JP4430726B2 - フェリチンを基板上に二次元配列させる方法 - Google Patents
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Description
フェリチンを加熱により除去した後、この2価の金属イオンが基板上に不純物として残存する。
展開工程では、溶媒、前記フェリチン、および12.5mM PIPES-NaOH (pH7.0), 12.5mM PIPES-Tris (pH7.0), 13mMの硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)、もしくは20mMの酢酸アンモニウム(CH3CO2NH4)を有する溶液を前記基板上に展開する。なお、緩衝液としてPIPES(弱酸性)を使用する場合には、pHをNaOHにより調節する(このような緩衝液を「PIPES-NaOH」と記述する)が、本発明では、金属イオンは不純物となり得る。そのため、弱アルカリ性の緩衝液を採用し、そのpHをHClなどの酸によって調節する方が望ましい。
次に、除去工程について説明する。除去工程では、基板上に展開した溶液から溶媒を除去する。代表的には溶液は緩衝液であるため、溶媒は当該緩衝液の大部分を占める水である。そこで、ここでは基板上から水を除去する方法を説明する。
以下、本発明を実験例と共にさらに詳細に説明する。
まず、以下にタンパク質発現ベクターの構築手順を示す。
まず、以下にapo Y6S4DE-Fer0の合成・精製手順を示す。なお、Shuffle-Fer0, D2N-Fer0, E10Q-Fer0, E10S-Fer0, P7S-Fer0, ΔHY-Fer0, 2ndhalf-Fer0, Y8F-Y9F-Fer0、S5T-S6T-Fer0、NF-LFの合成・精製方法も、使用するタンパク質発現用プラスミドベクターのN末端側の塩基配列がそれぞれ表2に記載の塩基配列である点以外は同様である。
まず、以下にapoΔAR-Fer0の合成・精製手順を示す。なお、1st half-Fer0, 5AA-Fer0の合成・精製方法も、使用するタンパク質発現用プラスミドベクターのN末端側の塩基配列がそれぞれ表2に記載の塩基配列である点以外は同様である。
上記大量発現・精製により得られたタンパク質溶液(例えばapoY6S4DE0-Fer0を含む溶液)は濃度未知である。そこで、以下の方法に従って、濃度未知のタンパク質溶液の濃度を測定した。
得られたアポフェリチン(例えば、apoY6S4DE-Fer0)が、コア合成に適した純度であるかどうかについて、以下の手順により検定した。
以下のように、二次元配列作製に用いるIn酸化物をアポフェリチン(例えば、apoY6S4DE-Fer0)の内部に合成した。
二次元規則配列化には、In酸化物コアを内部に持つ高純度(単量体純度99.5%以上)なフェリチン(以後、X-Fer0 (In)と表記、XはY6S4DEなどのペプチド名称)が望まれる。
本発明の二次元配列化に用いる、表面が親水性を有する基板を準備する。
UV/オゾン処理(紫外線/オゾンによる洗浄)により、表面の有機物を取り除く手順を以下に示す。
以上の準備1〜7が終了後、フェリチンを以下の手順(以下、「サンドウィッチ法」と呼ぶことがある)に従って2次元配列させた。
0.5mg/ml Y6F4DE-Fer0(In)、および12.5 mM PIPES-NaOH (pH7.0)を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図5に、そのフーリエ変換像を図6に示す。
0.5mg/ml Y6F4DE-Fer0(In)、および12.5 mM PIPES-Tris (pH7.0)を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図7に、そのフーリエ変換像を図8に示す。
0.5mg/ml Y6F4DE-Fer0(In)、および13 mM 硫安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図9に、そのフーリエ変換像を図10に示す。
0.5mg/ml Y6F4DE-Fer0(In)、および20 mM 酢安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図11に、そのフーリエ変換像を図12に示す
0.5mg/ml N1-LF(In)、および12.5 mM PIPES-NaOH (pH7.0)を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図13に、そのフーリエ変換像を図14に示す。
0.5mg/ml N1-LF(In)、および12.5 mM PIPES-Tris (pH7.0)を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図15に、そのフーリエ変換像を図16に示す。
0.5mg/ml N1-LF(In)、および13 mM 硫安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図17に、そのフーリエ変換像を図18に示す。
0.5mg/ml N1-LF(In)、および20 mM 酢安、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図19に、そのフーリエ変換像を図20に示す。
0.5mg/ml D2N-Fer0(In)、および12.5 mM PIPES-NaOH (pH7.0)を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図21に、そのフーリエ変換像を図22に示す。
0.5mg/ml D2N-Fer0(In)、および13 mM 硫安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図23に、そのフーリエ変換像を図24に示す。
0.5mg/ml D2N-Fer0(In)、および20 mM 酢安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図25に、そのフーリエ変換像を図26に示す。
0.5mg/ml E10Q-Fer0(In)、および12.5 mM PIPES-NaOH (pH7.0)を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図27に、そのフーリエ変換像を図28に示す。
0.5mg/ml E10Q-Fer0(In)、および13 mM 硫安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図29に、そのフーリエ変換像を図30に示す。
0.5mg/ml E10Q-Fer0(In)、および20 mM 酢安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図31に、そのフーリエ変換像を図32に示す。
懸濁されたE10S-Fer0(In)、および2 mM Tris-HCl緩衝液pH8.0、および/熱酸化シリコン基板を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図33に、そのフーリエ変換像を図34に示す。
0.5mg/ml P7S-Fer0(In)、および12.5 mM PIPES-NaOH (pH7.0)を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図35に、そのフーリエ変換像を図36に示す。
0.5mg/ml P7S-Fer0(In)、および13 mM 硫安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図37に、そのフーリエ変換像を図38に示す。
0.5mg/ml P7S-Fer0(In)、および20 mM 酢安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図39に、そのフーリエ変換像を図40に示す。
0.5mg/ml Y8FY9F-Fer0(In)、および12.5 mM PIPES-NaOH (pH7.0)を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図41に、そのフーリエ変換像を図42に示す。
0.5mg/ml Y8FY9F-Fer0(In)、および12.5 mM PIPES-Tris (pH7.0)を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図43に、そのフーリエ変換像を図44に示す。
0.5mg/ml Y8FY9F-Fer0(In)、および13 mM 硫安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図45に、そのフーリエ変換像を図46に示す。
0.5mg/ml S5TS6T-Fer0(In)、および20 mM 酢安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図47に、そのフーリエ変換像を図48に示す。
0.5mg/ml S5TS6T -Fer0(In)、および13 mM 硫安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図49に、そのフーリエ変換像を図50に示す。
0.5mg/ml S5TS6T -Fer0(In)、および20 mM 酢安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図51に、そのフーリエ変換像を図52に示す。
0.5mg/ml ΔHY-Fer0(In)、および12.5 mM PIPES-NaOH (pH7.0)を用い、得られたフェリチンの吸着の様子を示す写真を図53に、そのフーリエ変換像を図54に示す。
0.5mg/ml ΔHY-Fer0(In)、および13 mM 硫安を用い、得られたフェリチンの吸着の様子を示す写真を図55に、そのフーリエ変換像を図56に示す。
0.5mg/ml ΔHY-Fer0(In)、および20 mM 酢安を用い、得られたフェリチンの吸着の様子を示す写真を図57に、そのフーリエ変換像を図58に示す。
0.5mg/ml ΔAR-Fer0(In)、および12.5 mM PIPES-NaOH (pH7.0)を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図59に、そのフーリエ変換像を図60に示す。
0.5mg/ml ΔAR-Fer0(In)、および13 mM 硫安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図61に、そのフーリエ変換像を図62に示す。
0.5mg/ml ΔAR-Fer0(In)、および20 mM 酢安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図63に、そのフーリエ変換像を図64に示す。
0.5mg/ml Shuffle-Fer0(In)、および13 mM 硫安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図65に、そのフーリエ変換像を図66に示す。
0.5mg/ml shuffle-Fer0(In)、および20 mM 酢安を用い、得られたフェリチンの二次元配列の様子を示す写真を図67に、そのフーリエ変換像を図68に示す。
0.5mg/ml 1st-half-Fer0(In)、および12.5 mM PIPES-NaOH (pH7.0)を用い、得られたフェリチンの吸着の様子を示す写真を図69に、そのフーリエ変換像を図70に示す。
0.5mg/ml 1st-half-Fer0(In)、および13 mM 硫安を用い、得られたフェリチンの吸着の様子を示す写真を図71に、そのフーリエ変換像を図72に示す。
0.5mg/ml 1st-half-Fer0(In)、および20 mM 酢安を用い、得られたフェリチンの吸着の様子を示す写真を図73に、そのフーリエ変換像を図74に示す。
0.5mg/ml 2nd-half-Fer0(In)、および12.5 mM PIPES-NaOH (pH7.0)を用い、得られたフェリチンの吸着の様子を示す写真を図75に、そのフーリエ変換像を図76に示す。
0.5mg/ml 2nd-half-Fer0(In)、および13 mM 硫安を用い、得られたフェリチンの吸着の様子を示す写真を図77に、そのフーリエ変換像を図78に示す。
0.5mg/ml 2nd-half-Fer0(In)、および20 mM 酢安を用い、得られたフェリチンの吸着の様子を示す写真を図79に、そのフーリエ変換像を図80に示す。
0.5mg/ml 5AA-Fer0(In)、および12.5 mM PIPES-NaOH (pH7.0)を用い、得られたフェリチンの吸着の様子を示す写真を図81に、そのフーリエ変換像を図82に示す。
0.5mg/ml 5AA-Fer0(In)、および13 mM 硫安を用い、得られたフェリチンの吸着の様子を示す写真を図83に、そのフーリエ変換像を図84に示す。
0.5mg/ml 5AA-Fer0(In)、および20 mM 酢安を用い、得られたフェリチンの吸着の様子を示す写真を図85に、そのフーリエ変換像を図86に示す
外周面に従来例のN1-LF(アミノ酸残基数12)より、7個のアミノ酸を削除した、すなわち短いアミノ酸配列(アミノ酸残基数5)を有するフェリチン5AA-Fer0は、「二次元配列を形成しない」ことが確認できた。
15 フェリチン
配列番号2の<223>:本発明のアミノ末端にアミノ末端メチオニンと12残基からなるアミノ酸とが付加された改変ウマ由来フェリチン
配列番号3の<223>: 本発明のフェリチン・タンパク質発現用プラスミドベクター
配列番号4の<223>: タンパク質発現用プラスミドベクター
配列番号5の<223>: 非特許文献1に記載されたフェリチンを基板に配列させるための12残基からなるアミノ酸配列
配列番号7の<223>: E10S-Fer0製造のための12残基からなるアミノ酸配列
配列番号8の<223>: D2N-Fer0製造のための12残基からなるアミノ酸配列
配列番号9の<223>: E10Q-Fer0製造のための12残基からなるアミノ酸配列
配列番号10の<223>: P7S-Fer0製造のための12残基からなるアミノ酸配列
配列番号11の<223>: Shuffle-Fer0製造のための12残基からなるアミノ酸配列
配列番号12の<223>: S5T-S6T-Fer0製造のための12残基からなるアミノ酸配列
配列番号13の<223>: ΔAR-Fer0製造のための12残基からなるアミノ酸配列
配列番号14の<223>: Y8F-Y9F-Fer0製造のための12残基からなるアミノ酸配列
配列番号15の<223>: ΔHY-Fer0製造のための12残基からなるアミノ酸配列
配列番号16の<223>: 1st half-Fer0製造のための6残基からなるアミノ酸配列
配列番号17の<223>: 2nd half-Fer0製造のための6残基からなるアミノ酸配列
配列番号18の<223>: 5AA-Fer0製造のための5残基からなるアミノ酸配列
配列番号19の<223>: ペプチドY6S4DE対応のDNA
配列番号20の<223>: ペプチドE10S対応のDNA
配列番号21の<223>: ペプチドD2N対応のDNA
配列番号22の<223>: ペプチドE10Q対応のDNA
配列番号23の<223>: ペプチドP7S対応のDNA
配列番号24の<223>: ペプチドShuffle対応のDNA
配列番号25の<223>: ペプチドS5T-S6T対応のDNA
配列番号26の<223>: ペプチドΔAR対応のDNA
配列番号27の<223>: ペプチドY8F-Y9F対応のDNA
配列番号28の<223>: ペプチドΔHY対応のDNA
配列番号29の<223>: ペプチド1st half対応のDNA
配列番号30の<223>: ペプチド2nd half対応のDNA
配列番号31の<223>: ペプチド5AA対応のDNA
Claims (6)
- フェリチンを基板上に二次元配列させる方法であって、
前記フェリチンにはN末端に配列番号1で示されるアミノ酸配列が修飾されており、
前記基板の表面は親水性を有しており、
前記方法は、
水からなる溶媒および前記フェリチンを有する溶液を前記基板上に展開する工程、および
前記基板上に展開した溶液から前記溶媒を除去する除去工程
を包含する。 - 前記基板の表面がSiO2で覆われている、請求項1に記載の方法。
- 前記溶液が、PIPES、硫酸アンモニウム、または酢酸アンモニウムの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記溶液におけるPIPES濃度が5mM以上50mM以下である、請求項1に記載の方法。
- 前記溶液における硫酸アンモニウム濃度が6.5mM以上52mM以下である、請求項1に記載の方法。
- 前記溶液における酢酸アンモニウム濃度が2mM以上100mM以下である、請求項1に記載の方法。
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