図1は、本発明の第1実施例である遠隔制御システムの構成図を示す。本実施例のシステムは、車両に搭載される車載機10と、その車両の運転者や所有者などの正規の車両使用者に携帯される携帯電話やパソコン,PDA等の操作端末12と、車載機10と操作端末12との間における情報を管理するセンタ14と、により構成されている。本実施例の遠隔制御システムは、操作端末12が操作されることにより車載機10の有する後述の車載機器の駆動を遠隔的に制御するシステムである。
車載機10は、タイマ機能を有する車載用電子制御ユニット(以下、車載ECUと称す)20を備えている。車載ECU20は、コンピュータを搭載し、ROMなどの記憶装置に予め格納されたソフトウェアプログラムに従って動作する。車載ECU20は、自車両の電話番号を含む識別情報及び上記したセンタ14の電話番号などを格納する記憶装置を有している。車載ECU20には、データ通信アンテナを有するデータコミュニケーションモジュール(DCM)などの送受信機22が接続されている。送受信機22は、所定の通信ネットワークを通じてセンタ14と無線通信を行うことが可能となっている。送受信機22は、車載機10の情報を通信ネットワークを介してセンタ14へ送信する機能、及び、センタ14から通信ネットワークを介して送信される情報を車載機10に受信する機能を有している。車載ECU20は、送受信機22との間で送信データ及び受信データの授受を行う。
車載ECU20には、また、共に車室内に配設されたカメラ24及びマイク25が接続されている。カメラ24は、車室内全域及び車室外の車両周辺の状況を撮影し得るカメラである。尚、カメラ24は、一台の広角カメラであってもよいし、また、複数台の通常カメラであってもよい。カメラ24の撮像画像は、車載ECU20に供給される。車載ECU20は、内蔵する画像処理装置によりカメラ24の撮影した撮像画像を処理する。また、マイク25には、車室内及び車室外で発生する音が入力される。マイク25に入力された音は、音声データとして車載ECU20に供給される。車載ECU20は、マイク25による音声データを処理する。
本実施例において、車載機10を搭載する車両の使用に際しては、上記した操作端末12とは別に車両運転者等に携帯される車両キーが利用され得る。この車両キーは、車両ドアのロック・アンロックやイグニションの切り替えなどに用いられる。尚、この車両キーは、機械的なキーであっても、携帯者によりスイッチ操作されることにより或いは車両からの要求信号を受信することによりその機能を発揮させるために指令信号を車両に向けて無線送信するワイヤレスキーやスマートキーであってもよいが、少なくとも自発的に所定間隔で又は車載機10からの応答要求に対して自己を特定するための信号を発する発信機能を有する。
車載機10は、車室内及び車室外の双方に設けられたアンテナを用いて、少なくとも上記した車両キーの発する信号を受信する受信機能を有し、また、必要に応じて車両キーの応答を要求する信号を発信する送信機能も有する。車載機10の受信可能範囲及び送信可能範囲は、車両を中心にした予め所定の領域に限定されている。車載機10は、車両がアクセサリオフ態になった後、車両キーの送信する信号を受信するか否か及び受信したときには何れのアンテナで受信したか否かに基づいて、自己の車両に対応する車両キーが車室内に存在するか否かを判別すると共に、車両キーが車両から近い車室外の領域(車両周辺)に存在するか否かを判別する。
また、車載機10は、車両において車両キーを用いた車両ドアのロック・アンロック操作又はイグニション操作が行われているか否かを判別する機能を有している。以下、この車両キーを利用した車両操作を「ローカル操作」と称す。
車載ECU20には、また、人検出センサ26が接続されている。人検出センサ26は、車室内に配設されており、車室内に存在する人の有無に応じた信号を出力する。尚、人検出センサ26は、カメラの撮像画像を処理したものであっても、また、電波や超音波,赤外線などを用いたものであっても、車両シートに上方から加わる荷重を用いたものであってもよい。車載ECU20は、人検出センサ26の出力信号に基づいて車室内に存在する人の有無を判別する。
車載ECU20には、また、車両盗難が行われる際の不正行為を検出するためのセンサ28が接続されている。この不正行為検出センサ28としては、例えば超音波や赤外線を用いて車室内に存在する不審者の動きを検知するための侵入センサ、フロントガラスやリアガラス,車両ドアに設けられた窓ガラスが割れる際の音や振動を検知するガラス割れセンサ、車両の水平からの前後方向軸回り及び左右方向軸回りの傾斜角(すなわち、ロール角及びピッチ角)を検出するための傾斜センサ、又は、フロントやリア,ラッゲージなどの車両ドアや車両のフロントフードの開閉を検出するためのカーテシスイッチやフードスイッチなどがある。
車載ECU20は、車両のイグニションキーシリンダに車両乗員の携帯する車両キーが差し込まれていない状態ですべての車両ドアが閉じられかつ施錠されている場合に、車両盗難行為を監視・警戒する警戒モードとなり、不正行為検出センサ28の出力信号に基づいて、車両侵入者が存在しているか否か、窓ガラスが割られているか否か、車両の意図しないレッカー移動やジャッキアップが行われているか否か、及び、車両ドア又は車両フードがこじ開けられているか否かを判定し、上記の如き車両に対する不正行為の有無を判別する。
車載ECU20には、また、入出力部30が接続されている。入出力部30は、車両に乗車した人により操作され得ると共に、車両に乗車した人へ向けてスピーカによる音声・警報出力及びディスプレイによる表示出力を行い、また、車両周囲の人へ向けてホーンやブザー,外部スピーカによる音声・警報出力を行う。車載ECU20は、入出力部30に対する操作を検出し、また、入出力部30が出力すべき際にその入出力部30に対して指令信号を供給する。
車載ECU20には、更に、車載ECU20の制御する車載機器として、エンジン始動アクチュエータ32、ウィンドウ開閉アクチュエータ34、及びドアロック・アンロックアクチュエータ36などが接続されている。エンジン始動アクチュエータ32は、車両動力であるエンジンを始動させる機器であり、車載ECU20から供給される指令に従ってエンジンを始動させる。ウィンドウ開閉アクチュエータ34は、各車両ドアに設けられたウィンドウを開放しかつ閉じる機器であり、車載ECU20から供給される指令に従ってウィンドウを開放し或いは閉じる。ドアロック・アンロックアクチュエータ36は、各車両ドアを施錠しかつ施錠する機器であり、車載ECU20から供給される指令に従って車両ドアを解錠状態から施錠させ或いは施錠状態から解錠させる。車載ECU20は、後に詳述する如く、センタ14から送信された要求信号が送受信機22で受信された場合に、適宜、エンジン始動アクチュエータ32、ウィンドウ開閉アクチュエータ34、又はドアロック・アンロックアクチュエータ36に対してその機能を発揮させるための指令信号を供給する。
操作端末12は、タイマ機能を有する携帯用電子制御ユニット(以下、携帯ECUと称す)40を備えている。携帯ECU40は、コンピュータを搭載し、ROMなどの記憶装置に予め格納されたソフトウェアプログラムに従って動作する。携帯ECU40は、自操作端末12に対応する車両の電話番号及び自操作端末12のメールアドレスや電話番号を含む識別情報並びに上記したセンタ14の電話番号などを格納する記憶装置を有している。携帯ECU40には、データ通信アンテナを有する送受信機42が接続されている。送受信機42は、所定の通信ネットワークを通じてセンタ14と無線通信を行うことが可能となっている。送受信機42は、操作端末12の情報を通信ネットワークを介してセンタ14へ送信する機能、及び、センタ14から通信ネットワークを介して送信される情報を操作端末12に受信する機能を有している。携帯ECU40は、送受信機42との間で送信データ及び受信データの授受を行う。
携帯ECU40には、また、バッテリ容量検出センサ44が接続されている。操作端末12は、充放電可能なバッテリを有し、かかるバッテリから電力供給されることにより電気的に作動可能となる。上記したバッテリ容量検出センサ44は、バッテリ電圧やバッテリ電流などの、操作端末12の有するバッテリの残存容量に応じた信号を出力するセンサである。携帯ECU40は、バッテリ容量検出センサ44の出力信号に基づいて操作端末12のバッテリの残存容量を検出する。
携帯ECU40には、車両使用者により入力操作されると共に、車両使用者へ向けて表示出力や音声出力する入出力部46が接続されている。操作端末12は、webブラウザを有しており、入出力部46への入力操作により通信ネットワークを介して外部のwebサーバーに蓄積されたファイルやデータを閲覧可能であり、センタ14の提供する後述の車両操作(具体的には、上記した車載機器32〜36の駆動)を要求するためのweb画面を取得可能である。
センタ14は、高速演算可能なホストコンピュータ60を備えている。ホストコンピュータ60は、ROMなどの記憶装置に予め格納されたソフトウェアプログラムに従って動作する。ホストコンピュータ60には、大容量のデータベース62が接続されている。データベース42には、センタ14を利用する利用者である車両の正規使用者の識別情報や操作端末12のメールアドレス,電話番号及び車両の識別情報や電話番号などの顧客情報が格納されている。
センタ14には、データ通信アンテナを有する送受信機64が接続されている。送受信機64は、所定の通信ネットワークを通じて車載機10及び操作端末12と無線通信を行うことが可能となっている。送受信機64は、センタ14の情報を通信ネットワークを介して車載機10及び操作端末12へ送信する機能、並びに、車載機10及び操作端末12から通信ネットワークを介して送信される情報をセンタ14に受信する機能を有している。センタ14のホストコンピュータ60は、送受信機64との間で送信データ及び受信データの授受を行う。
以下、図2乃至図8を参照して、本実施例の遠隔制御システムの動作について説明する。
本実施例において、車両使用者は、車両から離れた地点で、暖機等のためエンジン始動アクチュエータ32を駆動させてエンジンを始動させること、盗難防止等のためウィンドウ開閉アクチュエータ34を駆動させて車両ドアのウィンドウを完全に若しくはある程度開閉させること、又は、盗難防止等のためドアロック・アンロックアクチュエータ36を駆動させて車両ドアを施解錠させることを希望する場合、操作端末12の入出力部46を操作してwebブラウザを起動させる。センタ14は、操作端末12の操作によって遠隔的に車載機10の車載機器32〜36を駆動させるのに必要な車両操作(車載機器32〜36の駆動)を要求するフォーマットを格納している。操作端末12は、webブラウザを起動した状態で車両使用者による操作に従ってセンタ14と通信ネットワークを介して無線通信接続し、センタ14の有する車両操作を要求するためのweb画面を提供するようにセンタ14に要求する。センタ14は、操作端末12からの要求に従って車両操作を要求するためのweb画面を操作端末12に提供する。操作端末12は、上記処理に従ってセンタ14から車両操作を要求するためのweb画面を取得する。
このweb画面には、操作端末12の操作によって遠隔制御することが可能な車両操作の項目が設けられている。操作端末12は、遠隔制御可能な車両操作の項目ごとに設けられたチェックボックスにおけるチェックの有無に基づいて、何れの車載機器32〜36の遠隔駆動(車両操作)が車両使用者に希望されているか否かを判別する。操作端末12は、車両使用者による操作によって上記何れかのチェックボックスにチェックが入った状態で送信要求がなされると、そのチェックに対応する車載機器32〜36の遠隔駆動が希望されていることをセンタ14に通知すべくその車両操作要求情報をセンタ14に対して送信する。
センタ14は、車両操作を要求するためのweb画面を操作端末12に提供した後に、その操作端末12から送信される車両操作要求情報を受信した場合、操作端末12における操作によって特定の車載機器32〜36の遠隔駆動が要求されていることを示す車両操作要求情報を車載機10に対して送信する。車載機10は、センタ14から送信される車両操作要求情報を受信した場合、その車両操作要求に応じた車載機器32〜36の駆動を実行する。
このように本実施例の遠隔制御システムにおいては、車載機器32〜36の駆動は、操作端末12が操作(以下、この操作をリモート操作と称す)されることによってセンタ14を介して遠隔的に制御される。このため、車両使用者は、車両に搭乗していなくても車両から離れた場所において車載機器32〜36を駆動させることができる。従って、本実施例のシステムによれば、エンジン始動アクチュエータ32によるエンジン始動、ウィンドウ開閉アクチュエータ34によるウィンドウ開閉、及びドアロック・アンロックアクチュエータ36による車両ドアの施解錠を遠隔操作によって実現することが可能となっている。
ところで、車載機器32〜36の遠隔駆動が、操作端末12が車両使用者にリモート操作されるごとに常に行われるものとすると、車両の置かれている状況や車両に乗車している乗員の状態などによっては安全上や環境上,法規上問題となるおそれがある。そこで、本実施例のシステムは、かかる点を考慮して操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動を行う点に特徴を有している。以下、図2乃至図8を参照して、本実施例の特徴部について説明する。
図2は、本実施例の遠隔制御システムにおける通常動作を説明するためのフローチャートを示す。本実施例の遠隔制御システムにおいて、車載機10、操作端末12、及びセンタ14はそれぞれ、以下に示す機能を実現するためのプログラムを有し、そのプログラムに従って動作する。これらの各プログラムは、CDやDVD,ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されることが可能である。
本実施例において、操作端末12がセンタ14から車両操作を要求するためのweb画面を取得した場合、その画面上では、遠隔制御可能な車両操作の項目ごとに設けられたチェックボックスがチェック可能にアクティブ表示される前に、まず、車両自体やその周囲の車両状況の事前確認を要求するためのチェックボックスがチェック可能に表示される。すなわち、車両操作ごとのチェックボックスがチェック不能である状態で、事前確認のためのチェックボックスがチェック可能に表示される。操作端末12は、車両使用者による操作によってかかる事前確認のためのチェックボックスにチェックが入った状態で送信要求がなされると、その事前確認を要求していることをセンタ14に通知するためにかかる事前確認要求情報をセンタ14に対して送信する(ステップ120)。
センタ14は、車両操作を要求するためのweb画面を操作端末12に提供した後に、その操作端末12から送信される事前確認要求情報を受信した場合、操作端末12における操作によって車両状況の事前確認が要求されていることを示す事前確認要求情報をその車両の車載機10に対して送信する(ステップ140)。車載機10は、センタ14から送信される事前確認要求情報を受信した場合、その事前確認要求情報に応答してカメラ24及びマイク25の作動を開始させ、車室内全域及び車室外の車両周辺を撮影したカメラ24による撮像画像データおよびマイク25に入力された車室内及び車室外で発生する音声データをセンタ14に対して送信する(ステップ100)。
センタ14は、操作端末12からの事前確認要求情報を車載機10に送信した後に、その車載機10から送信されるカメラ24による撮像画像データおよびマイク25による音声データを受信した場合、それらのデータを対応の操作端末12に対して提供する(ステップ142)。操作端末12は、事前確認要求情報をセンタ14に送信した後に、センタ14から送信される車両に搭載されたカメラ24による撮像画像データおよびマイク25による音声データを受信した場合、その撮像画像を入出力部46のディスプレイに表示し、かつ、その音声を入出力部46のスピーカから出力する(ステップ122)。
このように、車両使用者が操作端末12を操作することにより車両自体やその周囲の車両状況の事前確認を要求すると、車両の車室内又は車室外の状況がカメラ24による撮像画像及びマイク25による入力音声を通じてリアルタイムにその車両使用者に提示される。この場合、操作端末12を所持する車両使用者は、かかる提示により車載機器32〜36の駆動を適切かつ安全に行うことができるか否かを判断することが可能となる。
操作端末12は、センタ14から提供された撮像画像及び音声を入出力部46から出力した以後、その出力データの提示を受ける車両使用者に対して車載機器32〜36の駆動許可の確認を要求する確認ボタンをアクティブ表示し、その確認ボタンのオン操作の有無に基づいて操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動を許可するか否かを判別する(ステップ124)。その結果、上記した確認ボタンが車両使用者に操作されて、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動を許可すると判別した場合は、遠隔制御可能な車両操作の項目ごとに設けられたチェックボックスをチェック可能にアクティブ表示する。一方、確認ボタンが車両使用者に操作されず、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動を許可しないと判別した場合は、かかるチェックボックスのアクティブ表示を禁止し、そのまま処理を終了する(ステップ128)。
操作端末12は、各車両操作に対応するチェックボックスの何れかがチェックされて送信要求がなされると、そのチェックに対応する車載機器32〜36の遠隔駆動が希望されていることをセンタ14に通知すべくその車両操作要求情報をセンタ14に対して送信する(ステップ126)。センタ14は、操作端末12から送信される車両操作要求情報を受信した場合、操作端末12におけるリモート操作によって特定の車載機器32〜36の遠隔駆動が要求されていることを示す車両操作要求情報を車載機10に対して送信する(ステップ144)。車載機10は、センタ14から送信される車両操作要求情報を受信した場合、その車両操作要求に応じた車載機器32〜36に対して駆動指令信号を供給してその車載機器32〜36の駆動を実行する(ステップ102)。
車載機10は、操作端末12のリモート操作によって車載機器32〜36の駆動を実行した場合、その駆動の結果(具体的にはその駆動が正常に完了したか或いは正常に完了することなく終了したか否か)を判別し、その判別結果をセンタ14に対して通知する。尚、車載機器32〜36の遠隔駆動が正常に完了しなかった場合には、その原因を車両使用者に判断させるべく、カメラ24の撮像画像やマイク25の入力音声を駆動未完了結果と共にセンタ14に通知してもよい。センタ14は、車両操作要求情報を車載機10に送信した後に該車載機10から車載機器32〜36の駆動の結果を通知された場合、その結果をメール等によりその車両操作要求情報を送信した操作端末12に対して通知する(ステップ146)。操作端末は、センタ14から通知されるリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動の結果を受け取った場合、その結果を車両使用者に認識させるべく入出力部46のディスプレイに表示し或いはスピーカから音声出力し、処理を終了する(ステップ128)。
このように本実施例の遠隔制御システムにおいては、車載機器32〜36を遠隔駆動すべく操作端末12のリモート操作が行われる前に、その操作端末12をリモート操作する車両使用者に対してその操作端末12の入出力部46から、車両に搭載されたカメラ24の撮影した撮像画像及びマイク25に入力された音声が車両状況として提示される。すなわち、車両使用者に対して車両状況が提示された後に、操作端末12のリモート操作が許可され、車載機器32〜36の遠隔駆動が許可される。
かかる構成においては、操作端末12をリモート操作する車両使用者は、車載機器32〜36の遠隔駆動のためにそのリモート操作を行う前に、映像や音声によって車両状況を把握することができ、これにより、車載機器32〜36の遠隔駆動が適切かつ安全に行われるかを判断することができる。この点、本実施例によれば、操作端末12のリモート操作が行われる前に、その車両使用者に対して車載機器32〜36の遠隔駆動の許否を判断させるべく車両状況を提示するので、そのリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動を適切な状況で実行させることが可能となっている。
また、本実施例の遠隔制御システムにおいては、車両状況の提示後、車載機器32〜36の駆動許可の確認を要求する確認ボタンが操作端末12においてオン操作されない限り、操作端末12のリモート操作が許可されず、車載機器32〜36の遠隔駆動が許可されない。この点、操作端末12を所持する車両使用者が了解しなければ、操作端末12のリモート操作を行えず、また、車載機器32〜36の遠隔駆動を実行しないので、従って、本実施例によれば、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動を適切に実行させることが可能となっている。
尚、このシステム態様においては、操作端末12が特許請求の範囲に記載した「遠隔制御装置」に、車載機器32〜36が特許請求の範囲に記載した「所定車載機器」に、それぞれ相当していると共に、操作端末12が、ステップ122の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「車両状況提示手段」が、ステップ124の処理結果に基づいて遠隔制御可能な車両操作の項目ごとに設けられたチェックボックスをチェック可能にアクティブ表示することにより特許請求の範囲に記載した「遠隔駆動許可手段」が、ステップ124の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「遠隔駆動許可操作判別手段」が、ステップ120の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「要求送信手段」が、また、車載機10が、ステップ100の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「データ送信手段」が、それぞれ実現されている。
ところで、上記したシステム態様においては、車両状況としてカメラ24の撮像画像及びマイク25の入力音声が車両使用者に提示されるが、車両使用者に提供される車両状況はこれに限定されるものではなく、車室内の温度や湿度,車載バッテリの状態などを車両状況として車両使用者に提示するものとしてもよい。この際、例えば車室内の温度が車両状況として車両使用者に提示される場合には、その温度が著しく高いときに車室内の過熱防止のため操作端末12においてリモート操作によるウィンドウの閉要求を受け付けないようにすることとしてもよい。
また、上記したシステム態様においては、操作端末12を所持する車両使用者に対して車両状況が提示された後、車載機器32〜36の駆動許可の確認を要求する確認ボタンが操作端末12においてオン操作されない限り、操作端末12のリモート操作が許可されず、車載機器32〜36の遠隔駆動が許可されないが、車両状況の提示後、所定時間が経過した時点で自動的に操作端末12のリモート操作が許可されるようにしてもよい。この場合には、車載機器32〜36の遠隔駆動を実現するうえで、車両使用者による確認ボタンのオン操作が不要となるので、処理手続の簡素化が図られる。
図3は、本実施例の遠隔制御システムにおいて操作端末12のリモート操作と車室内又は車両周辺での車両キーのローカル操作とが競合する際の動作を説明するためのフローチャートを示す。本実施例の遠隔制御システムにおいて、車載機10、操作端末12、及びセンタ14はそれぞれ、以下に示す機能を実現するためのプログラムを有し、そのプログラムに従って動作する。これらの各プログラムは、CDやDVD,ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されることが可能である。
ところで、車載機10において、車載機器32〜36の駆動は、操作端末12のリモート操作及び車両キーのローカル操作の区別なく最新の操作に従って行われることが適切である。本実施例の如き遠隔制御システムにおいて、操作端末12がリモート操作されて車両操作要求情報をセンタ14に対して送信してからセンタ14が実際にその車両操作要求情報を受信・取得するまでの時間、及び、センタ14が車両操作要求情報を車載機10に対して送信してから車載機10が実際にその車両操作要求情報を受信・取得するまでの時間はそれぞれ、その間における通信ネットワークの通信状態に応じて大きく異なる。このため、操作端末12のリモート操作が車両キーのローカル操作に比べて時間的に先に行われたにもかかわらず、そのリモート操作に基づく車両操作要求情報が車載機10に到達した時点では既に、車両キーのローカル操作が行われてそのローカル操作に基づく車両操作要求情報が車載機10に到達していることが起こり得る。この場合には、最新の操作でないリモート操作に基づいて車載機器32〜36を駆動することは適切でない。
そこで、本実施例において、操作端末12は、センタ14から提供される車両操作要求のためのweb画面を取得した後、車両使用者による操作に従ってweb画面上で車両操作に関するチェックボックスにチェックが入った状態で送信要求されると、その車両操作が希望されていることをセンタ14に通知すべく、その車両操作要求情報をその要求時刻を付して送受信機46からセンタ14に対して送信する。
センタ14は、操作端末12からの要求時刻の付された車両操作要求情報を送受信機64で受信した場合、その車両操作要求情報を送信すべき車載機10と無線通信接続し、操作端末12におけるリモート操作によって車両操作が要求されていることすなわち車載機器32〜36の遠隔駆動が要求されていることを示す車両操作要求情報を、操作端末12における要求時刻を付して車載機10に対して送信する。車載機10は、センタ14から送信される操作端末12における要求時刻の付された車両操作要求情報を受信した場合、その車両操作要求情報から操作端末12における要求時刻を抽出し、その抽出した要求時刻からその受信時刻までの間に車両キーにおけるローカル操作による車両操作が要求されていたか否かを判別する。
車載機10は、上記した判別の結果、操作端末12の要求時刻から受信時刻までの間に車両キーにおけるローカル操作による車両操作が要求されていない場合は、その操作端末12のリモート操作は車載機10に対する最新の操作となるので、そのリモート操作による車両操作要求に応じた車載機器32〜36に対して駆動指令信号を供給してその車載機器32〜36の駆動を実行する。一方、操作端末12の要求時刻から受信時刻までの間に車両キーにおけるローカル操作による車両操作が要求されていた場合は、その操作端末12のリモート操作が車載機10に対する最新の操作ではなく、車両キーのローカル操作が車載機10に対する最新の操作となるので、そのリモート操作による車両操作要求に応じた車載機器32〜36に対する駆動指令信号の供給を行わず、リモート操作に基づく車載機器32〜36の駆動を中止する。
例えば、図3に示す如く、操作端末12において車両のドアロックを要求するリモート操作が行われ、その操作端末12が12時00分00秒に車両操作要求情報をセンタ14に対して送信したが、その車両操作要求情報がセンタ14から車載機10に現に通知された時点で既に、12時00分35秒に車両キーのローカル操作によって車両のドアアンロックが要求されてドアロック・アンロックアクチュエータ36により車両ドアがアンロックされていたときには、操作端末12のリモート操作に基づくドアロック・アンロックアクチュエータ36による車両ドアのロックは実行されず中止される。
車載機10は、操作端末12のリモート操作によって車両操作が要求されていることを通知されたにもかかわらず、上記の如きローカル操作との競合に起因してその車両操作を実行しなかった場合には、送受信機22からセンタ14に対してローカル操作との競合に起因して車両操作を行わなかったことを示す不作動通知を行う。センタ14は、操作端末12のリモート操作によって車両操作が要求されていることを車載機10に通知した後にその車載機10からの不作動通知を受信した場合、その不作動通知をメール等により車両操作を要求した操作端末12に対して行う。操作端末12は、センタ14から通知される不作動通知を受け取った場合、リモート操作に基づく車両操作の不作動を車両使用者に認識させるべく入出力部46のディスプレイに表示し或いはスピーカから音声出力し、処理を終了する。
このように本実施例の遠隔制御システムにおいては、車載機器32〜36の駆動によって車両操作を行うべく操作端末12がリモート操作された場合、そのリモート操作が行われた要求時刻からその車両操作要求が車載機10に通知された時刻までの間に車両キーにおけるローカル操作による車両操作が要求されていないときには、車載機10において操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動が実行される一方、リモート操作が行われた要求時刻からその車両操作要求が車載機10に通知された時刻までの間に車両キーにおけるローカル操作による車両操作が要求されていないときには、車載機10において操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動が中止・規制される。
かかる構成においては、車両使用者が操作端末12をリモート操作して車両操作を要求した場合にも、車両キーが他の車両使用者により車両においてローカル操作されてそのローカル操作が車両に対する最新の操作であるときには、操作端末12のリモート操作に基づく車両操作を中止・規制することが可能となる。この点、操作端末12を所持する車両使用者が操作端末12のリモート操作を行って車両操作を希望しても、その後にその車両使用者以外の車両キーを所持する車両使用者が車両キーを用いてローカル操作を行っていた場合には、そのローカル操作が優先されることとなるので、車室内又は車両近くでローカル操作を行う使用者の意図を妨げることはなく、その使用者の知らない間に不意に操作端末12のリモート操作に基づく車両操作が行われる事態は回避される。
従って、本実施例のシステムによれば、操作端末12を用いた遠隔的な車載機器32〜36の駆動による車両操作を、操作端末12とセンタ14との通信遅れ及びセンタ14と車載機10との通信遅れが発生するときにも、車両キーによるローカル操作の機能を妨げることなく適切に実行させることが可能となっている。
尚、このシステム態様においては、車載機10が特許請求の範囲に記載した「遠隔制御装置」に、車載機器32〜36が特許請求の範囲に記載した「所定車載機器」に、それぞれ相当していると共に、車載機10が、車両操作要求情報を受信した時刻が車両キーのローカル操作された時刻よりも後である場合にも、操作端末12がリモート操作された時刻が車両キーのローカル操作された時刻よりも前であるときは、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動を規制することにより特許請求の範囲に記載した「駆動規制手段」が実現されている。
図4は、本実施例の遠隔制御システムにおける操作端末12のバッテリ状態に応じた動作を説明するためのフローチャートを示す。本実施例の遠隔制御システムにおいて、車載機10、操作端末12、及びセンタ14はそれぞれ、以下に示す機能を実現するためのプログラムを有し、そのプログラムに従って動作する。これらの各プログラムは、CDやDVD,ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されることが可能である。
ところで、操作端末12は充放電可能なバッテリを有するが、操作端末12が車両使用者によりリモート操作されて車載機器32〜36の遠隔駆動が要求された直後に、このバッテリが車両操作要求情報を送信できない程度にまでバッテリ上がりを起こすと、車載機器32〜36の状態を駆動状態から元の状態に戻すことができなくなってしまう。このため、特に、車両ドアのアンロック要求時やウィンドウの開放要求時,エンジン始動要求時には、車両のセキュリティ性が問題となる。
これに対して、本実施例において、操作端末12は、上記の如く、バッテリ容量検出センサ44を用いて自己のバッテリの残存容量を検出する。操作端末12は、センタ14から提供される車両操作要求のためのweb画面を取得した後、車両使用者による操作に従ってweb画面上で車両操作(具体的には、車両ドアのアンロック、ウィンドウの開放、及びエンジン始動)に関するチェックボックスにチェックが入った状態で送信要求されると、その車両操作要求情報を自己の操作端末12のバッテリ残存容量の情報と共に送受信機46からセンタ14に対して送信する(ステップ220)。
センタ14は、操作端末12からのバッテリ残存容量の情報を含んだ車両操作要求情報を送受信機64で受信した場合、まず、そのバッテリ残存容量が所定値を超えるか否かに基づいて、操作端末12のバッテリ状態が良好であるか否かを判別する(ステップ240)。尚、この所定値は、操作端末12がリモート操作された際にセンタ14に対して車両操作要求情報を送信不能となるバッテリ残存容量の最大値よりも僅かに大きな値である。
その結果、センタ14は、操作端末12のバッテリ状態が良好であると判別したときは、通常どおり、操作端末12におけるリモート操作によって特定の車載機器32〜36の遠隔駆動が要求されていることを示す車両操作要求情報を車載機10に対して送信する(ステップ242)。車載機10は、センタ14から送信される車両操作要求情報を受信した場合、その車両操作要求に応じた車載機器32〜36に対して駆動指令信号を供給してその車載機器32〜36の駆動を実行する(ステップ200)。そして、その駆動が完了した場合には、センタ14に対して車両操作完了通知を行う。センタ14は、車両操作要求情報を車載機10に送信した後に該車載機10から車両操作完了通知を受けた場合、その結果をメール等によりその車両操作要求情報を送信した操作端末12に対して通知する(ステップ244)。操作端末12は、センタ14から送信されるリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動の操作完了通知を受け取った場合、その操作完了を車両使用者に認識させるべく入出力部46のディスプレイに表示し或いはスピーカから音声出力し、処理を終了する(ステップ222)。
一方、センタ14は、操作端末12のバッテリ状態が良好でないと判別したときは、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動が許可されないことすなわち車両操作が不可能であることを、リモート操作が行われた操作端末12を所持する車両使用者に知らせるべくメール等によりその操作端末12に対して通知する。操作端末12は、センタ14から送信されるリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動の操作不可通知を受け取った場合、その操作不可を車両使用者に認識させるべく入出力部46のディスプレイに表示し或いはスピーカから音声出力し、処理を終了する(ステップ222)。
このように本実施例の遠隔制御システムにおいては、車載機器32〜36の遠隔駆動によって車両操作(具体的には、車両ドアのアンロック、ウィンドウの開放、及びエンジン始動)を行うべく操作端末12がリモート操作された場合、操作端末12のバッテリ残存容量があまり低下していないときには、センタ14が車載機10に対して車両操作要求情報を供給・送信することにより、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動が許可され、その車両操作が実行される一方、操作端末12のバッテリ残存容量が著しく低下しているときには、センタ14から車載機10への車両操作要求情報の供給が行われず、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動が禁止・規制される。
かかる構成においては、車両使用者が操作端末12をリモート操作して車両操作を要求した場合にも、その操作端末12のバッテリ残存容量が著しく低いときには、車載機器32〜36の遠隔駆動を禁止・規制することが可能となる。このため、操作端末12がリモート操作されてセンタ14に対して車載機器32〜36の遠隔駆動を要求する車両操作要求情報を送信した直後に、その操作端末12の有するバッテリの残存容量が再度の車両操作要求情報の送信を行うことができない程度にまで低下するときにも、最初からリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動が実行されないので、再度の車両操作要求情報の送信が不能となることに起因して車載機器32〜36を駆動状態から元の状態に戻すことが不可能となる事態が生ずることは回避される。
従って、本実施例によれば、操作端末12のバッテリ容量低下に起因して車載機器32〜36をそのリモート操作に基づく駆動状態から初期状態に復帰させることが不可能となるのを回避することができ、これにより、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動を適切に実行させることが可能となっている。
尚、このシステム態様においては、センタ14が特許請求の範囲に記載した「遠隔制御装置」に、車載機器32〜36が特許請求の範囲に記載した「所定車載機器」に、それぞれ相当していると共に、センタ14が、ステップ240の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「端末バッテリ残存容量判別手段」が、ステップ240の処理後にステップ242の処理を行わないことにより特許請求の範囲に記載した「駆動規制手段」が、それぞれ実現されている。
ところで、上記したシステム態様においては、操作端末12のバッテリ残存容量が所定値以下であるか否かをセンタ14に判別させると共に、車両操作すなわち車載機器32〜36の遠隔駆動の禁止・規制を、センタ14から車載機10へ車両操作要求情報を送信・供給しないことにより実現させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、操作端末12に自己のバッテリ残存容量が所定値以下であるか否かを判別させると共に、肯定判定がなされたときに操作端末12からセンタ14へ車両操作要求情報を送信・供給しないことにより車載機器32〜36の遠隔駆動を禁止・規制することとしてもよく、また、操作端末12のバッテリ残存容量の情報をセンタ14を経由して車載機10へ送信し、車載機10に操作端末12のバッテリ残存容量が所定値以下であるか否かを判別させると共に、その判別結果に基づいてセンタ14から車両操作要求情報が送信・供給されたときにも車載機器32〜36の遠隔駆動を禁止・規制することとしてもよい。
また、上記したシステム態様においては、操作端末12のリモート操作が、車両のセキュリティ性が問題となる、車両ドアのアンロック要求、ウィンドウの開放要求、及びエンジン始動要求に係るものであるときに、リモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動を規制し得るものであるが、かかる規制を、車両ドアのロック要求時、ウィンドウの閉じ要求時、及びエンジン停止要求時に行うものであってもよい。
また、上記したシステム態様においては、操作端末12のバッテリ残存容量が所定値以下であると判別されると、以後、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動が実行されることは全くなく、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動が許可されない旨が操作端末12を所持する車両使用者に入出力部46を通じて示されるが、操作端末12を所持する車両使用者に、車載機器32〜36の遠隔駆動の許否を判断させるべくその操作端末12のバッテリ状態を提示したうえで、再度のリモート操作が行われたときは、操作端末12のバッテリ状態に関係なく車載機器32〜36の遠隔駆動が実行されるようにしてもよい。かかる構成においては、操作端末12のバッテリ容量が低下していても、操作端末12を所持する車両使用者の車載機器32〜36の遠隔駆動を許可すべき確認がとれれば、その遠隔駆動を実行することが可能となるので、車両使用者の意思を尊重させて適切に操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動を実現させることが可能となる。
尚、この場合には、操作端末12が、操作端末12のバッテリ残存容量が所定値以下である場合に自己のバッテリ残存容量を車両使用者に提示することにより特許請求の範囲に記載した「端末バッテリ状態提示手段」が、再度のリモート操作時にセンタ14に対してバッテリ状態に関係なく実行されるべきであることを付した車両操作要求情報を送信することにより特許請求の範囲に記載した「遠隔駆動許可手段」が、それぞれ実現される。
図5は、本実施例の遠隔制御システムにおける車両に対する不正行為の有無に応じた動作を説明するためのフローチャートを示す。本実施例の遠隔制御システムにおいて、車載機10、操作端末12、及びセンタ14はそれぞれ、以下に示す機能を実現するためのプログラムを有し、そのプログラムに従って動作する。これらの各プログラムは、CDやDVD,ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されることが可能である。
ところで、仮に盗難者等により車両に対する不正行為が行われている状況で操作端末12のリモート操作に基づいて車載機器32〜36の遠隔駆動(特に、車両ドアのアンロック、ウィンドウの開放、及びエンジン始動)が行われると、盗難者が車両を盗難し易くなり、車両のセキュリティ性が低下することとなる。
これに対して、本実施例において、車載機10は、不正行為検出センサ28を用いて車両盗難が行われる際の不正行為を検出する。車載機10は、不正行為が生じていることを検知した場合、その旨をその行為時間を付してセンタ14に対して通報する(ステップ300)。そして、センタ14は、車載機10から不正行為有りの通報を受信した場合、その車両の識別情報に関連させて不正行為情報を取得する。尚、このセンタ14に取得された不正行為情報は、取得後一定期間又は車両使用者などの通報によって情報消去に至るまでは継続して保持される。
また、操作端末12は、センタ14から提供される車両操作要求のためのweb画面を取得した後、車両使用者による操作に従ってweb画面上で車両操作(具体的には、車両ドアのアンロック、ウィンドウの開放、及びエンジン始動)に関するチェックボックスにチェックが入った状態で送信要求されると、その車両操作要求情報を送受信機46からセンタ14に対して送信する(ステップ320)。そして、センタ14は、操作端末12からの車両操作要求情報を送受信機64で受信した場合、その操作端末12の識別情報及びその操作端末12に対応する車両の識別情報に関連させて車両操作要求を取得する。
センタ14は、操作端末12からの車両操作要求を取得した場合、その時点での対応する車両の不正行為情報の有無に基づいて車載機10からの不正行為通報の有無を判別する(ステップ340)。その結果、車両操作要求以前に不正行為通報がなく車両に対する不正行為が生じていないと判別したときは、通常どおり、操作端末12におけるリモート操作によって特定の車載機器32〜36の遠隔駆動が要求されていることを示す車両操作要求情報を車載機10に対して送信する(ステップ342)。車載機10は、センタ14から送信される車両操作要求情報を受信した場合、その車両操作要求に応じた車載機器32〜36に対して駆動指令信号を供給してその車載機器32〜36の駆動を実行し(ステップ302)、そして、上記図4に示す態様と同様にその駆動が完了した際にセンタ14を介して操作端末12に車両操作完了通知を行う。
一方、センタ14は、車両操作要求以前に不正行為通報があり車両に対する不正行為が生じていたと判別したときは、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動が許可されないことすなわち車両操作が不可能であることを、リモート操作が行われた操作端末12を所持する車両使用者に知らせるべくメール等によりその操作端末12に対して通知する。操作端末12は、センタ14から送信されるリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動の操作不可通知を受け取った場合、その操作不可を車両使用者に認識させるべく入出力部46のディスプレイに表示し或いはスピーカから音声出力し、処理を終了する(ステップ322)。
このように本実施例の遠隔制御システムにおいては、車載機器32〜36の遠隔駆動によって車両操作(具体的には、車両ドアのアンロック、ウィンドウの開放、及びエンジン始動)を行うべく操作端末12がリモート操作された場合、車両に対する不正行為が生じていないときには、センタ14が車載機10に対して車両操作要求情報を供給・送信することにより、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動が許可され、その車両操作が実行される一方、車両に対する不正行為が生じていたときには、センタ14から車載機10への車両操作要求情報の供給が行われず、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動が禁止・規制される。
かかる構成においては、車両使用者が操作端末12をリモート操作して車載機器32〜36の駆動による車両操作を要求した場合にも、その車両に不正行為が行われていたときには、車載機器32〜36の遠隔駆動を禁止・規制することが可能となる。このため、不審者等により車両に対する不正行為が行われた後に、車両周囲に正規の車両使用者等が位置しないような状態で、操作端末12のリモート操作によって車両ドアがアンロックされ、ウィンドウが開放され、或いはエンジンが始動される事態は生ずることはないので、車両のセキュリティ性が低下することは防止される。従って、本実施例によれば、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動を車両のセキュリティ性の低下しない範囲で適切に実行させることが可能となっている。
尚、このシステム態様においては、センタ14が特許請求の範囲に記載した「遠隔制御装置」に、車載機器32〜36が特許請求の範囲に記載した「所定車載機器」に、それぞれ相当していると共に、センタ14が、ステップ340の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「不正行為有無判別手段」が、ステップ340の処理後にステップ342の処理を行わないことにより特許請求の範囲に記載した「駆動規制手段」が、それぞれ実現されている。
ところで、上記したシステム態様においては、車両に対する不正行為が行われたか否かをセンタ14に判別させると共に、車両操作すなわち車載機器32〜36の遠隔駆動の禁止・規制を、センタ14から車載機10へ車両操作要求情報を送信・供給しないことにより実現させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両に対する不正行為情報を車載機10からセンタ14を経由して操作端末12へ送信し、操作端末12に車両に対する不正行為が行われたか否かを判別させると共に、肯定判定がなされた場合には操作端末12からセンタ14へ車両操作要求情報を送信・供給しないことにより車載機器32〜36の遠隔駆動を禁止・規制することとしてもよく、また、車載機10に自己の車両に対する不正行為が行われた場合にはセンタ14から車両操作要求情報が送信・供給されたときにも車載機器32〜36の遠隔駆動を禁止・規制することとしてもよい。
図6は、本実施例の遠隔制御システムにおける車両の車室内に乗員が現に存在するか否かに応じた動作を説明するためのフローチャートを示す。本実施例の遠隔制御システムにおいて、車載機10、操作端末12、及びセンタ14はそれぞれ、以下に示す機能を実現するためのプログラムを有し、そのプログラムに従って動作する。これらの各プログラムは、CDやDVD,ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されることが可能である。
ところで、車両の車室内に乗員が存在するにもかかわらず操作端末12のリモート操作に基づいて車載機器32〜36の遠隔駆動が行われると、その操作端末12を操作する車両使用者は車両状況を把握することができないため、車両においてその駆動に起因した乗員に対する危険が生ずる可能性がある。
本実施例において、センタ14から提供される車両操作要求のためのweb画面を取得した後、車両使用者による操作に従ってweb画面上で車両操作に関するチェックボックスにチェックが入った状態で送信要求されると、その車両操作要求情報を送受信機46からセンタ14に対して送信する(ステップ420)。センタ14は、操作端末12からの車両操作要求情報を送受信機64で受信した場合、その操作端末12の識別情報及びその操作端末12に対応する車両の識別情報に関連させて車両操作要求を取得し、操作端末12におけるリモート操作によって特定の車載機器32〜36の遠隔駆動が要求されていることを示す車両操作要求情報を車載機10に対して送信する(ステップ440)。
車載機10は、センタ14から送信される車両操作要求情報を受信した場合、その時点で人検出センサ26や車両キーを用いて車室内に人が存在するか否かを判別する(ステップ400)。その結果、車室内に人が存在しないと判別したときには、通常どおり、車両操作要求に応じた駆動対象である車載機器32〜36に対して駆動指令信号を供給してその車載機器32〜36の駆動を実行する(ステップ402)。一方、車室内に人が存在すると判別したときには、駆動対象である車載機器32〜36への駆動指令信号の供給を禁止する。
車載機10は、駆動対象である車載機器32〜36の遠隔駆動が完了した場合および車室内における人の存在に起因してかかる遠隔駆動を行わなかった場合には、その旨を示す駆動情報をセンタ14に対して通知する。センタ14は、車両操作要求情報を車載機10に送信した後に該車載機10から車載機器32〜36の駆動に関する駆動情報を通知された場合、その結果をメール等によりその車両操作要求情報を送信した操作端末12に対して通知する(ステップ442)。操作端末は、センタ14から通知されるリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動に関する駆動情報を受け取った場合、その結果を車両使用者に認識させるべく入出力部46のディスプレイに表示し或いはスピーカから音声出力し、処理を終了する(ステップ422)。
このように本実施例の遠隔制御システムにおいては、車載機器32〜36の遠隔駆動によって車両操作を行うべく操作端末12がリモート操作された場合、その時点で車室内に人が乗車していないときには、車載機10がその車載機器32〜36の駆動を許可することにより、車両において車載機器32〜36の駆動が実行される一方、車室内に人が乗車しているときには、車載機10がその車載機器32〜36の駆動を許可しないことにより、車載機器32〜36の駆動が禁止・規制される。
かかる構成においては、車両使用者が操作端末12をリモート操作して車載機器32〜36の駆動による車両操作を要求した場合にも、車室内に乗員が存在するときには、車載機器32〜36の遠隔駆動を禁止・規制することが可能となる。このため、車室内の乗員に対して不意に車載機器32〜36の遠隔駆動に起因する危険が及ぶことは回避されると共に、車室内の乗員によって車両キーを用いたローカル操作が行われるときにもそのローカル操作が操作端末12のリモート操作によって妨げられるのは回避される。従って、本実施例によれば、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動を、車室内に乗員の存在しない適切な状況下でのみ実現させることが可能となっている。
尚、このシステム態様においては、車載機10が特許請求の範囲に記載した「遠隔制御装置」に相当していると共に、車載機10が、ステップ400の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「乗員判別手段」が、ステップ400の処理後にステップ402の処理を行わないことにより特許請求の範囲に記載した「駆動規制手段」が、それぞれ実現されている。
ところで、このシステム態様においては、車載機10に車室内に乗員が存在するか否かを判別させることとしているが、車室内における乗員の有無情報を車載機10からセンタ14へ送信し、センタ14に車室内に乗員が存在するか否かを判別させると共に、肯定判定がなされた場合にはセンタ14から車載機10へ車両操作要求情報を送信・供給しないことにより車載機器32〜36の遠隔駆動を禁止・規制することとしてもよい。
また、このシステム態様においては、車室内に乗員が存在する場合に車載機器32〜36の遠隔駆動を禁止するが、完全な禁止に限らず、車載機器32〜36の遠隔駆動を制限・規制することとしてもよい。例えば車室内に乗員が存在する場合は、操作端末12のリモート操作に基づくドアロック・アンロックアクチュエータ36によるドアロックを許可するが、かかるドアロックが行われた後は、通常のドアロック操作とは異なり、車室内のドアノブがドア開放操作されたときにドアロックの解除操作なしにドアが開放されるようにしてもよい。かかる構成によれば、車室内でドアロックの解除操作を行うことが困難な幼児などが取り残された状況で車両使用者が誤って操作端末12を操作してドアロックさせたときにも、ドアロックの解除操作なしにその幼児などが車外へ出ることが可能となる。また例えば車室内に乗員が存在する場合は、操作端末12のリモート操作に基づくドアロック・アンロックアクチュエータ36によるドアロックを許可するが、かかるドアロックが行われた後は、通常のドアロック操作とは異なり、車室内のドアノブがドア開放操作されたときに車載機10からセンタ14を経由して操作端末12へメールや電話などでカメラ24の撮像画像やマイク25の入力音声を提供するようにしてもよい。かかる構成によれば、車室内に残された子供などが車外へ出たい旨或いは車両侵入者の様子を、操作端末12を所持する車両使用者が確認することが可能となる。
また、本実施例の遠隔制御システムにおいては、上記図2乃至図6に示す態様において、車載機器32〜36を遠隔駆動すべく操作端末12のリモート操作が行われた後、車載機10においてそのリモート操作に基づく駆動指令によって車載機器32〜36の駆動が正常に完了したか否かの結果がその車載機10からセンタ14を通じて操作端末12へ通知される。この場合、操作端末12を所持する車両使用者は、操作端末12のリモート操作によって車載機器32〜36の遠隔駆動が完了したときにも、また、操作端末12のリモート操作によってその駆動が完了しないときにも、その旨を認識することができる。従って、本実施例によれば、車両使用者による操作端末12のリモート操作によって車載機器32〜36の遠隔駆動が要求されたにもかかわらずその遠隔駆動が完了しないフェール時には、その遠隔駆動の未完了状態が放置されるのを防止することができ、その後速やかに操作端末12を所持する車両使用者に対応を取らせることが可能となっている。
尚、上記した第1の実施例においては、操作端末12が特許請求の範囲に記載した「遠隔制御装置」に相当すると共に、操作端末12のリモート操作に基づく駆動指令によって車載機器32〜36の遠隔駆動が正常に完了しないときに車載機10がその駆動未完了通知をセンタ14を通じて操作端末12に対して行い、その結果として、操作端末12が入出力部46によって車両使用者にその駆動未完了を通知することにより特許請求の範囲に記載した「駆動未完了通知手段」が実現されている。
ところで、上記した第1の実施例においては、操作端末12のリモート操作に基づく駆動指令によって車載機器32〜36の遠隔駆動が正常に完了しないときに、車載機10からセンタ14を介して操作端末12へその駆動未完了通知を行うこととしているが、かかる駆動未完了通知を行うだけでなく更に或いはその通知に代えて、車載機10において車載ECU20が車載機器32〜36の状態を駆動指令が行われる前の状態に戻す指令を行うこととしてもよい。かかる構成においては、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動が完了しないときに、自動的にその車載機器32〜36の状態を駆動指令を停止して初期状態に復帰させることができるので、従って、車両使用者による操作端末12のリモート操作によって車載機器32〜36の遠隔駆動が要求されたにもかかわらずその遠隔駆動が完了しないフェール時には、その遠隔駆動の未完了状態が放置されるのを防止することが可能となる。この場合には、車載機10が特許請求の範囲に記載した「遠隔制御装置」に相当すると共に、車載機10が、遠隔駆動が完了しない車載機器32〜36の状態を駆動指令が行われる前の状態に戻すことにより特許請求の範囲に記載した「自動復帰手段」が実現されることとなる。
また、上記した第1の実施例においては、ウィンドウ開閉アクチュエータ34によるウィンドウの開閉は、操作端末12がリモート操作される場合のみならず、車室内でスイッチ操作が行われる場合にも実現可能であるが、操作端末12のリモート操作時と車室内での通常のスイッチ操作時とでウィンドウの開閉の制御状態を異ならせることとしてもよい。操作端末12がリモート操作されるときは、その操作端末12をリモート操作する車両使用者は車両の現実の状況を認識することは困難であるので、通常のスイッチ操作と同様にウィンドウが開閉されると、車両に乗車する人や車両周囲の人にとってその開閉に起因した危険(例えばウィンドウの閉じに起因して車室内に存在する車両乗員の手や腕等がそのウィンドウと車体とに挟まれる等)が発生する可能性がある。
そこで、例えば、操作端末12のリモート操作時は通常のスイッチ操作時と比べてウィンドウの開閉動作速度を遅くしたり、或いは、通常のスイッチ操作時はウィンドウの開又は閉を全閉位置から全開位置まで若しくは全開位置から全閉位置まで連続して行うことを許容する一方で、操作端末12のリモート操作時はウィンドウの開閉を予め定められた中途の位置で一旦停止させ、そして所定時間後にウィンドウの開閉を再開するなどして、ウィンドウ開閉アクチュエータ34によるウィンドウ開閉の制御状態をリモート操作時と通常操作時とで異ならせることとしてもよい。かかる構成によれば、リモート操作に基づくウィンドウ開閉の制御が通常の制御と同じである場合と比べて、車両に乗車する人や車両周囲の人が操作端末12のリモート操作に基づくウィンドウ開閉に対応し易くなるので、従って、車両に乗車する人や車両周囲の人に対する安全性を配慮して適切にウィンドウの遠隔開閉を実行することが可能となっている。尚、この構成は、車両ドアの開閉を操作端末12のリモート操作により自動的に行うシステムに適用することも可能である。
また、上記した第1の実施例においては、センタ14から車載機10へ車両操作要求情報が供給されると、その車両操作要求に応じた車載機器32〜36の遠隔駆動が実行されるが、エンジン始動や車両ドアアンロック,ウィンドウ開が遠隔的に行われた場合はその遠隔駆動が完了した後所定時間が経過しても正規の車両使用者の車両接近又は車両操作が行われないときには、その旨を示す情報を車載機10からセンタ14を通じて操作端末12へ送信し、その旨を操作端末12を所持する車両使用者に通知することとしてもよい。通常、エンジン始動や車両ドアアンロック,ウィンドウ開を実現すべく操作端末12のリモート操作が行われれば、その後短時間のうちにその操作端末12を所持する車両使用者が車両に接近し或いはドアノブの接触やエンジン始動などの車両操作を行う筈である。本実施例においては、上記した車載機器32〜36の遠隔駆動が実行されて完了すると或いは未完了であると(図7に示すステップ500)、その旨が車載機10からセンタ14を通じて操作端末12を所持する車両使用者に通知される(ステップ540及び520)が、駆動完了通知にもかかわらずその後長期間にわたって車両使用者の車両接近も車両操作もない場合には、その車両使用者が車載機器32〜36を遠隔駆動させたことを忘れている若しくは誤って不意に操作端末12をリモート操作してしまったと判断でき、その状態を継続させておくことは車両のセキュリティ上適切でない。
そこで、上記の如くエンジン始動や車両ドアアンロック,ウィンドウ開を実現すべく操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動が行われた(ステップ500)後、所定時間中に車両に乗車しようとしている人の車両への接近又は車両操作がなされないとき(ステップ502の否定判定時)は、車載機器32〜36が遠隔駆動されていることを示す情報を車載機10からセンタ14を介して操作端末12へ送信し、その旨を操作端末12を所持する車両使用者に通知することとしてもよい(ステップ542及び522)。かかる構成によれば、車両使用者が操作端末12をリモート操作して車載機器32〜36を遠隔駆動させてもその後に車両使用者がその車載機器32〜36を遠隔駆動させたことを忘れてしまった場合や、車両使用者が車載機器32〜36の遠隔駆動を希望しないにもかかわらず誤って不意に操作端末12をリモート操作してしまった場合にも、車載機器32〜36が遠隔駆動されていることがその車両使用者に知らされるので、その車両使用者にその後の対応を速やかに取らせることが可能となり、従って、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動を車両の安全性・セキュリティ性の著しい低下を招来させることなく適切に実行させることが可能となる。
この場合には、操作端末12が特許請求の範囲に記載した「遠隔制御装置」に相当すると共に、車載機10が操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動を行った後、所定時間中に車両に乗車しようとしている人の車両への接近又は車両操作がなされないときに、車載機器32〜36の遠隔駆動が行われたことを示す情報をセンタ14を通じて操作端末12に対して送信し、その結果として、操作端末12が入出力部46によって車両使用者にその旨を通知することにより特許請求の範囲に記載した「遠隔駆動通知手段」が実現される。
尚、この構成においては、更に、車載機器32〜36の遠隔駆動が行われたことを示す情報が車載機10からセンタ14を介して操作端末12に送信された後、更に所定時間が経過した場合には、自動的にその遠隔駆動を停止する、具体的には、エンジンを停止させ、車両ドアをアンロック状態からロック状態にし、又はウィンドウを開状態から閉状態にすることとしてもよい。かかる構成によれば、車両が不適切な状態に長時間にわたって放置されることはなく、自動的により好ましい状態に切り替わるので、車両のセキュリティ性の更なる向上を図ることが可能となる。
また、この構成においては、車載機器32〜36の遠隔駆動後、所定時間中に車両乗員の車両への接近又は車両操作がなされないときに、車載機器32〜36が遠隔駆動されていることを操作端末12を所持する車両使用者へ通知することとしているが、かかる通知と共に或いはかかる通知に代えて、車載機10において車載ECU20が車載機器32〜36の状態を遠隔駆動が行われる前の状態に戻す指令を行うこととしてもよい。かかる構成においては、操作端末12のリモート操作に基づく車載機器32〜36の遠隔駆動が行われても、その後車両乗員の車両への接近又は車両操作が行われないときに、自動的にその車載機器32〜36の状態を駆動前の初期状態に復帰させることができるので、従って、車両使用者が操作端末12をリモート操作して車載機器32〜36を遠隔駆動させてもその後に車両使用者がその車載機器32〜36を遠隔駆動させたことを忘れてしまった場合や、車両使用者が車載機器32〜36の遠隔駆動を希望しないにもかかわらず誤って不意に操作端末12をリモート操作してしまった場合にも、車載機器32〜36が駆動された後の状態(具体的には、エンジン始動や車両ドアのアンロック,ウィンドウ開)が長時間にわたって継続することはなく、車載機器32〜36の遠隔駆動を車両の安全性・セキュリティ性の著しい低下を招来させることなく適切に実行させることが可能となる。この場合には、車載機10が特許請求の範囲に記載した「遠隔制御装置」に相当すると共に、車載機10が、遠隔駆動が行われた車載機器32〜36の状態を駆動前の状態に戻すことにより特許請求の範囲に記載した「自動復帰手段」が実現されることとなる。
更に、上記した第1の実施例においては、操作端末12が車両使用者によりリモート操作されると、操作端末12からセンタ14を介して車載機10へ車両操作要求情報が送信されることによりその車両操作要求に応じた車載機器32〜36の遠隔駆動が実行されるが、操作端末12のリモート操作後、車両操作要求情報が操作端末12からセンタ14を経由して車載機10に送信されて(図8に示すステップ620及び640)から車載機器32〜36の遠隔駆動が実行される(ステップ602)前に、車室内又は車両周辺に対してその車載機器32〜36の遠隔駆動が行われることを入出力部30からホーンやブザー等により事前報知することとしてもよい(ステップ600)。かかる構成によれば、車室内の人や車両周囲の人に予告もなしに車載機器32〜36の遠隔駆動が行われることはなく、その旨の注意喚起が事前になされるので、車載機器32〜36の遠隔駆動に起因した危険が車室内の人や車両周囲の人に及ぶのを回避することができ、車載機器32〜36の遠隔駆動を車両の安全性の著しい低下を招来させることなく適切に実行させることが可能となる。この場合には、車載機10が特許請求の範囲に記載した「遠隔制御装置」に相当すると共に、車載機10が、センタ14から送信される車両操作要求情報を受信したときに、車載機器32〜36を駆動させる前に、入出力部30からホーンやブザー等により事前報知することにより特許請求の範囲に記載した「事前報知手段」が実現される。
また、上記した第1の実施例においては、操作端末12がセンタ14から取得するweb画面に、操作端末12の操作によって遠隔制御することが可能な車両操作の項目が設けられ、遠隔制御可能な車両操作の項目ごとに車両使用者の操作によりチェック可能なチェックボックスが設けられているが、複数の車両操作を同時に遠隔制御可能なチェックボックスを設け、そのチェックボックスがチェック操作された場合に複数の車両操作を同時に遠隔制御するようにしてもよい。
例えば、車両の耐盗難性を確保するための車両操作(全車両ドアのロックや全ウィンドウ閉じ,全車両ドアの閉じ,室内カーテン閉じ,警戒モードのセットなど)を実現するチェックボックス、車両乗車時における乗員の快適性を確保するための車両操作(エアコン作動やデフォッガ作動,デフロスタ作動,乗車直後のオーディオ自動再生のための待機状態への移行,次の目的地への経路探索など)を実現するチェックボックス、又は寒冷地における運転容易性を確保するための車両操作(サイドブレーキの解除やウィンドウへの温風の送風,エアコン温度設定値の上昇など)を実現するチェックボックスなどを設けることとすれば、車両使用者による単一のチェック操作で複数の車両操作について同時に遠隔駆動を実現することが可能となるため、ある共通の目的をもった複数の車両操作について車両使用者によるチェック操作の簡便化を図ることが可能となる。