以下に、本発明に係る粘着テープカッターおよび粘着テープの実施の形態について添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図11は本発明の好適な一実施形態を示すものであり、図1はその外観を示す正面図、図2は平面図、図3は図1における左側面図、図4は図1における手前の支持板を外してその内部を示す図、図5は図4中の上部に設けられた重合部形成手段をなす側縁折り返し重合機構を示す斜視図、図6は上記側縁折り返し重合機構の折り曲げ機構部を示す平面図、図7は上記側縁折り返し重合機構の折り返し機構部における折り返しガイド部分を示す縦断面図、図8は上記側縁折り返し重合機構の折り返し機構部における切欠ガイド部分を示す縦断面図、図9は図4中の結束切断機構部を拡大して示す図、図10と図11は結束操作の過程を段階的に説明する図である。
図1〜図4に示すように、結束用粘着テープカッター10は、所定間隔を隔てて対向配置された一対の支持板12a,12bを備える。各支持板12a,12bは後述する各種支軸やボルト等によって平行に保たれて連結されており、その各下端部には外方に向けて水平に折り曲げられて一体形成された脚部14を有している。
上記支持板12a,12b間には、片面を粘着面とする長尺なテープ2をロール状に巻いてなる粘着テープ巻付体4を回転自在に支持するテープ支持部16がその一側部に位置されて設けられている。このテープ支持部16はテープ巻付体4の上部を係止する少なくとも2個の支持ローラー18a,18bと、当該テープ巻付体4が飛び出さないようにその下部を係止する支持レバー20とから構成されており、支持ローラー18a,18bは、一対の支持板12a,12bの少なくともいずれか一方に固定されている支持軸(図示せず。)に回転自在に軸支されている。
支持レバー20は両支持板12a,12b間に挟まれて設けられ、当該両支持板12a,12b下部の中央部分に取り付けられた支持軸22cに一端20aが揺動自在に軸支されていて、他端が上記両支持ローラ18a,18bの下方に向けて側方に延びている。また、支持レバー20略中央部には当該支持レバーの他端20b側を上方に向けて回動させるべく付勢する付勢スプリング24が設けられており、この付勢スプリング24のバネ力により常にテープ巻付体4を上方にある2つの支持ローラ18a,18bに圧接係止させて、当該テープ巻付体4の支持板12a,12b間からの飛び出しを防止するようになっている。ここで、本図示例では、付勢スプリング24には引っ張りコイルスプリングが用いられており、その下端部は支持レバー20に係止され、上端部は上方に延びて両支持板12a,12b間に両端を固定されたピン26に係止されている。また、支持レバー20の上方には付勢スプリング24の側方に位置して支持板12bに固定されたストッパー28が設けられていて、当該ストッパー28によってテープ巻付体4の取り外し時において支持レバー20が必要以上に上方へ回動するのを防止している。さらに、支持レバー20の他端の揺動側先端は下方に折り曲げ形成されていて、テープ巻付体4の挿入が容易に行えるようになっている。
即ち、このようにテープ支持部16を構成することで、従来から多用されているテープ巻付体4の中心部を支持ドラム等の回転体で支持するような構造にすることなく、粘着テープ巻付体4をテープの張力に抗して2個の支持ローラー18a,18bによってこれらに密着させて回転自在に、しかも脱着容易に保持することができる。
なお、支持ローラ18a,18bの一側端にはテープ幅方向の位置決め用フランジ18aa,18baが拡径形成されていて、当該図示例ではそのフランジ18aa,18baは支持板12b側に設けられている。一方、支持板12aにはテープ巻付体4の外周縁部に押圧接触して、当該テープ巻付体4を上記フランジ18aa,18baに当接させるための板バネからなる押圧部材30が設けられている。
また、一対の両支持板12a,12bの他側方には、その上端部から下方に延びて溝部32が設けられている。この溝部32は被結束物Wの結束部位、例えばビニール袋の開口部位等を、当該溝部32の上端部に開放形成された挿入口32aから下方に向けて挿通するための挿通路34を形成しており、被結束物Wは当該挿通路34に沿って挿入挿通されて下端部に拡大形成されている取り出し口32bから側方に抜き出されるようになっている。
そして、上記テープ支持部16に支持されたテープ巻付体4から、その粘着面2bを上側にして引き出される粘着テープ2の先端を上記挿通路34に案内する引き出し通路36が支持板12a,12b間に形成されている。この引き出し通路36には、支持板12a,12b上部の上記支持ローラ18bの側方に位置されて、粘着テープ2の引きだし用ガイドローラー33が設けられており、テープ巻付体4から引き出される粘着テープ2はその非接着面2a側が上記支持ローラ18bと当該引き出し用ガイドローラ32とに巻回されて粘着面2b側が上側になるように反転させられるようになっている。
そして、この実施形態の結束用粘着テープカッター10にあっては、一対の支持板12a,12bの上部中央部が矩形に上方に延出形成され、この延出部12aA,12bA間に重合部形成手段60をなす側縁折り返し重合機構80が設けられている。ここで、支持板12bの延出部12bAはヒンジ124によって側方に開閉可能となっており、その上端部はL字状に屈曲されて天板部125が形成されていて、開閉カバーとなっている。そして、この天板部125には支持板12aの延出部12aAに形成された係合孔126にロック片127を係合させて開閉カバー12bAを係脱自在に係止するロック手段128が設けられている。127aは天板部125に突出されて設けられているロック片127の操作ノブである。
上記側縁折り返し重合機構80は、粘着テープ2の引き出し通路に36において、接着(粘着)面2b側に配置される接着面側部材と非接着面2a側に配置される非接着面側部材とからなり、これら接着面側部材と非接着面側部材とに押圧接触させつつ両部材間に粘着テープ2を挿通して引き出すことにより、粘着テープ2の長手方向の少なくとも一側に、その側縁部2cを所定幅で粘着面2b側に折り返して非接着部2dとなる重合部を形成するものである。
この側縁折り返し重合機構80は、図4〜図8に示すように、引き出される粘着テープ2の長手方向一側部の側縁部2cを粘着面2b側の上方に略90度まで折り曲げる折り曲げ機構部90と、その折り曲げられた側縁部2cを更に略180度まで折り返して粘着面2b同士を対面させる折り返し機構部100、およびその対面した粘着面2b同士を重合させて貼り合わせる貼り合わせ手段110とからなる。
折り曲げ機構部90は、位置決め手段としての位置決めローラー91と折り曲げ手段としての折り曲げローラー92、及び折り曲げガイド片94とにより構成されている。位置決めローラー91は、テープ支持部16と上記折り曲げローラー92との間に設けられて、粘着テープ巻付体4から引き出される粘着テープ2の折り曲げローラー92への供給位置を位置決めするものであり、テーパー状のローラー本体91aと、このローラー本体91aの端部に設けられたフランジ91bとを有しており、両支持板12a,12bに回転自在に軸支されて取り付けられている。ローラー本体91には粘着テープ巻付体4から引き出された粘着テープ2の非接着面2aが押圧接触するようになっており、フランジ91bには粘着テープ2の一方の側端が接するようになっている。そして、粘着テープ巻付体4から引き出された粘着テープ2を折り曲げローラー92に向けて、その高さ位置と幅方向位置とを位置決めして案内するようになっている。
折り曲げローラー92は折り返し機構部100と位置決めローラー91との間に位置して、開閉カバー12bAに回転自在に軸支されて取り付けられている。折り曲げローラー92の一方の端部92aは引き出し通路36を挿通される粘着テープ2の粘着面2b上に位置しており、当該粘着テープ2の一側部に所定の折り曲げ幅を残して粘着面側に押圧接触する。つまり、図6に例示するように、この折り曲げローラー92の外周面92bは、粘着テープ巻付体4から引き出される粘着テープ2の粘着面2bに対して、その全幅に亘っては接触されずに所定範囲部分にだけ接し、折り曲げ予定幅とされた側縁部2cの粘着面2bには接しないようになっている。また、この外周面92bには多数の溝部が形成されており、粘着面2bとの接触面積を減少させて粘着テープ2と接着されるのを防止するようになっている。そして、位置決めローラー91によって案内される粘着テープ2の一側部をその端面92a部分で折り曲げて、この折り曲げ状態で折り返し機構部100方向へ案内するようになっている。なお、本実施の形態においては、折り曲げローラー92は円筒状に形成されているがこれに限らず、粘着テープ2の粘着面2bの所定の位置に接する薄い外周面を有する円盤形のものとしてもよい。
また。折り曲げローラー92の端面92aに対向配置されて、当該折り曲げローラ92に接触していない粘着テープ2の側縁部2cを所定の折り曲げ幅で粘着面2b側に折り曲げるべく、当該折り曲げ幅部分の側縁部2cの非粘着面2b側に押圧接触して、当該側縁部2cを折り曲げローラー92の端面92aとの間に挟んで所定幅で粘着面2b側に折り曲げる、非接着面側部材としての折り曲げガイド片94が支持板12bに設けられている。ここで、当該折り曲げガイド片94は折り曲げローラー92の端面外周縁よりも更に折り返し機構20側を指向してローラー92の径方向外方に延びており、その延出端部には略90度に折り曲げられた粘着テープ2の側縁部2cの非粘着面2bに当接して、当該側縁部2cの折り曲げ角度θを略120度に、つまり粘着面側で略60度の鋭角に狭めるように案内するガイド突起95が三角形状に突出形成されて設けられている。
折り返し手段としての折り返し機構部100は、図7と図8とに示すように折り曲げられた粘着テープ2の側縁部2cの非粘着面2b側に押圧接触して、当該側縁部2cを略180度まで折り返すためのガイド部を有した折り返しガイド片でなる。本実施形態にあっては、この折り返しガイド片は、図7に示すように前記粘着テープ2の側縁部2cの折り曲げ角度θを略135度(粘着面同士の角度で略45度の鋭角)まで案内して狭める第1のガイド部としての傾斜ブロック101と、この傾斜ブロック101に隣接配置されて上記折り曲げ角度を略180度まで案内して折り返す、第2のガイド部としての切欠ブロック102とから構成されており、本実施形態では両ブロック101,102は樹脂で一体形成されて粘着テープ2上方の接着面2a側に配置されて、開閉カバー12bAに取り付けられている。
即ち、傾斜ブロック101は、引き出し通路36における粘着テープ2の粘着面2bに対して鋭角となる傾斜角(≒45度)を有する傾斜面101aを備え、切欠ブロック102はくさび形に切欠形成された傾斜面102aを備えており、かつ当該切り欠きブロック102の下方には、粘着テープの下側の被接着面2a側に当接して当該切り欠きブロック102に粘着テープ2を押圧接触させる押圧ローラ103が両端を一対の支持板12a,12bに軸支されて設けられている。
貼り合わせ手段110は、図11に示すように、側縁部2cが折り返された粘着テープ2の対向する粘着面同士を重合させて貼り合わせるものであって、当該側縁部2cが折り返された粘着テープ2の接着面側と非接着面側とに配設される少なくとも上下一対の押圧部材からなり、本第2実施形態では、当該押圧部材は一対の支持板12a,12bに軸支されて粘着テープ2の下側にその挿通方向の前後に配されて並設された2つの下側ガイドローラー111,112と、これら下側ガイドローラ111,112の間に位置されて粘着テープの上側に設けられる上側ガイドローラ113との3つから構成されており、上側ガイドローラ113は開閉カバー12bAに回転自在に軸支されて設けられている。そして、これらの下側ガイドローラー111,112と上側ガイドローラ113とは側縁部2cが折り返された該粘着テープ2にその両面から押圧接触する。また、上側ガイドローラー113の外周面42aにはその略中央部に、開閉カバー12bAを閉じる時に、粘着テープ2の側縁エッヂ部を係止して、側縁部2cの折り曲げを案内する係止溝113aが形成されている。
開閉カバーとしての開閉カバー12bAは、引き出し通路36に挿通される粘着テープ2に対して、当該開閉カバー12bAに取り付けられた接着面側部材を押圧接触させる閉位置と押圧接触させない開位置とに切り替えて両位置間を移動して開閉可能に設けられるとともに、開位置では接着面側部材を非接着面側部材から離間させて粘着テープ2の引き出し通路36をその全長に亘って開放するようになっている。また、開閉カバー12bAは、粘着テープ2の挿通方向に対して側方に回動して開閉移動されるようになっている。
即ち、本実施形態では、図2と図3とに示すように、開閉カバー12bAは下端部が支持板12bの上端部にヒンジ124を介して回動自在に取り付けられており、当該開閉カバー12bAを側方に開くことによって、この開閉カバー12bAに支持された折り曲げローラー92、傾斜ブロック101、切欠ブロック102、上側ガイドローラ113等の接着面側部材が、位置決めローラー91,折り曲げガイド片94,押圧ローラ103,および下側ガイドローラー111,112等の非接着面側部材に対して回動して離れるようになっている。つまり、開閉カバー5を開くことにより、傾斜ブロック101、切欠ブロック102,折り曲げローラー92,上側ガイドローラ113は粘着テープ2から離れて、当該粘着テープ2の引き出し通路36が全長に亘って開放されるようになっている。
また、開閉カバー12bAと支持板12aとには、該開閉カバー12bAを開放させて粘着テープ2を引き出し通路36に挿通装着する時に、重合部形成手段60における折り返しガイド片100のガイド部101先端が粘着テープ2の下面側に位置するようにその開度を規制する開度規制ストッパー108が設けられている。
この開度規制ストッパー108は、前記開閉カバー12bAの開度を略90度に規制するようになっており、当該実施形態では、前記折り返しガイド片100の第1のガイド部101の裏面に一体的に設けられた支持ステー104と、当該支持ステー104の先端を開閉カバー12bAの開放時に係止するための係止手段として前記支持板12aに開口形成されて設けられた縦に延びる矩形孔106とからなる。支持ステー104は開閉カバー12bAの開放時に粘着テープ2の非粘着面側の下面に当接して支持し、もって当該粘着テープ2の下方への落ち込みを規制するものであって、上記第1のガイド部101の裏面に一体的に取り付けられており、開閉カバー12bAを略90度開いた状態で、引き出し通路36を横断するように上記第1のガイド部101の先端から真っ直ぐに突出して延びている。そして、支持板12aには開閉カバー12bA開度が90度のときに当該支持ステー104の先端が係合して係止される上記矩形孔106が開口形成されている。
なお、支持ステー104の係止手段としては上記のような矩形孔106の他にも、引き出し通路36内に向けて支持板12a側から突出する係合突起によっても構成することができる。ここで、当該係合突起は、例えば支持板12aにコ字状のスリットを形成して、その内部片を内方に曲げ起こして形成するようにしても良い。また、開度規制ストッパーは支持ステー104に兼用させずに別途に設けても良い。例えば、支持板12bにその外側に突出する係合突起を設けて当該係合突起に開閉カバー12bAが当接して係止されるように構成しても良い。
そして、上記のように構成された側縁折り返し重合機構80に粘着テープ2を挿通装着させてセットするあたっては、先ず、開閉カバー12bAが開度規制ストッパー108に当接して係止されるまで開放させて略90度の所定角度の開度に保持する。このとき当該開閉カバー12bAに取り付けられている重合部形成手段60の折り返しガイド片100は、その第1のガイド部101先端が引き出し通路36に挿通される粘着テープ2の下面側に位置して留まされるので、粘着テープ2を引き出し通路36上に引き出して挿通させると粘着テープ2はその一側縁部2cが当該第1のガイド片101の先端部に上方から当接した状態となる。また、同時に当該第1の外部101の裏面先端から引き出し通路36を横断して突出する支持ステー104にも粘着テープ2の残余部分が当接するので、当該粘着テープ2は下方への移動が規制されて、その一側縁部2cが第1のガイド部101の先端から外れて落ち込むことがない。
そして、粘着テープ2にややテンションを作用させた状態で開閉カバー12bAを閉じていくと、第1のガイド部101の先端に当接した一側縁部2cが当該第1のガイド部101の回動に伴って上方に起こされて折り曲げられてゆき、開閉カバー12bAを閉じたときには粘着テープ2の一側縁部2cが折り返されて粘着面同士が対面した状態となる。また、これに伴い、折り曲げローラー92の端面とこれに対向配置された折り曲げガイド片94との間に当該粘着テープ2の一側縁部2cがスムーズに案内されて挟み込まれてゆくので、引き出し通路36に設けられた重合部形成手段60の接着面側部材と非接着面側部材との間への粘着テープ2の挿通装着が簡易にかつ確実に行うことができるようになる。
また、開閉カバー12bAを閉じると、貼り合わせ手段110の上側ローラ113の係止溝113aにエッヂが係止された粘着テープ2の一側縁部2cは粘着面側に折り返されて粘着面同士が重合された状態になる。このとき重合部の幅には予定幅よりも大小する誤差が生じてしまうが、位置決めローラー91から貼り合わせ手段110の出口までの距離分以上に粘着テープ2を引き出せば、側縁折り返し重合機構80の折り曲げローラー92、折り曲げガイド片94、傾斜ブロック101、切欠ブロック102、ガイドローラー111,112,113等が機能して、折り曲げ幅を予定幅に自動調節しつつ、側縁部2cを徐々に滑らかに折り曲げながら連続的に重合圧着させて、皺のない美麗な折り曲げ重合状態の非接着部2dを有した粘着テープ2が繰り出されてくる。
即ち、 傾斜ブロック101の傾斜面21aには粘着テープ2の一方の側端つまり側部における非接着面2aが接するようになっており、粘着テープ2の一方の側端は粘着面2bを内側として鋭角に折り曲げられることになる。
また、切欠ブロック102においては、粘着テープ2は、傾斜ブロック101により折り曲げられた状態で導入され、傾斜面102aで徐々にその折り曲げ度合いを増し、対向する粘着面2b同士がほぼ平行となるまで折り曲げられる。つまり、粘着テープ2の一方の側端には粘着面2bを内側とした重合部が連続的に形成されることになる。
また、折り返し機構部100により形成される重合部の寸法は、折り曲げローラー92により所定の寸法に規制されるようになっている。すなわち、図14に示すように、折り曲げローラー92はその端部92aが粘着テープ2の粘着面2b上に位置するようになっているため、重合部はこの端部92aを越えて折り曲がることが規制されてその寸法が一定に保たれるようになっている。
また、この折り曲げローラー92により規制される重合部の寸法は、粘着テープ2と折り曲げローラー92との幅方向の位置関係により変化することになる。そのため、このテープカッター10Aでは、折り曲げローラー92に粘着テープ2を案内する位置決めローラー91により、粘着テープ2の幅方向の位置を規制させるようにしている。つまり、位置決めローラー91のフランジ91bと接する粘着テープ2の側端は、重合部が形成される際に生じる張力によりその重合部形成側に向かって、つまり図14中の下方に向かって移動しようとするが、粘着テープ2の側端はこの位置決めローラー91のフランジ91bに接触することにより移動が制限されているため、粘着テープ2の幅方向の位置は常に一定に保たれることになる。
折り返し機構部100により重合部が形成された粘着テープ2は、図4に示すように、下側ガイドローラー111,112と上側ガイドローラー113との間を挿通される。このとき、粘着テープ2が各ガイドローラー111,112,113に押圧接触して与えらる張力により、その重合部の対向する粘着面2b同士が互いに押し付けられて、粘着面2bの一方の側端つまり側部に側縁部2cが折り返されて重合された非接着部2dが形成されることになる。
このような一連の行程は、粘着テープ巻付体4から順次粘着テープ2を引き出すことにより連続的に行われることになる。
そして、この一側に非接着部2dが重合形成された粘着テープ2を引き出し通路36を通過させて被結束部材Wの挿通路34上に導き、当該粘着テープ2の上方から挿通路34内に被結束部Wを挿入挿通させれば、図10の(1)の状態になって粘着テープ2のセットが完了することになる。
即ち、図9〜図11に示すように、上記引き出し通路36の下流端には、所定間隔で放射状に突出する多数の係合突起40aを有した羽根車様の回転係合部材40が、一対の支持板12a,12b間に回転自在に軸支されて設けられおり、粘着テープ2は当該回転係合部材40の係合突起40a先端に巻回係止されて、挿通路32内に導かれるようになっている。ここで、当該回転係合部材40はその一側方部分の係合突起42aが挿通路32内に臨まされて引き出し用通路36の下流端側の下方に設けられており、挿通路32内に上方から挿入挿通される被結束物Wに係合突起40aが係合して、当該被結束物Wによって下方に押されて回転されるようになっている。この際、被結束物Wは回転係合部材40の係合突起40a先端に巻回されている粘着テープ2を係合突起40a,40a間に押し込んで回転係合部材40を押し回すことになる。そして、この時に粘着テープ2に作用する張力によっても、粘着面同士が圧着される。
一方、挿入溝32を挟んで上記回転係合部材40の側方位置には、当該回転係合部材40に対峙して、粘着テープ2先端部の粘着面2b側を所定長さに亘って貼着して止着する止着部材42が設けられている。この止着部材42は一対の支持板12a,12b間に掛け渡されて設けられた支軸43にその上部が軸支されて揺動自在に設けられている。そして、回転係合部材40に対面する止着部材42の側面部は当該回転係合部材40の係合突起40a先端に当接して、当該係合突起40aの回転摺動を許容するように凹状に湾曲した摺動面42aに形成されており、当該摺動面42aが粘着テープ2の粘着面2bを所定の長さに亘って貼着係止するための止着部とされている。
ここで、摺動面42aは、その幅が上記狭幅部36aの幅よりも狭く形成されている。即ち、折り返されて被接着部2dとなった側縁部2cの幅分だけ、その折り返し後のテープ幅よりも更に摺動面42aの幅は狭く形成されて、残存する粘着面2bの幅に相当されている。つまり、側縁部2cが折り返し重合形成されてなる被接着部2dのテープ厚みは倍になっているため、粘着力のない当該被接着部2dを避けて粘着面2b部分だけに摺動面42aが当たるようにしており、摺動面42aの側方には2枚分の厚みの被接着部2dを逃がす段差部42bが形成されている。
また、湾曲形成された摺動面42aはその下方部分が上方部分よりも曲率が大きく形成されており、このため略半分から下の下方部分には係合突起40aの先端は当接するが、上方部分には係合突起40aは当接せずに離間した状態になっている。
そして、上記止着部材42には、上記摺動面42aを回転係合部材40の係合突起40a先端に圧接させるべく付勢する圧接用付勢手段44が設けられている。即ち、当該圧接用付勢手段44に付勢されて止着部材42の摺動面42aの下端部は挿通路34内に突出しており、被結束物Wが上方から挿通されて来ると、当該挿通路34内に突出した下端部分にその被結束物Wが当接して側方の支持板12a,12b間に押し戻されて挿通路34内から待避するようになっている。そして、後に詳しく述べるが、被結束物Wは止着部材42の下方まで押し下げられると、挿通路34内を移動してきた結束部位に粘着テープ2が環状に巻回されて結束された状態にされるようになっている。
また、上記止着部材42および回転係合部材40の下方には、テープ切断レバー50が両支持板12a,12b間に掛け渡された支軸51に揺動自在に支持されて設けられている。本図示例では、当該テープ切断レバー50は被結束物Wの挿通路36を挟んで、上記止着部材42とは反対側に配置されている。上記支軸51は挿通路34に近接して設けられ、力点部となる一方の端部50aは側方の挿通路34内に向けて延び、作用点部となる他方の端部50bは上方に屈曲して回転係合部材40の下部近傍まで延びており、略L字状に屈曲形成されている。また、テープ切断用レバー50は、その下方の力点側端部50aが挿通路34内に常時臨むように復帰用付勢手段52によって付勢されていて、当該力点側端部50aが挿通路34内を下方に挿通移動される被結束物Wに係合して揺動されることにより、上方の作用点側端部50bに取り付けられたカッター刃54が止着部材42下部の挿通路34内に出没して、粘着テープ2を切断するようになっている。
また、上記復帰用付勢手段52には、引っ張りコイルスプリングが使用されていて、この引っ張りコイルスプリング52は一端が切断用レバー50の屈曲部の下部に係止され、他端が前述した支軸22cに係止されている。さらに、挿通路34の下端部に形成された取り出し口32bの上方には、切断用レバー50の下面に当接して当該切断用レバー50の過回動を規制し、その力点側端部50aを挿通溝34内に止まらせて係止するストッパーピン53が設けられている。
ところで、図10の(1)〜(4)及び図11の(5)〜(6)は被結束物Wの結束操作の過程を段階的に示すものであるが、被結束部材Wが回転係合部材40を押し回して下方部に至ると、その係合突起40aから離脱するともに止着部材42を側方に押し込んで更に下方に進んで行くことになるのであるが(図10(4)参照)、被結束部材Wが止着部材42の下方に抜けた後も、粘着テープ2の張力が止着部材42の先端部にそのまま作用してしまう構造になっていると、止着部材42の下端部は側方に押圧されたままの状態となって、止着部材42と回転係合部材40の係合突起先端とが離間した状態に維持されてしまう。そして、この離間した状態は、粘着テープ2が切断されて止着部材42が回転係合部材40の係合突起40aに当接するまで続くことになる。一方、張力が作用していた粘着テープ2は切断されることによって、その張力が一気に解放されることになるが、その切断の瞬間に張力に起因したスプリングバックが生じて縮もうとする。このため、切断の瞬間に止着部材42と回転係合部材40の係合突起先端40aとが離間していると、スプリングバックによって縮もうとする粘着テープ2を巧く挟んで係止できない不具合が生じてしまうことがある。つまり、止着部材42の摺動面42aから粘着面2bが外れてしまうと、被結束物Wに粘着テープ2を周回させて結束貼着させることができなくなる。あるいは、止着部材42の戻りが不安定となってしまい、結果として被結束物Wを結束した粘着テープ2の切断レバー50による切断長が一定しなくなってしまう。
そこで、本実施形態では、止着部材42とテープ切断レバー50との間に位置させて張力受け部材46を設け、回転係合部材40部位を通過して止着部材42よりも下方に引き出された粘着テープ2の粘着面側を、この張力受け部材46の先端部に当接させて当該粘着テープ2に作用する張力を受けるようにしている。
すなわち、上記張力受け部材46は張力受けレバー47で構成されており、当該張力受けレバー47は、一対の支持板12a,12b間に中央部が支持軸48によって揺動自在に軸支されて止着部材42の直下に設けられている。張力受けレバー47の先端部47aは揺動して挿通路34内に出没するようになっており、その出没位置は止着部材42の先端部の直下で、かつ切断レバー50のカッター刃54の出没位置(切断位置)よりも上方になっている。また、基端部47b側にはリターンスプリング49が設けられていて、先端部47aを上方に向けて回動させるように付勢しており、通常時にあっては、先端部47aは止着部材42の先端下部に当接している。そして、この止着部材42の先端下部に当接した状態で、張力受けレバー47の先端部47aは止着部材42の先端部よりも大きく挿通路34内に突出している。
また、切断用レバー50の力点側端部先端には、切り離された粘着テープの端部同士を圧着させてその両粘着面の接着を確実にするための圧着用レバー70が常時押圧当接されて設けられている。この圧着用レバー70はその下端部70aが支持軸72によって揺動自在に軸支されており、引っ張りコイルバネ74によって図示する時計回り方向に常時付勢されていて、上端部70bが切断用レバー50の力点側端部50a先端面に押圧接触されている。相互に当接する圧着用レバー70の上端部70bと切断用レバー50の力点側端部50a先端面とは、ともに円弧面に形成されていて、力点側端部50aの先端面は半円形になっている。 即ち、被結束物Wが切断用レバー50を押し下げて行き圧着用レバー70との当接部に至ると、当該圧着用レバー70の上端部70bは被結束物Wにより押し戻されて力点側端部50aから離間し、その間を被結束物Wが通過する。そして、被結束物Wが通過すると当該被結束物Wの結束部位を周回して結束した粘着テープ2を力点側端部50aとの間で挟んで両面から押圧して圧着し、その後に切断用レバー50のカッター刃54が粘着テープ2を切断するようになっている。切断された粘着テープ2は圧着用レバー70と力点側端部50aとの間を引き抜かれていき、その全長に亘って粘着面同士が確実に押圧接着されることになる。
図10〜図11は被結束物Wの結束部位の周囲に粘着テープが周回されて結束されていく過程を順次に示してある。即ち、図10の(1)に示すように、被結束物Wを挿通路34に挿入する時点では、粘着テープ2は先端部が止着部材42の摺動面42aに所定の長さに亘って貼着されて、回転係合部材40の係合突起40a先端間に掛け回されている。この状態で、被結束物Wを挿通路34内に挿入して下方に挿通していくと、被結束物Wは粘着テープ2を巻付体4から引き出しながら係合突起40a間に形成される凹部内に進入した後、回転係合部材40を押し回していく。このとき、被結束物Wが当接する係合突起40aの先端は、止着部材42の摺動面42aからは離間しており、先行する1つ前の係合突起40aの先端が止着部材42の摺動面42aに当接して摺動する(図10の(2),(3)参照)。
回転係合部材40が回転していくと、被結束物Wよりも下方にあって既に引き出されていた粘着テープ2は、上記先行して摺動する係合突起40aと摺動面42aとの間に挟まれて、当該摺動面42aに貼り付けられていく。また、先行する係合突起40aは、止着部材42の摺動面42aに貼り付いた粘着テープ2の非接着面2aを滑っていき、その粘着面2bを摺動面42aに押圧してその貼着を更に確実なものとしていく。やがて先行する係合突起40aが止着部材42の摺動面42a下端から離脱すると、止着部材42は圧接用付勢手段44のコイルスプリングによって先端部が上方に向けて回動され、被結束物Wによって直接押し回されている後続の係合突起40aの先端部40aに粘着テープ2を介して摺動面42aが当接する。そして、さらに回転係合部材40が回転されていくと、被結束部Wによって押し回される係合突起40aは摺動面42aに貼り付いた粘着テープ2の非接着面2a上を滑っていき、その貼着が更に確実なものとされていく一方、被結束物Wの結束部位には、当該先行して摺動面42aに貼り付けられていた粘着テープ2が徐々に引き剥がされつつ反転して、その両粘着面同士が貼り合わされていく。このとき摺動面42aに貼り付いた粘着テープ2は反転して被接着面2a同士が摺り合わされることになるので、粘着テープ2は抵抗なく円滑に下方に引き出し得る(図10の(3),(4)参照)。
また、被結束物Wに引っ張られてテープ巻付体4から粘着テープ2が連続して引き出されてくることになり、その引き出し時に粘着テープ2に作用する張力に起因して、粘着テープ2は後続の係合突起40aの先端間に張設された状態で巻回される。
そして、更に回転係合部材40が回転していくと(図10の(4)参照)、被結束物Wが当接した直前の係合突起40aが摺動面42aから離脱する。なお、ここまでは止着部材42は圧接用付勢手段44に付勢されて比較的弱い弾発力で摺動面42aが係合突起40aに当接しており、このため回転係合部材40に対する摩擦ブレーキ力は小さいので被結束部材Wによる回転係合部材40の押し回しは小さい力で済み、操作力の軽減が図られている。
また、上記のように直前の係合突起40aが摺動面42aから離脱すると、被結束物Wは止着部材42の摺動面42a下端部と張力受けレバー47とに直接当接して当該止着部材42と張力受けレバー47とを、それらを各々付勢する圧接用付勢手段44とリターンスプリング49との付勢力に抗して側方に向けて揺動させつつ、それら止着部材42と張力受けレバー47との下方に抜けて行くことになる。この際、張力受けレバー47の先端部47aは止着部材42の先端部よりも挿通路34内の中央に向けて大きく突出しているため、止着部材42の先端部は張力受けレバー47の先端部47aよりも先に被結束物Wから外れ、その後に張力受けレバーが被結束物Wから外れて下方に抜けていく。
このようにして被結束物Wが下方に抜けて押し下げられていくと、図11に示すように、粘着テープ2は張力受けレバー47の先端部47aに粘着面2a側が当接するとともに、被接着面2b側が回転係合部材40の複数の係合突起40a先端に当接してこれらに掛け回されつつテープ巻付体4から引き出されていく。このため、その引き出しに伴って粘着テープに生じる張力は、主に回転係合部材40の係合突起40aと張力受けレバー47とによって受けられることになり、止着部材42の先端部には粘着テープ2の張力はほとんど作用しなくなり、止着部材42は圧接用付勢手段44により上方に向けて回動されて、摺動面42aが回転係合部材40の係合突起40aに当接され、これらのに間に粘着テープ2が挟まれる。一方、張力受けレバー47は粘着テープ2の張力を受けて、スプリング49の付勢力に抗して下方に向けて回動される(図11の(5)参照)。
この状態で、被結束物Wがさらに下方に押し下げられていき、切断レバー50の力点側端部50aに当接すると、当該切断レバー50が回動して、切断刃54が張力受けレバー47の直下で粘着テープ2を切断する。すると、粘着テープ2に生じていた張力が解放され、張力受けレバー47の先端部47aは粘着テープ2からの押し下げ力を受けなくなって、リターンスプリング49の付勢力によって上方に向けて回動し、止着部材の先端部に当接する。ここで、粘着テープ2が切断された際には、その張力が解放された反動としてスプリングバックが生じて粘着テープは瞬時に縮もうとするが、上述したように、粘着テープ2は回転係合部材40の係合突起40aと止着部材42の摺動面42aとの間に挟持されているから、当該スプリングバックが生じても、粘着テープ2は確実に保持されて外れてしまうことがない(図11の(6)参照)。そして、その切断後は図10の(1)に示す状態となる。
従って、以上の説明から明らかなように、この実施形態の結束用粘着テープカッター10によれば、テープ巻付体4から粘着面2bを上側にして引き出される粘着テープ2の長手方向側部に折り返し重合させた非接着部2dを円滑に連続形成して、爾後における当該結束した粘着テープ2の剥離を、その非接着部2d摘んで容易に行えるようになる。また、粘着テープ2の切断時に、その張力が解放された反動として当該粘着テープ2にスプリングバックが生じて瞬時に縮んでも、粘着テープ2を回転係合部材40の係合突起40aと止着部材42の摺動面42aとの間に挟んで確実に保持しておくことができ、当該スプリングバックによって粘着テープ2が外れてしまうことを防止できる。このため、爾後の結束操作に支障を来すことがなく、連続的に被結束物Wの結束部位に粘着テープ2を安定的に確実に周回させて結束することができる。
また、このような側縁折り返し重合機構80を備えるようにすれば、開閉カバー12bAを側方に回動して開放させることで粘着テープ4の側縁部に重合させた非接着の摘み部を形成機能をキャンセルすることができ、摘み部を形成せずに被結束物Wの結束部位を周回結束することもできるようになる。