JP5120047B2 - 垂直配向型液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents
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Description
このような液晶セルにおいて、液晶配向膜は、通常、基板の表面に形成された有機膜の表面をレーヨンなどの布材で一方向にこする方法(ラビング法)により形成されている。かかる有機膜としては、耐熱性および電気特性の点から、ジアミン化合物と二酸無水物とを重縮合反応してなるポリイミド樹脂からなるものが広く用いられる。
また、上記とは別の液晶表示素子の動作モードとして、負の誘電異方性を有する液晶分子を、基板に垂直すなわち、プレチルト角約90°に配向させる垂直(ホメオトロピック)配向モードも知られている。この動作モードでは、基板間に電圧を印加すると、液晶分子は、基板の法線方向から基板面内の一方向に向かって傾く。
このような各種モードで要求される高いプレチルト角を発現させるためには、液晶配向膜として、オクタデシル基のような嵩高い置換基を有するポリイミド樹脂を用いればよいことが知られている。かかる置換基の中でも、嵩高く、且つ剛直なステロイド骨格を有するものは、高いプレチルト角を発現させるために、特に有用である。このような嵩高い置換基を有するポリイミド樹脂は、その合成に際して、嵩高い置換基を有するジアミン化合物または二酸無水物を用いることにより、得ることができる。
そして、近年、液晶表示素子は、あらゆる条件、環境下で使用されるようになり、そのため、液晶配向剤に要求される特性の一つとして、信頼性が重要視されるようになってきた。
本発明の他の目的は、上記垂直配向型液晶配向剤から得られた液晶配向膜を具えた液晶表示素子を提供することにある。
1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン
を含有することを特徴とする。
本発明に係る液晶表示素子は、種々の装置に有効に使用することができ、例えば、卓上計算機、腕時計、置時計、携帯電話、計数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、液晶テレビなどの表示装置として好適に用いることができる。
本発明に係る垂直配向型液晶配向剤(以下、「液晶配向剤」ともいう。)は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応によって得られる、上記式(I−1)または式(I−2)で表される繰り返し単位からなる重合体と、下記式(III )で表されるエポキシ化合物からなるものである。
上記繰り返し単位のうち、上記式(I−1)で表される繰り返し単位を含有する重合体(以下、「特定のポリアミック酸重合体」ともいう。)は、通常、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを有機溶剤中で反応させることによって得られる。また、上記式(I−2)で表される繰り返し単位を含有する重合体(以下、「特定のポリイミド重合体。」ともいう。)は、特定のポリアミック酸重合体のアミック酸部位を脱水閉環することで得られる。
以下、本発明に係る液晶配向剤を構成する特定のポリアミック酸重合体および特定のポリイミド重合体の製造方法について説明する。
(式(III )において、aは2〜4の整数であり、R 3 はa価の有機基であり、a個のNとの結合部位は脂肪族炭素である。)
本発明に係る液晶配向剤を構成する特定のポリアミック酸重合体および/または特定のポリイミド重合体を得るために用いることのできるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジエチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジエチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,4−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、テトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕ドデカン−3,4,8,9−テトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−4−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、下記式(1)および(2)で表される化合物などの脂肪族および脂環式テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(3)〜(6)で表される化合物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
上記式(I−1)および上記式(I−2)で表される繰り返し単位におけるQ1 およびQ2 は、ジアミン化合物に由来する有機基であり、ジアミン化合物から2つのアミノ基を除去した残基に相当するものである。本発明においては、Q1 およびQ2 として、上記式(II−1)および上記式(II−2)で表される有機基のうち少なくとも一種を有する繰り返し単位(以下、「特定の繰り返し単位」という。)を含有する重合体が用いられる。
ここで、炭素数10〜20のアルキル基としては、例えばn−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられる。
また、炭素数4〜40の脂環式骨格を有する一価の有機基としては、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロデカンなどのシクロアルカン由来の脂環式骨格;ノルボルネン、アダマンタンなどの有橋脂環式骨格;コレステロール、コレスタノールなどのステロイド骨格、を有する一価の有機基などが挙げられる。上記脂環式骨格を有する一価の有機基は、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置換された基であっても良い。
また、炭素数6〜20のフッ素原子を有する1価の有機基としては、例えばn−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素数6〜20の直鎖状アルキル基;シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの炭素数6〜20の脂環式炭化水素基;フェニル基、ビフェニル基などの炭素数6〜20の芳香族炭化水素基などの有機基における水素原子の一部または全部を、フッ素原子、フルオロアルキル基またはフルオロアルキルオキシ基で置換した基が挙げられる。
ここで、炭素数4〜40の脂環式骨格を有する二価の有機基としては、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロデカンなどのシクロアルカン由来の脂環式骨格;ノルボルネン、アダマンタンなどの有橋脂環式骨格;コレステロール、コレスタノールなどのステロイド骨格を有する二価の有機基などが挙げられる。上記脂環式骨格を有する二価の有機基は、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置換された基であっても良い。
また、炭素数5〜30のフッ素原子を有する二価の有機基の具体例としては、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素数5〜30の直鎖状アルキル基;シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの炭素数5〜30の脂環式炭化水素基;フェニル基、ビフェニル基などの炭素数5〜30の芳香族炭化水素基などの有機基における水素原子の一部または全部を、フッ素原子またはフルオロアルキル基で置換した基が挙げられる。 上記式(II−2)で表される基を有するジアミン化合物の具体例としては、下記式(23)〜(27)で表される化合物を好ましいものとして挙げることができる。
1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、などの脂肪族ジアミン;
下記式(28)〜(30)で表される化合物などを挙げることができる。
これらのジアミン化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
特定のポリアミック酸重合体の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物のアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2.0当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.8〜1.2当量となる割合である。
特定のポリアミック酸重合体の合成反応は、有機溶媒中において、通常−20℃〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。
また、有機溶媒の使用量(α)は、通常、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(β)が、反応溶液の全量(α+β)に対して0.1〜30重量%となる量であることが好ましい。
本発明の液晶配向剤を構成する特定のポリイミド重合体は、特定のポリアミック酸重合体を脱水閉環することにより合成することができる。本発明に用いる特定のポリイミド重合体は、イミド化率100%未満の、部分的に脱水閉環されたものであってもよい。ここでいう「イミド化率」とは、ポリイミドの全繰り返し単位中、イミド環またはイソイミド環を有する繰り返し単位の割合を、百分率で表した値である。本発明に用いられる特定のポリアミック酸重合体および/または特定のポリイミド重合体のイミド化率は、40%以上が好ましい。特定のポリアミック酸重合体の脱水閉環は、(i)特定のポリアミック酸重合体を加熱する方法により、または(ii)特定のポリアミック酸重合体を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により、縮合させて合成する方法が用いられる。
上記(i)の特定のポリアミック酸重合体を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるポリイミドの分子量が低下することがある。
一方、上記(ii)の特定のポリアミック酸重合体の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、所望するイミド化率によるが、特定のポリアミック酸重合体の繰り返し単位1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。イミド化率は上記の脱水剤、脱水閉環触媒の使用量が多いほど高くすることができる。なお、脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、特定のポリアミック酸重合体の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒と同じものを挙げることができる。そして、脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。また、このようにして得られる反応溶液に対し、特定のポリアミック酸重合体の精製方法におけるのと同様の操作を行うことにより、特定のポリイミド重合体を精製することができる。
本発明に用いられる特定のポリアミック酸重合体および特定のポリイミド重合体は、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。この末端修飾型の重合体を用いることにより、本発明の効果が損なわれることなく液晶配向剤の塗布特性などを改善することができる。このような末端修飾型の重合体は、特定のポリアミック酸重合体を合成する際に、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを反応系に添加することにより合成することができる。ここで、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。また、モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。また、モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
本発明に係る液晶配向剤に使用する重合体は、10重量%の溶液としたときに、20〜800mPa・sの粘度を有するものであることが好ましく、30〜500mPa・sの粘度を有するものであることがより好ましい。
ここで、重合体の溶液粘度(mPa・s)は、所定の溶媒を用い、固形分濃度が10重量%に希釈した溶液についてE型回転粘度計を用いて25℃で測定したものをいう。
以上のようにして得られる特定のポリイミド重合体は、そのイミド化率が電圧保持特性の向上という観点から40%以上が好ましい。
本発明に用いられる特定のポリイミド重合体のイミド化率の値は、ポリイミドを室温で減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解させ、テトラメチルシランを基準物質として室温で 1H−NMRを測定し、下記式(i)で示される式により求められるものである。
式(i) イミド化率(%)=(1−A1/A2×α)×100
ここで、A1はNH基のプロトン由来のピーク面積(10ppm)、A2は芳香環由来のプロトン由来のピーク面積(7〜8ppm)、αは重合体の前駆体(特定のポリアミック酸重合体)における、NH基のプロトン1個に対する芳香環由来のプロトンの個数割合である。
本発明の液晶配向剤を得るためには、特定のポリアミック酸重合体および/または特定のポリイミド重合体が、好ましくは、有機溶媒中に溶解含有されて構成される。また本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは0℃〜200℃であり、より好ましくは20℃〜60℃である。
本発明の液晶配向剤に用いられる有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどを挙げることができる。これらうち好ましい溶媒組成としては、前記の溶媒を組み合わせて得られる組成であって、配向剤中で重合体が析出せず、かつ、配向剤の表面張力が30〜40mN/mの範囲となるような組成である。
かかるエポキシ系化合物の含有量としては、信頼性の観点から液晶配向剤の固形分中好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜45重量%である。
本発明の垂直配向型液晶配向剤を用いた液晶表示素子は、例えば次の方法によって製造することができる。
(1)パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの方法によって塗布し、次いで、塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2 )からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2 O3 −SnO2 )からなるITO膜などを用いることができる。これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や予めマスクを用いる方法が用いられる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面と樹脂膜との接着性をさらに良好にするために、例えば官能性シラン含有化合物、官能性チタン含有化合物などを予め塗布することもできる。液晶配向剤塗布後の加熱温度は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃である。なお、本発明の液晶配向剤は、塗布後に有機溶媒を除去することによって配向膜となる樹脂膜を形成するが、未だ完全にイミド化が進んでいないときには、さらに加熱することによって脱水閉環を進行させ、よりイミド化された樹脂膜とすることもできる。形成される樹脂膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
液晶としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができる。その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
また、液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
(1)イミド化重合体のイミド化率
イミド化重合体を室温で減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解させ、テトラメチルシランを基準物質として室温で 1H−NMRを測定し、下記式(i)に示される式により求めた。
式(i) イミド化率(%)=(1−A1 /A2 ×α)×100
A1 :NH基のプロトン由来のピーク面積(10ppm)
A2 :芳香環由来のプロトン由来のピーク面積(7〜8ppm)
α:重合体の前躯体(ポリアミック酸)における、NH基のプロトン1個に対する芳香環由来のプロトンの個数割合
(2)重合体の溶液粘度
重合体の溶液粘度(mPa・s)は、所定の溶媒を用い、固形分濃度が10重量%に希釈した溶液についてE型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
(3)垂直配向性評価:
上記方法にて作製した垂直配向型液晶表示素子を、クロスニコル下で電圧無印加時および交流電圧8V(ピーク−ピーク)印加時に、液晶表示素子に対し垂直方向から目視で観察したとき、光漏れ等表示不良なく白表示がなされたとき「良好」とした。
(4)印刷性評価:
粘度15〜25mPa・sec(固形分濃度6.0重量%〜8.0重量%)、溶剤組成がγ−ブチロラクトン:N−メチル−2−ピロリドン:ブチルセロソルブ=0:50:50、あるいは40:30:30(重量比)になるように調製し当該調製溶液を用いて印刷法により塗膜を形成・焼成したのち、塗膜を目視により観察した。塗布膜について、ハジキや塗布ムラがないものを「良好」とした。
(5)信頼性評価
上記(3)において、良好な垂直配向性を示した液晶表示素子を用いて、60℃の恒温槽中で48時間連続駆動した後に、表示不良やシミの発生、電圧保持率の変化を確認して信頼性を判定した。
N−メチル−2−ピロリドンに、表1に示す組成で、ジアミン化合物およびテトラカルボン酸二無水物(表中、「酸無水物」と表示)をこの順で加えて固形分濃度20重量%の溶液を調製し、60℃で4時間反応させることにより、表1に示す溶液粘度のポリアミック酸重合体である(PA−1)〜(PA−6)の溶液を得た。
N−メチル−2−ピロリドンに、表1および表2に示す組成で、ジアミン化合物およびテトラカルボン酸二無水物(表中、「酸無水物」と表示)をこの順で加えて固形分濃度20重量%の溶液を調製し、60℃で4時間反応させることにより、ポリアミック酸重合体を得た。得られたポリアミック酸重合体に、ポリアック酸重合体の総量に対して表1に示す倍モル数のピリジンおよび無水酢酸を加えた後、110℃に加熱して4時間脱水閉環反応を行った。イミド化反応終了後、系内の溶剤を新たなN−メチル−2−ピロリドンで置換し(この操作により、イミド化反応において使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。)、表1に示す溶液粘度およびイミド化率の重合体である(PI−1)〜(PI−15)の溶液を得た。
<ジアミン化合物>
D−1:上記式(10)で表されるジアミン化合物
D−2:上記式(11)で表されるジアミン化合物
D−3:上記式(13)で表されるジアミン化合物
D−4:上記式(21)で表されるジアミン化合物
D−5:p−フェニレンジアミン
D−6:4,4’−ジアミノジフェニルメタン
D−7:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
D−8:2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル
<テトラカルボン酸二無水物>
T−1:1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物
T−2:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
T−3:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
T−4:1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン
T−5:ピロメリット酸二無水物
合成例1で得られた重合体(PI−1)を、γ―ブチロラクトン/N−メチル−2−ピロリドン/ブチルセロソルブ(γBL/NMP/BC)混合溶液に溶解させて、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン(添加剤A)を重合体100重量部に対して20重量部溶解させ、溶媒組成が重量比でγBL/NMP/BC=0/50/50、固形分濃度6重量%の溶液を調製した。次いで、孔径0.2μmのフィルターを用いて濾過し、液晶配向剤を得た。この液晶配向剤について印刷性評価を実施したところ、塗膜にハジキや塗布ムラは見られず、良好な印刷性を有することを確認した。
次いで、固形分濃度を4%としたこと以外は上記と同様にして液晶配向剤を調製した。
得られた液晶配向剤を、厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、スピンナーにより塗布し、200℃で60分間乾燥することにより、乾燥膜厚0.08μmの被膜を形成した。
この被膜の表面に対し、レーヨン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロールの回転数400rpm、ステージの移動速度3cm/秒、手足の押し込み長さ0.4mmの条件でラビング処理を施すことにより、液晶配向膜を形成した。
このようにして、液晶表示素子用基板を2枚作製し、これらの液晶表示素子用基板の各々における液晶配向膜が形成された表面の外縁部に、直径3.5μmの酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜が互いに対向するよう間隙を介して重ね合わせて圧着し、この状態で、接着剤を硬化させた。
次いで、予め設けられた液晶注入口からネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を液晶表示素子用基板間のセルギャップ内に充填した後、アクリル系光硬化接着剤により注入口を封止し、液晶表示素子用基板の外側の両面に偏光板を張り合わせることにより、液晶表示素子を作製した。
得られた液晶表示素子に関して、垂直配向性評価を実施したところ、良好であった。また、信頼性試験を測定したところ、恒温連続駆動においても表示ムラ、シミ、および電圧保持率の低下は確認されず、信頼性は良好であった。
下記表2および下記表3に示す処方に従い、参考例1と同様にして固形分濃度6%の溶液を調製して液晶配向剤を得、当該液晶配向剤の印刷性を評価した。また同様に固形分濃度4%の膜形成用組成物を調製し、液晶表示素子を作製した。そして、垂直配向性評価および信頼性試験を実施した。結果を表2および表3に併せて示す。
また、表2および表3に示す添加剤は、以下の通りである。
<添加剤>
添加剤A:1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン
添加剤B:1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン
添加剤C:1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン
添加剤D:N,N,N’,N’−テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン
添加剤E:N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
添加剤F:ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(分子量約400)
Claims (7)
- テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応によって得られる、下記式(I−1)および下記式(I−2)のそれぞれで表される繰り返し単位よりなる群から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位からなり、下記式(I−1)中のQ1 および下記式(I−2)中のQ2 として、下記式(II−1)および下記式(II−2)のそれぞれで表される二価の有機基のうちの少なくとも一種を有する繰り返し単位を含有する重合体、並びに、
1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン
を含有することを特徴とする垂直配向型液晶配向剤。
(式(I−1)において、P1 はテトラカルボン酸に由来する4価の有機基であり、Q1 はジアミン化合物に由来する2価の有機基である。また、式(I−2)において、P2 はテトラカルボン酸に由来する4価の有機基であり、Q2 はジアミン化合物に由来する2価の有機基である。)
(式(II−1)において、X1 は、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−S−、メチレン基、炭素数2〜6のアルキレン基またはフェニレン基であり、R1 は、炭素数10〜20のアルキル基、炭素数4〜40の脂環式骨格を有する一価の有機基または炭素数6〜20のフッ素原子を有する一価の有機基である。また、式(II−2)において、X1 は、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−S−、メチレン基、炭素数2〜6のアルキレン基またはフェニレン基であり、R2 は、炭素数4〜40の脂環式骨格を有する二価の有機基または炭素数5〜30のフッ素原子を有する二価の有機基である。) - 重合体は、式(I−1)におけるQ1 および式(I−2)におけるQ2 として、式(II−1)および式(II−2)のそれぞれで示される二価の有機基のうちの少なくとも一種を有する繰り返し単位を、全繰り返し単位の7モル%以上含有することを特徴とする請求項1に記載の垂直配向型液晶配向剤。
- 式(I−1)または式(I−2)で表される繰り返し単位を得るためのテトラカルボン酸二無水物が、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の垂直配向型液晶配向剤。
- 重合体は、式(I−2)で表される繰り返し単位が全繰り返し単位の40モル%以上含有するものを少なくとも1種含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の垂直配向型液晶配向剤。
- 重合体は、式(I−1)におけるQ 1 および式(I−2)におけるQ 2 として、式(II−2)で示される二価の有機基の繰り返し単位を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の垂直配向型液晶配向剤。
- 1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ベンゼンの含有量が、固形分中5〜45重量%であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の垂直配向型液晶配向剤。
- 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の垂直配向型液晶配向剤から得られた液晶配向膜を具えてなることを特徴とする液晶表示素子。
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