JP4429527B2 - 検証可能なホログラフィー物品 - Google Patents

Description

【０００１】
技術分野
本発明は、ホログラムを具備するセキュリティ物品に関する。
【０００２】
発明の背景
ホログラムは、製造および複製またはコピーが困難であるとみなされるため、認証またはセキュリティ装置として一般に使用されている。ホログラムは、記録場所で光によって形成された干渉パターンの記録であり、最初に、コヒーレント光ビーム、たとえば、レーザビームを物体に照射することによって製造することができる。物体から反射した光が、写真フィルムまたはプレート等の感光記録媒体に当たることができ、同時に、参照ビーム（光源からの光の一部を具備する）が、物体を迂回して、記録媒体に直接当たるように方向づけられる。（したがって、記録媒体に入射する光は、物体から反射した光と参照ビームとの合計である。）記録媒体がコヒーレント光（すなわち、レーザビームまたは太陽光）によって後に照射されるときに、観察者は物体の仮想画像を見るが、これは、三次元空間に存在するように見える。ホログラムによっては、非コヒーレント光（たとえば、拡散光）でさえ、見えるものもある。
【０００３】
ホログラムは一般に、抗偽造装置としてクレジットカード等に組み込まれ、偽造者はホログラムを製造するのに必須の精巧な設備を持っていないと考えられている。しかし、偽造者は、偽造方法を開発した。増加する偽造の流行に対する１つの対策は、より複雑なホログラムを生成することであるが、これは、コストも増加する。他のアプローチは、潜在画像と、特別な検証または認証設備たとえばレーザとの使用に依存し、そのような画像を検出することができるが、そのような設備は、高価であり使用が困難であることが多い。したがって、業界では、偽造がきわめて困難であり、費用効果的に製造することができ、現場状態下で容易に且つ安価に認証または検証することができるセキュリティホログラフィー物品が依然として必要である。
【０００４】
発明の開示
簡単に言うと、１つの態様において、本発明は、（ａ）少なくとも１つのホログラムと、（ｂ）エーリアシングまたはモアレ効果を生じるデコーディングサンプリング装置、たとえば、フォトコピー機を使用して、可視（ｏｖｅｒｔ）画像に変換することができる少なくとも１つの潜在（ｃｏｖｅｒｔ）画像と、を具備する支持体を具備する検証可能なホログラフィー物品を提供する。好ましくは、潜在画像は、人間の目には実質的に認識不可能な高周波数画像であり、まず、デコーディングサンプリング装置のサンプリング周波数の２分の１よりも大きいオリジナルの可視画像の周波数構成要素を除去して、次に、残りの周波数構成要素をサンプリング周波数の２分の１に対応する軸のまわりに反射することによって、形成される。
【０００５】
本発明の検証ホログラフィー物品は、「第１のライン」（ホログラム）と「第２のライン」（潜在画像）との両方のセキュリティ特徴を費用効果的に提供し、これによって、偽造（ホログラフィを超える分野で複雑な知識を必要とする）の困難さを増加し、ホログラフィー物品のセキュリティのレベルを改良する。さらに、物品は、たとえば、高価で使用するのが困難であり、且つ、危険な可能性のあるレーザ検出設備を必要とせずに、フォトコピー機または他の簡単なサンプリング装置を使用して、容易に、即座に且つ安全に検証または認証することができる。
【０００６】
他の態様では、本発明は、本発明の検証可能なホログラフィー物品を具備するセキュリティラベルまたはセキュリティラミネート、および、物品およびデコーディングサンプリング装置を具備するキットも提供する。
【０００７】
発明の詳細な説明
参照符号
１：検証可能なホログラフィー物品
５：支持体
１０：ホログラム
１５：潜在画像（図１ａ）、可視画像（図１ｂ）
【０００８】
本発明の検証可能なホログラフィー物品は、添付の図面を参照することによってよりよく理解されるが、図１ａは、本発明の物品１の実施態様を示し、支持体５は、ホログラム１０と潜在画像１５とを具備する。ホログラム１０は、単色コヒーレント光源、たとえば、レーザを使用せずに、見ることができるかまたは復元することができる業界で公知のいずれの種類であってもよい。そのような種類のホログラム（「太陽光で見える」または「白色光で見える」ホログラムと呼ばれることもある）として、たとえば、反射ホログラム、透過ホログラム、トゥルーカラーホログラムおよび複合ホログラムが挙げられる。支持体５は、フォトポリマーフィルム、写真フィルム、フォトクロミックガラス／結晶、二色性ゼラチン、熱可塑性材料、光屈折結晶、エンボス可能な反射材料（たとえば、金属化紙、金属化ポリマーおよび金属箔）等、およびそれらの組み合わせ等の種類のホログラムを製造し且つ／または組み込むのに有用な業界で公知のいずれの材料であってもよい。そのための有用なホログラムおよび支持体の例として、たとえば、米国特許第４，８５６，８５７号（Ｔａｋｅｕｃｈｉ ｅｔ ａｌ．）に記されたものが挙げられる。
【０００９】
好ましくは、ホログラムは、透過ホログラム（より好ましくは、レインボウホログラム）であり、支持体は、反射支持体、たとえば、金属箔、金属化紙または金属化ポリマーフィルムである。より好ましくは、支持体は金属箔であり、もっとも好ましくはアルミニウム箔である。箔は、好ましくは、厚さ約１０ミクロン未満であり、そのため、箔が加えられたセキュリティ物品から、少なくとも部分的に箔を引き裂いたり壊したりすることなく箔を取り除くことはきわめて困難である。
【００１０】
潜在画像１５は、エーリアシングまたはモアレ効果を生じるデコーディングサンプリング装置、たとえば、デジタルコピー機またはフォトコピー機を使用して、可視（目に見える）画像に変換することができる隠された画像である。潜在画像の十分な数の周波数用に装置がエーリアシングまたはモアレ効果を生成して、画像を少なくとも部分的に人間の目に見える（より好ましくは実質的に見える）ようにすることが好ましい。潜在画像は、スクリーン角度モジュレーション技術によって製造することができる。しかし、潜在画像は、まず、デコーディングサンプリング装置のサンプリング周波数の２分の１よりも大きい１つまたはそれ以上のオリジナルの可視画像の周波数構成要素を除去して、次に、残りの周波数構成要素をサンプリング周波数の２分の１に対応する軸のまわりに反射することによって、形成されることが好ましい。
【００１１】
潜在画像１５は、（ａ）たとえばコンピュータによってサンプリングされたかまたは生成されたオリジナルの可視画像の少なくとも一部のフーリエ変換を決定する（空間領域から周波数領域へ変換する）ステップと、（ｂ）画像のその部分をデコードするために選択されるデコーディングサンプリング装置のサンプリング周波数の２分の１よりも大きいフーリエ変換の周波数構成要素のすべてを除去するステップと、（ｃ）フーリエ変換の残りの周波数構成要素をサンプリング周波数の２分の１に対応する軸のまわりに反射するステップと、（ｄ）結果として得られた反射された周波数構成要素の逆フーリエ変換を決定する（周波数領域から空間領域へ戻して変換する）ステップと、を含む方法によって形成されることがより好ましい。
【００１２】
この方法で形成された潜在画像１５は、上述の除去ステップおよび反射ステップが基づいた周波数を２回サンプリングするデコーディングサンプリング装置を使用して、可視画像１５（図１ｂに示される）に変換することができる。そのようなサンプリング装置は（サンプリング定理にしたがって）、装置のサンプリング周波数の２分の１よりも大きい潜在画像の周波数を複製することはできず、代わりに、エーリアシング効果を生成し、これによって、これらの周波数は、再度サンプリング周波数の２分の１に対応する軸のまわりに反射される。周波数は、それによって、人間の目に見える周波数範囲にシフトされ（約１フィート（約３０ｃｍ）の視覚距離で１インチ（２．５４ｃｍ）につき約２５０サイクル（またはドット）未満の空間周波数）、潜在画像を可視画像に変換する。
【００１３】
潜在画像を「アンダーサンプリング」して、エーリアシング効果を生成し（これによって潜在画像は可視画像に転換される）、可視画像をたとえば用紙上に複製する検証または認証装置として、この方法でデジタルコピー機またはレーザスキャナを使用することができる。（所望により、相関分析、または、結果として得られた可視画像と、潜在画像が基づいたオリジナル画像の格納されたバージョンとの比較を実行することができる。）しかし、あるいは、人間の目で、特定のサンプリング周波数で空間領域にサンプリングすることを可能にする簡単な光学装置が、検証のために使用されてもよい。そのような装置は、たとえば、所望のサンプリング周波数関数を生成する選択された好ましくは実質的に規則的な間隔あけを有する要素のパターンまたは配列（たとえば、拡散印刷技術を使用して製造される）を具備するポリマーシート（たとえば、実質的に透明なポリマーシート）ほど簡単であってもよい。
【００１４】
特定のデジタルコピー機のサンプリング周波数が、これらの潜在画像のサンプリング定理の必要条件に合致するほど高い場合、潜在画像を可視画像に変換するのではなく、潜在画像の複製またはコピーが発生する可能性がある。しかし、当業者には認識されるように、市販のデジタルコピー機（１インチ（２．５４ｃｍ）につき約４００〜約６００サイクル（またはドット）の空間周波数でスキャンする）によるそのような複製またはコピーは、上述の除去ステップおよび反射ステップが基づく周波数を適切に選択することによって防止することができる。
【００１５】
ホログラム１０および潜在画像１５は、いずれの所望の方法で配列することができるが、互いに隣接しているか、または、一方が他方を囲繞するように配列されるかのいずれかが好ましい。潜在画像は、ホログラム内に一体化されることがより好ましい（たとえば、２Ｄ／３Ｄを製造するのに使用される角度的視覚の１つとして潜在画像を含むことによる）。ホログラムおよび潜在画像を支持体５に組み込むことは、ホログラムを生成またはコピーする業界で公知のいずれの方法で実行することができる。エンボス技術を使用することが好ましい。所望により、潜在画像のデコーディングに実質的に干渉する可能性がある可視画像のいずれの周波数（たとえば、高い不可視周波数）が最初に除去されるのであれば、可視画像は潜在画像に重ね合わせることができる。
【００１６】
本発明の目的および利点は、下記の実施例によってさらに例示されるが、これらの実施例に引用された特定の材料および量、さらに他の状態および詳細は、本発明を不当に制限するように理解されるべきではない。
【００１７】
実施例
実施例１
この実施例は、エンボスされた金属箔を具備する検証ホログラフィー物品の形成を記載する。
【００１８】
２つのオリジナルのデジタル画像が形成され（一方は可視ホログラムを生成するのに使用され、他方は潜在画像を生成するのに使用されるものとする）、選択されたパターンに配列され（画像は互いに隣接する）、Ｉｌｌｕｓｔｒａｔｏｒ登録商標ソフトウェア（アメリカ合衆国カリフォルニア州サンホセのアドビ社（Ａｄｏｂｅ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ））を使用してオリジナルパターンファイルに記録された。次に、同ソフトウェアを使用して、オリジナルパターンファイルから、５つの異なる高解像度グラフィックファイルが形成された。５つのグラフィックファイルの各々は、可視ホログラムになることになっているオリジナル画像の異なる必須の図を含んだ（５つの異なる視角の各々用に）が、第２のオリジナル画像（潜在画像になることになっている）の図は、５つのファイルの各々で同一であった。
【００１９】
並行して、潜在画像になることになっているオリジナル画像を含むＩｌｌｕｓｔｒａｔｏｒ登録商標ファイルで、二次元高速フーリエ変換が実行された。各次元用の反射軸が、選択されたデコーディングサンプリング装置のサンプリング周波数の１／２に位置決めされた。各次元で、反射周波数よりも高い周波数は、削除した。反射周波数よりも低い周波数は、次いで、高周波数区域に反射された。可視画像は潜在画像を隠すためには使用されないため、反射周波数よりも下の区域に加えられる周波数はなかった。最後に、二次元逆フーリエ転換が行われて、空間領域に潜在画像を含む潜在画像ファイルを生成した。
【００２０】
潜在画像は、次いで、５つのグラフィックファイルの各々の対応する可視画像上を通った。５つのファイルの各々は、超高解像度出力装置を使用して、白黒の陰画として透明なフィルム上に印刷された。
【００２１】
フォトレジストプレートは、５つの陰画フィルムを使用して、結果として得られたレインボウホログラムが様々な視角で特定の色シフトを有するようにプレートを露出することによって、形成された。次いでフォトレジストプレートを使用して、ニッケル電鋳方法によってエンボスツール（またはシム）を製造した。シムは、この方法によって複製されるため、十分同一なシムを利用して、マスターエンボスロールの表面を覆った。
【００２２】
マスターエンボスロールを使用して、１９ミクロン厚のポリエステル（ポリエチレンテレフタレートすなわちＰＥＴ）キャリヤに支持された押箔（エンボスホログラムに一般に使用される標準アルミニウム押箔）を熱エンボスした。最終結果として得られたものは、エンボスされた画像を具備する５ミクロン厚のアルミニウム箔層を有する１９ミクロンポリエステルキャリヤを具備するウェブであった。
【００２３】
ホログラムおよび潜在画像を有するアルミニウム箔層は、セキュリティ用紙の表面に箔押しされた。エンボスされた箔押しフィルムを有するセキュリティ用紙は、セキュリティ印刷技術を使用してセキュリティ書類を印刷するための支持体として使用された。選択されたセキュリティ書類の認証は、まず、ホログラム画像を観察（第１ライン検査）し、次いで、デコーディングサンプリング装置を使用（第２ライン検査）することによって検証され、エーリアシング効果を生成することによって潜在画像を見えるようにした。
【００２４】
実施例２
ワッシャー形状の円形バンドの形状を有するホログラム画像を使用して、実施例１が繰り返される。ホログラム画像および潜在画像は、潜在画像がホログラム画像の中心にあり且つこれによって囲繞されるように、配列される。
【００２５】
本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本発明の様々な修正および変更が可能であることは当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、下記の説明、添付の特許請求の範囲および添付の図面からよりよく理解される。
【図１ａ】 図１ａの潜在（隠れた）画像を図１ｂの可視（目に見える）画像に変換するデコーディングサンプリング装置を用いる前の本発明による検証ホログラフィー物品の実施態様の上面図である。
【図１ｂ】 図１ａの潜在（隠れた）画像を図１ｂの可視（目に見える）画像に変換するデコーディングサンプリング装置を用いた後の本発明による検証ホログラフィー物品の実施態様の上面図である。
これらの図は、理想化されており、縮尺通りには引かれてはおらず、単に例示的なものであって、限定的ではないと意図される。

Claims (1)

1. （ａ）少なくとも１つのホログラムと、（ｂ）エーリアシングまたはモアレ効果を生じるデコーディングサンプリング装置を使用して、可視画像に変換することができる少なくとも１つの潜在画像であって、該潜在画像が、（ｉ）前記デコーディングサンプリング装置のサンプリング周波数の２分の１よりも大きいオリジナルの可視画像のいずれの周波数構成要素をも除去するステップと、（ｉｉ）残りの周波数構成要素を前記サンプリング周波数の２分の１に対応する軸のまわりに反射するステップと、を含む方法によって形成されるものとを具備する支持体を具備する検証可能なホログラフィー物品。

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