JP4432596B2 - ラックアンドピニオン式ステアリング装置 - Google Patents

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本発明は、ピニオンの回転運動をラックの車幅方向の直線運動に変換することによって、車輪に操舵角を付けるラックアンドピニオン式ステアリング装置に関する。
従来から、操縦安定性向上やタイヤの特性を有効活用できる理想的な操舵角特性を得るために、左右の車輪の操舵角を独立に制御する操舵装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この操舵装置は、左右前輪の各サスペンションに電動モーターをそれぞれ設け、ステアリングの操舵角に応じて、その電動モーターの回転を左右独立に制御している。この制御によって、左右前輪の各操舵角を理想的な操舵角特性に近づけようとしている。
特開平1−175572号
しかしながら、上述の特許文献1記載の従来技術では、ステアリングの回転量を操舵角として車輪に伝達するまでのステアリング構造が、上記の電動モーターにより、切断されている。つまり、ステアリングの操舵角をセンサによって検出し、その検出値に基づいて電子制御装置によって上記の電動モーターを駆動させており、ステアリングシャフト等のメカニカルな部品を介する構造にはなっていない。さらに、上記の従来技術に限らず、ステアバイワイヤ等をはじめとする、メカニカルな結合なしにワイヤハーネス結合による電子制御で操舵制御する技術においても、同様である。したがって、電動モーターの故障等の電気系の失陥(フェール)時には十分なフェールセーフ対策が必要であり、メカニカルな構造に比べ不利な構造である。
そこで、本発明は、ステアリングの機構を切断することなく、左右輪の操舵角を独立に制御するラックアンドピニオン式ステアリング装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一局面によれば、
ピニオンの回転運動をラックの車幅方向の直線運動に変換することによって、車輪に操舵角を付けるラックアンドピニオン式ステアリング装置において、
車幅方向に延在し、一端がタイロッドを介して左右の車輪に接続される左右の軸棒と、
ピニオンのピニオンギヤに噛合するラックギヤが形成されたハウジングと、
前記ハウジングの内部にベアリングを介して組み込まれており、前記ハウジングに対して、前記左右の軸棒の軸まわりに回転可能に且つ車幅方向に移動不能に接続され、前記左右の軸棒の他端を保持する軸棒保持部材と、
前記軸棒保持部材を前記左右の軸棒の軸まわりに回転させる駆動手段とを備え、
前記軸棒保持部材は、前記軸棒保持部材の回転により前記左右の軸棒の車幅方向の移動が生ずるような噛合態様で前記左右の軸棒の他端に噛合しており、前記軸棒保持部材の一の方向の回転により、前記左右の軸棒が互いに離れる方向に移動され、前記軸棒保持部材の他の方向の回転により、前記左右の軸棒が互いに近づく方向に移動され、
前記左右の軸棒のうちの左の軸棒を保持するものと右の軸棒を保持するものとに分けられた前記軸棒保持部材のそれぞれが、前記左右の軸棒の軸まわりに回転する、ラックアンドピニオン式ステアリング装置が提供される。これにより、従来、ラックの車幅方向の直線運動によってタイヤの操舵角をつけていたが、ラックの長さを変化させる機構を設け、その直線運動による移動量とラック長を各々変化させることによって、左右の車輪に対して独立に操舵角を付けることができる。

また、前記ピニオンとステアリングホイールの間に介在し、前記ピニオン側の回転と前記ステアリングホイール側の回転との回転差を変化させることによって、ステアリングギヤ比を変化させる差動歯車機構と、
前記ピニオン側の回転と前記ステアリングホイール側の回転を直結させるロック機構と、
該回転差を制御する第1の制御装置とを更に備えることが好ましい。これにより、ステアリングホイールの回転等に応じて、ピニオンの回転運動によるラックの直線運動とラック長可変機構によるラック長を変化させることによって、左右の車輪の操舵角を独立に制御することができる。さらに、フェール時であっても、差動歯車機構内部をメカニカルに直結することによって、ステアリングホイール側の回転をピニオン側に直接伝達し、操舵機能を確保することができる。
また、前記ラックは、
車幅方向に延在し、一端がタイロッドを介して左右の車輪に接続される左右の軸棒と、
前記左右の軸棒の他端を保持し、ピニオンのピニオンギヤに噛合するラックギヤが形成されたハウジングとからなり、
前記ラック長可変機構は、前記左右の軸棒を前記ハウジングに対して車幅方向に移動させ、前記左右の軸棒の他端間の距離を変化させるとしてよい。これにより、車輪に操舵角を付ける軸棒を左右の車輪毎にそれぞれ設け、それら左右の軸棒を保持するハウジングに対して、車幅方向に移動させ、左右の軸棒間の距離を変化させることによって、ラック長が変化する。したがって、ラックの車幅方向の直線運動による移動量とラック長を各々変化させることによって、左右の車輪に対して独立に操舵角を付けることができる。
また、前記ラック長可変機構は、
前記ハウジングに対して、前記左右の軸棒の軸まわりに回転可能に且つ車幅方向に移動不能に接続され、前記左右の軸棒の他端を保持する軸棒保持部材と、
前記軸棒保持部材を前記左右の軸棒の軸まわりに回転させる駆動手段とからなり、
前記軸棒保持部材は、その回転により前記左右の軸棒の車幅方向の移動が生ずるような噛合態様で前記左右の軸棒の他端に噛合してよい。これにより、軸棒保持部材が駆動手段により回転することによって、その軸棒保持部材に噛合されている左右の棒軸が車幅方向に移動し、ラック長が変化する。したがって、ラックの車幅方向の直線運動による移動量とラック長を各々変化させることによって、左右の車輪に対して独立に操舵角を付けることができる。
また、前記軸棒保持部材は、前記左右の軸棒の両他端を同時に保持しており、前記軸棒保持部材の一の方向の回転により、前記左右の軸棒が互いに離れる方向に移動され、前記軸棒保持部材の他の方向の回転により、前記左右の軸棒が互いに近づく方向に移動されてよい。これにより、軸棒保持部材の回転方向を駆動手段によって変えることによって、ラック長を長くしたり短くしたりすることができる。
また、前記軸棒保持部材は、前記ハウジングの内部にベアリングを介して組み込まれており、前記ハウジングの外周部に前記ラックギヤが形成されてよい。これにより、ピニオンの回転による車幅方向の直線運動と軸棒保持部材の回転運動を独立に行うことが可能な機構を容易に実現できる。
また、ステアリングホイールの操舵角や前記左右の軸棒の車幅方向の移動量に基づいて、前記駆動手段を制御する第2の制御装置を更に備えることが好ましい。これにより、ステアリングホイールの回転によるピニオンからの回転入力に応じて、軸棒保持部材の回転運動を制御することによって、左右の車輪の操舵角を独立に制御することができる。
本発明によれば、ステアリングの機構を切断することなく、左右輪の操舵角を独立に制御することができる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。図1は、本発明の実施例であるラックアンドピニオン式ステアリング装置30(以下、単にステアリング装置という)の主要部を示す断面図であり、図2はステアリング装置30を適用したステアリング機構を示している。先ず、図2を参照しながら、ステアリング機構の概略構成について説明する。
ステアリング機構は、大略すると、ステアリングホイール1、回転伝達機構18、及びステアリング装置30等から構成されている。ステアリングホイール1はステアリングコラム(図示せず)に挿入された第1のステアリングシャフト14と接続されており、運転者がステアリングホイール1を回動操作すると、第1のステアリングシャフト14もステアリングホイール1と一体的に回動する。第1のステアリングシャフト14は、回転伝達機構18に接続されている。回転伝達機構18には、パワーステアリング機構(図示せず)や、差動歯車機構3等が含まれる。差動歯車機構3についての説明は、後述する。ステアリングホール1の回転が、回転伝達機構18及び第2のステアリングシャフト15を介して、ステアリング装置30に伝達される。
ステアリング装置30は、左右の軸棒10,11を図中左右方向(車幅方向)に直線運動させることによって、ラック長を変化させるラック長可変機構を備えている。左右の軸棒10,11は左右のタイロッド16に接続され、タイロッド16はナックルアーム17を介して車輪5に接続される。したがって、左右のタイロッド16が車幅方向に移動することにより、車輪5に操舵角が付く。
続いて、ステアリング装置30について以下詳述する。図1はステアリング装置30の主要部を示す断面図である。ステアリング装置30は、大略すると、ピニオン4、車幅方向に延在し一端がタイロッド16を介して左右の車輪5に接続される左右の軸棒10,11、左右の軸棒10,11の他端を保持しピニオン4のピニオンギヤ5に噛合するラックギヤ7が形成されたハウジング6及びラック長可変機構(左右の軸棒10,11を保持する軸棒保持部材9や、軸棒保持部材9を左右の軸棒10,11の軸まわりに回転させる駆動手段(図示せず))等から構成されている。
ピニオン4には、ピニオンギヤ5が形成されると共に、前記した回転伝達機構18及び第2のステアリングシャフト15に接続されている。ハウジング6には、ピニオン4のピニオンギヤ5に噛合するラックギヤ7が形成されている。ハウジング6は、例えば筒状の形状であり、その外周部にラックギヤ7が形成されている。
ハウジング6の内部には、ベアリング8を介して軸棒保持部材9が組み込まれている。軸棒保持部材9は、ハウジング6に対して左右の軸棒10,11の軸まわりに回転可能に且つ車幅方向に移動不能にベアリング8を介して接続され、左右の軸棒10,11のタイロッド16に接続されていない側を保持する。また、軸棒保持部材9は、駆動手段(図示せず)によって左右の軸棒10,11の軸まわりに回転させられる。例えば、軸保持部材9の外周部に歯車を設け、駆動手段との間にその歯車を介在させることにより回転させられる構成としてよいし、軸保持部材9を駆動手段そのものとし、それ自体が回転する構成としてもよい。この駆動手段は、例えば、モーターであって、後述する電子制御装置2によって駆動する。このモーターの回転力によって、軸棒保持部材9は左右の軸棒10,11の軸まわりに回転させられる。軸棒保持部材9は、その回転により左右の軸棒10,11の車幅方向の移動が生ずるような噛合態様で左右の軸棒10,11のタイロッド16に接続されていない側に噛合している。
軸棒保持部材9と左右の軸棒10,11には、軸棒保持部材9の一の方向の回転によって左右の軸棒10,11が互いに離れる方向に移動されるように、軸棒保持部材9の他の方向の回転によって左右の軸棒10,11が互いに近づく方向に移動されるように、ネジ溝が切られている。なお、軸棒保持部材9と左右の軸棒10,11を直接噛合させてもよいし、左右の軸棒10,11のネジ溝部に多数の金属ボールを入れて軸棒保持部材9をかぶせてもよい。ボールを介するので回転は滑らかで軽くなる。
上述のモーター等の駆動手段の回転制御は、電子制御装置2内の第2の制御装置からの指令により行われる。第2の制御装置が回転制御をするために必要な入力情報としては、例えば、ステアリングホール1及び車輪5の操舵角、それらの操舵速度、左右の軸棒10,11の移動量、左右の車輪5の上下ストローク、車両に加わるヨーレート、車輪速及びスキッドコントロールコンピューターからの信号である。第2の制御装置は、CPU,ROM,RAM等から構成され、前記の入力情報をもとに、ROM上に記憶されたプログラムやマップに従って、左右の車輪5が所望の操舵角となるように、駆動手段を回転制御する。
図4は、第2の制御装置による車輪5の操舵角変化を示す図である。図4(a)の操舵角ゼロの車輪が真正面に向いている状態から、図4(b)のようにラック長が長くなれば、車輪5の前側が後側より狭いハの字となる、いわゆるトーイン側に、操舵角α1が付く。逆に図4(c)のようにラック長が短くなれば、この逆のトーアウト側に操舵角α2が付く。
したがって、ステアリング装置30によれば、以下記載の如く、車輪5に操舵角を付けることができる。ピニオン4が回転すると、ピニオンギヤ5とラックギヤ7との噛合により、ピニオン4の回動運動はハウジング6の車幅方向の直線運動に変換される。このとき、上述したように、軸棒保持部材9は、ハウジング6に対して左右の軸棒10,11の軸まわりに回転可能に且つ車幅方向に移動不能にベアリング8を介して接続されている。また、左右の軸棒10,11のタイロッド16に接続されていない側は、軸棒保持部材9と噛合されている。つまり、ピニオン4の回転運動によって、ハウジング6、軸棒保持部材9及び左右の軸棒10,11は一体となって、車幅方向に移動する。この移動により、タイロッド16及びナックルアーム17に接続された車輪5に操舵角を付けることができる。この操舵角を付ける動きについては、ピニオンの回転運動を直線運動に変換して車輪に操舵角を付けるというラックアンドピニオン式ステアリング装置の基本機能を本ステアリング装置30も備えているということを示すものである。
一方、軸棒保持部材9がモーター等の駆動手段によって左右の軸棒10,11の軸まわりに回転させられることによっても、車輪5に操舵角を付けることができる。つまり、軸棒保持部材9は、その回転により左右の軸棒10,11の車幅方向の移動が生ずるような噛合態様で左右の軸棒10,11のタイロッド16に接続されていない側に噛合している。また、上述のように、その回転の方向の違いにより、左右の軸棒10,11が互いに近づいたり、離れたりするようにネジ溝が切られている。したがって、モーター等の駆動手段による軸棒保持部材9の回転運動によって、左右の軸棒10,11は、車幅方向の互いに異なった向きに移動する。この移動により、左右のタイロッド16間の長さ、いわゆるラック長が可変することになり、タイロッド16及びナックルアーム17に接続された車輪5に操舵角を付けることができる。なお、ステアリングホイールから車輪までメカニカルに結合されており、ステアリング機構が切断されていない。
さらに、軸棒保持手段9は、図1においては左右の軸棒10,11の両他端を同時に保持しているが、図3に示すように、軸棒保持手段9を左の軸棒10を保持するものと右の軸棒11を保持するものに分けることができる。その分けられた軸棒保持手段9のそれぞれを第2の制御装置により制御される駆動手段によって回転させてもよい。これにより、ラック長を左右独立に変化させることができるので、左右の車輪に対して独立に操舵角をつけることができる。
続いて、差動歯車機構3をピニオン4とステアリングホイール1の間に介在させた場合の操舵角変化について説明する。まず、差動歯車機構3について説明する。従来のステアリング機構は、高速走行時にステアリング操作量に対して緩やかに車両を反応させるために、低速走行時よりも高速走行時を想定したステアリングギヤ比に設定されていた。これに対し、差動歯車機構3は、ステアリングギヤ比を任意に変更し、走行状態に応じたステアリングギヤ比を変化させることができる。差動歯車機構3は、いわゆるVGRS(Variable Gear Ratio Steering)アクチュエーターのことである。
VGRSアクチュエーターの機能について、簡単に説明する。図6はVGRSアクチュエーターの構成を示す断面図である。VGRSアクチュエーターは、大略すると、減速機構、DCブラシレスモーター、ロック機構等から構成されている。図7は、減速機構を分解した図を示す。ステアリングホイールの回転は、ゴムカップリングを介してVGRSアクチュエーターのハウジングに伝わる。ハウジングは、DCブラシレスモーターのケースとステーターギヤを固定している。VGRSコンピューターからの制御信号及び電源によりDCブラシレスモーターが回転すると、減速機構の楕円状の波動発生器のカムが回転して、フレキシブルギヤを回転させる。フレキシブルギヤは薄いベルト状で金属弾性体である。フレキシブルギヤはステーターギヤ内を楕円状に変形しながら回転し、同軸上のドリブンギヤを回転させることになる。ドリブンギヤはステーターギヤより歯数が少ない。例えば歯数が2歯少ない場合、波動発生器が1回転すると、ドリブンギヤは波動発生器の回転方向とは逆方向に2歯分回転する。つまり、ステアリングホイール側のステーターギヤとピニオン側のドリブンギヤ間に回転差が発生することになる。そして、ステアリングホイールから車輪までメカニカルに結合されており、ステアリング機構が切断されていない。
また、図8に示すように、VGSRアクチュエーターにはフェールセーフ機能としてロック機構が備えられている。VGRSシステム及びVGRSアクチュエーター異常時には、アクチュエーター機能を停止するとともに、ロック機構がアクチュエーター内部をメカニカルに直結状態にして、従来のインターミディエイトと同様の状態に戻して、操舵機能を確保している。
図9は、VGRSシステムを示す概念図である。VGRSコンピューターは、ステアリングホイールの操作量から検出された操舵角や、車速や、スキッドコントロールコンピューターからの信号等に基づいて、所定のマップやプログラムに従って、VGRSアクチュエーター内のDCブラシレスモーターを回転させる。つまり、DCブラシレスモーターの回転数を制御することによって、所望のステアリングギヤ比を得ることが可能になる。例えば、運転者のステアリングホイールの操舵角を一定の状態で、ステアリングギヤ比を上げると、車輪の操舵角は小さくなり、逆にステアリングギヤ比を下げると、車輪の操舵角は大きくなる。なお、ステアリングギヤ比を無限大、つまり、運転者がステアリングホイールを回転させても車輪に操舵角がつかないようにすることもできる。言い換えれば、ステアリングホイールの回転とは関係なしに、VGRSアクチュエーター内のDCブラシレスモーターの回転制御をすることによって、ピニオンを回転させて車輪に操舵角を付けることも可能である。
したがって、上記で説明したラック長可変機構によるラック長の変化によって操舵角を付けるとともに、差動歯車機構3、つまりVGRSアクチュエーターによって操舵角を付けることで、左右の車輪に対して独立に操舵角を付けることができる。これについて、図4、図5を参照しながら説明する。
ステアリングホイールの回転とは関係なしに、VGRSアクチュエーターを制御することによって、ピニオンからの回転運動をラックの車幅方向に移動させる。この場合、上記で説明した図4(c)の状態から、左の車輪は操舵角がゼロとなり、右の車輪は操舵角がα2よりも大きいα3となる図4(d)の状態にすることができる。このことは言い換えれば、図4(a)の状態から、左の車輪の操舵角をゼロとしたままで、右の車輪のみ操舵角を制御可能であることを示すものである。
次に、運転者によるステアリングホイールの回転がVGRSアクチュエーターに入力されている場合(例えば、旋回中)、ラック長可変機構及びVGRSアクチュエーターによる左右の車輪の操舵角制御について説明する。
図5は、ラック長可変機構及びVGRSアクチュエーターを備えた場合の車輪5の操舵角変化を示す図である。図5(a)の操舵角ゼロの車輪が真正面に向いている状態から、運転者が左に旋回する場合を考える。この場合、図5(b)のように、ラック全体は右側に移動し、ステアリングホイールの操作量から車輪5の操舵角がα4になったとする(なお、一般にはアッカーマン特性から内輪の操舵角は外輪の操舵角よりも大きくなるように設計されるが、ここでは説明の便宜上、左右の車輪とも同一の操舵角であるとある)。このとき、ラック長可変機構はまだ機能しておらず、ラック長不変のままとする。
次に、図5(b)の状態から、例えば、最小回転半径を小さくするために、外輪(右の車輪)の操舵角α4を、α4より大きい操舵角α5に制御したい場合がある。これを実現するために、例えば、ラック長だけを長くすると、外輪(右の車輪)の操舵角はα4より大きくなるが、内輪(左の車輪)の操舵角α4が小さくなってしまう。これに対し、例えば、VGRSアクチュエーターを制御することによってステアリングギヤ比を下げるとともに、軸棒保持部材9の回転制御によってラック長を長くすることで、外輪の操舵角をα5に大きくし、内輪の操舵角をα4のままにすることができる。つまり、ステアリングギヤ比を下げることによって、運転者のステアリングホイールの操舵角を一定のままであっても操舵角が大きくなるようにして、ラック長だけの変化による内輪の操舵角α4が小さくなることを補償している。したがって、ラック長とステアリング比をお互いに最適に変化させることによって、左右の車輪を所望の操舵角に独立に制御することが可能になる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、旋回中に限らず、制動時に左右の車輪をトーインに制御することによって、制動距離を短縮することができる。
また、後輪にも本発明のステアリング装置を備えることで、コーナリング時に、前輪のスリップ角が小さくなるように、後輪のスリップ角が大きくなるように操舵角(トー角)を制御させることもできる。その結果、後輪のコーナリングフォースは前輪よりも大きくなって復元モーメントを作り出すことができ、操縦安定性を向上させることができる。
また、コーナリングの際の外輪のバウンドストローク、内輪のリバウンドストロークによるトー変化を最適に制御するロールステアに応用して、操縦安定性を向上させることもできる。
本発明の実施例であるラックアンドピニオン式ステアリング装置30の主要部を示す断面図である。 ステアリング装置30を適用したステアリング機構を示す図である。 ステアリング装置30における軸棒保持手段9の別形態を示す図である。 第2の制御装置による車輪5の操舵角変化を示す図である。 ラック長可変機構及びVGRSアクチュエーターを備えた場合の車輪5の操舵角変化を示す図である。 VGRSアクチュエーターの構成を示す断面図である。 VGSRアクチュエーター内の減速機構の分解図である。 VGRSアクチュエーターのフェールセーフ機能を示す図である。 VGRSシステムを示す概念図である。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 電子制御装置
3 差動歯車機構
4 ピニオン
6 ハウジング
9 軸棒保持部材
10,11 軸棒

Claims (5)

  1. ピニオンの回転運動をラックの車幅方向の直線運動に変換することによって、車輪に操舵角を付けるラックアンドピニオン式ステアリング装置において、
    車幅方向に延在し、一端がタイロッドを介して左右の車輪に接続される左右の軸棒と、
    ピニオンのピニオンギヤに噛合するラックギヤが形成されたハウジングと、
    前記ハウジングの内部にベアリングを介して組み込まれており、前記ハウジングに対して、前記左右の軸棒の軸まわりに回転可能に且つ車幅方向に移動不能に接続され、前記左右の軸棒の他端を保持する軸棒保持部材と、
    前記軸棒保持部材を前記左右の軸棒の軸まわりに回転させる駆動手段とを備え、
    前記軸棒保持部材は、前記軸棒保持部材の回転により前記左右の軸棒の車幅方向の移動が生ずるような噛合態様で前記左右の軸棒の他端に噛合しており、前記軸棒保持部材の一の方向の回転により、前記左右の軸棒が互いに離れる方向に移動され、前記軸棒保持部材の他の方向の回転により、前記左右の軸棒が互いに近づく方向に移動され、
    前記左右の軸棒のうちの左の軸棒を保持するものと右の軸棒を保持するものとに分けられた前記軸棒保持部材のそれぞれが、前記左右の軸棒の軸まわりに回転する、ラックアンドピニオン式ステアリング装置。
  2. 前記駆動手段は、前記軸棒保持部材の外周部に設けられた歯車によって前記軸棒保持部材を回転させる、請求項1に記載のラックアンドピニオン式ステアリング装置。
  3. 前記ラックギヤが、前記ハウジングの外周部に形成された、請求項1又は2に記載のラックアンドピニオン式ステアリング装置。
  4. 前記ピニオンとステアリングホイールの間に介在し、前記ピニオン側の回転と前記ステアリングホイール側の回転との回転差を変化させることによって、ステアリングギヤ比を変化させる差動歯車機構と、
    前記ピニオン側の回転と前記ステアリングホイール側の回転を直結させるロック機構と、
    該回転差を制御する第1の制御装置とを更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のラックアンドピニオン式ステアリング装置。
  5. ステアリングホイールの操舵角前記左右の軸棒の車幅方向の移動量に基づいて、前記駆動手段を制御する第2の制御装置を更に備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のラックアンドピニオン式ステアリング装置。
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