JP4434565B2 - 電子写真用転写方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成装置、及び該装置を用いた画像形成方法、並びにそれに用いるトナーに関し、より詳しくは中間転写体への転写、更に普通紙への転写に関する静電転写法及び装置並びにそのトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式のカラー画像形成法においても高画質が要求され、トナーの小径化、現像の改良などで改善されてきている。しかし、作像工程毎に観察すると潜像、現像、中間転写、転写紙転写、定着の各工程で劣化していることが明らかである。特に、転写工程での劣化が大きいことが挙げられる。現象としては、転写進入時のプレ転写と転写後の剥離時の放電によるチリが大きな問題である。
【0003】
これらの課題に対し、従来より多くの提案がなされてきた。
例えば、少なくとも中間転写ベルトのベルト横方向における感光体ドラムとの当接領域で、中間転写ベルトを内周面側から感光体ドラムに向けて押圧する押圧ローラを設け、感光体と中間転写ベルトの密着を向上させ、接触ニップ部でトナーの凝集力を高め、感光体ドラムと中間転写とに密着不足に起因する部分的な転写不良及び転写チリを防止することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、カラー画像形成法で感光体から中間転写体への転写における転写チリ、虫喰い状の転写不良を解決するため、転写プロセスとして当接圧15g/cm以上の押圧力を加え、中間転写ベルトと感光体の線速比を0.85〜1.10とし、中間転写ベルト特性として、表面/体積抵抗等を規定し、更にトナー特性として凝集度、嵩密度、粒径を規定し、トナー間の付着力、転写ギャップ、転写ベルトの電荷保持力等最適化することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
最近、更に高画質化が進み、トナーとしては重合トナーを用いられるようになってきている。トナー特性としては更なる小径化、球形化、形状均一化、帯電量均一化等の特性が得られやすくなり画質の向上につながっている。
上記の従来例では、重合トナーを用いた場合、転写チリは多く、一見滑らかさはあるが、鮮鋭度が悪くシャープ性に欠けた画像である。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−221800号公報(第3頁第3欄第22行目〜33行目、第6頁第10欄第1行目〜第46行目、図1、図2)
【特許文献2】
特開2001−209255号公報(請求項1、請求項9、第6頁第10欄第31行目〜第7頁第11欄第43行目)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは表面弾性層を有する転写ローラ(ベルト)を用い、転写圧を加え転写するに充分な転写電界を維持するためにエアーギャップを小さくし、感光体上のトナー層の表面粗さを均一に規定し、OPC感光体のCTL(電荷移動層)層の厚みを薄くし、静電容量を大きくし最小限の転写バイアスを印加し、転写分離時の放電による転写チリを防止することのできる画像形成方法及び装置を提供するものである。
【0006】
すなわち、本発明の請求項1に関しては、従来、カプセルトナーを用い圧力ローラで定着する方法が多く提案されている(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)が、カプセルトナーは実用的には問題が大きく、特に、現像と定着の両立ができていない。また、コストが高すぎるなどの問題があり、汎用的に利用されていないのが現状である。近年、重合法トナーが採用されており、画像の均一化の改良がされているが、転写時のチリ、ニジミ、と言った放電による画像劣化は改善されていない。
本発明は、このような問題点を鑑み、一般的に用いられている粉砕法や重合法で得られた改良されたトナーを用いて、転写による画像劣化の無い転写方法において、充分な加圧力を与えることで、転写紙と感光体の接触点を多くして転写効率を上げ、結果的に転写電界を小さくでき、転写紙電荷が小さくなり、分離時にハクリ放電しない程度に減少させる効果を得る。よって、画像劣化のない高品位の画質を得るものである。
更に、充分な加圧力が与えることと共に、表面硬度が低く、柔らかいローラを用いる。転写紙はローラと接する部分が凸凹形状であるから、応力を分散し均一に押圧できる様にすることで転写ローラと転写紙との接触点を増し、よってハクリ放電しない程度の電界で転写効率の向上と転写チリやニジミのない画像が可能となるための転写紙の凸凹面に対応できる弾性体構造と材料を規定する。
更に、高い圧力を用いたことで転写時トナーが変形し、画像の劣化を招くため、変形し難い様なトナーの適切な硬度範囲を見い出し、これらの組み合わせで転写時のチリ、ニジミ等の画像劣化を改善することを目的としたものである。
また、凹部のエアーギャップは全て解消された訳ではないので、トナーの凝集力を組み合わせることで転写チリの改善を可能としている。この凝集度の範囲を見い出すことを目的としたものである。
【0007】
【特許文献3】
特開平5−107796号公報(請求項1、請求項6、第8頁第14欄第15行目〜第9頁第15欄第4行目、図1)
【特許文献4】
特開平6−230599号公報(請求項1、第2頁第2欄第40行目〜第3頁第3欄第4行目、第7頁第11欄第43行目〜第12欄第5行目、第8頁第13欄第16行目〜37行目、図1)
【0008】
また、請求項2に関しては、画像劣化のない高品位の画質を得るために、ハクリ放電しない程度の電界による転写と圧力による転写を併用する際の転写電界の範囲を見い出すことを目的としたものである。
また、請求項3に関しては、放電が起こらないためには、通常の静電転写より弱い電界で転写することが重要である。このため、転写紙体積抵抗より低い体積抵抗が良い。更に転写電界がトナーの移動(転写)と同一方向にのみかかる様、ローラの表面抵抗は体積抵抗より高い方が良い
た、請求項に関しては、ハクリ放電しない程度の弱い電界で転写効率を確保するための転写性能に優れたトナー物性を見い出すことを目的としたものである。
また、請求項に関しては、凝集力の高いトナーを採用することで感光体への付着力も増すため、トナーの離型性を確保する感光体の表面抵抗を見い出すことを目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、ドラム状感光体(像担持体)と転写ローラを用いる。ローラは感光体に圧接され、感光体と同期して搬送された転写紙(転写材)に感光体上のトナーを転写する。このとき、通常の静電転写より強い圧接力で、通常の静電転写より弱い電界で転写することが重要である。このため、ローラ材質は柔らかい弾性体構造であり、転写紙体積抵抗より低い体積抵抗が良い。使用できるトナーは硬い硬度を持ったトナーが重要であり、これらの各要件を満たして転写ローラ(ベルト)と転写紙の隙間をなくし、放棄を防ぐことができる。更に転写電界がトナーの移動(転写)と同一方向にのみかかるよう、ローラの表面抵抗は体積抵抗より高いほうが良いこと等を見い出した。
【0010】
転写紙表面は繊維質が互いに絡み合って構成されているため、凸凹形状であって、均一な凸凹でもない。通常使われる例えばType6000紙(RICOH製)転写紙はその表面を観察すると40μm程度の凹凸があり、ミクロ的に見ると転写時搬送された転写紙が感光体と接するのは凸部分のみであって凹部は離れている。一方、トナー粒径は通常6μm程度で凹部のエアーギャップ(40μm)と比べても約7分の1程度の大きさであるから、この部分にあるトナーは転写紙と接することもなく、移動(転写)するためには凸部分より強い(高い)電界の作用が必要(トナーが転写しない)となる。従来はこの様な状態で転写が行なわれていたため、転写後感光体から転写紙が分離するとき、ハクリ放電が起こり「転写チリ・ニジミ」等が発生してしまう。これは転写紙が感光体に接する直前でも発生するため、転写電界は弱くすることが転写時の画質向上には重要となる。この放電は凹部と感光体間(N/Pの場合は主に非画像部)や凸部と凹部への放電もあって、転写されるべき位置のトナーが放電方向に向かって移動してしまう(転写のみだれ)ためである。すなわち「転写チリ・ニジミ」が発生してしまう。
【0011】
本発明は、機械的圧接力以外に下記式に示すような静電的転写のメカニズム(感光体と転写紙の間に働く電界(E)にも依存し、これは、分子の印加した転写電圧に比例し、分母の静電容量に反比例する)から、転写効率を下げることなく転写電界を弱めることが可能(本来、転写率を上げるためには、転写バイアスを上げたいが、上げると放電が発生する)なように加圧力を向上させ、この加圧力に対しても画像の劣化のない改良されたトナーとの組み合わせで達成した新規な転写方式を提供するものである。換言すれば、本発明は放電しにくい構成を採用しているので、転写可能な電圧以上であればよく、上限は転写材リークしないレベルであって、このレベルは従来技術に比べて改善されている。
【0012】
【数1】
トナーの移動力(f)=qE ……(1)
q:感光体・トナー・転写紙等が持つ電荷量
E:感光体と転写紙間に働く電界
【0013】
【数2】
電界(E)=(Vh−Vpc)/((dp/εp)+(dt/εt)+(dpc/εp)+g)
……(2)
Vh−Vpc:感光体とローラにかかる電位差
dp/εp:転写紙の誘電厚み
dt/εt:トナーの誘電厚み
dpc/εp:感光体の誘電厚み
g:エアーギャップ
【0014】
更に、ハクリ放電時のトナーのチリに強い凝集性の高いトナーが重要である。物性的な結着力が強いトナーを加圧と静電気力によってトナー同士結合させると、一旦転写したトナーはハクリ放電が起こっても再び移動し難くなり、トナーとの組み合わせによる本発明の効果が更に発揮される。
【0015】
本発明は転写電界を弱めることが可能な手段を提供するものである。
従来の加圧力より高い圧力を用いたことで転写紙の凸部と凹部がそれぞれローラと感光体との接触部分が増し、そのことで見かけ上の転写紙の誘電厚み(dp/εp)やエアーギャップ((2)式:g)が狭くなり、(同じ電界効果を得る)印加電圧を抑えることが可能となる。しかし、凹部のエアーギャップは全て解消された訳ではないので、トナーの凝集力を組み合わせることで可能としている。
更に、高い圧力を用いたことでトナー変形し難い様、凝集性とトナー硬度を規定したことで可能としている。
本発明においては、前記転写ローラ(転写ベルト)の像担持体への圧接力が0.3〜2.0N/cmである。圧接力が0.3N/cm未満では、力が弱すぎて、トナーが転写されず、圧接力が2.0N/cmを超えた場合、硬度に限りがあるトナーに対しては圧接力が強すぎ、画像が潰れてしまうことが多い。
更に、弱い電界で転写性能を維持するため、トナー抵抗の高い絶縁トナーを採用したことで可能としている。
更に、高い圧力を可能とするには転写ローラを剛体とすることだが、転写紙はローラと接する部分も凸凹形状であるから、応力を分散し均一に押圧できる様、充分な加圧力を保ちながら転写紙の凸凹面に対応できる弾性体構造としたことで可能としている。
更に、凝集力の高いトナーを採用することで感光体への付着力も増す(トナー・トナー間だけでなく、トナー・感光体やトナー・転写紙間においても)ため、感光体の表面抵抗を小さくしてトナーの離型性を良くすることで転写性の向上を可能としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の画像形成装置全体の概略図である。
周知の電子写真方式を用い内部に記録媒体であるドラム状感光体(1)を備えている。感光体(1)の周囲には矢印で示す回転方向に沿って、電子写真複写工程を実施する帯電器(2)、露光手段(3)、現像手段(4)、転写搬送手段(5)、クリーニング手段(6)および定着手段(7)が配置されている。
露光手段(3)は、ポリゴンモータでレーザ光(31)をスキャンさせ、ミラー(33)を通して読み取られた画像信号を基に感光体(1)上に静電潜像を形成する。この感光体(1)は有機感光体の他アモルファス等既存の感光体を用いることができる。
感光体(1)上に形成された静電潜像は、現像手段(4)によってトナー画像が形成され、そのトナー画像が転写材の貯蔵されている転写材バンク(101)、(106)から給紙ローラ(102)、(107)で給紙され、給紙コロ(103)、(108)で給送される。コロ(104)は感光体上トナー像と同期を取って転写材を搬送するためのレジストコロ(104)であり、転写材は転写手段(5)に送られ静電転写に供される。トナー像が載った転写材は、金属ローラ(51)にゴム層を設けた転写ローラ(52)によって転写され、搬送ベルト(53)を通して定着手段(7)に搬送され、定着装置(7)で定着された後に、機外へ排出される。
一方、未転写部や汚れの付着した感光体(1)はクリーニング手段(6)によりクリーニングされ、次の作像ステップに入る。
【0017】
定着装置の基本構成としてはハロゲンランプ等の加熱手段(74)(以下「ヒータ」という。)を有する定着ローラ(71)と、圧接される加圧ローラ(72)とを備えている。
このような構成の定着器において、定着ローラ(71)と加圧ローラ(72)とが、面圧:9.3N/cmの加圧力で圧接されて定着ニップ幅:約10mmを構成している。定着手段(7)は駆動手段(図示せず)により駆動を受けて転写材を挟持搬送する。この際、定着ローラ(71)はヒータ(74)によって所定の温度に制御されており、転写材上のトナー像は、両ローラ間を通過するときに、圧力を受けながら熱溶融し、ローラ対を出て冷却されることによって永久像として転写材に定着される。
【0018】
次に、本発明の特徴的な転写構成を図2を用いて説明する。
転写ローラ(52)は、図2に示すようにSUS、鋼鉄等からなるφ20〜30の芯金(51)上にEPDM、シリコーン、NBR、ウレタン等のソリッド状の弾性層(52a)を設け、0.1〜1.0mmの厚みで、硬度15〜60度(AskerC/1kg荷重時)、体積抵抗1×10E〜1×10E11Ωcm、表面抵抗は体積抵抗より1〜2桁高い抵抗の範囲が最適である。ここで、体積抵抗は転写材の体積抵抗より小さい値を採用することが良い。好ましくは、1/10程度から1/100の体積抵抗のローラを用いることで、環境変動やローラ劣化に対しても転写材(転写紙)にかかる電界は安定する。抵抗が小さいと転写材の変化に印加するバイアス電源が追従しないとか、安定供給できない等の不具合が発生する。また、ローラの表面抵抗は体積抵抗より高くしなければならない。このことにより、圧力と同一方向の電界の作用のみでトナーを転写するが可能となる。体積抵抗より低い抵抗であれば、従来のベルトを用いた転写方式の様に印加するバイアスはローラの表面を流れやすくなって、感光体上トナーの転写効率が悪くなるばかりか転写されたトナーが転写材上を移動し易くなって、ニジミ画像の原因となる。本発明では表面抵抗を10倍〜100倍にしたローラを用いた。
【0019】
印加するバイアスは、図5を参照しながら、下記のことで決定できる。
図5は図1の画像形成装置を用いて、転写ローラ(52)の芯金(51)と感光体(1)の導電層(BASE層)の間に(図示しない)ローラバイアス印加用の直流電源を接続してある。図2を参照しながら、(実験的に)感光体には転写紙「Type6000(RICOH製)」を挟み付け、感光体(1)と転写ローラ(52)の間に転写紙が通紙されたとき、バイアス印加用の直流電源を作動させ、このときに流れる電流と通紙下流方向に実験的に配置させた表面電位計にて転写紙の電位を測定したものである。
図5から理解される様に、転写紙はバイアス電圧の増加と共に帯電し、限界電圧を超えると電位の変化がなくなる。この推移は転写紙を流れる電流とも相関しており、限界点での電流は約1.0μA/cmである。限界点とは転写紙が許容できる電荷量の上限値であり、この電荷量以上のバイアス電圧分は転写紙を通して感光体にリークしていることを意味している。
すなわち、このリーク電流以上の成分があると感光体上トナーの電荷に影響を与えたり、ハクリ放電の原因になることが証明された。一方、転写効率においても、この限界点をピークに効率は悪化する訳だが、画像装置の線速度による位相遅れがあって、実際のピークは限界点を越えた電流値にあり、従来は転写効率最大値に設定されることが常識的に行なわれていた。しかも、この限界点は転写圧や転写紙種類・環境等で変化する訳で、従来は変化しても充分な転写効率が得られる様、また、制御の煩雑性から限界点以上の電流に設定されることが常識的に行なわれていた。
【0020】
本発明においては転写紙がリークすること、そしてこのリーク以上の電流が印加される領域が転写時の転写チリやニジミの原因であること、ハクリ放電の領域であることを発見し、静電転写方式では従来想定できなかった転写圧を高めることでこの限界点以下の電流領域でも、良好な転写効率を得ることを可能とし、合わせて画質の向上を達成できた。
画像装置の位相遅れも考慮すると、リーク開始電流値を範囲内として、+20%〜−50%程度が最適電流範囲と言える。それ以上では転写チリやニジミが発生し、以下は転写効率が悪化して本発明の主張する転写圧を高めても充分な転写性を確保できない。
【0021】
ローラ硬度は低いと下記する転写圧が得られない。本発明の特徴である、高い転写圧を達成するためには、硬度15度以上あればよく、硬度60度を越えると、硬すぎて転写紙の凸凹面に対応できず、従って転写紙との隙間がなくせず、応力を分散し均一に押圧できない。また、そのため放電が発生することが多い。硬度は40度以下はもっと好ましい。
また、ローラ厚みは加圧したことで変形した変形量の10倍程度、好ましくは5倍以上が必要である。薄くなるとローラ芯金の影響があって、本発明で主張しているローラ硬度が実質得られない。厚くなれば硬度を保つことは可能だが、ローラの体積抵抗が実質高くなって、本発明で主張している体積抵抗が得られない。弾性層(52a)はローラ硬度の他、体積抵抗等々で決定される範囲内であれば公知の弾性材料が可能であるが、その厚みは概ね3mmがMAXである。
実施例ではφ20のAl上に1.0mm厚のEPDM層を設けた弾性ローラを用い、このときの硬度は20度、体積抵抗は(使用する転写紙:Type6000(RICOH製);体積抵抗1×10EΩcmに合わせて)体積抵抗:1×10EΩcmである。
転写ローラの加圧はローラの両端に軸受け(52b)とばね(52c)で加圧され像担持体に押圧される。加圧力の測定は転写ローラ前後のばね押圧力の合計を転写ローラの長さで割った値で提示する。単位はN/cmで示す。
【0022】
転写で像担持体と転写ローラ間に加圧したときのトナー周りの空隙について説明する。
図3は、従来の加圧力0.5N/cm以下の圧力時の様子を示した略図である。転写紙は微小面積では硬く、広い面積では変形(曲がり)する特性がある。図3のように圧力が弱いと、転写紙の繊維の凹凸で表面、裏面で数点の凸部で受けて搬送される。その結果、トナーや像担持体と転写紙の間、または転写紙と転写ローラの間の接触点が少なく、像担持体と転写ローラ表面の間の空隙が多い状態になる。測定は感光体とゴム層のないローラ間に0.5N/cmを加圧し、転写紙リコー製Type6200を挟み、ギャップを測定した。また1.0N/cmの加圧で同様に測定した結果、20μmの差があった。つまり加圧によって20μmの空隙が減ったことになる。
【0023】
その様子を図4に示す。加圧によって転写紙の凸部と感光体、転写ローラと多く接触するようになる。その結果、空隙が小さくなり、トナーと感光体の距離が平均的に狭くなり、前記式(2)の分母項の「g(エアーギャップ)」が小さくなる。更に、トナー層の厚みが一定でトナー表面の粗さも均一であれば、平均の空隙が小さくなって本発明の効果を得ることができることは式(2)を見れば明らかである。
以上の様に空隙:g(エアーギャップ)を小さくすることで、ローラと感光体にかかる電位差を小さくしても転写材(転写紙)にかかる電界は従来と同じ電界が得られ、転写時のハクリ放電による転写チリを減少させることができる。
【0024】
次に、本発明で用いる感光体について説明する。
感光体は、その表面摩擦係数が0.7以下であることが好ましい。表面摩擦係数が0.7以上の場合、転写の際、トナーとの離型性が悪くなり転写効率が悪化する。特に本発明では、比較的凝集力の高いトナーを使用するため、表面摩擦係数を低くする必要がある。感光体の表面摩擦係数を低くする方法として、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩を感光体表面に均一に塗布することが考案されているが、最も一般的な手段はトナー中に添加する方法である。
表面摩擦係数の測定は協和界面学(株)社製、全自動摩擦摩耗解析装置を用い測定する。このとき、接触子として3mmステンレス球を用いる。
【0025】
本発明では感光体が導電性支持体上に感光層と金属酸化物を含有した保護層を設けた感光体も使用できる。
金属酸化物を含有した保護層を設けた感光体を用いた場合、機械的強度が強いため、感光体の膜削れが少なく、安定した画像品質を得ることができる。
また、感光体の保護層中に含有する金属酸化物としては、アルミナ、酸化チタン、シルカの中から選ばれる一種であることが望ましい。
保護層は耐摩耗性を向上する目的で、フッ素樹脂、シリコーン樹脂中にシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズなどの各種金属酸化物を添加したものが用いられるが、特に膜削れ防止効果が高いアルミナ、酸化チタン、シリカが好ましい。
【0026】
次に、本発明を達成するトナー特性、材料、製造方法について詳細に述べる。
本発明で用いられるトナーの硬度は7〜12、好ましくは8〜11である。硬度が7以下の場合、トナー粒子同士が接した場合、塑性変形するため、トナー同志の接触面積が増加し、トナーの凝集力が強くなり、トナー層を均一化することが難しくなる。また、本発明の場合、柔らか過ぎて、強い圧力で像が潰れることが多い一方、12以上の場合、硬すぎて粉砕など生産性が劣るだけでなく、本発明の場合には、転写工程での問題はないとしても、定着工程において定着性が悪化する恐れがある。
トナーの硬度を調整するためには、いくつかの方法があるが、最も効果が高い方法は結着樹脂によるものである。結着樹脂はトナーを構成する成分の中で、最も比率が大きいため、トナーの硬度をコントロールするには効果的である。結着樹脂の硬度を大きくするには、分子量、架橋成分(ゲル)、架橋度などを大きくする。この方法は単独または組み合わせにて行なう。また、カーボンブラック、無機微粉末などの添加剤を内添させてもトナー硬度を大きくすることは可能である。逆にトナー硬度を小さくするには、結着樹脂の分子量、架橋成分(ゲル)、架橋度などを小さくする。また、定着性改良のために添加するワックス類もトナー硬度を小さくすることができる。ただし、ワックス類はトナー中の分散状態によってもトナー硬度が異なるため、分散をコントロールすることが重要となる。
【0027】
トナー硬度の測定方法を以下に述べる。
測定装置:微小圧縮試験機 MCTM−500:島津製作所製
測定方法:溶融したトナーを圧延冷却し平板状とする。次に、その表面を#1200の紙やすりを用いて研磨し、平滑にする。荷重を1.0gf加えて5回測定を行ない、その平均値を硬度とする。
【0028】
また、トナーの凝集力はある程度大きい方が好ましい。トナーの凝集度は20〜50%、好ましくは30〜40%である。トナーの凝集力が小さすぎると、トナー粒子が単独で動きやすいため、転写時やハクリ放電が発生したときにトナーが電界のみだれに沿って移動するため、ニジミやチリが出やすい。トナーの凝集度が高いとは、トナー同士の付着力も強い反面、感光体とのトナー付着力も大きくなり、転写効率の悪化となる。したがって、上述の感光体表面摩擦係数との組み合わせで、感光体へのトナー付着の悪化しない程度のトナー凝集度を上限とすることで本発明の効果が発揮される。
トナーの凝集力は凝集度(%)として表わすことができる。凝集度の値が大きいほど、トナーの凝集力が強いと言える。
【0029】
凝集度の測定方法を以下に述べる。
測定装置:パウダテスタ PT−N型 ホソカワミクロン株式会社製
操作方法:以下の点を除いて、基本的には「パウダテスタ PT−N型」の取り扱い説明書に従う。
変更点は以下の2点である。
1.使用ふるい:75μm、45μm、22μm
2.振動時間:30秒
また、本発明のトナーの体積固有抵抗は1×10EΩcm以上が好ましい。1×10EΩcm以下の場合は、転写効率が悪くなるため、本発明に使用するトナーとしては画像品質が悪化し、適さない。
トナーの体積固有抵抗の測定は、トナー3.0gを6t/cmの荷重をかけ、直径40mmの円盤状のペレットにしたものをTR−10C型誘電体損測定器(安藤電気株式会社)にて測定する。なお周波数は1KHz、RATIOは11×10E−9である。
【0030】
本発明のトナーで使用される結着樹脂としては、従来公知の樹脂が使用可能である。例えば、スチレン、ポリ−α−スチルスチレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラート樹脂などが挙げられる。
本発明トナーでは離型剤として公知のものが使用できるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックスを単独又は組み合わせて使用することができる。
また、外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0031】
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。
本発明のトナーに使用される着色剤としては、従来からトナー用着色剤として使用されてきた顔料及び染料が適用される。具体的には、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、カルコオイルブルー、オイルブラック、アゾオイルブラックなど特に限定されない。
【0032】
本発明のトナーの製造方法は、従来公知の方法でよく、結着樹脂、磁性体、離型剤、着色剤、その他場合によっては帯電制御剤等をミキサー等を用いて混合し、熱ロール、エクストルーダー等の混練機を用い混練した後、冷却固化し、これをジェットミル、ターボジェット、クリプトロン等の粉砕で粉砕し、その後分級し得られる。
上記トナーに無機微粉末、脂肪酸金属塩などを添加するにはスーパーミキサー、ヘンシェルミキサーなどの混合機を用いる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、トナー処方を下記し、そのときのトナー特性を表1に記載する。また、実施例では使用したトナーを「トナー処方No.」で記載する。
トナー処方No.1
ポリエステル樹脂 44重量部
(重量平均分子量:310000、Tg:65℃)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 40重量部
(重量平均分子量:85000、Tg:68℃)
カルナウバワックス 5重量部
カーボンブラック(#44:三菱化学) 10重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて130℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径8.5μmとした後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.2重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの硬度は8、凝集度は45%、体積固有抵抗は8.5×EΩ・cmだった。
このトナーを用いたときの感光体の表面摩擦抵抗は0.75であった。
【0034】
トナー処方No.2
ポリエステル樹脂 71重量部
(重量平均分子量:185000、Tg:67℃)
カルナウバワックス(平均粒径:300μm) 3重量部
四三酸化鉄(EPT−1000:戸田工業) 15重量部
カーボンブラック(#44:三菱化学) 10重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて160℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径5.5μmとした後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)1.0重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの硬度は11、凝集度は8.0%、体積固有抵抗は5.5×E8Ω・cmであった。
このトナーを用いたときの感光体の表面摩擦抵抗は0.75であった。
【0035】
トナー処方No.3
スチレン/n−ブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート
共重合体 55重量部
(組成比:75/10/15、重量平均分子量:210000、
Tg:57℃)
ポリエステル樹脂 23重量部
(重量平均分子量:160000 Tg:64℃)
ポリエチレンワックス(分子量900) 10重量部
カーボンブラック(#44:三菱化学) 10重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学) 2重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて90℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径7.5μmとした後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.2重量%を混合しトナーを得た。このトナーの硬度は6、凝集度は55.0%、体積固有抵抗は8.8×EΩ・cmであった。
このトナーを用いたときの感光体の表面摩擦抵抗は0.75であった。
【0036】
トナー処方No.4
ポリエステル樹脂 79重量部
(重量平均分子量:274000、Tg:68℃)
ポリエチレンワックス(分子量900) 3重量部
カーボンブラック(#44:三菱化学) 15重量部
電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学) 3重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて150℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径9.5μmとした後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)1.0重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの硬度は14、凝集度は8.5%、体積固有抵抗は4.2×EΩ・cmであった。
このトナーを用いたときの感光体の表面摩擦抵抗は0.75であった。
【0037】
トナー処方No.5
ポリエステル樹脂 49重量部
(重量平均分子量:310000、Tg:65℃)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 35重量部
(重量平均分子量:85000、Tg:68℃)
カルナウバワックス 4重量部
カーボンブラック(#44:三菱化学) 10重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学) 2重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて130℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径8.5μmとした後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.75重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの硬度は10、凝集度は15%、体積固有抵抗は9.5×EΩ・cmであった。
このトナーを用いたときの感光体の表面摩擦抵抗は0.75であった。
【0038】
トナー処方No.6
ポリエステル樹脂 73重量部
(重量平均分子量:185000、Tg:67℃)
カルナウバワックス(平均粒径:300μm) 5重量部
四三酸化鉄(EPT−1000:戸田工業) 10重量部
カーボンブラック(#44:三菱化学) 10重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学) 2重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて160℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径6.5μmとした後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)1.0重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの硬度は11、凝集度は38.0%、体積固有抵抗は9.8×EΩ・cmであった。
このトナーを用いたときの感光体の表面摩擦抵抗は0.75であった。
【0039】
トナー処方No.7
ポリエステル樹脂 56重量部
(重量平均分子量:310000、Tg:65℃)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 35重量部
(重量平均分子量:85000、Tg:68℃)
カルナウバワックス 3重量部
カーボンブラック(#44:三菱化学) 5重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて80℃で低温混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径8.5μmとした後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)1.0重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの硬度は10、凝集度は25.0%、体積固有抵抗は3.5×EΩ・cmであった。
このトナーを用いたときの感光体の表面摩擦抵抗は0.75であった。
【0040】
トナー処方No.8
ポリエステル樹脂 56重量部
(重量平均分子量:310000、Tg:65℃)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 35重量部
(重量平均分子量:85000、Tg:68℃)
カルナウバワックス 3重量部
カーボンブラック(#44:三菱化学) 5重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて80℃で低温混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径8.5μmとした後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)1.0重量%とステアリン酸亜鉛微粉末0.20重量部を混合しトナーを得た。
このトナーの硬度は10、凝集度は35.0%、体積固有抵抗は1.8×EΩ・cmであった。
このトナーを用いたときの感光体の表面摩擦抵抗は0.60であった。
上記トナーの特性を下記表1に記載する。
【0041】
【表1】
Figure 0004434565
【0042】
次に、本発明での評価方法について説明する。
評価機はリコーImagioMF7070の転写部を改造して用いた。ユニット構成は図2の装置の概略図と同じである。現像として二成分方式の現像装置を用い、転写はローラ転写で行ない、ベルト搬送され、定着は面圧:9.3N/cmの加圧力、温度は165〜185℃で定着を行なった。この装置を用いて、600dpiのドットから形成されたグレースケールを中心としたテストチャート(図6参照)をプリントアウトしてサンプル画像を得た。
【0043】
<転写率の評価>
現像された感光体上のチャートを転写し、転写紙が転写搬送ベルト上にあるときに機械を停止する。チャートの黒ベタ部に着目し、感光体上の黒ベタ部の転写残トナー量を粘着テープで剥がし、感光体上残トナー量を求める。一方転写されたトナーは黒ベタ部を切り取りトナーを圧縮エアーで吹き飛ばす。吹き飛ばし前後の重さより転写されたトナー量を求め、
(転写トナー量/(転写トナー+残トナー量))×100(%)
で転写率(%)を求める。
転写率の許容値は一般環境下で70%以上である。転写率80%以上は「○」と判定。同じ70〜79%は「△」、69%以下は「×」と示した。許容レベルは「△」以上である。結果は表2に示す。
【0044】
<定着性の評価>
定着性はスミア法で行なう。ID:0.6〜0.8のハーフトーン部で8.8N/φ15の重りに付着した布を転写紙の上に載せ、5往復擦ったときの布上の濃度で評価を行なった。
問題ないレベル0.3以下は「○」、許容できるレベルは0.5以下「△」で表示し、0.51以上のレベルは「×」と評価した。
【0045】
<転写チリ、転写白抜けの評価>
転写チリと転写白抜けは汎用的な評価法が確立していないため、サンプルとランク見本とを目視での官能評価法で行なった。転写チリのランク見本は図8に、転写白抜けのランク見本は図7に示した。
ランク3の画像の「△」が許容レベルであり、それ以上は「OK」、「△」に満たないものは「NG」である。転写チリの評価の結果を表3に、転写白抜け評価の結果を表4に示す。
【0046】
実施例1
図2と同様のテスト機はリコーイマジオMF7070の転写部を改造して用いた。感光体と転写ローラの接触が安定するように転写ローラの表面に30度(AskerC/0.5kg荷重時)、1×10EΩcmのゴム層を設けた。図2のスプリングで転写圧力を0.1、0.3、1.0、2.0N/cmの4水準、転写ローラと感光体間に印加する電圧を制御して、流れる電流を0.03、0.05、0.2、0.3μA/cmの4水準でプリンタにより、図6のテストチャートをプリントした。使用した転写紙はType6000(RICOH製)であり、使用した現像剤はトナー処方No8である。評価は転写率、転写チリ、転写白ぬけで確認した。
現状値は転写電流0.3〜0.4μA/cmで加圧力は0.3N/cm前後の条件である。
【0047】
【表2】
Figure 0004434565
【0048】
【表3】
Figure 0004434565
【0049】
【表4】
Figure 0004434565
【0050】
表2、3、4から、転写率は0.05μA未満では電流不足でNG。圧力が小さく、電流も小さいと転写率が低下する。転写チリでは、転写電流が0.3μA以上で放電によるチリが大きくなる。また転写圧力が2N/cmでは転写白ぬけが発生しかかっている。その結果、転写率でも低下している。以上の結果、最適条件として、圧力で0.3〜2N/cm、転写バイアス電流で0.05〜0.2μA/cmの組み合わせが良い条件であった。好ましくは圧力で0.3〜1.0N/cm、電流で0.1〜0.15μA/cmが最適であった。
【0051】
実施例2
実施例1と同じ方法で、トナー処方1〜8のトナーを用いて現像剤を作製した。このときのキャリアは重量平均粒径50μの球形フェライトを用い、表面にシリコーン樹脂をコートし、熱乾燥し、キャリアを用いた。現像剤濃度はキャリアに対し5.0w%混合した。
転写の加圧力は1.5N/cm、転写電流は0.1μA/cmに設定し図6のテストチャートをプリントした。使用した転写紙はType6000(RICOH製)であり、評価は転写率、転写チリで確認した。結果を表5に示す。
【0052】
【表5】
Figure 0004434565
【0053】
表5から感光体摩擦係数は単独の効果より、むしろトナーの凝集力との関係で転写率に影響を与える。トナー体積抵抗が低いと転写率に影響するが、転写チリには大きく関係しない。トナー硬度が高いほど転写チリには有利だが、トナー凝集力との関係で加圧力を変更しないと改善されない。例えば、トナー処方No3の場合は転写電流を0.1μA/cmから0.05μA/cmにすることで転写チリランクは△から○に改善された。
【0054】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明より明らかなように、本発明の請求項1により、転写チリは像担持体と転写紙を挟んで配置された転写ローラまたはベルト間の電位差が大きく、剥離時に放電を起こし、転写紙に一度転写したトナーが放電による電界の乱れで電気的に移動してチリとなる。本発明では、像担持体と転写ローラ間に圧力を加え、転写紙と感光体の接触を多くして転写効率を上げ、結果として転写電流を小さくでき、転写紙電荷が小さくなり、分離時の放電を減少させる効果が得られた。転写ローラの弾性を規定することで転写紙と感光体の接触を多くして転写効率を上げ、更に転写電流を小さく抑えることが可能となった。
また、トナーの凝集度を規定することでハクリ放電時のトナーの移動(飛散)を抑制できた。そのため転写チリの改善が可能になった。
本発明の請求項2により、転写ローラに印加するバイアス電流を転写材のリーク電流以下と規定することで、ハクリ放電の発生を防ぐことが可能となり、チリ、ニジミ等々による画像劣化の防止となった。
本発明の請求項3により、静電転写より弱い電界で、写紙体積抵抗より低い体積抵抗、更に転写電界がトナーの移動(転写)と同一方向にのみかかる様、ローラの表面抵抗は体積抵抗より高いことなどによって、放電の少ない転写ができた。
発明の請求項により、トナーの体積抵抗を規定することで、トナー凝集度を高めたことによる転写率低下を補うことができたため、結果的に転写率低下の不具合を改善することが可能になった。
本発明の請求項により、感光体摩擦係数を0.7以下と規定することで、トナー凝集力の高いトナーを使用しても転写時感光体へのトナー離型性を向上させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置全体を示す概略図である。
【図2】本発明の特徴的な転写構成を示す図である。
【図3】従来の加圧力0.5N/cm以下の圧力時の様子を示した略図である
【図4】本発明の加圧時の様子を示した略図である
【図5】ローラバイアス印加時電流と電位の関係を示す図である。
【図6】実施例に用いるテストチャートである。
【図7】実施例に用いる転写白抜けのランク見本である。
【図8】実施例に用いる転写チリのランク見本である。
【符号の説明】
1 感光体
2 帯電器
3 露光手段
4 現像手段
5 転写搬送手段
6 クリーニング手段
7 定着手段
31 レーザ光
32 露光装置
33 ミラー
41 現像部
51 金属ローラ(芯金)
52 転写ローラ
52a 弾性層
52b 軸受け
52c ばね
53 搬送ベルト
54 ローラ
55 ローラ
56 クリーニング装置
61 クリーニングブレード
62 クリーニングブラシ
63 回収手段
71 定着ローラ
72 加圧ローラ
73 加熱手段
74 加熱手段
101 転写材バンク
102 給紙ローラ
103 給紙コロ
104 レジストコロ
105 搬送ガイド
106 転写材バンク
107 給紙ローラ
108 給紙コロ

Claims (6)

  1. 像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成し、形成されたトナー像を像担持体に接したローラとの加圧下で電界を印加して、転写材へ転写する、粉砕トナーを用いた電子写真用転写方法において、前記ローラの像担持体への圧接力が0.3〜2.0N/cm、転写電流が0.05〜0.20μA/cm、前記トナーの凝集度が35〜45%であり、前記ローラが最表面に弾性層を有し、該ローラのアスカーC法で測定した表面硬度が15°〜40°で、弾性層の厚みの最大値が3mmであり、更に、前記トナーの微小圧縮試験機によるトナー硬度が8〜10であることを特徴とする電子写真用転写方法。
  2. 前記ローラと像担持体との電界は転写材がリークする電流以下であって、静電転写が可能な電流以上の電流を印加することで得られるエネルギーであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用転写方法。
  3. 前記ローラの体積抵抗が転写材の体積抵抗と同程度から1/100の体積抵抗であって、圧力と共にこのローラにバイアスを印加する際、圧力と同一方向の電界の作用でトナーを転写することを特徴とする請求項1に記載の電子写真用転写方法。
  4. 前記トナーの体積固有抵抗が1×10EΩcm以上の絶縁性トナーであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用転写方法。
  5. 前記像担持体が感光体であり、接触子として3mmステンレス球を用いた水平直線往復摺動方式の摩擦摩耗解析装置による感光体表面の摩擦係数が0.7以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用転写方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1に記載の電子写真用転写方法を用いることを特徴とする画像形成方法。
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