JP4433460B2 - 粘性液体の塗布ノズル - Google Patents

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本発明は、一回の操作で、板状ワークの上面及び下面同時に粘性液体を塗布することのできる塗布ノズルに関する。
従来、円筒形状をしたノズルの吐出開口部先端に切欠きを設け、粘性液体を所定の位置に所定の形状及び幅で塗布する粘性液体の塗布ノズルが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平10−15456号公報(図5)
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図8は従来の技術の基本構成を説明した図であり、ノズル101は、粘性液体102を吐出する開口縁部103と、この開口縁部103に設けた切欠き104Aと、104Bとからなる円筒形状の部材である。
以下、板状のワーク部材105の上面105a及び下面105bに粘性液体を塗布する場合を検討する。
(a)において、ワーク部材105の上面105aを塗布するとき、ノズル101をワーク部材105にノズル101の開口縁部103を下向きになるようにセットし、ノズル101を図の表から裏に向けて動かし、粘性液体102を塗布する。
(b)において、ワーク部材の下面105bを塗布するとき、ノズル101をワーク部材105の下側に移動させ、ノズル101の開口縁部103を上向きにセットし、ノズル101を図の裏から表に向けて動かし、粘性液体102を塗布する。
従って、上面105a及び下面105bに粘性液体102を塗布するためには、上面105a塗布後、粘性液体102の吐出しを止め、ノズル101を下側に移動させ、再度、下面105bに塗布するという煩雑な動作が必要で、塗布に時間を要していた。
ワーク部材101の上下面同時に、一回の操作で粘性液体102を塗布することができれば好適である。
本発明は、ワーク部材の上面及び下面に粘性液体を一回の操作で同時に塗布することができる塗布ノズルを提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、液体パッキン等の粘性液体を封入したチューブの口金に嵌合し、チューブから絞り出した粘性液体を、板状ワークの縁の上下面に塗布することのできる塗布ノズルであって、この塗布ノズルは、板状ワークの縁を挿入することのできる環状のスリット部を備え、このスリット部から挿入した板状ワークの先端を当てることができる小径円筒部を備え、この小径円筒部に当てた板状ワークの上方及び下方へ延びる環状室を備え、この環状室の上部へ前記チューブから絞り出した粘性液体の一部を導く上部流路を備え、この上部流路とは別に環状室の下部へ粘性液体の残部を導く下部流路を備え、チューブから絞り出した粘性液体を、上部流路及び環状室の上部を介して板状ワークの上面に塗布し、下部流路及び環状室の下部を介して板状ワークの下面に塗布することを特徴とする。
板状ワークの先端を当てる小径円筒部を備えたので、板状ワークの先端に小径円筒部を沿わせて動かすことができる。加えて、板状ワークの上下面に粘性液体を塗布する環状室を備えたので、環状に形成した環状室の全周を使って粘性液体を塗布することができる。
従って、環状室に板状ワークを差込んで、環状室の全周を使い、板状ワークの縁に沿わせて動かすことにより、塗布ノズルの持替えや手首を捩ること無く、板状ワークの上下面に、一回の操作で且つ簡便に粘性液体を塗布することができる。
この結果、板状ワークの全周、且つ上下面同時に粘性液体を塗布できるため、作業効率を大幅に向上することができる。
請求項2に係る発明は、環状室に上下二分割した環状の繊維部材を充填し、2つの繊維部材の分割面をスリット部に臨ませ、分割面に板状ワークの上下面を当てることができるようにしたことを特徴とする。
環状室に上下二分割した環状の繊維部材を充填し、2つの繊維部材の分割面をスリット部に臨ませ、分割面に板状ワークの上下面を当てるようにしたので、粘性液体をより均一に塗布することができる。
従って、筆、刷毛等により塗布した場合に必要な粘性流体の整形は不要となり、ワークの部位によって塗りむらの少ない塗布面を熟練を必要とせず容易に得ることができる。
請求項3に係る発明は、チューブ本体は、ノズル本体とこのノズル本体に取り外し可能に取付けるキャップとから構成し、ノズル本体に、チューブの口金にねじ込むことができる雌ねじ部を備え、先端中央から小径円筒部を延ばし、この小径円筒部内に上部流路を形成し、先端に前記環状室の下部を備え、この環状室の下部に開口する下部流路を備え、キャップに、環状室の上部を備え、このキャップを小径円筒部に取り外し可能に固定したときに、キャップとチューブ本体との間にスリット部が形成できるように、小径円筒部の長さを決定したことを特徴とする
チューブ本体は、ノズル本体とこのノズル本体に取り外し可能に取付けるキャップとから構成したので、環状室に充填した環状の繊維部材を容易に交換することができる。
この結果、繊維部材のメンテナンスを簡便に行うことができる。
また、キャップを小径円筒部に取り外し可能に固定したときに、上下の繊維部材の間に所定のすきまが形成されるように小径円筒部の長さを決定したので、板状ワークの板厚及び粘性液体の塗布厚さが変化しても、所定の塗布厚さを確保するために、小径円筒部の長さを変更することにより容易に対応することができる。
請求項1に係る発明では、板状ワークの先端を当てる小径円筒部と板状ワークの上下面に粘性液体を塗布する環状室とを備えたので、板状ワークの全周、且つ上下面に一度に粘性液体を塗布できる。
板状ワークの全周、上下面に一回の操作で且つ簡便に粘性液体を塗布できるため、作業効率を大幅に向上することができるという利点がある。
請求項2に係る発明では、環状室に上下二分割した環状の繊維部材を充填し、2つの繊維部材の分割面をスリット部に臨ませ、分割面に板状ワークの上下面を当てることができるようにしたので、部位により塗りムラの少ない塗布面を熟練を必要とせずに容易に得ることができるという利点がある。
請求項3に係る発明では、チューブ本体は、ノズル本体とこのノズル本体に取り外し可能に取付けるキャップとから構成したので、繊維部材のメンテナンスを簡便に行うことができるという利点がある。
加えて、キャップを取付けたときに、上下の繊維部材の間に所定のすきまを形成するように小径円筒部の長さを決定したので、所定の塗布厚さを確保するために、小径円筒部の長さを変更することにより容易に対応できるという利点がある。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る粘性液体の塗布ノズルを取付けたチューブの正面図であり、塗布ノズル10を液体パッキン等の粘性液体を封入したチューブ11の口金12にねじ込んだ状態を示す。
塗布ノズル10の詳細を以下に説明する。
図2は本発明に係る粘性液体の塗布ノズルの断面図であり、塗布ノズル10は、ノズル本体13とこのノズル本体13に取り外し可能に取付けるキャップ14とから構成する。そして、ノズル本体13に、チューブ11(図1参照)の口金にねじ込むことができる雌ねじ部15を備え、雌ねじ部15の先端中央16から小径円筒部17を延ばし、この小径円筒部17内に上部流路18を形成し、ノズル本体13の上面部19近傍に環状室21の下部22(下部環状室ともいう。)を備え、この環状室21の下部22に開口する下部流路23を備え、キャップ14に、環状室21の上部24(上部環状室ともいう。)を備え、このキャップ14を小径円筒部17に取り外し可能に固定したときに、キャップ14とノズル本体13との間にスリット部26が形成できるように、小径円筒部17の長さを決定したことを示す。
塗布ノズル10は、ノズル本体13とこのノズル本体13に取り外し可能に取付けるキャップ14を備えたので、環状室21に充填した環状の繊維部材27を容易に交換することができる。
この結果、繊維部材27のメンテナンスを簡便に行うことができる。
また、キャップ14を小径円筒部17に取り外し可能に固定したときに、上下の繊維部材27の間に所定のすきまが形成されるように小径円筒部17の長さを決定したので、ワークの板厚及び粘性液体の塗布厚さが変化しても、所定の塗布厚さを確保するために、小径円筒部17の長さを変更することにより容易に対応することができる。
上述のように、塗布ノズル10は、チューブ11(図1参照)から絞り出した粘性液体を、板状ワーク31の縁33の上下面に塗布する機能を有する部材である。
また、ノズル本体13及びキャップ14の一部である環状室21に上下二分割した繊維部材27を充填し、2つの繊維部材27の分割面32を板状ワーク31の縁33を挿入することのできるスリット部26に臨ませ、分割面32に板状ワーク31の上下面を当てるようにすることもできる。
なお、ノズル本体13に被せたキャップ14は、取付けねじ35により小径円筒部17に着脱自在に取付けた部材である。取付けねじ35は上部流路18の上端部36に設けた部材であり、粘性液体の流れを止める盲栓の役目を果たす部材でもある。
環状室21に上下二分割して充填した繊維部材27は、板状ワーク31の上下の面に所定の粘性液体を適量塗布するため、粘性液体を保持しつつ適度な粗さをもった、例えば樹脂製のスポンジ状の部材である。
仮に、目の粗すぎる繊維部材27とすると、粘性液体の出方は過剰となり、余分な粘性液体がノズル本体13の外部に洩れ、塗布面以外に発散するため、粘性部材が無駄になる等の問題が起きる。逆に、目の細かすぎる繊維部材27にすると、粘性液体の出方が不足して、所定の塗布面を得ることができないという問題が起きる。
以下、粘性液体の流路と、流路の下流に配置した環状室21について説明を行う。
塗布ノズル10は、板状ワーク31の縁33を挿入することのできるスリット部26を備える。スリット部26は、ノズル本体13のノズル本体13の上面部19とキャップ14の下面38とで形成した部位である。
板状ワーク31をスリット部26から挿入し、板状ワーク31の縁33を当てることができる小径円筒部17を備えた。そして、この小径円筒部17の内部に上部流路18を形成した。
さらに、小径円筒部17に当てた板状ワーク31の上方及び下方へ延びる環状室21を備えた。この環状室21の上部24にチューブから絞り出した粘性液体の一部を導く上部流路18を備え、この上部流路18とは別に環状室21の下部22へ粘性液体の残部を導く下部流路23を備えた。
図3は図2の3−3線断面図であり、小径円筒部17の周囲にキャップ14の円筒部39を配置し、小径円筒部17の外周41とキャップ14の円筒部39とで囲んだ上部環状室21を設け、この上部環状室21を環状の繊維部材27で充填する。そして、小径円筒部17内の上部流路18から環状室21に向け、複数の上部連通路42を開けたことを示す。上部流路18及び上部連通路42は、上部環状室21に粘性液体を供給する役割を担う。
図4は図2の4−4線断面図であり、ノズル本体13の小径円筒部17と、大径円筒部44とで囲んだ下部環状室21に向け下部流路23を開けたことを示す。下部環状室21に向け開けた下部流路23は、下部環状室21に粘性液体を供給する役割を担う。
図5は本発明に係る粘性液体の塗布ノズルの分解斜視図であり、小径円筒部17を上方に向け配置したノズル本体13の小径円筒部17に、上下に分割したドーナツ形状の繊維部材27、27を嵌め、繊維部材27、27の上にキャップ14を取付け、このキャップ14を取付けねじ35で固定し、組立てることを示す。
図6は環状室及び繊維部材の作用図である。
(a)において、粘性液体46を、下部流路23から下部環状室21に充填した下部繊維部材27に供給し、この下部繊維部材27に粘性液体46を含ませ、板状ワーク31の下面47に下部繊維部材27を接触させることにより粘性液体46を均一に塗布できることを示す。
(b)において、粘性液体46を、上部流路18から上部連通路42を介して上部環状室21に充填した上部繊維部材27に供給し、この上部繊維部材27に粘性液体46を含ませ、板状ワーク31の上面48に上部繊維部材27を接触させることにより粘性液体46を均一に塗布できることを示す。
以上の構成により、チューブから絞り出した粘性液体を、上部流路18及び環状室21の上部24を介して板状ワークの上面48に塗布し、下部流路23及び環状室21の下部22を介して板状ワーク31の下面47に塗布する。
加えて、環状室21に環状の繊維部材27を充填し、上下2つの繊維部材27の分割面32に板状ワーク31の上下面47、48を当てることができるようにしたので、粘性液体をより均一に塗布することができる。
従って、筆、刷毛等により塗布した場合に必要となる粘性流体の整形は不要となり、板材ワーク31の部位により塗りむらの少ない塗布面を熟練を必要とせず容易に得ることができる。
また、板状ワーク31の上下面47、48同時に粘性液体を塗布できるため、作業効率を向上することができる。
図7は粘性液体の塗布ノズルの作用図である。
(a)において、例えばガスケット等の板状ワーク31に、チューブ11の口金12に嵌合した塗布ノズル10を介して粘性液体を塗布することを示す。
(b)において、例えばガスケット等の板状ワーク31の全周にわたり、塗布ノズル10を介して粘性液体を塗布することを示す。
すなわち、環状に形成した環状室21(図6参照)と環状の繊維部材27の全周を使って粘性液体を塗布することができるので、環状室21に板状ワーク31を差込んで、板状ワーク31の縁33に沿わせて動かすことにより、塗布ノズル10の持替えや手首を捩ること無く、板状ワーク31の上下面に粘性液体を塗布することができる。
この結果、板状ワーク31の全周、且つ上下面に同時に粘性液体を塗布できるため、作業効率を大幅に向上することができる。
尚、本発明に係る粘性液体の塗布ノズルは、実施の形態では粘性流体を封入したチューブの口金に取付けて使用したが、圧送ポンプを介して粘性流体入りの外部タンクに取付けて使用することも可能である。
本発明の粘性液体の塗布ノズルは、板状ワーク上下両面へ粘性液体を塗布する塗布ノズルとして好適である。
本発明に係る粘性液体の塗布ノズルを取付けたチューブの正面図である。 本発明に係る粘性液体の塗布ノズルの断面図である。 図2の3−3線断面図である。 図2の4−4線断面図である。 本発明に係る粘性液体の塗布ノズルの分解斜視図である。 環状室及び繊維部材の作用図である。 粘性液体の塗布ノズルの作用図である。 従来の技術の基本構成を説明した図である。
符号の説明
10…塗布ノズル、11…チューブ、12…チューブの口金、13…ノズル本体、14…キャップ、15…雌ねじ部、17…小径円筒部、18…上部流露、19…ノズル本体の上面部、21…環状室、22…環状室の下部(下部環状室)、23…下部流路、24…環状室の上部(上部環状室)、26…スリット部、27…繊維部材、31…板状ワーク、32…繊維部材の分割面、33…板状ワークの縁、47…板状ワークの下面、48…板状ワークの上面。

Claims (3)

  1. 液体パッキン等の粘性液体を封入したチューブの口金に嵌合し、チューブから絞り出した粘性液体を、板状ワークの縁の上下面に塗布することのできる塗布ノズルであって、
    この塗布ノズルは、板状ワークの縁を挿入することのできる、環状のスリット部を備え、このスリット部から挿入した板状ワークの先端を当てることができる小径円筒部を備え、この小径円筒部に当てた板状ワークの上方及び下方へ延びる環状室を備え、この環状室の上部へ前記チューブから絞り出した粘性液体の一部を導く上部流路を備え、この上部流路とは別に環状室の下部へ粘性液体の残部を導く下部流路を備え、
    チューブから絞り出した粘性液体を、上部流路及び環状室の上部を介して板状ワークの上面に塗布し、下部流路及び環状室の下部を介して板状ワークの下面に塗布することができることを特徴とする粘性液体の塗布ノズル。
  2. 前記環状室に上下二分割した環状の繊維部材を充填し、2つの繊維部材の分割面を前記スリット部に臨ませ、前記分割面に板状ワークの上下面を当てることができるようにしたことを特徴とする請求項1記載の粘性液体の塗布ノズル。
  3. 前記塗布ノズルは、ノズル本体とこのノズル本体に取り外し可能に取付けるキャップとから構成し、
    前記ノズル本体に、チューブの口金にねじ込むことができる雌ねじ部を備え、先端中央から前記小径円筒部を延ばし、この小径円筒部内に前記上部流路を形成し、先端に前記環状室の下部を備え、この環状室の下部に開口する下部流路を備え、
    前記キャップに、前記環状室の上部を備え、
    このキャップを前記小径円筒部に取り外し可能に固定したときに、キャップと前記チューブ本体との間に前記スリット部が形成できるように、前記小径円筒部の長さを決定したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の粘性液体の塗布ノズル。
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