JP4430163B2 - 印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷装置等の印刷装置に関し、詳しくは、印刷用紙の1回の搬送で多色印刷が可能に印刷ドラムが複数配置された印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷装置では、インキの色が異なる版胴(印刷ドラム)を複数本通紙方向(印刷用紙の搬送方向)に並置し、印刷用紙を搬送しながら上流側から順に1色目、2色目・・・・とインキ画像を転写し、いわゆる1パス(1回の通紙)で多色印刷をすることが行われている。
各版胴の間にはエアー吸引ベルト搬送方式の中間搬送手段が設けられ、この中間搬送手段により上流側の版胴で印刷された印刷用紙を搬送して下流側の版胴の印刷ニップ部へ送り込むようになっている。各版胴は、給紙される印刷用紙の所定位置と版胴上のインキ画像の先端が印刷位置(印刷ニップ部。以下同じ)で一致するように連結駆動機構により同期回転され、この位置合わせタイミングを維持すべく中間搬送手段の搬送速度も一定に設定されている。
また、上流側の版胴と下流側の版胴の間には、ドラム間位相調整手段が連結駆動機構に関係して設けられており、天地方向(印刷用紙の搬送方向を基準とした前後方向)の1色目と2色目の色ずれ調整ができるようになっている。
【0003】
しかしながら、版胴間の連結駆動機構を構成する歯車やタイミングベルト等の製造誤差、あるいは版胴径の誤差等が存在するために各版胴の周速度が等速とならないことがある。版胴の周速度にバラツキがあると、印刷中に印刷用紙がその搬送方向に弛んだり、逆に引っ張られることがある。
例えば、下流側の版胴の周速度が上流側の版胴の周速度より速く、印刷用紙の搬送方向サイズが上流側の版胴の印刷位置から下流側の版胴の印刷位置までの距離よりも長い場合には、印刷用紙が両印刷位置に跨がる状態が存在するため、周速度の差によって印刷用紙が引っ張られる現象(突っ張り現象)が生じる。
この突っ張り現象により、上流側の印刷位置における印刷用紙に対する画像位置又は下流側の印刷位置における印刷用紙に対する画像位置が印刷用紙の搬送方向へずれることがあり、印刷不良の懸念があった。
【0004】
逆に、下流側の版胴の周速度が遅い場合には、印刷用紙が中間搬送手段上で弛むので、周速度が速い場合に比べてその度合いは小さいものの、同様に画像位置ずれによる印刷不良の懸念があった。
印刷用紙の搬送方向サイズが上流側の版胴の印刷位置から下流側の版胴の印刷位置までの距離よりも短い場合には、印刷用紙の突っ張り現象や弛み現象は生じないが、下流側の版胴の周速度が異なった場合には下流側の版胴の印刷位置での画像位置のずれが生じるので、2色目以降の画像位置がずれるという問題が生じる。
【0005】
特開平10−315601号公報には、転写インキ量のバラツキによる版胴からの印刷用紙の分離時期のずれに起因した、中間搬送手段における印刷用紙の搬送開始位置のずれによる下流側の版胴の印刷位置への印刷用紙の送り込みタイミングのずれを、中間搬送手段の搬送速度を制御して補正する技術が開示されている。この技術を応用すれば、印刷用紙の搬送方向サイズが上流側の版胴の印刷位置から下流側の版胴の印刷位置までの距離よりも短い場合における製造誤差等に起因した画像位置のずれを補正することができる。
しかしながら、印刷用紙の突っ張り現象が生じるケースでは、印刷用紙が版胴間で拘束されている状態にあるので、中間搬送手段の搬送速度の制御等の対策では対応できない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記印刷用紙の突っ張り現象を防止するために、本出願人は、特願平10−83967号にて、上流側の版胴の印刷位置から隣合う下流側の版胴の印刷位置までの印刷用紙の搬送距離を、両印刷位置間の距離よりも長く設定する構成を提案した。
この構成の概要を、図7に基づいて説明する。上流側の版胴200と下流側の版胴202の間にエアー吸引ベルト搬送方式の中間搬送手段204が設けられている。中間搬送手段204は、上流側の版胴200の印刷位置と下流側の版胴202の印刷位置を結ぶ基線206よりも搬送面が下方に位置するように設けられており、これにより、上流側の版胴200の印刷位置から下流側の版胴202の印刷位置までの印刷用紙の搬送距離Lは、両印刷位置間の距離L1よりも長くなっている。図7において、符号208は上流側の版胴200と印刷ニップ部を形成するプレスローラを、210は下流側の版胴202と印刷ニップ部を形成するプレスローラを示す。
上流側の版胴200から分離された印刷用紙はガイド板212で斜め下方に案内されながら中間搬送手段204に導かれ、中間搬送手段204のベルト面に吸着された状態で搬送され、最終的にガイド板214で案内されて下流側の版胴202の印刷ニップ部に進入する。
【0007】
このようにすれば、印刷用紙の搬送距離が長い分突っ張りに対する余裕ができ、製造誤差等により版胴の周速度に差が生じても印刷用紙の突っ張り現象はなくなり、突っ張り現象による印刷不良を回避できる。
しかしながら、このような構成において下流側の版胴202での画像位置のずれが生じないようにドラム間位相調整手段22(詳細は後述する)で調整した後であっても、印刷用紙の種類が異なると、印刷用紙の腰力の差によって搬送経路が変化し、搬送経路長に差が生じて下流側の版胴202の印刷位置で画像の位置ずれが発生することが判明した。
図8に示すように、印刷用紙が薄紙216の場合には、腰が弱いので図7で示した搬送経路に忠実に沿って搬送される。下流側の版胴202の印刷位置で、上流側の版胴200から転写された1色目のインキ画像218よりも距離d1離れた正規の位置に2色目のインキ画像が転写される。
【0008】
この搬送条件の下に厚紙220を給紙すると、図8に示すように、腰が強いために斜め下方に延びる搬送経路に自重で垂れて沿うことなく略水平に移動し、薄紙216のときよりも印刷用紙の搬送方向に大きくずれた地点で中間搬送手段204のベルト上に着地して搬送される搬送形態となる。
このため、搬送経路長に差が生じ、厚紙220の場合には薄紙216の場合よりも速く搬送される結果となり、下流側の版胴202の印刷位置では正規の位置よりもずれた位置(距離d2)に2色目のインキ画像が転写されることになる。
【0009】
そこで、本発明は、印刷用紙の種類に拘らず画像の位置ずれによる印刷不良を抑制できる印刷装置の提供を、その目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、印刷用紙の種類に応じて下流側の印刷ドラムの位相を調整することとした。
具体的には、請求項1記載の発明では、印刷用紙の搬送方向に間隔をおいて配置された複数の印刷ドラムと、上記搬送方向における上流側の印刷ドラムの印刷位置から隣合う下流側の印刷ドラムの印刷位置までの印刷用紙の搬送距離が両印刷位置間の距離よりも長く設定され、上記上流側の印刷ドラムの位相に対する上記下流側の印刷ドラムの位相を調整可能なドラム間位相調整手段を備え、印刷用紙の1回の搬送で多色印刷が可能な印刷装置において、
上記上流側の印刷ドラムと上記下流側の印刷ドラム間の印刷用紙の搬送面が、上記上流側の印刷ドラムの印刷位置と上記下流側の印刷ドラムの印刷位置を結ぶ基線の下方に位置し、
紙厚を基準とした印刷用紙の種類に応じて、紙厚が厚いほど、紙厚が同じ場合には腰が強いほど上記下流側の印刷ドラム上の画像位置を進めさせるように上記ドラム間位相調整手段を制御して上記上流側の印刷ドラムと上記下流側の印刷ドラムとの画像位置のずれを調整する制御手段を有し、上記制御手段は、予め求められた印刷用紙の種類別の位相調整データに基づいて上記ドラム間位相調整手段を制御する、という構成を採っている。
【0011】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の印刷装置において、印刷用紙の種類を選択して設定する用紙種類設定手段を有し、上記制御手段は、上記用紙種類設定手段により設定された印刷用紙の種類に対応した位相調整データを選択してこれに基づいて制御する、という構成を採っている。
【0012】
請求項3記載の発明では、請求項2記載の構成において、操作パネルを有し、この操作パネルに上記用紙種類設定手段が設けられている、という構成を採っている。
【0013】
請求項4記載の発明では、請求項1記載の印刷装置において、印刷用紙の厚みを検知する用紙厚み検知手段を有し、上記制御手段は、上記用紙厚み検知手段により検知された印刷用紙の種類に対応した位相調整データを選択してこれに基づいて制御する、という構成を採っている。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
図1に示すように、印刷装置としての2色印刷タイプの孔版印刷装置2は、給紙手段4と、レジストローラ対6と、給紙手段4から供給される印刷用紙Pの搬送方向(矢印S方向)に間隔をおいて配置された2つの印刷ドラムとしての版胴8,10と、図示しない接離機構により上流側の版胴8に対して接離自在なプレスローラ12と、版胴8,10間の印刷用紙Pの搬送を行うエアー吸引ベルト搬送方式の中間搬送手段14と、図示しない接離機構により下流側の版胴10に対して接離自在なプレスローラ16と、下流側の版胴10から分離した印刷用紙Pを図示しない排紙トレイに排出するエアー吸引ベルト搬送方式の排紙搬送手段18と、版胴8,10を連結駆動するためのタイミングベルト20と、版胴8,10間の位相を調整するためのドラム間位相調整手段22等を有している。
上流側の版胴8はメイン駆動ベルト23を介してメイン駆動源としてのメイン駆動モータ25により回転駆動され、この回転駆動力がタイミングベルト20により下流の版胴10に伝達される。メイン駆動ベルト23はプーリ27によりテンションを付与されている。
【0018】
給紙手段4では図示しないモータ装置により間欠的に上昇する給紙台24に複数の印刷用紙Pが積載されており、給紙ローラ26、分離ローラ28、分離パッド30等により最上の印刷用紙Pから順に一枚ずつ分離されてレジストローラ対6へ送られる。
印刷用紙Pはレジストローラ対6で斜めずれ等を修正された後、版胴8の画像先端と印刷用紙Pの先端部の所定位置とが一致するタイミングでレジストローラ対6により版胴8の印刷ニップ部へ向けて送られる。
このタイミングに合わせてプレスローラ12が版胴8に押圧される。プレスローラ12によって印刷用紙Pが版胴8に押圧されると、版胴8に内蔵された図示しないインキ供給手段により供給された1色目のインキが版胴8の外周面に巻装された図示しない製版済みのマスタの穿孔部から滲み出て印刷用紙P上に転移する。
これにより印刷用紙Pに1色目の画像が印刷される。プレスローラ12は版胴8の外周面に設けられたマスタクランパ32との干渉を避けるように間欠的に押圧される。
【0019】
印刷がなされた印刷用紙Pは版胴8から分離爪70により分離される。分離爪70はエアーポンプ72にエアーホース74を介して接続されており、所定のタイミングで版胴8と印刷用紙Pの先端との間に圧搾空気を吐出する。圧搾空気により印刷用紙Pは非接触方式で版胴8から分離され、これにより、インキの粘着力によって付着したまま版胴8の回転に伴って上方に引き上げられる「巻き上がり」現象が防止される。
エアーポンプ72は回転軸76によって駆動される。回転軸76は、図示しない版胴8の回転軸に固定されたプーリ78によりベルト80を介して駆動力を伝達される回転軸82により回転駆動されるようになっている。
【0020】
版胴8から分離された印刷用紙Pは、中間搬送手段14により搬送される。中間搬送手段14は、図2に示すように、従動プーリ14aと、駆動プーリ14bと、これらのプーリ間に掛け渡された搬送ベルト14cと、図示しないファンを有する周知の構成であり、エアー吸引によって搬送ベルト14c上に印刷用紙Pを吸着しながら搬送する。中間搬送手段14の搬送線速度は印刷用紙Pの線速度の所定倍に設定されている。
中間搬送手段14は、上流側の版胴8と下流側の版胴10間における印刷用紙Pの搬送面が、上流側の版胴8の印刷位置と下流側の版胴10の印刷位置を結ぶ基線85の下方に位置するように設けられている。これにより、上流側の版胴8の印刷位置から下流側の版胴10の印刷位置までの印刷用紙Pの搬送距離が両印刷位置間の距離よりも長くなっており、印刷用紙Pの突っ張り等を防止できるようになっている。図2において符号87a,87bはガイド板を示している。
中間搬送手段14は必ずしもその全体を基線85の下方に位置させる必要はなく、例えば搬送方向下流側は基線85上に位置させてもよい。
【0021】
中間搬送手段14で搬送された印刷用紙Pは下流の版胴10とプレスローラ16の印刷ニップ部に進入する。プレスローラ16によって印刷用紙Pが版胴10に押圧されると、版胴10に内蔵された図示しないインキ供給手段により供給された2色目のインキが版胴10の外周面に巻装された図示しない製版済みのマスタの穿孔部から滲み出て印刷用紙P上に転移する。これにより印刷用紙Pに2色目の画像が印刷される。プレスローラ16は版胴10の外周面に設けられたマスタクランパ34との干渉を避けるように間欠的に押圧される。
【0022】
2色目の印刷がなされた印刷用紙Pは版胴10から分離爪84により分離される。分離爪84はエアーポンプ86にエアーホース88を介して接続されており、所定のタイミングで版胴10と印刷用紙Pの先端との間に圧搾空気を吐出する。圧搾空気により印刷用紙Pは非接触方式で版胴10から分離され、これにより巻き上がり現象が防止される。
エアーポンプ86は回転軸90によって駆動される。回転軸90は、1色目の版胴8に対応するエアーポンプ72を駆動する回転軸76により回転駆動される。回転軸76と回転軸90はそれぞれギアで所定の位相差をもって連結されている。
すなわち、印刷中の負荷変動が大きい部材としてのエアーポンプ72,86の駆動力を、搬送方向上流側の版胴8の駆動側から集中的に得ており、エアーポンプ72と86の上死点位置のタイミングは版胴8と版胴10との位相差分ずれている。換言すれば、印刷中の負荷変動が大きいものの駆動構成をメイン駆動源で駆動される上流側に集約している。
1パス方式のコンパクト化が図られた多色印刷では、印刷間隔、すなわち版胴間の距離が短いために、上流の版胴で印刷された画像のインキが未乾燥状態で下流側の版胴の印刷ニップ部へ進入するために、下流側の版胴に巻装されているマスタへそのインキが転移し、マスタへ転移したインキが次の印刷用紙に転移する再転写現象が生じる。再転写位置が次の印刷用紙での本来の印刷画像に対してずれると、影のように見えるいわゆるオフセットゴーストとなる。
印刷中の負荷変動が大きいものの駆動力をメイン駆動側から集中的に得ることにより版胴間の速度変動による画像位置のずれを抑制でき、オフセットゴーストを少なくできる、という実験事実に基づいて上記のような集約構成にしたものである。
【0023】
版胴10から分離された印刷用紙Pは排紙搬送手段18により搬送される。排紙搬送手段18には図示しないファンが設けられており、エアー吸引によってベルト上に印刷用紙Pを吸着しながら搬送する。排紙搬送手段18により搬送された印刷用紙Pは図示しない排紙トレイに排出されてスタックされる。
【0024】
版胴8,10の図示しない回転軸の奥側(図1で奥側)にはそれぞれタイミングプーリとしての歯付きのドラム駆動プーリ92,94が版胴8,10を交換可能に取り付けられており、このドラム駆動プーリ92,94間にタイミングベルト20が掛け渡されている。
【0025】
ドラム間位相調整手段22にはタイミングプーリとしての2つの調整用プーリ40,42が設けられており、調整用プーリ40,42とドラム駆動プーリ92,94の間にはドラム間位相調整手段22の上下変位による位相調整を短距離変位で効率的に行うための4つの偏向プーリ44が位置固定されて設けられている。偏向プーリ44はテンションプーリとしても機能する。
【0026】
ドラム間位相調整手段22は、図3に示すように、上下方向に延びるフレーム54と、フレーム54の上下端部に回転自在に支持された調整用プーリ40,42と、フレーム54の上端部に固定された上下方向に延びるネジ軸58と、ネジ軸58に螺合し、図示しないブラケットにより位置決めされたナットギア60と、ステッピングモータである位相調整モータ62と、位相調整モータ62の回転軸に固定されてナットギア60に噛み合う駆動ギア64と、フレーム54の図示しない穴に対応してホームポジションを検知する光反射型のホームポジション検知センサ65等を有している。
位相調整モータ62の回転によるねじ送り構成により、フレーム54は図示しない装置本体側板に固定されたガイド部材によりガイドされながら上下に移動する。平プーリとしての各偏向プーリ44は、図示しない装置本体側板に固定された軸66に回転自在に支持されており、調整用プーリ40,42とドラム駆動プーリ92,94間においてタイミングベルト20を絞り込むように配置され、タイミングベルト20の裏面に当接している。
【0027】
位相調整モータ62が回転駆動され、フレーム54が上方向(矢印X方向)に移動すると、調整用プーリ40,42が共に上方に変位し、版胴8,10はそれぞれ図1において矢印a、b方向に回転する。これにより版胴8,10の位相が変化し、位相調整(色ずれ調整)が可能となる。上記と逆方向の位相調整をする場合には、位相調整モータ62を逆回転させ、フレーム54を下方向(矢印Y方向)に移動させればよい。
【0028】
次に、用紙の種類に応じた下流側の版胴10の位相調整について説明する。
上記構成を有する孔版印刷装置2は、図4に示す制御手段95によって制御され、操作パネル96を介して各種の制御条件が設定されるようになっている。
制御手段95は、CPU,ROM(印刷用紙の種類別の位相調整データが予め記憶されたメモリ),RAM,I/Oインターフェース等を含むマイクロコンピュータであり、ドラム間位相調整手段22の位相調整モータ62等を制御する。操作パネル96には、用紙種類設定手段97が設けられており、オペレータが印刷用紙Pの種類を選択して設定できるようになっている。
制御手段95の図示しないROMには、位相調整データD1(薄紙用),D0(標準紙用) ,D2(厚紙用) が予め記憶されており、用紙種類設定手段97により印刷用紙Pの種類が設定されると、制御手段95は設定された印刷用紙Pの種類に対応した位相調整データを抽出し、抽出したデータに基づいて下流側の版胴10の位相を調整する。
これらの位相調整データは、下流側の版胴10での画像位置のずれを実際に補正できる値として実験的に得られた最適値又は平均値である。
【0029】
具体的に説明すると、制御手段95は、位相調整データを抽出すると、この位相調整データに対応したドラム間位相調整手段22による調整量を位相調整モータ62のステップ数に換算し、決定されたステップ数に基づいて位相調整モータ62を制御する。
例えば、印刷用紙Pの種類として厚紙が設定されると、制御手段95は図示しないROMから厚紙用の位相調整データD2 を抽出し、このデータD2 をステップ数に換算し、下流側の版胴10上の画像位置を進めさせるべく、決定されたステップ数に基づいて位相調整モータ62を駆動してドラム間位相調整手段22(厳密にはフレーム54)を上方に変位させる。
電源投入時や印刷用紙Pの種類が変わった場合には、制御手段95は位相調整モータ62を駆動してドラム間位相調整手段22をホームポジションに位置付ける制御を行うようになっている。
【0030】
標準紙で画像の位置ずれが無いように調整し、薄紙と厚紙の場合のみ位相調整を行う制御方式としてもよい。この場合、標準が選択されたときは、制御手段95はドラム間位相調整手段22がホームポジションに位置した状態で印刷を実行するように制御する。
また、用紙の種類を標準、薄紙、厚紙の3種類よりもさらに多段階に分類し、それぞれの位相調整データを実験的に決定して精密な制御を行うようにしてもよい。
【0031】
本実施例における用紙の種類(標準、薄紙、厚紙)の区別は印刷用紙Pの寸法的な厚みを基準としているが、これに限定される趣旨ではなく、紙質による腰力を基準として区別してもよい。従って、同じ厚みでも腰力の差によって区別するケースもあり得る。
【0032】
用紙種類設定手段97は、図5に示すように、操作パネル96の表示部を兼ねる液晶表示部98と、用紙種類を選択するための矢印キー99a、99bと、選択された用紙種類を確定入力するための設定キー99c等を有している。
液晶表示部98は、図示しない液晶駆動回路を介して制御手段95により制御される。液晶表示部98の図中上段部には「用紙の種類を選択入力して下さい」という操作概要が文字で表示され、中段部には目視で選択できるように、標準、薄紙、厚紙が文字表示される。
下段部には用紙の種類の細分類的内容表示がなされるようになっている。例えば標準を選択した場合には、標準紙に含まれるものとして複写用紙、中質紙、上質紙、再生紙等があることを表示するようになっている。オペレータは使用する印刷用紙Pが標準、薄紙、厚紙のどれに当たるのかをこの内容表示によって認識し、選択する。
【0033】
図5に示すように、電源投入時にはカーソルが自動的に標準に位置するようになっており、印刷用紙Pの種類が標準の場合にはそのまま設定キー99cを押下することにより用紙種類の設定操作が完了する。図5に示す状態から薄紙又は厚紙を設定する場合には、矢印キー99bでカーソルを右側に移動させる。
【0034】
給紙カセットを複数有し、各給紙カセットに収容する用紙の種類が定められている場合には、給紙カセット毎に用紙の種類を把握することができる。この場合には給紙カセットの選択キーが用紙種類設定手段となる。
【0035】
次に、図6に基づいて他の実施例を説明する。なお、装置の基本構成は上記実施例と同一であるので図示を省略する。また、同一部分は同一符号で示し、重複説明は特に必要がない限り省略する。
上記実施例では用紙種類設定手段97によりオペレータが用紙の種類を設定する構成を示したが、本実施例では用紙の種類を自動検知することを特徴としている。
【0036】
印刷用紙Pの厚みを検知する用紙厚み検知手段としての透過型フォトセンサ102が図1で示した構成の適正箇所、例えばレジストローラ対6の上流近傍に配置されており、透過型フォトセンサ102による検知信号が制御手段95に入力されるようになっている。制御手段95は透過型フォトセンサ102からの検知信号に基づいて、すなわち光透過量に対応した信号量に基づいて用紙の種類を判断し、判断された用紙の種類に対応した位相調整データを抽出し、抽出したデータに基づいて下流側の版胴10の位相を調整する。
すなわち、上記実施例と同様に、抽出した位相調整データに対応したドラム間位相調整手段22による調整量を位相調整モータ62のステップ数に換算し、決定されたステップ数に基づいて位相調整モータ62を制御する。本実施例における操作パネル100には用紙種類設定手段97は設けられていない。
【0037】
上記各実施例では下流側の版胴10の位相調整を制御手段95により自動的に行う構成としたが、操作パネル上で位相調整量をマニュアル設定し、これに基づいてドラム間位相調整手段22が動作する構成としてもよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、紙厚を基準とした印刷用紙の種類に拘らず画像の位置ずれによる印刷不良を抑制できる。
【0039】
本発明によれば、位相調整を正確、容易且つ迅速に行うことができる。
【0040】
本発明によれば、操作パネルに用紙種類設定手段が設けられている構成としたので、用紙種類の設定操作を容易に行うことができる。
【0041】
本発明によれば、用紙厚み検知手段により用紙の種類を自動検知する構成としたので、位相調整におけるオペレータの労力を軽減できる。
【0043】
本発明によれば、位相調整を高精度に行うことができる。
【0044】
本発明によれば、上流側の印刷ドラムと下流側の印刷ドラム間の印刷用紙の搬送面が、上流側の印刷ドラムの印刷位置と下流側の印刷ドラムの印刷位置を結ぶ基線の下方に位置する構成としたので、搬送時の画像面の擦れ等を考慮する必要がなく、簡易な構成で印刷用紙の突っ張り等を防止しながら用紙の種類に拘らず画像位置のずれによる印刷不良を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る印刷装置としての孔版印刷装置の概要正面図である。
【図2】版胴間の搬送経路を示す概要正面図である。
【図3】ドラム間位相調整手段の概要正面図である。
【図4】制御ブロック図である。
【図5】用紙種類設定手段の概要平面図である。
【図6】他の実施例における制御ブロック図である。
【図7】版胴の印刷位置間距離よりも印刷用紙の搬送距離長く設定された構成を示す概要正面図である。
【図8】用紙の種類によって画像位置がずれる状態を示す概要正面図である。
【符号の説明】
8,10 印刷ドラムとしての版胴
22 ドラム間位相調整手段
85 基線
95 制御手段
96 操作パネル
97 用紙種類設定手段
102 用紙厚み検知手段としての透過型フォトセンサ
P 印刷用紙
Claims (4)
- 印刷用紙の搬送方向に間隔をおいて配置された複数の印刷ドラムと、上記搬送方向における上流側の印刷ドラムの印刷位置から隣合う下流側の印刷ドラムの印刷位置までの印刷用紙の搬送距離が両印刷位置間の距離よりも長く設定され、上記上流側の印刷ドラムの位相に対する上記下流側の印刷ドラムの位相を調整可能なドラム間位相調整手段を備え、印刷用紙の1回の搬送で多色印刷が可能な印刷装置において、
上記上流側の印刷ドラムと上記下流側の印刷ドラム間の印刷用紙の搬送面が、上記上流側の印刷ドラムの印刷位置と上記下流側の印刷ドラムの印刷位置を結ぶ基線の下方に位置し、
紙厚を基準とした印刷用紙の種類に応じて、紙厚が厚いほど、紙厚が同じ場合には腰が強いほど上記下流側の印刷ドラム上の画像位置を進めさせるように上記ドラム間位相調整手段を制御して上記上流側の印刷ドラムと上記下流側の印刷ドラムとの画像位置のずれを調整する制御手段を有し、上記制御手段は、予め求められた印刷用紙の種類別の位相調整データに基づいて上記ドラム間位相調整手段を制御することを特徴とする印刷装置。 - 請求項1記載の印刷装置において、
印刷用紙の種類を選択して設定する用紙種類設定手段を有し、上記制御手段は、上記用紙種類設定手段により設定された印刷用紙の種類に対応した位相調整データを選択してこれに基づいて制御することを特徴とする印刷装置。 - 請求項2記載の印刷装置において、
操作パネルを有し、この操作パネルに上記用紙種類設定手段が設けられていることを特徴とする印刷装置。 - 請求項1記載の印刷装置において、
印刷用紙の厚みを検知する用紙厚み検知手段を有し、上記制御手段は、上記用紙厚み検知手段により検知された印刷用紙の種類に対応した位相調整データを選択してこれに基づいて制御することを特徴とする印刷装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP22374499A JP4430163B2 (ja) | 1999-08-06 | 1999-08-06 | 印刷装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP22374499A JP4430163B2 (ja) | 1999-08-06 | 1999-08-06 | 印刷装置 |
Publications (2)
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