JP4433678B2 - 3端子複合電子部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、3端子複合電子部品に関するもので、特に、部品本体の外表面上に2つの入出力端子電極およびグラウンド端子電極が形成された、チップ状の3端子複合電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この発明にとって興味ある3端子複合電子部品として、たとえば特開平8−195636号公報(特許文献1)に記載されたものがある。この3端子複合電子部品は、キャパシタンス素子と抵抗素子とを複合したいわゆるCR複合部品を構成している。抵抗素子は、CR複合部品のグラウンド端子電極に電気的に接続されていて、3端子複合電子部品の等価直列抵抗を大きくすることによって、ノイズを除去するように機能する。
【0003】
特許文献1に記載された3端子複合電子部品では、抵抗素子は、部品本体の表面に形成された抵抗膜によって与えられ、この抵抗膜の面方向での一方端にグラウンド端子電極が電気的に接続され、他方端にキャパシタンス素子のための容量電極が電気的に接続されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−195636号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された3端子複合電子部品では、抵抗素子を構成する抵抗膜の面方向に電流が流れるため、抵抗膜の面方向の長さに比例するインダクタンス成分が発生する。その結果、3端子複合電子部品の等価直列インダクタンスが大きくなってしまい、高周波域での特性が悪化するという問題がある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、上述の問題を解決し得る、3端子複合電子部品を提供しようとすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、部品本体と、部品本体の外表面上に形成される2つの入出力端子および互いに対向する2つのグラウンド端子電極とを備え、部品本体の内部には、複数の内部電極が設けられ、複数の内部電極の特定のものが、部品本体の外表面上において入出力端子電極およびグラウンド端子電極のいずれかに電気的に接続されるように、部品本体の外表面にまでそれぞれ引き出されている、3端子複合電子部品に向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、グラウンド端子電極が、その厚み方向の一部をなすように、抵抗体粒子および樹脂からなる抵抗膜を形成するとともに、部品本体の外表面と抵抗膜との間に形成される下地導体膜と、抵抗膜の上に湿式めっきによって形成される厚み2μm以上の外部導体膜とをさらに備え、抵抗膜は、グラウンド端子電極の面方向の全域にわたって形成され、かつ10〜5000Ω/mm の面積抵抗値を有することを特徴としている。
【0011】
品本体は、直方体状をなし、この直方体の長さ方向寸法と幅方向寸法とによって規定される1対の主面、直方体の長さ方向寸法と厚み方向寸法とによって規定される1対の側面、および直方体の幅方向寸法と厚み方向寸法とによって規定される1対の端面とを有している場合、グラウンド端子電極は、部品本体の1対の端面の全面にわたって形成されることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1ないし図4は、この発明の第1の実施形態を説明するためのものである。ここで、図1は、3端子複合電子部品1の外観を示す斜視図である。図2は、図1に示した3端子複合電子部品1の内部構造を断面で示す平面図であり、(a)と(b)では異なる断面を示している。図3は、図1の線III −III に沿う拡大断面図である。図4は、3端子複合電子部品1が与える等価回路図である。
【0013】
3端子複合電子部品は、チップ状の形態をなす電子部品であり、直方体状の部品本体2を備えている。部品本体2は、直方体の長さ方向寸法と幅方向寸法とによって規定される1対の主面3および4、直方体の長さ方向寸法と厚み方向寸法とによって規定される1対の側面5および6、ならびに直方体の幅方向寸法と厚み方向寸法とによって規定される1対の端面7および8を有している。
【0014】
部品本体2の外表面上には、2つの入出力端子電極9および10ならびに互いに対向する2つのグラウンド端子電極11および12がそれぞれ形成されている。
【0015】
より詳細には、入出力端子電極9は、部品本体2の一方の側面5の中央部において帯状に延びながら、その一部が主面3および4の各一部にまで延びるように形成されている。
【0016】
入出力端子電極10は、部品本体2の他方の側面6の中央部において帯状に延びながら、その一部が主面3および4の各一部にまで延びるように形成されている。
【0017】
グラウンド端子電極11は、部品本体2の一方の端面7の全面にわたって延びながら、その一部が主面3および4ならびに側面5および6の各一部にまで延びるように形成されている。
【0018】
グラウンド端子電極12は、部品本体2の他方の端面8の全面にわたって延びながら、その一部が主面3および4ならびに側面5および6の各一部にまで延びるように形成されている。
【0019】
部品本体2は、図3によく示されているように、たとえばBaTiO3 系セラミックのような誘電体からなる複数の絶縁体層13を積層した構造を有している。部品本体2の内部には、複数の絶縁体層13間の特定の界面に沿って、複数のグラウンド側内部電極14および複数の信号側内部電極15が設けられる。グラウンド側内部電極14と信号側内部電極15とは、図3によく示されているように、交互に配置され、かつ互いに対向している。これらグラウンド側内部電極14と信号側内部電極15との対向によって、静電容量が形成され、部品本体2の内部には、図4に示すようなキャパシタンス素子Cが与えられる。
【0020】
図2(a)は、上述のグラウンド側内部電極14が位置する面での断面を示し、同(b)は、上述の信号側内部電極15が位置する面での断面を示している。
【0021】
図2(a)に示すように、グラウンド側内部電極14は、部品本体2の端面7および8の各々上においてグラウンド端子電極11および12に電気的に接続されるように、部品本体2の端面7および8にまでそれぞれ引き出されている。
【0022】
他方、図2(b)に示すように、信号側内部電極15は、部品本体2の側面5および6の各々上において入出力端子電極9および10に電気的に接続されるように、部品本体2の側面5および6にまでそれぞれ引き出されている。
【0023】
グラウンド側端子電極11の断面構造の詳細が図3によく示されている。なお、他方のグラウンド側端子電極12についても、図3に示したグラウンド側端子電極11と実質的に同様の断面構造を有している。以下には、一方のグラウンド端子電極11の詳細について説明する。
【0024】
グラウンド側端子電極11は、部品本体2の外表面上に形成される下地導体膜16と、その上に形成される抵抗膜17と、その上に形成される外部導体膜18とを備えている。
【0025】
下地導体膜16は、部品本体2の端面7および8上に、たとえば、銅またはニッケルを含む導電性ペーストを付与し、これを焼き付けることによって形成される。また、下地導体膜16は、ニッケルまたはニッケル−クロム合金の薄膜をスパッタリング等によって形成したものから構成されてもよい。このように、薄膜から構成される場合、必要に応じて、その上に銀からなる薄膜がさらに形成されてもよい。
【0026】
抵抗膜17は、たとえば、抵抗体粒子および樹脂からなる組成をもって構成される。抵抗体粒子としては、たとえばカーボン粒子が好適に用いられ、樹脂としては、たとえば、フェノール樹脂またはポリイミド樹脂のような熱硬化性樹脂が好適に用いられる。
【0027】
なお、カーボン粒子に加えて、銀などの導電性粉末を添加してもよい。
【0028】
このように、抵抗体膜17が抵抗体粒子および熱硬化性樹脂から構成される場合、抵抗体粒子および樹脂を含むペーストを、部品本体2上、より特定的には、下地導体膜16上に付与し、これを、たとえば150〜250℃といった比較的低温で熱硬化させるだけで、抵抗膜17を容易に形成することができる。また、内部電極14および15ならびに下地導体膜16さらには入出力端子電極9および10などにおいて、酸化しやすいたとえばニッケル等が用いられても、その酸化を有利に防止することができる。また、部品本体2に備える絶縁体層13への影響も実質的に与えないようにすることができる。
【0029】
また、樹脂を含む抵抗膜17は、部品本体2の耐たわみ強度の向上にも寄与させることができる。特に、この実施形態のように、グラウンド端子電極11および12が、部品本体2の端面7および8の全面にわたってそれぞれ形成される場合、上述の耐たわみ強度向上の効果がより効果的に発揮される。また、グラウンド側端子電極11および12を端面7および8の全面にわたってそれぞれ形成する場合には、たとえばディップ法を適用して、抵抗膜17を容易かつ能率的に形成することができる。
【0030】
外部導体膜18は、湿式めっきによって、抵抗膜17上に直接形成される。より具体的には、ニッケルめっきが施され、その上に錫めっきが施されることによって、外部導体膜18が形成される。必要に応じて、ニッケルめっき膜の下に、銅めっき膜が形成されてもよい。
【0031】
上述のように、抵抗膜17上に、直接、外部導体膜18が湿式めっきによって形成される場合、前述した抵抗膜17は、厚みを10〜15μmとした場合に、10〜5000Ω/mm2 の範囲の面積抵抗値を有していることが好ましい。抵抗膜17が5000Ω/mm2 を超える面積抵抗値であれば、湿式めっきを実施することが困難になるためである。
【0032】
なお、抵抗膜17は、抵抗値で表現すると、50mΩ〜3Ωの範囲にあることが好ましい。
【0033】
また、外部導体膜18は、その厚みが2μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。外部導体膜18にこのような厚みをもたせることによって、樹脂を含む抵抗膜17の耐湿性を向上させることができるからである。
【0034】
このようなグラウンド端子電極11において、図3に示されるように、下地導体膜16が形成される場合には、抵抗膜17は、グラウンド端子電極11の厚み方向の一部をなしながら、その面方向の全域にわたって形成されていることが重要である。言い換えると、抵抗膜17が、下地導体膜16を全域にわたって覆うように形成され、抵抗膜17の上に形成された外部導体膜18と下地導体膜16とが直接電気的に接続されないことが重要である。このようにして、グラウンド端子電極11において、抵抗膜17の厚み方向にのみ電流を流すことが可能になる。
【0036】
図4に示した等価回路図において、上述の抵抗膜17によって与えられる抵抗素子Rが図示されている。また、抵抗膜17および内部電極14および15等によって不可避的にもたらされるインダクタンス成分Lも図示されている。前述したように、電流は、抵抗膜17の面方向ではなく厚み方向に流れるため、インダクタンス成分Lを小さく抑えることができる。したがって、この3端子複合電子部品1の等価直列インダクタンスを小さく抑えることができる。
【0037】
その結果、この3端子複合電子部品1によれば、低周波域において一定の挿入損失特性を維持しながら、高周波域においても、大きな減衰量を確保でき、抵抗膜17が与える抵抗成分によるノイズ除去作用を効果的に発揮させることができる。なお、3端子複合電子部品1の等価直列インダクタンスを小さく維持するためには、抵抗膜17の厚みは200μm以下であることが好ましい。
【0038】
入出力端子電極9および10の断面構造の詳細については図示しないが、入出力端子電極9および10は、グラウンド端子電極11および12における抵抗膜17を省略したものと実質的に同様の断面構造および材料をもって構成されることができる。
【0039】
次に、図5ないし図7を参照して、入出力端子電極およびグラウンド端子電極の形成態様に関する他の実施形態を説明する。図5ないし図7において、図1に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
図5に示した第2の実施形態による3端子複合電子部品21では、第1の実施形態の場合とは逆に、部品本体2の端面7および8の各々の全面にわたって入出力端子電極9および10がそれぞれ形成され、部品本体2の側面5および6の各々の中央部において帯状に延びるようにグラウンド端子電極11および12が形成される。
【0041】
図6に示した第3の実施形態に係る3端子複合電子部品22では、入出力端子電極9および10の形成態様については、第1の実施形態の場合と同様であるが、グラウンド端子電極11および12が、それぞれ、部品本体2の端面7および8の各々の中央部において帯状に延びるように形成される。
【0042】
以上説明した実施形態では、2つのグラウンド端子電極11および12が設けられている。このように、2つのグラウンド端子電極11および12を設けることは、等価直列インダクタンスの低減に貢献する
【0043】
図7に示した第4の実施形態による3端子複合電子部品23では、入出力端子電極9および10については、第2の実施形態の場合と同様の形成態様で設けられるが、1つのグラウンド端子電極11が、部品本体2の側面5および6ならびに主面3および4を周回するように設けられている。この点で、第4の実施形態はこの発明の範囲外の参考例となるものである。
【0044】
以上説明した第2ないし第4の実施形態においても、図2に示した内部電極14および15と実質的に同じパターンをもって内部電極を形成することができる。
【0045】
以上、この発明を図示した実施形態に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他、種々の変形例が可能である。
【0046】
たとえば、図示した実施形態による3端子複合電子部品1、21、22および23は、CR複合部品を構成するものであったが、他の機能を有する素子を複合した3端子複合電子部品に対しても、この発明を適用することができる。そのため、絶縁体層13を構成する材料についても、素子の機能に応じて変更することができ、誘電体以外のたとえば磁性体を用いることもできる。また、内部電極14および15についても、素子の機能に応じてそのパターン等を変更することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、グラウンド端子電極が、その厚み方向の一部をなすように、抵抗膜を形成しているので、この抵抗膜の厚み方向に電流を流すことができる。そのため、抵抗膜によってもたらされるインダクタンス成分を低減することができ、高周波域で特性が悪化するという問題を有利に解決することができる。
【0049】
また、この発明によれば、グラウンド端子電極が、部品本体の外表面と抵抗膜との間に形成される下地導体膜と、抵抗膜の上に形成される外部導体膜とを備え、抵抗膜が、グラウンド端子電極の面方向の全域にわたって形成されているので、グラウンド端子電極と内部電極との電気的導通の信頼性を高めることができるとともに、電流を抵抗膜の厚み方向のみにより確実に流すことができる。
【0050】
また、この発明によれば、抵抗膜が5000Ω/mm2以下の面積抵抗値を有しているので、外部導体膜を形成するため、湿式めっきを問題なく適用することができる。
【0051】
この発明では、抵抗膜が抵抗体粒子および樹脂から構成されるが、この合、グラウンド端子電極が、直方体状の部品本体の少なくとも一方の端面の全面にわたって形成されると、部品本体の耐たわみ強度の向上を抵抗膜によって図ることができる。
【0052】
さらに、この発明によれば、上述のように、抵抗膜が抵抗体粒子および樹脂からな、外部導体膜の厚みを2μm以上としているので、抵抗膜の耐湿性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態による3端子複合電子部品1の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示した3端子複合電子部品1の内部構造を断面で示す平面図であり、(a)は、グラウンド側内部電極14が位置する面での断面を示し、(b)は、信号側内部電極15が位置する面での断面を示している。
【図3】図1の線III −III に沿う拡大断面図である。
【図4】図1に示した3端子複合電子部品1が与える等価回路図である。
【図5】この発明の第2の実施形態による3端子複合電子部品21を示す平面図である。
【図6】この発明の第3の実施形態による3端子複合電子部品22を示す平面図である。
【図7】 この発明の参考例としての3端子複合電子部品23を示す平面図である。
【符号の説明】
1,21,22,23 3端子複合電子部品
2 部品本体
3,4 主面
5,6 側面
7,8 端面
9,10 入出力端子電極
11,12 グラウンド端子電極
14,15 内部電極
16 下地導体膜
17 抵抗膜
18 外部導体膜
C キャパシタンス素子
R 抵抗素子
L インダクタンス成分

Claims (2)

  1. 部品本体と、前記部品本体の外表面上に形成される2つの入出力端子電極および互いに対向する2つのグラウンド端子電極とを備え、前記部品本体の内部には、複数の内部電極が設けられ、複数の前記内部電極の特定のものは、前記部品本体の外表面上において前記入出力端子電極および前記グラウンド端子電極のいずれかに電気的に接続されるように、前記部品本体の外表面にまでそれぞれ引き出されている、3端子複合電子部品であって、
    前記グラウンド端子電極は、その厚み方向の一部をなすように、抵抗体粒子および樹脂からなる抵抗膜を形成するとともに、前記部品本体の外表面と前記抵抗膜との間に形成される下地導体膜と、前記抵抗膜の上に湿式めっきによって形成される厚み2μm以上の外部導体膜とをさらに備え、前記抵抗膜は、前記グラウンド端子電極の面方向の全域にわたって形成され、かつ10〜5000Ω/mm の面積抵抗値を有する、3端子複合電子部品。
  2. 前記部品本体は、直方体状をなし、前記直方体の長さ方向寸法と幅方向寸法とによって規定される1対の主面、前記直方体の長さ方向寸法と厚み方向寸法とによって規定される1対の側面、および前記直方体の幅方向寸法と厚み方向寸法とによって規定される1対の端面を有し、前記グラウンド端子電極は、前記部品本体の1対の端面の全面にわたって形成される、請求項1に記載の3端子複合電子部品。
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