JP4432553B2 - シリンダブロック - Google Patents

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Description

本発明は、複数のシリンダを有し、かつ鋳造により形成されたシリンダブロック本体を主要部とするシリンダブロックに関するものである。
シリンダブロックは、エンジンの本体ともいうべき基本的な部品であり、ピストンを往復動可能に収容するシリンダ、シリンダ等を適切な温度に保つために冷却水を循環させるウォータジャケット等を有する。また、シリンダブロックの下部には、エンジンの出力軸であるクランクシャフトが取付けられる。こうしたシリンダブロックは、混合気の燃焼・膨張によって高い熱と大きな力を受けるピストンの往復動をガイドするほか、シリンダ等を適切に冷却したり、クランクシャフトを保持したりする役割を担う。加えて、エンジンの多くの構成部品が直接又は間接にシリンダブロックに取付けられる。これらのことから、シリンダブロックには十分な強度と高い剛性とが要求される。
こうした目的に適うように、シリンダブロックは、鉄を材料として鋳造により製造されるのが一般的である。これは、鉄が鋳造や機械加工のしやすい材料であり、摩耗や腐食に強いという特性を持っているからである。しかし、最近では軽量化の要求から、鉄に代えてアルミニウム合金を使用したシリンダブロックが増えてきている。反面、アルミニウム合金製のシリンダブロックでは、鋳鉄製のものに比べて曲げや捩りに対する剛性、強度等の点で不利である。そこで、従来は特に大きな力のかかる部分や変形しやすい部分を他の部分よりも厚くしたり、リブを設けたりすることで対処している。
なお、本発明にかかる先行技術文献としては、例えば以下の特許文献1が挙げられる。
特開2000−230455号公報
ところが、前述したようにシリンダブロック本体の肉厚を大きくしたりリブを設けたりすることで、ある程度は剛性や強度を高めることができるものの未だ十分とはいえず、抜本的な対策が望まれている。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡単な構成で剛性や強度を効果的に高めることのできるシリンダブロックを提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、複数のシリンダをなすシリンダ壁部とこの壁部の周囲を取り囲む外壁部を含めて構成される鋳物としてのブロック本体と、材質及び形状の少なくとも一方についての機械的強度として同ブロック本体よりも高いものを有する中空状のインサート部材とを備え、このインサート部材が前記ブロック本体に鋳込まれるとともに前記ブロック本体のシリンダ壁部及び外壁部が同一の材料により一体成形されるシリンダブロックであって、前記ブロック本体は、当該ブロック本体にシリンダヘッドを締結するヘッドボルトのためのねじ穴が設けられるものであり、且つ前記シリンダ壁部において隣り合うシリンダ間の壁部をボア間壁部としたとき、前記外壁部のうちシリンダ配列方向と直交する方向において同ボア間壁部を介して互いに対向する一対の前記ねじ穴が設けられるものであり、前記インサート部材は、前記ねじ穴の先端付近においてシリンダ配列方向に沿う態様で設けられ、且つシリンダ配列方向と直交して前記ボア間壁部を通過する一の断面上においてシリンダ軸方向の前記ねじ穴の下方近傍に設けられるものであり、且つ前記一の断面上において前記ねじ穴の先端との間に空間を介することなく前記ブロック本体に鋳込まれるものであり、且つクランクシャフトに潤滑油を供給するメインオイルホールを当該インサート部材の内部にある空間により形成するものであることを要旨としている。
上記の構成によれば、シリンダブロック本体内に鋳込まれたインサート部材の材質及び形状の少なくとも一方についての機械的強度が同シリンダブロック本体よりも高い。そのため、このインサート部材によりシリンダブロック本体の機械的強度が補われ、シリンダブロック全体の剛性及び強度が高いものとなる。
特に、上記シリンダブロックが組込まれたエンジンでは、ピストンの往復動に伴いクランクシャフトに曲げモーメントが作用し、これがシリンダブロックに伝達される。また、クランクシャフトの回転に伴い同シャフトに捩りモーメントが作用し、これがシリンダブロックに伝達される。この点、請求項1に記載の発明では、インサート部材がシリンダの配列方向、すなわちクランクシャフトの長さ方向に延びるように配置される。このため、シリンダブロック本体の同方向に対する剛性及び強度がインサート部材によって高められ、シリンダブロック本体の曲げや捩れが簡単な構成で効果的に抑制される。
また、上記発明では、インサート部材の内部空間が液体通路(メインオイルホール)としても機能し、液体がこのインサート部材内を流れる。このインサート部材には、通常、鋳造に特有の欠陥である鋳巣等は存在しない。このため、液体がインサート部材からリークして鋳巣等の鋳造欠陥にしみ込む不具合が抑制される。
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシリンダブロックにおいて、前記ブロック本体は、前記複数のシリンダをなすシリンダ壁部とこの壁部の周囲を取り囲む外壁部とを含めて構成され、且つ前記シリンダ壁部の一部として前記ボア間壁部が設けられ、且つ前記一の断面上において前記ボア間壁部と前記外壁部との間にウォータージャケットをなす空間が設けられるものであり、前記外壁部は、前記一の断面上において前記ねじ穴から外側の表面までが中実の部位として構成されるものであることを要旨としている。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれか一項に記載のシリンダブロックにおいて、前記ブロック本体は、前記複数のシリンダをなすシリンダ壁部とこの壁部の周囲を取り囲む外壁部とを含めて構成され、且つ前記シリンダ壁部の一部として前記ボア間壁部が設けられ、且つ前記一の断面上において前記ボア間壁部と前記外壁部との間にウォータージャケットをなす空間が設けられるものであり、前記外壁部は、前記一の断面上において前記インサート部材から外側の表面までが中実の部位として構成されるものであることを要旨としている。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリンダブロックにおいて、前記ブロック本体は、第1分割構造体と第2分割構造体との組み合わせにより構成されるものであって、前記第1分割構造体は、前記複数のシリンダライナを取り囲む外壁部が設けられ、且つシリンダヘッドを支持するアッパデッキが同外壁部と一体をなす態様で設けられるものであり、前記第2分割構造体は、前記複数のシリンダライナが設けられ、且つクランクシャフトを覆うスカート部が設けられ、且つこのスカート部の頂面により前記第1分割構造体を支持するものであり、前記ねじ穴は、前記第1分割構造体の外壁部の頂面から前記第2分割構造体のスカート部内までにわたり設けられるものであり、前記インサート部材は、前記スカート部内において前記ねじ穴の先端付近に設けられるものであり、当該シリンダブロックは、前記第1分割構造体が前記スカート部の頂面に配置され、且つ前記複数のシリンダライナが前記外壁部の内側の空間に配置された状態にて前記ねじ穴にヘッドボルトがねじ込まれることにより前記第1分割構造体及び前記第2分割構造体が互いに固定されるものであることを要旨としている。
(5)請求項5に記載の発明は、複数のシリンダを有する鋳物としてのブロック本体と、材質及び形状の少なくとも一方についての機械的強度として同ブロック本体よりも高いものを有する中空状のインサート部材とを備え、このインサート部材が前記ブロック本体に鋳込まれて構成されるシリンダブロックにおいて、前記ブロック本体は、これにシリンダヘッドを締結するヘッドボルトのためのねじ穴が設けられるものであり、前記インサート部材は、前記ねじ穴の先端付近においてシリンダ配列方向に沿う態様で設けられ、且つクランクシャフトに潤滑油を供給するメインオイルホールを当該部材の内部にある空間により形成するものであり、前記ブロック本体は、第1分割構造体と第2分割構造体との組み合わせにより構成されるものであって、前記第1分割構造体は、前記複数のシリンダライナを取り囲む外壁部が設けられ、且つシリンダヘッドを支持するアッパデッキが同外壁部と一体をなす態様で設けられるものであり、前記第2分割構造体は、前記複数のシリンダライナが設けられ、且つクランクシャフトを覆うスカート部が設けられ、且つこのスカート部の頂面により前記第1分割構造体を支持するものであり、前記ねじ穴は、前記第1分割構造体の外壁部の頂面から前記第2分割構造体のスカート部内までにわたり設けられるものであり、前記インサート部材は、前記スカート部内において前記ねじ穴の先端付近に設けられるものであり、当該シリンダブロックは、前記第1分割構造体が前記スカート部の頂面に配置され、且つ前記複数のシリンダライナが前記外壁部の内側の空間に配置された状態にて前記ねじ穴にヘッドボルトがねじ込まれることにより前記第1分割構造体及び前記第2分割構造体が互いに固定されるものであることを要旨とする。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリンダブロックにおいて、前記インサート部材は直線状をなすものであることを要旨としている。
上記の構成によれば、直線状をなし、シリンダブロック本体よりも高い機械的強度を有する部材がインサート部材として同シリンダブロック本体に鋳込まれる。直線状という形状は一般的であり、こうした形状をなす規格部品も多い。ここで、規格部品とは、部品メーカーが仕様を規定(決定)し汎用部品として広く世間に販売している部品である。この規格部品によれば、特別な成形を施すことなくそのままインサート部材として使用することが可能となり、インサート部材ひいてはシリンダブロックのコスト低減を図るうえで有効である。
(7)請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のシリンダブロックにおいて、前記インサート部材は鋼管からなることを要旨としている。
(8)請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のシリンダブロックにおいて、前記インサート部材はその端部の少なくとも一方が閉塞されるものであることを要旨としている。
一般に、同一材質のもとでは、機械的強度は、両端が開放された鋼管、少なくとも一方の端部が閉塞された鋼管、鋼の棒材の順に高くなる。反面、この順に重量が増大する傾向にある。従って、要求される機械的強度及び重量を考慮して、インサート部材としてどの形状を採用するかを決定することが望ましい。
(9)請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシリンダブロックにおいて、前記インサート部材として、シリンダ配列方向と直交する方向においてシリンダを介して互い対向する第1インサート部材及び第2インサート部材が設けられることを要旨としている。
上記の構成によれば、インサート部材として第1インサート部材及び第2インサート部材が用いられているため、単一のインサート部材が用いられる場合よりもシリンダブロック本体の曲げ及び捩りに対する剛性を高めることが可能となる。また、これらの第1インサート部材及び第2インサート部材は、シリンダの中心線を挟んでシリンダブロック本体の幅方向両側に配置されていることから、前記剛性をシリンダブロック本体のシリンダを挟んだ両側でバランスよく高めることができる。
以下、本発明を多気筒エンジンに用いられるシリンダブロックに具体化した一実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。
シリンダブロック11はシリンダブロック本体12、シリンダライナ13、及びインサート部材(第1インサート部材21、第2インサート部材22)を備えて構成されている。シリンダブロック本体12はシリンダブロック11の多くの部分を占めるものであり、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の比較的比重の小さな金属材料を用い、ダイカスト、中圧鋳造、低圧鋳造等の鋳造法により一体に形成されている。
各シリンダライナ13は、鋳鉄等の耐摩耗性に優れた金属材料によって形成されている。各シリンダライナ13は上下両端が開放された円筒状をなしており、前記シリンダブロック本体12に鋳込まれている。こうしてシリンダブロック本体12に組込まれた各シリンダライナ13は、ピストン(図示略)を往復動可能に収容するためのシリンダ14として機能する。各シリンダ14においてピストンよりも上側の空間は、燃料及び空気の混合気を燃焼するための燃焼室(図示略)を構成する。
シリンダブロック本体12の下部には、エンジンの出力軸であるクランクシャフト15を回転可能に支持するためのジャーナル部16が形成されている。シリンダブロック本体12において、各シリンダライナ13を取り囲む箇所にはウォータジャケット17が設けられている。ウォータジャケット17は、シリンダブロック本体12、シリンダライナ13等を冷却するための冷却水の通路である。
シリンダブロック本体12において、ウォータジャケット17の周囲の複数箇所には、同シリンダブロック本体12のデッキ面(上面)において開口するねじ穴18が設けられている。各ねじ穴18には、シリンダヘッド19に挿通されたヘッドボルト20が螺入される。この螺入されたヘッドボルト20により、シリンダブロック本体12上に配置されたシリンダヘッド19が、ガスケット等(図示略)を介してシリンダブロック本体12に締結される。
インサート部材はシリンダブロック本体12内に鋳込まれている。このインサート部材としては、次の要件(A),(B)を満たすものであることが必要である。
要件(A):材質及び形状の少なくとも一方についての機械的強度がシリンダブロック本体12よりも高いこと。
要件(B):シリンダブロック本体12内にシリンダの配列方向に延びるように配置されること。
そのほかにも、インサート部材は次の要件(C)〜(E)を満たすものであることが望ましい。
要件(C):直線状又は略直線状をなしていること。
要件(D):一対のインサート部材が用いられ、シリンダ14の中心線Lを挟んでシリンダブロック本体12の幅方向両側に配置されること。
要件(E):インサート部材が、シリンダブロック本体12の液体通路となる箇所で鋳込まれ、同液体通路がインサート部材の内部空間により構成されること。
本実施形態では、要件(A)に関し、インサート部材21,22の材質として鋼が採用されている。一般に、鋼の機械的強度はアルミニウム合金のそれよりも高い。また、要件(B)に関し、インサート部材21,22として長尺状をなすものが用いられ、それらの軸線をシリンダ14の配列方向(図1では紙面と直交する方向、図2では左右方向)に合致させた状態で配置されている。
要件(C)に関しては、インサート部材21,22として直線状をなす鋼管が用いられている(図2参照)。鋼管で直線状という形状は一般的であり、こうした形状をなす規格部品も多い。本実施形態では、所定の径、厚み及び長さを有する鋼管がインサート部材21,22として用いられている。規格部品に対し、特別な成形、加工等は施されていない。
要件(D)に関しては、インサート部材として第1インサート部材21及び第2インサート部材22が用いられ、これらがシリンダ14の中心線Lを挟んでシリンダブロック本体12の幅方向(図1の左右方向、図2の上下方向)両側に配置されている。ここでは、各インサート部材21,22はねじ穴18の下方近傍に配置されている。
要件(E)に関しては、一方のインサート部材(第2インサート部材22)が、シリンダブロック本体12において、液体通路として、オイルが流れる通路(オイル通路)となる箇所、ここではメインオイルホール(メインギャラリとも呼ばれる)23となる箇所に鋳込まれている。このメインオイルホール23には、オイルポンプから供給されてオイルフィルタを通過したオイルが供給される。メインオイルホール23を流れるオイルの一部は、第2インサート部材22にあけられた孔22A、ジャーナル給油路24等を通って前記ジャーナル部16、ひいてはクランクシャフト15に導かれる。
上記のように構成された本実施形態のシリンダブロック11においては、シリンダブロック本体12内に鋳込まれたインサート部材21,22の材質についての機械的強度が同シリンダブロック本体12よりも高い。そのため、これらのインサート部材21,22によりシリンダブロック本体12の機械的強度が補われる。
特に、このシリンダブロック11が使用されたエンジンでは、ピストンの往復動に伴いクランクシャフト15に上下方向の曲げモーメントが作用し、これがシリンダブロック11に伝達される。また、クランクシャフト15の回転に伴い同シャフト15に捩りモーメントが作用し、これがシリンダブロック11に伝達される。この点、本実施形態では、インサート部材21,22がシリンダブロック本体12のシリンダ14の配列方向、すなわちクランクシャフト15の長さ方向に延びるように配置された状態で鋳込まれている。このため、クランクシャフト15及びシリンダブロック本体12の同方向に対する剛性及び強度がインサート部材21,22によって高められる。
また、インサート部材として第1インサート部材21及び第2インサート部材22が用いられているため、単一のインサート部材が用いられる場合よりもシリンダブロック本体12の曲げ及び捩りに対する剛性がより一層高められる。また、これらの第1インサート部材21及び第2インサート部材22は、シリンダ14の中心線Lを挟んでシリンダブロック本体12の幅方向両側に配置されていることから、前記剛性がシリンダブロック本体12のシリンダ14を挟んだ両側でバランスよく高められる。
また、インサート部材21,22として用いられている直線状の鋼管は、規格部品として広く販売されている。このため、適切な規格部品を選択して購入することで、特別な加工を施さなくてもインサート部材21,22とすることが可能である。
本実施形態のシリンダブロック11が組込まれたエンジンの運転時には、オイルポンプから吐出されたオイルがシリンダブロック本体12内のオイル通路を流れる。この流通の過程でオイルはメインオイルホール23を流れる。このメインオイルホール23が、仮にシリンダブロック本体12の鋳造時に設けられた空間によって構成されたものであるとすると、メインオイルホール23の周囲に鋳巣25(図1参照)等の鋳造欠陥があった場合、オイルの一部が鋳巣25にしみ込むおそれがある。この点、本実施形態では、鋼管からなる第2インサート部材22の内部空間がメインオイルホール23としても機能し、オイルが第2インサート部材22内を流れる。この第2インサート部材22には、鋳造に特有の欠陥である鋳巣等は存在しない。このため、第2インサート部材22内を流れる過程でオイルがその第2インサート部材22からリークしにくい。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)材質及び形状の少なくとも一方についての機械的強度がシリンダブロック本体12よりも高いインサート部材21,22を、シリンダ14の配列方向に延びるように配置した状態で同シリンダブロック本体12内に鋳込んでいる。このような簡単な構成でありながら、インサート部材21,22によりシリンダブロック本体12の剛性及び強度を補うことができる。単に肉厚を大きくしたりリブを設けたりする場合に比べ、シリンダブロック本体12の曲げや捩りによる変形を十分なレベルまで抑制し、もってシリンダブロック11の振動や騒音を抑制することができる。
(2)インサート部材として第1インサート部材21及び第2インサート部材22を用い、これらをシリンダ14の中心線Lを挟んでシリンダブロック本体12の幅方向両側に配置している。このように2つのインサート部材21,22を用いること、及びそれらを上記位置に配置することにより、シリンダブロック本体12の剛性をシリンダ14の中心線Lを挟んだ両側でバランスよく高めることができる。
(3)インサート部材として直線状をなす鋼管を用いている。このため、規格部品である鋼管を用いることで、特別な加工を施すことなく規格部品をそのままインサート部材21,22として使用することができる。このことは、インサート部材21,22、ひいてはシリンダブロック11のコスト低減を図るうえで有効である。
(4)第2インサート部材22として鋼管を用い、これをシリンダブロック本体12内のメインオイルホール23となる箇所に鋳込み、シリンダブロック本体12内のオイル通路の一部(メインオイルホール23)を第2インサート部材22の内部空間によって構成している。このため、シリンダブロック本体12のメインオイルホール23の周囲に鋳巣25等の鋳造欠陥があったとしても、同メインオイルホール23を流れるオイルの一部がリークして鋳巣25等にしみ込む不具合を抑制することができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・インサート部材として、前記実施形態のように鋼管を用いる場合、両端が開放されたものであってもよいし、少なくとも一方の端部が閉塞されたものであってもよい。また、インサート部材として、鋼管に代えて鋼の棒材を用いてもよい。
一般に、同一材質のもとでは機械的強度は、両端が開放された鋼管、少なくとも一方の端部が閉塞された鋼管、鋼の棒材の順に高くなる。反面、この順に重量が増大する傾向にある。従って、要求される機械的強度及び重量を考慮して、インサート部材としてどの形状を採用するかを決定することが望ましい。
・前記実施形態では、要件(A)〜(E)を全て満たすものをインサート部材21,22として使用したが、要件(C)〜(E)については必須ではない。少なくとも要件(A),(B)を満たすことを条件にインサート部材21,22を適宜変更してもよい。例えば、インサート部材の数を「1」又は「3」以上に変更してもよい。また、インサート部材をメインオイルホール(液体通路)とは異なる箇所に配置してもよい。また、インサート部材として直線状以外の形状をなすものを用いてもよい。
・本発明は、図3に示すように、シリンダブロック本体26及び外側壁27を備えて構成されたシリンダブロック11にも適用可能である。シリンダブロック本体26は、下部に位置するスカート部28と、列をなすように配置され、かつ各々の少なくとも一部(図の上部)がスカート部28から上方へ突出するシリンダ29とを備えている。各シリンダ29にはシリンダライナ31が鋳込まれている。
外側壁27はシリンダ29の周りのウォータジャケットとする部位32を囲むものであり、シリンダ29の配列方向に細長い略四角環状をなしており、スカート部28上に載置されている。こうした外側壁27は、その全体が樹脂材料又は樹脂複合材料によって形成されている。
図4に示すように、外側壁27上及びシリンダ29上にはガスケット33を介してシリンダヘッド19が配置されている。そして、シリンダヘッド19及び外側壁27に挿通されたヘッドボルト34が、シリンダブロック本体26のねじ穴35に螺入されることにより、シリンダヘッド19及び外側壁27がシリンダブロック本体26に締結されている。なお、図3及び図4において、前記実施形態と同様の部材、箇所等には、同一の符号が付されている。
こうしたシリンダブロック本体26にも前記実施形態と同様のインサート部材(図4では第1インサート部材21及び第2インサート部材22)を、シリンダ29の配列方向(図4の略左右方向)に延びるように配置した状態でシリンダブロック本体26に鋳込んでもよい。この場合には、シリンダブロック本体26の形態が前記シリンダブロック本体12とは異なるものの、前記実施形態と同様の作用効果が得られる。
本発明を具体化した一実施形態におけるシリンダブロックを示す図であり、図2のX−X線断面図。 シリンダブロックの部分平面図。 別の実施形態に係るシリンダブロックにおいて、外側壁をシリンダブロック本体及びシリンダヘッドに締結する前の状態を示す分解斜視図。 上記別の実施形態に係るシリンダブロック等を、隣接するシリンダ間で切断した状態を示す部分破断斜視図。
符号の説明
11…シリンダブロック、12,26…シリンダブロック本体、14,29…シリンダ、21…第1インサート部材、22…第2インサート部材、23…メインオイルホール(液体通路)、L…中心線。

Claims (9)

  1. 複数のシリンダをなすシリンダ壁部とこの壁部の周囲を取り囲む外壁部を含めて構成される鋳物としてのブロック本体と、材質及び形状の少なくとも一方についての機械的強度として同ブロック本体よりも高いものを有する中空状のインサート部材とを備え、このインサート部材が前記ブロック本体に鋳込まれるとともに前記ブロック本体のシリンダ壁部及び外壁部が同一の材料により一体成形されるシリンダブロックであって、
    前記ブロック本体は、当該ブロック本体にシリンダヘッドを締結するヘッドボルトのためのねじ穴が設けられるものであり、且つ前記シリンダ壁部において隣り合うシリンダ間の壁部をボア間壁部としたとき、前記外壁部のうちシリンダ配列方向と直交する方向において同ボア間壁部を介して互いに対向する一対の前記ねじ穴が設けられるものであり、
    前記インサート部材は、前記ねじ穴の先端付近においてシリンダ配列方向に沿う態様で設けられ、且つシリンダ配列方向と直交して前記ボア間壁部を通過する一の断面上においてシリンダ軸方向の前記ねじ穴の下方近傍に設けられるものであり、且つ前記一の断面上において前記ねじ穴の先端との間に空間を介することなく前記ブロック本体に鋳込まれるものであり、且つクランクシャフトに潤滑油を供給するメインオイルホールを当該インサート部材の内部にある空間により形成するものである
    ことを特徴とするシリンダブロック。
  2. 請求項1に記載のシリンダブロックにおいて、
    前記ブロック本体は、前記複数のシリンダをなすシリンダ壁部とこの壁部の周囲を取り囲む外壁部とを含めて構成され、且つ前記シリンダ壁部の一部として前記ボア間壁部が設けられ、且つ前記一の断面上において前記ボア間壁部と前記外壁部との間にウォータージャケットをなす空間が設けられるものであり、
    前記外壁部は、前記一の断面上において前記ねじ穴から外側の表面までが中実の部位として構成されるものである
    ことを特徴とするシリンダブロック。
  3. 請求項1または2に記載のシリンダブロックにおいて、
    前記ブロック本体は、前記複数のシリンダをなすシリンダ壁部とこの壁部の周囲を取り囲む外壁部とを含めて構成され、且つ前記シリンダ壁部の一部として前記ボア間壁部が設けられ、且つ前記一の断面上において前記ボア間壁部と前記外壁部との間にウォータージャケットをなす空間が設けられるものであり、
    前記外壁部は、前記一の断面上において前記インサート部材から外側の表面までが中実の部位として構成されるものである
    ことを特徴とするシリンダブロック。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリンダブロックにおいて、
    前記ブロック本体は、第1分割構造体と第2分割構造体との組み合わせにより構成されるものであって、
    前記第1分割構造体は、前記複数のシリンダライナを取り囲む外壁部が設けられ、且つシリンダヘッドを支持するアッパデッキが同外壁部と一体をなす態様で設けられるものであり、
    前記第2分割構造体は、前記複数のシリンダライナが設けられ、且つクランクシャフトを覆うスカート部が設けられ、且つこのスカート部の頂面により前記第1分割構造体を支持するものであり、
    前記ねじ穴は、前記第1分割構造体の外壁部の頂面から前記第2分割構造体のスカート部内までにわたり設けられるものであり、
    前記インサート部材は、前記スカート部内において前記ねじ穴の先端付近に設けられるものであり、
    当該シリンダブロックは、前記第1分割構造体が前記スカート部の頂面に配置され、且つ前記複数のシリンダライナが前記外壁部の内側の空間に配置された状態にて前記ねじ穴にヘッドボルトがねじ込まれることにより前記第1分割構造体及び前記第2分割構造体が互いに固定されるものである
    ことを特徴とするシリンダブロック。
  5. 複数のシリンダを有する鋳物としてのブロック本体と、材質及び形状の少なくとも一方についての機械的強度として同ブロック本体よりも高いものを有する中空状のインサート部材とを備え、このインサート部材が前記ブロック本体に鋳込まれて構成されるシリンダブロックにおいて、
    前記ブロック本体は、これにシリンダヘッドを締結するヘッドボルトのためのねじ穴が設けられるものであり、
    前記インサート部材は、前記ねじ穴の先端付近においてシリンダ配列方向に沿う態様で設けられ、且つクランクシャフトに潤滑油を供給するメインオイルホールを当該部材の内部にある空間により形成するものであり、
    前記ブロック本体は、第1分割構造体と第2分割構造体との組み合わせにより構成されるものであり、
    前記第1分割構造体は、前記複数のシリンダライナを取り囲む外壁部が設けられ、且つシリンダヘッドを支持するアッパデッキが同外壁部と一体をなす態様で設けられるものであり、
    前記第2分割構造体は、前記複数のシリンダライナが設けられ、且つクランクシャフトを覆うスカート部が設けられ、且つこのスカート部の頂面により前記第1分割構造体を支持するものであり、
    前記ねじ穴は、前記第1分割構造体の外壁部の頂面から前記第2分割構造体のスカート部内までにわたり設けられるものであり、
    前記インサート部材は、前記スカート部内において前記ねじ穴の先端付近に設けられるものであり、
    当該シリンダブロックは、前記第1分割構造体が前記スカート部の頂面に配置され、且つ前記複数のシリンダライナが前記外壁部の内側の空間に配置された状態にて前記ねじ穴にヘッドボルトがねじ込まれることにより前記第1分割構造体及び前記第2分割構造体が互いに固定されるものである
    ことを特徴とするシリンダブロック。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリンダブロックにおいて、
    前記インサート部材は直線状をなすものである
    ことを特徴とするシリンダブロック。
  7. 請求項6に記載のシリンダブロックにおいて、
    前記インサート部材は鋼管からなる
    ことを特徴とするシリンダブロック。
  8. 請求項7に記載のシリンダブロックにおいて、
    前記インサート部材はその端部の少なくとも一方が閉塞されるものである
    ことを特徴とするシリンダブロック。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のシリンダブロックにおいて、
    前記インサート部材として、シリンダ配列方向と直交する方向においてシリンダを介して互い対向する第1インサート部材及び第2インサート部材が設けられる ことを特徴とするシリンダブロック。
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