JP4436033B2 - インバータ回路の配線構造と電動工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータ回路の配線構造とそれを用いた電動工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電動工具等に用いられているインバータ回路は、大電流を流すために、放熱構造が必要となっている。
【0003】
そのため、このインバータ回路に用いられている6個のトランジスタは、非絶縁形のトランジスタが用いられ、駆動回路基板に配線する場合には、太い配線パターンが多数配線されている。そのため、駆動回路基板が大型化となり、コストアップになるという問題点がある。
【0004】
また、放熱を考慮したインバータ装置が提案されている(特開2001−145387)。この特許文献1の構造は、インバータ回路のうちモータの固定子の一端に互いに並列に接続された二相の電力半導体より、三相のインバータ回路のうちモータの固定子巻線の他端に接続された残りの一相の電力半導体が、低温側に位置するものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−145387
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1におけるインバータ回路の構造は、放熱構造については考慮しているが、配線については全く考慮されておらず、特に、電源ラインとの関係が考慮されていないため、駆動回路基板には太い配線パターンがやはり必要となっている。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、放熱構造及び配線構造をも考慮したインバータ回路の配線構造と、それを用いた電動工具を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、放熱フィンがコレクタ端子、または、ドレイン端子を兼ねているトランジスタを6個用いてバイポーラ駆動法を実現するインバータ回路で駆動制御されるブラシレスDCモータで駆動する電動工具において、前記電動工具のケーシングは、胴部とこの胴部の後部より突出した把持部よりなるピストル型であり、前記6個のトランジスタを断面L字形のヒートシンクに固定し、前記6個のトランジスタのうち、上段側の3個のトランジスタのコレクタ端子、または、ドレイン端子と、電源ラインとを銅板よりなるバスバーで配線し、前記6個のトランジスタを断面L字形のヒートシンクに固定する際、前記上段側の3個のトランジスタは前記バスバーと共にヒートシンク底面に固定され、そして、下段側の3個のトランジスタは絶縁部材を介してヒートシンク側面に固定され、電子部品を配線した駆動回路基板に、前記ヒートシンクが固定されたトランジスタが接続され、前記上段側トランジスタは、トランジスタ下部のエミッタ端子及びベース端子が前記駆動回路基板に直接接続され、コレクタ端子、または、ドレイン端子がバスバーに形成された接続端子を介して前記駆動回路基板に接続され、前記下段側トランジスタは、トランジスタ下部のコレクタ端子或いはドレイン端子と、エミッタ端子と、ベース端子とが前記駆動回路基板に直接接続され、前記ケーシングの胴部の後部にブラシレスDCモータを配し、前記ブラシレスDCモータの直下に前記駆動回路基板を配すると共に、前記ブラシレスDCモータの後方に6個のトランジスタを固定した前記ヒートシンクを配する構成としたことを特徴とする電動工具である。
【0010】
【作 用】
請求項1のインバータ回路の配線構造であると、上段側の3個のトランジスタのコレクタ端子、または、ドレイン端子と、電源ラインとを銅板よりなるバスバーで配線しているため、放熱フィンを兼ねたコレクタ端子、または、ドレイン端子からの放熱が促進され、また、このバスバーが配線パターンとなるため電源ラインに向かう従来の配線パターンを省略することができる。
【0011】
また、請求項1の電動工具であると、上記のようにインバータ回路に設けられたトランジスタからの放熱が促され、かつ、電源ラインに対する配線パターンが省略できるだけでなく、ブラシレスモータの下方に駆動回路基板が配され、ブラシレスDCモータの後方に6個のトランジスタを固定したヒートシンクが配されているため、ピストル型の電動工具のケーシングの大きさを小型化できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施例)
以下、本発明の一実施例を図1から図4に基づいて説明する。
【0013】
(1)電動ドライバー10の構造
電動工具の一つであるコードレスタイプの電動ドライバー10の構造について説明する。
【0014】
図1は、電動ドライバー10の側面図である。
【0015】
電動ドライバー10のケーシング12は、略円筒形状の胴部14と、この胴部14の後部の下方から突出した把持部16とよりなり、全体形状はピストル形となっている。
【0016】
このピストル型のケーシング12の胴部14の後部には、ブラシレスDCモータ(以下、単にモータという)が内蔵され、そのモータ18の前方には、変速等を行う変速機構20が配され胴部14の前部にあるチャック部22に接続されている。チャック部22には、例えばドライバー24が固定される。
【0017】
モータ18の下方には、駆動回路基板26が配されている。この駆動回路基板26については、後から詳しく説明する。
【0018】
駆動回路基板26の下方であって、把持部16の上端部前方には、トリガースイッチ28が設けられている。
【0019】
把持部16の下部には100Vの商用電源から充電可能なバッテリ30が固定されている。
【0020】
(2)駆動回路の構成
上記の電動ドライバー10の駆動源であるモータ18を駆動させる駆動回路の構成について図2の電気回路に基づいて説明する。
【0021】
モータ18であるブラシレスDCモータは、V相、U相、W相よりなる三相のブラシレスDCモータであって、このモータ18のY結線された固定子巻線34U、34V、34Wに双方向電流を流して駆動するバイポーラ駆動をインバータ制御で行うものである。
【0022】
図2において、インバータ回路32は6個のスイッチング素子であるバイポーラ型トランジスタQ1〜Q6より構成され、バッテリ30のプラス側からの電源ラインがそれぞれ上段側のトランジスタQ1〜Q3のコレクタ端子に接続されている。上段側のトランジスタQ1〜Q3のエミッタ端子は、下段側のトランジスタQ4〜Q6のコレクタ端子に接続されると共に、その接続点はそれぞれモータ18の三相の固定子巻線34U,34W,34Vに接続されている。
【0023】
6個のトランジスタQ1〜Q6のベース端子は、コントロール部36に接続されている。
【0024】
このコントロール部36は、バイポーラ駆動を行うために、6個のトランジスタQ1〜Q6をPWM制御(パルス幅変調制御)する。
【0025】
このコントロール部36もバッテリ30からその電源を供給されている。
【0026】
(3)駆動回路の配線構造
次に、上記構成で説明した駆動回路を実現するための配線構造について図3と図4に基づいて説明する。
【0027】
インバータ回路32を構成する6個のバイポーラ型トランジスタQ1〜Q6の取付け構造について、図3に基づいて説明する。
【0028】
金属板よりなる断面略L字形のヒートシンク、すなわち、ヒートシンク38は、金属製の底板40と、この底板40の一端から垂直に立設された立設板42とにより構成されている。
【0029】
一方、前記の6個のトランジスタQ1〜Q6は、非絶縁形のトランジスタであり、放熱フィン44がコレクタ端子を兼ねたものとなっている。そして、トランジスタQ1〜Q6の各下部から3個の接続端子46が突出している。この3個の接続端子のうち2個が、ベース端子とエミッタ端子であり、他の1個はコレクタ端子となっている。
【0030】
上記6個の非絶縁形のトランジスタをヒートシンク38に固定する構成について説明する。
【0031】
インバータ回路32の上段側にあるトランジスタQ1〜Q3を、底板40の下面に取り付ける。この場合に、図3に示すように、銅板より構成されるバスバー48によって、非絶縁形の放熱フィン44、すなわち3個のコレクタ端子が全て電気的に接続されるようにナベコネジ50で固定する。
【0032】
また、このバスバー48は、駆動回路基板26に接続するための接続板52を含んでいる。詳しくは、3個のトランジスタのコレクタ端子を接続する固定板54の端部から接続板52が下方に折曲されている。
【0033】
一方、下段側の3個のトランジスタQ4〜Q6は、ヒートシンク38の立設板42に取り付けるが、トランジスタQ3〜Q6のコレクタ端子の電圧値はそれぞれ異なるため、ヒートシンク38の立設板42との間には絶縁シート56を介して取り付け、その後に、絶縁ブッシング58を介してナベコネジ60で固定する。下段側のトランジスタQ4〜Q6については、トランジスタの下部から出ているベース端子とエミッタ端子とコレクタ端子の3個の接続端子46を駆動回路基板26に電気的に接続する。
【0034】
図4は、上記のようにヒートシンク38に6個のトランジスタQ1〜Q6を取り付けた状態で、駆動回路基板26に取り付けようとする分解斜視図である。
【0035】
駆動回路基板26には、6個のトランジスタQ1〜Q6以外の駆動回路を構成するコントロール部36や抵抗素子などの電子部品が配線され、かつ、バッテリ30からの電源ラインが配線されている。そして、この駆動回路基板26に、上記で説明した6個のトランジスタQ1〜Q6を固定したヒートシンク38を固定する場合に、駆動回路基板26の後端部にバスバー48の接続板52を駆動回路基板26にハンダ付けし、また、上段側にあるトランジスタQ1〜Q3の3個の接続端子46を駆動回路基板26にハンダ付けし、さらに、下段側にあるトランジスタQ4〜Q6の3個の接続端子46を駆動回路基板26にハンダ付けする。すると、ヒートシンク38が図1に示すようにモータ18の後方に位置し、かつ、駆動回路基板26がモータ18の下方に位置するようになる。なお、上段側にあるトランジスタQ1〜Q3の3個の接続端子46のコレクタ端子は、固定のためにハンダ付けをするが、ダミー端子として電気的に接続は行わなくともよい。
【0036】
上記のような駆動回路基板26の配線構造であると、コレクタ端子を兼ねたトランジスタQ1〜Q3の放熱フィン44にバスバー48を取り付け、電源ラインと接続するため、電源ラインである配線パターンが不要となり、コストを下げ、断線等を防止することができる。また、バスバー48は銅板で3個の放熱フィン44が接続されているため、放熱効果をより促進させることができる。
【0037】
ケーシング12の内部において、モータ18の後方にヒートシンク38を配し、下方に駆動回路基板26を配することにより、スペースを有効に利用することができるため、ケーシング12全体の小型化を行うことができる。
【0038】
また、駆動回路基板26とヒートシンク38を確実に固定することができる。
【0039】
(変更例1)
上記実施例ではトランジスタとしてバイポーラ型トランジスタを用いたが、これに代えて非絶縁形のトランジスタとしてFETを用いてもよい。この場合には、コレクタ端子に代えて放熱フィンとドレイン端子が共通となっているので、上段側にある3個のFETのドレイン端子をバスバーで接続する。
【0040】
(変更例2)
上記実施例では電動工具として電動ドライバー10について説明したが、これに限らず電動ドライバードリルや硬度を有するタイプの電動工具であってもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上により本発明のインバータ回路の配線構造であると、上段側のトランジスタにおけるコレクタ端子またはドレイン端子の配線を確実に行うことができると共に、電源ラインの配線パターンを省略することができる。
【0042】
また、本発明の電動工具であると、スペースを有効利用することができるため、ケーシングを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す電動ドライバーの側面図である。
【図2】駆動回路の電気回路図である。
【図3】ヒートシンクに6個のトランジスタを取り付けようとする分解斜視図である。
【図4】ヒートシンクを駆動回路基板に取り付けようとする分解斜視図である。
【符号の説明】
10 電動ドライバー
12 ケーシング
14 胴部
16 把持部
18 モータ
26 駆動回路基板
32 インバータ回路
38 ヒートシンク
44 放熱フィン
46 接続端子
48 バスバー
Claims (1)
- 放熱フィンがコレクタ端子、または、ドレイン端子を兼ねているトランジスタを6個用いてバイポーラ駆動法を実現するインバータ回路で駆動制御されるブラシレスDCモータで駆動する電動工具において、
前記電動工具のケーシングは、胴部とこの胴部の後部より突出した把持部よりなるピストル型であり、
前記6個のトランジスタを断面L字形のヒートシンクに固定し、
前記6個のトランジスタのうち、上段側の3個のトランジスタのコレクタ端子、または、ドレイン端子と、電源ラインとを銅板よりなるバスバーで配線し、
前記6個のトランジスタを断面L字形のヒートシンクに固定する際、前記上段側の3個のトランジスタは前記バスバーと共にヒートシンク底面に固定され、そして、下段側の3個のトランジスタは絶縁部材を介してヒートシンク側面に固定され、
電子部品を配線した駆動回路基板に、前記ヒートシンクが固定されたトランジスタが接続され、
前記上段側トランジスタは、トランジスタ下部のエミッタ端子及びベース端子が前記駆動回路基板に直接接続され、コレクタ端子、または、ドレイン端子がバスバーに形成された接続端子を介して前記駆動回路基板に接続され、
前記下段側トランジスタは、トランジスタ下部のコレクタ端子或いはドレイン端子と、エミッタ端子と、ベース端子とが前記駆動回路基板に直接接続され、
前記ケーシングの胴部の後部にブラシレスDCモータを配し、
前記ブラシレスDCモータの直下に前記駆動回路基板を配すると共に、前記ブラシレスDCモータの後方に6個のトランジスタを固定した前記ヒートシンクを配する構成とした
ことを特徴とする電動工具。
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