本発明の制御システムは、複数の制御部と1以上の比較部と1以上の判断部とを備え、前記比較部は、任意の位置の観測情報と目標情報とを比較した比較結果を判断部に渡し、前記判断部は、比較部の比較結果に基づき所定の条件を満たすかどうかの判断を行い、判断結果を前記制御部に渡し、前記制御部は、前記判断部より入手した判断結果により制御量の増減を繰り返して、前記観測情報を前記目標情報に近づけるようにすることを特徴とする制御システムである。前記比較部が比較結果を判断部に渡す際、や判断部が判断結果を前記制御部に渡す際には、渡す相手を特定してもよいが、しなくともよい。前記制御量の増減を行う前記制御部の選択、前記増減の大きさ、前記増減の頻度のいずれかを、各増減制御の際、あるは、各増減処理の適宜の機会に変化させる
以下、本発明の制御システムの実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素が同様の動作を行う場合には、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は、本発明の制御システムを示す図である。図1においては、制御部Sが複数、比較部Cが1つ以上、判断部Hが1つ以上設けられている。比較部Cは、観測情報を取得する取得部と目標情報を格納する格納部とを備え、前記観測情報と前記目標情報とを比較した比較結果を判断部Hに渡す。判断部Hは、比較部の比較結果に基づき所定の判断、すなわち、所定の条件を満たすかどうかの判断を行い、判断結果を制御部Sに渡す。
制御部Sは、判断結果に基づき、現在制御値から所定変更量に従い制御値を変更する変更制御と、前記変更制御と逆方向へ制御値を戻す戻し制御とを行うことができる。
複数の制御部Sの制御する制御値に基づき周囲の状況が変わり、観測情報が生成される。
前記判断部Hの前記判断が、所定の条件を満たす、との場合、前回選択された制御部以外の制御部を少なくとも1つ含む制御部を選択して変更制御を行う第1の制御と、前記判断部Hによる前記判断が、所定の条件を満たさない、との場合、所定の条件を満たすべく、前記複数の制御部Sのいずれか、あるいは、前回変更制御を行った制御部の少なくとも1つを含む制御部が前記戻し制御を行い、所定の条件を満たす、とした後、前回変更制御を行った制御部以外の制御部を少なくとも1つ含む制御部を選択して変更制御を行う第2の制御を行うことができ、前記第1と第2の制御を行うことにより、前記観測情報を前記目標情報に近づけるようにする。
以下、本実施の形態が、照明制御用の制御システムであるものとして説明する。
図1(A)において、制御部Sである16個の照明装置10が、部屋の中に配置されている。照明装置10は、図1(B)に示すように、送受信部101、制御器102、光源100を備える。各光源は部屋の中を照明し、部屋の各位置の照度が決まる。比較部C、すなわち、照度比較装置12は、図1(A)において、部屋の所望の位置に配置されている。照度比較装置12は、図1(D)に示すように、目標情報である目標照度の情報Lsを格納する格納部121、観測情報である取得照度の情報Lを取得する取得部122、目標照度Lsと取得照度Lとを比較する比較器123、比較結果を送信する送信部124を備える。判断部H、すなわち、判断装置11は、図1(A)において、部屋の任意の位置に設けられている。判断装置11は、図1(C)に示すように、受信部111、判断器112、送信部113により構成される。
各照度比較装置12は、所望の位置における照度を検知するセンサーである取得部122が取得する取得照度Lと目標照度Lsとを比較し、比較結果を送信部124より受信部111に送る。
判断装置11では、受信部111において各照度比較装置12から受信した比較結果を元に、判断器112において、後述するような所定の判断を行い、判断結果を送信部113より、各照明装置10の送受信部101に送信する。
各照明装置10は、送受信部101において受信した判断結果に基づき、その光度を所定変更量に従い変更する変更制御、光度を戻す戻し制御、光度維持の何れかの動作を行う。
ここで、前記所定の判断とは、図1(A)のように、照度比較装置を複数備える場合、各取得部が取得した取得照度と対応する目標照度とが、すべての比較結果について一定の関係にあるかどうかの判断を行うこととする。すべての比較結果について一定の関係にある場合に、所定の条件を満たすものとし、ひとつでも一定の関係にない場合には、所定の条件を満たさないものとする。前記一定の関係にあるとは、前記取得照度が、対応する目標照度より大きい場合であり、一定の関係にないとは、何れかの比較結果において、前記取得照度が、対応する目標照度より小さい場合である。
また、照度比較装置が1つの場合には、前記取得照度が対応する目標照度より大きい場合に一定の関係にあり、前記取得照度が対応する目標照度より小さい場合に一定の関係にないものとする。
前記所定変更量は、あまり大きすぎない光源の変更量とする。
各照明装置10の送受信部101は、送信機能を有しており、後述する変更処理の宣言と変更処理の終了の通知を他の照明装置の送受信部に対して行う。
図4に本実施の形態による照度制御のフローチャートの一例を示す。図4の(S40)において、全照明装置10が最高光度に設定する。(S41)において、照明装置10が後述するネゴシエーションを行い、変更制御可能な一部の照明装置がそれぞれ所定変更量に従い変更制御する。他の照明装置は変更制御を行わずに待機する。つぎに、(S42)において、NGのセンサーがあるかどうか判定する。NGのセンサーがあるとは、取得照度が目標照度より小さくなる比較器123が1つでもある場合である。YESの場合、NGのセンサーが少なくとも1つある、すなわち、比較結果のひとつでも一定の関係にない場合であり、所定の条件を満たさない、との判断になる。NOの場合、NGのセンサーが1つもない、すなわち、すべての比較結果について一定の関係にあるとの判断結果の場合であり、所定の条件を満たす、との判断である。
(S42)においてYESの場合、(S43)に進み、所定の条件を満たすべく、(S41)において変更処理を行った照明装置の一部又は全部を含む任意の照明装置が戻し制御により光度を戻し光量だけ上げ、(S42)に戻る。なお、任意の照明装置を戻し制御してもよい。(S42)においてNOの場合、(S44)に進み、前回、すなわち、(S41)において変更制御した照明装置の一部又は全部は、所定の期間だけ変更制御を停止し、(S41)に進む。(S41)において、変更制御可能な一部の照明装置、すなわち、(S44)において変更制御を一時停止していない照明装置がそれぞれ所定変更量に従い変更制御する。この時刻には、変更制御を一時停止していた照明装置は、一時停止を解除する。
戻し制御の変更量は、任意の変更量、前回の変更制御の変更量と同量で逆方向、などとする。(S43)において戻し制御を行う照明装置は、全照明装置でもよい。
上記図4のフローチャートは、基本的につぎの第1の制御と第2の制御より成り立っている。(S42)、(S44)、(S41)と続く処理が、判断部Hの判断が、所定の条件を満たす、との場合、前回選択された制御部以外の制御部を少なくとも1つ含む制御部を選択して変更制御を行う第1の制御である。(S42)、(S43)、(S42)、(S44)、(S41)と続く処理が、判断部Hによる判断が、所定の条件を満たさない、との場合、所定の条件を満たすべく、複数の制御部Sのいずれか、あるいは、前回変更制御を行った制御部の少なくとも1つを含む制御部が戻し制御を行い、所定の条件を満たす、とした後、前回変更制御を行った制御部以外の制御部を少なくとも1つ含む制御部を選択して変更制御を行う第2の制御である。上記第1の制御と第2の制御を行うことにより、観測情報を目標情報に近づけるようにすることができる。
判断部Hや判断装置11は、比較結果を受け取り、判断結果を送ることが出来れば、部屋の任意の位置に設置してよい。制御部Sや照明装置10のいずれか1つに付属、内蔵しても良い。また、比較部C、複数ある場合は比較部Cの何れか1つに内蔵してもよい。
照度比較装置12は、リモコンや小型の置物のような形状にして、部屋の任意の位置に置く。目標照度の設定つまみ、制御開始ボタンなどを設けてもよい。
つぎに、変更制御や戻し制御を行う照明装置を選択する方法について説明する。中枢装置が、複数の照明装置を管理する場合は、中枢装置が、照明装置を選択できるので、照明装置間のネゴシエーションは不要であるが、照明装置を区別するアドレスの管理が必要になりやや複雑である。照明装置間でネゴシエーションにて、個々の照明装置が変更制御や戻し制御を行うかどうか決定する方式では、通信管理が不要になる。
まず、照明装置間のネゴシエーションが不要な方法について説明する。
各照明装置の制御器102は、制御が開始されると、内部で乱数を発生させ、乱数が閾値β1以下の場合、変更制御を行う。乱数が0から255の整数値で一様分布であり、β1が15であれば、照明装置は1/16の確率で変更制御を行う。すなわち、全照明装置の1/16程度が、平均的には、変更制御を行うことになる。それ以外の照明装置は待機し、その光度を維持する。次の変更制御では、前回変更制御した照明装置が乱数を発生させ、閾値β2=8以下の場合変更制御を行う。前回変更制御しなかった照明装置も同様に乱数を発生させ、閾値β3=15以下の場合に変更制御を行う。戻し制御では、変更制御した照明装置が乱数を発生させ、閾値β4=127以下の場合に、戻し制御を行う。変更制御しなかった照明装置も乱数を発生し、閾値β5=63以下の場合に戻し制御を行う。乱数は、制御器102が判断結果を受信するたびに発生させる。判断結果によって、次の制御が、変更制御、戻し制御のいずれであるかが分る。このようにすれば、大局的には、確率的に決まる1つまたは複数の照明装置が自律的に変更制御と戻し制御とを行いながら、取得照度を目標照度に近づいてゆく。変更制御、または、戻し制御を、しばらく行っていない照明装置は、閾値β3、β5を大きくするようにしてもよい。変更制御、または、戻し制御を頻繁に行っている照明装置は、閾値β2、β4を小さくするようにしてもよい。閾値β1、β2、β3、β4、β5の値や乱数のサイズは、上記例以外でもよい。
乱数発生を開始するタイミングは、判断装置11が定期的に判断結果を送り、その判断結果を各照明装置が受信した時とすればよい。判断結果の送信が、各照明装置の同期のタイミングになる。各照明装置間のネゴシエーションが不要であるので、送受信部101は受信機能だけがあればよい。
判断装置11は、所定の条件を満足しない場合にのみ、判断結果を送信し、満足している場合は、判断結果を送信しないようにしてもよい。各照明装置は、この判断結果を受信した時刻に、戻し制御のための乱数発生を開始する。その後一定の時間、判断結果が受信されなければ、変更制御のための乱数発生を開始する。変更制御のタイミングは同期してもしなくてもよい。
照度比較装置12が複数ある場合、判断装置11は、複数の比較結果を受信しなければならない。照度比較装置12は、送信周波数を異ならせるなどして混信が起きないようにすればよい。送信タイミングを互いにずらしてもよい。照度比較装置12が送信する目標照度と取得照度の比較結果が、目標照度>取得照度、または、目標照度≦取得照度の2種類だけで、後述するような差照度値でない場合は、目標照度>取得照度の場合と、目標照度≦取得照度の場合の送信周波数を異ならせれば、判断装置11は、受信周波数を検知することにより、前記所定の条件を満たすかどうか判断できる。変更制御が減光制御である場合、目標照度>取得照度となった照度比較装置12のみが所定周波数で送信するようにすれば、判断装置11は、所定周波数を何も受信しない場合、前記所定の条件を満たすと判断できる。一方、所定周波数を受信すれば、前記所定の条件を満たさないと判断できる。したがって、送受信や判断が簡単になる。複数の照度比較装置が同時に送信してもお互いに完全に打ち消しあわない限り、判断装置11は照度比較装置からの比較結果を受信できる。キャリア周波数が全く逆相になって打ち消す危険性を減らすには、ランダムな弱い変調をかけてスペクトル拡散しておいてもよい。
このような簡単な送信、受信方式の場合には、照度比較装置12の送信信号を、照明装置の送受信部101が直接受信し、所定周波数を受信した場合に、前記所定の条件を満たさないと判断して、戻し制御を始めるようにしてもよい。すなわち、この形態は、判断装置11は不要になったものとも、判断装置11が照明装置毎に付属したものと見ることもできる。この形態については、実施の形態3において、より明確に説明する。
照度比較装置12は、常時比較結果を送信せず、一定の時間間隔で送信してもよい。このようにすれば、送信電力消費が削減できる。照度比較装置12間で同期がない場合は、送信タイミングが互いにずれることがあるが、判断装置11は、一定の時間の間に、目標照度>取得照度の比較結果を受信しない場合、全ての比較結果が目標照度≦取得照度と判断すればよい。
判断装置11、あるいは、照度比較装置12から、乱数発生のタイミングが与えられない場合は、各照明装置が同期を取って乱数発生を行うようにしてもよい。同期は、電灯線を介して行うことができる。
各照明装置は、自発的に、それぞれ一定時間間隔で乱数発生により変更制御を行い、前記所定の条件を満たさないと判断を判断装置11から受信した時、あるいは、目標照度>取得照度を示す信号をいずれかの照度比較装置12から受信した時に、各照明装置が、戻し制御のための乱数発生を行うようにしてもよい。この場合には、上記同期はなくともよくなる。
なお、上記、乱数を発生させて変更制御を行う照明装置が選択される方式は、変更制御を行う時間間隔または頻度をランダムに変化させていると見ることもできる。
上記選択された照明装置が、同時に変更制御を行わず、互いにランダムなタイミングで変更制御を行うと、複数の照明装置が同時に光度を変更する機会が減るため、光度の大幅な変化が減り、照度のちらつきを減らすことができる。
つぎに、ネゴシエーションによる方法について説明する。
つぎに、各照明装置間の通信と処理のネゴシエーションについて説明する。変更制御や戻し制御を行う場合、各照明器具が、早いもの勝ち方式で行う。このために、各照明装置は、制御が開始されるか、他の照明装置から処理の終了の通知を受信すると、受信から遅延時間Tdの後に制御宣言を送信する。Tdは、各照明装置内で乱数を発生させ、その値により決める。そのあと、各照明装置は、他の照明装置から制御宣言を(n−1)個だけ受信すると制御禁止電文を送信する。制御禁止電文を受信した照明装置は、制御宣言を送信せず、制御を行わず待機する。
遅延時間Tdが最小であった照明装置kが、制御宣言を送信の後、他の照明装置から制御宣言を(n−1)個だけ最初に受信したら、制御禁止電文を最初に送信する。この間に制御宣言を送信できた照明装置kを含めてn個の照明装置が変更制御や戻し制御に入ることが可能になる。なお、同じ乱数値が多数の照明装置で発生すると、n個以上の照明装置が制御宣言を送信済みになることがあるが、その発生確率は低い。
このような仕組みを、最初に変更制御を開始する際、変更制御を行った照明装置の中からつぎに変更制御を行う照明装置を選択する際と、変更制御を行わなかった照明装置の中からつぎに変更制御を行う照明装置を選択する際、および、変更制御を行った照明装置の中から戻し制御を行う照明装置を選択する際と、変更制御を行わなかった照明装置の中から戻し制御を行う照明装置を選択する際に適用する。n個の値は、それぞれの選択について異なる値にできる。
乱数の発生は、判断装置から判断結果を受信したタイミングで開始すればよい。判断結果の内容により、変更制御の宣言か、戻し制御の宣言かが、各照明装置において判断できる。制御禁止電文を送信、および、受信したタイミングで、つぎの変更制御または戻し制御を開始する。判断装置の受信部111が、制御禁止電文を受信してから、照明装置の光度が安定する所定の時間後に、判断器112が、次の判断を行い、その判断結果を送信部113より送信する。
制御宣言電文と制御禁止電文とは区別がつく形式としなければならないことは言うまでもない。使用周波数や符号化パターンを異ならせればよい。
変更制御を行った照明装置群と、変更制御を行わなかった照明装置群が、それぞれ、つぎに変更制御、または、戻し制御を行う照明装置を選択する場合、両群が同時に選択のネゴシエーションを行う場合がある。この場合、両群が別々の周波数を使用すれば、混信を避けることができる。
確率的には、変更制御や戻し制御を長時間行えない照明装置が発生する場合がある。各照明装置は、自身の変更制御や戻し制御の履歴回数を計数しておき、制御頻度が少ない場合に、乱数の発生において、小さい数値の発生確率を高くするようにすれば、どの照明装置も適切な頻度で、変更制御や戻し制御を行う機会を与えられる。
以上説明したネゴシエーションでは、通信は、相手を特定する必要がないブロードキャスト方式でよく、宛先アドレスが不要である。
上記詳細の説明では、照明制御システムとして説明したが、本実施の形態は、最初に説明したように、照明の照度の制御に限らず、他の制御値を制御して、観測情報を目標情報に近づける制御に使用することができる。この点は、以下に説明する各実施の形態の制御システムについても同じである。
また、本発明の制御システムにおいて、上記制御値をa個の数値(Ai)とし、数値(Ai)によって決まる別のb個の数値(Bj)を上記観測情報の値とすれば、数値(Bj)を目標情報の値に近づけることができる。数値(Ai)を入力とし、数値(Bj)を出力とする数値変換部により、数値変換を行う。上記数値(Ai)、数値(Bj)、目標情報をメモリ上に記憶するようにすれば、上記フローチャートなどで説明した動作や手順を、数値処理の形でコンピュータ上に構成することができる。すなわち、本発明の制御システムをコンピュータ上に構成できる。このシステムは、前記数値変換部のモデルにおいて、観測情報の数値(Bj)を目標情報の値に近づけるための制御値(Ai)をもとめ、数値(Ai)を活用するような用途に使用することができる。すなわち、光度や照度のような物理的な現象の制御以外にも使用することができる。以下に説明する各実施の形態の制御システムにおいてもこのような使い方が可能である。
(実施の形態2)
図2(A)は、部分判断部Hbを導入した本発明の別の実施の形態の図である。図2(A)においては、2つの比較部Cと部分判断部Hbが部分判断装置を構成する。図2(B)は、部分判断装置14の構成ブロック図である。照度比較装置12xは、格納部121x、取得部122x、比較器123xを備え、目標照度Lxsと取得照度Lxの比較結果を部分判断部13の部分判断器132に送る。照度比較装置12yは、格納部121y、取得部122y、比較器123yを備え、目標照度Lysと取得照度Lyの比較結果を部分判断器132に送る。部分判断器132は、前記所定の判断を2つの照度比較装置12x、12yの比較結果に対して行い、部分判断結果を、送信部133により、判断装置11の受信部111に送る。判断器112は、部分判断結果と他の比較結果を集め、上記所定の判断を行う。部分比較結果が所定の条件を満たさないか、他の比較結果が1つでも一定の関係にない場合は、全体として所定の条件を満たさないことになる。
したがって、図2(A)のように、部分判断装置14を導入して一部の比較結果を部分判断し、判断部Hが総合判断を行うようにしても、図1(A)のように、全比較結果を判断部Hが直接判断するようにしても、同様の判断結果を得ることができる。
各照明装置は、実施の形態1の場合と同様の動作を行う。
多数の照度比較装置14を部屋の任意の位置に設ける場合は、図1(A)のような形態でよい。一方、ある位置の照度の指向分布を所望の分布にしたい場合、2つの取得部122x、122yに指向性を持たせて、照度の指向特性も所望のものにすることが出来る。この場合は、照度比較装置12xと12yを一体化した部分判断装置14を、部屋の所望の位置に置くようにすると便利である。3つ以上の照度比較装置12を一体化してもよい。
(実施の形態3)
図3(A)は、判断部Hを照明装置である制御部Sのそれぞれに設けた実施例である。図3(B)は、判断部Hに相当する判断器112を付属させた照明装置15である。照明装置15は、各比較結果や部分判断結果を送受信部101より受信し、判断器112において、前記所定の判断を行い、その判断結果に従って、制御器102が、変更制御や戻し制御を行う。この動作は、実施の形態1で説明した動作と同様でよい。ネゴシエーションを行う場合、制御器102は、送受信部101を介して、他の照明装置との間で、ネゴシエーションのための通信を行う。
(実施の形態4)
図5に、本発明の制御システムを照明制御に用いた制御のフローチャートの別の例を示す。構成は、図1〜3のいずれかに示したものとする。
図5の(S50)において、全照明装置10が最高光度に設定する。(S51)において、一部の照明装置が変更制御を宣言する。変更制御を宣言した照明装置が、(S52)において、それぞれ所定変更量に従い変更制御する。他の照明装置は変更制御を行わずに待機する。つぎに、(S53)において、NGのセンサーがあるかどうか判定する。NGのセンサーがあるとは、取得照度が目標照度より小さくなる比較器が1つでもある場合である。NOの場合、すべての比較結果について一定の関係にあるとの判断結果の場合であり、所定の条件を満たす。YESの場合、ひとつでも一定の関係にない場合であり、所定の条件を満たさない。
(S53)においてYESの場合、(S54)に進み、所定の条件を満たすべく、(S52)において変更処理を行った照明装置の一部又は全部を含む任意の照明装置が戻し制御により光度を戻し光量だけ上げ、(S53)に戻る。なお、戻し制御は、任意の照明装置が行うようにしてもよい。(S53)においてNOの場合、(S55)に進み、前回、すなわち、(S52)において変更制御した照明装置の一部又は全部は、変更制御の終了を通知し、所定の期間だけ次の変更制御を停止し、(S56)に進む。(S56)において、変更制御を行っていない他の任意の照明装置が変更制御を宣言し、(S52)に進む。(S52)において、変更制御を宣言した照明装置がそれぞれ所定変更量に従い変更制御する。この時刻には、(S55)において、変更制御を一時停止していた照明装置は、一時停止を解除する。
戻し制御の変更量は、任意の変更量、前回の変更制御の変更量と同量で逆方向、などとする。(S54)において戻し制御を行う照明装置は、全照明装置でもよい。
上記図5のフローチャートは、基本的につぎの第1の制御と第2の制御より成り立っている。(S53)、(S55)、(S56)、(S52)と続く処理が、判断部Hの所定の判断が、所定の条件を満たす、との場合、前回変更制御を行った制御部S以外の制御部を少なくとも1つ含む制御部Sを選択して変更制御を行う第1の制御である。(S53)、(S54)、(S53)、(S55)、(S56)、(S52)と続く処理が、判断部Hによる所定の判断が、所定の条件を満たさない、との場合、所定の条件を満たすべく、複数の制御部Sのいずれか、または、前回変更制御を行った制御部Sの内の少なくとも1つを含む制御部Sが戻し制御を行い、所定の条件を満たす、とした後、前回変更制御を行った制御部S以外の制御部を少なくとも1つ含む制御部Sを選択して変更制御を行う第2の制御である。上記第1の制御と第2の制御を行うことにより、観測情報を目標情報に近づけることができる。
どの照明装置が変更制御や戻し制御を行うかは、前記実施の形態1での方法と同様の方法あるいは類似の方法で決めればよい。
(実施の形態5)
図6に、本発明の制御システムを照明制御に用いた制御のフローチャートの別の例を示す。構成は、図1〜3のいずれかに示したものとする。本実施の形態では、照明装置は1つずつ変更制御を行う。
図6の(S60)において、全照明装置10が最高光度に設定する。(S61)において、照明装置jが変更制御を宣言する。変更制御を宣言した照明装置jが、(S62)において、所定変更量に従い変更制御する。つぎに、(S63)において、NGのセンサーがあるかどうか判定する。NGのセンサーがあるとは、取得照度が目標照度より小さくなる比較器が1つでもある場合である。NOの場合、すべての比較結果について一定の関係にあるとの判断結果の場合であり、所定の条件を満たす。YESの場合、ひとつでも一定の関係にない場合であり、所定の条件を満たさない。
(S63)においてYESの場合、(S64)に進み、所定の条件を満たすべく、(S62)において変更処理を行った照明装置jを含む全部の照明装置が戻し制御により光度を戻し光量だけ上げ、(S63)に戻る。全部でなく一部でもよい。任意の照明装置でもよい。(S63)においてNOの場合、(S65)に進み、前回、すなわち、(S62)において変更制御した照明装置jは、変更制御の終了を通知し、所定の期間だけ次の変更制御を停止し、(S66)に進む。(S66)において、照明装置j以外の照明装置で、所定の期間が経過した照明装置が、新照明装置jとして変更制御を宣言し、(S62)に進む。(S62)において、変更制御を宣言した新照明装置jがそれぞれ所定変更量に従い変更制御する。この時刻には、(S65)において、変更制御を一時停止していた照明装置は、一時停止を解除する。
以上説明した(S61)〜(S66)の手順を、各照明装置の各制御器102が送受信部101を介して行うネゴシエーションによって決まる照明装置の順序で実行し、光度の制御を行う。
本実施の形態において、(S63)、(S65)、(S66)、(S62)と続く処理は、判断部の判断が、所定の条件を満たす、との場合、前回変更制御した制御部以外の1つの制御部が変更制御を行う第1の制御である。(S63)、(S64)、(S63)、(S65)、(S66)、(S62)と続く処理は、判断部による判断が、所定の条件を満たさない、との場合、所定の条件を満たすべく、任意の照明装置、あるいは、前回変更制御した制御部を含む少なくとも1つの制御部が戻し制御を行い、所定の条件を満たす、とした後、前回変更制御した以外の1つの制御部が変更制御を行う第2の制御である。上記第1の制御と第2の制御を行うことにより、観測情報を目標情報に近づける。
つぎに、各照明装置間の通信と処理のネゴシエーションについて説明する。変更制御の宣言は、各照明器具が、早いもの勝ち方式で行う。このために、各照明装置は、他の照明装置から処理の終了の通知を受信すると、受信から遅延時間Tdの後に変更制御宣言を送信し、その後、所定の窓時間Tw以内に他の照明装置からの処理宣言を受信しなければ、その照明器具の処理の権利が確立され、変更制御を開始する。遅延時間Tdは、各照明装置の内部で乱数により決める。遅延時間Tdが大きくて、処理宣言を未だ行っていない照明器具は、その前に他の照明装置から宣言を受信すると、次の処理の終了通知を受信するまでは処理宣言を送信しない。2つ以上の照明器具において遅延時間Tdが同じ値となることは、稀である。すなわち、複数の照明装置が同じ時刻に変更制御宣言を行うことは、極めて稀であり、通常は、ただ1つの照明器具が処理の権利を取得する。
ごく稀に複数の照明装置が、ほぼ同時に宣言を行い、時間Tw以内に、自分以外の照明装置から変更制御宣言を受信することがある。この場合は、他にも変更制御宣言を行っている照明装置があると判断し、再度乱数を生成して決めた遅延時間Td'後に、再度、変更制御宣言を送信する。遅延時間Td'が、複数の照明装置において、再び同じ値になることは、更に稀であり、1つの照明装置だけが、最終的に変更制御の権利を取得することができる。万が一再び、同時に変更制御宣言が生起しても、宣言を繰り返してゆけば、必ず、1つの照明装置だけが、最終的に変更制御の権利を取得することができる。この過程で、変更制御宣言を行う前に、変更制御宣言を受信した照明装置は、変更制御の権利を取得せず、つぎに変更制御終了の通知を受信するまで、待機状態に入る。
窓時間Twは、変更制御宣言の送信処理、受信処理、受信の検知処理に必要な時間の合計より長くすればよい。遅延時間Td、Td'は、窓時間Twより長い単位遅延時間(Tw+δT)のランダムな整数倍の時間とすればよい。
上記、変更制御宣言は、他の照明装置の変更制御を禁止する働きを有する。別の方法として、変更制御宣言を送信してから所定の時間Tfの後に、変更制御禁止電文を送信するようにし、変更制御禁止電文を受信した照明装置は、変更制御を行わないようにしてもよい。Tfは、(Tw+δT)より十分小さい値とする。
なお、遅延時間Tdが最小であった照明装置kが、変更制御宣言を送信の後、他の照明装置から変更制御宣言を1つ受信してから、変更制御禁止電文を送信するようにすれば、変更制御禁止電文を受信する前に変更制御宣言を行なっている照明装置の数は、照明装置kを含めて2個となるので、2つの照明装置が変更制御に入ることが可能になる。照明装置kが、変更制御宣言を送信の後に、同時に2つ以上の変更制御宣言を受信した場合は、変更制御禁止電文と再変更制御宣言開始電文を送信し、既に変更制御宣言を送信済みの上記2つ以上の照明装置が、再度変更制御宣言を行えば、1つに絞り込むことができる。同様の原理により、変更制御を行う照明装置の数を、3個以上の任意の数にすることもできる。
また、次のようにしてもよい。すなわち、各照明装置にループ回数メモリを設けておき、(S65)の処理を実行するたびに、ループ回数メモリに記憶するループ回数を1回増加するようにし、上記ネゴシエーションにおいて、変更制御宣言と共にループ回数データを送信する。他の照明装置から変更制御宣言を受信した照明装置の方が、ループ回数が多い場合には、変更制御宣言を行わないようにすれば、ループ回数の少ない照明装置から優先的に、変更制御の権利を取得することができる。一部の照明装置だけが、変更制御を何回も行うことを防ぐことができる。
遅延時間Tdを乱数により決める代わりに、各照明装置において変更制御宣言をできる確率Pを1未満にしておき、変更制御宣言する照明装置を1つに絞り込んでもよい。各照明装置は、乱数を発生させ、数字がある範囲の場合にのみ変更制御宣言を行う。変更制御宣言が窓時間Tw内に重なった場合、それらの照明装置は、再度、乱数を発生させ、数字がある範囲の場合にのみ変更制御宣言を行う。このようにすれば、最終的に、照明装置は1つになる。なお、ループ回数が増えるに従って、確率Pを1に近づけるようにしてもよい。
前記戻し制御については、判断装置が送信する判断結果の電文を各照明装置の送受信部101が受信し、その内容が前記所定の条件を満足しないとの場合に、各制御器102が、前記戻し制御を行えばよい。判断装置が送信する判断結果の電文は、全照明装置が同時に受信するので、戻し制御は、変更制御を行った照明装置を含めて全照明装置が、一斉に行うことになる。
変更制御を行わなかった照明装置間で、上記説明と同様の原理のネゴシエーションを行って、戻し制御を行う照明装置を選択するようにすることもできる。戻し制御を行わない照明装置をネゴシーションにより決めるようにすることもできる。
ネゴシエーションのタイミング、ネゴシエーションに使用する通信の電文や使用周波数については、実施の形態1で説明した種々の方式が適用できる。
これらの通信は、照明装置の宛先を必要としないブロードキャスト形式の通信でよい。したがって、宛先アドレスはなくともよく、通信の電文の形式を簡単にすることができる。
このような通信方式によれば、照明装置の数が増減しても、照度比較装置の数が増減しても、各照明装置や照度比較装置に手を加えることなく、所定の位置において所定の照度になるように照明制御が行える。照度比較装置を所望の位置に自由に移動して、その位置の照度を希望の値に収れん、収束させることもできる。
なお、全照明装置を管理する管理装置を別に設けて、変更制御の実行を指示し、照明装置が順番に変更制御を行うように構成してもよい。この場合は、管理装置と各照明装置の送受信部とを有線通信路で結んでもよいし、無線LANのような無線回線で結合してもよい。プラグアンドプレイの機能を設けておけば、照明装置の数が追加になっても、新たな照明装置を加えた状態で、照明制御を行うことができる。
スタート直後に、各照明装置が一斉に、あるいは、互いに通信しあい、それぞれの番号を重ならないように付与しあい、番号の付与が終わった後に、番号の順に変更制御を行い、変更制御通知の際に、自身の番号を通知し、その番号の次の照明装置が、次の変更制御の権利を取得するようにしてもよい。
なお、上記実施の形態では、変更制御として、光度を減光させる減光制御について説明したが、光度を小さい方から増大してゆく増光制御に置き換えても、本発明の照明制御を行うことができる。
(実施の形態6)
上記所定変更量は、既に説明したとおり、あまり大きすぎない値であればよい。スタートの前に各光源の所定の変更量である減光の1ステップを求めておいてもよい。最初に、全光源を最高光度に設定する。次に、光源を一つ選び、光源jとする。1つのセンサー、すなわち1つの照度取得部が「NG」になるまで光源jを減光する。ここで、「NG」とは、センサーごとに設定された目標照度Lsを、各センサーの取得照度Lが下回った場合とする。「OK」は、上回っている場合である。また、光源j自体の最初の光度を「現在光度」、減光後の光度を「限界光度」とよび、その差を「光度差幅」とすると、次の光度は、「次光度」=「現在光度」−「光度差幅」/N(Nは、通常4〜8程度とするが、これに限定しない。)で表される。所定変更量=「光度差幅」/Nとする。したがって、1回の変更制御では、光源jは、あるセンサーが「NG」になる限界光度ではなく、それよりかなり明るい光度に減光される。いいかえれば、減光の1ステップは、十分小さなステップとする。光源jの光度を最低にしても、「NG」となる照度取得部がなかった場合は、その最低光度を限界光度として採用する。このような手順により、各照明装置の減光の1ステップである所定変更量を求め、各制御部S、あるいは、各照明装置の制御器102に変更制御用に記憶しておく。以降の変更制御において、このステップにしたがって変更制御を行う。
また、図7に示すフローチャートのように、変更制御する前に毎回、上記所定変更量を決めてもよい。図7において、図6のフローチャートの各ステップと同じステップは同じステップ番号を付しているので説明を省略する。図7においては、図6の(S62)を(S70)〜(S73)に置き換える。(S70)において、照明装置jの現在の光度を初期光度として記憶し(S71)に進む。(S71)において、照明装置jが光度を1ステップ下げ、(S72)に進む。(S72)において、NGのセンサーがあるかどうか調べる。すなわち、判断結果が所定の条件を満足するかどうか調べる。(S72)において、NOの場合、すなわち、所定の条件を満足する場合、(S71)に戻る。(S72)においてYESの場合、この時の光度を限界光度とし、初期光度と限界光度の差に基づく変更量を算出し、初期光度から変更量だけ光度を下げ、(S63)に進む。
本実施の形態において、(S63)、(S65)、(S66)、(S70)〜(S73)と続く処理は、判断部の判断が、所定の条件を満たす、との場合、前回変更制御した制御部以外の1つの制御部が変更制御を行う第1の制御である。(S63)、(S64)、(S63)、(S65)、(S66)、(S70)〜(S73)と続く処理は、判断部による判断が、所定の条件を満たさない、との場合、所定の条件を満たすべく、任意の照明装置、あるいは、前回変更制御した制御部を含む少なくとも1つの制御部が戻し制御を行い、所定の条件を満たす、とした後、前回変更制御した以外の1つの制御部が変更制御を行う第2の制御である。上記第1の制御と第2の制御を行うことにより、観測情報を目標情報に近づけることができる。
また、この手順により、最初は、所定変更量を大きくし、目標照度に近づくに従って所定変更量を小さくすることができ、取得照度をより正確に目標照度に近づけることができる。しかし、所定変更量を求める手順が増えることになる。
照明装置jの選定は、前記実施の形態5での方法と同様の方法あるいは類似の方法で決めればよい。
(実施の形態7)
上記所定変更量は、図8に示すフローチャートで説明するように、変更制御する際に、照度に従って決めてもよい。図8において、図6のフローチャートの各ステップと同じステップは同じステップ番号を付しているので説明を省略する。図7においては、図6の(S62)を(S80)〜(S83)に置き換える。(S80)において、照明装置jは、その現在の光度を初期光度として記憶し(S81)に進む。((S81)において、照明装置jは、判断装置11より、各取得部における取得照度と目標照度の差の平均値を上記差照度として受信し、差照度に応じて光度を下げる。(S82)において、NGのセンサーがあるかどうか調べる。すなわち、判断結果が所定の条件を満足するかどうか調べる。(S82)において、NOの場合、すなわち、所定の条件を満足する場合、(S81)に戻る。(S82)においてYESの場合、この時の光度を限界光度とし、初期光度と限界光度の差に基づく変更量を算出し、初期光度から変更量だけ光度を下げ、(S63)に進む。
本実施の形態において、(S63)、(S65)、(S66)、(S80)〜(S83)と続く処理は、判断部の判断が、所定の条件を満たす、との場合、前回変更制御した制御部以外の1つの制御部が変更制御を行う第1の制御である。(S63)、(S64)、(S63)、(S65)、(S66)、(S80)〜(S83)と続く処理は、判断部による判断が、所定の条件を満たさない、との場合、所定の条件を満たすべく、任意の照明装置、あるいは、前回変更制御した制御部を含む少なくとも1つの制御部が戻し制御を行い、所定の条件を満たす、とした後、前回変更制御した以外の1つの制御部が変更制御を行う第2の制御である。上記第1の制御と第2の制御を行うことにより、観測情報を目標情報に近づけることができる。
また、この手順により、最初は、所定変更量を大きくし、目標照度に近づくに従って所定変更量を小さくすることができ、取得照度をより正確に目標照度に近づけることができる。
なお、照明装置jの選定は、前記実施の形態5での方法と同様の方法あるいは類似の方法で決めればよい。
(実施の形態8)
前記各実施の形態における所定変更量は、照度比較装置における現状の取得照度と対応する目標照度との差照度に基づく変更量であってもよい。図9に本実施の形態の場合の処理のフローチャートの1例を示す。図6を例として、異なる部分のみを説明する。
図9においては、図6の(S62)の代わりに(S90)を設ける。(S90)において、判断装置11は、取得照度と目標照度の差照度(L−Ls)を各照度比較装置より受信し、差照度の平均値に応じて所定変更量を決定し、各照明装置に送信する。あるいは、判断装置11は、差照度情報を各照明装置に送り、各照明装置が受信した差照度情報に応じて、独自に前記所定変更値を決めてもよい。差照度が小さくなるに従い、所定変更量を小さくする。
このようにすれば、明るすぎる照明装置が多い場合、最初は、大きな変更量を適用して、時間をかけることなく適切な光度に近づけることができ、最終光度に近づくにしたがって、所定変更量を小さくできるので、目標照度に早く正確に到達することができる。また、図7、図8における所定変更量を求めるループの手順が不用になるので、照度制御の初期段階で各光源の光度が大幅に増減変化する状態を無くすあるいは減少させることができる。
なお、本実施の形態において、(S63)、(S65)、(S66)、(S90)と続く処理は、判断部の判断が、所定の条件を満たす、との場合、前回変更制御した制御部以外の1つの制御部が変更制御を行う第1の制御である。(S63)、(S64)、(S63)、(S65)、(S66)、(S90)と続く処理は、記判断部による判断が、所定の条件を満たさない、との場合、所定の条件を満たすべく、任意の照明装置、あるいは、前回変更制御した制御部を含む少なくとも1つの制御部が前記戻し制御を行い、所定の条件を満たす、とした後、前回変更制御した以外の1つの制御部が変更制御を行う第2の制御である。上記第1の制御と第2の制御を行うことにより、観測情報を目標情報に近づけることができる。
なお、照明装置jの選定は、前記実施の形態5での方法と同様の方法あるいは類似の方法で決めればよい。
上記説明では、照明装置jの1個を選択するようにしたが、実施の形態1の場合と同様に、1個あるいは複数個を選ぶようにしてもよい。
(実施の形態9)
上記各実施の形態においては、前記所定の条件を満たさない場合、全照明装置の光度を所定変更量と逆方向へ所定量だけ変更して、前記所定の条件を満すようにした後、他の光源の光度の変更制御に移るようにしたが、代わりに、変更制御を行っている照明装置jを含めた一部の照明装置の光度だけを所定変更量と逆方向へ所定量だけ変更して、前記所定の条件を満すようにした後、他の光源の光度の変更制御に移ってゆくことにより、照度取得部の照度を目標照度に近づけるようにしてもよい。
(実施の形態10)
つぎに、照明装置間で通信を行う必要のない照明制御用の制御システムについて説明する。送受信部101は受信機能のみでよい。複数の照明装置は、それぞれ並行して別々に変更制御を行う。変更制御の変更量は、上記照明装置毎にランダムに変更する。照度比較装置からの比較結果や部分判断部からの部分判断結果を元に、上記所定の条件を満たさない、と判断装置11において判断され、判断結果が照明装置で受信されると、全照明装置は、それぞれにおいて、今回の変更制御の前の光度まで戻し制御を行う。この戻し制御では、通常1回で上記所定の条件を満足する状態に戻るが、戻らない場合には、上記所定の条件を満足する状態に戻るまで、更に戻し制御を行う。つぎに再び、ランダムな変更量で変更制御を行う。このようにすれば、一時的には、過剰に変更して戻し制御が増える場合もあるが、最終的には、取得照度を目標照度に近づけることができる。
上記ランダムとしては、以下のような場合を含む。すなわち、各照明装置は、制御値である光度が任意の増減を伴いつつ、平均的には一方向に減光するように変更制御を行う。この場合、各光源の光度は一時的に逆方向へ変化することもあることになる。言い換えると、変更量は正、負、零、いずれもの値をとりうる。
また、変更制御の変更量の方向を変えず、大きさを任意に変動させるようにしてもよい。言い換えると、変更量は、零、および、負いずれか一方の値をとる。この場合は、各光度は、戻し制御のときを除けば、1方向に変化することになる。光度の減少が大きめになったり、小さめになったり、ゼロになったりする。
なお、最初に最低光度から始める場合は、各照明装置は、光度が任意の増減を伴いつつ、平均的には一方向に増光するように変更制御を行う。各光源の光度は一時的に逆方向へ変化することもある。言い換えると、変更量は正、負、零、いずれもの値をとりうる。また、変更制御の変更量の方向を変えず、大きさを任意に変動させるようにしてもよい。言い換えると、変更量は、零、および、正いずれか一方の値をとる。この場合は、各光度は、戻し制御のときを除けば、1方向に変化することになる。
取得照度と目標照度の差照度を、照度比較装置から判断装置11に送信し、差照度の平均値を各照明装置に送信して、各照明装置は、受信した平均差照度が小さくなるのに対応して、上記ランダムに変化する変更量の値を小さくするとよい。上記差照度が小さくなるのに応じて戻し制御の際に戻す光度の量を小さくしてもよい。このようにすれば、早く目標照度に収れんでき、収れん状態での照度のちらつきを小さくできる。
上記のように、変更制御の前の光度まで戻し制御を行う代わりに、所定の光量だけ戻し制御するようにしてもよい。戻し制御の際に戻す光度の量をランダムに変化させるようにしてもよい。この戻し制御は、1回では上記所定の条件を満足させることが出来ない場合があるので、上記所定の条件を満足する状態に戻るまで行う。戻し制御において戻す光度の量は、取得照度と目標照度の差照度を、照度比較装置から判断装置11に送信し、差照度の平均値を全照明装置に送信して、各照明装置は、受信した平均差照度が小さくなるのに対応して、戻し光度を小さくしていってもよい。このように戻し制御の際に戻す光度の量をランダムに変化させる場合は、変更制御の方の変更量は、ランダムに変化させず、一定光量、あるいは、上記平均差照度に応じた光量としてもよい。
図10は、本実施の形態の制御のフローチャートの一例である。(S100)において、全照明装置が最高光度に設定する。(S101)に進み、任意の照明装置はランダムな変光量だけ光度を下げる。(S102)に進み、判断装置が、NGのセンサーがあるかどうか判定する。NOの場合、(S101)に戻る。(S102)において、YESの場合、(S103)に進み、元の光度に戻し、(S102)に進む。なお、(S103)においては、全照明装置が任意の制御量だけ戻し制御を行ってもよい。また、一部の照明装置が、任意の制御量だけ戻し制御を行ってもよい。(S102)においてNOになるまでは、(S103)において戻し制御を行うことになる。
各照明装置が、変更制御を行う時間間隔、すなわち、次の変更制御のタイミングをランダムに変化させるようにしてもよい。変更制御が短い時間間隔で続く照明装置は、変更制御の頻度が高いことになり、変更量が大きい照明装置と同様の寄与を照度に対して行うことになる。
ランダムなタイミングで変更制御を行うと、複数の照明装置が同時に光度を変更する機会が減るため、光度の大幅な変化が減り、照度のちらつきを減らすことができる。
(実施の形態11)
図11は、本実施の形態11の照明制御を示すフローチャートである。図11のフローチャートにおいて、最初(S110)において、全光源を最高光度に設定する。つぎに、(S111)に進み、照明装置を一つ選び、照明装置jとする。つぎに、少なくとも1つのセンサーが「NG」になる、すなわち、所定の条件を満足しない状態になるまで照明装置jを変更制御、すなわち、本実施の形態の場合は、減光する(S112、S113)。ここで、「NG」とは、センサーである取得部ごとに設定された目標照度Lsを、各センサーの取得照度Lが、いずれかの照度比較装置12において下回った場合とする。「OK」は、全照度比較装置12において上回っている場合である。
(S113)においてYESとなると、(S114)に進み、任意の照明装置、あるいは、照明装置jを含む照明装置の光度を1ステップ戻す。すべてのセンサーが「OK」にならない場合は、さらに1ステップ光度を上げる。つぎに、(S115)において、照明装置j以外の光源を選び、jとする。新たに選択した照明装置jに対して変更制御(S112)と判定(S113)を実行する。
本実施の形態においては、(S111)、(S112)、(S113)、(S112)、(S113)と続く処理が、複数の制御部からいずれか1つの制御部を選択し、判断部の判断が、所定の条件を満たさない、との判断となるまで、選択された制御部が変更制御を行う第3の制御である。(S113)、(S114)、(S115)、(S112)、(S113)、(S112)、(S113)と続く処理は、判断部による判断が、所定の条件を満たさない、との場合、所定の条件を満たすべく、選択された制御部を含む制御部が戻し制御を行い、所定の条件を満たす、とした後、任意の照明装置、あるいは、前回選択された制御部以外の制御部を1つ選択して、判断部の判断が、所定の条件を満たさない、との判断となるまで、変更制御を行う第4の制御である。少なくとも第4の制御を繰り返すことにより観測情報を目標情報に近づけるようにする。
本実施の形態においては、目標照度に近づく過程で、変更量の大きさを変えてゆくようにしてもよい。たとえば、図11の(S113)において、NOになるたびに照明装置jの変更量を小さくするようにしてもよい。このようにすれば、最初は変更量が大きめであるので、目標照度の近傍に速やかに近づき、近づくにつれて変更制御を細かくできるので、目標照度により正確に収れん、収束させることができる。各照明装置は、(S115)によるループの回数を計数し、ループ回数が増えるに従い、所定変更量を小さくするようにしてもよい。
図11の(S114)の戻し制御において、光度を上げる際の1ステップの大きさは、それぞれの照明装置の保有する最新の所定変更量でもよいし、それより小さい値でもよい。戻し制御が不足の場合は、戻し制御を繰り返せば良い。
実施の形態1〜10が、各照明装置の光度を満遍なく徐々に下げてゆくのに対して、本実施の形態では、照明装置を、初期の段階で限界光度近辺まで、急速に近づけ、その後、目標照度に近づくように、修正してゆく方式である。制御の途中では、最終の光度以下になる照明装置が現れるが、(S114)において、戻し制御が行われ、下げすぎた光度が是正される。
本実施の形態では、安定状態になっても、照明装置のいずれかが常に変更制御を行っていることになる。目標照度に近づくにしたがって変更量を小さくする場合は、変更制御による照度のちらつきは小さくなり、人が気づかないようにできる。この点は、他の実施の形態の制御システムの場合も同様である。
本実施の形態においては、変更制御として、減光制御を行う場合について説明したが、光度の小さい方向から徐々に増光して行く増光制御でも、目標照度に近い照度に到達させることができる。この場合は、上記所定の変更量は、増光量とし、戻し制御は、減光方向の制御とする。この点は、他の実施の形態の制御システムの場合も同様である。
本実施の形態において、上記説明では照明装置jを1つ選ぶものとしたが、複数選ぶようにしてもよい。(S111)、(S112)、(S113)、(S112)、(S113)と続く処理を、複数の照明装置すなわち制御部から少なくとも1つ制御部を選択し、判断部の判断が、所定の条件を満たさない、との判断となるまで、選択された制御部が前記変更制御を行う第3の制御とする。(S113)、(S114)、(S115)、(S112)、(S113)、(S112)、(S113)と続く処理を、前記判断部による前記判断が、所定の条件を満たさない、との場合、所定の条件を満たすべく、任意の照明装置、あるいは、前回変更制御を行った制御部の内の少なくとも1つを含む制御部が前記戻し制御を行い、所定の条件を満たす、とした後、前回変更制御を行った制御部以外の制御部を少なくとも1つ含む制御部を選択して、前記判断部の前記判断が、所定の条件を満たさない、との判断となるまで、前記変更制御を行う第4の制御とする。少なくとも第4の制御を繰り返すことにより観測情報を目標情報に近づける。
変更制御や戻し制御を行う照明装置の選定は、前記各実施の形態において説明した方法と同様の方法あるいは類似の方法によりで決めればよい。
上記選択された照明装置は、同時に変更制御を行わず、互いにランダムなタイミングで変更制御を行うにしてもよい。ランダムなタイミングで変更制御を行うと、複数の照明装置が同時に光度を変更する機会が減るため、光度の大幅な変化が減り、照度のちらつきを減らすことができる。
(実施の形態12)
図11の制御手順において、複数の目標照度Lsのうちに、きわめて小さい照度が含まれている場合、照明装置jの光度を(S112)によって順次下げて行って、光源の採りうる最低光度にしても、他の光源からの光が強いため、(S113)においてYESにならない場合がある。照明装置j以外の光源の光度を極めて小さくし、照明装置jを適切な照度にする状態が、最適の収束状態になる場合もある。照明装置j以外の光源の光度が、まだ大きい状態では、照明装置jを取りうる最低照度やその1ステップ上の照度にしても、上記所定の状態のままである場合、(S113)において、NOのままとなり、ループから抜け出せない。このため、最適の収束状態に進めることができない。このような事態を防止するには、以下に示す制御手順を用いる。
図11の制御手順のフローチャートの一部を変更する。すなわち、(S112)の前に、(S116)と(S117)を追加する。(S111)において、照明装置jを1つ選び、そのときの光度設定値を記憶し(S116)に進む。(S116)においては、照明装置jの光度が取りうる最低光度かどうか判定する。NOであれば、(S112)に進み、1ステップその光度を下げる。(S116)において、YESであれば、もはやその光度を下げることができない。このような状態になるのは、他の光源の光度が大きすぎるためであるので、(S117)に進み、照明装置jの光度を記憶した光度設定値に戻す。このように戻すのは、他に優先して光度を下げるべき照明装置があると考えられるからである。つぎに、(S115)に進み、他の光源を選び、その照明装置をjとし、新たな照明装置jの光度を記憶しておく。そして、この新照明装置jに対して、光度下行による手順(S116)、(S112)、(S113)以降を実行してゆく。このようにすれば、光度が大幅に過剰な光源にたどり着いたときに、その照度を優先的に下げることになり、そのような光度過剰の光源の光度を順次下げてゆくことができ、図11で説明した手順の原理による収束過程、すなわち、(S112)〜(S115)に入ることを可能にする。
(実施の形態13)
つぎに、既に若干説明したが、図4〜11の制御による収束を早めることができる手順について改めて説明する。図4〜11の制御手順において、各位置、すなわち各照度比較装置12における取得照度を目標照度に十分近づけるためには、1ステップの変更量の幅を小さくしておく必要がある。この場合、各位置の照度を目標照度に、小刻みに近づけてゆくことになり、図4〜11のフローチャートのループを多数回繰り返さないと収束しない。
そこで、スタート以降、最初に各所定の判断(S42)、(S53)、(S63)、(S102)、(S113)においてYESになる前の最初のループ手順では、1ステップの変更量を大きめにする。たとえば、各光源が設定できる光度の分解能を最高光度Lmaxからゼロの間で100段階とした場合、最初は1ステップを20段階分とする。すなわち、最高光度に対して20%刻みとなる。(S42)、(S53)、(S63)、(S102)、(S113)に到達した段階では、各取得照度は、各目標照度に対して、概略最大20段階分程度の単位で誤差が生じうる。この状態で、再び同一の照明装置の変更処理に戻ってきたときに、1ステップを5段階分に減らして、(S42)、(S53)、(S63)、(S102)、(S113)においてYESになるまでループ手順を実行する。つぎに、1ステップを1段階分に減らして、(S42)、(S53)、(S63)、(S102)、(S113)においてYESになるまでループ手順を実行する。このように全体的に目標照度に近づくにしたがって制御精度を上げる方法では、収束を速めることができる。このためには、各照明装置では、ループ回数を計測、記憶しておき、ループ回数の増加に応じて所定変更量を小さくしてゆけばよい。
(実施の形態14)
つぎに遺伝的なアルゴリズムによる照明制御システムについて説明する。この方式では、各照明装置の光源は、ランダムに明るくなったり、暗くなったりしており、ある光源にとっての、自身の光度と、センサーの情報との相関を調べ、学習によって、自身の影響を推定し、この推定結果から適切な1ステップの値を知り、光度をコントロールする。
本実施の形態では、図1から3に示したのと同様に、複数の制御部Sである照明装置と、1以上の比較部Cである照度比較装置と、1以上の判断部Hである判断装置11とを備えている。必要に応じて、部分判断部Hbを有する部分判断装置14を設けてもよい。
照明装置の少なくとも1つが光度をランダムに変更し、判断装置11において受信した比較結果に基づき、評価値を生成し、評価値を判断結果として照明装置に送る。各照明装置の制御器102が、判断結果に基づき、ランダムに変更する光度の範囲をおおむね狭めてゆくことにより、取得照度を目標照度に近づけるようにする。
照明装置が、1つずつランダムに光度を変更していってもよいが、全照明装置が光度を、それぞれ独立にランダムに変更し、判断部において受信した比較結果に基づき、各照明装置の制御器102が、ランダムに変更する光度の範囲をおおむね狭めてゆくことにより、取得照度を目標照度に近づけるようにすれば、より短時間に目標照度分布を実現できる。おおむねとは、一時的には光度の範囲が局所的に拡大することも起こりうるが、大局的には、範囲を狭めてゆくことができることを意味する。
また、照度比較装置は、取得照度と目標照度とを比較して照度差情報を比較結果として送信し、判断装置においては、受信した比較結果を評価し、評価値を判断結果として照明装置に送り、照明装置では、評価値を元に、照度差が小さい評価に対応した光度の出現頻度が大きくなるように、ランダムに変更する光度の範囲を狭めてゆき、照度取得部の照度を目標照度に近づけるようにしてもよい。
判断装置11は、複数の照度比較装置12が設けられている場合、それら複数の照度比較装置から受信した比較結果を集計して評価値を算出し、評価値を判断結果として各照明装置に送り、各照明装置は、ランダムに変更する光度の範囲をおおむね狭めてゆくことにより、照度取得部の照度を目標照度に近づけるようにする。照度比較装置12が1つの場合は、照度比較装置12による照度差情報が比較結果であり、評価値になる。
図12は、照明装置jの光度をランダムに変更したときの、照度差の評価値の例である。まず、照度比較装置が1つの場合について説明する。照明装置jは、その光度を最大値から最小値の間の複数値、たとえば、10%刻みでランダムに変動させ、それぞれの光度に対する評価値を図12の照度差の評価値のようなシーケンスとして入手する。これを1ランダムシーケンスとする。光度が200カンデラの場合、目標照度との差の評価値が−37である。評価値は、目標の照度との照度差を所定の式で変換した数値である。次は、1000カンデラに対して48である。他の照明装置もランダムに光度を変更している場合は、照明装置jの光度が同じでも、評価値は、同一になるとは限らない。しかしながら、照明装置jの光度のテーブルと照度差の評価値のテーブルには、照明装置jの光度が照度に与える影響度合いが現れている。今回のランダムシーケンスによる評価値の内、正の大きい数値や負の大きい数値に対応する光度の部分を除き、光度の変化範囲を狭くし、つぎのランダムシーケンスにおいて、再び、照明装置jは、その光度をランダムに変更し、判断装置11は、評価値を算出してゆく。例えば、評価値の正値の大きいほうから48と43に対応する1000カンデラと900カンデラを除き、負値の大きいほうから−35と−37に対応する100カンデラと200カンデラを除き、300カンデラから800カンデラの範囲でランダムに光度を変更する。変更の刻み幅は、前回は100カンデラであったが、今回は、より小さい80カンデラにできる。このようにランダムシーケンス毎にランダム変化の幅を狭くしてゆくことにより、照明装置jは、その光度を、目標照度に近い照度を与える光度に近づけてゆくことができる。照明装置j以外の照明装置kも同様に別のランダムシーケンスで光度を変化させており、図12の照度差の評価値のシーケンスデータを入手する。照明装置kでも大きい評価値を生ぜしめる傾向の大きい光度の発生確率をゼロとするか低くしてゆき、次のランダムシーケンスを実行する。
照度差の絶対値が小さい光度ほど重みを大きくしてランダムシーケンスでの光度値を加重平均し、平均光度を中心値として次のランダムシーケンスを発生させるようにしてもよい。ランダムシーケンスの区切りを固定せず、移動するようにしておいてもよい。
複数の照度比較装置が設けられている場合、判断装置では、それら複数の照度比較装置から受信した複数の比較結果を集計して評価値を算出する。集計の方法としては、複数の比較結果の数値を単純に加算、または、平均すればよい。複数の比較結果の数値を二乗加算、あるいは、二乗平均してもよい。この場合、評価値はゼロ以上の正の値に成るので、評価値の大きい領域を生ぜしめた光度を除いて、光度の変更幅を狭めてゆく。
別の方法として、照度比較装置は、取得照度と目標照度のどちらが大きいかを表す大小情報を送信し、判断装置においては、大小情報を集計し、ランダムシーケンスに対する評価値を判断結果として照明装置jに送る。照明装置jは、受信した評価値に基づき、大小情報の大情報と小情報がおおむね平衡する新たな少し狭めの光度変更の範囲を定め、その範囲内でランダムに変更し、この過程を順次進めてゆくことにより、光度の範囲を狭めて取得照度を目標照度に近づけるようにしてもよい。この場合の比較結果は、2値で表現されているものと見ることができる。
ランダムに変更する光度の出現頻度は、一様分布としてよいが、正規分布などのように中間光度の出現頻度を大きくしてもよい。上記説明では、光度の変光幅を狭めてゆくようにしたが、光度の大きい領域と小さい領域での光度の出現頻度を小さくしてゆく、すなわち、統計的に狭めてゆくようにしてもよい。
評価値の算出方法、光度の変更幅や変更領域の選択方法は、上記説明例以外の方法でもよい。
本実施の形態では、判断装置11は、各照度比較装置12から送信される差照度情報や大小情報をそれぞれ受信しなければならない。送信が混信しない方式で送信すればよい。このような方式には周知のものが種々あるので、説明を省く。
本実施の形態では、照明装置間のネゴシエーションが不要であるので、送受信部101は受信機能のみでよい。
上記各照明装置のランダムシーケンスの事象を全ての照明装置が同期的に行わず、それぞれランダムなタイミングで進めてゆくようにしてもよい。ランダムなタイミングで変更制御を行うと、複数の照明装置が同時に光度を変更する機会が減るため、光度の大幅な変化が減り、照度のちらつきを減らすことができる。
(実施の形態15)
つぎに、本発明の制御システムを利用した別の照明制御用の制御システムおよび制御用端末装置について説明する。
図13(A)は、本発明の照明制御システムの構成ブロック図である。本照明制御システムは、表示入力装置31、照明制御装置32、照明装置33を備えている。照明装置33は、複数の照明装置からなり、照明制御装置32により、それぞれの光度が設定される。表示入力装置31は、各照明装置の点滅の選択、あるいは、各照明装置の光度の設定ができ、かつ、各照明装置の点滅状況や光度を表示できる制御用端末装置であり、照明制御装置32に設定情報を供給する。照明制御装置32は、設定情報に従って、各照明装置の光度を制御する。
図14は、表示入力装置31の構成図である。表示部である液晶タッチパネル40には、部屋の照明装置32個の配置位置に対応した円形状のボタンB11〜B18、B21〜B28、B31〜B38、B41〜B48が表示される。これらの図形を第1の図形とする。表示制御部41は、上記ボタンの位置と形状を表すボタンエリア座標情報を記憶しており、液晶タッチパネル40の液晶表示部分に表示用情報を供給し、上記32個のボタンを表示する。液晶タッチパネル40はタッチパネル機能を有しており、ペンまたは指で押さえると押さえた位置座標を示すタッチ座標情報が入力情報処理部42に出力される。液晶タッチパネル40は押圧力検出機能を有し、一定圧以上で押さえると押圧ONを示す押圧情報が入力情報処理部42に供給される。入力情報処理部42は、タッチ座標情報と表示制御部41に記憶されたボタンエリア座標情報とを比較し、押圧位置がボタンの領域内であり、押圧情報がONの場合、ボタンが押されたと認識する。
記憶部43は、32個のボタンの数だけの記憶エリアを有し、ボタンがONかOFFかに従って、ON/OFF情報を記憶することができる。入力情報処理部42が、32個の何れかのボタンのON/OFFを検知すると、そのON/OFF状態を記憶部43の当該ボタンに対応するエリアに記録する。
照明装置がONの場合、ボタンは黒色に表示され、OFFの場合は黒枠白抜きで表示される。黒枠白抜きのボタンBijを押さえると、ボタンは黒色に反転して表示され、記憶部43のボタンBijに対応するON/OFF情報は、ONになる。黒色のボタンBmnを押さえると、ボタンは黒枠白抜きに反転して表示され、記憶部43のボタンBmnに対応するON/OFF情報は、OFFになる。記憶部43のON/OFF情報は、照明制御装置32に供給され、ON/OFF情報に従って32個の照明装置は、それぞれONまたはOFFになる。
図17は、入力情報処理部42が行うボタンON/OFF検出とボタン表示の処理のフローチャートである。(S170)において、タッチパネルの押圧情報がONかどうかを判定する。NOの場合、判定を続ける。(S170)において、YESの場合、(S171)に進み、表示制御部41が記憶する各ボタンエリア座標と、タッチパネルから得られるタッチ座標を比較しタッチ座標がどのボタンエリア内か計算し、(S172)に進む。タッチ座標が何れかのボタンエリア内にない場合、(S172)の判定においてNOとなり、(S170)に戻る。タッチ座標が何れかのボタンエリア内にある場合、(S172)においてYESとなり、(S173)に進み、記憶部43内の当該ボタンエリアのメモリを反転し、メモリ内容を表示制御部41が表示する。液晶パネル上の当該ボタンは、白黒反転表示される。メモリ内容は、入力情報処理部42から照明制御装置32に伝えられ、照明装置33の当該ボタンに対応する照明装置が点灯あるいは消灯する。つぎに(S174)に進み、タッチONかつ同じボタンエリア内かどうか判定する。同じボタンを押さえ続けている場合にはYESとなり、(S174)に戻る。タッチOFFになるか、タッチONのまま、タッチ位置が当該ボタンエリアの外に移動した場合には、(S170)に戻る。
以上の手順により、点灯したい照明装置のボタンを縦横斜めに連続的になぞってゆくことにより、多数の照明装置を手軽に点灯、あるいは消灯できる。また、1つ1つの照明装置を選択して点灯、消灯することもできる。また、上記ボタンをなぞってゆき、1つのエリアを囲むようになぞった場合は、そのエリア内の全ボタンの照明装置を選択したことにしてもよい。そのエリア内の照明装置の点滅をまとめて反転させる。このようにすれば、全ボタンをなぞらなくとも多数の照明装置の点滅をまとめて選択できる。
なお、上記32個のボタンとは別に、特別のボタンBtを設け、ボタンBtを押すと全照明装置が点灯、または消灯するようにしても良い。また、液晶表示部分のパネルをカラー表示とし、ボタンの色で照明装置の点滅を表示してもよい。
本実施の形態の制御用端末装置は、部屋の天井に並んだ各照明装置のON/OFFや照明装置群単位の点滅に使用できる。また、前記制御システムによる照度制御を行う照明制御において、複数の照明装置の中から一部を選択するのにも使用できる。例えば、部屋を半分に分けて使用する場合、半分の照明装置のみONにして、前記制御システムによりONの照明装置について変更制御や戻し制御により、所望の位置の照度を目標照度に制御する場合などに使用できる。
(実施の形態16)
図15は、表示入力装置31の別の構成図である。表示部である液晶タッチパネル50には、部屋の照明装置32個の配置位置に対応した円形状のボタンB11〜B18、B21〜B28、B31〜B38、B41〜B48が表示される。これらの図形を第1の図形とする。液晶タッチパネル50のエリア51には、後述する第2の図形である、光度設定ボタンや操作バーが表示される。
表示制御部41は、上記各ボタンやバーの位置と形状を表すエリア座標情報を記憶しており、液晶タッチパネル50の液晶表示部分に表示用情報を供給し、上記32個のボタン、光度設定ボタンや操作バーを表示する。液晶タッチパネル50はタッチパネル機能を有しており、ペンまたは指で押さえると押さえた位置座標を示すタッチ座標情報が入力情報処理部42に出力される。液晶タッチパネル50は押圧力検出機能を有し、一定圧以上で押さえると押圧ONを示す押圧情報が入力情報処理部42に供給される。入力情報処理部42は、タッチ座標情報と表示制御部41に記憶されたエリア座標情報とを比較し、押圧位置がどのボタンまたはバーの領域内であるかを調べ、押圧情報がONの場合、そのボタンやバーが押された、あるいは選択されたと認識する。
記憶部43は、32個のボタンの数だけの記憶エリアを有し、ボタンがONかOFFかを表すON/OFF情報、および、該当する照明装置の光度設定値を記憶することができる。入力情報処理部42が、32個の何れかのボタンのON/OFFと光度設定値を検知すると、そのON/OFF状態と光度設定値を記憶部43の当該ボタンに対応するエリアに記録する。
図16は、液晶タッチパネル50上に表示されるボタンやバーの一例である。図16(A1)、(A2)は、照明装置ボタンの一例である。消灯時には、図16(A1)のように黒枠同心円状のボタンが表示される。点灯時には、光度の大きさに比例して円の内部から黒く塗りつぶした表示とする。図16(B1)、(B2)は、別の例で、光度の大きさを円グラフ状に表示する。図16(C)、(D)、(E)、(F)は、第2の図形であって、液晶タッチパネル50のエリア51に表示する、光度設定用のボタンやバーである。後述する光度設定モードにおいて図16(C)の上向きの矢印ボタンを押すと設定光度を大きくでき、下向きのボタンを押すと設定光度を小さくできる。図16(D)は、別の例で、光度設定モードにおいてバーのノブ印をペンにより上に引き上げると、設定光度を高くし、下へ引き下げると設定光度を低くすることができる。図16(E)は、別の例で、光度設定モードにおいて、0〜100のボタンを選択して押すと、光度が消灯から100%の間で選択できる。図16(F)は、光度設定確定用のボタンである。
図18は、入力情報処理部42が行うボタン選択検出と光度設定、および、ボタン、光度表示の処理のフローチャートである。(S180)において、表示制御部41が記憶する各ボタンエリア座標と、タッチパネルから得られるタッチ座標を比較しタッチ座標がどのボタンエリア内か計算し、ボタンエリア内でタッチONかどうかを判定する。NOの場合、判定を続ける。(S180)において、YESの場合、(S181)に進み、表示制御部41が記憶する各ボタンエリア座標と、タッチパネルから得られるタッチ座標を比較しタッチ座標がどのボタンエリア内か計算し、押しているボタンBijの位置を検出し、検出ボタンとして記憶し、ボタンBijの表示を点滅する。他のボタンで点滅しているものがあれば点滅を停止する。ボタンの点滅は、光度設定モードにあり、光度設定を促していることを示す。つぎに(S182)に進み、Bij以外のボタンにタッチしているかどうか判定する。YESなら、(S181)に戻り、新しいボタンの処理に変更する。NOなら、(S183)に進み、光度設定エリア内、すなわち、エリア51をタッチしているかどうか判定する。
タッチ座標がエリア51内にない場合、(S183)の判定においてNOとなり、(S182)に戻る。タッチ座標がエリア51内にある場合、(S183)においてYESとなり、(S184)に進み、光度の設定操作を検出する。すなわち、図16(C)〜(E)に示すような光度設定ツールの表示エリアにタッチしていることを検知し、設定操作よる設定値を算出し検出ボタンのメモリに記憶する。すなわち、図16(C)の場合、ボタンのタッチ時間を計測し、光度設定値の増加値、減少値に換算する。図16(D)の場合、ノブのドラッグによる移動位置を計測し、光度設定値に換算する。図16(E)の場合、どの光度ボタンを押しているかを検出し、光度ボタンに対応する光度設定値を設定する。設定された光度の値は、記憶部43の該当ボタンBijエリアに記憶されると共に液晶タッチパネル50に、図16(A2)や(B1)、(B2)のように表示される。ボタンの点滅は続ける。つぎに(S185)に進み、タッチOFFか、または、図16(F)の終了ボタンONかを判定する。NOの場合、(S185)に戻る。YESの場合、(S186)に進み、光度設定モードを終了し、ボタンBijの点滅を停止して設定光度表示を確定させ、(S180)に進む。次のボタンの操作が可能になる。
記憶部43の光度設定値情報は、入力情報処理部42により、照明制御装置32に供給され、ボタンに対応する各照明装置32の光度が光度設定値に合わせて制御される。
なお、上記32個のボタンとは別に、特別のボタンBtを設け、ボタンBtを押すと全照明装置が点灯、または消灯するようにしてもよい。ボタンBtを押して選択した後、図16に示したエリア51内のボタンやバーにより光度設定を行って、全照明装置の光度をまとめて設定するようにしてもよい。
また、ボタンBijを複数個選択しておいてから、エリア51内のボタンやバーにより光度設定を行って、複数個の照明装置の光度をまとめて設定するようにしてもよい。
本実施例では、液晶タッチパネル50上に上記各表示エリアを設けたが、各照明装置に対応して光度表示が可能な表示部と、各照明装置の選択と光度設定が可能な操作部があれば、上記説明した以外の構造、形状の制御端末装置でもよい。
(実施の形態17)
上記実施の形態16では、照明装置の光度を設定するようにしたが、本実施の形態では、部屋の所定の位置の照度を設定することができる制御システムと、制御用端末装置について説明する。
本実施の形態の制御用端末装置は、図15に示した制御用端末装置と概略同じ構成である。ボタンBijは、照度を設定したい位置を示す。ボタンの数は、部屋の大きさにもよるが、照明器具32個より少ないのが通常であろう。後述するように、p個あるものとする。1つの部屋の中の4箇所の照度を目標値に制御したい場合は、4つのボタンBijが、目標位置に表示されることになる。図16(A1)、(A2)、(B1)、(B2)の塗りつぶされた円の直径や扇状形の角度は、設定照度の大きさを表す。図16(C)〜(E)は、照度の設定に使用される。図16(E)のボタンの数字は、照度の大きさ500ルックスから50ルックスなどの値でもよい。
記憶部43には、照度設定位置の数p個のボタンに対応した記憶エリアが設けられ、照度設定値が記憶される。
以上説明した点を除けば、本実施の形態の制御用端末装置は、図15に示した制御用端末装置と同様の動作を行う。処理フローチャートも図18にしたがって照度設定と照度表示を行うものでよい。入力情報処理部42は、記憶部43内の照度設定値情報を、図13(B)に示す照明制御装置32bに供給し、照明制御装置32bは、各ボタンに対応した位置の照度が照度設定値になるように、照明装置33の光度を制御する。
図13(B)は、照度制御用の照明制御装置32の構成を示す図である。照明制御装置32bは、照明装置33に出力する光度値を、部屋の所望のp個の位置の照度を所望の値にすることができる各光度値に制御する。この計算に、実施の形態1〜14で説明した制御システムを使用する。
図13(B)において、表示入力装置31bは、上記説明のように照度設定ができる表示入力装置であり、照度設定値情報を照明制御装置32bに供給する。照明制御装置32bの構成を、図1で説明した制御システムを参照しながら説明する。照明制御装置32bにおいて、目標情報格納部34は、p個の各照度比較装置12の各格納部121(図1(D)参照)に対応する。観測情報格納部35は、p個の各照度比較装置12の各取得部122(図1(D)参照)に対応する。比較部36は、p個の各照度比較装置12の各比較器123(図1(D)参照)に対応する。判断部37は、判断部H、判断装置11、または、判断器112(図1(C)参照)に対応する。制御部38は、制御部Sまたは制御器102(図1(B)参照)に対応し、照明装置の数に対応したq個の制御部Sまたは制御器102を備える。目標情報格納部34にはp個の格納部121が、観測情報格納部35にはp個の取得部122が、それぞれある。比較部36にも、p個の比較器123があって、これらは、p個の照度比較装置12に相当する。p個の目標情報すなわち目標照度とp個の観測情報すなわち取得照度の比較によるp個の比較結果は、比較部36から判断部37に供給される。判断部37では、判断部Hが行ったと同様の判断を行い、判断結果が制御部37内のq個の各制御部Sに与えられる。各制御部Sは、制御値を制御する。q個の制御部Sは、光度に相当する制御値を変換モデル39に供給する。
変換モデル39は、室内のq個の各照明装置が光度を変えたときの、p個の位置における照度を算出する計算機である。p個の各位置における照度Li(i=1、2、〜p)は、q個の照明装置の各光度値Kj(j=1、2、〜q)にそれぞれ係数Φijを乗算し、積を合計して得られる。すなわち、Li=ΣΦij*Kjである。すなわち、照度に対する各照明装置の光度の影響は、互いに独立であり、線形の関係にある場合、照度Liは、前式により計算できる。変換モデル39は、q個の入力情報からp個の出力情報を算出し、出力情報を観測情報格納部35のp個の取得部122に取得照度として与える。
照明制御装置32は、上記構成において、実施の形態1〜14において説明した手順のいずれかによる変更制御や戻し制御、あるいは、遺伝アルゴリズムに基づく収れん処理を行う。収れんした状態では、観測情報格納部35の観測情報すなわち取得照度は、目標情報格納部34における目標照度に十分近くなっている。
制御部38は、収れん途中のq個の光度値、あるいは、収れん後のq個の光度値を照明装置のq個の照明装置に供給し、照明装置の光度を制御する。q個の照明装置の光源の光により、室内のp個の位置における照度は、最終的に目標照度に設定される。設定の正確さは、変換モデル39の精度や各照明装置33の光度の精度により影響される。
係数Φijは、照明装置の位置と観測点の位置によりそれぞれ異なる。天井、壁面、床、調度家具などによる光の反射や吸収によっても異なる。したがって、これらの反射や吸収を考慮に入れて、係数Φijを決める。
係数Φijは、実際の部屋で、各照明装置j毎に各位置iで照度への影響度を実測して求めたものでもよい。
部屋の窓、シャッター、スクリーン、カーテンなどの状態がいくつもある場合、変換モデルは、それぞれに対応して複数個用意しておき、選択して使用するようにしてもよい。
p個の観測点は、床上、机の高さ、それ以外の位置など、自由に設定できる。それぞれの位置に合わせた係数Φijを用意しておけばよい。
部屋内部を平面的に2次元のメッシュに区切り、各交点の位置における係数Φij(この場合、pは大きい数になる)を用意しておき、表示入力装置31bの液晶タッチパネル50上で、自由に選択したいくつかの交点についてその目標照度を設定し、それらの位置に関係する式のみの演算を行うことにより、照度を計算するようにしてもよい。このようにすれば、実質的に自由な位置の照度を目標照度に設定することを可能にする。液晶タッチパネル50上には、メッシュに相当する方眼図を表示して、交点を選択するようにすればよい。部屋を3次元のメッシュに区切り、3次元空間の任意の位置の照度を所望の値にすることもできる。すなわち、液晶タッチパネル50上に表示される部屋のエリアのほぼ任意の位置に上記ボタンBijを表示させ、その位置の照度を設定することになる。
変換モデル39は、室内の光源からの直接光線、反射光線などの光線路や反射率、吸収率によりモデル化したものでもよい。
実施の形態1〜14においては、比較部C、判断部H、制御部Sの間をブロードキャスト通信により結合し、変更制御や戻し制御を行う制御部Sを、ネゴシエーションにより選定したが、照明制御装置32b内部の制御システムは、通常コンピュータ上でプログラムにより動作し、制御部Sは、アドレスのような識別番号により管理できるので、制御部Sの選択は、ネゴシエーションによらず、識別番号により行えばよい。
なお、本実施の形態では、光源の経年変化による劣化に対しての自動補償はできない。一方、照度比較装置を室内の自由な場所に設置できない場合にも、制御用端末装置により、所望の場所の照度を所望の値に制御できる。
上記表示入力装置の液晶タッチパネル上に、実施の形態15、16に従って、照明装置の位置を表示して照明装置の点滅や光度値を設定し、同じ液晶タッチパネル上に実施の形態17に従って照度設定の位置を表示して、その位置の照度を設定するようにしてもよい。
なお、上記実施の形態15、16、17の制御用端末装置は、照明装置の点滅状態、光度値、照度値の設定や表示の代わりに、他の制御部の使用状態、制御値、目標情報の設定と表示にも使用可能である。
(実施の形態18)
上記、各実施の形態において、所望の照度分布に収束した状態での各光源や照明装置の光度設定値を記憶しておけば、公演等の前に、記憶設定値を読み出してその光度に設定することにより、所望の照度分布を即座に実現するようにできる。また、収束過程の任意の段階での各光源や照明装置の光度設定値を記憶しておき、後でその記憶設定値を読み出してその光度に設定することにより、その段階から収束の手順を開始することができ、より速やかに所望の照度分布に到達できる。
(実施の形態19)
上記、各実施の形態において、所望の照度分布へ向かっての収束過程での各光源や照明装置の光度設定値、照度取得部での取得照度をディスプレイに表示するようにすれば、収束動作状況を確認できる。更に、照度取得部での目標照度をディスプレイに表示するようにすれば、収束までの進行状況を把握できる。
(その他の実施の形態および補足)
上記各実施の形態において、照明装置の最高光度が低ければ、上記説明した手順により、所望の照度の調節が出来ない場合があるのは言うまでもない。また、光源の数が少なく、照度取得部の数が多い場合、すべての位置の照度を目標照度のとおりに調節できない場合があるのも言うまでもない。また、目標照度の一部に非常な高照度や低照度を含む場合、適切な位置に光源を設置しないと所望の照度に調節できないのもいうまでもない。いいかえれば、光源の光度調節によって実現がもともと可能な照度分布であれば、上記説明の手順により、所望の照度分布の実現が可能である。また、目標照度に対して誤差は大きめでも、目標照度の方向へ近づけることはできる。
上記説明では、制御値または光度を最高値から減らしてゆく場合を中心に説明した。過剰な光度を低減させる方向であるので、光源の消費電力を低くする効果も得られる。一方、少し触れたとおり、最低値から徐々に増加させてゆくようにしても良い。この場合、一定の関係とは、各位置の取得照度が、その位置の目標照度より小さい場合で、この状態を「OK」と呼び、特にすべての位置において、「OK」の場合を、「一定の関係にある」とし、一つの位置でも「OK」にない場合を、「一定の関係にない」、すなわち、「NG」とすることになる。また、前記所定変更量は減光量となる。戻し制御の変更量は、増光量となる。消費電力は増えるが、真っ暗な位置ができる恐れがなくなる利点がある。
上記各制御部Sや照明装置10は、それぞれ変更制御や戻し制御を適切な頻度で行うことが好ましい。しかし、ネゴシエーションの方法や乱数発生の方法によっては、変更制御や戻し制御の選択が全くなされないような制御部Sや照明装置10が現れる場合も考えられないわけではない。変更制御だけで戻し制御が行われない場合、あるいは戻し制御だけで変更制御が行われない場合、制御値や光度は、最低値か最高値に張り付いてしまう。また、制御部Sや照明装置10に故障したものが発生すると、制御値や光度が変わらない場合もありうる。このような制御部Sや照明装置10は、本制御システムにおける固定的な環境条件の一種と考えてよい。たとえば、窓から入る外光があるのと同様と看做しうる。このように、複数の制御部Sや照明装置10の制御する制御値や光度に基づき観測情報が生成されるということは、他の制御値や外光や他の照明装置の光度なども含めて観測情報が生成されるという意味であることはいうまでもない。
な場合であっても、残り制御部Sや照明装置10が、上記固定的な環境条件を補償する形で制御値や光度を制御して、観測情報や取得照度が、所望の目標情報や目標照度にできるだけ近づくように制御が行われる。
上記各実施の形態において、選択された照明装置は、同時に変更制御を行わず、互いにランダムなタイミングで変更制御を行うにすれば、複数の照明装置が同時に光度を変更する機会が減るため、光度の大幅な変化が減り、照度のちらつきを減らすことができることは説明した。選択される照明装置が1つの場合にも、その変更制御のタイミングをランダムなタイミングにすれば、照度の変化が頻繁に起きなくなり、ちらつき感を抑制できる。
上記各実施の形態において、比較結果や判断結果が2値の場合、2値の両方の比較結果や判断結果を送信してもよいが、一方だけ送信してもよい。すなわち、前記比較部が、前記観測情報と前記目標情報との大小関係について大または小の2値の一方の比較結果のみを前記判断部に渡すか、前記判断部が、前記所定の条件を満たす、または満たさない、の一方の判断結果のみを前記制御部に渡すかの、少なくとも何れか一方の渡し方としてよい。このようにすれば、実施の形態1において説明したように、送信処理、受信処理が簡単になり、消費電力も削減できる。前記観測情報と前記目標情報との大小関係について大または小の一方の比較結果とは、観測情報≦目標情報、観測情報>目標情報の2値の一方、または、観測情報<目標情報、観測情報≧目標情報の2値の一方である。
上記各実施の形態において、ブロードキャスト方式の通信が使用できることを説明した。各照明装置間の通信は、一般的な通信方式でも良い。ループ型ネットワークのほかに、各照明装置間でそれぞれ行えるようなメッシュ型ネットワーク、スター型ネットワーク、有線通信、無線通信などを適用できる。また、ネットワークの適切な箇所、例えば、スター型ネットワークであれば、その中心に全照明装置を管理する中枢装置を置いてもよい。これらの装置のネットワークとしての通信には、周知のLAN、無線LAN、赤外線LAN、Bluetooth(登録商標)方式、電灯線LAN、エコネットなどの通信プロトコルを使用してもよいし、それらのプロトコルの一部を利用してもよい。
上記ブロードキャスト方式の通信を使用しない場合において、上記中枢装置は、変更許可情報Dpを1個または複数個発行し、変更許可情報Dpを有する照明装置が変更制御を行えることとする。「NG」がなくなるまでは、照明装置は、Dpを所有していても変更制御を行えないようにすれば、過剰に変更制御が行われることはない。Dpは、各照明装置が1個しか保有できないようにしてもよいし、最大保有数を制限して、それを超える分は、他の照明装置にまわすようにしてもよい。複数保有するDpは、一度の変更制御では、1個だけ使用できるようにする。
上記ブロードキャスト方式の通信を使用しない場合において、照明装置は、Dpの送信先アドレスをランダムに生成するようにしたが、照明装置の接続順序に従って、隣の照明装置に送信してもよい。
上記各実施の形態において、光源の光度の安定時間を考慮して、変更制御は、一定時間Tsを待って行うようにすればよい。上記各実施の形態では、基本的には、各処理を非同期で行うように説明したが、全体システムが、時間Tのスロットに従って同期動作するようにしてもよい。
上記各実施の形態においては、時間軸、制御値の振幅軸について離散系のシステムとして説明したが、時間軸、振幅軸の一方または両方を連続形のシステムとして構成してもよい。たとえば、各照明装置の所定変更量1ステップに代わり減光速度を、もどし制御の1ステップに代わり増光速度を与え、「NG」の間は、戻し制御として増光制御を、「OK」の間は、変更制御として減光制御を行うことにより、同様の原理により、所望の照度分布に調節できる。戻し制御を行うたびに変更制御の減光速度を各照明装置が変化させるようにする。変更制御の速度が常に大きくなったり小さくなったり変化するようにしておいてもよい。
上記各実施の形態において、「OK」すなわち一定の状態にあるとの判断と、「NG」すなわち一定の状態にないとの判断の発生頻度分布が近づくにつれて、1ステップの光度差を小さくしていってもよい。また、Dpを複数個発行する場合には、「OK」と「NG」の発生頻度分布が近づくにつれて、Dpの発行数を削減していってもよい。この判断と処理は、中枢装置が行うことができる。
変更量の各1ステップは、制御部や照明装置で取りうる光度などの分解能に従って決めればよい。
上記各実施の形態において、各光源における制御の幅、1ステップの値は、必ずしも、上記の各種計算や説明の方法によらず、適切な範囲内の他の値にしても使用可能である。所定変更量を、取得照度と目標照度の差照度が減少するのに対応して、小さくしてゆく場合については、既に触れた。収れんが進むにつれて所定変更量を小さくする方法としては、これ以外に、次のような方法でもよい。各照明装置が、変更制御の回数を計数しておき、変更制御の回数が多くなるに従って所定変更量を小さくしていってもよい。また、各照明装置が、制御開始からの時間が経つに従って、所定変更量を小さくしていってもよい。変更制御と戻し制御の頻度が平均的に近づくにつれて収束が進んでいると判断してもよい。
所定変更量を、初期光度と限界光度から求めるための手順、たとえば、図7、図8における(S71)、(S72)、(S81)、(S82)の手順は、各照明装置が変更制御を行う前に毎回実行するように説明したが、何回かの変更制御ごとに1回行うようにしてもよい。
上記、第1〜第10の制御は、上記説明のステップのみにより構成されるものに限らず、説明した機能を果たすものであれば、各ステップの内容が上記説明に完全に一致しなくともよく、各ステップ以外のステップを含んでいてもよいことは言うまでもない。
各照明装置における戻し制御での制御値の変更量は、上記変更制御における所定変更量と同じ大きさでよいが、別の大きさでもよい。また、照明装置ごとにそれぞれ決まる値でよい。所定変更量の場合と同じように、収れんが進むにつれて小さい値にしていってもよい。また、戻し制御する場合、変更制御を行う前の光量に戻すようにしてもよい。
また、既に触れたが、各制御部の最初の制御値を、最高値と最低値の中間の適当な値にしてから処理を開始してもよい。この場合は、全制御部の各現在制御値状態において、取得照度と目標照度の関係がすべて一定の関係でない場合、変更制御での制御方向とは逆の方向に全制御部の制御値を適当な変更値ずつ変更、すなわち戻し制御してゆき、観測情報と目標情報の関係をすべて一定の関係にしてから、上記各実施の形態における制御部の選択とその制御値の変更処理過程に入るようにすればよい。このようにすれば、目標情報への収れんを早くできる可能性がある。
本発明の制御システムでは、複数の制御部からいずれかを選択して変更制御を行えばよく、その選択を前の選択に特に拘束されることなく、自由に変化させて選択してゆくことができる。戻し制御においても同様である。また、変更制御や戻し制御の変更量や戻し制御量についても、各制御部においてその変化方向を除いては、厳しい制約なく任意の大きさをとっても、大なり小なり目標照度に近づけることができるので、柔軟なシステム設計が可能である。選択のアルゴリズムは種々あり得るが、上記、乱数による方法や上記ネゴシエーションを基本的として、実現することが可能である。
各照明装置の光度の制御は、インバータ制御やトライアック制御のように、光源に電力供給する時間密度を変化させる方法が、省電力の観点から好ましい。この場合、瞬時光度は、最大光度と最小光度、あるいは、点灯状態と消灯状態を交互に繰り返すことになる。照明装置は、平均光度を制御することになる。照度取得部の取得する瞬時照度は、瞬時光度に従って大幅に変化するので、瞬時照度を平滑した値を取得照度として用いる必要がある。
照度比較装置は、ホールや会議室の所定の固定的な位置、たとえば、天井と床面の中間に吊るすように、設けてもよいが、リモコン装置のような小型の装置として、ホールや会議室の任意の位置に移動できるようにしてもよい。このようにすれば、任意の位置の照度を所望の値に制御することができる。たとえば、会議机の特定の位置を所望の明るさにすることができる。また、使用者が、目標照度を設定できるようにしてもよい。
各位置の照度が目標照度に十分近づいた場合、変更制御を停止するようにして照度のちらつきをなくしてもよい。このために、各実施の形態において、照明装置が各照度比較装置から現状照度と目標照度の差情報を受け取り、照明装置において各差情報の大きさを判定し、全部が十分小さい値になったときには、変更制御を停止するようにしてもよい。また、収束に必要な最大時間Tmaxに対してその数倍の時間が経過した後、変更制御を停止するようにしてもよい。
各実施の形態において、変更制御を開始するためには、照度比較装置に、スタートボタンを設けておき、ボタンを押すと、ブロードキャスト通信により、全照明装置と他の照度比較装置に上記説明した手順の開始を通知するようにしてもよい。
一旦収束状態になった以降は、全照明装置の電源を切断しても、それぞれのそのときの光度を記憶しておき、電源を再び投入したときには、その光度を再現するようにしてもよい。また、照度比較装置における取得照度と目標照度の差が大きくなりすぎた場合、戻し制御により、変更制御での変光方向とは逆の方向に全照明装置の光度を適当な光度ずつ変更してゆき、取得照度と目標照度の関係をすべて一定の状態にしてから、上記各実施の形態における照明装置jの選択とその光度の変更処理過程に入るようにしてもよい。このようにすれば、最初から全処理をやり直すよりも短時間で目標照度に到達させることが可能になる。
上記各実施の形態について、複数の変更制御の過程を組み合わせてもよい。すなわち、最初ある実施の形態による変更制御を進め、目標照度に近づいて段階で、別の実施の形態による変更制御に移行するようにしてもよい。
なお、上記各実施の形態では、通常の照明制御への応用について説明したが、照明に色をつける場合にも応用できる。赤色、青色、緑色の3種類の光源について、それぞれ、上記各実施の形態の照明制御システムを3システム構成する。照度比較装置の取得部122のセンサーは、赤色、青色、緑色のいずれかにのみ感度を有するようにする。1箇所の照度比較装置の中に上記3システムの各色に対応する照度比較部を設けておき、3色のそれぞれの目標照度を設定し、各色毎の取得照度と目標照度の比較結果を、その色に対応する判断装置に送り、判断結果をその色の対応する照明装置に送るようにすれば、照度比較装置を置いた位置の明るさを制御するだけでなく、色も所望のものに制御できる。
さらに、上記のすべての実施の形態における照明制御システムや制御システムの処理は、ソフトウェアで実現しても良い。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布しても良い。また、このソフトウェアをCD−ROMなどの記録媒体に記録して流布しても良い。