JP4194358B2 - 転写方法及び装置並びに画像形成方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の画像形成方法及びその画像形成方法を採用した複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリなどの画像形成装置に関するものであり、より詳しくは、像担持体に形成されたトナー像を転写体(中間転写体、あるいは普通紙等の転写材)に転写する際の転写方法、及びその転写を行う転写装置、並びにその転写方法または転写装置を用い、転写工程に最適なトナー特性等を規定した画像形成方法、及びその画像形成方法を用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置は画像を得るまでに多くの工程を経る。像担持体である感光体の帯電から始まり、露光による潜像形成、潜像の現像、転写体への転写、定着などが電子写真プロセスと言われる一連の工程である。近年、電子写真方式の複写機やプリンタの高画質が盛んに叫ばれているが、上に挙げた一連の工程で画質の劣化が生じることが一般的に知られている。
感光体上に書き込まれた潜像に対してトナーを静電的に付着させる現像工程では潜像に対して忠実な現像が望まれるが、現像過多や現像不足、かすれやにじみなどの画像劣化が起きやすい。しかし、この問題はトナーの小径化や球形トナーの採用で改善されてきている。
【0003】
感光体上のトナー像を転写体(例えば、転写紙)に転写する工程では感光体と転写紙との密着性が問題となり、転写でのチリやにじみが起きやすい。一般的に転写圧が高い方が転写率や画質は良いとされているが、あまり高すぎると虫食い(中抜け)と呼ばれる異常画像が発生してしまう。
また、転写紙上のトナー像を熱と圧力で定着させる工程ではトナーのつぶしすぎ、押し広げすぎによる画像の乱れが発生するが、この問題はトナーの改良や定着ローラの弾性化で改善されてきている。
【0004】
電子写真プロセスで最も画質の劣化が大きいのは転写であり、転写工程での画質劣化を低減させることで最終画質の向上が見込める。そこで従来から以下のような転写での画質改善が提案されている。
例えば下記の特許文献1では転写ローラの位置や接触圧が規定されている。また、特許文献2ではフロートローラを感光体に加圧する改善提案がなされており、特許文献3では中間転写体の体積固有抵抗とトナー物性を規定した改善提案がなされている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−155472号公報
【特許文献2】
特開2000−221800号公報
【特許文献3】
特開2001−209255号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来の方式では、感光体上のトナーと転写紙の密着が十分ではなく、転写チリが多く発生し、鮮鋭度やシャープ性に欠けた画像となる。特に重合トナーで顕著である。
【0007】
本発明は上記の問題を鑑みなされたものであり、一般的に用いられている粉砕トナーや重合トナーを使用した場合にも、像担持体(感光体)と、表面に弾性層を設けた転写ローラ間に十分な圧力を加えることで転写体と転写ローラの接触点を増やし、転写チリを低減することができる転写方法及び装置を提供することを目的とする。
さらに本発明では、転写による画像劣化の無い転写方法(装置)とトナーを用い、高画質な画像を形成することができる画像形成方法及び装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段として、請求項1に係る発明は、ドラム状の感光体上のトナー像を転写ローラを用いて転写体に静電的に転写する転写方法において、前記転写ローラとして、導電性ローラからなる芯金上に硬度の異なる2層の弾性層を設けた転写ローラを用い、該2層の弾性層は、表面層は軟らかく、内部層は硬い弾性層であり、前記転写ローラの表面層として硬度が15〜40°(アスカーC硬度)で、厚さが0.05〜0.2mmの弾性層を設け、内部層に硬度が60〜80°(アスカーC硬度)で、厚さが0.5〜5.0mmの弾性層を設け、前記感光体と転写ローラ間に流れる転写電流が0.05〜0.2μA/cmであり、前記転写ローラを前記感光体に押圧する手段を設け、該転写ローラと感光体間に加えられる圧力が1〜10N/cmであり、前記転写ローラを用いて転写体に静電的に転写するトナーは、凝集度が20〜50%、硬度が7〜12°、体積固有抵抗が1×10 9 Ωcm以上の絶縁トナーであることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、ドラム状の感光体上のトナー像を転写体に静電的に転写する転写ローラを備えた転写装置において、前記転写ローラとして、導電性ローラからなる芯金上に硬度の異なる2層の弾性層を設けた転写ローラを用い、該2層の弾性層は、表面層は軟らかく、内部層は硬い弾性層であり、前記転写ローラの表面層として硬度が15〜40°(アスカーC硬度)で、厚さが0.05〜0.2mmの弾性層を設け、内部層に硬度が60〜80°(アスカーC硬度)で、厚さが0.5〜5.0mmの弾性層を設け、前記感光体と転写ローラ間に流れる転写電流を0.05〜0.2μA/cmに設定し、前記転写ローラを前記感光体に押圧する手段を有し、該転写ローラと感光体間に加えられる圧力を1〜10N/cmに設定し、前記転写ローラを用いて転写体に静電的に転写するトナーは、凝集度が20〜50%、硬度が7〜12°、体積固有抵抗が1×10 9 Ωcm以上の絶縁トナーであることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、ドラム状の感光体上に静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーで現像して顕像化した後、該感光体上のトナー像を転写体に転写する画像形成方法において、前記感光体上のトナー像を転写体に転写する際に、請求項1に記載の転写方法、あるいは請求項2に記載の転写装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項4に係る発明は、請求項3記載の画像形成方法において、前記感光体の表面摩擦係数を接触子として3mmのステンレス球を用いた測定手段で測定した場合に、該感光体の表面摩擦係数が0.7以下であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、ドラム状の感光体と、該感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーで現像して顕像化する現像手段と、該感光体上のトナー像を転写体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、請求項3または4に記載の画像形成方法を用いたことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す画像形成装置全体の概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、周知の電子写真方式の画像形成方法を用いた複写機(またはプリンタ)の例であり、内部に像担持体であるドラム状の感光体1を備えている。感光体1の周囲には矢印で示す回転方向に沿って、電子写真方式の画像形成工程を実施するための帯電手段2、露光手段(潜像形成手段)3、現像手段4、転写手段5、クリーニング手段6および定着手段7が配置されている。
【0013】
帯電手段2としては、帯電チャージャ、帯電ローラ、帯電ブラシ、固体帯電器等の種々の帯電器が用いられ、感光体1の表面を均一に帯電する。
露光手段(潜像形成手段)3は、例えばレーザ光源とポリゴンミラー等の光偏向器および走査結像光学系を備えた露光装置(光走査装置)32であり、光源からのレーザ光をポリゴンミラーでスキャンさせ、ミラー33で反射して感光体1に照射し、原稿読取部31で読み取られた画像信号(あるいは装置外部の機器(パーソナルコンピュータ等)から入力された画像信号)を基に感光体1上に静電潜像を形成する。この感光体1は有機感光体の他、アモルファス・シリコン等、既存の感光体を用いることができる。
【0014】
現像手段4は、現像剤担持体(例えば現像ローラ)41で一成分現像剤(トナー)または二成分現像剤(トナーとキャリア)を担持搬送し、感光体1上に形成された静電潜像をトナーで現像し顕像化する。このトナー像の形成にタイミングを合わせて、転写紙等の転写材の貯蔵されている転写材バンク101(または106)から、転写材が給紙ローラ102(または107)で給紙され給紙コロ103(または108)で給送される。コロ104は感光体上のトナー像と同期を取って転写材を搬送するためのレジストコロ104であり、転写材は転写手段5に送られトナー像が静電転写される。すなわち、転写手段5としては、導電性の金属ローラ(芯金)51にゴム層を設けた転写ローラ52を用い、転写ローラ52によって転写材を感光体1に押圧すると共に転写ローラ52に転写バイアスを印加することによってトナー像が静電転写される。トナー像が載った転写材は、搬送ベルト53を通して定着手段7に搬送され、定着手段7で定着された後に、機外へ排出される。一方、未転写部や汚れの付着した感光体1は、例えばクリーニングブレード61とブラシローラ62を有するクリーニング手段6によりクリーニングされ、次の作像ステップに入る。
【0015】
定着手段7の基本構成としては、ハロゲンランプ等の加熱手段74(以下「ヒータ」と言う)を有する定着ローラ71と、その定着ローラ71に圧接される加圧ローラ72とを備えている。また、加圧ローラ72の内部にもヒータ73を設けてもよい。
このような構成の定着器において、定着ローラ71と加圧ローラ72とが、面圧:9.3N/cm2の加圧力で圧接されて定着ニップ幅:約10mmを構成している。定着手段7は駆動手段(図示せず)により駆動を受けて転写材を挟持搬送する。この際、定着ローラ71はヒータ74によって所定の温度に制御されており、転写材上のトナー像は、両ローラ間を通過するときに、圧力を受けながら熱溶融し、ローラ対を出て冷却されることによって永久像として転写材に定着される。定着後の転写材は排紙コロ105で機外の排紙トレイ等に排紙される。
【0016】
さて、以上のような構成の画像形成装置において、転写工程での課題として、転写チリが発生するという問題がある。ここで、転写チリについて図3を参照して考察する。
図3に示すように、転写工程では、転写領域Bの前後に転写紙と感光体が接触していない領域A,Cがあり、このA,C領域で電界の影響により転写チリが発生する。まずA領域では転写最適領域前での転写紙上の電荷と電界によりトナーが感光体から転写紙上に飛翔しチリの原因となる。また、C領域では転写により帯電した転写紙は感光体と静電的に付着している。このため、転写後に分離する際に放電が発生する。以上のように転写チリの原因は近接した時の放電現象が主なものであると考えられている。
【0017】
感光体と転写紙間にあるトナーは下記の式(1)で表される力で転写(転移)する。また、感光体と転写紙間の電界(トナーの周りの電界)は下記の式(2)で表され、「転写紙と感光体間の電位差」を、「転写紙の誘電厚み」と「トナー層の誘電厚み」と「感光体層の誘電厚み」と「トナー周りの空隙」の和で割ったもので表される。
トナーを転移する力:F=qE (1)
q:トナーの電荷量
E:感光体と転写紙間(トナー周り)の電界
E=(Vp−Vpc)/(dp/εp+dt/εt+dpc/εpc+g) (2)
Vp−Vpc:転写紙と感光体間の電位差
dp/εp:転写紙の誘電厚み
dt/εt:トナー層の誘電厚み
dpc/εpc:感光体層の誘電厚み
g:空隙(空気層)
【0018】
図3のAとC領域での放電を少なくするためには、転写効率を下げることなく、感光体と転写紙(転写ローラ)間の電位差を小さくすることが必要となる。そのために、本発明の転写方法(装置)では、転写時に転写ローラと感光体間に加えられる圧力を、従来の転写圧よりも高い圧力(1〜10N/cm)に設定することにより、転写紙の凸部での感光体との接触部分が増え、そのことで見かけ上の転写紙の誘電厚み(dp/εp)や空隙(g)が小さくなり、その結果、感光体と転写紙間の電位差を小さくすることが可能となった。特に感光体と転写ローラ間に硬度の異なる2層の弾性層を設ける(すなわち、導電性ローラからなる芯金上に硬度の異なる2層の弾性層を設けた転写ローラを用いる)ことで転写紙との接触部分を更に増やすことが可能となり、より転写紙と転写ローラとの密着性を高めることができる。
【0019】
しかし、転写紙凹部での空隙については全てを小さくできないため、本発明では、上記転写方法(装置)にトナー特性を組み合わせて使用することで転写チリの低減を可能とした。
すなわち、高い転写圧を用いたことに対して、トナーが加えられた圧力を逃がしやすいように、トナーの凝集度を規定した。
さらに、高い転写圧を用いたことに対して、トナーがそれに耐えうるように、トナーの硬度を規定した。
さらに、弱い転写電界で転写性能を維持するために、トナー抵抗の高い絶縁トナーを使用した。
尚、本発明ではトナーの凝集度を低く規定したが、転写圧が大きく、転写時の「白抜け」が発生しやすいため、感光体表面の摩擦係数を低く規定した。
【0020】
次に、本発明の特徴的な転写構成について図2を参照して説明する。図2は転写手段(装置)5の概略構成例を示す図であって、転写ローラ52は図2に示すようにステンレススチール(SUS)や鉄(Fe)等からなる直径φが20〜30mmの金属ローラ(芯金)51上にEPDM、シリコーン、NBR、ウレタン等のソリッド状の2層の弾性層52a,52bを設け、そのうちの表面層52aは硬度が15〜40°(アスカーC/1kg荷重時)で、厚さが0.05〜0.2mmの弾性層であり、内部層52bは硬度が60〜80°(アスカーC/1kg荷重時)で厚さが0.5〜5.0mmの弾性層である。この弾性層の体積抵抗は1×108〜1×1011Ωcmであり、表面抵抗は体積抵抗より0.5〜2桁高い抵抗の範囲が最適である。転写ローラ52の加圧は、転写ローラ52の金属ローラ(芯金)51の両端の軸部に軸受け57aを設け、その軸受57aをバネ57bで加圧することにより行い、転写ローラ52が感光体1に押圧される。加圧力の測定は転写ローラ52の前後のバネ押圧力の合計を転写ローラ52の長さで割った値で提示する。単位はN/cmで示す(1000gf≒9.8N)。
【0021】
次に、転写工程で転写ローラ52を感光体1に加圧した時のトナー周りの空隙について説明する。
図4は従来の加圧力1N/cm以下の圧力時の転写の様子を模式的に示す図である。転写紙は微小面積では硬く、広い面積では変形(曲がり)する特性がある。図4に示すように転写ローラ52の圧力が弱い状態のときは、転写紙の繊維の凹凸で表面、裏面で数点の凸部で受けて搬送される。その結果、トナーや感光体と転写紙の接触点が少なく、感光体と転写ローラ表面の間の空隙が多い状態になる。測定は感光体とゴム層のないローラ間に0.5N/cmを加圧し、転写紙として(株)リコー製Type6200を挟みギャップを測定した。また、1.0N/cmの加圧で同様に測定した結果20μmの差があった。つまり、加圧によって20μmの空隙が減ったことになる。
【0022】
次に、図5は2層の弾性層52a,52bを有する転写ローラ52を用い、加圧力2.5N/cmの圧力時の転写の様子を模式的に示す図である。加圧によって転写紙の凸部と感光体、転写ローラ52が多く接触するようになる。転写ローラ52の表面層52aの軟弾性層は転写紙裏面とローラ間の空隙を埋める。また、内部層52bの硬いゴム層は転写紙を感光体に押しつけ、その結果、転写紙とトナー及び感光体との接点が多くなり、空隙が小さくなり、トナーと感光体の距離が平均的に狭くなり、前記の式(2)の分母項の「空隙g」が小さくなる。さらにトナー層の厚みが一定でトナー表面の粗さも均一であれば、平均の空隙が小さくなる。
以上のように、感光体と転写紙、転写ローラ間の空隙を小さくすることで、転写紙と感光体間の電位差を小さくしても、式(2)のE(トナー周りの電界)は従来と同様の電界が得られ、分離時の放電による転写チリを減少させることができる。
【0023】
次に本発明で用いられる感光体の表面特性について説明する。本発明で用いる感光体の表面摩擦係数は0.7以下であることが好ましい。表面摩擦係数が0.7以上の場合、転写の際、トナーとの離型性が悪くなり転写効率が悪化する。特に本発明では、凝集力の低いトナーを用いるが、転写での圧力が大きいため、転写時の転写白ぬけが発生しやすい。そのため、表面摩擦係数を低くする必要がある。感光体の表面摩擦係数を低くする方法としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシュームなどの脂肪酸金属塩を感光体表面に均一に塗布することが挙げられる。より具体的には、図1に示すようにクリーニング手段6内に感光体1に潤滑剤(例えばステアリン酸亜鉛)を塗布する塗布機構を設け、棒状または板状の潤滑剤(例えばステアリン酸亜鉛棒)63とブラシローラ62の接触幅を変えることにより、ステアリン酸亜鉛の塗布量を変化させることができるようにし、ステアリン酸亜鉛の塗布量により感光体1の表面摩擦係数を調整する。尚、感光体の表面摩擦係数の測定は協和界面科学(株)社製、全自動摩擦摩耗解析装置等を用いて測定することができる。この時、接触子として、3mmのステンレス球を用いる。
【0024】
本発明では、感光体の表面特性をさらに改善するために、感光体表面に金属酸化物を含有した保護層を設けることができる。金属酸化物を含有した保護層を設けた感光体を用いた場合、機械的強度が強いため、感光体の膜削れが少なく、経時で安定した画像を得ることができる。感光体保護層中に含有する金属酸化物としては、アルミナ、酸化チタン、シリカの中から選ばれる一種であることが望ましい。
【0025】
次に、本発明の画像形成方法及び装置で用いるトナーについて説明する。トナーの製造方法は、従来公知の方法でよく、結着樹脂、離型剤、着色剤、帯電制御剤等をミキサーで混合し、熱ロール、エクストレーダー等の混練機で混練した後、冷却固化し、これをジェットミル、ターボジェット、クリプトロン等の粉砕機で粉砕し、その後、分級して得られる。さらに上記トナーに無機微粉末を添加し、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等で混合してトナーを得る。
【0026】
次に本発明を達成するトナー特性、材料、製造方法について詳細に述べる。
本発明で用いられるトナーの硬度は7〜12、好ましくは8〜11である。硬度が7以下の場合、トナー粒子同士が接した場合、塑性変形するため、トナー同士の接触面積が増加し、トナーの凝集力が強くなり、トナー層を均一化することが難しくなる。また、12以上の場合、転写工程での問題はないが、定着工程において定着性が悪化する恐れがある。
【0027】
トナーの硬度を調整するためには、いくつかの方法があるが、最も効果が高い方法は結着樹脂によるものである。結着樹脂はトナーを構成する成分の中で、最も比率が大きいため、トナーの硬度をコントロールするには効果的である。結着樹脂の硬度を大きくするには、分子量、架橋成分(ゲル)、架橋度などを大きくする。この方法は単独または組み合わせにて行う。また、カーボンブラック、無機微粉末などの添加剤を内添させてもトナー硬度を大きくすることは可能である。逆にトナー硬度を小さくするには、結着樹脂の分子量、架橋成分(ゲル)、架橋度などを小さくする。また、定着性改良のために添加するワックス類もトナー硬度を小さくすることができる。ただし、ワックス類はトナー中の分散状態によってもトナー硬度が異なるため、分散をコントロールすることが重要となる。
【0028】
トナー硬度の測定方法を以下に述べる。
測定装置:微小圧縮試験機 MCTM−500:島津製作所製。
測定方法:溶融したトナーを圧延冷却し平板状とする。次にその表面を#1200の紙やすりを用いて研磨し、平滑にする。荷重を1.0gf加えて5回測定を行ない、その平均値を硬度とする。
【0029】
また、トナーの凝集力(凝集度)はある程度大きい方が好ましい。トナーの凝集度は20〜50%、好ましくは30〜40%である。トナーの凝集力が小さすぎると、トナー粒子が単独で動きやすいため、転写時や剥離放電が発生した時にトナーが電界の乱れに沿って移動するため、ニジミやチリが出やすい。トナーの凝集度が高いとは、トナー同士の付着力も強い反面、感光体とのトナー付着力も大きくなり、転写効率の悪化となる。従って、上述の感光体表面摩擦係数との組み合わせで、感光体へのトナー付着の悪化しない程度のトナー凝集度を上限とする事で本発明の効果が発揮される。
【0030】
トナーの凝集力は凝集度(%)として表すことができる。凝集度の値が大きいほど、トナーの凝集力が強いと言える。凝集度の測定方法を以下に述べる。
測定装置:パウダテスタ PT−N型 ホソカワミクロン株式会社製。
操作方法:以下の点を除いて、基本的には「パウダテスタ PT−N型」の取り扱い説明書に従う。
変更点は
1.使用ふるい:75μm、45μm、22μm、
2.振動時間:30秒、
である。
【0031】
また、本発明のトナーの体積固有抵抗は1×109Ωcm以上が好ましい。1×109Ωcm以下の場合は、転写効率が悪くなるため、本発明に使用するトナーとしては画像品質が悪化し、適しない。
トナーの体積固有抵抗の測定は、トナー3.0gを6t/cm2の荷重をかけ直径40mmの円盤状のペレットにしたものをTR−10C型誘電体損測定器(安藤電気株式会社)にて測定する。尚、周波数は1KHz、RATIOは11×109である。
【0032】
本発明のトナーで使用される結着樹脂としては、従来公知の樹脂が全て使用可能である。例えば、スチレン、ポリ−α−スチルスチレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラート樹脂などが挙げられる。
本発明のトナーでは離型剤として公知のものが全て使用できるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックスを単独又は組み合わせて使用することができる。
また、外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0033】
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。
本発明のトナーに使用される着色剤としては、従来からトナー用着色剤として使用されてきた顔料及び染料の全てが適用される。具体的には、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、カルコオイルブルー、オイルブラック、アゾオイルブラックなど特に限定されない。
【0034】
本発明のトナーの製造方法は、従来公知の方法でよく、結着樹脂、磁性体、離型剤、着色剤、その他、場合によつては帯電制御剤等をミキサー等を用いて混合し、熱ロール、エクストルーダー等の混練機を用い混練した後、冷却固化し、これをジェットミル、ターボジェット、クリプトロン等の粉砕機で粉砕し、その後、分級し得られる。
上記トナーに無機無粉末、脂肪酸金属塩などを添加するにはスーパーミキサー、ヘンシェルミキサーなどの混合機を用いる。
【0035】
【実施例】
以下、具体的な実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、実施例で用いる試作トナーのトナー処方No.1〜8を下記に示し、その時に作成されたトナーの特性を表1にまとめて示す。また、後述の実施例では、使用したトナーを「トナー処方No」で記載する(すなわち、トナー処方1〜8と記載する)。
【0036】
[トナー処方No.1]
・ポリエステル樹脂:44重量部
(重量平均分子量:310000、Tg:65℃)
・スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体:40重量部
(重量平均分子量:85000、Tg:68℃)
・カルナウバワックス:5重量部
・カーボンブラック:10重量部
(#44:三菱化学)
・荷電制御剤:1重量部
(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)
【0037】
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて130℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径8.5μmとした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.2重量%を混合し、トナーを得た。このトナーの硬度は8度、凝集度は45.0%、体積固有抵抗は8.5×109Ωcmであった。このトナーを用いた時の感光体の表面摩擦抵抗は0.70であった。
【0038】
[トナー処方No.2]
・ポリエステル樹脂:71重量部
(重量平均分子量:185000、Tg:67℃)
・カルナウバワックス:3重量部
(平均粒径:300μm)
・四三酸化鉄:15重量部
(EPT−1000:戸田工業)
・カーボンブラック:10重量部
(#44:三菱化学)
・荷電制御剤:1重量部
(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)
【0039】
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて160℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径5.5μmとした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)1.0重量%を混合し、トナーを得た。
このトナーの硬度は6度、凝集度は8.0%、体積固有抵抗は5.5×108Ωcmであった。このトナーを用いた時の感光体の表面摩擦抵抗は0.80であった。
【0040】
[トナー処方No.3]
・スチレン/n−ブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート共重合体:55重量部
(組成比:75/10/15、重量平均分子量:210000、Tg:57℃)
・ポリエステル樹脂:23重量部
(重量平均分子量:160000、Tg:64℃)
・ポリエチレンワックス:10重量部
(分子量900)
・カーボンブラック:10重量部
(#44:三菱化学)
・荷電制御剤:2重量部
(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)
【0041】
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて90℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径7.5μmとした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.2重量%を混合しトナーを得た。このトナーの硬度は11度、凝集度は55.0%、体積固有抵抗は8.8×109Ωcmであった。このトナーを用いた時の感光体の表面摩擦抵抗は0.75であった。
【0042】
[トナー処方No.4]
・ポリエステル樹脂:79重量部
(重量平均分子量:274000、Tg:68℃)
・ポリエチレンワックス:3重量部
(分子量900)
・カーボンブラック:15重量部
(#44:三菱化学)
・電制御剤::3重量部
(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)
【0043】
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて150℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径9.5μmとした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)1.0重量%を混合し、トナーを得た。
このトナーの硬度は14度、凝集度は20.0%、体積固有抵抗は4.2×107Ωcmであった。このトナーを用いた時の感光体の表面摩擦抵抗は0.75であった。
【0044】
[トナー処方No.5]
・ポリエステル樹脂:49重量部
(重量平均分子量:310000、Tg:65℃)
・スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体:35重量部
(重量平均分子量:85000、Tg:68℃)
・カルナウバワックス:4重量部
・カーボンブラック:10重量部
(#44:三菱化学)
・荷電制御剤:2重量部
(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)
【0045】
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて130℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径8.5μmとした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.75重量%を混合し、トナーを得た。
このトナーの硬度は10度、凝集度は15.0%、体積固有抵抗は9.5×108Ωcmであった。このトナーを用いた時の感光体の表面摩擦抵抗は0.75であった。
【0046】
[トナー処方No.6]
・ポリエステル樹脂:73重量部
(重量平均分子量:185000、Tg:67℃)
・カルナウバワックス:5重量部
(平均粒径:300μm)
・四三酸化鉄:10重量部
(EPT−1000:戸田工業)
・カーボンブラック:10重量部
(#44:三菱化学)
・荷電制御剤:2重量部
(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)
【0047】
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて160℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径6.5μmとした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)1.0重量%を混合し、トナーを得た。
このトナーの硬度は11度、凝集度は41.0%、体積固有抵抗は9.8×108Ωcmであった。このトナーを用いた時の感光体の表面摩擦抵抗は0.75であった。
【0048】
[トナー処方No.7]
・ポリエステル樹脂:56重量部
(重量平均分子量:310000、Tg:65℃)
・スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体:35重量部
(重量平均分子量:85000、Tg:68℃)
・カルナウバワックス:3重量部
・カーボンブラック:5重量部
(#44:三菱化学)
・荷電制御剤: 1重量部
(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)
【0049】
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて80℃で低温混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径8.5μmとした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)1.0重量%を混合し、トナーを得た。
このトナーの硬度は10度、凝集度は25.0%、体積固有抵抗は3.5×107Ωcmであった。このトナーを用いた時の感光体の表面摩擦抵抗は0.75であった。
【0050】
[トナー処方No.8]
・ポリエステル樹脂:56重量部
(重量平均分子量:310000、Tg:65℃)
・スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体:35重量部
(重量平均分子量:85000、Tg:68℃)
・カルナウバワックス:3重量部
・カーボンブラック:5重量部
(#44:三菱化学)
・荷電制御剤:1量部
(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)
【0051】
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて80℃で低温混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径8.5μmとした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)1.0重量%とステアリン酸亜鉛微粉末0.20重量部を混合し、トナーを得た。
このトナーの硬度は10度、凝集度は35.0%、体積固有抵抗は1.8×109であった。このトナーを用いた時の感光体の表面摩擦抵抗は0.60であった。
以上のトナー処方No.1〜8により作成されたトナー(トナー処方1〜8と記載する)の特性を下記の表1にまとめて示す。
尚、表中の数値の「E8」は「×108」、「E9」は「×109」であり、他も同様である。
【0052】
【表1】
【0053】
次に本発明での評価方法について説明する。
<転写率、定着性、転写チリ、転写白抜け評価方法>
評価機は(株)リコー製の複写機(イマジオMF7070)の転写部を改造して用いた。ユニット構成は図1に示す画像形成装置の概略構成と同じである。現像手段4として二成分現像方式の現像装置を用い、転写工程は転写装置5に転写ローラ52を用いたローラ転写で行い、転写後は搬送ベルト53で搬送され、定着工程は定着ローラ71と加圧ローラ72からなる定着装置7を用い、面圧:9.3N/cm2の加圧力、温度は165〜185℃で定着を行った。この評価用の画像形成装置を用いて、画素密度が600dpi(ドット/インチ)のドットから形成されたグレースケールを中心としたテストチャート(図6参照)をプリントアウトしてサンプル画像を得た。評価方法の詳細な説明を以下に示す。
【0054】
<転写率の評価>
現像された感光体上のチャートを転写紙に転写し、転写紙が搬送ベルト上にある時に機械を停止する。チャートの黒ベタ部に着目し、感光体上の黒ベタ部の転写残トナー量を粘着テープで剥がし、感光体上残トナー量を求める。一方、転写されたトナーは黒ベタ部を切り取りトナーを圧縮エアーで吹き飛ばす。吹き飛ばし前後の重さより転写されたトナー量を求め、
(転写トナー量/(転写トナー+残トナー量))×100 (%)
で転写率(%)を求める。
転写率の許容値は一般環境下で70%以上である。転写率80%以上は「○」と判定。同じ70〜79%は「△」、69%以下は「×」と示した。許容レベルは「△」以上である。
【0055】
<定着性の評価>
次に、定着性の評価はスミア法で行う。ID:0.6〜0.8のハーフトーン部で8.8N/15φの重りに付着した布を転写紙の上に載せ、5往復擦ったときの布上の濃度で評価を行った。問題無いレベル0.3以下は「○」、許容できるレベルは0.5以下「△」で表示し、0.51以上のレベルは「×」と評価した。
【0056】
<転写チリ、転写白抜けの評価>
転写チリと転写白抜けは汎用的な評価法が確立していないため、サンプルとランク見本とを目視での官能評価法で行った。転写チリのランク見本は図8に、転写白抜けのランク見本は図7に示した。ランク3の画像の「△」が許容レベルであり、それ以上は「OK」、「△」に満たないものは「NG」である。
【0057】
以下、より具体的な実施例により本発明を説明する。
[実施例1]
まず、実施例の装置条件を示す。前述したように評価用の画像形成装置は(株)リコー製の複写機(イマジオMF7070)の転写部を改造して用いた。ユニット構成は図1の装置の概略図と同様である。感光体1と転写ローラ52の接触が安定するように転写ローラ52の表面層52aの弾性層として硬度が25°(アスカーC/1kg荷重時)で、厚みが0.1mm、体積抵抗が1×109〜1×1011Ωcmのゴム層を設けた。さらに、その下に内部層52bの弾性層として硬度が70°(アスカーC/1kg荷重時)で、厚みが2.0mm、抵抗が表面層の抵抗と同等から1桁小さい値のものを用いた。転写ローラ52の加圧は、図2に示すように、転写ローラ52の金属ローラ(芯金)51の両端の軸部に軸受け57aを設け、その軸受57aをバネ57bで加圧することにより行い、転写ローラ52を感光体1に押圧する。本実施例では図2に示す加圧機構のバネ57bで転写圧力を0.05、1.0、5.0、10.0(N/cm)の4水準とし、転写ローラと感光体間に印加する電圧を制御して、流れる電流を0.03、0.05、0.20、0.30(μA/cm)の4水準として、評価用のテスト機により、図6のテストチャートをプリントした。評価は転写率、転写チリ(図8参照)、転写白ぬけ(図7参照)で確認した。評価結果を下記の表2,3,4に示す。尚、現状値は転写電流0.3〜0.4μA/cmで圧力は1N/cm前後の条件である。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
(結果):以上の表1,2,3に示す結果から、転写率は0.05μA/cm未満では電流不足で規格外に低下しており「NG」である。また、圧力が小さく、電流も小さいと転写率が低下する。転写チリでは、転写電流が0.3μA/cm以上で放電によるチリが大きくなる。また、転写圧力が10N/cmでは転写白ぬけが発生しかかっている。その結果、転写率でも低下している。
以上の結果、最適な転写条件として、圧力が1〜10N/cm、転写バイアス電流が0.05〜0.2μA/cmの組み合わせが良い条件であった。より好ましくは圧力が1.0〜5.0N/cm、電流が0.1〜0.2μA/cmが最適であった。
【0062】
転写ローラ特性は、転写ローラの表面層の弾性層として硬度が15〜40°、厚みが0.05〜0.2mmが最適であり、硬度が15°以下では軟らかすぎて変形してしまう。また、硬度が40°を大きく超えると、転写紙の繊維の凹凸に対応できなくなり、エアーギャップが大きくなる。内部層の弾性層の特性では硬度が60〜80°、厚みが0.5〜5.0mmが良い。硬度が軟らかく薄い弾性層では転写紙を押す力が小さくなり、ニップが大きくなりトナーの転写ずれを起こしてしまう。また、硬すぎた場合、転写紙に圧力を加えても接触点が増えず、実質のエアーギャップの低減には効果が薄くなる。
以上の結果より、転写ローラの2層構成を持つ弾性層の良好な条件としては、表面層に硬度が15〜40°で厚さが0.05〜0.2mmの弾性層、内部層に硬度が60〜80°で厚さが0.5〜5.0mmの弾性層を設けるという条件となる。
【0063】
[実施例2]
実施例1と同じ方法で、トナー処方1〜8のトナーとキャリアを用いて二成分現像剤を作成した。この時のキャリアは重量平均粒径50μmの球形フェライトを用い、表面にシリコーン樹脂をコートし、熱乾燥させてから使用した。現像剤中のトナー濃度はキャリアに対して5.0wt%である。
転写の加圧力は3N/cm、転写電流は0.1μA/cmに設定し、図6のテストチャートをプリントした。使用した転写紙は(株)リコー製のType6000である。
【0064】
図9にトナー凝集度と転写チリランクの関係を示す。図9に示したグラフの縦軸はランクであり、ランク5が最も良いレベルで、ランク1が最も悪いレベルである。許容できるレベルはランク3以上である。
トナー凝集度が20%以下になると、トナーが感光体に現像される時点で既にトナーチリがひどく発生するようになり、15%以下になると良好な画像が全く出なくなった。逆にトナー凝集度が50%を越えた辺りから、感光体から転写紙へ転写する際の残留トナーが多く発生するようになり、いわゆる転写不良の画像となった。以上のことからトナー凝集度は20%〜50%と規定すると良い。
【0065】
[実施例3]
実施例2と同様の実験を行った。その結果を図10に示す。図10はトナー体積抵抗と転写率ランクの関係を示すグラフである。尚、図中のE+07=E7=×107であり、他も同様である。
トナー体積抵抗が1.0E9Ωcm以上で転写率ランクが良好となっている。1.0E10Ωcm程度で転写率ランクが3に落ちているが、転写圧を3N/cmから若干下げる(0.5〜0.8N/cm程度下げる)ことによりランク3からランク5程度まで転写率を向上させることができた。よってトナー体積抵抗は1.0E9Ωcm以上と規定すると良い。
【0066】
[実施例4]
実施例2と同様の実験を行い、目視評価にて主に画像品質を評価した。トナー硬度が7°以下の場合には転写率がやや悪化する傾向があり、主にベタ濃度むらなどが目立った。トナー硬度が12°以上の場合には、定着工程での定着むらが発生し、やや定着性が劣る傾向となった。以上の結果から、トナー硬度は7〜12°、好ましくは8〜11°と規定すると良い。
【0067】
[実施例5]
実施例2と同様の実験を行った。その結果を図11に示す。図11は感光体摩擦係数と転写チリランクおよび転写率ランクの関係を示すグラフである。
使用したトナー特性は様々であるが、感光体摩擦係数が低めな方が転写チリ、転写率共に程度が良い傾向にあった。つまり感光体摩擦係数を低く抑えることでトナー特性にあまり依ることもなく、良好な画像を得ることが可能となる。よって感光体摩擦係数は0.7以下と規定すると良い。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、一般的に用いられている粉砕トナーや重合トナーを使用した場合にも、像担持体(感光体)と、表面に弾性層を設けた転写ローラ間に十分な圧力を加えることで転写体と転写ローラの接触点を増やし、転写チリを低減することができる転写方法及び装置を提供することができる。
また、本発明では、転写による画像劣化の無い転写方法(装置)とトナーを用い、高画質な画像を形成することができる画像形成方法及び装置を提供することができる。
【0069】
より詳しく述べると、転写チリは感光体と転写紙を挟んで配置された転写ローラ間の電位差が大きく、剥離時に放電を起こし、転写紙に一度転写したトナーが放電による電界の乱れで電気的に移動してチリとなる。
そこで本発明では、感光体と転写ローラ間に2層の弾性層を設けることで、転写紙と感光体の密着を良くし、これにより、お互いの接触点を多くして転写効率を上げ、結果として転写電流を小さくでき、転写紙電荷が小さくなり、分離時の放電を減少させる効果が得られ、転写チリの発生を防止することができた。
また、本発明では、前記転写ローラの内部層を硬く、表面層を軟らかくすることで転写ローラと転写紙間の密着性を更に高め、転写ローラと転写紙間の空隙を更に少なくする効果が得られた。
さらに本発明では、転写紙と感光体の密着性をさらに良くするために転写ローラを感光体に押圧し、しかも従来技術よりも高い圧力を加えるので、効率よく感光体と転写紙の接触点を増やすことが可能となり、転写チリの発生をより防止することができた。
【0070】
ところで、トナーの凝集度が大きいと、トナー同士が凝集し、加圧転写時に固まりとして転写されやすく、白抜けなどの異常画像が発生しやすくなる。逆にトナーの凝集度が小さいと、例えば剥離放電時など電荷が乱れている場合において、トナーが単独で電荷移動されやすく、チリやにじみが発生しやすくなる。
そこで本発明では、トナーの凝集度を規定することで、上記のような異常画像を発生させることなく、良好な転写画像を得ることが可能となった。
また、本発明では、トナー硬度の下限を規定することで、転写時の加圧に対してトナーの塑性変形によるトナー凝集を回避することができ、また、上限を規定することで定着性の悪化を回避することが可能となった。
さらに本発明では、体積抵抗の高い、いわゆる絶縁トナーは電荷注入されにくいため、転写電界を比較的強くすることができ、転写電流に対する余裕度を向上させることができた。
さらにまた、本発明では、感光体摩擦係数を0.7以下と規定することで、トナー凝集力の高いトナーを使用しても転写時に感光体からのトナー離型性を向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す画像形成装置全体の概略構成図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の転写手段の構成例を示す図である。
【図3】電子写真方式の画像形成装置における転写チリ発生のメカニズムの説明図である。
【図4】従来の転写方式による転写の様子を模式的に示す図である。
【図5】本発明の加圧転写方式による転写の様子を模式的に示す図である。
【図6】評価用のテストチャートの一例を示す図である。
【図7】転写白抜けランク見本を示す図である。
【図8】転写チリランク見本を示す図である。
【図9】トナー凝集度と転写チリランクの関係を示すグラフである。
【図10】トナー体積抵抗と転写率ランクの関係を示すグラフである。
【図11】感光体摩擦係数と転写チリランクおよび転写率ランクの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1:感光体(像担持体)
2:帯電手段
3:露光手段(潜像形成手段)
4:現像手段
5:転写手段
6:クリーニング手段
7:定着手段
31:原稿読取部
32:露光装置(光走査装置)
33:ミラー
41:現像ローラ
51:金属ローラ(芯金)
52:転写ローラ
52a:表面層
52b:内部層
53:搬送ベルト
54:駆動ローラ
55:従動ローラ
56:ベルトクリーニング手段
57a:軸受
57b:バネ
61:クリーニングブレード
62:ブラシローラ
63:潤滑剤
71:定着ローラ
72:加圧ローラ
73,74:ヒータ
101,106:転写材バンク
102,107:給紙ローラ
103,108:給紙コロ
104:レジストコロ
105:排紙コロ
Claims (5)
- ドラム状の感光体上のトナー像を転写ローラを用いて転写体に静電的に転写する転写方法において、
前記転写ローラとして、導電性ローラからなる芯金上に硬度の異なる2層の弾性層を設けた転写ローラを用い、該2層の弾性層は、表面層は軟らかく、内部層は硬い弾性層であり、前記転写ローラの表面層として硬度が15〜40°(アスカーC硬度)で、厚さが0.05〜0.2mmの弾性層を設け、内部層に硬度が60〜80°(アスカーC硬度)で、厚さが0.5〜5.0mmの弾性層を設け、
前記感光体と転写ローラ間に流れる転写電流が0.05〜0.2μA/cmであり、
前記転写ローラを前記感光体に押圧する手段を設け、該転写ローラと感光体間に加えられる圧力が1〜10N/cmであり、
前記転写ローラを用いて転写体に静電的に転写するトナーは、凝集度が20〜50%、硬度が7〜12°、体積固有抵抗が1×10 9 Ωcm以上の絶縁トナーであることを特徴とする転写方法。 - ドラム状の感光体上のトナー像を転写体に静電的に転写する転写ローラを備えた転写装置において、
前記転写ローラとして、導電性ローラからなる芯金上に硬度の異なる2層の弾性層を設けた転写ローラを用い、該2層の弾性層は、表面層は軟らかく、内部層は硬い弾性層であり、前記転写ローラの表面層として硬度が15〜40°(アスカーC硬度)で、厚さが0.05〜0.2mmの弾性層を設け、内部層に硬度が60〜80°(アスカーC硬度)で、厚さが0.5〜5.0mmの弾性層を設け、
前記感光体と転写ローラ間に流れる転写電流を0.05〜0.2μA/cmに設定し、
前記転写ローラを感光体に押圧する手段を有し、該転写ローラと感光体間に加えられる圧力を1〜10N/cmに設定し、
前記転写ローラを用いて転写体に静電的に転写するトナーは、凝集度が20〜50%、硬度が7〜12°、体積固有抵抗が1×10 9 Ωcm以上の絶縁トナーであることを特徴とする転写装置。 - ドラム状の感光体上に静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーで現像して顕像化した後、該感光体上のトナー像を転写体に転写する画像形成方法において、
前記感光体上のトナー像を転写体に転写する際に、請求項1に記載の転写方法、あるいは請求項2に記載の転写装置を用いることを特徴とする画像形成方法。 - 請求項3記載の画像形成方法において、
前記感光体の表面摩擦係数を接触子として3mmのステンレス球を用いた測定手段で測定した場合に、該感光体の表面摩擦係数が0.7以下であることを特徴とする画像形成方法。 - ドラム状の感光体と、該感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーで現像して顕像化する現像手段と、該感光体上のトナー像を転写体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
請求項3または4に記載の画像形成方法を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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