JP4433369B2 - 磁気シールド装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気シールドに関し、特に中空構造を有する磁気シールド装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来の磁気シールドは、矩形状断面構造やリング状断面構造を持ち、その要求される遮蔽特性に応じて、シールドを構成する磁性体の壁面を2重あるいは3重にした構造あるいは壁面の磁性体厚さを変化させた構造で対応するのが一般的であった。
【0003】
しかし、従来技術では十分なシールド特性を得ようとすると壁面の磁性体がたとえ2重あるいはそれ以上の多重構造になっていたとしても磁性体厚さを厚くしなければならなかった。この理由は従来の磁気シールドの基本構造に依存して、空間の磁束制御が不十分になりやすいことに起因する。例えば、一般原理として高透磁率の磁性体と真空(空気)の界面では、真空中の磁束の方向に対して界面と垂直な方向については磁束密度が連続、界面に平行な方向に対しては磁場が連続になる。ここで磁性体の比透磁率をμ、磁束密度をBとすると磁場Hは、
H=B/μで与えられることから比透磁率μが大きいほど界面近傍の空間磁場の平行成分は小さくなる。
【0004】
空間の磁束密度が増大すると、磁性体内の磁場も大きくなるため磁性体は飽和に近づいてゆく。このとき磁性体の比透磁率は減少していくことからシールド特性は劣化する。この効果を避けるためには磁性体の飽和磁束密度を大きくするか、磁性体の厚さを大きくして密度を下げる必要がある。従来の技術ではシールド率を向上させるため比透磁率の大きなパーマロイ(NiFe合金)が用いられることが多い。パーマロイの場合、飽和磁束密度が比較的小さいため磁性体の厚さを厚くする必要があった。加えて従来の技術では磁性体と真空の界面に対して垂直方向の磁束成分を制御する技術を持たないため、磁束線の界面における屈折率を大きくすることのみが垂直成分の磁束をシールドする方法であった。この方法では屈折率が比透磁率に比例していることから磁性体の厚さを十分厚く保ち比透磁率の劣化を避ける必要があった。
【0005】
シールドを行なう磁性体の磁気飽和を避ける技術としては特許文献1に開示されるような屈曲部にテーパ形状を設ける技術、あるいはテーパ形状からなる磁路を2重にするための磁性体を設ける技術等がある。しかし、これらに開示された従来技術はシールドを行なうために集められた磁束の飽和を避けるための技術であり、磁気シールドを行なう装置全体に対し、外部磁場の磁束を効率よく制御することはできない。
【0006】
【特許文献1】
特開昭57−8000号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
結局これらの従来技術では、磁性体の厚さを厚くする必要があることから磁気シールド装置を構成するシールド壁が重くなってしまうと言う問題点があった。この問題は磁気シールドを行なう空間の体積が小さい場合には、壁面の構造強度を弱くして全体の重量を軽減するなどの解決策が可能であった。しかし、シールドする空間が大きい場合、シールド壁自身が大面積となり、自重の増大とともにシールド壁を支える構造物も大型で且つ十分な強度を有するものが必要となる。この状況において磁性体の占める割合を小さくして構造重量を軽減することは従来のシールド構造では不可能であった。
【0008】
本発明の目的は、前記の問題点を解決し、シールド壁を構成する磁性体の厚さを厚くしなくても高性能なシールド特性が得られる磁気シールド装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願の第一の発明は、軟磁性材料を備えるシールド壁によって所定のシールド空間を囲んでなる磁気シールド装置であって、外部磁場の三軸方向各成分によるシールド壁の最大磁束密度を示す箇所と一致する位置にシールド空間を囲むコイルを配置し、シールド空間内の磁場の三軸方向各成分を検出する磁気センサーと、磁気センサーの検出値に基づき前記コイルへの通電を制御して前記最大磁束密度を低下させる磁場を発生させる制御手段とを備えることを特徴とする磁気シールド装置である。外部磁場強度が一様でありシールド壁の軟磁性材料の厚さが一定であるとき外部磁場の三軸方向各成分によりシールド壁の最大磁束密度を示す箇所は軸方向中央部である。

【0010】
第一の発明の技術的思想は、外部磁界により生じるシールド壁の軟磁性材料中の磁束をコイルの磁界により生じる反対方向の磁束で相殺もしくは一部を相殺することにより低減させて軟磁性材料の比透磁率の低下を抑制しようとするものである。このときコイルを配置する箇所が重要である。軟磁性材料の磁気飽和は最大磁束密度を示す箇所において最初に起きる。最大磁束密度を示す箇所に沿ってシールド空間を囲むコイルを配置することによって、軟磁性材料の最大磁束密度を示す箇所にコイルの磁界により生じる逆方向の磁束をより多く流すことができ、軟磁性材料の磁気飽和を効果的に防ぐことができるのである。
【0011】
通常、外部磁場は直流磁場と交番磁場とが重畳している。直流磁場による磁束はシールド壁の軟磁性材料中を流すことによりシールド空間への漏洩を防ぐ。軟磁性材料を十分過ぎるほど厚くすれば交番磁場による磁束も漏洩させずに流すことができるが多大な軟磁性材料を必要とし重量やコストの点で実用的ではない。そこで本発明では交番磁場に対しては自ら磁束を発生させるアクティブコイルを配置して外部磁束を相殺する。シールド空間内の磁場の目的成分を磁気センサーで検出し、検出値に基づいてコイルへの通電を制御することで周波数の低い交番磁場に対しても適切な電流を供給することができる。
【0012】
シールド壁にはドア等の出入り口や窓部もしくは磁気シールド装置内に配線や配管を引き込むための切り欠き等の開口部を設けることがある。開口部からシールド空間に磁束が進入しやすい。ここでいう開口部とは、磁性材料が存在しないか又は存在してもシールド壁の軟磁性材料と磁気的に不連続になっている部位のことである。軟磁性材料を経ずに直接的に開口部からシールド空間に進入する磁束があるときは第一の発明の磁気シールド装置のみでは相殺することが困難である。
【0013】
本願の第二の発明は、軟磁性材料を備えるシールド壁によって所定のシールド空間を囲んでなる磁気シールド装置であって、シールド壁に開口部を有し、シールド壁にこの開口部を囲むコイルを配置し、開口部から侵入する外部磁場のシールド空間内でのコイル軸方向の成分を検出する磁気センサーと、磁気センサーの検出値に基づき前記コイルへの通電を制御して開口部から侵入する外部磁場の強度を低下させる磁場を発生させる制御手段とを備えることを特徴とする磁気シールド装置である。軟磁性材料を経ずに直接的に開口部からシールド空間に進入する磁束があるときは第一の発明の構成と第二の発明の構成の両方を備えた磁気シールド装置を採用することが好ましい。
【0014】
上記の各発明では、FeSi合金の微結晶を含んだ軟磁性薄体を非磁性の樹脂でラミネートしたシート状の材料で構成したシールド壁を好適に使用することができる。
【0015】
磁気シールドはシールド体の周囲の空間から磁束を集めることにより所望の空間の磁束密度を低下させ磁気シールを行うものである。このため、シールドを行う空間の体積が増加したり、シールド体の周囲の空間の磁束密度が増加するとシールドを構成している軟磁性体に流入する磁束が増加し、軟磁性体内の磁束密度が上昇する。軟磁性体内に存在できる最大磁束の量は飽和磁束密度によって決定されるが、一般に軟磁性体内の磁束密度が飽和磁束密度に近づくに連れてその比透磁率は劣化する。磁気シールド装置を構成する軟磁性体の透磁率はシールド率を決定する重要な要素であり、透磁率が低下するとシールド率も低下する。本発明は微結晶の磁性体からなる箔体をシート状に成形することで軽量かつ施工性の優れた磁気シールドルームを提供するものであるが、シールドルーム壁面の磁性体厚さが薄いため大きな体積を持つシールド空間や強磁場中のシールドを行うためには、軟磁性体の磁気飽和を避けるように設計する必要がある。単純には磁性体の厚さを増加させることで対応可能であるが、これは磁性体の重量を増加させ本発明のシールド装置の特徴を損なう恐れがある。そこで、磁気シールドルームの壁に対して磁気飽和を起こしそうな部分に予め磁場を印加する手段を設け、シールド壁の磁化と反対方向の磁場を印加することでシールド壁の磁束密度を低下させ、比透磁率の劣化を防ぐものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に磁気シールドルームを構成する軟磁性材料を備えたシールド壁の磁束密度分布を示す。シールド空間2は図1の奥側の空間でありシールド壁1と図示しない他のシールド壁とで囲まれる。外部磁場は矢印Hoの方向に印加されており、磁束3はシールド壁1の中を同じ方向に通る。シールド壁1を構成する軟磁性材料のもつ磁化の方向はシールド壁1の中を通る磁束3の方向と同じである。白から灰色、黒となるに連れて磁束密度が大きくなっていることを表す。磁束密度が最も大きくなっている部分は主にシールド壁1の外部磁場方向中央部であり、この部分が最も磁気飽和を起こしやすい。これは磁束3がシールド壁1の端部からだけでなくその長手方向の途中の部位からもシールド壁1に入り込み、そして他端部からだけでなく途中の部位からも空間へ放出されるためである。
【0017】
これに対して、図2に示すようにコイル4を用いてシールド壁の磁化と反対方向Hcの磁場を印加するとシールド壁1を構成する軟磁性体内部の磁束密度が低下し磁気飽和を起こし難くなる。その結果、比透磁率を改善することが可能である。図2の例ではコイル4をシールド壁1の磁束密度が最も大きくなっている箇所に沿って且つその軸方向を上記の磁化方向と合わせて配置していることが特徴である。磁気シールドの効率は周囲の空間も含めた磁気回路に対してシールド部分の磁気抵抗が低いほど高効率となることから比透磁率の改善によってもたらされた磁気抵抗の低下が磁気シールドの性能を向上させることになる。
【0018】
実際の外部磁場は各々が直交する三方向の成分からなることが多い。この場合でも各方向の成分それぞれについて本発明を適用することで、三軸方向の各シールド壁を構成する磁性体の厚さを厚くしなくても磁気飽和を起こり難くすることができる。
【0019】
磁気シールド装置に外部磁場の一方向成分Hoが印加されたときの本発明の実施の形態を図3に示す。本発明の磁気シールド装置10は6面を構成するシールド壁1とシールド壁1壁面上に設けられコイル50を構成する四つの導電体5とからなる。外部磁場は交番磁界である。シールド壁の軟磁性体材料が一様の厚さで磁界も一様であるとき、交番磁界のX軸方向成分Hoに対して平行な四つのシールド壁1Z,1Z,1Y,1Y内の磁束密度はX軸方向のほぼ中央部で最大となる。そこにコイル50が設置される。外部磁場成分Hoが印加されるとシールド壁1Z,1Z,1Y,1Yに磁束が流れる。シールド空間内に設置された磁気センサー8によりX軸方向の磁界成分が検出され、検出値に基づき制御手段によりそれを打ち消す方向と強度を有する磁場を発生させることのできる電流がコイル50に供給される。外部磁場によるシールド壁1の磁束密度が最大になる位置にコイル50が設けられているため、コイル50により生じた磁束はシールド壁1Z,1Z,1Y,1Y内の最大の磁束密度に作用してそれを大きく低下させ、シールド壁の比透磁率の劣化を防ぐのである。シールド壁内の磁束密度が飽和し難いのでシールド空間の磁束密度が増大したり、シールドする空間が大きい場合でもシールド壁を厚くする必要がない。よって、磁性材料の使用量の削減、全体の軽量化、施工性の向上等を図ることができる。コイル50は銅、アルミニウムなど電気抵抗の低い金属帯または電線でもよい。図3で示した実施の形態ではコイル50は1ターンとした。コイル50の端部のギャップLgはできるだけ小さくする。コイル50のターン数は増やすこともできる。その場合シールド壁の磁束密度を低下させる効果はより大きくなるが1ターン当りの効果は低下する。
【0020】
次に磁気シールド装置に開口部を設けた実施の形態につき図4を用いて説明する。外部磁場の一方向成分Hoに対して垂直なシールド壁に開口部6を設けそれを塞ぐようにドア7を取り付けた。開口部6を囲むようにシールド壁1壁面上に四つの導電体5を設け、それらを接合してコイル50を構成した。導電体5は金属帯でありシールド壁1に垂直である。外部磁場Hoはドア7から進入しようとするが、シールド空間内に設置された磁気センサー8によりHo方向の磁界成分が検出され、検出値に基づき制御手段によりそれを打ち消す方向と強度を有する磁場を発生させることのできる電流がコイル50に供給される。外部磁場Hoはコイル50の発生する磁界により進入を阻止される。
【0021】
本発明は上述した各々の磁気シールド用磁性体において、材料として用いられる磁性体がシート状の形状をしており、1枚のシート厚さが10μm以上且つ200μm以下であることを特徴とする。前記のシート状の磁性体を用いる構成では空間の磁束を効率よく収集可能なため、従来の磁気シールドと比較して厚さの薄い磁性体を使用することが可能である。薄い磁性体を用いることの利点は磁気シールドの構造重量を軽減することが可能になり、シールド装置の組み立てや施工性を改善することができる。例えば軟鉄やNiFe合金などの圧延薄板(厚さ0.5乃至1mm)を用いたシールドでは1Kgの重量に対して350×350mm乃至500×500mmのシールド壁を作ることが限界である。しかし、200μmのシートでは2×2mのシールド壁を作ることが可能であり、シールド壁の部品点数を大幅に減少させることができる。シールドの特性としてはNiFe板1枚のシールド率が20dB程度であり、本発明では10μmシートの条件でも10乃至15dB、またこれを200μmにすることで20dB以上のシールド率を得ることができる。
【0022】
また、本発明は上記いずれかの磁気シールド用磁性体であって、前記シート形状の磁性体は1枚のシート厚さが10μm以上且つ30μm以下であり、2枚以上のシートの積層体で構成されることを特徴とする。シート形状の磁性体ではその製造方法によってシート面内の方向によって磁気異方性を生ずることがある。本発明では前記シート形状の磁性体を2枚以上重ねて用いることで、磁気異方性の効果を相殺し、遮蔽を行なう空間磁場の方向に依存しないシールド特性をえることができる。例えば、磁気異方性の有る2枚のシート形状の磁性体を互いに磁化容易方向が垂直になる配置を持って積層することでシールド壁面の磁気特性を等方的に改善することができる。また、積層の効果はシールドに用いられる磁性体の体積を増加させることから、磁性体全体の透磁率を高く保つ効果をもたらす。よって、磁気シールドの効率を向上させることが可能になる。
【0023】
また、本発明は上記いずれかの磁気シールド用磁性体であって、鉄元素を主成分とする粒径500nm以下の微細結晶粒が組織の少なくとも50%以上を占める合金材料で構成され、シートまたはテープ状の形状であることを特徴とする。この鉄合金(Fe合金)の微細結晶材料(ナノ結晶材料とも称する)は、例えば日本国特許第2625485号公報にあるようにアモルファス材料を所望の温度で熱処理することで得られる。この特許の構成では空間の磁束を効率よく収集可能なため、従来の磁気シールドと比較して厚さの薄い磁性体を使用することが可能である。薄い磁性体を得るためには例えば圧延や超急冷法による箔体があるが、圧延しやすい軟鉄やNiFe合金、超急冷で得るアモルファス箔体ではシート材料の変形が逆時歪効果に等による磁気特性の劣化を起こしやすいため、シールド壁の施工において取り扱いが難しくなるなどの問題を生じる可能性がある。また、特にNiFe合金では材料の硬さが不十分になりシールド壁の自重によってシートが変形して発生した結晶欠陥が磁気特性を著しく劣化させる。これに対して高透磁率のFe基合金を超急冷で形成した箔体を熱処理することによって得られる磁性体シートでは、得られたFe基合金の硬さが十分なことや逆磁歪効果を起こしにくいことで、十分な薄さの磁性体シートを得ることが可能である。また、特開平6−112031号公報に述べられているように、機械的な変形に対して材料を破壊しにくくするとともに加工に対する形状的な制約を著しく減じることができる。この磁性体シートを用いた本発明の磁気シールドでは、シールド壁を軽量化することが可能であり、かつ応力の影響を極力排除可能なため施工時における材料の取り扱いも簡単である。以上、本発明によって軽量で施工性に優れた磁気シールドを提供することができる。
【0024】
本発明に係る磁性体に用いる鉄合金(Fe合金)の微細結晶材料は、望ましくはFe−Cu−Nb−Si−B系のbccFeの微細結晶組織(もしくは微細結晶粒)を備える軟磁性材料を用いる。さらに望ましくは前記微細結晶粒の平均結晶粒径が100nm以下である材料を用いる。
【0025】
(実施例)
(実験例1)
本実験例は図3に示す本発明の磁気シールド装置が図5に示す従来の磁気シールド装置と比べてどの程度優れたシールド率(dB)を有するかを実験データで示す。本発明の磁気シールド装置と従来の磁気シールド装置の仕様を表1にまとめた。
【0026】
【表1】
Figure 0004433369
【0027】
[シールド装置の作製]
Fe−Cu−Nb−Si−B系合金の溶湯を単ロール法により急冷し幅50mm、厚さ20μmの非晶質合金薄帯を作製した。次にこの合金薄帯を窒素ガス雰囲気中570℃で60分保持し空冷した。得られた薄帯はbccFeの微細結晶組織を備え組織の大部分が50nm以下の粒径の結晶粒からなる結晶主体の軟磁性合金であった。この薄帯を一部重ね合わせ幅方向に繋ぎ合わせて600mm×600mmのシートを作製しこのシートを10枚積層してシールド壁を作製した。各薄帯および各シートの磁化容易方向(薄帯の長手方向)は揃えてあり、それを外部磁場方向Hoと一致させた。磁気センサーはシールド装置の中心部にHo方向の磁場を検出するように設置した。交流電流源と制御装置と磁場計測装置とからなる制御手段は図3に示したとおり磁気センサおよびコイル50と接続される。
【0028】
[測定条件]
同軸に対向する一対のヘルムホルツコイル(直径1800mm)によってコイル軸中心点で18.5μTのコイル軸方向の外部磁場(50Hz,100Hz,200Hz)を発生させ、この磁場中に1辺の長さが600mmの立方体からなるシールド装置を配置し、中心点にて磁束密度を測定しシールド率(dB)を算出した。
【0029】
その結果を図7に示す。コイルが厚いほど遮蔽効果は大きく、また、周波数が高いほうが遮蔽効果は大きい。
【0030】
(実験例2)
本実験例では図3,5,6に示す各磁気シールド装置を用いてコイルが磁気シールド装置の遮蔽効果を高めるのに効果的であることを示す。実験は5つの磁気シールド装置を使用した。それらの仕様を表2にまとめた。
【0031】
【表2】
Figure 0004433369
【0032】
測定条件は実験例1と同様であるがヘルムホルツコイルの電流を変化させて発生磁場を19.4μT〜124.3μTとした。磁場の周波数は200Hzに固定した。
【0033】
その結果を図8に示す。▲1▼,▲2▼のグラフよりコイルのみのシールド効果は6dB程度までであることが分る。▲4▼と▲3▼のグラフの差および▲5▼と▲3▼のグラフの差よりシールド壁と組み合わせるとコイルのシールド効果は9dB程度までに拡大することが分る。これはシールド壁の磁束密度が下がったことにより動作点がμの大きい方へ移動したことによるものと考えられる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の構成を用いることにより、シールド壁を構成する磁性体の厚さを厚くしなくても磁気飽和が起こり難く、軽量で高性能なシールド特性が得られる磁気シールド装置を提供することができる。また、高価な軟磁性材料の使用量を抑制することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来構造の磁気シールド装置のシールド壁の磁束密度が高い状態。
【図2】本発明の磁気シールド装置のシールド壁の磁束密度が低い状態。
【図3】本願第一の発明の磁気シールド装置の実施形態を示す図である。
【図4】本願第二の発明の磁気シールド装置の実施形態を示す図である。
【図5】従来構造の磁気シールド装置の実施形態を示す図である。
【図6】本発明に用いるコイルの斜視図である。
【図7】図3に示す本発明の磁気シールド装置と図5に示す従来の磁気シールド装置のシールド率の実験データ。
【図8】図3,5,6に示す各磁気シールド装置を用いてコイルが磁気シールド装置の遮蔽効果を高めるのに効果的であることを示す実験データ。
【符号の説明】
1 シールド壁
2 シールド空間
3 磁束
4 コイル
5 導電体
6 開口部
7 ドア
8 磁気センサー
10 磁気シールド装置
50 コイル
Ho 外部磁場方向
Hc コイルによる磁場方向

Claims (1)

  1. 軟磁性材料を備えるシールド壁によって所定のシールド空間を囲んでなる磁気シールド装置であって、外部磁場の三軸方向各成分によるシールド壁の最大磁束密度を示す箇所と一致する位置にシールド空間を囲むコイルを配置し、シールド空間内の磁場の三軸方向各成分を検出する磁気センサーと、磁気センサーの検出値に基づき前記コイルへの通電を制御して前記最大磁束密度を低下させる磁場を発生させる制御手段とを備えることを特徴とする磁気シールド装置。
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