JP4426513B2 - 超音波探触子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の振動素子によって超音波の送波及び受波を行う超音波探触子及びその製造方法に関する。
近時、2Dアレイ振動子を備えた超音波探触子が実用化されている。2Dアレイ振動子は、一般に、二次元配列された数百から数千の振動素子で構成される。2Dアレイ振動子の一種として複数の有効振動素子が分散的に設定されたスパースアレイ型振動子も知られている。一般に、2Dアレイ振動子の下面側(背面側)には後方に放射された超音波を散乱、吸収するバッキングが設けられる。2Dアレイ振動子の上面側には1層又は複数層からなる整合層が設けられる。2Dアレイ振動子を構成する各振動素子にシグナルライン及びグランドラインを接続するため、各種の方法が提案されている。
典型的には、バッキング内にシグナルリードアレイが埋設される。それを構成する各シグナルリードは、バッキング内を通って振動素子の下面電極(シグナル電極)に接続される。一方、複数の振動素子の上面側には、それらの上面電極(グランド電極)の全体を覆って、一枚の銅箔などからなる共通グランド電極が設けられる。この構成では、複数の振動素子の上に共通グランド電極を形成した後に共通グランド電極の上に整合層が設けられる。よって、振動部材のカッティングと整合層のカッティングとを別々に行う必要がある。後者のカッティングにおいて整合層の全部を切断すると、共通グランド電極を傷つけてしまうおそれがあるために、整合層の下部を部分的に残してその切断が行われる。この構成では、隣接する整合素子間が部分的に連結するので、音響的特性に悪影響が生じる可能性がある。例えば、各振動素子について十分に広がった音圧分布を得られず(指向特性の低下)、このため電子セクタ走査において超音波ビームの偏向角度を大きくした場合に、十分な音圧を得られないなどの問題が生じる。また、振動素子間における音響的なクロストークも問題となる。
以上のような背景から、複数の振動素子について共通グランド電極を設けることなく、各振動素子ごとにグランドラインを接続することが要望されている。あるいは、各振動素子に対するシグナルライン及びグランドラインの個別的な接続を実現するための構造が要望されている。
特許文献1に示される超音波探触子においては、各振動素子の上面電極と下面電極とを短絡する垂直電極が示されている。その超音波探触子では、複数の振動素子の上面側に共通グランド電極が設けられており、また、整合層はカッティングされていない。特許文献2に示される超音波探触子においては、共通グランド電極が設けられ、複数の整合素子間に部分的な連結が生じている。特許文献3に示される超音波探触子においてはプリント基板を利用して各振動素子の保持及び各電極に対する電気的な接続が図られている。この構成では、各振動素子の振動をプリント基板が拘束してしまうおそれがあり、また、超音波探触子の製作が複雑になるおそれがある。特許文献4に示される超音波探触子においては、バッキング内に複数のシグナルラインと複数のグランドラインとが設けられている。また、各振動素子の側面には垂直電極が設けられている。その垂直電極の下端部は、バッキング内へは進入しておらず、水平方向に屈曲しており、つまり振動素子の下面側に回り込んでいる。その回り込み部分にグランドリードが接続されている。この超音波探触子の製造過程では、複数のブロック(振動素子列に相当)がバッキング上に位置決め配置される。よって、上記回り込み部分による電界への悪影響や複数のブロックの位置決めの煩雑さが懸念される。なお、特許文献5,6には積層されたあるいは複合化された超音波探触子が開示されている。
特開2001−309497号公報 特開2004−140761号公報 特開2001−309493号公報 特開2002−027593号公報 特開2004−097791号公報 特開2004−097792号公報
本発明の目的は、超音波探触子の特性を良好にすることにある。
本発明の他の目的は、超音波探触子において、音響的クロストークを低減し、指向特性を良好にし、あるいは、良好な電場を形成できるようにすることにある。
本発明の他の目的は、超音波探触子の製造コストを低減することにある。
本発明の他の目的は、複数の整合素子と複数の振動素子を同時に製作できるようにすることにある。
(1)本発明は、複数の振動素子を有する振動部と、前記振動部の下面側に設けられ、前記複数の振動素子の配列に対応して設けられた第1リードアレイ及び第2リードアレイを有するバッキングと、前記振動部の上面側に設けられ、前記複数の振動素子の配列に対応して設けられた複数の整合素子を有する整合部と、を含み、前記各振動素子は、下面電極、上面電極及び側面電極を有し、前記各振動素子において、前記下面電極には当該振動素子に対応する第1リードが電気的に接続され、且つ、前記上面電極には前記側面電極を介して当該振動素子に対応する第2リードが電気的に接続され、前記各振動素子の側面電極の下端部が前記バッキングの上層部内に入り込み、前記バッキングの上層部内において、前記各振動素子の側面電極の下端部が当該振動素子に対応する第2リードに電気的に接続された、ことを特徴とする。
上記構成によれば、バッキング内に第1リードアレイ及び第2リードアレイが設けられ、それらを用いて、各振動素子に対してシグナルライン及びグランドラインが接続される。望ましくは、第1リードアレイはシグナルリードアレイであり、第2リードアレイはグランドリードアレイであるが、それとは逆の対応関係も考えられる。各振動素子には、上面電極、下面電極及び側面電極が設けられる。各振動素子が積層型の場合には更に1又は複数の内部電極が設けられる。各振動素子において、下面電極には第1リードが接続される。上面電極には、側面電極を介して、第2リードが接続される。典型的には各振動素子は4つの側面を有するが、その4つの側面の内で1又は複数の側面に側面電極が設けられる。側面電極は、製造容易性の観点から面状電極であるのが望ましいが、それ以外の形態、例えば線状電極であってもよい。電気的絶縁性を向上し、また側面電極による電界への悪影響を防止するためには、振動素子本体部と側面電極との間に側面絶縁層を形成するのが望ましい。
上記構成においては、バッキング、振動部及び整合部の積層方向を垂直方向(上下方向)と仮定した場合において、側面電極の下端部がバッキングの上層部内まで延伸しており、バッキング上層部内で側面電極(の下端部)と第2リード(の上端部)との電気的な接続が図られる。よって、側面電極を特別な形態にする必要がなく、その形態をシンプルにできるので、側面電極の製造が容易となる。例えば、側面電極は、導電性材料の流し込みと、硬化した導電性材料の切削加工とによって簡便に形成できる。また、側面電極を垂直方向にストレートな形態をもって形成すれば、振動子本体部内で形成される電界への影響(電界の乱れ)を小さくすることができる。側面電極の実質的な直下位置に第2リード(の上端部)を位置決めできるので、第2リードを振動素子の中心位置(望ましくは第1リード位置)から隔てられる。なお、第2リードは、線状の導電部材として構成されてもよいが、板状の導電部材として構成されるのが望ましい。側面電極の厚みを薄くすれば、振動素子における振動への悪影響を事実上、無視することができる。更に、第1リードの周囲が第2リードによって包み込まれるような態様を採用することもでき、その場合には電気的なシールド作用を高められる。
また、上記構成によれば、各振動素子ごとに個別的に第2リードへの電気的な接続を行えるので、水平方向に大きく広がった共通グランド電極を設ける必要がなくなる。よって、振動部と整合部を一括してカッティングすることが可能となる。つまり、複数の分離溝の形成によって、複数の振動素子の分離と複数の整合素子の分離を同時に達成できる。但し、一括形成ではなく、それぞれについて個別的に分離溝を形成するようにしてもよい。整合部の構成としては各種のものを採用可能である。振動部の上に複数の整合層を設けるようにしてもよい。従来、共通グランド電極を設ける場合にはグランドラインの引き回し距離が増大してノイズを拾い易くなる問題があったが、上記構成によればそのような問題を解消あるいは改善できる。整合部において、各整合素子が完全に相互分離していれば、振動素子間における音響的クロストークを改善でき、また、各振動素子の指向角度を広くすることができる。よって、超音波ビームの偏向角度を大きくしたような場合においても、十分な感度を得られる。
(2)望ましくは、前記各第2リードには、少なくとも1つの側面電極ペアが接続され、前記側面電極ペアは、隣接する2つの振動素子間において対向する2つの側面電極によって構成される。側面電極ペアを構成する2つの側面電極の間には分離溝が存在し、その分離溝には一般に超音波振動に悪影響を与えないような目詰め材が充填されるが、それを空気層としてもよい。望ましくは、前記各第2リードは、平板状の形態を有し、前記各第2リードには、複数の側面電極ペアからなる側面電極ペア列が接続される。1つの第2リードに対して複数の側面電極ペアを接続できるようにすれば部品点数を少なくできる。
望ましくは、前記各分離溝は、前記複数の振動素子は複数の分離溝によって分離形成され、前記整合部から前記バッキングの上層部内まで貫通する溝である。各分離溝の底レベルは各側面電極の最下端レベルよりも下であってもよいし上であってもよい。いずれにしても、各側面電極が第2リードに確実に接続されるようにするのが望ましい。各分離溝の底レベルをバッキング上面よりも上にすることも可能であるが、その場合には振動素子間の分離が不完全となって音響的クロストークが生じやすくなるため、分離溝の底レベルはバッキング上面よりも下(つまりバッキングの上層部内)に設定されるのが望ましい。
望ましくは、前記各振動素子において前記側面電極と前記下面電極とを電気的に絶縁する絶縁手段が設けられる。望ましくは、前記絶縁手段の下端部が前記バッキングの上層部内に入り込んでいる。この構成によれば、絶縁性がより確実となる。絶縁手段は、絶縁ギャップあるいは側面絶縁層として構成されるのが望ましい。
望ましくは、前記第1リードアレイは、前記複数の振動素子の配列と同じ配列を有する複数の第1リードによって構成される。バッキング上面に現れる各第1リードの上端面に電極パッドを設けるようにしてもよい。
望ましくは、前記複数の振動素子は、X方向及びY方向に整列した複数の分離溝によって相互分離され、前記各振動素子において前記X方向に向く2つの側面の内の少なくとも一方に側面電極が形成され、前記第2リードアレイは、前記X方向に所定ピッチで並んだ複数の第2リードによって構成される。望ましくは、前記各振動素子においてX方向に向く2つの側面の一方に側面電極が形成され、前記振動子部において前記X方向に所定ピッチで複数の側面電極ペアが整列し、前記各側面電極ペアは、前記X方向に隣接する2つの振動素子間において対向する2つの側面電極によって構成され、前記所定ピッチは、前記X方向における分離溝ピッチの2倍に相当する。望ましくは、前記各振動素子においてX方向に向く2つの側面の両方に側面電極が形成され、前記振動子部において前記X方向に所定ピッチで複数の側面電極ペアが整列し、前記各側面電極ペアは、前記X方向に隣接する2つの振動素子間において対向する2つの側面電極によって構成され、前記所定ピッチは、前記X方向における分離溝ピッチに相当する。
各振動素子において、一方の側面だけに側面電極を形成する場合には、隣接する2つの振動素子間で一対の側面電極を対向させることができ、その一対の側面電極を共通の第2リードに接続できる。つまり、バッキング内における第2リードの個数を削減できる。各振動素子において、両方の側面に側面電極を形成する場合には、各振動素子内において電場の対称性を得られる。
(3)本発明は、複数の分離溝によって相互分離された二次元配列型の複数の振動素子を有する振動部と、前記振動部の下面側に設けられ、前記複数の振動素子の配列に対応して設けられたシグナルリードアレイ及びグランドリードアレイを有するバッキングと、前記振動部の上面側に設けられ、前記複数の振動素子の配列に対応して設けられた複数の整合素子を有する整合部と、を含み、前記各振動素子は、下面電極、上面電極及び側面電極を有し、前記各振動素子において、前記下面電極には当該振動素子に対応するシグナルリードが電気的に接続され、且つ、前記上面電極には前記側面電極を介して当該振動素子に対応するグランドリードが電気的に接続され、前記振動部には複数のグランド接続構造が構築され、前記各グランド接続構造は、分離溝を介して対向する側面電極ペアを有し、前記側面電極ペアがそれらに共通のグランドリードに電気的に接続された、ことを特徴とする。
グランド接続構造は側面電極ペアを有し、望ましくは、分離溝の垂直中心線に対して左右対称の構造を有する。側面電極ペアを単位として共通のグランドリードへの接続を行えるので、構造及び製造プロセスを合理化、簡易化できる。また、側面電極ペアが同じ極性を有しているので、電気的な回り込みを防止して、ノイズを低減できる。
望ましくは、前記振動子部における複数の下面電極の直下に、複数のシグナルリードの上端部が設けられ、前記振動子部における複数のグランド接続構造の直下に、複数のグランドリードの上端部が設けられる。望ましくは、前記各グランド接続構造において側面電極ペアの下端部が前記バッキングの上層部内に垂直に入り込んでいる。
望ましくは、前記各振動素子において側面電極と下面電極との間に絶縁ギャップが形成される。望ましくは、前記各振動素子において側面電極と振動素子本体部との間に側面絶縁層が形成される。側面絶縁層によって電気的な絶縁性を向上でき、また、その誘電率を適宜設定して、側面電極の存在に起因して生じる振動素子本体部内での電場の歪みを効果的に防止又は軽減できる。
(4)本発明は、複数の分離溝によって相互分離された二次元配列型の複数の振動素子を有する振動部と、前記振動部の下面側に設けられ、前記複数の振動素子の配列に対応して設けられたシグナルリードアレイ及びグランドリードアレイを有するバッキングと、前記振動部の上面側に設けられ、前記複数の振動素子の配列に対応して設けられた複数の整合素子を有する整合部と、を含み、前記各振動素子は、シグナル下面電極、グランド上面電極、シグナル内部電極、グランド内部電極、シグナル側面電極及びグランド側面電極を有し、前記各振動素子において、前記シグナル下面電極には当該振動素子に対応するシグナルリードが電気的に接続されると共に前記シグナル内部電極には前記シグナル下面電極及び前記シグナル側面電極を介して当該振動素子に対応するシグナルリードが電気的に接続され、且つ、前記グランド上面電極及び前記グランド内部電極には前記グランド側面電極を介して当該振動素子に対応するグランドリードが電気的に接続され、前記振動部には複数のシグナル接続構造が構築され、前記各シグナル接続構造は、分離溝を介して対向するシグナル側面電極ペアを有し、前記振動部には複数のグランド接続構造が構築され、前記各グランド接続構造は、分離溝を介して対向するグランド側面電極ペアを有する、ことを特徴とする。
上記構成によれば、各振動素子を積層型振動素子として機能させることができる。シグナル接続構造及びグランド接続構造は、望ましくは分離溝の垂直中心線に対して左右対称の構造を有する。一般には、溝形成と溝充填の各過程を繰り返すことによって、左右対称性を有する水平方向の多層構造を形成できる。
(5)本発明は、シグナルリードアレイ及びグランドリードアレイが埋設されたバッキング上に、振動板を積層し、これにより積層体を製作する工程と、前記積層体に対してその上方から前記バッキングの上層部内まで貫通する複数の基礎溝を形成し、それらに導電性部材を導入する工程と、前記導電性部材の導入後に、前記積層体に対してその上方から前記バッキングの上層部内まで貫通する複数の分離溝を形成し、これによって、残留導電性部材としての側面電極を有する複数の振動素子を製作する工程と、を含み、前記各振動素子の下面電極が当該振動素子に対応するシグナルリードに電気的に接続され、前記各振動素子の上面電極が前記側面電極を介して当該振動素子に対応するグランドリードに電気的に接続される、ことを特徴とする。
本発明は、シグナルリードアレイ及びグランドリードアレイが埋設されたバッキング上に、振動板を積層し、これにより第1積層体を製作する工程と、前記第1積層体に対してその上方から前記バッキングの上層部内まで貫通する複数の基礎溝を形成し、それらに導電性部材を導入する工程と、前記導電性部材が導入された第1積層体上に整合板を積層し、これにより第2積層体を製作する工程と、前記第2積層体に対してその上方から前記バッキングの上層部内まで貫通する複数の分離溝を形成し、これによって、残留導電性部材としての側面電極を有する複数の振動素子を製作する工程と、を含み、前記各振動素子の下面電極が当該振動素子に対応するシグナルリードに電気的に接続され、前記各振動素子の上面電極が前記側面電極を介して当該振動素子に対応するグランドリードに電気的に接続される、ことを特徴とする。望ましくは、前記各基礎溝の溝幅よりも前記各分離溝の溝幅の方が狭い。
本発明は、シグナルリードアレイ及びグランドリードアレイが埋設されたバッキング上に、振動板を積層し、これにより積層体を製作する工程と、前記積層体に対してその上方から前記バッキングの上層部内まで貫通する複数の第1基礎溝を形成し、それらに絶縁性部材を導入する工程と、前記絶縁性部材の導入後に、前記積層体に対してその上方から前記バッキングの上層部内まで貫通する複数の第2基礎溝を形成し、これによって、各第2基礎溝の内面上に側面絶縁層を残留させ、更に、前記複数の第2基礎溝内に導電性部材を導入する工程と、前記導電性部材の導入後に、前記積層体に対してその上方から前記バッキングの上層部内まで貫通する複数の分離溝を形成し、これによって、側面絶縁層及び残留導電性部材としての側面電極を有する複数の振動素子を製作する工程と、を含み、前記各振動素子の下面電極が当該振動素子に対応するシグナルリードに電気的に接続され、前記各振動素子の上面電極が前記側面電極を介して当該振動素子に対応するグランドリードに電気的に接続される、ことを特徴とする。
望ましくは、前記各第1基礎溝の溝幅よりも前記各第2基礎溝の溝幅の方が狭く、前記各第2基礎溝の溝幅よりも前記各分離溝の溝幅の方が狭い。
以上説明したように、本発明によれば、各振動素子へシグナルライン及びグランドラインを適切に接続して、良好な特性を有する超音波探触子を提供できる。また、本発明によれば、超音波探触子の製造コストを低減できる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、振動子アセンブリ(内部ユニット)10の斜視図が示されている。振動子アセンブリ10は図示されていない超音波探触子ケース内に配置される。本実施形態に係る超音波探触子は、図示されていない超音波診断装置本体に対してケーブルを介して接続される。超音波診断装置は、医療の分野において用いられ、生体に対する超音波の送受波によって得られたエコーデータに基づいて超音波画像を形成する装置である。本実施形態に係る振動子アセンブリ10は後に詳述するように2Dアレイ振動子14を有している。この2Dアレイ振動子14に対して2次元の電子走査を適用することにより、超音波ビームを二次元走査することができ、これによって生体内に三次元エコーデータ取込空間を形成することができる。本発明は、2Dアレイ振動子を有する超音波探触子の他に、二次元配列された複数の振動素子を有する1.5Dアレイ振動子を備えた超音波探触子などに適用することもできる。なお、電子走査方式としては、電子セクタ走査、電子リニア走査などが知られている。
図1において、振動子アセンブリ10は、2Dアレイ振動子14,バッキング16及び整合層18を有している。2Dアレイ振動子14は上述したように超音波の送受波を行って超音波ビームを形成する振動部として機能する。2Dアレイ振動子14の下側すなわち背面側には超音波の吸収、減衰などを行うバッキング16が設けられ、2Dアレイ振動子14の上側すなわち放射側には音響インピーダンスの整合を図るための整合層18が設けられている。整合層18は整合部として機能する。整合部が複数の整合層によって構成されてもよい。
図1において、超音波の放射方向をZ方向(垂直方向)として定義すると、X方向及びY方向はそれぞれ水平方向として定義される。
上記の2Dアレイ振動子14は、X方向及びY方向に整列した例えば数百あるいは数千の振動素子15によって構成される。振動素子15は以下に説明するように振動素子本体部の側面に形成された側面電極34を有する。具体的には、振動素子15はPZTあるいは複合材料によって構成される圧電材料29と、圧電材料29の上面に形成された上面電極(グランド電極)30と、圧電材料29の下面に形成された下面電極(シグナル電極)32と、圧電材料29の側面に形成された側面電極34と、を有している。各電極30,32,34はそれぞれ薄膜状の電極層を構成している。
図1に示す実施形態においては、振動素子本体部におけるX方向に向く2つの側面の内で一方の側面にのみ側面電極34が形成されている。側面電極34は図示されるように側面全体に広がった面状の電極であり、後に詳述するようにその下端部はバッキング16内に入り込んでいる。なお、振動素子15における4つの側面の内で、後に説明するように例えばX方向に向く2つの側面のそれぞれに側面電極を形成するようにしてもよいし、4つの側面の全部に側面電極を形成することも可能である。側面電極34における下端部と下面電極32との間には絶縁ギャップが形成されており、これについては後に説明する。
バッキング16は、バッキング材料28とその内部に埋設されたシグナルリードアレイ及びグランドリードアレイによって構成される。それらはバッキング16の下面側に設けられるFPC(フレキシブルプリント回路)基板に接続される。バッキング材料は、エポキシ樹脂を母材として、それに対して窒化ホウ素、タングステンなどのフィラーを添加したものとして構成される。もちろん、バッキング材料28としては各種の材料が公知である。シグナルリードアレイは、図示されるように2次元配列された複数のシグナルリード24によって構成される。複数のシグナルリード24の配列は複数の振動素子15の配列と同一であり、各振動素子ごとに一つのシグナルリード24が設けられている。シグナルリード24の上端部は、それに対応する振動素子15における下面電極32の中央部分に接続されている。図1においてはバッキング16の上面に現れるシグナルリードの上端面が符号24Aによって表されている。その上端面24Aに対して電極パッドなどを設けるようにしてもよい。各シグナルリード24の上端部が各振動素子における下面電極32の中心に合致するように、バッキング16と2Dアレイ振動子14とが互いに位置決めされる。本実施形態において、各シグナルリード24は線状の導電部材によって構成されている。
上記のグランドリードアレイは、本実施形態において複数のグランドリード26によって構成される。複数のグランドリード26は図示されるようにX方向に所定間隔で並んでいる。その間隔は後に説明するように振動子間ピッチの2倍(すなわち後に説明する分離溝ピッチの2倍)である。各グランドリード26は図1に示す構成例においてY方向に伸長したプレート状の導電部材として構成されている。すなわち、各グランドリード26はY−Z平面に広がった部材として構成されている。図示されるように、X方向においては複数の振動素子間(複数の分離溝)が存在するが、1つおきの分離溝ごとにグランドリード26がその直下に設けられている。各振動素子15の側面電極34はその振動素子15に対応するグランドリード24に電気的に接続される。具体的には側面電極34の下端部がグランドリード24の上端部に物理的に結合している。
後に説明するように、X方向において1つおきの分離溝22ごとにグランド接続構造が構築され、すなわち側面電極ペアが構築されており、各側面電極ペアが共通のグランドリード26に接続されている。Y方向に着目すると、複数のグランド接続構造が整列しており、つまり複数の側面電極ペアからなる側面電極ペア列が共通のグランドリード26に接続されている。このような構成により、部品点数を削減してバッキング16の構造を簡易化できるという利点がある。
上記の整合層18は、複数の振動素子15と同一の配列をもった複数の整合素子19によって構成される。整合部と振動部とからなる積層部分に対してX方向及びY方向に整列した複数の分離溝20,22をマトリクス状に形成することにより、整合部及び振動部をそれぞれ細分化することができる。これによって、整合層18を構成する複数の整合素子19と、2Dアレイ振動子14を構成する複数の振動素子15とを一括して分離形成できるという利点がある。すなわち、従来のように2Dアレイ振動子14と整合層18との間に共通グランド電極は設けられておらず、Z方向に複数の分離溝20,22を切削形成することにより整合部と振動部とを一括して製作できるという利点がある。複数の整合素子を相互に完全に分離することが可能となるので、振動素子間における音響的なクロストークを著しく軽減でき、また隣接する整合素子が部分的に連結することによって指向角度が狭くなってしまう問題を解消して、各振動子ごとの指向角度を広くすることが可能となる。これにより、例えば電子セクタ走査において超音波ビームの偏向角度を増大したような場合においても十分な感度を得ることが可能となる。また、2Dアレイ振動子14の上面側に音響的に重い部材が載らなくなるので2Dアレイ振動子14における各振動素子の振動を良好に行わせることができるという利点もある。更に、従来のような共通グランド電極を設けた場合、各振動素子についてのグランドラインの経路長がどうしても長くなり、その結果としてノイズの混入する可能性が高くなっていたが、上記構成によれば、各振動素子ごとに個別的にグランドラインを形成してノイズの混入といった問題を効果的に軽減できるという利点がある。加えて、それぞれの振動素子15ごとにグランドラインを形成できるので電気的なクロストークの面でも有利である。
次に、図2を用いて2Dアレイ振動子の構造について更に詳述する。
図2には2つの振動素子15A,15Bが拡大図として示されている。図2はX−Z断面を示している。上述したように、各振動素子15A,15Bは、圧電材料29、上面電極30、下面電極32、側面電極34などを有している。図1及び図2に示す実施形態においては、各振動素子について一方の側面にのみ側面電極34が形成されており、X方向において側面電極が形成される面は互い違いに設定されている。その結果として、X方向において、複数の振動素子間が存在するが、複数の振動素子間における1つおきの振動素子間にグランド接続構造40が構築される。
すなわち、隣接する2つの振動素子15A,15Bに着目した場合、振動素子15Aにおける振動素子15B側の側面には側面電極34が形成され、これと同様に、振動素子15Bにおける振動素子15A側の側面には側面電極34が形成されている。2つの側面電極34は分離溝22を介して互いに対向しており、それら2つによって側面電極ペアが構成される。このようにグランド接続構造40は側面電極ペアを有するものである。ちなみに、符号42は、隣接する振動素子間において側面電極が形成されていない側面を対向させた関係にある素子間構造を示している。上述したように、このようなグランド接続構造40と、通常の構造42とがX方向において互い違いに設定されることになる。各グランド接続構造40が存在する位置についてだけそれぞれグランドリード26が配設される。各振動素子15A,15Bにおいては、側面電極34の上端34aが上面電極30の端部に結合されている。また、側面電極34の下端部が絶縁ギャップ36によって下面電極32から電気的に絶縁されており、その下端34bがグランドリード26の上端部に接続されている。具体的には、図2に示されるように、グランドリード26の上端部には、一対の側面電極の下端部及び分離溝22の下端部が入り込んだ態様を呈している。
すなわち、各側面電極34の下端部は、バッキングの上層部内に入り込んでおり、また分離溝22の下端部もバッキングの上層部内に入り込んでいる。更に、絶縁ギャップ36における下側部分もバッキング内に入り込んでいる。図2に示す例では、各側面電極34の下端34bのレベルよりも分離溝22の底レベルが低い位置に設定されているが、それらの位置的関係を逆転させることも可能である。いずれにしても、各側面電極34が確実にグランドリード26に接続されるように構成するのが望ましい。絶縁ギャップ36が部分的にバッキング内に入り込んでおり、すなわち下面電極32を基準として上下方向に一定の幅をもって絶縁ギャップ36が存在しているため、側面電極34と下面電極32との間における電気的な絶縁性を確実に確保できるという利点がある。絶縁ギャップ36は後に説明するように絶縁性をもった接着剤の充填などによって形成されるものである。
以上のように、X方向において、複数の分離溝22における一つおきの分離溝22にはそれを中心としてグランド接続構造40が構築される。グランド接続構造40は分離溝22における垂直中心線を基準としてX方向に左右対称の構造を有している。この対称性により後述するように溝形成及び溝充填のプロセスを繰り返すことによって簡便にグランド接続構造40を形成できるという利点がある。なお、隣接関係にある側面電極ペアにおいて2つの側面電極の下端部は図2に示す構成例においては互いに分離されていたがそれらを連結するようにしてもよい。各側面電極34の深さと各分離溝22の深さとを適宜設定することにより所望のグランド接続構造を構築することが可能である。
図1及び図2に示した実施形態によれば、各振動素子15における側面電極34の下端部がバッキング16の上層部内に差し込まれており、その上層部内において側面電極34の下端部とグランドリード26の上端部との電気的な接続が図られているため、グランドの確実な接続を達成できるという利点がある。また、側面電極34を単純な面状の薄膜層として形成することが可能であるので、後に説明するように簡易な製造プロセスによって一対の側面電極を一括形成できるという利点がある。また各側面電極が垂直方向に伸長したストレートな形態を有しているため、従来のように屈曲部を形成する必要がないので、その意味でも製造プロセスを簡略化でき、また特別な側面電極構造を採用する場合に生じる振動素子内部における電場の乱れといった問題を効果的に防止できるという利点がある。本実施形態においては互いに向き合う一対の側面電極が共通のグランドリードに接続されているため、部品点数を削減できるという利点がある。上述したように、各振動素子15ごとにグランドラインを短い経路によって形成できるので、ノイズの混入の問題を効果的に軽減できる。また、側面電極34が熱伝導の良い導電体として構成されるため、振動素子15内部において発生する熱を効果的に拡散して熱的な集中の問題を軽減でき、これによって臨床上問題となる超音波探触子表面温度を低減できるという利点がある。
図1及び図2に示す実施形態においては、各分離溝20,22内に音響的なクロストークを生じにくい目詰め材が充填されている。その目詰め材もバッキング16における上層部内に部分的に進入している。図2にグランド接続構造40の詳細を示したように、2Dアレイ振動子14とバッキング16との間の関係について着目した場合、2Dアレイ振動子14から下方側へ複数のアンカー部材が突出してそれらがバッキング16の上層部内に差し込まれて固定されている状態にあるので、2Dアレイ振動子14とバッキング16との間における機械的な結合関係を密にすることができる。これによって振動特性を良好にできるという利点がある。
なお、上記で説明した実施形態においては、側面電極34が面状電極として構成されていたが、場合によってはそれをライン状電極として構成することも可能である。また、後に説明するように、各振動素子において、X方向に向く2つの側面のそれぞれに側面電極を形成すれば、X方向における対称性を良好にして振動特性を向上できるという利点もある。
本実施形態においては、バッキング16内において所定の間隔をもってプレート状の複数のグランドリードが配置されているためバッキング16内におけるシールド性能を向上できるという利点もある。
次に、図3〜図8を用いて、図1及び図2に示した実施形態に係る振動子アセンブリ10の製造方法について説明する、まず、図3に示すように圧電板50及びバッキング16が用意される。圧電板50は平板状の圧電材料51に対して所定の加工が施されたものである。
具体的には、圧電材料51の上面及び下面が研磨され、下面については振動素子間ピッチの2倍のピッチをもって複数の溝56が形成される。各溝56はY方向に伸長した溝である。複数の溝56の形成後、圧電材料51の下面に対して金などが蒸着される。その蒸着層が符号54によって示されている。圧電材料51の上面については必要なタイミングにおいて金などが蒸着される。その蒸着層が符号52によって表されている。上面に対する蒸着層52の形成は、後の段階において行うことも可能である。
一方、バッキング16の上面が研磨され、その後にバッキング16に対しても振動素子間ピッチの2倍のピッチをもって複数の溝62が形成される。各溝62はY方向に伸長した溝である。そして、バッキング16の上面に対して金などが蒸着され、これによって蒸着層60が形成される。
圧電板50に形成された複数の溝56及びバッキング16の上面に形成された複数の溝62は複数の絶縁ギャップを形成するためのものである。圧電板50の下面及びバッキング16の上面に対する蒸着処理により、各溝56,62の内部にも蒸着部分58,66が生じる。それらの蒸着部分58,66は本来不要なものであるが、それらの蒸着部分58,56がそれぞれ蒸着層54,60に電気的に接続されていなければそのような蒸着部分58,66が存在していても問題はない。ただし、蒸着層54,60を形成した後に溝56,62を形成することによりそのような蒸着部分58,66を生じさせないようにすることもできる。
次に、図4に示されるように、圧電板50とバッキング16とが絶縁性接着剤を用いて接合される。その絶縁性接着剤は上記の溝56,62によって形成される溝空間72内に充填されることになる。符号74は各溝空間72に充填された絶縁材料を示している。ちなみに、図4においては上記の蒸着層54,60が2つ合わせて、一つの電極層として示されている。2つの蒸着層は完全に密着接合していれば電気的な接続不良の問題は生じない。必要に応じて、電気的なコンタクトを高めるために絶縁性接着剤を2つの部材間に塗布した後に各蒸着層54,60におけるコンタクト部分に対して露出処理などを行ってもよい。図4におけるD1は振動素子間ピッチを表しており、例えばD1は0.3mmである。D2はリードフレーム26間ピッチを示しており、そのピッチは上記のD1の2倍である。
次に、図5に示されるように、貼り合わせられた積層体の上方から2倍の素子間ピッチすなわちピッチD2をもって複数の基礎溝80が形成される。各基礎溝80はY方向に伸長した溝である。各基礎溝80の深さは後に形成される側面電極層の深さ範囲を規定する。各基礎溝80の形成により、各絶縁材料74の中央部分が切断され、同様に圧電板も切断されることになる。更にグランドリードの上端部も部分的に切り欠かれる。なお図3において示した蒸着層52は複数の基礎溝80の形成によって複数の電極層52Aに分割される。ちなみに、圧電板の下面側の蒸着層における平面部分及びバッキングにおける上面の蒸着層における平面部分(符号54A)はこの段階においてはそのまま保存される。各基礎溝80の形成により、絶縁材料74が2つに分割された結果としてそれぞれの基礎溝80ごとに一対の絶縁ギャップ36が生じる。ちなみに、符号58a,66aは基礎溝80の形成によって分断された蒸着層部分における断片要素を示している。それらは実質的に機能しないものである。
次に、図6に示されるように、上記のように形成された複数の基礎溝80に対してそれぞれ導電性部材(導電性樹脂)が充填され、それが硬化される。そして、図7に示されるように、圧電板及びバッキングからなる積層体84の上面側に整合板86が接着される。
次に、図8に示されるように、各振動素子間ごとに複数の分離溝22が形成される。具体的には、整合板86を含む積層体の全体に対して、その上方からバッキング16における上層部まで達する複数の分離溝22が形成される。またそれに前後して、Y方向に伸長した複数の分離溝も形成される。これによって、整合層18においては複数の整合素子19が分離形成されることになり、振動部においても複数の振動素子15が分離形成され、これによって2Dアレイ振動子14が構成される。
各分離溝22は、図5を用いて説明した各基礎溝80よりも深い位置まで到達しており(両者の中心位置は同一であるが、各分離溝22の方が溝幅が小さい)、これによって図6を用いて説明した導電性部材82は、その中央部分を貫通する分離溝22によって2つの部分に分けられ、それぞれが側面電極34を構成することになる。すなわち、上述した基礎溝の両側面上にそれぞれ側面電極34が残留することになる。したがって、分離溝22の形成が、整合素子分割、振動素子分割、及び、側面電極ペアの形成に相当することになる。また、各分離溝22の形成により各振動素子ごとに上面電極30が構成され、また下面電極32が構成される。各分離溝22(20)内にはそれぞれ目詰め材が充填される。
上記実施形態においては、1つの分離溝22を形成するだけで、Y方向に並んだ複数のグランド電極構造40を構築することができる。すなわちY方向に並んだ複数の側面電極ペアを一括して形成することができる。それらの側面電極ペアは側面電極ペア列を構成し、側面電極ペア列は共通のグランドリード26に一括して接続される。各側面電極ペアの直下にそれぞれグランドリード26が位置決めされており、各側面電極ペアとグランドリード26とは垂直方向に実質的に直線的に並んだ関係にある。一方、各振動素子における中心部分にはその直下にシグナルリード24が設けられており、すなわち各シグナルリード24の上端部が各振動素子の下面電極32の中央部分に接続される。
次に、図9〜図16を用いて振動子アセンブリの第2実施形態について説明する。なお、図1〜図8に示した第1実施形態と同様の構成には同一符号を付し、その説明を省略することにする。
図9において、振動子アセンブリ100は、2Dアレイ振動子102と、2Dアレイ振動子102の下面側に設けられたバッキング16と、2Dアレイ振動子102の上面側に設けられた整合層18と、を有している。2Dアレイ振動子102はX方向及びY方向に整列した複数の積層型振動素子104によって構成される。以下に、その積層型振動素子104について詳述する。
積層型振動素子104は、複数の振動層106を有している。それらの振動層106はZ方向に積層されている。振動素子104の上面には上面電極108が設けられ、振動素子104の下面には下面電極110が設けられる。また隣接する振動層106の間には内部電極112,113が設けられている。上面電極108及び内部電極113はグランド電極として機能し、下面電極110及び内部電極112はシグナル電極として機能する。振動素子104において、X方向における一方側の側面には側面電極116が形成されており、他方側の側面には側面電極120が形成されている。振動素子104における振動素子本体部と側面電極116との間には側面絶縁層114が形成されており、振動素子本体部と側面電極122との間には側面絶縁層120が形成されている。側面絶縁層114は、側面電極116と内部電極112との間の絶縁性を確保するためのものである。側面電極116の上端部は上面電極108の一方端に接続されており、側面電極116の下端部は内部電極113の一方端に接続されている。側面絶縁層120は、側面電極122と内部電極113との間の絶縁性を確保するためのものである。側面電極122の上端部は内部電極112の一方端に接続されており、側面電極122の下方端は下面電極110に接続されている。
側面電極116は、グランドについての内部接続用の電極であり、側面電極122はシグナルについての内部接続用の電極である。更に、分離溝22に面してかつ側面電極116に隣接して側面電極118が形成されている。この側面電極118はグランドについての外部接続用の電極である。側面電極118の上端部は側面電極116と共に上面電極108に接続されており、側面電極118の下端部はバッキング116の上層部内に差し込まれて、グランドリード26の上端部に接続されている。下面電極110にはシグナルリード24の上端部が接続されている。
以上のような接続関係により、シグナルリード24は下面電極110に接続され、更に側面電極122を介して内部電極112に接続される。側面絶縁層120によって側面電極122と内部電極113との間における絶縁性が確保されている。グランドリード26は側面電極118及び側面電極116を介して内部電極113及び上面電極108に接続される。この場合において、側面電極116,118と内部電極112との間における絶縁性が側面電極層114によって確保されている。
図1等に示した実施形態と同様に、図9に示す実施形態においても、X方向に着目した場合に各振動素子の向きが互い違いに設定されている。すなわち、X方向には複数の分離溝22が形成されているが、各分離溝ごとにグランド接続構造124とシグナル接続構造126とが互い違いに設定されている。グランド接続構造124は、分離溝22の垂直中心軸を境として左右対称の構造を有しており、これはシグナル接続構造についても同様である。ただし、シグナル接続構造においては2番目の側面電極は設けられておらず、一方、グランド接続構造124においては側面電極116を超えてグランドリード26への電気的な接続を図るために2番目の側面電極118が設けられている。
このような構成により、各振動素子104を積層化することが可能であり、特に上下方向に並ぶ各電極108,112,113,110について互い違いにグランドあるいはシグナルを接続することが可能となる。また、グランドについては上下方向に貫通した側面電極118によってグランドリード26への電気的な接続を確実に行うことが可能である。更に、各振動素子ごとに側面絶縁層114,120が設けられ、それらは振動素子の側面において面状に広がる絶縁層として構成されているため、振動素子について必要な絶縁性を十分に確保できると共に、両側面に垂直方向に側面電極116,118,122を形成することに起因する振動素子内部にて生じる電場の乱れを効果的に抑制することが可能である。また、そのような作用が達成できるように各側面絶縁層114,120を適切な材料で構成するのが望ましい。なお、図9に示す実施形態においても絶縁ギャップが設けられている。絶縁ギャップと側面絶縁層とを一体化して形成するようにしてもよい。
次に、図10〜図16を用いて図9に示した振動子アセンブリ100の製造方法について説明する。
まず、図10に示されるように積層型圧電板130とバッキング16とが用意される。ここで、積層型圧電板130の製造方法については例えば特許文献5,6等に記載された内容が参考となる。積層型圧電板130は、上下方向に積層されたバッキング材料からなる3つの層132を有しており、また各層間には内部電極層134が設けられている。積層型圧電板130においては上方及び下方から互い違いの関係をもって複数の溝構造が構築されている。各溝構造は大きな溝幅をもって第1の基礎溝を形成した後にその内部に絶縁性材料を充填して硬化させ、更に幅の狭い第2の基礎溝を形成してその内部に導電性部材を充填して硬化させることによって構築できる。
図10においては、上方側から構築される各溝構造において、符号142によって導電性部材が示されており、符号114によって絶縁性材料からなる側面絶縁層が示されている。この側面絶縁層114はY方向に伸長した板状の形態を有している。これは導電性材料142についても同様である。積層型圧電板130における下方側から形成される各溝構造においても、上記同様に、導電性材料が符号146によって示されており、その両側に形成される側面絶縁層が符号120によって示されている。
また、積層型圧電板130における下面側には振動素子間ピッチの2倍のピッチをもって複数の溝150が形成されており、またバッキング16における上面についても複数の溝154が形成されている。図10においてはバッキング16における上面側に対して蒸着処理が施された状態が示されており、その蒸着処理によってバッキング16の上面には蒸着層152が形成され、各溝の内部には蒸着部分が生じている。
次に、図11に示されるように、積層型圧電板130の下面及び上面に対して蒸着処理が施される。例えば金などの材料が蒸着される。これによって、下面側においては蒸着層158が形成され、上面側には蒸着層156が形成される。それらは電極層を構成するものである。ちなみに、図10に示した各溝150内には蒸着層部分が生じている。上述したように、各溝内に生じるこのような蒸着層部分については製造プロセスを適宜変更することによって除外することも可能である。
次に、図12に示されるように、積層型圧電板130とバッキング16とが絶縁性接着剤を用いて相互に貼り合わせられる。これによって上下2つの溝の貼り合わせによって形成される溝空間内に絶縁性材料が充填される。それが符号158で表されている。
次に、図13に示されるように、積層型圧電板130とバッキング16とからなる積層体に対して、その上方から一定間隔をもって中間的な基礎溝160が形成される。その一定間隔は振動子間ピッチの2倍であり、各グランドリードごとに基礎溝160が形成される。各基礎溝160の形成により、絶縁材料がその中間から2つに分断され、これによって一対の絶縁ギャップ162が構成される。これと共に、導電性部材もその中央から左右に分割されることになり、その結果として内部接続用の側面電極164が構成される。
そして、図14に示されるように、各基礎溝160に対して導電性部材166が充填される。ちなみに、製造プロセスを適宜修正することにより、図9に示した内部接続用の側面電極116と外部接続用の側面電極118(図16参照)とを1つの側面電極として一括形成することも可能である。
次に、図15に示されるように、積層型圧電板130とバッキング16とからなる積層体168の上面側に整合板170が接着される。そして、図16に示されるように、振動素子間ピッチをもって複数の分離溝22が形成される。段階的に多重形成される複数の溝の幅は段階的に小さく設定されている。各分離溝22はY方向に伸長した溝である。それと直交する複数の分離溝は複数の分離溝22の形成の前又は後に形成される。複数の分離溝22を形成することにより、X方向において1つおきにグランド接続構造124が構築され、その間にシグナル電極構造126が構築されることになる。グランド接続構造124においては、分離溝22の形成により、図14を用いて説明した導電性部材166がその中央から左右に2分割されることになり残留する部分として一対の側面電極118が形成されることになる。これと共に、整合板170が複数の整合素子19に分割形成され、これによって整合層18が構成される。また、積層型圧電板においては複数の分離溝の形成により複数の振動素子が分離形成され、これによって2Dアレイ振動子102が構成される。
シグナル電極構造126においては、分離溝22の形成により、図10に示した導電性部材146が中央部分から2分割され、その結果として残留する部分として一対の側面電極122が形成されることになる。
したがって、各分離溝22の形成により、グランド電極124においては一対の側面電極118を一括形成でき、シグナル電極構造126においては分離溝22の形成によって一対の側面電極122を一括形成できる。上述したように、各分離溝22はY方向に伸長しており、実際には、分離溝22の形成によってY方向に並んだ複数のグランド電極構造124又は複数のシグナル電極構造126が一括形成されることになる。ここで、Y方向に並ぶ複数のグランド接続構造124が有する複数の側面電極ペアはそれらに共通のグランドリードに電気的に接続される。
次に、図17〜図25を用いて振動子アセンブリの第3実施形態について説明する。なお、図1等に示した第1実施形態及び図9等に示した第2実施形態と同様の構成には同一符号を付し、その説明を省略することにする。
図17において、振動子アセンブリ130は、2Dアレイ振動子132と、その下面側に設けられたバッキング133と、2Dアレイ振動子132の上面側に設けられた整合層18と、を有している。
2Dアレイ振動子132は、X方向及びY方向に整列した複数の振動素子134によって構成されている。各振動素子134は、圧電材料によって構成される振動素子本体部140と、そのX方向における両側面に形成された2つの側面電極144と、上面電極146と、下面電極148とを有している。また、振動素子本体部140と2つの側面電極144との間には垂直方向に広がる面状の側面絶縁層142が設けられている。それらの側面絶縁層142によって各側面電極144によって生じる電場の乱れの問題を効果的に抑制することができ、また電気的な絶縁性を極めて向上することが可能である。
図17に示されるように、X方向においては、各振動素子間にグランド接続構造135が形成されている。各グランド接続構造135は、互いに対向する一対の側面電極144を有している。それらの側面電極144の下端部は、上述した各実施形態と同様にバッキング133における上層部内に入り込んでいる。ただし、この実施形態においては、一対の側面電極の下端部が相互に連結されており、図示されるように連絡部150が構成されている。そして、その連絡部150がグランドリード138の上端部に結合されている。ちなみに、各シグナルリード136はそれぞれ対応する振動素子134における下面電極148に接続されている。
図17に示す実施形態によれば、各振動素子134においてX方向に向く2つの側面のそれぞれに側面電極144が形成されているため、X方向における電場の対称性を得ることが可能であり、また2つの側面を利用して熱的な拡散を図ることができるという利点がある。また各振動素子ごとにX方向の両端がバッキング133側に差し込まれてアンカーとしての役割を達成することになるので、各振動素子のバッキング133への機械的な結合をより良好にすることが可能となる。もちろん、各振動素子134が有する4つの側面の全部に側面電極を形成する変形例を採用することも可能である。
図18〜図25を用いて図17に示した振動子アセンブリ130の製造方法について説明する。
まず、図18に示されるように、圧電板152とバッキング133とが用意される。圧電板152の上面及び下面には金などの蒸着によって蒸着層160,162が形成される。また、バッキング133についてもその上面に金などの蒸着によって蒸着層164が形成される。ちなみに、各面への蒸着処理に先立って研磨処理が施される。これは他の実施形態と同様である。
図19に示されるように、圧電板152とバッキング133とが導電性接着剤などを用いて相互に接着される。なお、図19においては図18に示した蒸着層162,164が1つの導電層として表されている。
次に、図20に示されるように、圧電板の上方から振動素子間ピッチをもって複数の基礎溝166が一定の深さで形成される。各基礎溝166はバッキングにおける上層部に到達している。各基礎溝166の底面はそれぞれグランドリード138の上端部を切り欠く態様をもって形成されている。
次に、図21に示されるように、各基礎溝166内に絶縁性材料168が充填され、それが硬化される。そして、図22に示されるように、図21で充填された各絶縁性材料168ごとにその中央部分を貫通するように複数の第2の基礎溝170が形成される。これによって各溝内にはその両側に側面絶縁層142が残留することになる。
次に、図23に示されるように、各第2の基礎溝170に対して導電性部材が充填されると共に、積層体の上面にも導電性部材174が設けられる。そして、図24に示されるように、各導電性材料が硬化した後に、積層体178の上面側に整合板176が接着される。導電性部材174を設けることなく、導電性接着材の層を形成してもよい。
そして、図25に示されるように、振動素子間ピッチをもって複数の分離溝22が形成される。それと前後してX方向に伸長する複数の分離溝も形成される。複数の分離溝22の形成によって、各第2の基礎溝170内に充填された導電性部材がその中央部分から2つに分割されて残留された部分として一対の側面電極層144が生じる。これと共に、整合板が複数に分割され、これによって複数の整合素子からなる整合層が構築される。同様に、複数の振動素子が形成され、これによって2Dアレイ振動子132が構築される。
図25に示されるように、複数の分離溝22の深さは、上述した複数の第2の基礎溝170の深さよりも若干浅く設定されており、これによって各分離溝22ごとにその下側に一対の側面電極142を連結する連絡部分150が残留する。その連絡部分150は、対応するグランドリード138の上端部に接合している。
以上説明したように、この実施形態においても溝形成及び溝充填の繰り返しにより、複数のグランド接続構造135を一括して形成することが可能である。また各振動素子についてX方向の両側面にそれぞれ側面電極を形成し、すなわち各振動素子のX方向の両側にそれぞれグランド接続構造135を形成できるので、X方向の対称性を確保してより良好な振動特性を実現できるという利点がある。
次に、図26〜図36を用いてバッキングについてのいくつかの構成例を説明する。まず、図26〜図28を用いてバッキングの第1例について説明する。
図26に示されるように、バッキング板190、リードフレーム186及びバッキング板182を用いて貼り合わせ体が構成される。バッキング板190は平板状のバッキング材料で構成され、バッキング板182は上記のバッキング板190と同様の形態を有しているが、その上面には複数の溝184が形成されている。リードフレーム186は複数のリード188を有しており、各リード188は各溝184内に埋設されるものである。
各リード188を各溝184内に挿入しつつバッキング板190とバッキング板182を貼り合わせることにより、図27に示される貼り合わせ体192を構成できる。複数の貼り合わせ体192と複数の導電性プレート194とを交互に接着することにより、図28に示されるようにバッキング196を構成することができる。ここで、図26に示した各リード188はシグナルリードを構成するものであり、図27に示したスペーサとしての各導電性プレート194はグランドリードを構成するものである。
次に図29〜図31を用いてバッキングの第2例について説明する。
図29は、図27に示した貼り合わせ体192に相当するものが示されている。貼り合わせ体192に対してはその上面側から複数の溝198が形成される。なお、貼り合わせ体192は上側のバッキング板192Bと下側のバッキング板192Aとで構成されるが、下側のバッキング板192Aの方が上側のバッキング板192Bよりもやや厚く構成されている。複数の溝198の形成にあたっては下側のバッキング板192Aが完全に切断されない程度の深さをもって各溝198が形成されることになる。
次に、図30に示されるように、図29に示した各溝198内に導電性材料が充填されつつ貼り合わせ体の上面側に一定の厚みをもって導電層200Aが形成される。また、貼り合わせ体190における下面側が一定の厚みをもって面取り除去される。そして、図30に示される要素を複数並べて積層することにより、図31に示されるようなバッキング202を構築することができる。図示されるように、各リードの周囲には導電性材料が設けられており、すなわち各リードが導電性材料によって包み込まれている。このようなバッキングによれば、各振動素子ごとにシールド性能を高めることが可能である。
図32〜図36にはバッキングの第3例が示されている。
図32に示されるように、バッキング板212の上面及び下面に電極層214,216が形成される。図33に示されるように、上面側の電極層に対してエッチング処理が施され、これによってその上面に複数のリード218が形成される。
そして、図34に示されるように、複数のリードが形成された後のバッキング板210の上面に対してバッキング板220が貼り合わされる。バッキング板220の下面側には複数の溝222が形成されており、各リードは各溝222内に入り込む。そして、図35に示されるような貼り合わせ体224が形成される。その貼り合わせ体224の下面側には一定の厚みをもって電極層216が存在する。そして、図35に示される要素208を複数並べて積層することにより、図36に示されるようなバッキング210を構成することが可能である。
以上説明したように、バッキングの製造方法としては各種のものを採用することができ、いずれにしても、振動素子パターンに応じてシグナルリードアレイ及びグランドリードアレイを構成できるようにするのが望ましい。なお、上記実施形態において複数の振動素子の中に部分的に送受波で機能しない振動素子が含まれてもよい。例えば、上記の2Dアレイ振動子がスパース型2Dアレイ振動子であってもよい。また、上記の手法を拡張して、例えば1.5Dアレイ振動子に本発明を適用することも可能である。上記の各実施形態に示した超音波探触子によれば、2Dアレイ振動子を構成する各振動素子の音響的な特性及び電気的な特性を良好にできるので、超音波診断にあたって送信強度や感度を高めることが可能であり、その結果、良好な画質を有する超音波画像を構築できるという利点がある。
振動子アセンブリの第1実施形態を示す斜視図である。 図1に示す振動子アセンブリの拡大断面図である。 圧電板とバッキングの加工を説明するための図である。 圧電板とバッキングとの貼り合わせ状態を示す図である。 複数の基礎溝を形成した状態を示す図である。 複数の基礎溝に対して導電性部材を充填した状態を示す図である。 積層体に対して整合板を接合した状態を示す図である。 複数の分離溝の形成によって複数のグランド電極構造が形成される状態を示す図である。 振動子アセンブリの第2実施形態を示す斜視図である。 積層型圧電板とバッキングの加工を説明するための図である。 積層型圧電板に対する蒸着処理を説明するための図である。 積層型圧電板とバッキングとの貼り合わせ状態を示す図である。 複数の第1の基礎溝の形成を説明するための図である。 複数の第1の基礎溝に対する導電性部材の充填を説明するための図である。 積層体に対して整合板を接合した状態を示す図である。 複数の分離溝の形成によって複数のグランド接続構造及び複数のシグナル接続構造が形成される状態を示す図である。 振動子アセンブリの第3実施形態を示す斜視図である。 圧電板とバッキングの加工を説明するための図である。 圧電板とバッキングとの貼り合わせ状態を示す図である。 複数の第1の基礎溝の形成を説明するための図である。 複数の第1の基礎溝に対する絶縁性部材の充填を説明するための図である。 複数の第2の基礎溝の形成を説明するための図である。 複数の第2の基礎溝に対する導電性部材の充填を説明するための図である。 積層体に対する整合板の接合を説明するための図である。 複数の分離溝の形成による複数のグランド接続構造の形成を説明するための図である。 バッキングの第1例における部品の製造方法を説明するための図である。 バッキングの第1例における複数の部品の積層を説明するための図である。 バッキングの第1例を示す斜視図である。 バッキングの第2例における部品を説明するための図である。 部品に対する導電性材料の形成を説明するための図である。 バッキングの第2例を示す斜視図である。 バッキングの第3例に用いられるプレートを説明するための図である。 図32に示したプレートに対するエッチング後の状態を示す図である。 バッキングの第3例における部品を説明するための図である。 バッキングの第3例における部品の貼り合わせ状態を示す図である。 バッキングの第3例を示す斜視図である。
符号の説明
10 振動子アセンブリ、14 2Dアレイ振動子、15 振動素子、16 バッキング、18 整合層、20,22 分離溝、24 シグナルリード、26 グランドリード、30 上面電極、32 下面電極、34 側面電極、40 グランド接続構造。

Claims (21)

  1. 複数の振動素子を有する振動部と、
    前記振動部の下面側に設けられ、前記複数の振動素子の配列に対応して設けられた第1リードアレイ及び第2リードアレイを有するバッキングと、
    前記振動部の上面側に設けられ、前記複数の振動素子の配列に対応して設けられた複数の整合素子を有する整合部と、
    を含み、
    前記各振動素子は、下面電極、上面電極及び側面電極を有し、
    前記各振動素子において、前記下面電極には当該振動素子に対応する第1リードが電気的に接続され、且つ、前記上面電極には前記側面電極を介して当該振動素子に対応する第2リードが電気的に接続され、
    前記各振動素子の側面電極の下端部が前記バッキングの上層部内に入り込み、前記バッキングの上層部内において、前記各振動素子の側面電極の下端部が当該振動素子に対応する第2リードに電気的に接続された、
    ことを特徴とする超音波探触子。
  2. 請求項1記載の超音波探触子において、
    前記各第2リードには、少なくとも1つの側面電極ペアが接続され、
    前記側面電極ペアは、隣接する2つの振動素子間において対向する2つの側面電極によって構成される、
    ことを特徴とする超音波探触子。
  3. 請求項2記載の超音波探触子において、
    前記各第2リードは、平板状の形態を有し、
    前記各第2リードには、複数の側面電極ペアからなる側面電極ペア列が接続されたことを特徴とする超音波探触子。
  4. 請求項1記載の超音波探触子において、
    前記複数の振動素子は複数の分離溝によって分離形成され、
    前記各分離溝は、前記整合部から前記バッキングの上層部内まで貫通する溝であることを特徴とする超音波探触子。
  5. 請求項1記載の超音波探触子において、
    前記各振動素子において前記側面電極と前記下面電極とを電気的に絶縁する絶縁手段が設けられたことを特徴とする超音波探触子。
  6. 請求項4記載の超音波探触子において、
    前記絶縁手段の下端部が前記バッキングの上層部内に入り込んでいることを特徴とする超音波探触子。
  7. 請求項1記載の超音波探触子において、
    前記第1リードアレイは、前記複数の振動素子の配列と同じ配列を有する複数の第1リードによって構成されることを特徴とする超音波探触子。
  8. 請求項1記載の超音波探触子において、
    前記複数の振動素子は、X方向及びY方向に整列した複数の分離溝によって相互分離され、
    前記各振動素子において前記X方向に向く2つの側面の内の少なくとも一方に側面電極が形成され、
    前記第2リードアレイは、前記X方向に所定ピッチで並んだ複数の第2リードによって構成される、
    ことを特徴とする超音波探触子。
  9. 請求項8記載の超音波探触子において、
    前記各振動素子においてX方向に向く2つの側面の一方に側面電極が形成され、前記振動子部において前記X方向に所定ピッチで複数の側面電極ペアが整列し、
    前記各側面電極ペアは、前記X方向に隣接する2つの振動素子間において対向する2つの側面電極によって構成され、
    前記所定ピッチは、前記X方向における分離溝ピッチの2倍に相当することを特徴とする超音波探触子。
  10. 請求項8記載の超音波探触子において、
    前記各振動素子においてX方向に向く2つの側面の両方に側面電極が形成され、前記振動子部において前記X方向に所定ピッチで複数の側面電極ペアが整列し、
    前記各側面電極ペアは、前記X方向に隣接する2つの振動素子間において対向する2つの側面電極によって構成され、
    前記所定ピッチは、前記X方向における分離溝ピッチに相当することを特徴とする超音波探触子。
  11. 複数の分離溝によって相互分離された二次元配列型の複数の振動素子を有する振動部と、
    前記振動部の下面側に設けられ、前記複数の振動素子の配列に対応して設けられたシグナルリードアレイ及びグランドリードアレイを有するバッキングと、
    前記振動部の上面側に設けられ、前記複数の振動素子の配列に対応して設けられた複数の整合素子を有する整合部と、
    を含み、
    前記各振動素子は、下面電極、上面電極及び側面電極を有し、
    前記各振動素子において、前記下面電極には当該振動素子に対応するシグナルリードが電気的に接続され、且つ、前記上面電極には前記側面電極を介して当該振動素子に対応するグランドリードが電気的に接続され、
    前記振動部には複数のグランド接続構造が構築され、
    前記各グランド接続構造は、分離溝を介して対向する側面電極ペアを有し、
    前記側面電極ペアがそれらに共通のグランドリードに電気的に接続された、
    ことを特徴とする超音波探触子。
  12. 請求項11記載の超音波探触子において、
    前記振動子部における複数の下面電極の直下に、複数のシグナルリードの上端部が設けられ、
    前記振動子部における複数のグランド接続構造の直下に、複数のグランドリードの上端部が設けられたことを特徴とする超音波探触子。
  13. 請求項11記載の超音波探触子において、
    前記各グランド接続構造において側面電極ペアの下端部が前記バッキングの上層部内に垂直に入り込んでいることを特徴とする超音波探触子。
  14. 請求項11記載の超音波探触子において、
    前記各振動素子において側面電極と下面電極との間に絶縁ギャップが形成されたことを特徴とする超音波探触子。
  15. 請求項11記載の超音波探触子において、
    前記各振動素子において側面電極と振動素子本体部との間に側面絶縁層が形成されたことを特徴とする超音波探触子。
  16. 複数の分離溝によって相互分離された二次元配列型の複数の振動素子を有する振動部と、
    前記振動部の下面側に設けられ、前記複数の振動素子の配列に対応して設けられたシグナルリードアレイ及びグランドリードアレイを有するバッキングと、
    前記振動部の上面側に設けられ、前記複数の振動素子の配列に対応して設けられた複数の整合素子を有する整合部と、
    を含み、
    前記各振動素子は、シグナル下面電極、グランド上面電極、シグナル内部電極、グランド内部電極、シグナル側面電極及びグランド側面電極を有し、
    前記各振動素子において、前記シグナル下面電極には当該振動素子に対応するシグナルリードが電気的に接続されると共に前記シグナル内部電極には前記シグナル下面電極及び前記シグナル側面電極を介して当該振動素子に対応するシグナルリードが電気的に接続され、且つ、前記グランド上面電極及び前記グランド内部電極には前記グランド側面電極を介して当該振動素子に対応するグランドリードが電気的に接続され、
    前記振動部には複数のシグナル接続構造が構築され、前記各シグナル接続構造は、分離溝を介して対向するシグナル側面電極ペアを有し、
    前記振動部には複数のグランド接続構造が構築され、前記各グランド接続構造は、分離溝を介して対向するグランド側面電極ペアを有する、
    ことを特徴とする超音波探触子。
  17. シグナルリードアレイ及びグランドリードアレイが埋設されたバッキング上に、振動板を積層し、これにより積層体を製作する工程と、
    前記積層体に対してその上方から前記バッキングの上層部内まで貫通する複数の基礎溝を形成し、それらに導電性部材を導入する工程と、
    前記導電性部材の導入後に、前記積層体に対してその上方から前記バッキングの上層部内まで貫通する複数の分離溝を形成し、これによって、残留導電性部材としての側面電極を有する複数の振動素子を製作する工程と、
    を含み、
    前記各振動素子の下面電極が当該振動素子に対応するシグナルリードに電気的に接続され、前記各振動素子の上面電極が前記側面電極を介して当該振動素子に対応するグランドリードに電気的に接続される、
    ことを特徴とする超音波探触子の製造方法。
  18. シグナルリードアレイ及びグランドリードアレイが埋設されたバッキング上に、振動板を積層し、これにより第1積層体を製作する工程と、
    前記第1積層体に対してその上方から前記バッキングの上層部内まで貫通する複数の基礎溝を形成し、それらに導電性部材を導入する工程と、
    前記導電性部材が導入された第1積層体上に整合板を積層し、これにより第2積層体を製作する工程と、
    前記第2積層体に対してその上方から前記バッキングの上層部内まで貫通する複数の分離溝を形成し、これによって、残留導電性部材としての側面電極を有する複数の振動素子を製作する工程と、
    を含み、
    前記各振動素子の下面電極が当該振動素子に対応するシグナルリードに電気的に接続され、前記各振動素子の上面電極が前記側面電極を介して当該振動素子に対応するグランドリードに電気的に接続される、
    ことを特徴とする超音波探触子の製造方法。
  19. 請求項17又は18記載の製造方法において、
    前記各基礎溝の溝幅よりも前記各分離溝の溝幅の方が狭いことを特徴とする超音波探触子の製造方法。
  20. シグナルリードアレイ及びグランドリードアレイが埋設されたバッキング上に、振動板を積層し、これにより積層体を製作する工程と、
    前記積層体に対してその上方から前記バッキングの上層部内まで貫通する複数の第1基礎溝を形成し、それらに絶縁性部材を導入する工程と、
    前記絶縁性部材の導入後に、前記積層体に対してその上方から前記バッキングの上層部内まで貫通する複数の第2基礎溝を形成し、これによって、各第2基礎溝の内面上に側面絶縁層を残留させ、更に、前記複数の第2基礎溝内に導電性部材を導入する工程と、
    前記導電性部材の導入後に、前記積層体に対してその上方から前記バッキングの上層部内まで貫通する複数の分離溝を形成し、これによって、側面絶縁層及び残留導電性部材としての側面電極を有する複数の振動素子を製作する工程と、
    を含み、
    前記各振動素子の下面電極が当該振動素子に対応するシグナルリードに電気的に接続され、前記各振動素子の上面電極が前記側面電極を介して当該振動素子に対応するグランドリードに電気的に接続される、
    ことを特徴とする超音波探触子の製造方法。
  21. 請求項20記載の製造方法において、
    前記各第1基礎溝の溝幅よりも前記各第2基礎溝の溝幅の方が狭く、
    前記各第2基礎溝の溝幅よりも前記各分離溝の溝幅の方が狭いことを特徴とする超音波探触子の製造方法。
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