JP4775001B2 - アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビンを除去する材料 - Google Patents

アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビンを除去する材料 Download PDF

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本発明は、体液中に過剰に存在するアルブミン非結合かつグルクロン酸非包合ビリルビンを除去し、かつ凝固活性を抑え、ヘパリンおよびアルブミンの吸着を抑えた除去材料に関するものである。
生体内では赤血球は肝臓および脾臓の網内系で代謝され、赤血球内のヘモグロビンはビリルビンへと変化する。一般に、生成されたビリルビンは非水溶性(脂溶性)であるため、血液中ではアルブミンと結合して肝臓に取り込まれ、肝臓ではグルクロニルトランスフェラーゼによって、グルクロン酸抱合をされてはじめて水溶性になり胆汁中に排出される。しかし、新生児や低出生体重児などの臓器機能が未発達状態では代謝は遅く、また、母体と胎児の血液型(特にRh型)が異なる場合には、血液型不適合により母体の抗体により胎児赤血球が攻撃されて溶血反応が生じ、大量のヘモグロビンが存在すると、その結果として、その代謝産物であるビリルビン濃度が急速に上昇するため、代謝および排泄が追いつかず、血液中にビリルビンが蓄積する高ビリルビン血症となる。ビリルビンの中でもアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビンは、脂溶性であるため血液脳関門を通過し、脳に移行することにより大脳基底核を中心にビリルビン色素が沈着し、脳神経細胞が障害を受け、痙攣、後弓反張、脳性麻痺などの中枢神経障害を呈する。特に新生児では、新生児黄疸において脳症を引き起こす原因物質が、アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビンであることが明らかとなった。よって、アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビンを除去する材料が脳神経障害の治療に有効な材料であると考えられる。
しかし、現在市販されているビリルビン除去材料の中には、アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビンを選択的に除去できる材料は報告されておらず、総ビリルビンあるいはグルクロン酸非抱合ビリルビン(間接ビリルビン)やグルクロン酸抱合ビリルビン(直接ビリルビン)を除去する材料のみが既知となっている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3)。また、市販されている除去材料はアニオン性イオン交換樹脂を血液適合性高分子物質でコーティングしたものであり、この樹脂は4級のアンモニウムイオンを有しているために血液中の凝固因子の除去あるいは体外循環に用いられる抗凝固剤のヘパリンを除去してしまう欠点を有するため、生体適合性の観点からも好ましくない。ヘパリンは陰性電荷なので4級アンモニウムに吸着されることは当然考えられることであり、抗凝固剤の吸着を抑制したビリルビン除去材料の開発が望まれている。そこで、ヘパリン吸着を70%以下に抑えたビリルビン吸着体(特許文献4)が提案されているが、実際にはヘパリン吸着率は36%程度にとどまっており、その性能では不十分である。さらに、血液浄化材料を提供する上で血液凝固系因子の吸着を抑えることも課題である。また、体液中に存在するアルブミンは生体に重要なタンパクでありこれが吸着除去されすぎると、低アルブミン血症を発症し生体に悪影響を及ぼすことが考えられる。よって、血液凝固因子やアルブミンの吸着を抑えた除去材料の開発が望まれる。これまで、アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビンを除去でき、さらには、アルブミンの吸着を抑え、凝固活性の指標であるプロトロンビン時間(以下PTと略す)、部分活性化トロンボプラスチン時間(以下APTTと略す)、の変化量が少ない血液浄化材料の報告はない。
また、活性炭による血液浄化法も知られているが、活性炭は選択性が低く、有効な医薬品や体内成分等の吸着も起きることなどによる不利益も生じると考えられている。さらに、新生児においては交換輸血が行われているが、他人の血液を輸血することにより、発熱や発疹あるいはウイルス感染が起きる可能性があり、選択性のある吸着材料によりビリルビンのみを特異的に血液中から除去することが可能になることが望まれている。
また、アルブミン結合ビリルビンの除去装置として、血液中にあらかじめ安息香酸などのアルブミンからビリルビンを遊離させる解離剤を用いて、アルブミンから遊離したビリルビンを効率的に除去する装置が報告されているが(特許文献3)、血液を体内に戻す際にさらに解離剤を吸着させる必要があり、解離剤の毒性を考慮する必要があると共に新生児などの血液容量の少ない患者では血液容量が多くなることの欠点を有す。
特開昭63−275351号公報 特開平02−286173号公報 特許第03259860号公報 特開平05−329364号公報
脳神経障害の起因物質であるアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビンを除去でき、かつ血液凝固活性を抑え、抗凝固剤であるヘパリンや生体の有用物質であるアルブミンの吸着を抑えた除去材料を提供する。
本発明では該水素結合形成可能な官能基を含むことを特徴とするアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合ビリルビンを除去する除去材料であり、血液凝固因子や抗凝固剤、生体の有用物質であるアルブミンの吸着を抑えた材料である。また上述した材料を用いた体液浄化カラムである。
本発明により、体液中に過剰に存在するアルブミン非結合かつグルクロン酸非包合ビリルビン除去でき、さらに血液凝固活性を抑え、抗凝固剤であるヘパリンおよび生体の有用物質であるアルブミンの吸着を抑えた材料を提供する。これにより高ビリルビン血症からもたらされる脳神経障害を早期に治療または予防することが可能になる。
本発明は、少なくとも一種の水素結合形成可能な官能基を有するアルブミン非結合かつグルクロン酸非包合ビリルビン除去用の材料を実現できた。本発明の材料は、好ましくは凝固活性の指標であるPT、APTTの変化量が体液接触前後で20%以下であり、かつヘパリンに対する吸着率が30%以下であり、かつアルブミンに対する吸着率が20%以下である。体液とは、血液、血漿、血清、脳脊髄液、羊水、腹水、胸水などを示す。
本発明の基本的な態様としては、基材(基材表面)に一種以上の水素結合形成可能な官能基を結合(固定化)したものである。
なお、本発明において、アルブミン非結合性かつグルクロン酸非抱合ビリルビンとは、血液中でアルブミンと結合しておらず、肝臓でのグルクロン酸抱合をされずに、遊離している脂溶性のビリルビンである。また、アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合ビリルビンを除去するとは、アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合ビリルビンを吸着して体液中から除去することの他に、分解したり、他物質を結合させたりする等によりその活性を失わせる(不活化)ことをも含むものである。また、本発明におけるアルブミン非結合性かつグルクロン酸非抱合ビリルビンの測定においては、グルクロン酸非抱合ビリルビンを用い、in vitroの系で評価することで肝臓のグルクロン酸抱合を受けないグルクロン酸非抱合のビリルビンを評価した。さらにアルブミン結合かつグルクロン酸非抱合ビリルビンと、アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合ビリルビンとの分離には、分子量5万の限外濾過膜を用いた。つまり、ヒト血清アルブミンの分子量は66300〜69000と言われており、かかる限外濾過膜により、アルブミン結合かつグルクロン酸非抱合ビリルビンとアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合ビリルビンを分離することを可能とした。このようにしてアルブミン結合かつグルクロン酸非抱合ビリルビンと分離したアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合ビリルビンの定量は、ジアゾ化反応により、富士ドライケム(富士写真フィルム(株)製)を使用して行った。
これまで、従来のビリルビン吸着材はヘパリンや凝固因子を吸着してしまう欠点を有していた。この現象を詳細に検討した結果、従来のビリルビン吸着剤はカチオン性であるために、その電気的特性により陽性の電荷を有するヘパリンや凝固因子を吸着してしまうことが判明した。そこで、鋭意検討した結果、ヘパリンの吸着能が低く、凝固活性が低く、有毒なアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合ビリルビンを選択的に吸着する材料として、非イオン結合で水素結合形成可能な官能基を有する材料を見いだした。また、生体の有用物質であるアルブミン等のタンパクの吸着能を抑制させるためには疎水性を低下させることが有効であると考えられ、そのためにはアミノ基や尿素結合などの親水性基が有効であると考え発明に至った。なお、含窒素複素環化合物がビリルビンを吸着するとの報告があるが、この化合物のビリルビンとの相互作用はπ電子間の相互作用による結合と考えられているが、結合力は十分ではなく、親水性も低い。そのために、ビリルビンの結合とアルブミンの排除の機能分離が十分ではないという欠点があった。そこで検討した結果、水素結合が強い官能基が、アルブミン非結合かつグルクロン酸非包合ビリルビンの結合が高く、さらに凝固活性が低く、ヘパリンおよびアルブミンの吸着が抑えられることが明らかとなった。
本発明の材料においては、凝固系への影響の指標として、外因性凝固因子の指標となるPTと内因性凝固因子の指標となるAPTTの体液接触前後の変化量が20%以下であることが好ましい。血液浄化材料を提供する上で血液凝固系因子の吸着を抑えることは必須条件であり、上記の変化量が低いことが望まれる。それぞれ、PTの基準値は10〜13秒、APTTの基準値は30〜45秒であり、20%以上の延長は好ましくないと考えられている。本発明では、種々の検討を重ねた結果、PTおよびAPTTの変化量を20%以下にすることが可能となった。かかる変化量は次式によって算出する。
変化量(%)=((体液接触前のPTまたはAPTT値(秒)−体液接触後のPTまたはAPPT値(秒))/体液接触前のPTまたはAPTT値(秒))×100
本発明における水素結合形成可能な官能基とは水素結合が形成可能な官能基であれば特に限定はなく、例えば、尿素結合、チオ尿素結合、アミド基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、メルカプト基などが挙げられるが、含窒素官能基が好ましく、尿素結合、チオ尿素結合あるいはアミド結合、アミノ基、ピリジル基、ピリミジル基、イミダゾール基のうちの少なくとも一種であることが好ましい。なお、前記の水素結合形成可能な官能基には、それに続いた構造を有していても良い。水素結合形成可能な官能基に続く構造としては特に限定はなく、プロパン、ヘキサン、オクタン、ドデカンなどの脂肪族化合物やシクロヘキサン、シクロペンタンのような脂環族化合物を用いることができるが、親和性の高さを考慮するとベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族化合物がより好ましく用いられる。ブロモヘプタン、クロロシクロヘキサン、メチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジフェニルメタン、クロロナフタレン等の誘導体も好適に用いられる。
また、本発明においては、水素結合形成可能な官能基を二種以上有することがより好ましく、そのうち少なくとも一種が上述の含窒素官能基であることが好ましい。特に、含窒素官能基のうち少なくとも一種が尿素結合、チオ尿素結合あるいはアミド結合を複数有する官能基から選ばれることが好ましい。この場合、基材に異なる水素結合形成可能な官能基をそれぞれ結合させてもよいし、ある水素結合形成可能な官能基に、それに続く構造として別の種類の水素結合形成可能な官能基を結合させた態様でもよい。特に尿素結合、チオ尿素結合あるいはアミド結合に続く構造として例えば、アミノ基、水酸基、カルボキシル基等の水素結合形成可能な官能基をさらに有する構造が好ましく用いられる。例えばアミノ基を有する構造としては、アミノヘキサン、モノメチルアミノヘキサン、ジメチルアミノヘキサン、アミノオクタン、アミノドデカン、アミノジフェニルメタン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−アミノ−1−プロペン、アミノピリジン、アミノベンゼンスルホン酸、トリス(2−アミノエチル)アミン等や、より好ましくは、ジアミノエタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、ポリエチレンイミン、N−メチル−2,2’−ジアミノジエチルアミン、N−アセチルエチレンジアミン、1,2−ビス(2−アミノエトキシエタン)等のようなアミノ基を複数有する化合物(ポリアミン)が用いられる。また、水酸基を有する構造としては、ヒドロキシプロパン、2−エタノールアミン、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、ヒドロキシブタノン、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシピリジン等や、グルコース、グルコサミン、ガラクトサミン、マルトース、セルビオース、スクロース、アガロース、セルロース、キチン、キトサン等の単糖、オリゴ糖、多糖等の糖質あるいはそれらの誘導体を用いることができる。さらに、カルボキシル基を有する構造としては例えば、β−アラニン、n−カプロン酸、イソ酪酸、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸等を用いることができる。本発明の最も好ましい態様は、尿素、チオ尿素あるいはアミド基に続く構造として芳香族化合物と水素結合形成可能な化合物の両方を有するものである。
さらに、尿素結合、チオ尿素結合、アミド結合を分子構造内に複数個有するような、ポリ尿素、ポリチオ尿素、ポリアミドも本発明材料の基材あるいは担体として用いることができる。これらの場合にも、尿素結合、チオ尿素結合、アミド結合に続く構造として上記構造のいずれをも用いることができるが、最も好ましくは、水酸基、アミノ基、カルボキシル基を有する化合物(糖質あるいはその誘導体を含む)、あるいは芳香族化合物が用いられる。
また、本発明における基材あるいは担体としては、モノマ、オリゴマ、ポリマのいずれでも良く、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレンなどの合成高分子や、セルロース、コラーゲン、キチン、キトサンおよびそれらの誘導体を含む天然高分子などが好適に用いられる。つまり、単独重合、共重合あるいはブレンドされたこれら合成高分子や天然高分子などに、水素結合形成可能な官能基を導入することが好適に行われる。さらに、金属、セラミック、ガラスなどの無機材料を基材として適当な高分子で被覆したり、表面を直接修飾したものも好適に用いられる。特にポリスチレン、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート等は、表面修飾が容易に行えるため、好ましく用いられる。
本発明の材料は一般に公知の方法で合成することができる。例えば脂肪族化合物や芳香族化合物に尿素結合あるいはチオ尿素結合を導入する場合には、イソシアネート誘導体あるいはイソチオシアネート誘導体とアミノ化合物とを反応させる方法を用いることができる。また、脂肪族化合物や芳香族化合物にアミド基を導入する場合には、例えば酸、酸塩化物あるいは酸無水物とアミノ化合物とを反応させる方法を用いることができる。アミノ化合物とイソシアネート、イソチオシアネート、酸、酸塩化物あるいは酸無水物の混合比は任意に選択でき、通常、イソシアネート、イソチオシアネート、酸、酸塩化物あるいは酸無水物1モルに対して0.1〜5モルのアミノ化合物が好ましく用いられる。イソシアネートあるいはイソチオシアネートとしては例えば、エチルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート、iso−ブチルイソシアネート、n−プロピルイソシアネート、メチルイソチオシアネート、エチルイソチオシアネート、n−ブチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂肪族イソシアネートあるいはイソチオシアネートのいずれをも用いることができるが、より好ましくはフェニルイソシアネート、クロロフェニルイソシアネート、フルオロフェニルイソシアネート、ブロモフェニルイソシアネート、ニトロフェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、メトキシフェニルイソシアネート、1−ナフチルイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、フェニルイソチオシアネート、クロロフェニルイソチオシアネート、フルオロフェニルイソチオシアネート、ニトロフェニルイソチオシアネート、トリルイソチオシアネート、メトキシフェニルイソチオシアネート、1−ナフチルイソチオシアネート等の芳香族イソシアネートあるいはイソチオシアネートが用いられる。酸塩化物としては例えば、塩化イソバレリル、塩化ステアロイル、シクロヘキサンクロライド、6−クロロニコチニルクロライド等の脂肪族酸塩化物のいずれをも用いることができるが、より好ましくは塩化ベンゾイル、塩化3,4−ジクロロベンゾイル、ニトロベンゾイル、塩化−4−クロロベンゾイル、塩化−4−トリオイル、ベンゾ−[b]チオフェン−2−カルボニルクロライド等の芳香族酸塩化物を用いることができる。また、酸無水物としては例えば、無水酢酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水安息香酸等を好ましく用いることができる。また、上述に挙げた材料に限ることなくポリ尿素あるいはポリチオ尿素の場合でも、例えばポリイソシアネート誘導体あるいはポリイソチオシアネート誘導体とポリアミノ化合物とを反応させる方法を用いることができる。
本発明に用いるアミノ化合物のアミノ基としては1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基のいずれでも良く、アミノ化合物としては例えば、アンモニア、sec−オクチルアミン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−アミノ−1−プロペン、アミノピリジン、アミノベンゼンスルホン酸、トリス(2−アミノエチル)アミン等を好ましく用いることができる。また、尿素結合、チオ尿素結合あるいはアミド結合に加えて水素結合形成可能な基を導入できるような、ポリアミノ化合物や水酸基あるいはカルボキシル基を有するアミノ化合物も好ましく用いることができる。ポリアミノ化合物としては例えば、ジアミノエタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、N−メチル−2,2’−ジアミノジエチルアミン、ポリエチレンイミン、N−アセチルエチレンジアミン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン等のいずれをも用いることができる。水酸基を有するアミノ化合物としては、2−エタノールアミン、3−プロパノールアミン、6−ヘキサノールアミン、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、グルカミン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパノール等の脂肪族アミン、あるいは、4−アミノフェノール、ジアミノフェノール、アミノヒドロキシピリミジン、ジアミノヒドロキシピリミジン、ジアミノヒドロキシピラゾール等の芳香族アミン、あるいはセリン、チロシン等のアミノ酸類が用いられる。また、エピクロロヒドリンおよびアミノ化合物、あるいは1,3−ジブロモ−2−ヒドロキシプロパンを反応させることによって水酸基のみを有する化合物あるいはアミノ基のみを有する化合物から水酸基を有するアミノ化合物を合成することも可能である。
また、糖質を基材として、糖質に水素結合形成可能な基を導入する場合も上記と同様な方法を用いることができる。すなわち、キトサンやグルコサミンのようなアミノ基を有する糖質の場合には、上述したようなイソシアネート、イソチオシアネート、酸、酸塩化物あるいは酸無水物を反応させることができる。セルロースのようなアミノ基を有さない糖質の場合には、糖質の水酸基をエピクロルヒドリン、トレシルクロライドなどを用いて活性化させた後に、アンモニアやジアミノエタンなどと反応させてアミノ基を導入し、このアミノ基を利用して、糖質に尿素結合、チオ尿素結合、アミド結合等の水素結合形成可能な基を導入することができる。カルボキシル基を有するアミノ化合物としては例えば、β−アラニン、4−アミノ−n−酪酸、γ−アミノ−β−ヒドロキシ−n−酪酸、6−アミノ−n−カプロン酸等を用いることができる。
さらに、本発明の材料がポリアミドの場合には、例えばポリカルボン酸とポリアミンを重縮合させる方法を用いることができる。また、ポリ尿素、ポリチオ尿素、ポリアミドのいずれにおいても、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、ポリカルボン酸などを用いずに、各々の官能基を一つずつ順次導入することによって最終的にポリ尿素、ポリチオ尿素、ポリアミドを得る方法も好ましく行われる。
本発明において基材がオリゴマあるいはポリマの場合には、例えば、イソシアネート基、カルボキシル基あるいはスクシンイミド基等のカルボン酸の活性エステル基を有するオリゴマあるいはポリマに、水素結合形成可能な基を有する化合物のアミノ基を反応させる方法が好ましく用いられる。また、アミノ基を有するオリゴマ、ポリマ、あるいはアンモニア、ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、トリス(2−アミノエチル)アミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールなどによりアミノ基を導入したオリゴマ、ポリマに上述したようなイソシアネート誘導体、イソチオシアネート誘導体、酸、酸塩化物あるいは酸無水物を反応させることも好ましい方法である。また、酸塩化物やイソシアネート誘導体がアミノ基以外の水素結合形成可能な基に反応しないように、反応時間や反応温度を制御したり、保護基を用いることが好ましい。アミノ基、イソシアネート基、カルボキシル基あるいはスクシンイミド基等のカルボン酸の活性エステル基、酸塩化物基、酸無水物基などの官能基は、必要に応じてオリゴマ、ポリマに導入することができる。
本発明の材料は、好ましくは血液凝固活性の指標となるPT、APTTの変化量が体液接触前後で20%以下であり、かつヘパリンに対する吸着率が30%以下であり、かつアルブミンに対する吸着率が20%以下である、アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビンを除去する材料である。これらの、PT、APTTの変化量やヘパリン、アルブミンに対する吸着率は、例えば、水素結合形成可能な官能基の種類や導入数、それに続く構造の種類等によってコントロールすることができる。ヘパリン、アルブミンに対する吸着率は以下のようにして求める。即ち、ヘパリンまたはアルブミンを含む体液を材料と接触させ、接触前後の濃度を測定することにより求める。ヘパリンの濃度の測定は、ベーリングコアグレーションシステム(デイドベーリング(株)製)を使用して、測定原理としてはファクターXa残存量から求める発色性合成基質法を用いて行う。アルブミン濃度の測定は、富士ドライケム(富士写真フィルム(株)製)を使用し、測定原理としてはブロムクレゾールグリーン法を用いて行う。また、ヘパリン、アルブミンに対するそれぞれの吸着率を以下の式にて算出する。
吸着率(%)=((体液接触前の濃度−体液接触後の濃度)/体液接触前の濃度)×100
該水素結合形成可能な官能基としては、少なすぎるとアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビンの吸着性能が得られにくくなり、PT、APTTの変化量、ヘパリン、アルブミンに対する吸着率については基材あるいは担体の影響を受けるため、性能を満足することができない可能性がでてくる。また、多すぎると当該水素形成可能な官能基によりPT、APTTの変化が起こり、かつ、ヘパリン、アルブミンが吸着されてしまう。例えば、アミン化合物としてポリエチレンイミンを用い、さらにイソシアネートを反応させてアミノ基と尿素結合の両方を有する官能基を用いる場合、該ポリエチレンイミンの窒素数としては2から10が好ましい。
また、本発明において、該水素結合形成可能な官能基の量としては、少なすぎるとアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビンの吸着性能が得られにくく、かつ、PT、APTTの変化量、ヘパリン、アルブミンに対する吸着率については基材あるいは担体の影響を受けるため、性能を満足することができない可能性がでてくる。また、多すぎると該水素形成可能な官能基によりPT、APTTの変化が起こり、かつ、ヘパリン、アルブミンが吸着されてしまう。例えば、反応性官能基としてクロルアセトアミドメチルを有するポリスチレンにテトラエチレンペンタミンおよびクロロフェニルイソシアネートを反応させて水素結合形成可能な官能基を固定化する場合、仕込量としてはポリスチレン繰り返し単位あたりテトラエチレンペンタミン0.005〜100.0モル、クロロフェニルイソシアネート0.005〜100.0モルが好ましく、テトラエチレンペンタミン0.01〜20.0モル、クロロフェニルイソシアネート0.01〜20.0モルがより好ましい。
本発明の材料を作製するにあたって、上記すべての反応条件は限定されるものではないが、標準的には、反応温度は例えば0〜150℃、反応時間は例えば0.1〜24時間で行われる。また、反応溶媒は必ずしも必要ではないが、一般的には溶媒の存在下に行われる。使用しうる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、ヘキサン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。反応終了後の反応液は、必要に応じ、ろ過、濃縮などの通常の後処理の後、カラムクロマトグラフィー、再結晶などの操作により、精製することができる。また、水不溶性の材料の場合、ガラスフィルター等を用いて洗浄することも好ましい方法である。
また、本発明の材料は単独での使用のみならず、適当な他の基材にさらに固定化したり、他の材料と混合して一つのカラムあるいは被覆材料として用いることもできる。固定化あるいは混合などの操作は、基材あるいは担体を後述する形状に加工する前に行っても良いし、加工した後に行っても良い。
本発明における基材あるいは担体の形状としては特に限定はないが、体液浄化カラムとして用いる場合には、ビーズ状、繊維(複合繊維、中空繊維、糸束、ヤーン等)、スポンジ状、ネット状、編地、織物等として用いられるが、表面積が大きく、流路抵抗が小さいことを考慮すると、繊維(特に中空繊維や複合繊維)、編地、織物が好ましく用いられる。基材あるいは担体がポリマであれば、その多くは繊維形成能を有するため容易に繊維状とすることができるが、カラム充填材として使用するには強度不足の場合には、他のポリマとの複合繊維とすることや、他の繊維と混繊、混編、混織する等により改良が可能である。例えば、ポリスチレン/ポリプロピレン海島繊維は、ポリスチレンの修飾のしやすさと、ポリプロピレンによる強度補強による扱い易さを持つためより好ましい態様である。被覆材料の場合は、編織物あるいはフィルム等の形状が好ましい。
本発明の材料を充填したカラムは体外循環用カラムとして用いることができる。体外循環用カラムとしては、公知の体外循環用カラムと同様のモジュールを使用することができるが、特に新生児などの低体重児の体液浄化を実施する場合には、カラムのプライミング容積が50mL以下であることが望ましい。このようなことが実現できたのは本発明の除去材料がアルブミン非結合かつグルクロン酸非包合ビリルビンの吸着性能に優れているためである。本発明の除去材料を用いることにより、初めてプライミング容積が50mL以下で実用的な、アルブミン非結合かつグルクロン酸非包合ビリルビン除去のための体外循環用カラムが得られたのである。
なお、体外循環の方法は、体外に導出した血液を直接カラムに通しても良いし、血漿分離膜などと組み合わせて使用しても良い。
以下に実施例を用いて詳細に説明を加えるが、発明の内容は実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
in vitroアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビン除去試験(1)を行った。
65重量比の海成分(ポリスチレン)と35重量比の島成分(ポリプロピレン)とからなる海島型複合繊維(強度:1.0g/d、伸度:47.7%、太さ:132デニール、島の数:16)30gを、60gのN−メチロール−α−クロロアセトアミド、400gのニトロベンゼン、400gの98質量%硫酸、0.86gのパラホルムアルデヒドの混合溶液と20℃で1時間反応させた。その後、繊維をニトロベンゼンで洗浄し、その後メタノールにより反応を停止させた後、さらにメタノールで洗浄することによりα−クロロアセトアミドメチル化架橋ポリスチレン繊維(以下AMPSt繊維と略す)を得た。
次に、AMPSt繊維を、テトラエチレンペンタミン5.0gを溶解したジメチルスルホキシド(以下DMSOと略す)500mlに添加し、反応を30℃で3時間行った。さらにその繊維を1.9gの4−クロロフェニルイソシアネートを溶解したDMSO1000mlの溶液に添加し、反応を30℃で1時間行った。その後、ガラスフィルター上でDMSO1000mlを用いて洗浄し、さらに蒸留水1000mlを用いて洗浄し、尿素結合を導入したAMPSt繊維(UAMP繊維と略す)を得た。
作製したUAMP繊維を用いて、アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビン除去試験を行った。ビリルビンはグルクロン酸非抱合のビリルビンを用いた。ビリルビン溶液調製方法は、ビリルビンが水に不溶性のため、まず100mM水酸化ナトリウムに溶解させ、さらに、ヒト体液中ではアルブミンが存在しているため、4%ヒト血清アルブミン溶液で溶解した。被吸着溶液のビリルビンの濃度は300mg/mLとした。次にUAMP繊維30mgをこの被吸着溶液1mL中に添加し、37℃で2時間旋回攪拌しつつ吸着反応を行った。次に吸着前後のビリルビン溶液を分子量5万の限外濾過膜で分離し、アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビン溶液とアルブミン結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビン溶液とに分けて吸着率を算出した。また、吸着率は次式の通り算出した。
吸着率(%)=((体液接触前の濃度−体液接触後の濃度)/体液接触前の濃度)×100
ビリルビン濃度の測定はジアゾ化反応により、富士ドライケム(富士写真フィルム(株)製)を使用して行った。また、それぞれの溶液のアルブミン含有量は、ブロムクレゾールグリーン法により富士ドライケム(富士写真フィルム(株)製)を使用して行った。その結果を表1に示す。
以上の結果より、尿素結合を有するUAMP繊維はアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合ビリルビンを、選択的に高率に吸着除去することが示された。
Figure 0004775001
<実施例2>
in vitroアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビン除去試験(2)を行った。
65重量比の海成分(ポリスチレン)と35重量比の島成分(ポリプロピレン)とからなる海島型複合繊維(強度:1.0g/d、伸度:47.7%、太さ:132デニール、島の数:16)30gを、60gのN−メチロール−α−クロロアセトアミド、400gのニトロベンゼン、400gの98質量%硫酸、0.86gのパラホルムアルデヒドの混合溶液と20℃で1時間反応させた。その後、繊維をニトロベンゼンで洗浄し、その後メタノールにより反応を停止させた後、さらにメタノールで洗浄することによりα−クロロアセトアミドメチル化架橋ポリスチレン繊維(以下AMPSt繊維と略す)を得た。
次に、AMPSt繊維を、2−アミノ−ピリミジン9.6gを溶解したジメチルスルホキシド(以下DMSOと略す)500mlに添加し、反応を30℃で3時間行った。その後、ガラスフィルター上でDMSO1000mlを用いて洗浄し、さらに蒸留水1000mlを用いて洗浄し、アミノピリミジンを導入したAMPSt繊維(APAMP繊維と略す)を得た。作製したAPAMP繊維を用いて、アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビン除去試験を行った。試験の方法は実施例1の方法と同様とした。その結果を表2に示す。以上の結果より、アミノピリミジン基を有するAPAMP繊維はアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合ビリルビンを、選択的に高率に吸着除去することが示された。
Figure 0004775001
<実施例3>
in vitro PT、APTTの変化量測定試験ならびにヘパリン、アルブミンの吸着試験を行った。実施例1および2で作製したUAMP繊維ならびにAPAMP繊維を用いて、血液凝固活性の指標となるPTおよびAPTTの変化量測定試験、ヘパリン(抗凝固剤)およびアルブミンの吸着試験を行った。PT、APTT変化量測定試験およびアルブミン吸着試験はUAMP繊維30mgを3.8質量%クエン酸ナトリウムで処理した正常ヒト血漿1mLに、ヘパリン吸着試験は正常ヒト全血1mL中にUAMP繊維ならびにAPAMP繊維30mgをそれぞれ添加し、37℃で1時間旋回攪拌しつつ吸着実験を行った。PTおよびAPTTについては吸着前後の時間より変化率を、ヘパリンおよびアルブミンについては吸着前後の濃度より吸着率を求めた。変化率および吸着率は次式の通り算出した。
変化率または吸着率(%)=((体液接触前の濃度−体液接触後の濃度)/体液接触前の濃度)×100
測定については、PTはQuick一段法(散乱光度法)、APTTはLangdell法(散乱光度法)、ヘパリンはベーリングコアグレーションシステム(デイドベーリング(株)製)を使用して、測定原理としてはファクターXa残存量から求める発色性合成基質法で、アルブミンは富士ドライケム(富士写真フィルム(株)製)を使用し、ブロムクレゾールグリーン法で行った。その結果を表3(UAMP繊維)および表4(APAMP繊維)に示す。以上の結果より、UAMP繊維ならびにAPAMP繊維による吸着材料はPTおよびAPTTの延長率が接触前後で20%以下であり、かつヘパリンに対する吸着率が30%以下であり、かつアルブミンに対する吸着率が20%以下であることが示された。
Figure 0004775001
Figure 0004775001
<実施例4>
in vitroアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビン灌流除去試験を行った。
実施例1に示すUAMP繊維をプライミングボリウム10mLの血液浄化カラムに充填し、RO水(逆浸透膜濾過水)で洗浄後、生理食塩液を充填し、カラム内の繊維のγ線滅菌を実施した。次に、そのカラムにプライミングボリウム10mLの回路を接続し、ペリスターリックポンプを用いて生理食塩液500mLを流し、洗浄した。その後、アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビン溶液を用いて灌流除去試験を行った。ビリルビンはグルクロン酸非抱合のビリルビンを用い、アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビン溶液の調製方法は実施例1に示す通りとした。灌流時の温度、時間についての条件は37℃、5時間とし、サンプリング時間は灌流開始前、灌流開始1時間後、2時間後、3時間後、4時間後および5時間後とした。サンプリングした溶液を分子量5万の限外濾過膜で分離することでアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビン溶液とアルブミン結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビン溶液とに分け、吸着率を算出した。
ビリルビン濃度の測定については、富士ドライケム(富士写真フィルム(株)製)を使用して総ビリルビン濃度を測定した。その結果を表6および7に示す。
以上の結果より、尿素結合を有するUAMP繊維を血液浄化用カラムに充填し灌流することで、アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合ビリルビンを高率に吸着除去可能であることが示された。
Figure 0004775001
Figure 0004775001
<比較例1>
in vitroアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビン除去試験(3)を行った。
65重量比の海成分(ポリスチレン)と35重量比の島成分(ポリプロピレン)とからなる海島型複合繊維(強度:1.0g/d、伸度:47.7%、太さ:132デニール、島の数:16)でアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビン除去試験を行った。ビリルビンはグルクロン酸非抱合のビリルビンを用いた。なお、ヒト体液中ではアルブミンが存在しているため、4%ヒト血清アルブミン溶液でビリルビンを溶解した。試験の方法は、実施例1の方法と同様とした。その結果を表5に示す。
以上の結果より、ポリスチレン及びポリプロピレンの海島型複合繊維にアミドメチル化、TEPA化を経て尿素結合を導入したUAMP繊維はアルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合ビリルビンを高率に吸着除去することが示された。
Figure 0004775001

Claims (6)

  1. 尿素結合、チオ尿素結合及びアミド結合からなる群から選ばれる含窒素官能基と、アミノ基、ピリジル基、ピリミジル基及びイミダゾール基からなる群から選ばれる含窒素官能基と、を有する基材あるいは担体(ただし、リン酸エステル基を有する基材あるいは担体を除く)からなる、アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビンの吸着除去材料。
  2. 体液に接触させても、その凝固活性であるプロトロンビン時間、部分活性化トロンボプラスチン時間の変化量が接触前後で20%以下であり、かつヘパリンに対する吸着率が30%以下であり、かつアルブミンに対する吸着率が20%以下である、請求項1記載の吸着除去材料。
  3. 前記基材あるいは担体が繊維状、編地、織物、ビーズ状、スポンジ状、ネット状のいずれかの形態を有し、かつ合成高分子材料あるいは天然高分子材料より構成される、請求項1又は2記載の吸着除去材料。
  4. 高ビリルビン血症、黄疸及び脳神経障害からなる群から選ばれる疾患の治療用途に用いる、請求項1〜のいずれか一項記載の吸着除去材料。
  5. 請求項1〜のいずれか一項記載の吸着除去材料が充填されている、体外循環が可能な体液浄化カラム。
  6. プライミング容積が50mL以下である、請求項記載の体液浄化カラム。
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