JP4431099B2 - 波長変換方式、光集積素子及び波長変換方法 - Google Patents
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Description
近年の波長分割多重技術(Wavelength Division Multiplexing:WDM)の進展により、石英系光ファイバの数THzに及ぶ帯域をすべて使い切ることが可能になっている。光の波長1つ1つに異なる情報を与えて伝送するWDMにおいて、サブネットワーク間での波長衝突の回避や波長ルーティングによる交換を実現するために波長変換は必要不可欠な技術である。
このうち、コヒーレント型の波長変換方式は、非線形応答の高速性によって超高速の波長変換を行なえるほか、波長変換後も位相情報が保持されるため、例えば差分位相偏移変調(Differential Phase Shift Keying:DPSK)などのような変調フォーマットにも対応可能である。
なお、先行技術調査を行なった結果、以下の特許文献1、2が得られた。
しかし、位相共役光ωcとともに信号光ωsやポンプ光ωpも出力されてしまう。
一方、このような波長変換方式において、ある波長の信号光(入力光)を任意の波長の信号光(波長変換光)に変換するには(即ち、波長変換光としての位相共役光ωcの波長を任意の波長にするには)、ポンプ光ωpの波長を変えれば良い。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、フィルタを用いることなく波長変換光のみを取り出すことができるようにした、波長変換方式、光集積素子及び波長変換方法を提供することを目的とする。
この結果、フィルタを用いる場合と比べて、部品点数を少なくすることができる。また、装置の小型化や集積化を図ることも可能になる。また、フィルタの帯域や波長掃引幅によって波長変換の幅が制限を受けることもなくなる。さらに、フィルタの動作によって波長変換速度が制限されることもなくなり、高速に波長変換を行なえるようになる。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態にかかる波長変換方式、光集積素子及び波長変換方法について、図1,図2を参照しながら説明する。
特に、本実施形態では、図1に示すように、非線形媒質(NLM)1によって生成された位相共役光ωcを波長変換光として取り出すために、マッハツェンダ干渉計2を用いている。つまり、本実施形態では、波長変換方式(装置)を、図1に示すように、2つの光導波路2A,2Bを有するマッハツェンダ干渉計2を備えるものとし、マッハツェンダ干渉計2の一方の光導波路2Aに非線形媒質1を設け、マッハツェンダ干渉計2の一方の光導波路2Aを導波してきた光と、他方の光導波路2Bを導波してきた光とを干渉させて、非線形媒質1によって生成された位相共役光ωcを波長変換光として取り出すようにしている。
そこで、本実施形態では、図1に示すように、マッハツェンダ干渉計2の2つの光導波路2A,2B(マッハツェンダ干渉計2の2つの出力ポート)のそれぞれから出射される信号光ωs及びポンプ光ωpのパワー(光強度)が等しくなるように、上記合波器3の後段で、かつ、マッハツェンダ干渉計2の前段に、信号光ωsとポンプ光ωpとを合波した合波光の分岐比を調整する分岐比調整部5を設けている。なお、非線形媒質1が利得を生じないものである場合には、分岐比調整部5によって分岐比を1対1に調整すれば良い。
ここでは、分岐比調整部5は、分岐比調整用カプラ(例えば分岐比可変カプラ)である。なお、分岐比調整部5としては、後述するように、マッハツェンダ干渉計などを用いることもできる。
まず、図1に示すように、マッハツェンダ干渉計2の2つの導波路2A,2Bのそれぞれに、信号光ωsとポンプ光ωpとを合波した合波光を分岐して導入する。つまり、マッハツェンダ干渉計2を構成する2つの光導波路2A,2Bから出射される信号光ωs及びポンプ光ωpのパワー(光強度)が等しくなるように、信号光ωsとポンプ光ωpとを合波した合波光の分岐比を分岐比調整部5によって調整する。そして、分岐比調整部5によって分岐比を調整された合波光を、マッハツェンダ干渉計2の2つの光導波路2A,2Bのそれぞれに入射させる。
そして、一方の光導波路2Aを導波してきた光と他方の光導波路2Bを導波してきた光がカプラ4(分岐比1:1)で干渉する。この場合、位相共役光ωcは、非線形媒質1が設けられている一方の光導波路2Aのみからカプラ4へ入力され、カプラ3で1:1に分岐されて、カプラ4の2つのポートのそれぞれから出力されることになる。一方、それぞれの光導波路2A,2Bを伝播してきた信号光ωs及びポンプ光ωpは、カプラ4で打ち消されて一方のポートからは出力されない。このため、カプラ4の一方のポートからは位相共役光ωcのみが出力されることになり、これが波長変換光として取り出されることになる。これにより、信号光ωsが位相共役光ωcに変換されることになる。
次に、上述の波長変換方式を用いた光集積素子について、図2(A)〜図2(E)を参照しながら説明する。
本光集積素子は、図2(A)に示すように、上述の波長変換方式の分岐比調整部5を構成する前段マッハツェンダ干渉計50及び位相調整器51,52と、信号光ωsとポンプ光ωpを除去して位相共役光ωcを選択的に取り出す波長変換部(上述の波長変換方式のマッハツェンダ干渉計2及び非線形媒質1)を構成する後段マッハツェンダ干渉計20及び非線形媒質1として用いられる半導体光増幅器10(Semiconductor Optical Amplifier:SOA)とをモノリシックに集積したモノリシック集積素子として構成される。
ここで、前段マッハツェンダ干渉計50は、図2(A)に示すように、光の入射側から見て前段に設けられており、信号光ωsとポンプ光ωpとを合波した合波光を分岐して導波する2つの光導波路53,54を備える。つまり、前段マッハツェンダ干渉計50は、入力側カプラ55と、出力側カプラ56と、入力側カプラ55と出力側カプラ56とを接続する2つの光導波路(スラブ導波路)53,54とを備えるものとして構成される。
位相調整器51,52は、図2(A)に示すように、前段マッハツェンダ干渉計50を構成する2つの光導波路53,54のそれぞれに位相調整電極51A,52Aを設け、これらの位相調整電極51A,52Aを介してそれぞれの光導波路53,54に電流を注入することで位相を調整するものとして構成されている。なお、前段マッハツェンダ干渉計50を構成する2つの光導波路53,54のうちの少なくとも一方の光導波路に位相調整器を設ければ良い。
SOA10は、図2(A)に示すように、後段マッハツェンダ干渉計20を構成する2つの光導波路23,24のうちの一方の光導波路23に設けられている。このSOA10は、3次の非線形現象を生じる利得媒質からなる活性層を含む光導波路に電極10Xを設け、この電極10Xを介して活性層に電流(制御電流)を注入しうるようになっている。
つまり、信号光ωsとポンプ光ωpとを合波した合波光を分岐して、前段マッハツェンダ干渉計50の2つの光導波路53,54のそれぞれに導入し、その後、半導体光増幅器10によって生じる利得に応じて[即ち、半導体光増幅器10によって増幅された信号光ωs及びポンプ光ωpのパワー(光強度)に応じて]前段マッハツェンダ干渉計50に設けられている位相調整電極51A,52A(位相調整器51,52)に電流を注入する。この結果、前段マッハツェンダ干渉計50のそれぞれの光導波路53,54を伝播する合波光の位相が変えられて、前段マッハツェンダ干渉計50の出力側カプラ56(ここでは後段マッハツェンダ干渉計20の入力側カプラ21でもある)を介して後段マッハツェンダ干渉計20の2つの光導波路23,24のそれぞれに入射される合波光の分岐比が調整される。
まず、図2(E)に示すように、n型InP基板(n−InP基板)100上に、n−InPクラッド層61(例えば厚さ1μm以下)、下側SCH層62(InGaAsP層;光ガイド層;例えば発光波長1.15μm;例えば厚さ50nm)、歪量子井戸活性層63(例えば6層のInGaAs井戸層を持つ;例えば歪量+0.8%;例えば厚さ100nm)、上側SCH層64(InGaAsP層;光ガイド層;例えば発光波長1.15μm;例えば厚さ50nm)、p−InPクラッド層65(例えば厚さ300nm)を、例えば有機金属気相成長法(MOVPE法)で成長させて、SOAを構成する歪量子井戸活性層63(SOA活性層)を含む積層構造を形成する。
次いで、図2(B)〜(E)に示すように、除去した部分に、下側SCH層62(InGaAsP層;光ガイド層;例えば発光波長1.15μm;例えば厚さ50nm)、導波路コア層66(InGaAsP層;例えば発光波長1.3μm;例えば厚さ200nm)、上側SCH層64(InGaAsP層;光ガイド層;例えば発光波長1.15μm;例えば厚さ50nm)、p−InPクラッド層65(例えば厚さ300nm)を、例えばMOVPE法などでバッドジョイント成長させて、導波路コア層66を含む積層構造を形成する。
このようにして電流狭窄構造を形成した後、図2(B)〜(E)に示すように、SiO2マスクを除去して、上部にp−InPクラッド層69(例えば厚さ3μm)、InGaAsPコンタクト層70(例えば発光波長1.3μm;例えば厚さ100nm)を成長させて、エピタキシャル成長を完了する。
したがって、本実施形態にかかる波長変換方式、光集積素子及び波長変換方法によれば、干渉効果を用いて信号光ωs及びポンプ光ωpを除去するため、任意の波長、任意の変調速度、任意の変調フォーマットの入力信号光を任意の波長に変換し、フィルタを用いることなく(例えば外部に波長可変フィルタを設けることなく)、波長変換光のみを取り出せるようになるという利点がある。この結果、フィルタを用いる場合と比べて、部品点数を少なくすることができる。
さらに、フィルタが不要であるため、フィルタの帯域や波長掃引幅によって波長変換の幅が制限を受けることがなくなる。さらに、フィルタの動作によって波長変換速度が制限されることもなくなり、より高速に波長変換を行なえるようになる。
例えば、上述の波長変換方式のマッハツェンダ干渉計2を光ファイバによって構成し、非線形媒質として非線形ファイバを用いた波長変換装置として構成することもできる。
[第2実施形態]
まず、本発明の第2実施形態にかかる波長変換方式、光集積素子及び波長変換方法について、図4,図5を参照しながら説明する。
つまり、本波長変換方式(装置)は、図4に示すように、2つの光導波路2A,2Bを有するマッハツェンダ干渉計2を備えるものとし、マッハツェンダ干渉計2の2つの光導波路2A,2Bのそれぞれに、非線形感受率が異なり、利得が等しい非線形媒質1A,1B(利得を生じないものも含む)を設け、マッハツェンダ干渉計2の一方の光導波路2Aを導波してきた光と、他方の光導波路2Bを導波してきた光とを干渉させて、非線形媒質1Aによって生成された位相共役光ωcAと非線形媒質1Bによって生成された位相共役光ωcBとのパワー(光強度)の差として出力される位相共役光ωcを波長変換光として取り出すようにしている。なお、図4中、上述の第1実施形態(図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
例えば、マッハツェンダ干渉計2の2つの光導波路2A,2Bのうちの一方の光導波路2Aに設けられる非線形媒質(第1非線形媒質)1Aの非線形感受率が、他方の光導波路2Bに設けられる非線形媒質(第2非線形媒質)1Bの非線形感受率よりも大きく(又は小さく)なるようにすれば良い。
このため、マッハツェンダ干渉計2の一方の光導波路2Aを導波してきた光と、他方の光導波路2Bを導波してきた光とを干渉させても、位相共役光ωcA,ωcBは完全には打ち消されずに出力されることになる。
特に、本実施形態では、マッハツェンダ干渉計2の2つの光導波路2A,2Bのそれぞれに設けられる非線形媒質1A,1Bは、利得が等しいため、それぞれの光導波路2A,2Bを導波してきた光のパワー(光出力;光強度)は同じになる。このため、上述の第1実施形態の分岐比調整部5は設けられていない。つまり、上述の第1実施形態の分岐比調整部5に代えて、他方の光導波路2Bに非線形感受率の異なる非線形媒質1Bを設けて、マッハツェンダ干渉計2の2つの光導波路2A,2B(マッハツェンダ干渉計2の2つの出力ポート)のそれぞれから出射される信号光ωs及びポンプ光ωpのパワー(光強度)が等しくなるようにしている。
次に、このような波長変換方式を用いた波長変換方法について説明する。
まず、マッハツェンダ干渉計2の2つの導波路2A,2Bのそれぞれに、信号光ωsとポンプ光ωpとを合波した合波光を分岐して導入する。
2つの光導波路2A,2Bのうちの一方の光導波路2Aに導入された合波光が伝搬していき、それぞれの非線形媒質(NLM)1A,1Bを通過すると、それぞれの非線形媒質1A,1Bによって信号光の位相共役光ωcA,ωcBが発生する。つまり、マッハツェンダ干渉計2の2つの光導波路2A,2Bのうちの一方の光導波路2Aに備えられる第1非線形媒質1Aによって信号光の位相共役光ωcAが発生するとともに、他方の光導波路2Bに備えられ、第1非線形媒質1Aと非線形感受率が異なる第2非線形媒質1Bによって信号光の位相共役光ωcBが発生する。
本実施形態では、それぞれの非線形媒質1A,1Bで発生する位相共役光ωcA,ωcBのパワー(光強度)に差が生じているため、位相共役光ωcA,ωcBは完全には打ち消されずに、カプラ4で1:1に分岐されて、カプラ4の2つのポートのそれぞれから出力されることになる。一方、それぞれの光導波路2A,2Bを伝播してきた信号光ωs及びポンプ光ωpは、カプラ4で打ち消されて一方のポートからは出力されない。このため、カプラ4の一方のポートからは位相共役光ωc(=ωcA−ωcB)のみが出力されることになり、これが波長変換光として取り出されることになる。これにより、信号光ωsが位相共役光ωcに変換されることになる。
次に、上述の波長変換方式を用いた光集積素子について、図5(A)〜(E)を参照しながら説明する。
本光集積素子は、図5(A)に示すように、信号光ωsとポンプ光ωpを除去して位相共役光ωcを選択的に取り出す波長変換部(上述の波長変換方式のマッハツェンダ干渉計2及び非線形媒質1A,1B)として、マッハツェンダ干渉計20と、上述の波長変換方式の非線形媒質1Aとして用いられる第1半導体光増幅器(第1SOA)10Aと、上述の波長変換方式の非線形媒質1Bとして用いられる第2半導体光増幅器(第2SOA)10Bとをモノリシックに集積したモノリシック集積素子として構成される。なお、図5(A)〜(E)中、上述の第1実施形態(図2参照)と同一のものには同一の符号を付している。
第1SOA10A及び第2SOA10Bは、図5(A)に示すように、マッハツェンダ干渉計20を構成する2つの光導波路23,24のそれぞれに1つずつ設けられている。これらの第1SOA10A及び第2SOA10Bは、3次の非線形現象を生じる利得媒質からなる活性層を含む光導波路のそれぞれに電極10AX,10BXを設け、この電極10AX,10BXを介して活性層に電流(制御電流)を注入しうるようになっている。
(1)第1SOA10AをバルクSOAとし、第2SOA10Bを歪量子井戸SOAとする。(2)第1SOA10AをバルクSOAとし、第2SOA10Bを量子ドットSOAとする。(3)第1SOA10Aを無歪量子井戸SOAとし、第2SOA10Bを歪量子井戸SOAとする。(4)第1SOA10Aを無歪量子井戸SOAとし、第2SOA10Bを量子ドットSOAとする。
(1)第1SOA10Aを歪量子井戸SOAとし、第2SOA10BをバルクSOAとする。(2)第1SOA10Aを量子ドットSOAとし、第2SOA10BをバルクSOAとする。(3)第1SOA10Aを歪量子井戸SOAとし、第2SOA10Bを無歪量子井戸SOAとする。(4)第1SOA10Aを量子ドットSOAとし、第2SOA10Bを無歪量子井戸SOAとする。
そして、信号光ωsとポンプ光ωpの合波光が、マッハツェンダ干渉計20を構成する2つの光導波路23,24のそれぞれに入射され、第1SOA10A及び第2SOA10Bのそれぞれが信号光ωsの位相共役光ωcA,ωcBを発生し、一方の光導波路23を導波してきた光と他方の光導波路24を導波してきた光とが干渉して位相共役光ωc(=ωcA−ωcB)が波長変換光として取り出されることになる。
まず、図5(E)に示すように、n型InP基板(n−InP基板)100上に、n−InPクラッド層61(例えば厚さ1μm以下)、下側SCH層62(InGaAsP層;光ガイド層;例えば発光波長1.15μm;例えば厚さ50nm)、歪量子井戸活性層63(例えば6層のInGaAs井戸層を持つ;例えば歪量+0.8%;例えば厚さ100nm)、上側SCH層64(InGaAsP層;光ガイド層;例えば発光波長1.15μm;例えば厚さ50nm)、p−InPクラッド層65(例えば厚さ300nm)を、例えば有機金属気相成長法(MOVPE法)で成長させて、第1SOA10Aを構成する歪量子井戸活性層63(第1SOA活性層)を含む積層構造を形成する。
次いで、図5(B)〜(E)に示すように、除去した部分に、下側SCH層62(InGaAsP層;光ガイド層;例えば発光波長1.15μm;例えば厚さ50nm)、無歪量子井戸活性層72(例えば3層のInGaAs井戸層を持つ;例えば厚さ70nm)、上側SCH層64(InGaAsP層;光ガイド層;例えば発光波長1.15μm;例えば厚さ50nm)、p−InPクラッド層65(例えば厚さ300nm)を、例えばMOVPE法で成長させて、第2SOA10Bを構成する無歪量子井戸活性層72(第2SOA活性層)を含む積層構造を形成する。
このようにしてエッチングした後、図5(B)〜(E)に示すように、除去した部分に、下側SCH層62(InGaAsP層;光ガイド層;例えば発光波長1.15μm;例えば厚さ50nm)、導波路コア層66(InGaAsP層;例えば発光波長1.3μm;例えば厚さ200nm)、上側SCH層64(InGaAsP層;光ガイド層;例えば発光波長1.15μm;例えば厚さ50nm)、p−InPクラッド層65(例えば厚さ300nm)を、例えばMOVPE法などでバッドジョイント成長させて、導波路コア層66を含む積層構造を形成する。
このようにして電流狭窄構造の形成した後、図5(B)〜(E)に示すように、SiO2マスクを除去して、上部にp−InPクラッド層69(例えば厚さ3μm)、InGaAsPコンタクト層70(例えば発光波長1.3μm;例えば厚さ100nm)を成長させて、エピタキシャル成長を完了する。
したがって、本実施形態にかかる波長変換方式、光集積素子及び波長変換方法によれば、上述の第1実施形態のものと同様の効果が得られる。さらに、上述の第1実施形態の分岐比調整部を設ける必要がないため、さらに小型化を図ることが可能となる。
なお、本実施形態では、利得が等しい非線形媒質1A,1B(利得を生じないものも含む)を設けているが、これに限られるものではない。例えば、利得が異なる非線形媒質を設け、上述の第1実施形態の分岐比調整部を設けるようにしても良い。
[その他]
なお、光集積素子の層構造や作製方法は、上述の各実施形態のものに限られるものではない。また、上述の各実施形態では、メサ埋込構造の例に説明しているが、埋め込みを行なわないハイメサ構造、リッジ構造等の構造であっても良く、この場合も同様の効果が得られる。
(付記1)
2つの光導波路を備えるマッハツェンダ干渉計と、
前記2つの光導波路のうちの一方の光導波路に備えられる非線形媒質と、
前記2つの光導波路から出射される信号光及びポンプ光のパワーが等しくなるように、信号光とポンプ光とを合波した合波光の分岐比を調整する分岐比調整部とを備え、
前記分岐比調整部によって分岐比を調整された合波光が前記2つの光導波路のそれぞれに入射され、前記非線形媒質が信号光の位相共役光を発生し、前記一方の光導波路を導波してきた光と前記2つの光導波路のうちの他方の光導波路を導波してきた光とが干渉して位相共役光が波長変換光として取り出されるように構成されることを特徴とする、波長変換方式。
2つの光導波路を備えるマッハツェンダ干渉計と、
前記2つの光導波路のうちの一方の光導波路に備えられる第1非線形媒質と、
前記2つの光導波路のうちの他方の光導波路に備えられ、前記第1非線形媒質と非線形感受率が異なる第2非線形媒質とを備え、
信号光とポンプ光とを合波した合波光が分岐されて前記2つの光導波路のそれぞれに入射され、前記第1非線形媒質及び前記第2非線形媒質がそれぞれ信号光の位相共役光を発生し、前記一方の光導波路を導波してきた光と前記他方の光導波路を導波してきた光とが干渉して位相共役光が波長変換光として取り出されるように構成されることを特徴とする、波長変換方式。
前記第1非線形媒質と前記第2非線形媒質とは利得が等しいことを特徴とする、付記2記載の波長変換方式。
(付記4)
前記2つの光導波路から出射される信号光及びポンプ光のパワーが等しくなるように、信号光とポンプ光とを合波した合波光の分岐比を調整する分岐比調整部とを備えることを特徴とする、付記2記載の波長変換方式。
前記2つの光導波路のうちの少なくとも一方の光導波路に位相調整器を備えることを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の波長変換方式。
(付記6)
前記非線形媒質、又は、前記第1非線形媒質及び前記第2非線形媒質が、半導体光増幅器であることを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項に記載の波長変換方式。
前記非線形媒質、又は、前記第1非線形媒質及び前記第2非線形媒質が、非線形光ファイバであることを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項に記載の波長変換方式。
(付記8)
前記分岐比調整部が、カプラにより構成されることを特徴とする、付記1、4〜7のいずれか1項に記載の波長変換方式。
前記分岐比調整部が、マッハツェンダ干渉計により構成されることを特徴とする、請求項1、4〜7のいずれか1項に記載の波長変換方式。
(付記10)
信号光とポンプ光とを合波した合波光を分岐して導波する2つの光導波路を備える前段マッハツェンダ干渉計と、
前記前段マッハツェンダ干渉計を構成する2つの光導波路のうちの少なくとも一方の光導波路に設けられる位相調整器と、
入力側カプラと、出力側カプラと、前記入力側カプラと前記出力側カプラとを接続する2つの光導波路とを備える後段マッハツェンダ干渉計と、
前記後段マッハツェンダ干渉計を構成する2つの光導波路のうちの一方の光導波路に設けられる半導体光増幅器とを備え、
前記後段マッハツェンダ干渉計を構成する2つの光導波路のそれぞれから出射される信号光及びポンプ光のパワーが等しくなるように、前記前段マッハツェンダ干渉計及び前記位相調整器によって分岐比を調整された合波光が、前記後段マッハツェンダ干渉計を構成する2つの光導波路のそれぞれに入射され、前記半導体光増幅器が信号光の位相共役光を発生し、前記後段マッハツェンダ干渉計を構成する一方の光導波路を導波してきた光と他方の光導波路を導波してきた光とが干渉して位相共役光が波長変換光として取り出されるように構成されることを特徴とする、光集積素子。
入力側カプラと、出力側カプラと、前記入力側カプラと前記出力側カプラとを接続する2つの光導波路とを備えるマッハツェンダ干渉計と、
前記2つの光導波路のうちの一方の光導波路に設けられる第1半導体光増幅器と、
前記2つの光導波路のうちの他方の光導波路に設けられ、前記第1半導体光増幅器と非線形感受率が異なる第2半導体光増幅器とを備え、
信号光とポンプ光とを合波した合波光が分岐されて前記2つの光導波路のそれぞれに入射され、前記第1半導体光増幅器及び前記第2半導体光増幅器がそれぞれ信号光の位相共役光を発生し、前記一方の光導波路を導波してきた光と前記他方の光導波路を導波してきた光とが干渉して位相共役光が波長変換光として取り出されるように構成されることを特徴とする、光集積素子。
前記第1半導体光増幅器と前記第2半導体光増幅器とは利得が等しいことを特徴とする、付記11記載の光集積素子。
(付記13)
前記第1半導体光増幅器及び前記第2半導体光増幅器が、非線形感受率の異なる異種の活性層を備えることを特徴とする、付記11又は12記載の光集積素子。
前記第1半導体光増幅器が、バルク、無歪量子井戸、歪量子井戸、量子ドットのうちいずれか一種の活性層を備え、
前記第2半導体光増幅器が、バルク、無歪量子井戸、歪量子井戸、量子ドットのうち前記第1半導体光増幅器の活性層と異なる種類の活性層を備えることを特徴とする、付記13記載の光集積素子。
前記第1半導体光増幅器及び前記第2半導体光増幅器が、非線形感受率の異なる同種の活性層を備えることを特徴とする、付記11又は12記載の光集積素子。
(付記16)
前記後段マッハツェンダ干渉計又は前記マッハツェンダ干渉計を構成する2つの光導波路のうちの少なくとも一方の光導波路に位相調整器を備えることを特徴とする、付記10〜15のいずれか1項に記載の光集積素子。
前記入力側カプラ及び前記出力側カプラが、多モード干渉カプラであることを特徴とする、付記10〜16のいずれか1項に記載の光集積素子。
(付記18)
前記入力側カプラ及び前記出力側カプラが、方向性結合器であることを特徴とする、付記10〜16のいずれか1項に記載の光集積素子。
マッハツェンダ干渉計を構成する2つの光導波路から出射される信号光及びポンプ光のパワーが等しくなるように、信号光とポンプ光とを合波した合波光の分岐比を調整し、
分岐比を調整された合波光を前記2つの光導波路のそれぞれに入射させ、
前記2つの光導波路のうちの一方の光導波路に備えられる非線形媒質によって信号光の位相共役光を発生させ、
前記非線形媒質によって利得を生じ、前記一方の光導波路を導波してきた光と、前記2つの光導波路のうちの他方の光導波路を導波してきた光とを干渉させて位相共役光を波長変換光として取り出すことを特徴とする、波長変換方法。
マッハツェンダ干渉計を構成する2つの光導波路のそれぞれに信号光とポンプ光とを合波した合波光を入射させ、
前記2つの光導波路のうちの一方の光導波路に備えられる第1非線形媒質によって信号光の位相共役光を発生させ、
前記2つの光導波路のうちの他方の光導波路に備えられ、前記第1非線形媒質と非線形感受率が異なる第2非線形媒質によって、信号光の位相共役光を発生させ、
前記一方の光導波路を導波してきた光と前記他方の光導波路を導波してきた光とを干渉させて位相共役光を波長変換光として取り出すことを特徴とする、波長変換方法。
前記第2非線形媒質として、前記第1非線形媒質と利得の等しいものを用いることを特徴とする、付記20記載の波長変換方法。
(付記22)
前記2つの光導波路のうちの少なくとも一方の光導波路に備えられる位相調整器によって、前記一方の光導波路を導波する光と前記他方の光導波路を導波する光の位相を調整することを特徴とする、付記19〜21のいずれか1項に記載の波長変換方法。
1A 第1非線形媒質
1B 第2非線形媒質
2 マッハツェンダ干渉計
2A,2B 光導波路
3 合波器
4 カプラ
5 分岐比調整部
6 位相調整器
10 半導体光増幅器
10A 第1半導体光増幅器(第1SOA)
10B 第2半導体光増幅器(第2SOA)
10X,10AX,10BX 電極
20 後段マッハツェンダ干渉計
21 入力側カプラ
22 出力側カプラ
23,24 光導波路
41 入力側光導波路
42 出力側光導波路
50 前段マッハツェンダ干渉計
51,52,60 位相調整器
51A,52A,60A 位相調整電極
53,54 光導波路
55 入力側カプラ
56 出力側カプラ
61 n−InPクラッド層
62 下側SCH層
63 歪量子井戸活性層(SOA活性層,第1SOA活性層)
64 上側SCH層
65 p−InPクラッド層
66 導波路コア層
67 p−InP電流ブロック層
68 n−InP電流ブロック層
69 p−InPクラッド層
70 InGaAsPコンタクト層
71 SiO2膜
72 無歪量子井戸活性層(第2SOA活性層)
80,81 光導波路
82,83 偏波コントローラ
84,85 偏波維持光ファイバ
86 偏波維持型高非線形ファイバ
87 偏波コントローラ(位相調整器)
100 n型InP基板
Claims (10)
- 2つの光導波路を備えるマッハツェンダ干渉計と、
前記2つの光導波路のうちの一方の光導波路に備えられる非線形媒質と、
前記2つの光導波路から出射される信号光及びポンプ光のパワーが等しくなるように、信号光とポンプ光とを合波した合波光の分岐比を調整する分岐比調整部とを備え、
前記分岐比調整部によって分岐比を調整された合波光が前記2つの光導波路のそれぞれに入射され、前記非線形媒質が信号光の位相共役光を発生し、前記一方の光導波路を導波してきた光と前記2つの光導波路のうちの他方の光導波路を導波してきた光とが干渉して前記信号光及び前記ポンプ光が打ち消されて位相共役光のみが波長変換光として取り出されるように構成されることを特徴とする、波長変換方式。 - 2つの光導波路を備えるマッハツェンダ干渉計と、
前記2つの光導波路のうちの一方の光導波路に備えられる第1非線形媒質と、
前記2つの光導波路のうちの他方の光導波路に備えられ、前記第1非線形媒質と非線形感受率が異なり、利得が等しい第2非線形媒質とを備え、
信号光とポンプ光とを合波した合波光が分岐されて前記2つの光導波路のそれぞれに入射され、前記第1非線形媒質及び前記第2非線形媒質がそれぞれ信号光の位相共役光を発生し、前記一方の光導波路を導波してきた光と前記他方の光導波路を導波してきた光とが干渉して前記信号光及び前記ポンプ光が打ち消され、それぞれの前記位相共役光の差分のみが波長変換光として取り出されるように構成されることを特徴とする、波長変換方式。 - 前記分岐比調整部が、マッハツェンダ干渉計により構成されることを特徴とする、請求項1に記載の波長変換方式。
- 前記2つの光導波路のうちの少なくとも一方の光導波路に位相調整器を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の波長変換方式。
- 前記非線形媒質、又は、前記第1非線形媒質及び前記第2非線形媒質が、非線形光ファイバであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の波長変換方式。
- 信号光とポンプ光とを合波した合波光を分岐して導波する2つの光導波路を備える前段マッハツェンダ干渉計と、
前記前段マッハツェンダ干渉計を構成する2つの光導波路のうちの少なくとも一方の光導波路に設けられる位相調整器と、
入力側カプラと、出力側カプラと、前記入力側カプラと前記出力側カプラとを接続する2つの光導波路とを備える後段マッハツェンダ干渉計と、
前記後段マッハツェンダ干渉計を構成する2つの光導波路のうちの一方の光導波路に設けられる半導体光増幅器とを備え、
前記後段マッハツェンダ干渉計を構成する2つの光導波路のそれぞれから出射される信号光及びポンプ光のパワーが等しくなるように、前記前段マッハツェンダ干渉計及び前記位相調整器によって分岐比を調整された合波光が、前記後段マッハツェンダ干渉計を構成する2つの光導波路のそれぞれに入射され、前記半導体光増幅器が信号光の位相共役光を発生し、前記後段マッハツェンダ干渉計を構成する一方の光導波路を導波してきた光と他方の光導波路を導波してきた光とが干渉して前記信号光及び前記ポンプ光が打ち消されて位相共役光のみが波長変換光として取り出されるように構成されることを特徴とする、光集積素子。 - 入力側カプラと、出力側カプラと、前記入力側カプラと前記出力側カプラとを接続する2つの光導波路とを備えるマッハツェンダ干渉計と、
前記2つの光導波路のうちの一方の光導波路に設けられる第1半導体光増幅器と、
前記2つの光導波路のうちの他方の光導波路に設けられ、前記第1半導体光増幅器と非線形感受率が異なり、利得が等しい第2半導体光増幅器とを備え、
信号光とポンプ光とを合波した合波光が分岐されて前記2つの光導波路のそれぞれに入射され、前記第1半導体光増幅器及び前記第2半導体光増幅器がそれぞれ信号光の位相共役光を発生し、前記一方の光導波路を導波してきた光と前記他方の光導波路を導波してきた光とが干渉して前記信号光及び前記ポンプ光が打ち消され、それぞれの前記位相共役光の差分のみが波長変換光として取り出されるように構成されることを特徴とする、光集積素子。 - マッハツェンダ干渉計を構成する2つの光導波路から出射される信号光及びポンプ光のパワーが等しくなるように、信号光とポンプ光とを合波した合波光の分岐比を調整し、
分岐比を調整された合波光を前記2つの光導波路のそれぞれに入射させ、
前記2つの光導波路のうちの一方の光導波路に備えられる非線形媒質によって信号光の位相共役光を発生させ、
前記非線形媒質によって利得を生じ、前記一方の光導波路を導波してきた光と、前記2つの光導波路のうちの他方の光導波路を導波してきた光とを干渉させて前記信号光及び前記ポンプ光を打ち消して位相共役光のみを波長変換光として取り出すことを特徴とする、波長変換方法。 - マッハツェンダ干渉計を構成する2つの光導波路のそれぞれに信号光とポンプ光とを合波した合波光を入射させ、
前記2つの光導波路のうちの一方の光導波路に備えられる第1非線形媒質によって信号光の第1位相共役光を発生させ、
前記2つの光導波路のうちの他方の光導波路に備えられ、前記第1非線形媒質と非線形感受率が異なり、利得が等しい第2非線形媒質によって、信号光の第2位相共役光を発生させ、
前記一方の光導波路を導波してきた光と前記他方の光導波路を導波してきた光とを干渉させて前記信号光及び前記ポンプ光を打ち消し、前記第1位相共役光と前記第2位相共役光との差分のみを波長変換光として取り出すことを特徴とする、波長変換方法。 - 前記2つの光導波路のうちの少なくとも一方の光導波路に備えられる位相調整器によって、前記一方の光導波路を導波する光と前記他方の光導波路を導波する光の位相を調整することを特徴とする、請求項8又は9記載の波長変換方法。
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