JP3894085B2 - 液晶配向剤および液晶表示素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶配向剤に関する。さらに詳しくは、垂直配向性が良好で、ラビング処理されない液晶表示素子においても、長時間の点灯後でも残像がほとんど見られず、信頼性の高い液晶配向剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶表示素子としては、透明導電膜が設けられている基板表面にポリアミック酸、ポリイミドなどからなる液晶配向膜を形成して液晶表示素子用基板とし、その2枚を対向配置してその間隙内に正の誘電異方性を有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッチ構造のセルとし、液晶分子の長軸が一方の基板から他方の基板に向かって連続的に90度捻れるようにした、いわゆるTN(Twisted Nematic)型液晶セルを有するTN型液晶表示素子が知られている。また、TN型液晶表示素子に比してコントラストが高くて、その視角依存性の少ないSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子や、垂直配向型液晶表示素子が開発されている。このSTN型液晶表示素子は、ネマチック型液晶に光学活性物質であるカイラル剤をブレンドしたものを液晶として用い、液晶分子の長軸が基板間で180度以上にわたって連続的に捻れる状態となることにより生じる複屈折効果を利用するものである。
これらに対しMVA(Multi domain Vertical Alignment)方式やPVA(Patterned Vertical Alignment)と呼ばれる垂直配向型液晶表示素子が提案されている。これらのMVA方式やPVA方式の液晶表示素子は、視野角、コントラストなどに優れ、液晶配向膜の形成においてラビング処理を行わなくて良いなど、製造工程の面でも優れている。MVA方式やPVA方式に好適な液晶配向膜としては、垂直配向性に優れる、液晶表示素子の残像消去時間が短いなどの性能が要求されているが、更に液晶表示素子の性能が向上するにあたり、長時間の点灯後でも残像がほとんど見られず、信頼性の高い液晶配向剤が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、垂直配向性に優れ、長時間の点灯後でも液晶表示素子の残像がみられず、信頼性の高い液晶配向剤を提供することである。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、下記式(I−1)で表される繰り返し単位および下記式(I−2)で表される繰り返し単位を有する重合体(以下、「特定重合体」ともいう)を含有することを特徴とする、液晶配向剤によって達成される。
【0005】
【化5】
【0006】
(式中、X1 およびX2 は4価の有機基であり、Y1 は下記式(i)で表される2価の基であり、Y2 は下記式(ii)で表される基または下記式(iii)で表される基である。)
【0007】
【化6】
【0008】
(式中、Zは、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−S−またはアリーレン基であり、R1 は、炭素数10〜30のアルキル基、炭素数4〜40の脂環式骨格を有する1価の有機基または炭素数6〜20のフッ素原子を有する1価の有機基である。)
【0009】
【化7】
【0010】
(式中、各R2 は相互に独立にメチル基またはトリフルオロメチル基である。)
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液晶配向剤は、特定重合体が、通常、有機溶媒に溶解されて構成される。特定重合体は、上記式(I−1)で表される繰り返し単位および上記式(I−2)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸であり、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られる。
【0012】
特定重合体
<テトラカルボン酸二無水物>
特定重合体の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物の構造は、下記式で表される。
【0013】
【化8】
【0014】
(式中、X1 およびX2 は4価の有機基である。)
【0015】
当該テトラカルボン酸二無水物としては、下記式(iv’)で表される化合物および下記式(v’)で表される化合物(ピロメリット酸二無水物)(これらをまとめて「特定酸無水物」ともいう)が好ましい。
【0016】
【化9】
【0017】
(式中、各R3 は相互に独立に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基または炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基を示す。)
【0018】
これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
上記式(iv’)で表される化合物の具体例としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
これらのうち、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物およびピロメリット酸二無水物が特に好ましい。
【0019】
特定酸無水物の使用割合は、特定重合体の合成に用いられる全テトラカルボン酸二無水物中、特定酸無水物の合計量の割合が、好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上、特に好ましくは50%以上である。特定酸無水物を10モル%以上の割合で用いることにより、液晶表示素子の残像低減に顕著な効果が得られる。
【0020】
特定酸無水物と併用できるその他の酸ニ無水物としては、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボニル−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−ジ無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3,2,1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、下記式(I)および(II)で表されるなどの脂環式テトラカルボン酸二無水物;
【0021】
【化10】
【0022】
(式中、R4およびR7は、芳香環を有する2価の有機基を示し、R5およびR6は、水素原子またはアルキル基を示し、複数存在するR5およびR6は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0023】
ブタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物;
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0024】
<ジアミン>
特定重合体の合成に用いられるジアミンは、上記式(i)で表される基を有するジアミン(下記式(i’)で表されるジアミン)と、上記式(ii)で表される基を有するジアミン(下記式(ii’)で表されるジアミン)および/または上記式(iii)で表される基を有するジアミン(4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)である。
【0025】
【化11】
【0026】
(式中、Z、R1 、R2 の定義は上記式(i)および(ii)に準ずる。)
【0027】
上記式(i)において、R1 で表される炭素数10〜30のアルキル基としては、例えば、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられる。
また、上記式(i)におけるR1で表される炭素数4〜40の脂環式骨格を有する有機基としては、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロデカンなどのシクロアルカン由来の脂環式骨格を有する基;コレステロール、コレスタノールなどのステロイド骨格を有する基;ノルボルネン、アダマンタンなどの有橋脂環式骨格を有する基などが挙げられる。これらの中で、特に好ましくはステロイド骨格を有する基である。上記脂環式骨格を有する有機基は、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子や、フルオロアルキル基、好ましくはトリフルオロメチル基で置換された基であってもよい。
【0028】
さらに、上記式(i)におけるR1 で表される炭素数6〜20のフッ素原子を有する基としては、例えば、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素数6以上の直鎖状アルキル基;シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの炭素数6以上の脂環式炭化水素基;フェニル基、ビフェニル基などの炭素数6以上の芳香族炭化水素基などの有機基における水素原子の一部または全部を、フッ素原子またはトリフルオロメチル基などのフルオロアルキル基で置換した基が挙げられる。
【0029】
また、上記式(i)におけるZは、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−S−またはアリーレン基であり、アリーレン基としては、フェニレン基、トリレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。これらのうち、特に好ましくは、−O−、−COO−、−OCO−で表される基である。
【0030】
上記式(i)で表される基を有するジアミンの具体例としては、ドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、下記式(1)〜(6)で表される化合物を好ましいものとして挙げることができる。
【0031】
【化12】
【0032】
特定重合体の合成における上記式(i)の構造を有するジアミンの使用割合は、特定重合体の合成に用いられる全ジアミン中、好ましくは5〜90モル%、さらに好ましくは10〜80モル%、特に好ましくは15〜70モル%である。上記式(i)の構造を有するジアミンを5モル%以上用いることにより、垂直配向性に優れた液晶配向膜を形成可能な液晶配向剤が得られる。
【0033】
上記式(ii)で表される基を有するジアミンとしては、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニルおよび2,2'−ジトリフルオロメチル−4,4'−ジアミノビフェニルを挙げることが出来る。上記式(ii)で表される基を有するジアミンと上記式(iii)で表される基を有するジアミンは、1種単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
特定重合体の合成における上記式(ii)で表される基を有するジアミンと上記式(iii)で表される基を有するジアミンとの合計使用割合は、特定重合体の合成に用いられる全ジアミン中、好ましくは10〜95モル%、さらに好ましくは20〜90モル%、特に好ましくは30〜85モル%である。当該ジアミンを10モル%以上の割合で用いることにより、液晶表示素子の残像低減に十分な効果が得られる。
【0034】
特定重合体を合成する際には、上述したジアミンの他に他のジアミンを併用してもよい。併用できる他のジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニルなどの芳香族ジアミン;
【0035】
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族および脂環式ジアミン;
【0036】
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミンなどの分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
下記式(III)で表されるジアミノオルガノシロキサンなどが挙げられる。これらのジアミンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0037】
【化13】
【0038】
(式中、R8 は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、複数存在するR8 は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、pは1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)
【0039】
これらのうちp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、上記式(III)で表されるジアミノオルガノシロキサンなどが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0040】
【0041】
特定重合体の合成
特定重合体の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において、通常−20℃〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。
【0042】
ここで、有機溶媒としては、合成される重合体を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を例示することができる。また、有機溶媒の使用量(α)は、通常、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(β)が、反応溶液の全量(α+β)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
【0043】
なお、上記有機溶媒には、ポリアミック酸の貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。斯かる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、乳酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
【0044】
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。そして、この反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによりポリアミック酸を得ることができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒で析出させる工程を1回または数回行うことにより、ポリアミック酸を精製することができる。
【0045】
末端修飾型の重合体
本発明で用いられる特定重合体は、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。この末端修飾型の重合体を用いることにより、本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性などを改善することができる。このような末端修飾型の重合体は、ポリアミック酸を合成する際に、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを反応系に添加することにより合成することができる。ここで、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。また、モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。また、モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
【0046】
特定重合体の対数粘度
本発明に用いられる特定重合体は、その対数粘度(ηln)の値が、好ましくは0.05〜10dl/g、より好ましくは0.05〜5dl/gである。
本発明における対数粘度(ηln)の値は、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、濃度が0.5g/100ミリリットルである溶液について30℃で粘度の測定を行い、下記式(i)によって求められるものである。
【0047】
【0048】
液晶配向剤
本発明の液晶配向剤は、特定重合体が、通常、有機溶媒中に溶解された溶液として構成される。本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは0℃〜200℃であり、より好ましくは20℃〜60℃である。
【0049】
本発明の液晶配向剤を構成する有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどを挙げることができる。
【0050】
本発明の液晶配向剤における固形分濃度は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲にある。すなわち、本発明の液晶配向剤は、基板表面に塗布され、液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
【0051】
本発明の液晶配向剤には、目的の物性を損なわない範囲内で、基板表面に対する接着性を向上させる観点から、官能性シラン含有化合物、エポキシ化合物が含有されていてもよい。かかる官能性シラン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
【0052】
また、かかるエポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3−(N−アリルーNーグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
これら官能性シラン含有化合物やエポキシ化合物の配合割合は、全重合体100重量部に対して、通常、40重量部以下、好ましくは0.1〜30重量部である。特に、エポキシ化合物を添加することにより、得られる液晶配向膜の耐擦傷性をより向上させることができる。特に好ましいエポキシ化合物は、 N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランなどの窒素含有エポキシ化合物である。
【0053】
液晶表示素子
本発明の液晶配向剤は、液晶セルを形成する少なくとも一方の基板が突起形状またはパターン形状をする垂直配向型液晶表示素子に好適に用いることができる。上記形状は、素子の配向規制手段として用いられる。このような液晶表示素子としては、例えば、MVA方式の液晶表示素子が挙げられる。MVAモードとは“液晶 Vol.3 No.2 117(1999年)”や特開平11−258605に示すように、突起を配向規制手段に用いた垂直配向モードを示す。突起およびパターンは、TFT基板側およびカラーフィルター側のそれぞれに形成されていてもよく、例えばカラーフィルター側に突起を有し、TFT側にパターンを有する等、両方の配向規制手段を有するものでもよい。
【0054】
本発明の液晶配向剤を用いて得られる液晶表示素子は、例えば次の方法によって製造することができる。
(1)パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法などの方法によって塗布し、次いで、塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2 )からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができ、これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や予めマスクを用いる方法が用いられる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板の該表面に、官能性シラン含有化合物、官能性チタン含有化合物などを予め塗布することもできる。液晶配向剤塗布後の加熱温度は80〜300℃とされ、好ましくは120〜250℃とされる。なお、本発明の液晶配向剤は、塗布後に有機溶媒を除去することによって配向膜となる塗膜を形成するが、加熱することによって脱水閉環を進行させ、イミド化された塗膜とすることもできる。
形成される塗膜の膜厚は、通常0.001〜1μmであり、好ましくは0.005〜0.5μmである。
【0055】
(2)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、2枚の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成するそれぞれの基板の他面側に、偏光板を貼り合わせることにより、液晶表示素子が得られる。
【0056】
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
液晶としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができ、その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
また、液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0058】
[液晶表示素子の作製方法]
厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、液晶配向剤をスピンナーを用いて塗布し、80℃で1分間、その後180℃で1時間乾燥することにより乾燥膜厚600オングストロームの塗膜を形成した。
【0059】
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの基板の外縁部に、酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂系接着剤をスクリーン印刷法により塗布した後、2枚の基板を間隙を介して対向配置し、外縁部同士を当接させて圧着して接着剤を硬化させた。基板の表面および外縁部の接着剤により区画されたセルギャップ内に、ネガ型ネマティック型液晶を注入充填し、次いで、注入孔をエポキシ系接着剤で封止して垂直配向型液晶表示素子を作製した。
[垂直配向性]
電圧OFF時および交流12V(ピーク−ピーク)での液晶表示素子をクロスニコル下で観察した。
[電圧保持率]
液晶表示素子に5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製VHR−1を使用した。
【0060】
[液晶表示素子の残像消去時間]
液晶表示素子に直流6.0V、交流6.0V(ピーク−ピーク)を重畳した30Hz、3.0Vの矩形波を70℃の環境温度で167時間印加した後、電圧をOFFとし、目視により残像が消去するまでの時間を測定した。
【0061】
[液晶配向剤の信頼性の評価]
液晶表示素子に直流6.0V、交流6.0V(ピーク−ピーク)を重畳した30Hz、3.0Vの矩形波を70℃の環境温度で167時間印加した後、電圧をOFFとし、残像が消去したのちに、ムラなく、均一に垂直配向しているか目視により確認した。
【0062】
<特定重合体の合成>
合成例1〜19
N−メチル−2−ピロリドン300gに、表1に示す組成で、ジアミン、テトラカルボン酸二無水物の順で加え、固形分濃度20%、60℃で6時間反応させて、表1に示す対数粘度を有するポリアミック酸(1)〜(19)を得た。
【0063】
【表1】
()内数字はモル%
CB:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
PDA:p−フェニレンジアミン
MTB:2,2’−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル
DDE:4,4’―ジアミノジフェニルエーテル
ジアミン▲1▼:上記式(2)で表されるジアミン
【0064】
実施例1〜19、比較例
合成例1〜19で得られた特定重合体、および必要に応じて添加剤としてN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン(エポキシ化合物)を、表2のような組成で混合し、固形分濃度6.0%に調製して、本発明の垂直配向型液晶配向剤を得た。この液晶配向剤を用いて液晶表示素子を作製し、各種評価を行った。結果を表3に示す。
【0065】
【表2】
*()内数字はそれぞれ下記のとおり。
溶剤:溶剤全体に対する各溶剤種の重量%
添加剤:重合体100重量部に対する添加剤の重量部
*溶剤種の略号は次のとおり。
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BC:ブチルセロソルブ
【0066】
【表3】
【0067】
【発明の効果】
本発明の液晶配向剤によれば、垂直配向性に優れ、長時間の点灯後でも液晶表示素子の残像がみられず、信頼性の高い液晶表示素子に好適な液晶配向膜が得られる。
Claims (5)
- 下記式(I−1)で表される繰り返し単位および下記式(I−2)で表される繰り返し単位を有する重合体を含有することを特徴とする、液晶配向剤。
- 重合体において、全繰り返し単位における式(I−1)で表される繰り返し単位の割合が5〜90モル%、式(I−2)で表される繰り返し単位の割合が10〜90モル%である、請求項1または2に記載の液晶配向剤。
- 垂直配向型液晶表示素子に用いられる、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶配向剤。
- 請求項1に記載の液晶配向剤を基板上に塗布して得られた塗膜を、ラビング処理を行わずに液晶配向膜として用いることを特徴とする、垂直配向型の液晶表示素子の製造方法。
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