JP4432630B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、内燃機関の空燃比制御装置に係り、特に、車載用内燃機関の空燃比を制御する装置として好適な空燃比制御装置に関する。
従来、例えば特開平7−197837号公報に開示されているように、内燃機関の排気通路に2つの排気ガスセンサを備える内燃機関が知られている。この内燃機関は、排気通路に配置された触媒の上流に空燃比センサ(空燃比に対してリニアな特性を示すセンサ)を備え、その触媒の下流に酸素センサ(空燃比に対していわゆるZ特性を示すセンサ)を備えている。
上記従来の内燃機関では、上流側の空燃比センサの出力に基づいてメインのフィードバック制御が実行され、一方、下流側の酸素センサの出力に基づいてサブのフィードバック制御が実行される。メインフィードバック制御では、触媒に流入する排気ガスの空燃比が制御目標空燃比と一致するように燃料噴射量の制御が行われる。また、サブフィードバック制御では、触媒の下流に流出してくる排気ガスの空燃比が理論空燃比となるように、より具体的には、触媒の下流に配置された酸素センサの出力がストイキ出力となるように、メインフィードバック制御の内容が修正される。これらの制御によれば、触媒の下流における空燃比を制度良く理論空燃比の近傍値に維持して、優れたエミッション特性を実現することができる。
特開平7−197837号公報 特開平9−60544号公報
上述した従来の内燃機関では、原則として、触媒下流の酸素センサの出力をストイキ出力とするための制御が常に継続して行われる。しかしながら、本願発明者は、最良のエミッション特性は、必ずしも触媒下流の酸素センサがストイキ出力を発する場合に限って得られるものではないことを見いだした。より具体的には、本願発明者は、吸入空気量Gaが多量に生じている状況下では、触媒下流の酸素センサがストイキ出力を発している場合より、むしろリッチ側に偏った出力を発している場合に優れたエミッション特性が安定的に得られ易いことを見いだした。
上記の知見によれば、吸入空気量Gaが多量である状況下では、触媒下流の酸素センサがリッチに偏った出力を発するように燃料噴射量を制御することが望ましいことになる。この点、上記従来の内燃機関において実行される制御は、必ずしも、常に最良のエミッション特性を実現し得るものではなかった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、触媒の下流におけるエミッション特性を常に最良に維持し得る内燃機関の空燃比制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の空燃比制御装置であって、
内燃機関の排気通路に配置される触媒と、
前記触媒の上流に配置される上流側排気ガスセンサと、
前記触媒の下流に配置される下流側排気ガスセンサと、
内燃機関の吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段と、
前記上流側排気ガスセンサの出力、および前記下流側排気ガスセンサの出力に基づいて燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御手段とを備え、
前記燃料噴射量制御手段は、吸入空気量が所定値を超える領域で、前記触媒の上流における空燃比が、前記触媒の実理論空燃比よりリッチな既定の空燃比となるように燃料噴射量を制御するものであり、
前記触媒は、吸入空気量が多いほどリッチ化する触媒ウィンドウを有し、
前記既定の空燃比は、所望のエミッション特性を実現するものとして、前記触媒ウィンドウより大きな傾きでリッチ化するように吸入空気量との関係で定められた値であることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記燃料噴射量制御手段は、
前記上流側排気ガスセンサの出力に基づいて、触媒上流の空燃比を目標空燃比とするためのフィードバック補正基本量を算出する手段と、
前記下流側排気ガスセンサの出力とストイキ出力との差に基づいて、それらを一致させるためのサブフィードバック補正量を算出する手段と、
前記触媒の上流における空燃比を前記既定の空燃比とするための触媒特性補正量を吸入空気量に基づいて設定する触媒特性補正量算出手段と、
前記フィードバック補正基本量を、前記サブフィードバック補正量、および前記触媒特性補正量に基づいて補正することにより、補正後フィードバック補正量を算出する補正後補正量算出手段と、
前記補正後フィードバック補正量に基づいて燃料噴射量を算出する手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第3の発明は、第2の発明において、前記燃料噴射量制御手段は、
吸入空気量が前記所定値以下の領域では、前記触媒の上流における空燃比が前記触媒の実理論空燃比となるように燃料噴射量を制御するものであり、かつ、
前記サブフィードバック補正量に含まれる定常値を取り込むことによりサブフィードバック学習量を算出する手段と、
前記フィードバック補正基本量を、前記サブフィードバック補正量および前記触媒特性補正量に加えて、前記サブフィードバック学習量をも基礎として算出する補正後補正量算出手段とを備え、
前記サブフィードバック学習量の更新を、吸入空気量が前記所定値以下の場合に限って許可する学習領域限定手段を更に備えることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1の発明において、前記燃料噴射量制御手段は、
前記上流側排気ガスセンサの出力に基づいて、触媒上流の空燃比を目標空燃比とするためのフィードバック補正基本量を算出する手段と、
前記触媒の上流における空燃比を当該触媒の実理論空燃比とするための特性補正量を吸入空気量に基づいて設定する特性補正量算出手段と、
前記触媒の上流における空燃比を、当該触媒の実理論空燃比と前記既定の空燃比の差分だけリッチ化するためのリッチ補正量を吸入空気量に基づいて設定するリッチ補正量算出手段と、
前記下流側排気ガスセンサの出力とストイキ出力とを一致させるための補正量から、前記リッチ補正量の影響を排除した値をサブフィードバック補正量として算出するサブフィードバック補正量算出手段と、
前記フィードバック補正基本量を、前記特性補正量、前記リッチ補正量、および前記サブフィードバック補正量に基づいて補正することにより、補正後フィードバック補正量を算出する補正後補正量算出手段と、
前記補正後フィードバック補正量に基づいて燃料噴射量を算出する手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第5の発明は、第2乃至第4の発明の何れかにおいて、前記触媒特性補正量算出手段は、
前記触媒の上流における空燃比を当該触媒の実理論空燃比とするための特性補正量を吸入空気量に基づいて設定する特性補正量算出手段と、
前記触媒の上流における空燃比を、当該触媒の実理論空燃比と前記既定の空燃比の差分だけリッチ化するためのリッチ補正量を吸入空気量に基づいて設定するリッチ補正量算出手段と、
前記特性補正量と前記リッチ補正量とを加算することにより前記触媒特性補正量を算出する手段とを備え、
前記下流側排気ガスセンサの出力上限値を検知する手段と、
前記出力上限値に基づいて、当該出力上限値より小さなリッチ補正量上限ガード値を算出する手段と、
前記リッチ補正量が前記リッチ補正量上限ガード値より大きい場合に、当該リッチ補正量を当該リッチ補正量上限ガード値に置き換える手段と、
を更に備えることを特徴とする。
また、第6の発明は、第2乃至第5の発明の何れかにおいて、前記触媒特性補正量算出手段は、
前記触媒の上流における空燃比を当該触媒の実理論空燃比とするための特性補正量を吸入空気量に基づいて設定する特性補正量算出手段と、
前記触媒の上流における空燃比を、当該触媒の実理論空燃比と前記既定の空燃比の差分だけリッチ化するためのリッチ補正量を吸入空気量に基づいて設定するリッチ補正量算出手段と、
前記特性補正量と前記リッチ補正量とを加算することにより前記触媒特性補正量を算出する手段とを備え、
前記下流側排気ガスセンサの出力下限値を検知する手段と、
前記出力下限値に基づいて、当該出力上限値より大きなリッチ補正量下限ガード値を算出する手段と、
前記リッチ補正量が前記リッチ補正量ガード値より大きい場合に、当該リッチ補正量を当該リッチ補正量下限ガード値に置き換える手段と、
を更に備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、吸入空気量Gaが所定値を超える領域では、上流側排気ガスセンサの出力、および下流側排気ガスセンサの出力に基づいて、触媒上流の空燃比が、触媒の実理論空燃比(触媒下流の空燃比を理論空燃比とし得る触媒上流の空燃比)よりリッチな既定の空燃比となるように燃料噴射量を制御することができる。既定の空燃比は、吸入空気量Gaが多量である状況下で所望のエミッション特性を実現するものとして予め定められた値である。触媒上流の空燃比をこのような既定の空燃比に制御すると、その空燃比を実理論空燃比とするよりも更に安定して良好なエミッション特性を得ることができる。このため、本発明によれば、吸入空気量Gaが多量に生じている状況下で、安定的に良好なエミッション特性を実現することができる。
第2の発明によれば、フィードバック補正基本量を、サブフィードバック補正量、および触媒特性補正量に基づいて補正することにより、補正後フィードバック補正量を算出することができる。触媒特性補正量は、触媒の上流における空燃比を既定の空燃比とするための補正量である。このため、フィードバック補正基本量を触媒特性補正量で補正すると、触媒の上流における空燃比が既定の空燃比となるように燃料噴射量を制御することができる。また、サブフィードバック補正量は下流側排気ガスセンサの出力をストイキ出力とするための補正量である。このため、フィードバック補正基本量をサブフィードバック補正量で補正すると、触媒下流の空燃比が既定の空燃比に対して過度にリッチ化するのを防ぐことができる。このため、本発明によれば、吸入空気量Gaが多量に生じている状況下で、安定的に所望のエミッション特性を実現することができる。
第3の発明によれば、吸入空気量Gaが少ない領域では、触媒上流の空燃比を触媒の実理論空燃比とすることができる。この場合、触媒下流の空燃比は、本来ストイキとなるはずである。従って、サブフィードバック補正量は、主としてシステムに内在するずれに対応した値に更新される。本発明によれば、サブフィードバック学習量の更新は、このような状況下でのみ許可される。このため、本発明によれば、サブフィードバック学習量が、不適正な値、つまり、システムに内在するずれと密接な相関を持たない値に更新されるのを、確実に防止することができる。
第4の発明によれば、フィードバック補正基本量を、特性補正量、リッチ補正量、およびサブフィードバック補正量に基づいて補正することにより、補正後フィードバック補正量を算出することができる。本発明において、サブフィードバック補正量は下流側排気ガスセンサの出力をストイキ出力とするための補正量からリッチ補正量の影響を排除したものである。この場合、サブフィードバック補正量には、主としてシステムに内在するずれの影響のみが反映される。このため、本発明によれば、特性補正量およびリッチ補正量を用いた補正により上流空燃比をリッチ化しつつ、サブフィードバック学習量を、常にシステムに内在するずれと密接な相関を有する値に更新することができる。
第5の発明によれば、触媒上流の空燃比を当該触媒の実理論空燃比とするための特性補正量と、触媒上流の空燃比を、その実理論空燃比と既定の空燃比の差分だけリッチ化するためのリッチ補正量との和を触媒特性補正量とすることができる。また、ここでは、リッチ補正量を、下流側排気センサの出力上限値より小さなリッチ補正量上限ガード値にガードすることができる。このため、本発明によれば、触媒特性補正量による補正に起因して、下流側排気ガスセンサの出力が出力上限値に張り付く事態が生ずるのを確実に防ぐことができる。
第6の発明によれば、リッチ補正量を、下流側排気センサの出力下限値より大きなリッチ補正量下限ガード値にガードすることができる。このため、本発明によれば、触媒特性補正量による補正に起因して、下流側排気ガスセンサの出力が出力下限値に張り付く事態が生ずるのを確実に防ぐことができる。
実施の形態1.
[実施の形態1の装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態1の空燃比制御装置の構成を説明するための図である。図1に示す通り、本実施形態の装置は、内燃機関の排気通路10に配置された上流触媒(S/C)12および下流触媒(U/F)14を備えている。上流触媒12および下流触媒14は、何れも、CO、HCおよびNoxを同時に浄化することのできる三元触媒である。
上流触媒12の上流および下流には、それぞれメイン空燃比センサ16、およびサブO2センサ18が配置されている。メイン空燃比センサ16は、上流触媒12に流入する排気ガスの空燃比A/Fに対してほぼリニアな出力evafbseを発するセンサである。一方、サブO2センサ18は、上流触媒12から流出してくる排気ガスが理論空燃比に対してリッチである場合にリッチ出力(例えば0.8V)を発生し、また、その排気ガスがリーンである場合にリーン出力(例えば0.2V)を発生するセンサである。
メイン空燃比センサ16の出力evafbse、およびサブO2センサ18の出力voxsは、それぞれECU(Electronic Control Unit)20に供給されている。ECU20には、更に、エアフロメータ22、回転数センサ24、および燃料噴射弁26などが接続されている。エアフロメータ22は、内燃機関の吸入空気量Gaを検出するセンサである。回転数センサ24は機関回転数Neに応じた出力を発するセンサである。また、燃料噴射弁26は、内燃機関の吸気ポートに燃料を噴射するための電磁弁である。
[実施の形態1における具体的処理]
次に、図2を参照して本実施形態のシステムにおいて実行される具体的処理の内容に付いて説明する。図2は、本実施形態においてECU20が実行するルーチンのフローチャートを示す。
図2に示すルーチンでは、先ず、メイン空燃比センサ16の出力evafbse(mV)が取り込まれる(ステップ100)。
次に、ストイキ点学習量evafofs(mV)に関する処理が実行される(ステップ102)。ストイキ点学習は、ワイヤーハーネスのバラツキなどがメイン空燃比センサ16の出力evafbseに与える影響を補正するための学習である。本ステップ120では、所定のストイキ点学習条件が成立していることを条件に、ストイキ点学習量evafofsを更新する処理が実行される。尚、ストイキ点学習量evafofsの算出手法は、本発明の主要部ではないため、ここではその詳細な説明は省略する。
次に、サブフィードバック補正量evafsfb(mV)が算出される(ステップ104)。ここでは、具体的には、サブフィードバックの実行条件が成立していることを条件に、サブO2センサ18の出力voxsと、ストイキ出力voxsref(0.5V)との偏差dlvoxs=voxsref-voxsが算出され、更に、その偏差dlvoxsに基づいて、例えばPID制御によりサブフィードバック補正量evafofsが算出される。
次に、吸入空気量Gaが所定の判定値(15g)以下であるか否かが判別される(ステップ106)。つまり、吸入空気量Gaが少量であるか否かが判別される。
上記の判別の結果、Ga≦15gの成立が認められた場合は、次に、サブフィードバック学習量evafsfbg(mV)に関する処理が実行される(ステップ108)。ここでは、具体的には、所定のタイミングで、サブフィードバック補正量evafsfbの平均値をサブフィードバック学習量evafsfbgに移し替える処理、つまり、その平均値分だけサブフィードバック学習量evafsfbを増加または減少させ、かつ、その平均値分だけサブフィードバック補正量evafsfbを減少または増加させる処理が行われる。
一方、上記ステップ106において、Ga≦15gの成立が否定された場合は、サブフィードバック学習量evafsfbgの学習を進めるべきではないと判断され、ステップ108の処理がジャンプされる。
次に、触媒特性補正量evafcat(mV)に関する処理が実行される(ステップ110)。図3は、吸入空気量Gaと触媒特性補正量evafcatとの関係を定めたマップである。本ステップ108において、ECU20は、このマップを参照して、現在の吸入空気量Gaに対応する触媒特性補正量evafcatを算出する。尚、図3の内容、および触媒特性補正量evafcatの内容等については後に詳細に説明する。
図2に示すルーチンでは、次に、以下に示す演算式に従って補正後A/F出力evabyf(mV)が算出される(ステップ112)。
evabyf=evafbse+evafofs+evafsfb+evafsfbg+evafcat ・・・(1)
次いで、内燃機関10の運転状態に基づいて、制御目標空燃比eabyfrefが算出される(ステップ114)。例えば、理論空燃比での運転が求められている場合には、制御目標空燃比が14.6に設定される。
最後に、補正後A/F出力evabyf(mV)を制御目標空燃比eabyfrefに対応させるための燃料噴射量制御、つまり、メインフィードバック制御が実行される(ステップ116)。ここでは、具体的には、先ず、補正後A/F出力evabyf(mV)が空燃比に換算される。そして、換算により得られた空燃比が制御目標空燃比eabyfrefより大きかった(リーンであった)場合は、両者の差に対応する値だけ燃料噴射量が増量補正される。また、換算により得られた空燃比が制御目標空燃比eabyfrefより小さかった(リッチであった)場合は、両者の差に対応する値だけ燃料噴射量が減量補正される。
[実施の形態1の特徴]
次に、図3乃至図5を参照して、本発明の実施の形態1の特徴について説明する。本実施形態のシステムは、上述した通り、補正後A/F出力evabyf(mV)を制御目標空燃比eabyfrefに対応させるためのメインフィードバック制御を実行する(上記ステップ116参照)。そして、補正後A/F出力evabyf(mV)を、上記(1)式に従って算出している。
上記(1)式によれば、補正後A/F出力evabyfを算出するにあたって、メイン空燃比センサ16の出力evafbseにストイキ学習量evafofsが加算される。ストイキ学習量evafofsによれば、ワイヤーハーネス等の影響を相殺して、メイン空燃比センサ16の出力に重畳している誤差分を正確に相殺することができる。このため、「evafbse+evafofs」なる値は、上流触媒12の上流における空燃比(以下、「上流空燃比」と称す)を、精度良く表す値となる。
上記(1)式によれば、補正後A/F出力evabyfを算出するにあたって、メイン空燃比センサ16の出力evafbseにサブフィードバック補正量evafsfbが加算される。サブフィードバック補正量evafsfbは、既述した通り、サブO2センサ18の出力voxsとストイキ出力voxsrefとの偏差dlvoxs=voxsref-voxsに基づいて算出される値である。偏差dlvoxsは、サブO2センサ18の出力voxsがリッチ出力(0.8V)である場合に負となり、一方、その出力voxsがリーン出力(0.2V)である場合に正となる。このため、サブフィードバック補正量evafsfbも、通常はサブO2センサ18がリッチ出力を発する場合に負の値となり、また、サブO2センサ18がリーン出力を発する場合に正の値となる。
サブO2センサ18の出力voxsは、上流空燃比がリッチに偏っており、その結果上流触媒12の下流にリッチな排気ガスが吹き抜けてきた場合にリッチ出力となる。負のサブフィードバック補正量evafsfbによれば、補正後A/F出力evabyfを小さな値に修正することができる。そして、補正後A/F出力evabyfが小さな値、つまり、リッチな値に修正されると、メインフィードバック制御の内容は、燃料噴射量を少なくする方向に修正される。このため、上述したサブフィードバック補正量evafsfbによれば、上流空燃比がリッチ側に偏った場合に、その偏りを修正することができる。
同様の原理により、上述したサブフィードバック補正量evafsfbによれば、上流空燃比がリーン側に偏った場合にも、その偏りを修正することができる。このように、補正後A/F出力evabyfにサブフィードバック補正量evafsfbを反映させることによれば、上流触媒12の下流における空燃比(以下、「下流空燃比」と称す)が理論空燃比に維持されるように、より厳密には、サブO2センサ18がストイキ出力を発生し得る状態が維持されるように、メインフィードバック制御の内容を適宜修正することができる。以下、メインフィードバック制御の内容を上記の如く修正することを「サブフィードバック制御」と称することとする。
上記(1)式によれば、補正後A/F出力evabyfを算出するにあたって、メイン空燃比センサ16の出力evafbseに触媒特性補正量evafcatが加算される。触媒特性補正量evafcatは、上述したように、図3に示すマップを参照して、吸入空気量Gaとの関係で設定される値である。以下、図3に示すマップの内容を説明するに先立って、図4および図5を参照して、触媒特性補正量evafcatを図3に示すように設定した理由を説明する。
(触媒特性補正量evafcatの説明)
図4は、触媒特性補正量evafcatのマップを作成するにあたって検討の対象とした4つの直線(1)〜(4)を説明するための図である。図4において、縦軸には、触媒特性補正量evafcat(mV)と、そのA/F換算値が記されている。また、図4の横軸は吸入空気量Ga(g/sec)である。
図4中に網掛けを付して示す領域は、上流触媒12の触媒ウィンドウである(但し、この場合は、図4の縦軸を、A/F換算値として示した空燃比と見るものとする)。触媒ウィンドウとは、上流触媒12の下流に流出するガスがストイキとなる空燃比の幅、より正確には、サブO2センサ18にストイキ出力を発生させることのできる上流空燃比の範囲である。
触媒ウィンドウは、図4に示すように、吸入空気量Gaが多量となるほどリッチ側にシフトする。このため、上流触媒12から流れ出る排気ガスの空燃比を常にストイキに維持するためには、つまり、サブO2センサ18の出力voxsを常にストイキ出力に維持するためには、吸入空気量Gaが増えるに連れて上流空燃比をリッチ化させることが必要である。
図4中に符号(2)を付して示す直線は、触媒ウィンドウのほぼ中央を通るものとして設定された直線である。以下、この直線(2)の関係を満たす空燃比を、上流触媒12の「実理論空燃比」と称す。
より正確には、この直線(2)は、上流空燃比を上流触媒12の実理論空燃比に維持するための触媒特性補正量evafcatを、吸入空気量Gaとの関係で定めた直線である。直線(2)によれば、触媒特性補正量evafcatは、吸入空気量Gaが十分に小さい場合(ほぼゼロである場合)にゼロとなり、吸入空気量Gaが増えるに連れて比例的に増加する。触媒特性補正量evafcatをy値とし、吸入空気量Gaをx値とすると、両者の関係はy=0.8xで表すことができる。
触媒特性補正量evafcatが直線(2)の関係に従って決定されるとすれば、吸入空気量Gaがほぼゼロである場合には、補正後A/F出力evabyfは「evafbse+evafofs+evafsfb+evafsfbg」にゼロを加えた値となる(ケース1)。また、吸入空気量Gaが40(g/sec)程度である場合は、補正後A/F出力evabyfが「evafbse+evafofs+evafsfb+evafsfbg」に32(mV)を加えた値となる(ケース2)(何れも上記(1)式参照)。
つまり、吸入空気量Gaの急増に伴ってケース1からケース2への状態移行が生ずると、補正後A/F出力evabyfは、サブフィードバック補正量evafsfbの追従を待つことなく、瞬時に32(mV)だけ大きな値に変化する。制御目標空燃比が同じ値であれば、補正後A/F出力evabyfが増大すると、メインフィードバック制御の機能により、燃料噴射量は増量される。そして、この増量は、触媒特性補正量evafcatの加算により生じた32(mV)分が、メイン空燃比センサ16の出力evafbseの減少により吸収されるように行われる。その結果、上記の例によれば、ケース1からケース2への移行に伴い、上流空燃比は、触媒特性補正量evafcatとして加算された32(mV)分だけリッチ化されることになる。
図4の縦軸に記した触媒特性補正量evafcatとA/F換算値との関係は、補正後A/F出力evabyfの算出に用いられる触媒特性補正量evafcatと、その使用の結果実現される上流空燃比との関係に対応している。この関係によれば、触媒特性補正量evafcatとして32(mV)が用いられた場合、上流空燃比は14.50程度にリッチ化されると予測される。
以上説明した通り、触媒特性補正量evafcatを用いて補正後A/F出力evabyfを修正することとすれば、吸入空気量Gaの変化に伴って、制御目標空燃比を一定値に維持しつつ、上流空燃比を適当に変化させることができる。そして、触媒特性補正量evafcatを、直線(2)に従って設定することとすれば、上流空燃比を、常に触媒ウィンドウの中央に沿って変化させること、つまり、上流触媒12の実理論空燃比に維持することが可能である。
ところで、図4中に符号(1)を付して示す直線は、吸入空気量Gaの変化に対する触媒特性補正量evafcatの変化率を、直線(2)の場合の2倍に設定した直線である。また、符号(3)を付して示す直線は、その変化率を直線(2)の場合の1/2とした直線である。更に、符号(4)を付して示す直線は、上記の変化率をゼロとした直線である。これらの直線(1),(3),(4)は、触媒特性補正量をy値とし、吸入空気量Gaをx値とすると、それぞれ「y=1.6x」、「y=0.4x」および「y=0」の関係を満たすものとして認識することができる。以下、これらの直線の傾きを「触媒特性補正の傾き」と称す。
図5は、触媒特性補正の傾きと、HC、NOxの排出量との関係を確認した実験の結果である。より具体的には、触媒特性補正の傾きを直線(1)〜(4)のそれぞれに設定したうえで、上流触媒12から排出されるHCおよびNOxの量を、それぞれ実測した結果をまとめたものである。
図5に示す結果は、触媒特性補正の傾きが大きくなるに連れて、HCの排出量(○参照)が微増し、かつ、NOxの排出量(△参照)が急減することを示している。つまり、この結果は、触媒特性補正の傾きを直線(2)の傾きに設定した場合と、直線(1)の傾きに設定した場合とを比較すると、HCの排出量に関しては両者間にさほど大きな差は認められず、一方、NOxの排出量については、前者が後者に比して顕著に有利であることを示している。
内燃機関の運転中には、ある程度の空燃比荒れが生ずるのは避けられない。このような前提の下で良好なエミッション特性を得るためには、つまり、HC排出量およびNOx排出量を全体として低減させるためには、空燃比荒れに対する安定性を重視することが有効である。そして、その安定性を重視すると、触媒特性補正の傾きは、直線(2)の傾きに設定するよりも、むしろ直線(1)の傾きに設定する方が望ましいと結論付けることができる。
そこで、本実施形態のシステムでは、原則として、図4に示す直線(1)の関係が満たされるように触媒特性補正量evafcatを設定して空燃比制御を行うこととした。尚、触媒特性補正の傾きが直線(1)の傾きを超えて更に大きくなると、上流空燃比のリッチ化が顕著になり過ぎ、HCやNOxの排出量が急増する。図4に示す直線(1)は、それらの排出量が急増する直前の傾きを有するものである。
本実施形態のシステムは、上述した通り、図3に示すマップを参照することにより触媒特性補正量evafcatを算出する(上記ステップ110参照)。ここで、図3に示すマップは、吸入空気量Gaが15(g/sec)を超える領域では、直線(1)と同じ「1.6」の傾きで触媒特性補正量evafcatが吸入空気量Gaに対して増減するように定められている。つまり、吸入空気量Gaが15(g/sec)を超える領域では、上流空燃比が、上流触媒12の実理論空燃比より適当にリッチ化されるように定められている。
上述した15(g/sec)は、上流空燃比をリッチ化させることがエミッション特性の改善につながる領域と、さほど改善効果が得られない領域とを区分する境界値である。従って、図3に示すマップによれば、上流空燃比をリッチ化させることがエミッション特性の改善に有効である程度に吸入空気量Gaが多量である領域では、触媒特性補正量evafcatを大きな傾き(1.6)で変化させることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、吸入空気量Gaが多量となる高負荷運転時において、良好なエミッション特性を安定的に実現することができる。
(サブフィードバック学習の説明)
次に、本実施形態において実行されるサブフィードバック学習の内容について説明する。本実施形態のシステムは、上述した通り、サブO2センサ18の出力がストイキ出力となるようにサブフィードバック補正量evafsfbを算出し(上記ステップ104参照)、また、所定のタイミングにてサブフィードバック補正量evafsfbの平均値をサブフィードバック学習量evafsfbgに移し替えることとしている(上記ステップ108参照)。
サブフィードバック補正量evafsfbは、下流空燃比をストイキとするための上流空燃比と、現実の上流空燃比とのずれに対応する値である。そして、サブフィードバック補正量evafsfbの平均値は、空燃比制御に内在している恒常的なずれ(内燃機関10の個体差や経時変化に起因するずれ)に対応している。
サブフィードバック補正量evafsfbのうち、その平均値をサブフィードバック学習量evafsfbgに移し替えることとすれば、システムに内在している恒常的なずれはサブフィードバック学習量evafsfbgにより相殺することができる。この場合、サブフィードバック補正量evafsfbの役割は、種々の原因により生ずる一時的なずれを吸収することのみとなる。サブフィードバック補正量evafsfbが、システム内の恒常的なずれの吸収をも担うものである場合は、その収束に長い時間が必要となる。これに対して、その役割が一時的なずれの吸収のみであれば、その収束に要する時間を十分に短縮することができる。このため、サブフィードバック補正量evafsfbの一部をサブフィードバック学習量evafsfbgに移し替えることは、制御の収束時間を短縮するうえで極めて有用である。
ところで、本実施形態のシステムは、上述した通り、補正後A/F出力evabyfを算出するにあたって、触媒特性補正量evafcatをメイン空燃比センサ16の出力evafbseに加えることとしている。このため、吸入空気量Gaが15(g/sec)を超える領域では、触媒特性補正量evafcatの影響により、下流空燃比がリッチ化される。
本実施形態のシステムにおいて、下流空燃比がリッチ化されると、サブO2センサ18の出力voxsがリッチ出力となり、その出力voxsがストイキ出力となるようにサブフィードバック補正量evafsfbが更新される。つまり、本実施形態のシステムでは、吸入空気量Gaが15(g/sec)を超える領域では、触媒特性補正量evafcatの作用により下流空燃比をリッチ化させようとする制御と、そのリッチ化を消滅させて下流空燃比をストイキにしようとするサブフィードバック制御とが同時に実行される事態が生ずる。
空燃比制御の目標が、下流空燃比をストイキにすることであれば、下流空燃比に表れる空燃比ずれは、空燃比制御そのものに内在する定常的なずれであると認識することができる。このため、上記の目標が当てはまる場合には、サブフィードバック補正量evafsfbの平均値を、恒常的な誤差に起因するものとしてサブフィードバック学習量evafsfbgに移し替える意義が存在する。
ところが、下流空燃比を意図的にリッチ化させている状況下では、しかも、その意図的なリッチ化の度合いが吸入空気量Gaに応じて変動するような状況下では、サブフィードバック補正量evafsfbの平均値と、空燃比制御自体の恒常的なずれとの間には、密接な相関は生じない。このような状況下でサブフィードバック学習量evafsfbgの学習が進められるとすれば、その値は、システムに生じている恒常的なずれを吸収するための値から乖離して、却って空燃比制御の精度を悪化させる原因となる。
そこで、本実施形態では、吸入空気量Gaが15(g/sec)に満たない領域では、触媒特性補正量evafcatと吸入空気量Gaとの関係が直線y=0.8xに乗るように、つまり、上流空燃比が上流触媒12の実理論空燃比となるように触媒特性補正量evafcatのマップを設定することとした(図3参照)。そのうえで、サブフィードバック学習量evafsfbgの学習を、Ga≦15(g/sec)の成立時に限って許可することとした(上記ステップ106参照)。
図3に示すマップが上記の如く設定されているため、吸入空気量Gaが15(g/sec)に満たない領域では、触媒特性補正量evafcatは、図4に示す直線(2)の関係を満たす値に設定される。直線(2)の関係を満たす触媒特性補正量evafcatによれば、吸入空気量Gaに応じて触媒ウィンドウが上下するのに合わせて、上流空燃比を適当に上下させることができる。つまり、直線(2)の関係を満たす触媒特性補正量evafsfbによれば、吸入空気量Gaに対する触媒ウィンドウの依存性に起因して下流空燃比がリッチ化あるいはリーン化するのを阻止することができる。
このような状況下では、サブO2センサ18は、主としてシステムに生じている恒常的なずれに起因してリッチ化あるいはリーン化する。この場合、サブフィードバック制御量evafsfbの平均値は、その恒常的なずれと密接の相関を有する値となる。本実施形態のシステムでは、サブフィードバック制御量evafsfbの平均値がこのような特性を有する場合にのみ、サブフィードバック学習量evafsfbgの更新が許容される。このため、本実施形態のシステムによれば、システムに生じている恒常的なずれを相殺するための値をサブフィードバック学習量evafsfbgとして正確に学習することができる。
図6は、サブフィードバック学習量evafsfbgの学習領域を、吸入空気量Gaが15(g/sec)以下の領域に限定したことによる効果を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図6(D)は、試験走行時における車速パターンを示しており、図6(A)および図6(B)は、その車速パターンに対して発生したサブフィードバック補正量evafsfb、およびサブO2センサ18の出力voxsの波形である。そして、図6(C)中に示す2つの波形が、学習領域を限定した場合のサブフィードバック学習量evafsfbgの波形(上方)、および全域で学習を許可した場合のサブフィードバック学習量evafsfbgの波形(下方)である。
図6(C)に示すように、全域で学習が行われる場合は、サブフィードバック学習量evafsfbgが大きな変化を示している。これに対して、学習領域が低Ga領域に限定される場合は、サブフィードバック学習量evafsfbgが安定した値を維持している。これらの波形から明らかなように、学習領域を低Ga領域に限定すると、車両の走行状態に影響されることなく、サブフィードバック学習量evafsfbgが不適切な値に更新されるのを避けることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、収束性に優れた空燃比制御を実現することが可能である。
尚、上述した実施の形態1においては、上流触媒12が前記第1の発明における「触媒」に、メイン空燃比センサ16が前記第1の発明における「上流側排気ガスセンサ」に、サブO2センサ18が前記第1の発明における「下流側排気ガスセンサ」に、エアフロメータ22が前記第1の発明における「吸入空気量検出手段」にそれぞれ相当していると共に、ECU20が、図2に示すルーチンを実行することにより前記第1の発明における「燃料噴射量制御手段」が実現されている。また、ここでは、15(g/sec)が前記第1の発明における「所定値」に、図3に示すy=1.6x−12の関係を満たす触媒特性補正量evafcatを、図4に示す規則に従って空燃比に換算した値が前記第1の発明における「既定の空燃比」に、HCおよびNOxの発生量が全体として最小となる特性が前記第1の発明における「所望のエミッション特性」に、それぞれ相当している。
また、上述した実施の形態1においては、ECU20が、上記ステップ100の処理を実行することにより前記第2の発明における「フィードバック補正基本量を算出する手段」が、上記ステップ104の処理を実行することにより前記第2の発明における「サブフィードバック補正量を算出する手段」が、上記ステップ110の処理を実行することにより前記第2の発明における「触媒特性補正量算出手段」が、上記ステップ112の処理を実行することにより前記第2の発明における「補正後補正量算出手段」が、上記ステップ114および116の処理を実行することにより前記第2の発明における「燃料噴射量を算出する手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、ECU20が、上記ステップ108の処理を実行することにより前記第3の発明における「サブフィードバック学習量を算出する手段」が、上記ステップ112の処理を実行することにより前記第3の発明における「補正後補正量算出手段」が、上記ステップ106の処理を実行することにより前記第3の発明における「学習領域限定手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
[実施の形態2の特徴]
次に、図7乃至図10を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施形態のシステムは、図1に示すハードウェアを用いて、ECU20に、後述する図7に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態1では、サブフィードバック制御の目的が、下流空燃比を実理論空燃比とすること、つまり、サブO2センサ18にストイキ出力を発生させることとされている。このため、実施の形態1のシステムでは、触媒特性補正量evafcatを用いて下流空燃比を意図的にリッチ化させた場合に、そのリッチ化を打ち消すようにサブフィードバック補正量evafsfbが更新されるという現象が発生する。そして、実施の形態1では、サブフィードバック補正量evafsfbが上記の如く更新される過程で、サブフィードバック学習量evafsfbgが不適切に更新されるのを避けるために、学習領域を低Ga領域に限定することとしている。
これに対して、本実施形態では、上流空燃比を意図的にリッチ化した場合に、その意図的なリッチ分が打ち消されないようにサブフィードバック制御を実行することとした。つまり、意図的な上流空燃比のリッチ化に伴う下流空燃比のリッチ化の影響を、サブフィードバック制御量evafsfbから除いて、サブフィードバック制御を実行することとした。
このような制御によれば、上流空燃比が意図的にリッチ化されている間も、サブフィードバック補正量evafsfbは、常に、その意図的なリッチ化の影響を受けることなく、システムに内在するずれと密接に相関を有する値に維持される。従って、本実施形態のシステムによれば、エミッション特性の安定化を狙って上流空燃比を意図的にリッチ化する制御を行いつつ、サブフィードバック学習量evafsfbgの学習を全域に渡って許可することができる。
[実施の形態2における具体的処理]
図7は、上記の機能を実現するために本実施形態において実行されるルーチンのフローチャートである。図7に示すルーチンでは、先ず、触媒特性補正量evafcat2が算出される(ステップ120)。ここで算出される触媒特性補正量evafcat2は、図3および図4に示す直線(2)の関係、つまり、吸入空気量Gaに対してy=0.8xの関係を満たす値である。本実施形態において、ECU20は、この関係を満たすように設定された触媒特性補正量evafcat2のマップを記憶している。本ステップ120では、そのマップを参照することにより、現在のGaに対応する触媒特性補正量evafcat2が算出される。
図7に示すルーチンでは、次に、リッチ補正量evafrichが算出される(ステップ122)。図8は、ECU20が記憶しているリッチ補正量evafrichのマップを示したものである。このマップは、図4に示す直線(1)と直線(2)の差分に相当しており、リッチ補正量evafrichをy値とし、吸入空気量Gaをx値とすると、y=(1.6−0.8)xの関係を満たしている。本ステップ122では、図8に示すマップを参照して、リッチ補正量evafrichが算出される。
図7に示すルーチンによれば、次に、メイン空燃比センサ16の出力evafbseが検出され(ステップ124)、更に、ストイキ点学習量evafofsに関する処理が実行される(ステップ126)。これらの処理は、図2に示すステップ100および102の処理と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
次に、サブフィードバック補正量evafsfbの算出処理と、サブフィードバック学習量evafsfbgの学習処理とが順次実行される(ステップ128,130)。これらの処理は、具体的には、図9に示す手順で実行される。ここで実行される処理については、後に図9および図10を参照して詳細に説明する。
図7に示すルーチンでは、次に、以下に示す演算式に従って補正後A/F出力evabyfが算出される(ステップ132)。
evabyf=evafbse+evafofs+evafsfb+evafsfbg+evafcat2+evafrich
・・・(2)
上記(2)式は、「evafcat」が「evafcat2+evafrich」に置き換えられている点を除き、実施の形態1において用いられた(1)式と同じである。そして、「evafcat2+evafrich」は、図4に示す直線(1)の関係を満たす値である。このため、上記(2)式により算出される補正後A/F出力evabyfによれば、吸入空気量Gaが変化した場合に、サブフィードバック補正量evafsfbの追従を待つことなく、上流空燃比を、図4に示す直線(1)に沿って変化させることができる(但し、この場合、図4の縦軸は空燃比と見ることとする)。
図7に示すルーチンによれば、以後、制御目標空燃比eabyfrefの算出処理、およびメインフィードバックの処理が順次行われる(ステップ134、136)。これらの処理は、図2に示すステップ114および116の処理と同様に実行される。
(サブフィードバック補正量およびサブフィードバック学習量の算出)
次に、図9および図10を参照して、本実施形態におけるサブフィードバック補正量evafsfbの算出処理、およびサブフィードバック学習量evafsfbgの算出処理について詳細に説明する。
図9に示すルーチンでは、先ず、サブO2センサの出力偏差dlvoxsが算出される(ステップ140)。出力偏差dlvoxsは、サブO2センサ18のストイキ出力voxsrefからサブO2センサ18の出力voxsを減じることによりdlvoxs=voxsref−voxsとして算出される(図10参照)。
次に、出力偏差dlvoxsの積分処理が実行される(ステップ142)。ここでは、具体的には、以下の演算式に従って、偏差積分値dlvoxssumが算出される。
dlvoxssum=dlvoxssum(i-1)+dlvoxs+(evafrich/GainI) ・・・(3)
但し、上記(3)式において、dlvoxssum(i-1)は、前回の処理サイクル時に算出された偏差積分値である。また、GainIは、サブフィードバック補正量evafsfbの構成要素である積分補正量evafsfbiを算出する際に、偏差積分値dlvoxssumに掛け合わされるゲイン(以下、「積分項ゲイン」と称す)である。
上記(3)式によれば、前回の処理サイクル時に算出された偏差積分値dlvoxssum(i-1)に、今回検出された出力偏差dlvoxsと、今回用いられるリッチ補正量evafrichを積分ゲインGainIで割ったものとが加算される。本実施形態のシステムは、記述した通り、上記(2)式に従って補正後A/F出力evabyfを算出する。ここで、(2)式の右辺に加算されている触媒特性補正値evafcat2は、吸入空気量Gaの多少に関わらず上流空燃比が実理論空燃比となるように、上流空燃比をリッチ化させるための補正量である。また、(2)式の右辺に加算されているリッチ補正量evafrichは、上流空燃比を、実理論空燃比より更にリッチ化させるための補正量である。従って、本実施形態のシステムでは、上流空燃比は、リッチ補正量evafrich分だけ、実理論空燃比より意図的にリッチ化されることになる。
上流空燃比がリッチ補正量evafrich分だけ意図的にリッチ化される状況下では、そのリッチ化の影響が下流空燃比にも表れる。このため、サブO2センサ18の出力voxsは、システムのずれに起因するに比して、リッチ補正量evafrichによる影響分だけリッチに偏った値(大きな値)となる。その結果、出力偏差dlvoxsは、リッチ補正量evafrichの影響分だけ、本来の値より小さな値となる。
上記(3)式では、出力偏差dlvoxsに(evafrich/GainI)を加えることにより、リッチ補正量evafrichに起因する過小分を消滅させることとしている。つまり、上記(3)式において、「dlvoxs+(evafrich/GainI)」なる項は、リッチ補正量evafrichに起因する過小分を補うことにより、システムのずれに起因するサブO2センサ18の出力ずれ量を精度良く表した値である。このため、上記(3)式によれば、システムのずれに起因するサブO2センサ18の出力ずれ量を積算して、その積算値を偏差積分値dlvoxssumとして算出することができる。
図9に示すルーチンでは、次に、前回のサイクル時から今回のサイクル時にかけてサブO2センサ18の出力voxsに生じた変化量dvoxsが算出される(ステップ144)。ここでは、具体的には、前回の出力voxs(i−1)から今回の出力voxs(i)を減算することにより、次式に示すように出力変化量dvoxsが算出される。尚、このようにして算出される出力変化量dvoxsは、サブO2センサ18の出力voxsの微分値としての意義を有している。
dvoxs=voxs(i−1)−voxs(i) ・・・(4)
次に、サブフィードバック補正量evafsfbの第1の構成要素である比例補正量evafsfbpが算出される(ステップ146)。ここでは、具体的には、次式に従って比例補正量evafsfbpが算出される。但し、次式に含まれるGainPは、比例補正量evafsfbpの算出に用いられる比例ゲインである。
evafsfbp=dlvoxs*GainP+evafrich ・・・(5)
比例補正量evafsfbpは、サブO2センサ18の現実の出力voxsと、その目標とする値との差を、空燃比制御の内容にフィードバックするための補正量である。本実施形態では、既述した通り、下流空燃比が、リッチ補正量evafrichの影響によりリッチ化されている。その結果、サブO2センサ18の出力voxsはリッチ補正量evafrichによる影響分だけ過大な値となっており、出力偏差dlvoxsは、システムのずれ分を表す値より、リッチ補正量evafrichの影響分だけ過小な値となっている。
上記(5)式によれば、dlvoxs*GainPにリッチ補正量evafrichを加算することで、出力偏差dlvoxsの過小分を適切に補うことができる。このため、上記(5)式によれば、システムのずれに起因する空燃比のずれ量と密接に相関を有するリッチ補正量evafrichを算出することができる。
図9に示すルーチンでは、次に、サブリードバック補正量evafsfbの第2の構成要素である積分補正量evafsfbiが算出される(ステップ148)。ここでは、具体的には、次式に従って積分補正量evafsfbiが算出される。
evafsfbi=dlvoxssum*GainI ・・・(6)
上記ステップ142では、既述した通り、リッチ補正量evafrichの影響を排除した偏差積分値dlvoxssumを算出することができる。このため、上記(6)式によれば、リッチ補正量evafrichによるリッチ化に影響されることなく、システムのずれに起因する空燃比の偏りを修正するうえで好適な積分補正量evafsfbiを算出することができる。
次に、サブフィードバック補正量evafsfbの第3の構成要素である微分補正量evafsfbdが算出される(ステップ150)。微分補正量evafsfbdは、具体的には、サブO2センサ18の出力変化量dvoxsに微分ゲインGainDを掛け合わせることにより、次式のように算出される。
evafsfbd=dvoxs*GainD ・・・(7)
尚、リッチ補正量evafrichに起因する上流空燃比のリッチ化は、下流空燃比の変化速度には影響しない。つまり、リッチ補正量evafrichに起因するリッチ化は、サブO2センサ18の出力voxsの微分値には大きな影響を与えない。このため、微分補正量evafsfbdについては、リッチ補正量evafrichの影響を排除するための処理を行うことなく、精度良く算出することができる。
以上の処理が終わると、次に、サブフィードバック補正量evafsfbが算出される(ステップ152)。サブフィードバック補正量evafsfbは、比例補正量evafsfbp、積分補正量evafsfbi、および微分補正量evafsfbdを加算することにより、次式のように算出される。
evafsfb=evafsfbp+evafsfbi+evafsfbd ・・・(8)
以上の処理によれば、サブフィードバック補正量evafsfbは、リッチ補正量evafrichに起因する意図的なリッチ化の影響が排除された値として算出することができる。サブフィードバック補正量evafsfbが意図的なリッチ化の影響を受けない値であれば、意図的なリッチ化と同時にサブフィードバック制御が実行されても、サブフィードバック補正量evafsfbが、そのリッチ化を打ち消すように更新されることはない。
つまり、このような状況下では、サブフィードバック制御が、意図的なリッチ化を打ち消すように機能することがない。このため、本実施形態のシステムによれば、リッチ補正量evafrichを用いたリッチ化制御とサブフィードバック制御とを同時に実行することにより、上流空燃比を、本来意図したリッチ空燃比に極めて精度良く制御することが可能である。
また、意図的なリッチ化の影響が排除されたサブフィードバック補正量evafsfbの値は、システムのずれに起因して生ずる下流空燃比の偏りの大きさと密接な相関を示す。このため、本実施形態のシステムにおいては、リッチ補正量evafrichを用いた意図的なリッチ化を行いつつ、サブフィードバック補正量evafsfbの定常値を、常に、システムのずれを表すものとしてサブフィードバック学習量evafsfbgに取り込むことができる。
図9に示すルーチンでは、以上の手順により、図7に示すステップ128の処理、つまり、サブフィードバック補正量evafsfbの算出処理が実行される。これらの処理が終わると、次に、図7に示すステップ130の処理、つまり、サブフィードバック学習量evafsfbgの算出処理を行うべく、ステップ154移行の処理が実行される。
ここでは、先ず、次式に従って、サブフィードバック学習用なまし値evafsfbsmが算出される(ステップ154)。
evafsfbsm=evafsfbsm(i−1)+{evafsfbp−evafsfbsm(i−1)}/n ・・・(9)
上記(9)式は、今回の比例補正量evafsfbpと前回のサブフィードバック学習用なまし値との差を、1/nのゲインでサブフィードバック学習用なまし値に反映させるための演算式である。つまり、この演算式(9)は、比例補正量evafsfbpを1/nのゲインでなました値をサブフィードバック学習用なまし値evafsfbsmとするための式である。
サブフィードバック補正量evafsfbを構成する要素のうち、微分補正量evafsfbdは、サブO2センサ18の出力特性に大きな影響を受ける値であると共に、システムの定常偏差とは無関係の値である。このため、本実施形態では、微分補正量evafsfbdについては、サブフィードバック学習量evafsfbgには、取り込まないこととした。
また、サブフィードバック補正量evafsfbの他の構成要素である積分補正量evafsfbiには、比例補正量evafsfbpに比して誤差が大きく含まれ易い。このため、ここでは、積分補正量evafsfbiも、サブフィードバック学習量evafsfbgには取り込まないこととし、そのため、サブフィードバック学習用なまし値evafsfbsmにも反映させないこととした。
但し、積分補正量evafsfbiは、システムの定常偏差を表す値であるため、比例補正量evafsfbpと共に、あるいは単独で、サブフィードバック学習量evafsfbgに取り込むこととしてもよい。上記ステップ154において、サブフィードバック学習用なまし値を次式(10)により算出すると前者の内容を実現することができ、また、次式(11)により算出すると後者の内容を実現することができる。
evafsfbsm=evafsfbsm(i−1)+{evafsfbp+evafsfbi−evafsfbsm(i−1)}/n
・・・(10)
evafsfbsm=evafsfbsm(i−1)+{evafsfbi−evafsfbsm(i−1)}/n ・・・(11)
図9に示すルーチンでは、次に、サブフィードバック学習量evafsfbgの学習タイミングが到来しているか否かが判別される(ステップ156)。その結果、未だそのタイミングが到来していないと判別された場合は、そのまま今回のサイクルが終了される。一方、学習タイミングの到来が認められた場合は、次に、サブフィードバック学習量evafsfbgの更新量edvafsfbgが算出される(ステップ158)。
更新量edvafsfbgは、具体的には、次式(12)に従って算出される。この式(12)によれば、サブフィードバック学習用なまし値evafsfbsmの1/mを更新量edvafsfbgとすることができる。
edvafsfbg=evafsfbsm/m ・・・(12)
次に、サブフィードバック学習値evafsfbgの更新処理が実行される(ステップ160)。ここでは、前回のサイクル時における学習値evafsfb(i−1)に更新量edvafsfbgを加えることにより、次式のように更新処理が行われる。
evafsfbg=evafsfbg(i−1)+edvafsfbg ・・・(13)
最後に、以後の処理に備えて学習値更新後処理が実行される(ステップ162)。ここでは、更新量サブフィードバック学習値evafsfbgに更新量evafsfbgが加算されたことに対応して、(a)サブフィードバック補正量evafsfb、(b)偏差積分値dlvoxssum、および(c)サブフィードバック学習用なまし値evafsfbsmが、それぞれ更新量edvafsfbgに基づいて修正される。これらの修正は、具体的には、以下に示す演算式に従って実行される。
evafsfb=evafsfb−edvafsfbg ・・・(14)
dlvoxssum=dlvoxssum−(edvafsfbg/GainI) ・・・(15)
evafsfbsm=evafsfbsm−edvafsfbg ・・・(16)
以上説明した通り、図7および図9に示すルーチンによれば、リッチ補正量evafrichを用いた制御により、上流空燃比を意識的にリッチ化しつつ、その意識的なリッチ化の影響を排除したサブフィードバック補正量evafsfbを算出することができる。そして、そのサブフィードバック補正量evafsfbに含まれる定常的な値を移し替えることによりサブフィードバック学習値evafsfbgを適正に学習することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、吸入空気量Gaの多少に影響されることなく、常に優れたエミッション特性を実現することができる。
尚、上述した実施の形態2においては、ECU20が、上記ステップ124の処理を実行することにより前記第4の発明における「フィードバック補正基本量を算出する手段」が、上記ステップ120の処理を実行することにより前記第4の発明における「特性補正量算出手段」が、上記ステップ122の処理を実行することにより前記第4の発明における「リッチ補正量算出手段」が、上記ステップ128の処理、つまり、上記ステップ140〜152の処理を実行することにより前記第4の発明における「サブフィードバック補正量算出手段」が、上記ステップ132の処理を実行することにより前記第4の発明における「補正後補正量算出手段」が、上記ステップ134および136の処理を実行することにより前記第4の発明における「燃料噴射量を算出する手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態3.
[実施の形態3の特徴]
次に、図11および図12を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。本実施形態のシステムは、実施の形態2のシステムにおいて、ECU20に、後述する図11に示すルーチンを更に実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態1のシステムでは、メイン空燃比センサ12の出力evafbseに触媒特性補正量evafcatを加算することにより、高Ga領域において上流空燃比を意識的にリッチ化させることとしている。また、上述した実施の形態2においては、メイン空燃比センサ12の出力に触媒特性補正量evafcat2とリッチ補正量evafrichを加えることにより、上流空燃比を意識的にリッチ化させることとしている。
これらのシステムでは、触媒特性補正量evafcat,evafcat2やリッチ補正量evafrichが過大であると、上流空燃比が不当にリッチ化される事態が生ずる。より具体的には、これらのシステムでは、上流空燃比が過剰にリッチ化されることにより、下流空燃比が明らかな不当にリッチ化される事態が生じ得る。そこで、本実施形態のシステムは、下流空燃比が不当にストイキから外れることがないように、上流空燃比の意識的なリッチ化に制限を課することとした。
[実施の形態3における具体的処理]
図11は、上記の機能を実現するために、本実施形態においてECU20が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、具体的には、図7に示すステップ122の処理として、つまり、リッチ補正量evafrichを算出するための処理として実行される。
図11に示すルーチンでは、先ず、吸入空気量Gaに基づいてリッチ補正量evafrichのベース値が算出される(ステップ170)。ここでは、図8に示すマップを参照して読み出された値が、リッチ補正量evafrichのベース値とされる。
次に、今回のサイクルで検知されたサブO2センサ18の出力voxsが、過去に検知された最大出力voxsmaxを超えているか否かが判別される(ステップ172)。その結果、voxs>voxsmaxの成立が認められた場合は、今回のvoxsが最大出力voxsmaxに書き換えられる(ステップ174)。一方、上記の判別が否定された場合は、ステップ174の処理はジャンプされる。
次に、サブフィードバック補正量evafsfbの一要素である比例補正量evafsfbpの上限値が算出される(ステップ176)。ここでは、具体的には、次式に従ってその上限値が算出される。
上限値=(voxsmax−voxsref)*0.8*GainP ・・・(17)
図12は、上記(17)式の物理的意味を説明するための図である。図12に示すように、最大出力voxsmaxは、サブO2センサ18の出力voxsの上限側の収束値である。従って、出力voxsが最大出力voxsmaxであるということは、下流空燃比が明らかにリッチ空燃比であることを意味している。下流空燃比が明らかなリッチ空燃比となることは、良好なエミッション特性を得るうえで好ましい状態ではない。従って、上流空燃比を意識的にリッチ化する場合においても、そのリッチ化は、下流空燃比が明らかなリッチ空燃比には至らない範囲で行うべきである。
上記(17)式中に「(voxsmax−voxsref)*0.8」と記載した項は、上流空燃比を意識的にリッチ化する場合に、サブO2センサ18の出力偏差dlvoxsに許容される上限値を、上記の観点より設定した値を表している。そして、出力偏差dlvoxsに許容する上限値がたが「(voxsmax−voxsref)*0.8」であるとすると、比例補正量evafsfbpに許容される上限値は、上記(17)式により表されるものとなる。
図11に示すルーチンでは、次に、サブO2センサ18の最小出力voxsminを更新する処理(ステップ178,180)、および次式に従って、比例補正量evafsfbpの下限値maxを算出する処理(ステップ182)が順次行われる。
下限値=(voxsmin−voxsref)*0.8*GainP ・・・(18)
これらの処理は、上述したステップ172〜176の処理と同様の手順で、同様の目的の下に実行される。
上記の処理が終了すると、次に、上記ステップ170において算出されたリッチ補正量evafrichのベース値が、比例補正量evafsfbpの上限値より大きいか否かが判別される(ステップ184)。
リッチ補正量evafrichが上限値より大きい場合は、比例補正量evafsfbpにより修正できない可能性のあるリッチ化が要求されており、その要求は過大であると判断できる。この場合、リッチ化の要求を妥当なものとするため、リッチ補正量evafrichが上記の上限値に置き換えられる(ステップ186)。一方、evafrich>上限値が成立しない場合は、リッチ化の要求が妥当なものであるとして、ステップ186の処理がジャンプされる。
同様の観点より、次に、リッチ化補正量evafsfbが、比例補正量evafsfbpの下限値を下回っているか否かが判別される(ステップ188)。そして、evafsfb<下限値が成立する場合には、リッチ化補正量evafrichを上記の下限値に置き換える処理が行われる(ステップ190)。
以上の処理によれば、吸入空気量Gaに基づいて如何なるリッチ化補正量evafrich(ベース値)が設定されたとしても、上流空燃比に対して意識的に与えられるシフト量は、下流空燃比をストイキ近傍に維持し得る範囲に制限されることになる。このため、本実施形態のシステムによれば、リッチ補正量evafrichを用いたリッチ化制御の実行に起因して、上流触媒12からストイキから大きく外れた排気ガスが流出してくる事態が生ずるのを、有効に防止することができる。
尚、上述した実施の形態3においては、ECU20が、図7に示すステップ120の処理を実行することにより前記第5の発明における「特性補正量算出手段」が、上記ステップ170の処理を実行することにより前記第5の発明における「リッチ補正量算出手段」が、図7に示すステップ132においてevafcat2とevafrichとを加算することにより前記第5の発明における「触媒特性補正量を算出する手段」が、上記ステップ172および174の処理を実行することにより前記第5の発明における「出力上限値を検知する手段」が、上記ステップ176の処理を実行することにより前記第5の発明における「リッチ補正量上限ガード値を算出する手段」が、上記ステップ186の処理を実行することにより前記第5の発明における「リッチ補正量上限ガード値に置き換える手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態3においては、ECU20が、図7に示すステップ120の処理を実行することにより前記第6の発明における「特性補正量算出手段」が、上記ステップ170の処理を実行することにより前記第6の発明における「リッチ補正量算出手段」が、図7に示すステップ132においてevafcat2とevafrichとを加算することにより前記第6の発明における「触媒特性補正量を算出する手段」が、上記ステップ178および180の処理を実行することにより前記第6の発明における「出力下限値を検知する手段」が、上記ステップ182の処理を実行することにより前記第6の発明における「リッチ補正量下限ガード値を算出する手段」が、上記ステップ190の処理を実行することにより前記第6の発明における「リッチ補正量下限ガード値に置き換える手段」が、それぞれ実現されている。
本発明の実施の形態1の空燃比制御装置の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 吸入空気量Gaと触媒特性補正量evafcatとの関係を定めたマップである。 触媒特性補正量evafcatのマップを作成するにあたって検討の対象とした4つの直線(1)〜(4)を説明するための図である。 触媒特性補正の傾きと、HC、NOxの排出量との関係を確認した実験の結果である。 サブフィードバック学習量evafsfbgの学習領域を、吸入空気量Gaが15(g/sec)以下の領域に限定したことによる効果を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2で用いられるリッチ補正量evafrichのマップを示したものである。 図7に示すステップ128および130の詳細を示したルーチンのフローチャートである。 サブフィードバック補正量evafsfbの算出に用いられるパラメータの内容を説明するための図である。 本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。 比例補正量evafsfbpの上限値および下限値の物理的意味を説明するための図である。
符号の説明
10 内燃機関
12 上流触媒
16 メイン空燃比センサ
18 サブO2センサ
20 ECU(Electronic Control Unit)
Ga 吸入空気量
evafbse メイン空燃比センサの出力
evafsfb サブフィードバック補正量
evafsfbg サブフィードバック学習量
evafcat;evafcat2 触媒特性補正量
evabyf 補正後A/F出力
evafrich リッチ補正量
voxs サブO2センサの出力
dlvoxs 出力偏差
voxsref ストイキ出力
dlvoxssum 偏差積分値
evafsfbp 比例補正量
evafsfbi 積分補正量

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気通路に配置される触媒と、
    前記触媒の上流に配置される上流側排気ガスセンサと、
    前記触媒の下流に配置される下流側排気ガスセンサと、
    内燃機関の吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段と、
    前記上流側排気ガスセンサの出力、および前記下流側排気ガスセンサの出力に基づいて燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御手段とを備え、
    前記燃料噴射量制御手段は、吸入空気量が所定値を超える領域で、前記触媒の上流における空燃比が、前記触媒の実理論空燃比よりリッチな既定の空燃比となるように燃料噴射量を制御するものであり、
    前記触媒は、吸入空気量が多いほどリッチ化する触媒ウィンドウを有し、
    前記既定の空燃比は、所望のエミッション特性を実現するものとして、前記触媒ウィンドウより大きな傾きでリッチ化するように吸入空気量との関係で定められた値であることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 前記燃料噴射量制御手段は、
    前記上流側排気ガスセンサの出力に基づいて、触媒上流の空燃比を目標空燃比とするためのフィードバック補正基本量を算出する手段と、
    前記下流側排気ガスセンサの出力とストイキ出力との差に基づいて、それらを一致させるためのサブフィードバック補正量を算出する手段と、
    前記触媒の上流における空燃比を前記既定の空燃比とするための触媒特性補正量を吸入空気量に基づいて設定する触媒特性補正量算出手段と、
    前記フィードバック補正基本量を、前記サブフィードバック補正量、および前記触媒特性補正量に基づいて補正することにより、補正後フィードバック補正量を算出する補正後補正量算出手段と、
    前記補正後フィードバック補正量に基づいて燃料噴射量を算出する手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 前記燃料噴射量制御手段は、
    吸入空気量が前記所定値以下の領域では、前記触媒の上流における空燃比が前記触媒の実理論空燃比となるように燃料噴射量を制御するものであり、かつ、
    前記サブフィードバック補正量に含まれる定常値を取り込むことによりサブフィードバック学習量を算出する手段と、
    前記フィードバック補正基本量を、前記サブフィードバック補正量および前記触媒特性補正量に加えて、前記サブフィードバック学習量をも基礎として算出する補正後補正量算出手段とを備え、
    前記サブフィードバック学習量の更新を、吸入空気量が前記所定値以下の場合に限って許可する学習領域限定手段を更に備えることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 前記燃料噴射量制御手段は、
    前記上流側排気ガスセンサの出力に基づいて、触媒上流の空燃比を目標空燃比とするためのフィードバック補正基本量を算出する手段と、
    前記触媒の上流における空燃比を当該触媒の実理論空燃比とするための特性補正量を吸入空気量に基づいて設定する特性補正量算出手段と、
    前記触媒の上流における空燃比を、当該触媒の実理論空燃比と前記既定の空燃比の差分だけリッチ化するためのリッチ補正量を吸入空気量に基づいて設定するリッチ補正量算出手段と、
    前記下流側排気ガスセンサの出力とストイキ出力とを一致させるための補正量から、前記リッチ補正量の影響を排除した値をサブフィードバック補正量として算出するサブフィードバック補正量算出手段と、
    前記フィードバック補正基本量を、前記特性補正量、前記リッチ補正量、および前記サブフィードバック補正量に基づいて補正することにより、補正後フィードバック補正量を算出する補正後補正量算出手段と、
    前記補正後フィードバック補正量に基づいて燃料噴射量を算出する手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  5. 前記触媒特性補正量算出手段は、
    前記触媒の上流における空燃比を当該触媒の実理論空燃比とするための特性補正量を吸入空気量に基づいて設定する特性補正量算出手段と、
    前記触媒の上流における空燃比を、当該触媒の実理論空燃比と前記既定の空燃比の差分だけリッチ化するためのリッチ補正量を吸入空気量に基づいて設定するリッチ補正量算出手段と、
    前記特性補正量と前記リッチ補正量とを加算することにより前記触媒特性補正量を算出する手段とを備え、
    前記下流側排気ガスセンサの出力上限値を検知する手段と、
    前記出力上限値に基づいて、当該出力上限値より小さなリッチ補正量上限ガード値を算出する手段と、
    前記リッチ補正量が前記リッチ補正量上限ガード値より大きい場合に、当該リッチ補正量を当該リッチ補正量上限ガード値に置き換える手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 前記触媒特性補正量算出手段は、
    前記触媒の上流における空燃比を当該触媒の実理論空燃比とするための特性補正量を吸入空気量に基づいて設定する特性補正量算出手段と、
    前記触媒の上流における空燃比を、当該触媒の実理論空燃比と前記既定の空燃比の差分だけリッチ化するためのリッチ補正量を吸入空気量に基づいて設定するリッチ補正量算出手段と、
    前記特性補正量と前記リッチ補正量とを加算することにより前記触媒特性補正量を算出する手段とを備え、
    前記下流側排気ガスセンサの出力下限値を検知する手段と、
    前記出力下限値に基づいて、当該出力上限値より大きなリッチ補正量下限ガード値を算出する手段と、
    前記リッチ補正量が前記リッチ補正量ガード値より大きい場合に、当該リッチ補正量を当該リッチ補正量下限ガード値に置き換える手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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