JP4434517B2 - 吸着材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定構造を有する重合体を付着、または被覆させた、体液中に含まれる成分の吸着材に関する。詳しくは、体液中に含まれる成分から特定の成分の選択的吸着性を向上させた、または、体液中に含まれる成分から特定の成分の選択的吸着性を抑制させた吸着材に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体の防御機構の恒常性を維持するために、重要な物質としてサイトカイン(cytokine)が挙げられる。サイトカインとは各種の免疫担当細胞が産生する分子量が約10〜50kDaで、蛋白質または糖蛋白質の生理活性物質の総称であり、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン−1からインターロイキン−15、腫瘍壊死因子(TNF)、リンホトキシン、コロニー刺激因子、エリスロポエチンなど数多く知られている。
【0003】
サイトカインの機能は、免疫系の調節作用を始めとして、炎症反応の惹起、抗腫瘍作用、細胞の増殖や分化の誘導などさまざまな生物学的作用を有することが明らかにされており、このような機能を活用して、その抗腫瘍作用を利用した悪性腫瘍の治療にインターフェロン(IFN)、インターロイキン−2(IL−2)、腫瘍壊死因子(TNF)が、血球増殖作用を利用してエリスロポエチン、コロニー刺激因子などが、治療を目的として既に臨床応用されている。
【0004】
一方、炎症反応惹起作用は、いろいろな疾患の病態形成に深く関与しており、サイトカインが病態形成に関与する疾患としては、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデスを始めとする膠原病、アレルギー疾患、インシュリン依存性糖尿病、劇症肝炎などが挙げられている。その他、川崎病、ネフローゼ症候群、さらに動脈硬化症などの代謝性疾患にもサイトカインが関与していると考えられている。
【0005】
特開平10−147518号公報には、水素結合形成可能な官能基を有する材料である尿素結合、チオ尿素結合、アミド結合を有する材料が、サイトカイン除去用あるいは不活性用の材料として開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
吸着材を設計する上で最も重要な要素は、目的とする物質を選択的に、効率よく吸着することである。また、近年、細胞作用性物質(サイトカイン)などの低分子成分の吸着除去が注目され、血液などの体液からサイトカインを吸着除去する適切な方法が望まれている。
本発明は、Alb、IgGなどの人体の機能に有用なタンパク質の吸着を抑制し、細胞作用性物質(サイトカイン)などの分子成分の吸着選択除去性を向上した、吸着速度に優れ、且つ生化学的なリガンドを使用しない、生体適合性を有し、タンパク質の吸着を抑制出来る吸着材を提供することを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鋭意検討した結果、所定の特性を有する高分子化合物に、所定の特性を有する重合体を付着または被覆させてなるものが吸着材の成形原料として好ましい特性を備えることを見いだして本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明によれば、水酸基、あるいは一級(−NH2)または二級アミノ基(−NHR1)、またはこれらのうち複数を有する水不溶性の高分子化合物であり、この水不溶性の高分子化合物に、下記の一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体を付着させたことを特徴とする吸着材、が提供される。
(但し、R1は、炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
【化6】
Figure 0004434517
(但し、式中、R2、R3およびR4は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示し、同一または異なる基であってもよく、R5は炭素数2〜4の二価のアルキレン基である。)
【0009】
また、本発明によれば、水酸基、あるいは一級(−NH2)または二級アミノ基(−NHR1)、またはこれらのうち複数を有する水不溶性の高分子化合物であり、この水不溶性の高分子化合物に、下記の一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体を被覆させたことを特徴とする吸着材、が提供される。
(但し、R1は、炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
【化7】
Figure 0004434517
(但し、式中、R2、R3およびR4は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示し、同一または異なる基であってもよく、R5は炭素数2〜4の二価のアルキレン基である。)
【0010】
本発明の吸着材において、水不溶性の高分子化合物としては、アガロース、セルロース、デキストラン、キチン、キトサン、架橋ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド、シリカより選ばれる1種またはこれらの混合物またはこれらにアミノ酸、硫酸基、陰イオン交換基、陽イオン交換基を導入した化合物、または活性炭であることが好ましい。
【0011】
水不溶性の高分子化合物としては、水不溶性の高分子化合物にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を結合させた水不溶性の高分子化合物もまた好ましい。具体的には、アガロース、セルロース、デキストラン、および架橋ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド、シリカより選ばれる1種またはこれらの混合物またはこれらにアミノ酸、硫酸基、陰イオン交換基、陽イオン交換基を導入した化合物にさらにイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を結合させた水不溶性の高分子化合物が好ましい。
【0012】
前記の一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体としては、下記の一般式[II]で表される(メタ)アクリル酸誘導体の単量体を含む単量体組成物を重合してなる重合体であることが好ましい。
【化8】
Figure 0004434517
(但し、式中、R2、R3およびR4は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示し、同一または異なる基であってもよく、R5は炭素数2〜4の2価のアルキレン基である。また、R6は水素原子またはメチル基であり、R7は−(GO)mG−で表される基(ここで、Gは炭素数2〜12の二価の炭化水素基で、mはそのオキシアルキレン基の平均付加モル数で、0〜10である。)である。)
【0013】
前記の一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体または前記の一般式[II]で表される(メタ)アクリル酸誘導体の単量体を含む単量体組成物を重合してなる重合体としては、前記の一般式[II]で表される(メタ)アクリル酸誘導体の単量体0.1〜99重量%と溶解度パラメータが9.0(cal/cm31/2以上である単量体1〜99.9重量%とを含む原材料を重合して得た重合体であることが好ましい。ここで、溶解度パラメータが9.0(cal/cm31/2以上である単量体としては、一般式[III]で表されるアルキル化(メタ)アクリルモノマーであることが好ましい。
【化9】
Figure 0004434517
(但し、R8は水素原子またはメチル基であり、Yは−COO−、−CONH−、−COO−CH2CH2−O−CONH−、−COO−CH2CH2−NHCONH−、−NH−COO−または−NHCONH−であり、Zは炭素数1〜18の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の一価の環式炭化水素基、炭素数3〜18の一価の環式炭化水素上の水素の一部が炭素数1〜5の一価の低級アルキル基により置換されている一価のアルキル化芳香族基、炭素数6〜15の一価の芳香族炭化水素基、炭素数6〜15の一価の芳香族炭化水素上の水素の一部が炭素数1〜5の一価の低級アルキル基により置換されている一価のアルキル化芳香族基である。)
【0014】
イソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物であることが好ましい。さらに、イソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、下記一般式[IV]で表されるイソシアネート基を有するイソシアネート化合物であることが好ましい。
【化10】
Figure 0004434517
(但し、R9は炭素数1〜12の二価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の二価の環式炭化水素基、炭素数3〜18の二価の環式炭化水素上の水素の一部が炭素数1〜5の一価の低級アルキル基により置換されている二価のアルキル化芳香族基、炭素数6〜15の二価の芳香族炭化水素基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素上の水素の一部が炭素数1〜5の一価の低級アルキル基により置換されている二価のアルキル化芳香族基である。)
【0015】
吸着材としては、体液中に含まれるサイトカイン、ビリルビンより選ばれる1種または複数の成分の吸着除去に好適に用いられる。また、吸着材としては、体液中に含まれるエンドトキシン、薬物、アンモニアより選ばれる1種または複数の成分の吸着除去に好適に用いられる。その中でも、特に、体液中に含まれるサイトカイン除去材として好適に用いられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の吸着材は、水酸基、あるいは一級(−NH2)または二級アミノ基(−NHR1)、またはこれらのうち複数を有する水不溶性の高分子化合物であり、例えば、下記▲1▼から▲4▼の構造を有するものまたは下記▲1▼から▲4▼の構造を含むものを挙げることが出来る。
(但し、R1は、炭素数1〜8のアルキル基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基などを挙げることが出来る。)
【0017】
▲1▼ 単糖および2糖類、オリゴ糖から選択される糖誘導体を側鎖に有するポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンなどの誘導体。
▲2▼ 多糖類。
▲3▼ 下記一般式[V]および下記一般式[VI]で表される繰り返し単位をモル比1:0〜1:1000の割合で有する高分子化合物。
【化11】
Figure 0004434517
【化12】
Figure 0004434517
▲4▼ 下記一般式[VII]および下記一般式[VIII]で表される繰り返し単位をモル比1:0〜1:1000の割合で有するシリカ。
【化13】
Figure 0004434517
【化14】
Figure 0004434517
【0018】
上記▲1▼の単糖および2糖類、オリゴ糖いずれかを問わずこれらの糖誘導体を側鎖に有するポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンなどの誘導体としては、具体的には、D−アロース、D−アルトロース、D−ガラクトース、D−グルコース、D−グロース、D−イドース、D−マンノース、D−タロース、D−アラビノース、L−リキソース、D−リボース、D−キシロース、D−フルクトース、D−プシコース、L−ソルボース、D−タガレース、D−グルコサミン、L−ラムノース、L−フコース、D−フコース、D−グルクロン酸、D−ガラクトロン酸などの単糖;マルトース、ラクトース、トレハロース、セロビオース、イソマルトース、ゲンチオビオース、メリビオース、ラミナリビオース、キトビオース、キシロビオース、マンノビオース、ソホロースなどの2糖類;マルトトリオース、イソマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マンノトリオース、マンニノトリオース、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンなどの糖誘導体を側鎖に有するポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンなどの誘導体を挙げることが出来る。
【0019】
上記▲2▼の多糖類としては、具体的には、アガロース、セルロース、デキストラン、キチン、キトサンなどを挙げることが出来る。
【0020】
上記▲3▼の高分子化合物は、下記一般式[V]および一般式[VI]で表される繰り返し単位をモル比1:0〜1:1000の割合、好ましくは1:0〜1:500、さらに好ましくは1:0〜1:100の割合で有し、以下の構造である。
上記▲3▼の高分子化合物は、数平均分子量(Mn)が好ましくは1000以上、さらに好ましくは1200以上、より好ましくは1500以上、特に好ましくは2000以上が好ましい。
【化15】
Figure 0004434517
【化16】
Figure 0004434517
(但し、式中、X1は−CR10−CH2−を示し、R10は水素原子、−CH3または−C25を示し、A1は−COO−CH2CH2−、−COOCH2CH2CH2−、−CO−NH−CH2CH2−、−CO−NH−CH2CH2CH2−、−C64−、−CH2−、またはnone(A1はなし。このとき、X1とD1が直接的に結合する。)を示し、D1は−OH、−NHR11を示し、R11は−H、−CH3、−CH2CH3または−CH2CH2OHを示し、Z1は−CR12−CH2−を示し、R12は水素原子、−CH3または−C25を示し、E1は−COO−CH2CH2−、−COOCH2CH2CH2−、−CO−NH−CH2CH2−、−CO−NH−CH2CH2CH2−、−C64−、−CH2−、またはnone(E1はなし。このとき、Z1とL1が直接的に結合する。)を示し、L1は−H、−CH3、−CH=CH2、−C65、−SO3 -、−COO-、または−N+131415を示し、R13、R14およびR15は−CH3または−C25を示す。)
【0021】
上記▲4▼のシリカは、下記一般式[VII]および一般式[VIII]で表される繰り返し単位をモル比1:0〜1:1000の割合、好ましくは1:0〜1:500、さらに好ましくは1:0〜1:100の割合で有し、例えば、水酸基、あるいは一級(−NH2)または二級アミノ基(−NHR1)、またはこれらのうち複数を有する水不溶性のシリカ、架橋シリカなどの構造である。
上記▲4▼のシリカは、数平均分子量(Mn)が好ましくは1000以上、さらに好ましくは1200以上、より好ましくは1500以上、特に好ましくは2000以上が好ましい。
【化17】
Figure 0004434517
【化18】
Figure 0004434517
(但し、式中、X2は−SiR16−O−を示し、R16は−CH3、−C25、または−C65を示し、A2は−COO−CH2CH2−、−COOCH2CH2CH2−、−CO−NH−CH2CH2−、−CO−NH−CH2CH2CH2−、−C64−、−CH2−、またはnone(A2はなし。このとき、X2とD2が直接的に結合する。)を示し、D2は−OHまたは−NHR17を示し、R17は−H、−CH3、−CH2CH3、または−CH2CH2OHを示し、Z2は−CR18−CH2−を示し、R18は−H、−CH3、または−C25を示し、E2は−COO−CH2CH2−、−COOCH2CH2CH2−、−CO−NH−CH2CH2−、−CO−NH−CH2CH2CH2−、−C64−、−CH2−、またはnone(E2はなし。このとき、Z2とL2が直接的に結合する。)を示し、L2は−H、−CH3、−C65、−CH=CH2、−SO3 -、−COO-、または−N+192021を示し、R19、R20およびR21は−CH3、または−C25を示す。)
【0022】
水不溶性の高分子化合物は、下記(1)から(7)のモノマー成分を含む重合体、およびこれらの陰イオン交換基または陽イオン交換基を導入した重合体を用いることが出来る。
【0023】
(1)アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル系のモノマー。
(2)アクリル酸アミドおよびメタクリル酸アミド系のモノマー。
(3)水酸基を有するスチレン系のモノマー。
(4)ビニルアルコール系のモノマー。
(5)アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル系のモノマー。
(6)アクリル酸アミドおよびメタクリル酸アミド系のモノマー。
(7)アミノ基を有するスチレン系のモノマー。
【0024】
上記(1)のアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル系のモノマーとして、具体的には例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げることが出来る。ここで、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および/または「メタクリレート」を表す。
【0025】
上記(2)のアクリル酸アミドおよびメタクリル酸アミド系のモノマーとして、具体的には例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどを挙げることが出来る。ここで、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および/または「メタクリレート」を表す。
【0026】
上記(3)の水酸基を有するスチレン系のモノマーとして、具体的には例えば、p−ヒドロキシスチレン、2−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレンなどを挙げることが出来る。
【0027】
上記(4)のビニルアルコール系のモノマーとして、具体的には例えば、ビニルアルコールなどを挙げることが出来る。
【0028】
上記(5)のアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル系のモノマーとして、具体的には例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、などを挙げることが出来る。ここで、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および/または「メタクリレート」を表す。
【0029】
上記(6)のアクリル酸アミドおよびメタクリル酸アミド系のモノマーとして、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸アミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、メチルエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどを挙げることが出来る。ここで、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および/または「メタクリレート」を表す。
【0030】
上記(7)のアミノ基を有するスチレン系のモノマーとして、具体的には例えば、p−アミノメチルスチレン、2−アミノメチルスチレン、3−アミノメチルスチレン、p−スチレンスルホン酸、2−スチレンスルホン酸、3−スチレンスルホン酸、p−ジメチルアミノメチルスチレン、2−ジメチルアミノメチルスチレン、3−ジメチルアミノメチルスチレン、p−ジエチルアミノメチルスチレン、2−ジエチルアミノメチルスチレン、3−ジエチルアミノメチルスチレンなどを挙げることが出来る。
【0031】
水不溶性の高分子化合物として、上記(1)から(7)のモノマー成分と下記(8)から(9)のモノマー成分との共重合体、およびこれらの陰イオン交換基または陽イオン交換基を導入した重合体を用いることが出来る。
【0032】
(8)水酸基およびアミノ基を有しないスチレン系モノマー。
(9)水酸基およびアミノ基を有しないオレフィン系モノマー。
【0033】
上記(8)の水酸基およびアミノ基を有しないスチレン系モノマーとして、具体的には例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンなどを挙げることが出来る。
【0034】
上記(9)の水酸基およびアミノ基を有しないオレフィン系モノマーとして、具体的には例えば、エチレン、プロピレン、ブテンなどを挙げることが出来る。
【0035】
水不溶性の高分子化合物は、アガロース、セルロース、デキストラン、キチン、キトサン、架橋ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド、シリカより選ばれる1種またはこれらの混合物またはこれらにアミノ酸、硫酸基、陰イオン交換基、陽イオン交換基を導入した化合物、または活性炭であることが好ましい。これらの化合物の架橋物も好ましい。
【0036】
また、水不溶性の高分子化合物には、水不溶性の高分子化合物にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を結合させた水不溶性の高分子化合物であることが好ましい。具体的には、アガロース、セルロース、デキストラン、および架橋ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド、シリカより選ばれる1種またはこれらの混合物またはこれらにアミノ酸、硫酸基、陰イオン交換基、陽イオン交換基を導入した化合物にさらにイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を結合させた水不溶性の高分子化合物であることが好ましい。
【0037】
水不溶性の高分子化合物の形状は、粒子状、繊維状、膜状、中空糸状、チューブラー状など、特に制限はない。しかし、イソシアネート化合物と反応させるのに好都合な点、およびイソシアネート化合物と反応させて得られる吸着材の取扱が容易な点で、粒子状や繊維状のものが好ましい。
粒子状の場合は、得られる吸着材が、カラムに充填した際に目詰まりしにくく且つ吸着速度が高い点から、直径20〜5000μmが好ましく、25〜1000μmの球状がより好ましい。
【0038】
イソシアネート基を有するイソシアネート化合物は、分子内に2個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物、分子内に3個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物など多官能性イソシアネートを用いることが出来る。
【0039】
イソシアネート基を有するイソシアネート化合物は、下記の一般式[IV]で表されるイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を用いることが出来る。
【化19】
Figure 0004434517
(但し、R9は炭素数1〜12の二価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の二価の環式炭化水素基、炭素数3〜18の二価の環式炭化水素上の水素の一部が炭素数1〜5の一価の低級アルキル基により置換されている二価のアルキル化芳香族基、炭素数6〜15の二価の芳香族炭化水素基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素上の水素の一部が炭素数1〜5の一価の低級アルキル基により置換されている二価のアルキル化芳香族基である。)
【0040】
イソシアネート基を有するイソシアネート化合物の一例として、分子内に2個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、O−トリジンイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどを挙げることが出来る。
分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネート−2−メチルベンゼン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,3,5−トリス(6−ヒドロキシヘキシル)トリイソシアネートなどを挙げることが出来る。
これらの化合物の中では、ヘキサメチレンジイソシアネートが、得られる吸着材の吸着活性が特に高い点で最も好ましい。
【0041】
本発明の吸着材の水不溶性の高分子化合物は、例えば次のようにして製造することが出来る。
水不溶性の高分子化合物は、乾燥状態のものを使用することが好ましい。もし、これらの化合物が水分を含有する場合は、通常の手段により乾燥するか、または無水有機溶媒で置換処理は繰り返せばよい。置換に用いる有機溶媒は、イソシアネート化合物との反応に用いる溶媒と同一の物であればよく、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを用いることが出来る。
【0042】
イソシアネート化合物との反応は次のようにして行う。
水不溶性の高分子化合物を上記の有機溶媒に懸濁させ、イソシアネート化合物を加え、10〜200℃、好ましくは30〜110℃で撹拌して反応させる。水不溶性の高分子化合物とイソシアネート化合物の割合は特に制限はないが、水不溶性の高分子化合物中の水酸基やアミノ基とイソシアネート化合物との割合が、−NCO/(OH基、一級および二級アミノ基の総量)>1となるようにすることが好ましい。反応は全て反応系に水が入らない条件で行う。指定時間撹拌し水酸基やアミノ基とイソシアネート基とが反応した後、得られた吸着材を有機溶媒で反応物を繰り返し洗浄し、未反応のイソシアネート化合物や副生成物を除去する。次いで、この吸着材を吸引濾過し水で繰り返し洗浄して、有機溶媒を除去する。この吸着材は通常注射用蒸留水中で無菌状態で保存することが好ましい。
【0043】
本発明の吸着材は、水不溶性の高分子化合物に、下記の一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体を付着させた吸着材、好ましくは被覆させた吸着材である。
【化20】
Figure 0004434517
(但し、式中、R2、R3およびR4は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示し、同一または異なる基であってもよく、R5は炭素数2〜4の二価のアルキレン基である。)
【0044】
前記の一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体は、細胞膜やそれに類似のリン脂質構造を有し、そのためタンパク質の付着や異物反応が小さく、生体適合性が非常に高いために好ましい。
【0045】
前記の一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体は、体液などの水溶液中に、一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体が流出や溶け出さないまたは溶けにくくするためには、水不溶性または、水難溶性が好ましい。
【0046】
前記の一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体が、下記の一般式[II]で表される(メタ)アクリル酸誘導体の単量体を含む単量体組成物を重合してなる重合体が好ましい。
【化21】
Figure 0004434517
(但し、式中、R2、R3およびR4は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示し、同一または異なる基であってもよく、R5は炭素数2〜4の2価のアルキレン基である。また、R6は水素原子またはメチル基であり、R7は−(GO)mG−で表される基(ここで、Gは炭素数2〜12の二価の炭化水素基で、mはそのオキシアルキレン基の平均付加モル数で、0〜10である。)である。)
【0047】
前記の一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体または前記の一般式[II]で表される(メタ)アクリル酸誘導体の単量体を含む単量体組成物を重合してなる重合体が、前記の一般式[II]で表される(メタ)アクリル酸誘導体の単量体0.1〜99重量%と溶解度パラメータが9.0(cal/cm31/2以上である単量体1〜99.9重量%とを含む原材料を重合して得た重合体であることが好ましい。
前記の一般式[II]で表される(メタ)アクリル酸誘導体の単量体0.1〜99重量%と溶解度パラメータが9.0(cal/cm31/2以上である単量体1〜99.9重量%とを含む原材料を重合して得た重合体を用いる理由としては、水不溶性の高分子化合物に対して高い親和性を有する部位を持つ溶解度パラメータが9.0(cal/cm31/2以上である単量体との共重合体を用いることにより、安定した被覆が出来るために好ましい。
さらに前記の一般式[II]で表される(メタ)アクリル酸誘導体の単量体からなる重合体が水可溶性の場合、前記の一般式[II]で表される(メタ)アクリル酸誘導体の単量体と、水不溶性の高分子化合物に対して高い親和性を有する部位を持つ溶解度パラメータが9.0(cal/cm31/2以上である単量体との共重合体を用いることにより、この共重合体が水不溶性または水難溶性を有し、水不溶性の高分子化合物と高い親和性を有しているため、安定した被覆が可能になり、体液などの水溶液中に流出することを防ぐために好ましい。
【0048】
溶解度パラメータが9.0(cal/cm31/2以上である単量体が、下記の一般式[III]で表されるアルキル化(メタ)アクリルモノマーであることが好ましい。
【化22】
Figure 0004434517
(但し、R8は水素原子またはメチル基であり、Yは−COO−、−CONH−、−COO−CH2CH2−O−CONH−、−COO−CH2CH2−NHCONH−、−NH−COO−または−NHCONH−であり、Zは炭素数1〜18の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の一価の環式炭化水素基、炭素数3〜18の一価の環式炭化水素上の水素の一部が炭素数1〜5の一価の低級アルキル基により置換されている一価のアルキル化芳香族基、炭素数6〜15の一価の芳香族炭化水素基、炭素数6〜15の一価の芳香族炭化水素上の水素の一部が炭素数1〜5の一価の低級アルキル基により置換されている一価のアルキル化芳香族基である。)
【0049】
下記の一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体は、水、水溶液、有機水溶液や有機溶媒などの溶液中に溶解させてまたは懸濁させて用いることが出来る。
【化23】
Figure 0004434517
【0050】
水不溶性の高分子化合物に、前記の一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体を付着または、被覆させる方法としては、前記の一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体を溶液状で吹きつける方法、塗布する方法、含浸する方法など一般的に付着または、被覆する方法を用いることが出来る。
また、前記の一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体を付着または、被覆させる方法としては、前記の一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体を、水、有機水溶液や有機溶媒などの溶液に溶解または懸濁させた溶液中に、水不溶性の高分子化合物を浸漬する方法を用いることが出来る。
【0051】
本発明の吸着材を用いて、体液中の成分を吸着除去するには公知の方法を用いることが出来る。
最も簡便な方法としては、例えば患者の血液を体外に導き出し、吸着材をカラムに充填したものを体外循環回路に組み込み、オンラインで液中の特定成分を吸着除去する方法などがある。体外循環回路には全血を循環させてもよいし、血漿のみを循環させる方法がある。
これらの方法によって、本発明の吸着材を用いれば、体液中に含まれるサイトカイン、ビリルビンより選ばれる1種または複数の成分を吸着除去することができ、また、体液中に含まれるエンドトキシン、薬物、アンモニアより選ばれる1種または複数の成分を吸着除去することが出来る。その中でも、特に、本発明の吸着材は、体液中に含まれるサイトカイン除去材として好適に用いることが出来る。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものでない。
【0053】
[吸着率の補正方法]
吸着操作を行うことにより、液中の各成分の濃度が変化する。測定された濃度を処理前の血漿での値と比較して、それぞれの溶質が吸着された吸着率を求める必要がある。しかし、吸着材はハイドロゲルのため、内部にいくらかの水分を含んでいる可能性があり、その水分による希釈で濃度の低下が起きる可能性がある。そのため、その水分による希釈効果を考慮し、Na+イオンの濃度変化から、ゲル中に含まれる水分による希釈による濃度変化を算出し、吸着率を補正する。吸着率は、式(1)および式(2)により算出する。
【0054】
【数1】
Figure 0004434517
【0055】
[吸着体の製造]
架橋セルロース(商品名:セルロファインGCL−2000;チッソ(株)製)を蒸留水で繰り返し洗浄し、吸引濾過して水を十分切った後、真空乾燥を行った。このようにして得た乾燥架橋セルロース13.0gを、脱水したジメチルスルホキシド(DMSO)325ml中に加えて常温で2時間攪拌した。水分の入らない系でDMSOを除去した後、新たに脱水DMSO325mlを加えて、常温で2時間攪拌した。系内のDMSO中の水分をカールフィッシャー法で分析し、500ppm以下になるまで同様の操作を繰り返した。この系にヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)7.6gを添加し、100℃で4時間攪拌して反応を行った。反応溶媒を除去後、新たなDMSO325mlを加え常温で2時間攪拌して洗浄を行った。同様の操作を5回繰り返した。最後の洗浄液中のイソシアナト基を滴定分析するとイソシアナト基は検出されなかった。反応物に脱水DMSO300mlを加え、さらにエタノール30mlを加えて加温、攪拌(60℃、2時間)を行った。反応物は多量の水で繰り返し洗浄を行い、溶出物のないことを確認した後、真空乾燥し水不溶性高分子化合物である吸着体Aを得た。この吸着体Aのチッソ含量を測定したところ、5.3%であった。
【0056】
[MPC−MEBUの製造]
メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPCモノマー)とメタクリロイルオキシエチル−ブチルウレタン(MEBUモノマー)とを下記に示す重合条件により重合反応させ、MPCモノマー30モル%とMEBU70モル%とからなる共重合体(以下、MPC−MEBUと略す。)を得た。
[重合条件]
MPCモノマー30部とMEBUモノマー70部との割合で混合し、これをエタノールに溶解して0.5mol/Lのエタノール溶液を調製した。
これにラジカル開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を、モノマー全体に対して1:200となるよう仕込み、脱気した後に60℃で12時間重合反応を行った。その後、重合溶液をエーテル中に滴下し、ポリマーの沈澱を得た。これを再度エタノールに溶かし、エーテル中に滴下、沈澱させ、精製を行った。重合体の収率は、78.1重量%であった。
リンの定量により共重合組成の割合を求めたところ、MPCモノマー27部に対してMEBUモノマー73部となっており、ほぼ仕込み通りの組成となっていることが確認できた。
【0057】
(実施例1)
[吸着材の製造]
MPC−MEBUをエタノールに溶解し、MPC−MEBUの5重量%溶液を調製した。
上記で製造した乾燥状態のイソシアネート反応した水不溶性の高分子化合物である吸着体A2.0gに、上記で調整したMPC−MEBUの5重量%エタノール溶液を5.0gを加え、流動状態下、乾燥空気を流通させることでエタノールを蒸発させた。その後、さらに40℃で真空乾燥を行い、吸着材を得た。
【0058】
[吸着材の吸着評価方法]
吸着材を蒸留水中に浸漬し、十分に膨潤させた。その後に余分な水分をガラスフィルタを用いて吸引除去し、膨潤ゲルを得た。
膨潤ゲルを2.0ml計り取り、試験管に移した。このゲルを入れた試験管に、凍結ヒト血漿を6.0ml加え、容積比率(v/v)=3とし、試験管を密封して撹拌を行い、吸着させた。凍結ヒト血漿を加えた後、37℃で120分間インキュベーションした後、上澄みを取りだし、吸着評価を行った。吸着評価は、試験数3で行った。
凍結ヒト血漿は、ヘパリンを用いずに採血し、AVDにて抗凝固処置を行い、二重膜ろ過により採取されたものを使用した。
吸着の評価は、総タンパク質(TP)、IgG、アルブミン(Alb)、ナトリウムイオン(Na+)、IL−6、IL−8、IL−10について、濃度測定を行い、その測定値から式(2)により吸着率を算出した。
【0059】
(実施例2〜4)
[吸着材の製造および評価方法]
MPC−MEBUをエタノールに溶解し、MPC−MEBUの10重量%溶液、15重量%溶液および20重量%溶液の3種類の溶液を調製した。
上記で製造した乾燥状態のイソシアネート反応した水不溶性の高分子化合物である吸着体A2.0gを3つ用意し、上記で調整した濃度の異なる3種類のMPC−MEBUを溶解させたエタノール溶液を各5.0gを加え、流動状態下、乾燥空気を流通させることでエタノールを蒸発させた。その後、さらに40℃で真空乾燥を行い、MPC−MEBUの付着量の異なる3種類の吸着材を得た。
3種類の吸着材について、実施例1と同様の方法で吸着評価を行い、その測定値から式(2)により吸着率を算出した。
【0060】
(比較例1)
実施例1の吸着材として吸着体Aを用いた以外は、実施例1と同様の方法で吸着評価を行い、その測定値から式(2)により吸着率を算出した。以下の結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
Figure 0004434517
【0062】
[評価]
表1から分かるように、本発明の吸着材によれば、サイトカインであるインターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)、インターロイキン−10(IL−10)を吸着し、総タンパク質(TP)、アルブミン(Alb)、イムノグロブリンG(IgG)を吸着しないという結果となった。
【0063】
表1の結果を詳細に検討していく。比較例1は、吸着材として水不溶性の高分子化合物である吸着体Aのみを用いたものであり、すなわち、吸着体Aに一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体であるMPC−MEBUを付着させていない吸着材の例である。実施例1〜4は、吸着体AにMPC−MEBUを付着させたものであるが、実施例の1から4へいくに従ってMPC−MEBUの重量%濃度を、5、10、15、20と増加させ、MPC−MEBUの付着量を増加させていった例である。
【0064】
まず、比較例1をみてみると、吸着体Aのみで、実施例1〜4と同様に、あるいはそれ以上にIL−6、IL−8、IL−10を吸着しているが、TP、Alb、IgGもかなりの率で吸着している。それに対して、MPC−MEBUを付着させている実施例1〜4においては、IL−6、IL−8、IL−10の吸着率は同程度に保持されつつ、TP、Alb、IgGの吸着率は比較例1に比べて大きく低減されている。このときのTP、Alb、IgGの吸着率は、MPC−MEBUを付着量が増加するにつれ低減されていることから、一般式[I]で表される基を側鎖に有する重合体であるMPC−MEBUの付着がその効果を発揮していることは明らかである。
【0065】
表1において、IL−8は34〜37%程度の吸着率で本発明の吸着材により吸着されるものとしているが、これは、IL−8は25.3pg/mlと他の成分に比べ血中濃度が小さく、本発明の吸着材による成分吸着後では、実施例1〜4および比較例1において検出限界以下となったことによる。上記している成分評価方法は、その検出限界が12.5pg/mlである。数字的には、IL−8のうち少なくとも34〜37%は吸着していることまでは明らかであり、実際上はそれ以上に吸着されていると考えてよいものである。よって、評価数値上は低い数値であるが、本発明の吸着材によって吸着されるものとした。
【0066】
AlbおよびIgGは、人体の機能に必要な有益タンパク質類であり、これらの物質は、特に問題がある場合を除いて、血中から除去しないほうが好ましいものである。よって、本発明の吸着材のように、細胞作用性物質であるサイトカインのみを選択的に吸着・除去することは非常に有益であり、本発明により効果的な治療剤を提供することが出来る。
【0067】
【発明の効果】
本発明の吸着材によれば、細胞作用性物質(サイトカイン)などの分子成分の吸着性を向上させた吸着材を提供することが出来る。
さらに、本発明の吸着材によれば、サイトカインの吸着速度に優れ、且つ生化学的なリガンドを使用しないで生体適合性を有する吸着材であって、分子量の大きいタンパク質の非特異的な吸着を抑制出来る選択的吸着性をもつ吸着材を提供することができる。

Claims (3)

  1. アガロース、セルロース、デキストラン、および架橋ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、または、ポリ(メタ)アクリルアミド、或いは、アガロース、セルロース、デキストラン、および架橋ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、または、ポリ(メタ)アクリルアミドにアミノ酸基、硫酸基、陰イオン交換基、陽イオン交換基から選ばれた少なくとも一種の置換基を導入した水不溶性の高分子化合物から選ばれた1種、或いは、これらの高分子化合物の2種以上の混合物に、さらにイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を結合させてなる水不溶性の高分子化合物と、下記一般式[I]
    Figure 0004434517
    (但し、式中、R2、R3およびR4は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示し、同一または異なる基であってもよく、R5は炭素数2〜4の二価のアルキレン基である。)
    で表される基を側鎖に有する重合体であって、前記重合体が、下記一般式[II]
    Figure 0004434517
    (但し、式中、R2、R3およびR4は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示し、同一または異なる基であってもよく、R5は炭素数2〜4の2価のアルキレン基である。また、R6は水素原子またはメチル基であり、R7は−(GO)mG−で表される基(ここで、Gは炭素数2〜12の二価の炭化水素基で、mはそのオキシアルキレン基の平均付加モル数で、0〜10である。)である。)で表される(メタ)アクリル酸誘導体の単量体を含む単量体組成物を重合して得られる重合体であって、当該重合体を構成する単量体のうち、前記の一般式[II]で表される(メタ)アクリル酸誘導体の単量体0.1〜99重量%と、下記一般式[III]
    Figure 0004434517
    (但し、R8は水素原子またはメチル基であり、Yは−COO−、−CONH−、−COO−CH2CH2−O−CONH−、−COO−CH2CH2−NHCONH−、−NH−COO−または−NHCONH−であり、Zは炭素数1〜18の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の一価の環式炭化水素基、炭素数3〜18の一価の環式炭化水素上の水素の一部が炭素数1〜5の一価の低級アルキル基により置換されている一価のアルキル化芳香族基、炭素数6〜15の一価の芳香族炭化水素基、炭素数6〜15の一価の芳香族炭化水素上の水素の一部が炭素数1〜5の一価の低級アルキル基により置換されている一価のアルキル化芳香族基である。)で表される単量体であって、その溶解度パラメータが9.0(cal/cm31/2以上である単量体99〜0.1重量%とを
    含む原材料を重合して得たものとからなるサイトカイン除去用吸着材。
  2. イソシアネート基を有するイソシアネート化合物が、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物である請求項1に記載の吸着材。
  3. イソシアネート基を有するイソシアネート化合物が、下記一般式[IV]で表されるイソシアネート基を有するイソシアネート化合物である請求項1または2に記載の吸着材。
    Figure 0004434517
    (但し、R9は炭素数1〜12の二価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の二価の環式炭化水素基、炭素数3〜18の二価の環式炭化水素上の水素の一部が炭素数1〜5の一価の低級アルキル基により置換されている二価のアルキル化芳香族基、炭素数6〜15の二価の芳香族炭化水素基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素上の水素の一部が炭素数1〜5の一価の低級アルキル基により置換されている二価のアルキル化芳香族基である。)
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