JP4432669B2 - H形鋼の冷却方法および冷却ライン設備 - Google Patents
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従来この加速冷却手段として、鋼材の長手方向に対する冷却の均一化を図るために、冷却装置における冷却ノズルのノズルピッチPをパラメータとした移動量をオシレーション冷却すること、および箱型に形成した冷却装置の冷却面側板に直径数ミリの孔を多数配列し、その箱型の冷却装置(以下、多孔噴射冷却装置という)に冷却水を流し込み多孔噴射すること等により均一冷却を図ることが実用化されている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
また、ライン設備として多孔噴射冷却装置による冷却ゾーンおよび鋸断により指定寸法長さに切断する鋸断ゾーンを効率よく駆動することにより、顧客の要求に合ったH形鋼を高効率で生産する努力がされている。
従って、必要最小長さの冷却ライン設備で対処することが望まれている。
また、冷却ライン設備は、前述の材料組織改善のために加速冷却するに十分な冷却能力を持つことが必須であり、これは冷却し難い断面の大きなH形鋼の場合であっても同様に要求される。これに対処するため、限られた長さの冷却ライン設備内では搬送速度を遅くしてこれに対策することが考えられるが、実作業上では搬送速度を1.0m/sec以下に落とすことは速度制御性が著しく悪化するため望めない。
従来の冷却ライン設備は、長いサイドガイドのようなものであり、あまり隙間を詰めると曲がったH形鋼材料が通らない。また、隙間をあけすぎると蛇行した時の噴射孔からの冷却水の噴射長さが変わり、左右の冷却むらが生じ、これが製品の強度のばらつきを増大させる。
H形鋼がラインの中心線上を通るようにするために、前記ライン設備の入出側やライン途中に垂直に対向するガイドローラユニットを配設することが行なわれている。
従って、ガイドローラユニット部における冷却状態の非連続性を回避乃至補償することが試みられており、このガイドローラユニット部における冷却状態の非連続性を製品の品質に影響しない程度までに分散することが図られる。
1)多孔噴流方式によりH形鋼のフランジ外面の冷却を行う、ライン搬送方向に複数に分割されたH形鋼の冷却ラインにおいて、複数段よりなる多孔噴射冷却装置群を備え、前記多孔噴射冷却装置群の相隣る多孔噴射冷却装置間にガイドローラユニット部を有する冷却ラインで加速冷却する方法であって、その複数段の連なる冷却ラインを合計した設備長さよりも短いH形鋼を所定距離オシレーション冷却をするとともに、前記オシレーション冷却の冷却工程における往復動距離を、前記ガイドローラユニット部のライン方向の巾Bgの5〜10倍としたものである。
3)上述1)または2)において、前記ガイドローラユニット部が、該ガイドローラユニット部に対面するH形鋼のフランジ外面を冷却するための冷却手段を備えており、該冷却手段による冷却によりガイドローラ部における冷却が前記H形鋼の搬送方向で非連続冷却になるのを防止するものであり、
4)上述3)において、前記ガイドローラユニット部における、前記冷却手段の前記H形鋼のフランジ面に供給する冷却水の流量密度が、前記ガイドローラユニット部の上流および下流に設けられた多孔噴射冷却装置から供給される冷却水の流量密度の30〜80%に設定されているものである。
5)多孔噴流方式によりH形鋼のフランジ外面の冷却を行う、ライン搬送方向に複数に分割されたH形鋼の冷却ライン設備において、該分割された冷却ライン設備は、搬送ライン方向に沿って対面して設けられ、また、搬送ライン側に沿った側面に多数配列された冷却水の噴射孔を有する複数段よりなる多孔噴射冷却装置群を備え、また、前記搬送ライン側に沿った多孔噴射冷却装置間にあって、前記搬送ラインを挟んで対向して、且つ垂直に一対として配設されたガイドローラユニットよりなるガイドローラユニット群とを備えており、前記搬送ライン側に沿った複数段よりなる多孔噴射冷却装置群間内で、前記H形鋼を順方向および逆方向に搬送するテーブルローラ群を設け、前記ガイドローラユニット部が、該ガイドローラユニット部に対面するH形鋼のフランジ外面を冷却するための冷却手段を備えており、該冷却手段による冷却によりガイドローラ部における冷却が前記H形鋼の搬送方向で非連続冷却になるのを防止するものである。
図1は、本発明の実施の形態1に係るライン設備の1例を示す説明図である。
図2は、本実施の形態1における、ガイドローラユニット部の1例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図3は、本実施の形態1における、加速冷却装置(多孔噴射冷却装置)の1例を示す説明図である。
図4は、本実施の形態1における、オシレーション冷却工程の動作を示す説明図であり、(a)はオシレーション開始までの往動工程、(b)はオシレーション冷却の復動工程、(c)はオシレーション冷却の往動工程を示す。
冷却設備を分割して第1段目の冷却設備のみを冷却ゾーンとして使用する場合には、第2段目の冷却設備は、その間隔を大きく開いて待避させておくことにより前記のぶつかりによる危険性を下げることができる。この場合、第1段目と第2段目の冷却装置の中間にガイドローラユニット3を取り付けることにより第1段目の冷却装置の下流端にH形鋼がぶつかって設備を損傷させる危険性も下げることができる。
すなわち、ガイドローラユニット3の設置が、H形鋼のぶつかり回避に対し極めて有効であることがわかった。
本出願人は、図4に示すように、H形鋼が冷却設備からはみ出さないような特定の距離範囲で往復運動(オシレーション)させれば、前記ガイドローラユニット3部での冷却能力不足は十分分散されることを見出した。
開2003−193126号では、スプレー冷却方式における長手方向のむらについて提案されたものであり、本発明の多孔噴流方式で、且つガイドローラユニット部分の冷却非連続部の影響回避を対象としたものとは異なるものである。
すなわち、多孔噴流方式そのものの冷却に関しては、長手方向の多孔ピッチは数十mm程度であり、僅かにオシレーション冷却をしてやればこの冷却の不均一性は解消される。
本発明は、H形鋼の冷却設備に関するものであり、しかも、2つ以上の冷却装置に分割してその中間にガイドローラを設置されたものについて特定したものであり、搬送方向の温度むらの許容値を考慮に入れながら、オシレーション冷却工程のオシレーション距離Lを決定したところに特徴がある。
1)試験H形鋼材
H形鋼サイズ(フランジ厚さ×長さ)
(a)40mm×30m、(b)60mm×20m、(c)80mm×15m
2)冷却方式
(A)通過型冷却、(B)停止型冷却、(C)オシレーション冷却
3)冷却開始温度(T1) 880℃(一定)
4)冷却終了温度(目標) 580〜630℃
5)加速冷却設備
JFE製1型多孔噴射冷却装置
全長40m(2分割)
6)ガイドローラユニット部 巾(Bg) 0.5m
冷却水の供給が可能であり、その冷却の強さは加速冷却設備の50%とする。
7)搬送速度V (A)1.2m/sec、(B)0.3m/sec
8)オシレーション長さ(往復動距離)(L) 3m、5m、7.5m
なお、(A)通過型冷却の場合は、搬送速度が1.2m/sec未満では速度制御性が著しく悪化するという制約があり、搬送速度を1.2m/secとした。
すなわち、実施例aにおいては、3m(搬送方向へ1.5m、反搬送方向へ1.5m)のオシレーション冷却を行ったことにより、ガイドローラユニット部にかからない通常部分は880℃から580℃まで300℃低下するのに対して、ガイドローラユニット部の巾Bg0.5mの部分での冷却能力の不足分50%は、その影響を1/6に軽減して25℃におさめることができ、製品全体としては580〜605℃の範囲内で冷却することができたものである。
すなわち、ガイドローラユニット部での冷却能力の不足分50%は、オシレーション冷却により、その影響を1/10に軽減され15℃におさまった。製品ビーム全体では580〜595℃の範囲内に冷却することができ、製品ビーム長さ全体で冷却による強度アップを図ることができた。
この場合オシレーション冷却のオシレーション量は、H形鋼の断面およびビーム長さにより、ガイドローラユニット部の巾Bgを基準とした適正な値があることが確認された。
すなわち、実施例による比較試験結果より、通常のフランジ厚40mm以上の極厚H形鋼においては、オシレーション量(往復動距離)をガイドローラユニット部の巾Bgの5〜13倍とすることが好ましいことが確認された。
5倍以下ではガイドローラユニット部による冷却能力の不足をうまく分散させることができないし、また、10倍以上では製品ビーム端が冷却装置から出てしまい製品ビームの先後端部が冷却されなくなる恐れがある。また、オシレーションの速度は、通過型冷却の場合と異なり冷却時間を制御するものでないので、必ずしもこれを高精度で制御される必要はない。例えば、0.3m/secの低速であってもオシレーション距離が設定できればよい。
Claims (6)
- 多孔噴流方式によりH形鋼のフランジ外面の冷却を行う、ライン搬送方向に複数に分割されたH形鋼の冷却ラインにおいて、複数段よりなる多孔噴射冷却装置群を備え、前記多孔噴射冷却装置群の相隣る多孔噴射冷却装置間にガイドローラユニット部を有する冷却ラインで加速冷却する方法であって、
その複数段の連なる冷却ラインを合計した設備長さよりも短いH形鋼を所定距離オシレーション冷却をするとともに、前記オシレーション冷却の冷却工程における往復動距離が、前記ガイドローラユニット部のライン方向の巾Bgの5〜10倍であることを特徴とするH形鋼の冷却方法。 - 前記H形鋼が、そのフランジ厚さが40mm以上の極厚H形鋼であることを特徴とする請求項1に記載のH形鋼の冷却方法。
- 前記ガイドローラユニット部が、該ガイドローラユニット部に対面するH形鋼のフランジ外面を冷却するための冷却手段を備えており、該冷却手段による冷却によりガイドローラ部における冷却が前記H形鋼の搬送方向で非連続冷却になるのを防止することを特徴とする請求項1または2に記載のH形鋼の冷却方法。
- 前記ガイドローラユニット部における、前記冷却手段の前記H形鋼のフランジ面に供給する冷却水の流量密度が、前記ガイドローラユニット部の上流および下流に設けられた多孔噴射冷却装置から供給される冷却水の流量密度の30〜80%に設定されていることを特徴とする請求項3に記載のH形鋼の冷却方法。
- 多孔噴流方式によりH形鋼のフランジ外面の冷却を行う、ライン搬送方向に複数に分割されたH形鋼の冷却ライン設備において、
該分割された冷却ライン設備は、搬送ライン方向に沿って対面して設けられ、また、搬送ライン側に沿った側面に多数配列された冷却水の噴射孔を有する複数段よりなる多孔噴射冷却装置群を備え、また、前記搬送ライン側に沿った多孔噴射冷却装置間にあって、前記搬送ラインを挟んで対向して、且つ垂直に一対として配設されたガイドローラユニットよりなるガイドローラユニット群とを備えており、
前記搬送ライン側に沿った複数段よりなる多孔噴射冷却装置群間内で、前記H形鋼を順方向および逆方向に搬送するテーブルローラ群を設け、
前記ガイドローラユニット部が、該ガイドローラユニット部に対面するH形鋼のフランジ外面を冷却するための冷却手段を備えており、該冷却手段による冷却によりガイドローラ部における冷却が前記H形鋼の搬送方向で非連続冷却になるのを防止することを特徴とするH形鋼の冷却ライン設備。 - 前記ガイドローラユニット部における、前記冷却手段の前記H形鋼のフランジ面に供給する冷却水の流量密度が、前記ガイドローラユニット部の上流および下流に設けられた多孔噴射冷却装置から供給される冷却水の流量密度の30〜80%に設定されていることを特徴とする請求項5に記載のH形鋼の冷却ライン設備。
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