドライシンは、粗抽出物中のエンドライシンと同じ溶解活性を示した。
〔実施例5〕
組換え大腸菌が生産したply3626によるクロストリジウム・パーフリンジェンスでの溶解アッセイ
溶解活性を測光法でアッセイするために、ply3626の基質として、クロストリジウム・パーフリンジェンスNCTC3110を使用した。細菌を終夜成長させ(500ml)、遠心分離(8000gで15分間)によって収集し、PBS緩衝液(5ml)に再懸濁した。細胞を使用するまで−20℃で保存した。溶解アッセイのために、細胞を490nmで光学密度が0.7〜0.8になるまでPBS緩衝液に希釈した。この基質180μlに、エンドライシンを産生する組換え大腸菌の粗抽出物20μlを加え、光学密度の変化を経時的に測定した。ネガティブコントロールとして、3’切断型ply3626を有するベクターを保有する大腸菌の粗抽出物を使用した。基質の細胞壁の破壊による可視光の光学密度の低下を、エンドライシンply3626を含むREに関して、ネガティブコントロールと比較して、測定した(図4参照)。
〔実施例6〕
基質特異性
方法:クロストリジウム・パーフリンジェンスから得られたライシンの基質特異性を決定するために、ply3626を使った溶解アッセイをさまざまな細菌で行った。49種類の細菌種、109株を、Ply3626に対する感受性に関してスクリーニングした。細菌を標準条件下で成長させ、遠心分離によって収集し、ペレットをPBS中に再懸濁した。これらのストックを使用時まで−20℃で保存した。光学密度が0.5〜0.9になるように細胞を希釈し(490nmで)、180μlの希釈細胞懸濁液を基質として、組換え大腸菌のPly3626含有粗抽出物20μlを加えることにより、溶解アッセイを行った。
S字状の光学密度の減少を、ネガティブコントロールとの比較で、Ply3626に対する感受性と解釈した。減少が検出されない場合は、非感受性であるとみなした。
アッセイしたさまざまな細菌を以下の表1および表2に列挙する。表中、WSはバイエンシュテファン・カルチャー・コレクション・オブ・マイクロオーガニスムズ(Weihenstephan Culture Collection of Microorganisms)を意味し、ATCCはアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(米国ロックビル)を意味し、NCTCはナショナル・コレクション・オブ・タイプ・カルチャーズ(PHLS,ロンドン)を意味する。
Figure 0004436135
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結果:図5に示すように、48株のクロストリジウム・パーフリンジェンスはすべて、本発明のライシンに対して感受性だった。他に感受性を示したのはクロストリジウムの1種だけで、それはクロストリジウム・ファラクスDSM2631株だった。クロストリジウム・ファラクスの感受性は、このクロストリジウム種の細胞壁構造が、LL−DAPで架橋されたグループA3γのペプチドグリカンを有し、グリシンがインターブリッヂを形成しているという点で、クロストリジウム・パーフリンジェンスと同じだからかもしれない(Schleifer et al 1972 Bacteriol Rev.36:407−77参照)。
試験した他のすべての細菌(合計60株)は(クロストリジウム・ボツリナム、クロストリジウム・テタニ、クロストリジウム・ノビイ、クロストリジウム・チロブチリカムなどの他のクロストリジウム種であれ、バチルス、カンピロバクター、ロイコノストック、ラクトバチルス、ラクトコッカス、ペディオコッカス、エンテロバクター、大腸菌、リステリア、ビフィドバクテリウム、エンテロコッカス、ストレプトコッカス、スタフィロコッカスなどの非クロストリジウム細菌であれ)、いずれも本発明のライシンに対して非感受性であることがわかった。
結論
したがって、驚いたことに、クロストリジウム・パーフリンジェンスのバクテリオファージから単離され配列決定されたライシンは、クロストリジウム・パーフリンジェンスに種特異的または実質的に種特異的である。このような種特異性の利点は、前記ライシンを対象に投与すると、有益なそして/または無害な細菌を傷つけずに、クロストリジウム・パーフリンジェンスおよび/またはクロストリジウム・ファラクス(共にクロストリジウム属の病原種)の選択的破壊が起こることである。
本明細書で言及した刊行物はすべて参照により本明細書に組み込まれる。上述した本発明の方法およびシステムのさまざまな変更態様および変形態様は、本発明の範囲および思想から逸脱しなくても、当業者には明白だろう。特定の好ましい実施形態に関して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載する本発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないと理解すべきである。実際、本発明の上記実施形態のさまざまな変更態様であって、生化学分野および生物工学分野または関連分野の当業者には自明なものは、本願特許請求の範囲に包含されるものとする。
本発明のライシンをコードするヌクレオチド配列(配列番号1)を示す図である。 本発明のライシンのアミノ酸配列(配列番号2)を示す図である。 クロストリジウム・パーフリンジェンス由来のバクテリオファージ(φ3626)に関するゲノム地図を示す図である。 φ3626ライシン産生大腸菌の粗抽出物(RE)を使った、培地中のクロストリジウム・パーフリンジェンスNCTC3110株の溶解を表すグラフである。 さまざまな細菌種および細菌属に対するクロストリジウム・パーフリンジェンスバクテリオファージφ3626由来のライシンの基質特異性を表すグラフである。

Claims (18)

  1. 配列番号2に示すアミノ酸配列を含むライシン。
  2. 配列番号2に示すアミノ酸配列を含むライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
  3. ライシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸であって、前記ヌクレオチド配列が配列番号1に示す配列を含む核酸。
  4. 請求項2〜3のいずれか一項に記載のライシンをコードする核酸により形質転換された宿主。
  5. 微生物宿主である、請求項4に記載の宿主。
  6. 食品用微生物である、請求項5のいずれか一項に記載の宿主。
  7. 腸内にコロニーを形成する生物である、請求項5〜6のいずれか一項に記載の宿主。
  8. エシェリキア(Escherichia)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、バチルス(Bacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属から選択される1つ以上の微生物である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の宿主。
  9. 大腸菌(Escherichia coli)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)及びスタフィロコッカス・カルノサス(Staphylococcus carnosus)の1つ以上から選択される細菌である、請求項5〜8のいずれか一項に記載の宿主。
  10. 請求項1に記載のライシンを含む、クロストリジウム属の病原菌を破壊するための組成物。
  11. 医薬組成物であり、薬学的に許容できる希釈剤、賦形剤または担体をさらに含む、請求項10に記載の組成物。
  12. クロストリジウム・パーフリンジェンスに関係する障害、疾患または状態を処置するための医薬品の製造における、請求項1に記載のライシンの使用。
  13. 前記障害、疾患または状態が、体重減少、壊死性腸炎、壊疽の1つ以上である、請求項12に記載の使用。
  14. クロストリジウム属の病原性細菌をin vitroで破壊する方法であって、請求項1に記載のライシンまたは請求項10〜11のいずれか一項に記載の組成物により、病原性クロストリジウム細菌を溶解することを含む方法。
  15. 前記クロストリジウム細菌が種クロストリジウム・パーフリンジェンスに属する、請求項14に記載の方法。
  16. 請求項2〜3のいずれか一項に記載のヌクレオチド配列と、適切な宿主中でコード配列を発現させるためにそれに付随している調節領域とを含む発現ベクター。
  17. 請求項1に記載のライシンを含む診断マーカーを使って、試料中のクロストリジウム細菌を検出する方法。
  18. 前記クロストリジウム細菌が種クロストリジウム・パーフリンジェンスに属する、請求項17に記載の方法。
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