JP4433113B2 - 液晶配向剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶配向剤に関する。さらに詳しくは、垂直配向性、電圧保持特性、低残留DC、印刷性に優れた新規な液晶配向剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶表示素子としては、透明導電膜が設けられている基板表面にポリアミック酸、ポリイミドなどからなる液晶配向膜を形成して液晶表示素子用基板とし、その2枚を対向配置してその間隙内に正の誘電異方性を有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッチ構造のセルとし、液晶分子の長軸が一方の基板から他方の基板に向かって連続的に90度捻れるようにした、いわゆるTN型(Twisted Nematic)液晶セルを有するTN型液晶表示素子が知られている。また、TN型液晶表示素子に比してコントラストが高くて、その視角依存性の少ないSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子や、垂直配向型液晶表示素子が開発されている。このSTN型液晶表示素子は、ネマチック型液晶に光学活性物質であるカイラル剤をブレンドしたものを液晶として用い、液晶分子の長軸が基板間で180度以上にわたって連続的に捻れる状態となることにより生じる複屈折効果を利用するものである。
【0003】
これらに対し、垂直配向型液晶表示素子は例えば液晶分子の誘電異方性が負の液晶を垂直配向させ、電圧の印加により液晶分子を倒して水平に動作させるものであり、視野角、コントラスト、ラビングレスなどの点で優れており、近年さかんに研究されている。
垂直配向させるためには高いプレチルト角が必要であり、配向剤中にプレチルト角を発現するための成分を多量に含ませる必要がある。プレチルト発現成分には、通常、脂肪族、脂環族、フッ素系の官能基が用いられることが多い。
【0004】
しかし、これによりプレチルト角発現成分同士の凝集や結晶化などが起こり、印刷性を悪化させるという問題があった。
したがって、印刷性に優れ、かつ、垂直配向性、低残像性、電圧保持特性を満足する液晶配向剤の開発が望まれている。
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、それ故、垂直配向性、低残留DC、電圧保持特性、印刷性が良好な液晶配向剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
(A)下記式(1)
【0006】
【化4】
【0007】
ここで、R1は4価の有機基でありそしてR2は2価の有機基である、
で表される繰返し単位を有するポリアミック酸、および
(B)下記式(2)
【0008】
【化5】
【0009】
ここで、R3は4価の有機基でありそしてR4は2価の有機基である、ただし、R4のうち少なくとも10モル%は下記式(2−1)で表される2価の有機基であるものとする、
【0010】
【化6】
【0011】
で表される繰返し単位を有するポリアミック酸を少なくとも部分的に脱水閉環して得られるイミド化率が40%以上であるイミド化重合体(以下、「(B)成分」ともいう)、
を含有してなり、垂直配向型液晶表示素子の液晶配向膜を形成するために用いられる、液晶配向剤によって達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
ポリアミック酸
上記(A)成分として使用されるポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、開環重付加させて得られる。また(B)成分として使用されるイミド化重合体は、ポリアミック酸を少なくとも部分的に脱水閉環して得られる。
【0014】
<テトラカルボン酸二無水物>
上記ポリアミック酸の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボニル−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−ジ無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、下記式(3)および(4)で表される化合物などの脂環式テトラカルボン酸二無水物;
【0015】
【化7】
【0016】
(式中、R7およびR9は、芳香環を有する2価の有機基を示し、R6およびR8は、水素原子またはアルキル基を示し、複数存在するR7およびR9は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(5)〜(8)で表される化合物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0017】
【化8】
【0018】
これらのうち、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボニル−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−ジ無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、上記式(3)で表される化合物のうち下記式(9)〜(11)で表される化合物および上記式(4)で表される化合物のうち下記式(12)で表される化合物が、良好な液晶配向性を発現させることができる観点から好ましい。特に好ましいものとして、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボニル−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−ジ無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ピロメリット酸二無水物および上記式(9)で表される化合物を挙げることができる。
【0019】
【化9】
【0020】
また、本発明で用いられる(A)成分は、式(1)中のR1の50モル%以上が脂環族であるものが低残留DC、電圧保持特性の点から好ましい。このような(A)成分は、テトラカルボン酸二無水物として脂環式テトラカルボン酸二無水物を50モル%以上用いることにより、得ることができる。
【0021】
<ジアミン>
上記ポリアミック酸の合成に用いられるジアミンとしては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニルなどの芳香族ジアミン;
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族および脂環式ジアミン;
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミンおよび下記式(13)〜(15)で表される化合物などの、分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
【0022】
【化10】
【0023】
(式中、R10は、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する1価の有機基を示し、Xは2価の有機基を示す。)
【0024】
【化11】
【0025】
(式中、R11は、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する2価の有機基を示し、Xは2価の有機基を示し、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
下記式(15)で表されるジアミノオルガノシロキサン;
【0026】
【化12】
【0027】
(式中、R12は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、複数存在するR12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、pは1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)
下記式(16)〜(20)で表される化合物などを挙げることができる。これらのジアミン化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0028】
【化13】
【0029】
(式中、yは2〜12の整数であり、zは1〜5の整数である。)
これらのうち、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、上記式(16)〜(20)で表される化合物、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、上記式(13)で表される化合物のうち下記式(21)で表される化合物および上記式(14)で表される化合物のうち下記式(22)で表される化合物が好ましい。
【0030】
【化14】
【0031】
本発明で用いられる(B)成分であるイミド化重合体は、上記式(2)中のR4ののうち少なくとも10モル%が上記式(2−1)で表される2価の有機基である。このような(B)成分は、テトラカルボン酸二無水物と、下記式(23)で表されるジアミンのうちの下記式(24)で表されるジアミンを10モル%以上含有するジアミンとを用いてポリアミック酸を合成、脱水閉環することにより得られる。
【0032】
【化15】
【0033】
式中、R5 は炭素数10〜20のアルキル基または炭素数4〜40の脂環式骨格を有する1価の有機基であり、Xは2価の有機基である。
【0034】
上記式(23)で表されるジアミンは、側鎖に炭素数10〜20のアルキル基または炭素数4〜40の脂環式骨格から選ばれる少なくとも1種を有するジアミンである。
炭素数10〜20のアルキル基としては、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられる。また、炭素数4〜40の脂環式骨格としては、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロデカンなどのシクロアルカン由来の脂環式骨格;コレステリル基、コレスタリル基などのステロイド骨格;ノルボルネン骨格、アダマンタン骨格などが挙げられる。
これらの中では、炭素数4〜40の脂環式骨格が好ましく、特に好ましくはステロイド骨格である。
【0035】
また、これらのアルキル基または脂環式骨格は、その一部または全部がハロゲン原子によって置換されていてもよい。
また、Xで表される2価の有機基としては、好ましいものとして、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−CO−および−CH2O−、メチレン基、アルキレン基などが挙げられ、特に好ましいものとして、−O−、−COO−および−OCO−が挙げられる。
【0036】
このような構造を有するジアミンの具体例としては、下記式(24)〜(29)で表される化合物、n−デシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、n−ドデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、n−ヘキサデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、n−オクタデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、2−n−デシルオキシ−1,4−ジアミノベンゼン、2−n−ドデシルオキシ−1,4−ジアミノベンゼン、2−n−ヘキサデシルオキシ−1,4−ジアミノベンゼン、2−n−オクタデシルオキシ−1,4−ジアミノベンゼン、n−デカノキシメチル−2,4−ジアミノベンゼン、n−ドデカノキシメチル−2,4−ジアミノベンゼン、n−ヘキサデカノキシメチル−2,4−ジアミノベンゼン、n−オクタデカノキシメチル−2,4−ジアミノベンゼン、2−n−デカノキシメチル−1,4−ジアミノベンゼン、2−n−ドデカノキシメチル−1,4−ジアミノベンゼン、2−n−ヘキサデカノキシメチル−1,4−ジアミノベンゼン、2−n−オクタデカノキシメチル−1,4−ジアミノベンゼンなどを挙げることができる。
【0037】
【化16】
【0038】
(B)成分の合成において、上記式(24)で表されるジアミンの使用量は、(B)成分の合成に用いられる全ジアミンの10モル%以上、好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上である。
(A)成分において、上記式(23)で表されるジアミンが併用されていてもよい。
<ポリアミック酸の合成>
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
【0039】
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において、好ましくは−20℃〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を例示することができる。また、有機溶媒の使用量(α)は、通常、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計量(β)が、反応溶液の全量(α+β)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
【0040】
なお、上記有機溶媒には、ポリアミック酸の貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。斯かる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、乳酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
【0041】
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。そして、この反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによりポリアミック酸を得ることができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒で析出させる工程を1回または数回行うことにより、ポリアミック酸を精製することができる。
【0042】
<イミド化重合体>
本発明の液晶配向剤を構成するイミド化重合体は、ポリアミック酸を少なくとも部分的に脱水閉環することにより合成することができる。ポリアミック酸の脱水閉環は、(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。本発明で使用されるイミド化重合体には、部分的に脱水閉環された、イミド化率(重合体中のアミック酸繰返し単位とイミド環繰返し単位の合計数に対する、イミド環繰返し単位の割合を%で表したもの)が100%未満のイミド化重合体が含まれていてもよい。
【0043】
本発明におけるイミド化重合体のイミド化率は以下のように求めることができる。
重合体を室温で減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解させ、テトラメチルシランを基準物質として室温で1H−NMRを測定し、下記式(ii)で示される式により求められる。
イミド化率(%)=(1−A1/A2×α)×100 (ii)
A1:NH基のプロトン由来のピーク面積(10ppm)
A2:その他のプロトン由来のピーク面積
α :重合体の前駆体(ポリアミック酸)における、NH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合
イミド化率は、脱水剤あるいは脱水閉環剤の使用量により調整することができる。本発明に用いられる(B)成分は、イミド化率は40%以上であることが必要であり、好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。40%未満だと十分な垂直配向性、低残留DCが得られない。
【0044】
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が低下することがある。
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、所望するイミド化率によるが、通常、ポリアミック酸の繰返し単位1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。
【0045】
脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒と同じものを挙げることができる。また、脱水閉環反応の反応温度は、通常0〜180℃、好ましくは10〜150℃とされる。また、このようにして得られる反応溶液に対し、ポリアミック酸の精製方法と同様の操作を行うことにより、イミド化重合体を精製することができる。
【0046】
<末端修飾型の重合体>
本発明に用いられるポリアミック酸およびイミド化重合体は、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。この末端修飾型の重合体を用いることにより、本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性などを改善することができる。このような末端修飾型のものは、ポリアミック酸を合成する際に、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを反応系に添加することにより合成することができる。ここで、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。また、モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。また、モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
【0047】
以上のようにして得られるポリアミック酸およびイミド化重合体は、その対数粘度(ηln)の値が好ましくは0.05〜10dl/g、より好ましくは0.05〜5dl/gである。
本発明における対数粘度(ηln)の値は、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、濃度が0.5g/100ミリリットルである溶液について30℃で粘度の測定を行い、下記式(i)によって求められるものである。
【0048】
【数1】
【0049】
(A)成分と(B)成分の割合は(B)成分が1〜99重量%、好ましくは5〜95重量%である。(B)成分が1重量%以下だと十分な垂直配向性が得られず、99重量%以上だと十分な密着性、印刷性を得ることができない。
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、上記(A)成分および(B)成分が、通常、有機溶媒中に溶解含有されて構成される。
【0050】
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、通常、0℃〜200℃、好ましくは20℃〜60℃である。
本発明の液晶配向剤を構成する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成反応に用いられるものとして例示した溶媒を挙げることができる。また、ポリアミック酸の合成反応の際に併用することができるものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用することができる。
【0051】
本発明の液晶配向剤における固形分濃度は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲とされる。すなわち、本発明の液晶配向剤は、基板表面に塗布され、液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
【0052】
本発明の液晶配向剤には、目的の物性を損なわない範囲内で、基板表面に対する接着性を向上させる観点から、官能性シラン含有化合物、エポキシ化合物が含有されていてもよい。かかる官能性シラン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。かかるエポキシ基含有化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
【0053】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
[重合体のイミド化率]
重合体を室温で減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解させ、テトラメチルシランを基準物質として室温で1H−NMRを測定し、下記式(ii)で示される式により求めた。
イミド化率(%)=(1−A1/A2×α)×100 (ii)
A1:NH基のプロトン由来のピーク面積(10ppm)
A2:その他のプロトン由来のピーク面積
α :重合体の前駆体(ポリアミック酸)における、NH基のプロトン1個
【0054】
に対するその他のプロトンの個数割合
[印刷性]
日写オングストローマを用いて印刷し、ポストベーク後の基板を顕微鏡にて観察した。
印刷ムラなし ○
印刷ムラあり ×
[プレチルト角]
中央製機社製OMS−J3により、25℃におけるリタデーションの対称角からのずれから、プレチルト角を算出した。
[液晶表示素子の電圧保持率]
液晶表示素子に5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製VHR−1を使用した。
[残留DC電圧]
液晶表示素子に直流1.0Vを重畳した30Hz、2.0Vの矩形波を70℃の環境温度で1時間印加し、直流電圧を切った直後の液晶セル内に残留した電圧をフリッカ−消去法ににより残留DC電圧を求めた。
【0055】
合成例1((A)成分の合成)
1−メチル−2−ピロリドン450gに表1に示すモノマー仕込みで固形分濃度が20重量%になるように、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを、この順で加え、室温で4時間反応させポリアミック酸を得た。
【0056】
合成例2〜4、比較合成例1〜5((B)成分の合成)
1−メチル−2−ピロリドン450gに表1に示すモノマー仕込みで固形分濃度が20重量%になるように、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを、この順で加え、60℃で4時間反応させポリアミック酸を得た。つづいて、1−メチル−2−ピロリドンを加えて固形分濃度を5重量%とした後、表1の組成で触媒を加え、100℃で4時間脱水閉環反応を行った。次にこの反応液をジエチルエーテルに注ぎ、沈殿を回収し、乾燥してイミド化重合体を得た。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例1〜3および比較例1〜5
合成例1で得たポリアミック酸(A)にN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを全ポリマー量((A)成分+(B)成分)100重量部に対し20重量部になるように加え、1−メチル−2−ピロリドン/4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(重量比60/40)の混合溶剤と、合成例2〜7で得られたイミド化重合体(B)を表2に示すように配合して固形分濃度が6重量%となるように調整した後、1ミクロンのフィルターで濾過調製し液晶配向剤を得た。得られた液晶配向剤を用いて下記方法により液晶表示素子を得た。
【0059】
液晶表示素子の作製:
厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、液晶配向剤をスピンナーを用いて塗布し、80℃で1分間、その後180℃で1時間加熱乾燥することにより乾燥膜厚600オングストロームの塗膜を形成した。次に、レーヨン製の布を巻きつけたロールを有するラビングマシーンを用いてラビング処理を行うことにより、液晶配向能を当該塗膜に付与して液晶配向膜とした。ここに、ラビング処理条件は、ロールの回転数400rpm、ステージ移動速度30mm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmとした。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの基板の外縁部に、酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂系接着剤をスクリーン印刷法により塗布した後、2枚の基板を間隙を介して対向配置し、外縁部同士を当接させて圧着して接着剤を硬化させた。
基板の表面および外縁部の接着剤により区画されたセルギャップ内に、ネガ型ネマティック型液晶を注入充填し、次いで、注入孔をエポキシ系接着剤で封止して液晶表示素子を作製した。
これらの液晶配向剤および液晶表示素子の評価結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、液晶配向膜としたとき、液晶の垂直配向性が良好で、かつ、高い電圧保持特性、低残留DC、印刷性に優れた液晶配向膜を形成することができる液晶配向剤を提供することができる。
Claims (3)
- 式(1)のR1のうち少なくとも50モル%が4価の脂環族基である請求項1記載の液晶配向剤。
- 請求項1または2に記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を有する垂直配向型液晶表示素子。
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