JP2009030542A - シリンダブロック、及びシリンダブロック構造 - Google Patents

シリンダブロック、及びシリンダブロック構造 Download PDF

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Abstract

【課題】より軽量で剛性の高いシリンダブロック、及びシリンダブロック構造の提供。
【解決手段】母材より剛性の高いインサート部材35を鋳包んで、金型60を用いて鋳造されるシリンダブロック構造において、インサート部材35が、ヘッドボルト穴15と、キャップボルト穴17とが端部に形成されたボルト穴用パイプ材21と、シリンダヘッド52側からオイルパン54側にオイルを落とす通路となるオイル通路用パイプ材22と、シリンダボア11の配列方向と平行に配置される連結パイプ材20と、からなり、ボルト穴用パイプ材21とオイル通路用パイプ材22と連結パイプ材20とが接合され、ボルト穴用パイプ材21、オイル通路用パイプ材22、及び連結パイプ材20の端部に設けられた開口部に、金型60に設けられた挿入突起61を差し込むことで保持し、インサート部材35を鋳包んで形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、高強度で軽量なシリンダブロックを鋳造する技術に関し、詳しくはパイプ材からなる支持材を鋳包むことで高強度化と軽量化を実現する技術についてである。
エンジンの性能を向上させるために、近年ではアルミニウム合金を用いてシリンダブロックを鋳造することで、軽量化を図ったエンジンが多く見られる。アルミニウム合金をシリンダブロックに用いることで、軽量化の他に放熱性の向上等を図ることができる。
鋳鉄製のエンジンに比べてアルミニウム合金を鋳造したエンジンは、鉄に比べてアルミニウムの比重が軽いために、大幅な軽量化を図ることができる。ただし、比重が軽くなる反面、ヤング率等の機械強度が低下してしまうため、側面にリブを付けたり肉厚にしたりといった工夫が必要である。
このため、剛性要求の厳しいディーゼルエンジン等では、鋳鉄製のシリンダブロックを採用しているケースが多い。
近年、エンジンの性能向上の一環として、シリンダブロックにおけるシリンダボアの真円度の向上や、ガスケットのシール性の向上を目的としたシリンダブロックの剛性の向上が求められている。
シリンダブロックは、シリンダヘッドが組み付けられる際にヘッドボルトによって、シリンダヘッド側に引っ張られ、変形することでシリンダボアの真円度が悪化する。また、シリンダブロックのアッパーデッキ面の平面度も悪化するため、ガスケットとの間に僅かな隙間が生じるなどの原因でシール性が悪化する。
この他、クランクシャフトの回転や振動によっても、曲げや捻りなどが発生し、ボアの真円度を悪化させる要因となる。
このような問題に鑑み、特許文献1乃至特許文献3に、エンジンの剛性向上を図る技術が開示されている。
特許文献1には、シリンダブロックのフロント面からリア面に貫通する鋼管からなるインサート部材を鋳包むことで、シリンダブロックの剛性を向上する技術が開示されている。
特許文献1の方法では、ヘッドボルト穴の下に貫通する鋼管を鋳込むことで、この変形を抑制する効果があると考えられる。アルミニウム合金に対して鋼管のほうがヤング率等の機械強度が高く、剛性を強化することができるためである。
特許文献2には、シリンダブロックのスカート下端のオイルパン取り付け用フランジ部に、エンジンの長手方向に伸びる高剛性の中空パイプを鋳込む技術が開示されている。
特許文献3には、炭素鋼などのヤング率の高い棒材をシリンダブロックの補強材として鋳込み、成形後、補強部材の上端及び下端にボルトピッチに対応した雌ネジ部を加工する技術が開示されている。
特開2005−256811号公報 実開昭64−44308号公報 実開昭63−128253号公報
しかしながら、特許文献1乃至特許文献3には、以下のような課題があると考えられる。
特許文献1の方法では、ヘッドボルトの下に鋼管を鋳包むことで剛性は向上するが、鋼管より上の部分はアルミニウム合金で鋳造されている部材であるため、この部分に伸び等が発生し、変形を生じる虞がある。
特許文献2の方法では、エンジンのスカート部の補強であり、シリンダボアの真円度の向上には寄与しにくい。
特許文献3の方法では、複数の補強部材を必要とし、鋳造時に手間がかかる虞がある。例えば直列4気筒のエンジンでは、ヘッドボルト穴は10カ所ある。すなわち、シリンダブロックの補強材は10本必要となり、補強材を鋳包むために各補強材を金型の中に正確に配置する必要がある。
しかし、ブロックの補強材の本数が増えれば増えるほど補強材の位置決めは難しくなり、精度の悪化を招く原因となる虞がある。補強材の位置がずれたまま鋳造してしまうと、適切な補強効果が得られないなどの問題がある。このような状態で鋳造されたシリンダブロックは、必要な剛性が得られずシリンダボアの真円度を改善できない虞がある。
そこで、本発明はこのような課題を解決するために、より軽量で剛性の高いシリンダブロック、及びシリンダブロック構造を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明によるシリンダブロックは以下のような特徴を有する。
(1)母材より剛性の高い補強部材を鋳包んで形成されるシリンダブロックにおいて、
前記補強部材が、ヘッドボルト穴又はキャップボルト穴が端部に形成されるボルト穴形成用補強材と、シリンダヘッド側からオイルパン側にオイルを落とす通路となるオイル通路用中空材と、シリンダボアの配列方向と平行に配置される連結補強材と、前記シリンダボアの配列方向に交差して配置され、2つの前記ボルト穴形成用補強材を接続する接続補強材と、からなり、前記ボルト穴形成用補強材と前記オイル通路用中空材と前記連結補強材と前記接続補強材とが接合され鋳包まれて形成されていることを特徴とする。
(2)(1)に記載のシリンダブロックにおいて、
前記ボルト穴形成用補強材が、U字に曲げられ、端部に前記ヘッドボルト穴に形成されたヘッドボルト穴形成用補強材と、前記ヘッドボルト穴形成用補強材に接合され、端部に前記キャップボルト穴を備えるキャップボルト穴形成用補強材と、からなることを特徴とする。
(3)母材より剛性の高い補強部材を鋳包んで形成されるシリンダブロックにおいて、
前記補強部材が、ヘッドボルト穴又はキャップボルト穴が端部に形成されるボルト穴形成用補強材と、シリンダボアの配列方向と平行に配置される連結補強材と、からなり、前記ボルト穴形成用補強材と前記連結補強材とが接合されることで前記補強部材が形成され、前記補強部材が鋳包まれて形成されていることを特徴とする。
(4)母材より剛性の高い補強部材を鋳包んで形成されるシリンダブロックにおいて、
前記補強部材が、U字に曲げられ、端部に前記ヘッドボルト穴に形成されたヘッドボルト穴形成用補強材からなり、前記ボルト穴形成用補強材が鋳包まれて形成されていることを特徴とする。
(5)(4)に記載のシリンダブロックにおいて、
前記補強部材が、前記ヘッドボルト穴形成用補強材と、前記ヘッドボルト穴形成用補強材に接合され、端部に前記キャップボルト穴を備えるキャップボルト穴形成用補強材とからなることを特徴とする。
(6)(4)又は(5)に記載のシリンダブロックにおいて、
前記ヘッドボルト穴形成用補強材に、シリンダボアの配列方向と平行に配置される連結補強材が接合されたことを特徴とする。
(7)(1)乃至(6)のいずれか1つに記載するシリンダブロックにおいて、
前記ヘッドボルト穴及び前記キャップボルト穴にカウンタボアを設けることを特徴とする。
ここで、カウンタボアとは、ヘッドボルト穴又はキャップボルト穴の入口部分に形成されるザグリ形状の空間を指している。すなわち、ヘッドボルト穴であればアッパーデッキ面側付近、キャップボルト穴であれば、アッパーデッキに対向するクランクカバー或いはクランクキャップが取り付けられる面側付近にザグリ形状の空間であるカウンタボアが形成されていることになる。
また、前記目的を達成するために、本発明によるシリンダブロックは以下のような特徴を有する。
(8)母材より剛性の高い補強部材を鋳包んで、金型を用いて鋳造されるシリンダブロック構造において、
前記補強部材が、ヘッドボルト穴又はキャップボルト穴が端部に形成されたボルト穴用パイプ材と、シリンダヘッド側からオイルパン側にオイルを落とす通路となるオイル通路用パイプ材と、シリンダボアの配列方向と平行に配置される連結パイプ材と、からなり、前記ボルト穴用パイプ材と前記オイル通路用パイプ材と前記連結パイプ材とが接合され、前記ボルト穴用パイプ材、前記オイル通路用パイプ材、及び前記連結パイプ材の端部に設けられた開口部に、前記金型に設けられた挿入突起を差し込むことで保持し、前記補強部材を鋳包んで形成されたことを特徴とする。
(9)(8)に記載のシリンダブロック構造において、
前記シリンダボアの配列方向に交差して配置され、2つの前記ボルト穴用パイプ材を接続する接続補強材を備えていることを特徴とする。
(10)(8)に記載のシリンダブロック構造において、
前記ボルト穴用パイプ材が、U字に曲げられ、端部に前記ヘッドボルト穴に形成されたヘッドボルト穴用パイプ材と、前記ヘッドボルト穴用パイプ材に接合され、端部に前記キャップボルト穴を備えるキャップボルト穴用パイプ材と、からなることを特徴とする。
また、前記目的を達成するために本発明のエンジンは以下のような特徴を有する。
(11)(8)乃至(10)のいずれか1つに記載のシリンダブロック構造を用いたことを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によるシリンダブロックにより、以下のような作用、効果が得られる。
まず、(1)に記載される発明は、母材より剛性の高い補強部材を鋳包んで形成されるシリンダブロックにおいて、補強部材が、ヘッドボルト穴又はキャップボルト穴が端部に形成されるボルト穴形成用補強材と、シリンダヘッド側からオイルパン側にオイルを落とす通路となるオイル通路用中空材と、シリンダボアの配列方向と平行に配置される連結補強材と、シリンダボアの配列方向に交差して配置され、2つのボルト穴形成用補強材を接続する接続補強材と、からなり、ボルト穴形成用補強材とオイル通路用中空材と連結補強材と接続補強材とが接合され鋳包まれて形成されているので、補強部材の剛性によりシリンダヘッド組み付け時のボア真円度の向上を図ることができる。
シリンダブロックにシリンダヘッドをヘッドボルトで組み付ける場合、数十kNの力で締め付ける必要がある。シリンダブロックとシリンダヘッドの間に挟まれるガスケットによって、燃焼室からの燃焼ガスとウォータジャケットからの冷却水が漏れ出すことを防ぐためである。
このため、シリンダブロックはヘッドボルトによってシリンダヘッド側にヘッドボルト穴を中心に引っ張られることになり、シリンダボア内壁面が内側に膨らむように変形し、シリンダボアの真円度を悪化させることになる。
しかしながら、接続補強材と連結補強材でシリンダボアを四角く囲むような形状に補強部材が接合して形成され、鋳込まれることで、補強部材がヘッドボルト締結時の変形を抑え、シリンダボアの真円度の悪化を抑制可能である。
また、(2)に記載される発明は、(1)に記載のシリンダブロックにおいて、ボルト穴形成用補強材が、U字に曲げられ、端部にヘッドボルト穴に形成されたヘッドボルト穴形成用補強材と、ヘッドボルト穴形成用補強材に接合され、端部にキャップボルト穴を備えるキャップボルト穴形成用補強材と、からなるので、シリンダヘッドをシリンダブロックに組み付ける際にヘッドボルト穴形成用補強材がヘッドボルトに引っ張られるのと同時にシリンダボアを下部から押し上げるように力が働き、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間のシール面圧を向上させることができる。
シリンダヘッドを固定するヘッドボルトを締結するヘッドボルト穴と、クランクケース又はクランクキャップを固定するキャップボルトを締結するキャップボルト穴とは、同一軸上に存在しないことが多い。これは、クランクシャフトとシリンダボアの芯をずらして設計されるケースが多く、またクランクシャフトのクランクジャーナルの太さがシリンダボアの直径より狭いため、その直近に設けられるキャップボルト穴も、ヘッドボルト穴のピッチより狭いピッチで設けられるためである。
このため、ボルト穴形成用補強材をヘッドボルト穴形成用補強材とキャップボルト穴形成用補強材に分けた方が直線的に構成でき、機械的強度を向上させることができる。このため、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間のシール面圧を向上させるには(1)のように構成する場合よりもより効果がある。
また、(3)に記載される発明は、母材より剛性の高い補強部材を鋳包んで形成されるシリンダブロックにおいて、補強部材が、ヘッドボルト穴又はキャップボルト穴が端部に形成されるボルト穴形成用補強材と、シリンダボアの配列方向と平行に配置される連結補強材と、からなり、ボルト穴形成用補強材と連結補強材とが接合されることで補強部材が形成され、補強部材が鋳包まれて形成されているので、より軽量で剛性の高いシリンダブロック、及びシリンダブロック構造を提供することが可能となる。
また、ボルト穴用パイプ材がシリンダヘッド側からオイルパン側に通るのに対し、連結パイプ材がシリンダボア配列方向と平行に配置されてこれを連結しているので、構造強度を向上すると共に、金型に配置する際にそれぞれのパイプの位置が決定し易い。また、それぞれが結合されていることで、ダイカスト法など用いて高圧で溶融材料を供給する際に、補強部材が変形しにくくなるという利点もある。
また、(4)に記載される発明は、母材より剛性の高い補強部材を鋳包んで形成されるシリンダブロックにおいて、補強部材が、U字に曲げられ、端部にヘッドボルト穴に形成されたヘッドボルト穴形成用補強材からなり、ボルト穴形成用補強材が鋳包まれて形成されているので、より軽量で剛性の高いシリンダブロック、及びシリンダブロック構造を提供することが可能となる。
また、(5)に記載される発明は、(4)に記載のシリンダブロックにおいて、補強部材が、ヘッドボルト穴形成用補強材と、ヘッドボルト穴形成用補強材に接合され、端部にキャップボルト穴を備えるキャップボルト穴形成用補強材とからなるので、より軽量で剛性の高いシリンダブロック、及びシリンダブロック構造を提供することが可能となる。
U字に曲げられ、端部にヘッドボルト穴に形成されたヘッドボルト穴形成用補強材は、シリンダブロックとシリンダヘッドを組み付ける際に、ヘッドボルトによってシリンダボアを引っ張り上げるように作用するため、アッパーデッキ面のシリンダボア周辺を均等に押圧する事に貢献し、すなわちシリンダブロックとシリンダヘッドとの間の面圧を向上させることに効果がある。
また、(6)に記載される発明は、(4)又は(5)に記載のシリンダブロックにおいて、ヘッドボルト穴形成用補強材に、シリンダボアの配列方向と平行に配置される連結補強材が接合されているので、(2)のシリンダブロック構造と同様により軽量で剛性の高いシリンダブロック、及びシリンダブロック構造を提供することが可能となる。
すなわち、ヘッドボルト穴形成用補強材と、連結補強材が備えられることで、シリンダヘッドをシリンダブロックに組み付ける際にヘッドボルト穴形成用補強材がヘッドボルトに引っ張られるのと同時にシリンダボアを下部から押し上げるように力が働き、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間のシール面圧を向上させることができる。
また、(7)に記載される発明は、(1)乃至(6)のいずれか1つに記載するシリンダブロックにおいて、ヘッドボルト穴及びキャップボルト穴にカウンタボアを設けるので、カウンタボアに金型に設けた突起を差し込んで位置決めすることが可能となる。
ヘッドボルト穴及びキャップボルト穴の雌ネジ形成部に直接位置決めピンを差し込むと、部品の精度によっては変形する虞がある。ヘッドボルト穴又はキャップボルト穴を後で形成する場合に、このような変形があると、雌ネジ形成の妨げになったり、部分的に雌ネジが形成できなくなったりするなどの虞もある。ヘッドボルト穴又はキャップボルト穴の雌ネジ部が鋳造前に形成されている場合には、位置決めピンを差し込むことで雌ネジ形成部のネジ山を潰してしまう虞がある。しかし、このようなカウンタボアを設けることで、仮に変形したとしても雌ネジ形成部にダメージを与えることを防止することができる。
また、このような特徴を有する本発明によるシリンダブロック構造により、以下のような作用、効果が得られる。
まず、(8)に記載される発明は、母材より剛性の高い補強部材を鋳包んで、金型を用いて鋳造されるシリンダブロック構造において、補強部材が、ヘッドボルト穴又はキャップボルト穴が端部に形成されたボルト穴用パイプ材と、シリンダヘッド側からオイルパン側にオイルを落とす通路となるオイル通路用パイプ材と、シリンダボアの配列方向と平行に配置される連結パイプ材と、からなり、ボルト穴用パイプ材とオイル通路用パイプ材と連結パイプ材とが接合され、ボルト穴用パイプ材、オイル通路用パイプ材、及び連結パイプ材の端部に設けられた開口部に金型に設けられた挿入突起を差し込むことで保持し、補強部材を鋳包んで形成されたので、金型に補強部材を配置することが容易である。
ボルト穴用パイプ材及びオイル通路用パイプ材がシリンダヘッド側からオイルパン側に通るのに対し、連結パイプ材がシリンダボア配列方向と平行に配置されてこれを連結しているので、構造強度を向上すると共に、金型に配置する際にそれぞれのパイプの位置が決定し易い。また、それぞれが結合されていることで、ダイカスト法など用いて高圧で溶融材料を供給する際に、補強部材が変形しにくくなるという利点もある。
また、(9)に記載の発明は、(8)に記載のシリンダブロック構造において、シリンダボアの配列方向に交差して配置され、2つのボルト穴用パイプ材を接続する接続補強材を備えているので、(1)のシリンダブロックと同様にシリンダボアの真円度を向上させる効果が得られる。
また、(10)に記載の発明は、(8)に記載のシリンダブロック構造において、ボルト穴用パイプ材が、U字に曲げられ、端部にヘッドボルト穴に形成されたヘッドボルト穴用パイプ材と、ヘッドボルト穴用パイプ材に接合され、端部にキャップボルト穴を備えるキャップボルト穴用パイプ材と、からなるので、(2)に記載のシリンダブロックと同様にシリンダヘッドとシリンダブロックのシール面圧を向上させる効果が得られる。
さらに、上記特徴を有する本発明のエンジンにより、以下のような作用、効果が得られる。
(11)に記載される発明は、(8)乃至(10)のいずれか1つに記載のシリンダブロック構造を用いているので、構造強度の高いエンジンを提供することが可能である。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1に、第1実施形態のシリンダブロック10の上面視図を示す。また、図2に、シリンダブロック10の断面図を示す。断面は図1のAA断面に対応している。また、図3に、シリンダブロック10を用いたエンジン50の側面断面図を示す。
シリンダブロック10は、図3に示されるように直列4気筒のエンジン50に使用されるシリンダブロック10であり、シリンダ13は4つ直列に備えられる。シリンダブロック10の材質は、アルミニウム合金が用いられている。
シリンダ13にはシリンダライナ12が用いられ、シリンダ13内部にはシリンダボア11が形成されている。シリンダボア11内は、図3に示すピストン45が摺動する。第1実施形態のエンジン50は直列4気筒なので、シリンダボア11は、第1シリンダボア11a、第2シリンダボア11b、第3シリンダボア11c、第4シリンダボア11dの4つである。
シリンダ13の外周には、ウォータジャケット16が設けられている。ウォータジャケット16は、エンジン50稼動時のシリンダ13を冷却するために、冷却液が供給される。
シリンダ13の周囲にはヘッドボルト穴15が形成されている。内部には雌ねじ部が形成されている。ヘッドボルト穴15は、シリンダブロック10にシリンダヘッド52を組み付ける際にヘッドボルトが締結される穴であり、ヘッドボルト用雌ネジ部15bと第1カウンタボア15aが形成されている。
ヘッドボルト用雌ネジ部15bに対して第1カウンタボア15aは若干径が大きくなるように形成されている。
同様に、シリンダブロック10のクランクシャフト46取り付け側のロアーデッキ面10bには、キャップボルト穴17が形成されている。キャップボルト穴17は、クランクシャフト46のクランクジャーナル46a部分を受けるジャーナル面14の直近に設けられており、内部には雌ネジ部が形成されている。
キャップボルト穴17は、シリンダブロック10にクランクケース53を組み付ける際に図示しないキャップボルトが締結される穴であり、キャップボルト用雌ネジ部17bと第2カウンタボア17aが形成されている。
キャップボルト用雌ネジ部17bに対して、第2カウンタボア17aは若干径が大きくなるように形成されている。
また、シリンダブロック10の内部にはメインオイル流路18が形成されている。メインオイル流路18は、第1シリンダボア11a乃至第4シリンダボア11dの配列方向と平行にシリンダブロック10内部に形成されている。メインオイル流路18は、エンジンオイルを流通し、ジャーナル給油路18aを通してジャーナル面14に給油することでクランクシャフト46の潤滑油を供給している。
シリンダブロック10がエンジン50として組み立てられる際には、シリンダブロック10のアッパーデッキ面10aにはシリンダヘッド52が組み付けられ、シリンダヘッド52の上部にヘッドカバー51が取り付けられる。
一方、シリンダブロック10のアッパーデッキ面10aと対向する側の面であるロアーデッキ面10bには、クランクケース53が取り付けられ、クランクケース53にはオイルパン54が取り付けられる。
そして、図2に示すようにシリンダヘッド52からオイルパン54にエンジンオイルを落とすことが可能なように、シリンダブロック10にはオイル用通路19が設けられている。
オイル用通路19は、シリンダブロック10のアッパーデッキ面10aとロアーデッキ面10bに開口部を備え、該開口部を連通している。図1に示すように、オイル用通路19は第1シリンダボア11a及び第2シリンダボア11bの間に設けられる他、第3シリンダボア11cと第4シリンダボア11dの間にも設けられており、ヘッドボルト穴15に沿ってシリンダブロック10の内部に形成されている。
シリンダブロック10とクランクケース53には、クランクシャフト46がエンジンメタル55を介して保持されている。
上記構成のシリンダブロック10の製造工程について、以下に説明する。
図4に、インサート部材35の斜視図を示す。
インサート部材35は、ボルト穴形成用補強材であるボルト穴用パイプ材21と、オイル通路用中空材であるオイル通路用パイプ材22と、連結補強材である連結パイプ材20からなる。
連結パイプ材20は、内部にメインオイル流路18が形成されている。なお、連結パイプ材20にはジャーナル給油路18aを内側に形成するサブパイプを接続しても良い。
ボルト穴用パイプ材21は、連結パイプ材20と直交するように配置され、端部にヘッドボルト穴15とキャップボルト穴17が形成される。ただしヘッドボルト穴15とキャップボルト穴17は同一軸上になく、大抵の場合キャップボルト穴17がシリンダブロック10の内側に配置されるため、ボルト穴用パイプ材21は途中で曲げられて配置される。
オイル通路用パイプ材22は、連結パイプ材20を挟んでボルト穴用パイプ材21と平行に配置され、内部にオイル用通路19が形成される。オイル用通路19には、エンジンオイルが流れる。オイル通路用パイプ材22はシリンダブロック10の外形に沿って、図4に示すように曲げられている。
なお、オイル通路用パイプ材22とボルト穴用パイプ材21は連結パイプ材20を介して接合されているが、必要に応じて接合部分を増やすことを妨げない。
エンジンオイルは、シリンダボア11の内部を摺動するピストン45の潤滑や、クランクシャフト46に形成されるクランクジャーナル46aの潤滑、及びカムシャフト47の潤滑、バルブ48の潤滑などを行う。そして、使用されたエンジンオイルはオイルパン54に戻されることになる。
したがって、シリンダブロック10より上部で使用されたエンジンオイルは、シリンダブロック10を通過してオイルパン54に戻される必要があり、オイル用通路19はその通路となっている。
そして、連結パイプ材20、ボルト穴用パイプ材21、及びオイル通路用パイプ材22をそれぞれ溶接することで、インサート部材35が形成される。このインサート部材35の材質は、鉄系の材料が用いられている。耐食性を考慮してステンレスを用いるのが望ましい。
ただし、シリンダブロック10に必要な剛性が確保できるのであれば、インサート部材35の材料としてアルミニウム合金を用いることが望ましい。特に、シリンダブロック10の母材と同じ系列のアルミニウム合金を用いれば、リサイクル性に優れた製品を提供することが可能である。
シリンダブロック10が鋳造で成形されるのに対し、インサート部材35の構成材料である連結パイプ材20、ボルト穴用パイプ材21、及びオイル通路用パイプ材22には、例えば押し出し成形されたパイプ材を用いることができる。鋳造品に対して押出品或いは鍛造品は、同じ系列の材質を用いても内部欠陥が少なく、より高い剛性を実現可能であるからである。
所定の位置で溶接、或いはロウ付けされた連結パイプ材20、ボルト穴用パイプ材21及びオイル通路用パイプ材22からなるインサート部材35は、左右に1セットずつ用意され、金型60にセットされる。
図5に、インサート部材35の片側が金型60に備えられる挿入突起61に差し込まれる様子を示す。なお、金型60は図面記載上の都合で一部を二点差線で示している。
ダイカスト成形に用いる金型60は、固定型とスライド型からなる分割タイプであり、それぞれに挿入突起61を備えている。挿入突起61は、インサート部材35の各開口部に挿入されて固定される。
連結パイプ材20であれば、左右の開口部に挿入突起61を差し込み、ボルト穴用パイプ材21であれば、第1カウンタボア15a及び第2カウンタボア17aにそれぞれ挿入突起61を差し込み、オイル通路用パイプ材22であれば、アッパーデッキ面10aとロアーデッキ面10bに設けられる開口部に挿入突起61を差し込むことになる。
挿入突起61がインサート部材35の開口部に挿入されることで、ダイカスト成形時にインサート部材35の中空部分に溶融材料が入らないようにする目的もあるので、挿入突起61の外径と開口部の内径は嵌め合い精度を確保する必要がある。
そして、金型60が形成するボイドに溶融材料を供給し、インサート部材35を鋳包んでシリンダブロック10を成形する。
第1実施形態のシリンダブロック10は上記構成を備えるので、以下に説明する作用効果を奏する。
まず、シリンダブロック10の剛性を向上することが可能となる点が挙げられる。
母材より剛性の高いインサート部材35を鋳包んで、金型60を用いて鋳造されるシリンダブロック構造において、インサート部材35が、ヘッドボルト穴15と、キャップボルト穴17とが端部に形成されたボルト穴用パイプ材21と、シリンダヘッド52側からオイルパン54側にオイルを落とす通路となるオイル通路用パイプ材22と、シリンダボア11の配列方向と平行に配置される連結パイプ材20と、からなり、ボルト穴用パイプ材21とオイル通路用パイプ材22と連結パイプ材20とが接合され、ボルト穴用パイプ材21、オイル通路用パイプ材22、及び連結パイプ材20の端部に設けられた開口部に、金型60に設けられた挿入突起61を差し込むことで保持し、インサート部材35を鋳包んで形成される。
このため、ボルト穴用パイプ材21及びオイル通路用パイプ材22がシリンダヘッド52側からオイルパン54側に通るのに対し、連結パイプ材20がシリンダボア11配列方向と平行に配置されてこれを連結し、シリンダブロック10の各シリンダボア11の中心線が含まれる面と略平行にインサート部材35が配置されることになり、シリンダブロック10の構造強度を上げることが可能である。
連結パイプ材20、ボルト穴用パイプ材21、及びオイル通路用パイプ材22は、押し出し成形などで作られるパイプ材を用いており、同一材料を用いた場合でも鋳造で作られるシリンダブロック10よりも強度を出すことが可能である。
必要であれば、インサート部材35の材質に鉄系の部材を用いるなどの方法でより強度を高めることができる。
また、ボルト穴用パイプ材21とオイル通路用パイプ材22が連結パイプ材20を介して接合されることで、より強度を高めることが可能である。なお、図4にはボルト穴用パイプ材21とオイル通路用パイプ材22の接合部分は連結パイプ材20を介している部分だけであるように描かれているが、ボルト穴用パイプ材21とオイル通路用パイプ材22を他の部分で直接接合するようにすれば、より強度を上げることができる。
なお、オイル通路用パイプ材22については必ずしも必要となるわけではないため、インサート部材35に溶接することが設計上適切でない場合は、省いても良い。ボルト穴用パイプ材21とオイル通路用パイプ材22とを接合して形成したインサート部材35であっても、強度の面においてはオイル通路用パイプ材22を含む場合とほぼ同等の効果を得ることが可能である。
先述したように、シリンダブロック10の剛性を上げることにより、エンジン50に組み付けたシリンダボア11の真円度を向上することができる。シリンダブロック10の状態で幾ら精度良くシリンダボア11を加工したとしても、シリンダブロック10にシリンダヘッド52を組み付けたり、クランクケース53を組み付けたりすれば、シリンダブロック10のヘッドボルト穴15及びキャップボルト穴17がヘッドボルト及びキャップボルトで引っ張られることになるので、シリンダボア11の真円度、特に4次成分の悪化が認められる。しかし、剛性の高いボルト穴用パイプ材21をシリンダブロック10に鋳包むことによって、この変形が改善される。
また、インサート部材35を金型60の備える挿入突起61に保持する際にも、インサート部材35として接合され一体に形成されていることで、作業性を向上することが可能である。そのため、生産効率向上を見込むことが可能である。
また、連結パイプ材20及びオイル通路用パイプ材22の内部がそのまま流路として用いることができるので、シリンダブロック10を鋳造後に追加工する必要がない。
また、メインオイル流路18は連結パイプ材20の内側に形成され、オイル用通路19はオイル通路用パイプ材22の内側に形成されているため、シリンダブロック10を鋳造する際に発生するヒケ巣の影響を、メインオイル流路18及びオイル用通路19は受けないようにすることが可能である。
また、連結パイプ材20、ボルト穴用パイプ材21、オイル通路用パイプ材22のそれぞれが結合されていることで、ダイカスト法など用いて高圧で溶融材料を供給する際に、インサート部材35が変形しにくくなるという利点もある。
(第2実施形態)
第2実施形態の構成は、第1実施形態とほぼ同じである。異なるのはインサート部材35の構成なので、この点について説明する。
図6に、第2実施形態のシリンダブロック10の断面図を示す。なお、断面の位置は図1のAA断面と同じ位置であり、図2に対応する。また、図7に、インサート部材35の斜視図を示す。
第2実施形態のインサート部材35は、連結パイプ材20、ボルト穴用パイプ材21、オイル通路用パイプ材22に加えて、接続補強材23からなる。
接続補強材23は、連結パイプ材20、ボルト穴用パイプ材21、及びオイル通路用パイプ材22と同じ材質であり、アルミニウム系あるいは鉄系の材料を用いる。
接続補強材23は隣り合うボルト穴用パイプ材21同士を、シリンダボア11の配列方向と直交に接続している。したがって、接続補強材23と連結パイプ材20とでシリンダボア11を四角く囲むような格好になる。
このように、第2実施形態のインサート部材35は、連結パイプ材20、ボルト穴用パイプ材21、オイル通路用パイプ材22、及び接続補強材23で構成されており、それぞれ溶接などの手法で接合されている。ロウ付けで接合しても良い。
インサート部材35は、第1実施形態と同様に金型60に、挿入突起61に開口部を差し込む状態で保持されて、ボイドに溶融材料を加圧して流し込み、ダイカスト成形されてシリンダブロック10に鋳包まれた状態となる。
第2実施形態のシリンダブロック10はこのように構成されるので、以下に説明するような作用、効果を奏する。
まず、シリンダブロック10の剛性を向上することが可能となる点が挙げられる。
母材より剛性の高いインサート部材35を鋳包んで形成されるシリンダブロック10において、インサート部材35が、ヘッドボルト穴15と、キャップボルト穴17とが端部に形成されるボルト穴用パイプ材21と、シリンダヘッド52側からオイルパン54側にオイルを落とす通路となるオイル通路用パイプ材22と、シリンダボア11の配列方向と平行に配置される連結パイプ材20と、シリンダボア11の配列方向に交差して配置され、2つのボルト穴用パイプ材21を接続する接続補強材23と、からなり、ボルト穴用パイプ材21とオイル通路用パイプ材22と接続補強材23と連結パイプ材20とが接合され鋳包まれて形成されているので、インサート部材35の剛性によりシリンダヘッド52組み付け時のボア真円度の向上を図ることができる。
シリンダブロック10にシリンダヘッド52をヘッドボルトで組み付ける場合、数十kNの力で締め付ける必要がある。シリンダブロック10とシリンダヘッド52の間に挟まれるガスケットによって、燃焼室40からの燃焼ガスとウォータジャケット16からの冷却水が漏れ出すことを防ぐためである。
このため、シリンダブロック10はヘッドボルトによってシリンダヘッド52側にヘッドボルト穴15を中心に引っ張られることになり、シリンダボア11内壁面が内側に膨らむように変形し、シリンダボア11の真円度を悪化させることになる。
しかしながら、連結パイプ材20と接続補強材23でシリンダボア11を四角く囲むような形状に母材よりも強度の高いインサート部材35が鋳込まれることになるので、シリンダブロック10の引っ張り強度が上がり、シリンダボア11の変形を抑制する効果がある。そして、結果的にシリンダブロック10をエンジン50に組み付け際のシリンダボア11の真円度を向上させることが可能である。
また、シリンダボア11を四角く囲むようにインサート部材35が形成されてシリンダブロック10に鋳包まれていることから、シリンダヘッド52をシリンダブロック10に組み付ける際に、ヘッドボルトをヘッドボルト穴15に締結することで、シリンダボア11の下側から引っ張り上げるようにシリンダブロック10がシリンダヘッド52に固定されるため、シール面圧を上げることが可能となる。
シリンダブロック10とシリンダヘッド52の間には、図示しないガスケットが設けられており、シリンダブロック10とシリンダヘッド52に挟まれることでシール性を保っている。この保持力が強くなることで、シール性を向上することが可能である。
しかし、シリンダブロック10の剛性が低い場合、単純にヘッドボルトの締め付けトルクを上げるだけでは、シリンダブロック10の母材を変形させるだけになってしまい、シール性の向上に結びつかない。
インサート部材35の備えるボルト穴用パイプ材21の端部にヘッドボルト穴15が形成されていることで、インサート部材35の剛性によって、ヘッドボルトにシリンダヘッド52側に引っ張られた際に、部分的に変形せずにガスケットを全体的に押し付けることができる。インサート部材35は接続補強材23と連結パイプ材20でシリンダボア11を四角く囲むように形成されているため、シリンダボア11全体を持ち上げるような状態で、ヘッドボルトにシリンダヘッド52側に引っ張り上げられ、その結果、シール性を高めることに貢献するのである。
シリンダブロック10とシリンダヘッド52の間のシール性が高まることで、ウォータジャケット16からの液漏れや、燃焼室40からのガス抜けなどを抑えることが可能になる。特に、燃焼室40からのガス抜けは、高出力のエンジンほど燃焼室40内での燃料の燃焼による燃焼ガスのガス圧が高くなるので問題となる。
ガス抜けを抑制することで、エンジン50の効率向上が期待でき、鋳鉄製に頼っていたハイパワーのディーゼルエンジンにもアルミ鋳物製を採用できる可能性がある。鋳鉄からアルミ製に変更できれば、シリンダブロック10の重量を4割程度抑えられるので、より燃費の改善や出力向上に貢献することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態の構成は、第2実施形態とほぼ同じである。異なるのはインサート部材35の構成なので、この点について説明する。
図8に、第3実施形態のシリンダブロック10の断面図を示す。なお、断面の位置は図1のAA断面と同じ位置であり、図2に対応する。また、図9に、インサート部材35の斜視図を示す。
第3実施形態のインサート部材35は、第2実施形態のボルト穴用パイプ材21及び接続補強材23を用いる代わりに、U字パイプ材24とキャップボルト穴用パイプ材25を用いている。
U字パイプ材24の両端にはヘッドボルト穴15が設けられており、U字パイプ材24にキャップボルト穴用パイプ材25が溶接されている。キャップボルト穴用パイプ材25は、一端にキャップボルト穴17が形成されており、他端がU字パイプ材24に接合されている状態であり、真っ直ぐなパイプ材を用いている。
したがって、第3実施形態のインサート部材35は、連結パイプ材20、オイル通路用パイプ材22、U字パイプ材24、及びキャップボルト穴用パイプ材25からなり、それぞれが接合されている。
そして、インサート部材35を鋳包んでシリンダブロック10が形成される。
第3実施形態はこのような構成であるので、以下に説明する作用、効果を奏する。
シリンダブロック10とシリンダヘッド52との接合面の面圧を向上することが可能である。
ボルト穴用パイプ材21が、U字に曲げられ、端部にヘッドボルト穴15に形成されたU字パイプ材24と、U字パイプ材24に接合され、端部にキャップボルト穴17を備えるキャップボルト穴用パイプ材25と、からなるので、シリンダヘッド52をシリンダブロック10に組み付ける際にU字パイプ材24がヘッドボルト穴15に引っ張られるのと同時にシリンダボア11を下部から押し上げるように力が働き、シリンダヘッド52とシリンダブロック10との間のシール面圧を向上させることができる。
この、シリンダボア11を下側から持ち上げて、シリンダブロック10とシリンダヘッド52との間の面圧を高める効果は、第2実施形態にもあるが、第2実施形態の場合は、ボルト穴用パイプ材21がS字に曲げられている。したがって、この曲げ部分を保持しようとする力が、面圧に影響する。一方、第3実施形態は、U字パイプ材24とキャップボルト穴用パイプ材25が直線で構成されるような構造であるため、単純にパイプ材の引っ張り強度が面圧に影響する。
したがって、第3実施形態のほうがU字パイプ材24の材料の引っ張り強度そのものが作用するために効果は高く、シリンダブロック10とシリンダヘッド52との面圧を確保しやすい。
また、ボルト穴用パイプ材21がS字に曲げられていることで、ヘッドボルト穴15を締結する際には、接続補強材23の接合位置によってはボルト穴用パイプ材21を伸ばす力が働き、その反力でシリンダボア11を押圧するような力が働く虞がある。シリンダボア11を押圧する力が働くことは、シリンダボア11の真円度を確保する点ではあまり望ましくない。
しかしながら、第3実施形態のようにU字パイプ材24がU字に曲げられていることで、シリンダボア11全体を引っ張り上げるような力が働き、均一な面圧を得やすくなる。
(第4実施形態)
第4実施形態の構成は、第1実施形態の構成をV6エンジンに適用したものであるので、基本構成はほぼ同じである。
図10に、第4実施形態のV型シリンダブロック70の上面視図を示す。また、図11に、V型シリンダブロック70の断面図を示す。図10のBB断面に対応している。
第4実施形態のV型シリンダブロック70は、第1実施形態のシリンダブロック10と同じく、ヘッドボルト穴15とキャップボルト穴17を端部に形成したボルト穴用パイプ材21を備え、連結パイプ材20に溶接する構成となっている。
連結パイプ材20は、V型シリンダブロック70の3カ所に設けられ、図11の中央の連結パイプ材20の内部にオイル用通路19が形成されている。
オイル通路用パイプ材22は、V型シリンダブロック70の4カ所に設けられて、図11の左右に配置される連結パイプ材20の外側に溶接されている。
ボルト穴用パイプ材21は、図10に示されるようにシリンダボア11の周囲に4カ所に設けられている。ただし、隣り合うシリンダボア11でヘッドボルト穴15を共有する関係上、ヘッドボルト穴15と同数設けられている。V型シリンダブロック70はV6エンジンに用いられシリンダボア11は6つ形成されているので、ボルト穴用パイプ材21は、16本用いられている。
このように、連結パイプ材20、ボルト穴用パイプ材21、オイル通路用パイプ材22が溶接されて、インサート部材35を形成し、インサート部材35は鋳包まれてV型シリンダブロック70を形成する。
第4実施形態はこのような構成であるので、以下に説明する作用、効果を奏する。
まず、V型シリンダブロック70の剛性を向上することが可能となる点が挙げられる。
母材より剛性の高いインサート部材35を鋳包んで形成されるV型シリンダブロック70において、インサート部材35が、ヘッドボルト穴15又はキャップボルト穴17が端部に形成されるボルト穴用パイプ材21と、シリンダヘッド52側からオイルパン54側にオイルを落とす通路となるオイル通路用パイプ材22と、シリンダボア11の配列方向と平行に配置される連結パイプ材20と、シリンダボア11の配列方向と平行に配置される連結パイプ材20とからなり、ボルト穴用パイプ材21とオイル通路用パイプ材22と連結パイプ材20とが接合され、ボルト穴用パイプ材21、オイル通路用パイプ材22、及び連結パイプ材20の端部に設けられた開口部に、金型60に設けられた挿入突起61を差し込むことで保持し、インサート部材35を鋳包んで形成される。
このため、ボルト穴用パイプ材21及びオイル通路用パイプ材22がシリンダヘッド52側からオイルパン54側に通るのに対し、連結パイプ材20がシリンダボア11配列方向と平行に配置されてこれを連結し、V型シリンダブロック70の各シリンダボア11の中心線が含まれる面と略平行にインサート部材35が配置されることになり、V型シリンダブロック70の構造強度を上げることが可能である。
連結パイプ材20、ボルト穴用パイプ材21、及びオイル通路用パイプ材22は、押し出し成形などで作られるパイプ材を用いており、同一材料を用いた場合でも鋳造で作られるV型シリンダブロック70よりも強度を出すことが可能である。
(第5実施形態)
図12に、第5実施形態のシリンダブロック10の斜視図を示している。
第5実施形態は、第3実施形態のU字パイプ材24を用いた別の発明である。シリンダブロック10の真円度についての対策という課題だけについて考えれば、U字パイプ材24だけでも効果があるものと考えられる。
したがって、第5実施形態ではインサート部材35をU字パイプ材24だけで構成した実施形態である。
(第6実施形態)
図13に、第6実施形態のシリンダブロック10の斜視図を示している。
第6実施形態は、第3実施形態のU字パイプ材24に連結パイプ材20を接合したインサート部材35を用いている構成である。
連結パイプ材20とU字パイプ材24の接合方法は溶接やロウ付けなどが考えられる。このように連結パイプ材20とU字パイプ材24を組み合わせることで、連結パイプ材20の開口部がシリンダブロック10の側面に現れ、金型60への保持性が高まる効果がある。したがって、ダイカスト成形する場合にも溶融材料の圧力によって変形したりずれたりといったことを防ぐことが可能である。
また、U字パイプ材24と連結パイプ材20でシリンダブロック10のシリンダボア11を四角く囲むように配置されるので、シリンダブロック10とシリンダヘッド52との面圧を第5実施形態よりも更に高めることが可能である。
(第7実施形態)
図14に、第7実施形態のシリンダブロック10の斜視図を示している。
第7実施形態は、第3実施形態のU字パイプ材24とキャップボルト穴用パイプ材25を組み合わせたインサート部材35を用いる構成となっている。
U字パイプ材24とキャップボルト穴用パイプ材25との接合方法は、溶接やロウ付けなどが考えられる。
このような構成にすることで、第5実施形態と同様にシリンダブロック10とシリンダヘッド52との面圧を高める効果がある。
以上、本実施形態に則して発明を説明したが、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更することにより実施することもできる。
例えば、第1実施形態乃至第4実施形態のシリンダブロック10及びV型シリンダブロック70はダイカスト成形をすることを前提に説明しているが、金型を用いた鋳造方法であれば適用が可能である。したがって、低圧鋳造法や重力鋳造法に本発明を適合することを妨げない。
また、実施形態に説明している材質に関しても、適宜置き換えることを妨げない。
また、第4実施形態では、第1実施形態の構成を採用しているが、第2実施形態のように接続補強材23を用いても良いし、第3実施形態のようにU字パイプ材24及びキャップボルト穴用パイプ材25を用いることでより高い効果が得られることは既に説明した通りであり、発明を適用することを妨げない。
第1実施形態の、シリンダブロック10の上面視図を示している。 第1実施形態の、シリンダブロック10のAA断面図を示している。 第1実施形態の、エンジン50の側面断面図を示している。 第1実施形態の、インサート部材35の斜視図を示している。 第1実施形態の、インサート部材35の片側が金型60に備えられる挿入突起61に差し込まれる様子を示している。 第2実施形態の、シリンダブロック10の断面図を示している。 第2実施形態の、インサート部材35の斜視図を示している。 第3実施形態の、シリンダブロック10の断面図を示している。 第3実施形態の、インサート部材35の斜視図を示している。 第4実施形態の、V型シリンダブロック70の上面視図を示している。 第4実施形態の、V型シリンダブロック70の断面図を示している。 第5実施形態の、シリンダブロック10の斜視図を示している。 第6実施形態の、シリンダブロック10の斜視図を示している。 第7実施形態の、シリンダブロック10の斜視図を示している。
符号の説明
10 シリンダブロック
10a アッパーデッキ面
10b ロアーデッキ面
11 シリンダボア
12 シリンダライナ
13 シリンダ
14 ジャーナル面
15 ヘッドボルト穴
16 ウォータジャケット
17 キャップボルト穴
18 メインオイル流路
19 オイル用通路
20 連結パイプ材
21 ボルト穴用パイプ材
22 オイル通路用パイプ材
23 接続補強材
35 インサート部材
60 金型
61 挿入突起

Claims (8)

  1. 母材より剛性の高い補強部材を鋳包んで形成されるシリンダブロックにおいて、
    前記補強部材が、
    ヘッドボルト穴又はキャップボルト穴が端部に形成されるボルト穴形成用補強材と、
    シリンダヘッド側からオイルパン側にオイルを落とす通路となるオイル通路用中空材と、
    シリンダボアの配列方向と平行に配置される連結補強材と、
    前記シリンダボアの配列方向に交差して配置され、2つの前記ボルト穴形成用補強材を接続する接続補強材と、からなり、
    前記ボルト穴形成用補強材と前記オイル通路用中空材と前記連結補強材と前記接続補強材とが接合され鋳包まれて形成されていることを特徴とするシリンダブロック。
  2. 請求項1に記載のシリンダブロックにおいて、
    前記ボルト穴形成用補強材が、
    U字に曲げられ、端部に前記ヘッドボルト穴に形成されたヘッドボルト穴形成用補強材と、
    前記ヘッドボルト穴形成用補強材に接合され、端部に前記キャップボルト穴を備えるキャップボルト穴形成用補強材と、からなることを特徴とするシリンダブロック。
  3. 母材より剛性の高い補強部材を鋳包んで形成されるシリンダブロックにおいて、
    前記補強部材が、
    ヘッドボルト穴又はキャップボルト穴が端部に形成されるボルト穴形成用補強材と、
    シリンダボアの配列方向と平行に配置される連結補強材と、からなり、
    前記ボルト穴形成用補強材と前記連結補強材とが接合されることで前記補強部材が形成され、前記補強部材が鋳包まれて形成されていることを特徴とするシリンダブロック。
  4. 母材より剛性の高い補強部材を鋳包んで形成されるシリンダブロックにおいて、
    前記補強部材が、
    U字に曲げられ、端部に前記ヘッドボルト穴に形成されたヘッドボルト穴形成用補強材からなり、
    前記ボルト穴形成用補強材が鋳包まれて形成されていることを特徴とするシリンダブロック。
  5. 請求項4に記載のシリンダブロックにおいて、
    前記補強部材が、
    前記ヘッドボルト穴形成用補強材と、前記ヘッドボルト穴形成用補強材に接合され、端部に前記キャップボルト穴を備えるキャップボルト穴形成用補強材とからなることを特徴とするシリンダブロック。
  6. 請求項4又は請求項5に記載のシリンダブロックにおいて、
    前記ヘッドボルト穴形成用補強材に、シリンダボアの配列方向と平行に配置される連結補強材が接合されたことを特徴とするシリンダブロック。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載するシリンダブロックにおいて、
    前記ヘッドボルト穴及び前記キャップボルト穴にカウンタボアを設けることを特徴とするシリンダブロック。
  8. 母材より剛性の高い補強部材を鋳包んで、金型を用いて鋳造されるシリンダブロック構造において、
    前記補強部材が、
    ヘッドボルト穴又はキャップボルト穴が端部に形成されたボルト穴用パイプ材と、
    シリンダボアの配列方向と平行に配置される連結パイプ材と、からなり、
    前記ボルト穴用パイプ材と前記連結パイプ材とが接合され、
    前記ボルト穴用パイプ材、及び前記連結パイプ材の端部に設けられた開口部に、前記金型に設けられた挿入突起を差し込むことで保持し、前記補強部材を鋳包んで形成されたことを特徴とするシリンダブロック構造。
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