JP4252441B2 - 超音波探触子 - Google Patents

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Description

本発明は、診断、治療などの医療分野や、製造業などにおける非破壊検査などの分野で利用される超音波探触子に関する。
近年、圧電振動子を二次元に配列した超音波探触子を用いて、走査方向に加えてスライス方向にもダイナミックフォーカスなどの手法を用いて超音波画質を向上させたり、あるいは電子的な制御によって超音波ビームを3次元に走査し三次元画像を作成する装置が開発されてきている(例えば下記の特許文献1参照)。
図6(a)、(b)にそれぞれ、上述した従来の超音波探触子の一例の平面図、右側面断面図を示す。図6(a)に示すように、この超音波探触子は超音波を送受信する圧電振動子1がXY方向の2次元のマトリクス状(図では6×6個)に配列された構成である。このような圧電振動子1を構成するため、圧電板2は電気入力を変換して超音波を発生し、受信した超音波信号を電気信号として受信する材料で構成され、圧電板2の表面(音響放射面側)には、各圧電振動子1に電気的に共通に接続された共通電極4が形成され、裏面には各圧電振動子1ごとに駆動電極分割溝7によりXY方向に分割された駆動電極3が形成されている。また、圧電板2の共通電極4の上には超音波を効率よく送受信するための音響整合層5が設けられ、駆動電極3の裏面には駆動電極3と電気的に接続する配線部6が設けられている。配線部6には駆動電極3に対応した導電体8と、圧電板2の分割溝10a及び音響整合層5の分割溝10bを位置決めして形成するための分割指標9が形成されている。
この構成によって、図示しない、例えば超音波診断装置から配線部6の導電体8を通じて駆動電極3に電気信号を入力することで、圧電振動子1から超音波を図示しない被検体に送信し、図示しない被検体から反射して戻ってきた超音波を圧電振動子1で受信して電気信号に変換して、図示しない、例えば超音波診断装置に取り込むことができる。特に2次元に配列されている各圧電振動子1が超音波を送受信するタイミングを制御することで、画質の向上、3次元画像情報の入手を実現することができる。
図6に示した従来の超音波探触子の製造工程は、下記のようなものである。
(1)最初に配線部6と圧電板2を接着する。この際、圧電振動子1の配列ピッチであらかじめ駆動電極分割溝7により分割された圧電板2の駆動電極3と配線部6の導電体8とをXY方向に位置合わせし、駆動電極3と導電体8との導通を確保した状態で接着する。
(2)続いて、圧電振動子1の配列ピッチに合わせて圧電板2を上部(音響放射面側)から垂直方向Zに分割溝10aを形成して分割する。このとき、配線部6上の分割指標9に合わせて分割する。
(3)続いて分割溝10a内に例えばエポキシ樹脂などの充填材11を充填した後、圧電板2の上面全体に共通電極4を形成する。
(4)次に、共通電極4上に音響整合層5を形成し、次いで音響整合層5の上部から圧電振動子1の配列ピッチに合わせて、かつ共通電極4を切断しない深さの分割溝10bを形成することで分割し、次いで分割溝10bを圧電板2の分割溝10aと同様に充填材11により充填する。
特開平8−182095号公報(第4〜5頁、第1図及び第5図)
しかしながら、上記従来の超音波探触子は、その製造工程において、最初に配線部6と圧電板2を接着する工程(1)では、圧電振動子1の配列ピッチであらかじめ分割された圧電板2の駆動電極3と配線部6の導電体8をXY方向に位置合わせした上で両者を接着する必要があるが、圧電板2の裏面側の駆動電極3は、圧電板2を配線部6上に重ね合わせた状態では上から見えないために、配線部6の導電体8と正確にXY方向に位置合わせすることが困難であった。特にこの超音波探触子を高い周波数の超音波に適用した場合には、グレーティングローブの影響を無くすために圧電振動子1のXY方向の配列ピッチ間隔が細かくなり、特に正確な位置合わせが要求されるので、位置合わせ作業がさらに困難になるという問題があった。
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、圧電板の裏面側の駆動電極と配線部上の導電体を正確にかつ容易に位置合わせすることができる超音波探触子を提供することを目的とする。
本発明の超音波探触子は上記目的を達成するために、表面に共通電極が形成され、裏面に分割溝により複数の振動子の個々の駆動電極が形成された圧電板と、
前記圧電板の裏面において前記個々の駆動電極と電気的に接続する導電体が形成された配線部とを有し、
前記圧電板を前記配線部上に重ね合わせたときに前記圧電板の裏面側端部における前記分割溝と前記配線部上の前記導電体の位置関係がわかるように、前記分割溝が上から見える位置合わせ部を形成した構成とした。
この構成により、圧電板と配線部を接着する際に、圧電板を配線部上に重ね合わせたときに圧電板の裏面側の分割溝と配線部上の導電体の位置関係がわかるように、分割溝が上から見える位置合わせ部を形成したので、圧電板の裏面側の駆動電極と配線部上の導電体を正確にかつ容易に位置合わせすることができる。
また、本発明の超音波探触子は、表面に共通電極が形成され、裏面に分割溝により複数の振動子の個々の駆動電極が形成された圧電板と、
前記圧電板の裏面において前記個々の駆動電極と電気的に接続する導電体が形成された配線部とを有し、
前記圧電板を前記配線部上に重ね合わせたときに前記圧電板の裏面側端部における前記分割溝が上から見えるように形成するとともに、前記分割溝と対向して上から見えるように位置決め指標を前記配線部上に形成した構成とした。
この構成により、圧電板と配線部を接着する際に、圧電板を配線部上に重ね合わせたときに圧電板の裏面側の分割溝が上から見えるように形成するとともに、分割溝と対向して上から見えるように位置決め指標を配線部上に形成したので、圧電板の裏面側の駆動電極と配線部上の導電体を正確にかつ容易に位置合わせすることができる。
さらに、本発明の超音波探触子は、前記分割溝の幅と前記位置決め指標の幅が等しい構成とした。
この構成により、圧電板と配線部を接着する際に、分割溝と位置決め指標の幅方向を完全に重ね合わせることができるので、圧電板と配線部のより正確な位置合わせを容易に行うことができる。
さらに、本発明の超音波探触子は、表面に共通電極が形成され、裏面に分割溝により複数の振動子の個々の駆動電極が形成された圧電板と、
前記圧電板の裏面において前記個々の駆動電極と電気的に接続する導電体が形成された配線部とを有し、
前記圧電板を前記配線部上に重ね合わせたときに上から見えるように位置決め用溝と位置決め指標をそれぞれ前記圧電板の裏面側端部と前記配線部に形成した構成とした。
この構成により、圧電板と配線部を接着する際に、圧電板を配線部上に重ね合わせたときに上から見えるように位置決め溝と位置決め指標をそれぞれ圧電板と配線部に形成したので、圧電板の裏面側の駆動電極と配線部上の導電体を正確にかつ容易に位置合わせすることができる。
さらに、本発明の超音波探触子は、前記位置決め用溝の幅と前記位置決め指標の幅が等しい構成とした。
この構成により、圧電板と配線部を接着する際に、位置決め溝と位置決め指標の幅方向を完全に重ね合わせることができるので、圧電板と配線部のより正確な位置合わせを容易に行うことができる。
さらに、本発明の超音波探触子は、前記分割溝と前記位置決め用溝を同じ工程で形成している。
この構成により、分割溝と位置決め用溝を正確な位置関係で形成でき、圧電板と配線部のより正確な位置合わせを容易に行うことができる。
さらに、本発明の超音波探触子は、前記圧電板を前記配線部上に重ね合わせたときに前記分割溝と前記導電体の位置関係がわかるように、前記分割溝が上から見える位置合わせ部をさらに形成したことを特徴とする。
この構成により、圧電板と配線部のより正確な位置合わせを容易に行うことができる。
さらに、本発明の超音波探触子は、前記圧電板の端面を斜面とすることで、裏面側端部における前記分割溝が上から見えるように構成したものである。
この構成により、簡単な構成で圧電板の裏面側の駆動電極と配線部上の導電体を正確にかつ容易に位置合わせすることができる。
さらに、本発明の超音波探触子は、前記圧電板の端部に水平方向に突出した凸部を設けることで、前記裏面側端部における前記分割溝が上から見えるように構成したものである。
この構成により、簡単な構成で圧電板の裏面側の駆動電極と配線部上の導電体を正確にかつ容易に位置合わせすることができる。
さらに、本発明の超音波探触子は、前記配線部の表面に前記分割溝と平行に配列された導電体を有する構成としたものである。
この構成により、お互いに平行な分割溝と導電体の位置関係を確認しながら位置合わせできるので、圧電板と配線部のより正確な位置合わせを容易に行うことができる。
本発明は、圧電板を配線部上に重ね合わせたときに圧電板の裏面側端部における分割溝と配線部上の導電体の位置関係などが上から見えるように構成したので、圧電板の裏面側の駆動電極と配線部上の導電体を正確にかつ容易に位置合わせすることができる。
以下、本発明の実施の形態の超音波探触子について、図面を用いて説明する。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態の超音波探触子の概略図を図1(a)、(b)に示す。図1(a)(b)において、この超音波探触子は超音波を送受信する複数の圧電振動子1がXY方向の2次元のマトリクス状に配列された構成である。このような圧電振動子1を構成するため、圧電板2は電気入力を変換して超音波を発生し、受信した超音波信号を電気信号として受信するために、例えば圧電セラミクスからなり、圧電板2の表面(音響放射面側)には、各圧電振動子1に電気的に共通に接続された共通電極4が形成され、裏面(音響放射面とは反対の側)には各圧電振動子1ごとに駆動電極分割溝7によりXY方向に分割された駆動電極3が形成されている。
また、圧電板2の共通電極4の上には超音波を効率よく送受信するための音響整合層5が設けられ、駆動電極3の裏面には駆動電極3と電気的に接続するための、例えばプリント配線板からなる配線部6が設けられている。配線部6上(音響放射面側)には駆動電極3に対応して導電体8が形成され、また、導電体8は配線部6上に圧電板2が重ね合わされても上から見えるように形成されている。さらに圧電板2の相対向する2つの端面部分に、音響放射面側から配線部6側に広がる傾斜を持たせたことにより配線部6に圧電板2を定置するとき圧電板2の駆動電極分割溝7の位置を音響放射面側から確認することができるようにしており、特にこの傾斜面下部の駆動電極分割溝7が見える部分を以下位置合わせ部12と呼ぶ。
この構成では、図示しない、例えば超音波診断装置から配線部6を通じて駆動電極3に電気信号を入力することで、圧電振動子1から超音波を図示しない被検体に送信し、図示しない被検体から反射して戻ってきた超音波を圧電振動子1で受信して電気信号に変換して、図示しない、例えば超音波診断装置に取り込むことができる。特に2次元に配列している各圧電振動子1が超音波を送受信するタイミングを制御することで、画質の向上、3次元画像情報の入手を実現することができる。
図1に示した超音波探触子の製造工程を以下に説明する。
(1)使用する圧電板2の相対向する2つの端面部分に、例えば研磨加工などによって、あらかじめ音響放射面側から配線部6側に広がる傾斜を形成しておく。続いて圧電板2の裏面(放射方向とは逆の方向)に複数の圧電振動子1の配列に対応した複数の駆動電極3を形成する。このとき、圧電板2の裏面の全面に、例えば金の蒸着膜やスパッタ膜によって電極材を形成し、次いで圧電振動子1のサイズ、配列ピッチに合わせて、例えばダイシング装置などを用いて、この電極材を完全に分割する深さの駆動電極分割溝7を形成することにより、個々の圧電振動子1に対応する駆動電極3を形成する。このとき、圧電板2の相対向する2つの端面部分には音響放射面側から配線部6側に広がる傾斜が形成されていることから駆動電極分割溝7があらかじめ圧電板2の相対向する2つの端面部分に形成した傾斜部分において上から見えるように形成されていることで、これにより位置合わせ部12を形成する。
(2)次に、配線部6と圧電板2を接着する。このとき、圧電板2を配線部6上に重ね合わせた上から、圧電板2に形成した位置合わせ部12の駆動電極分割溝7の位置と配線部6の、圧電板2の外形より外側に位置することになる導電体8の見える箇所との位置関係を目視あるいは、例えば顕微鏡のような拡大観察が可能な手段を利用して確認しながら、圧電板2の駆動電極3と配線部6の導電体8とを位置合わせし、駆動電極3と導電体8との導通を確保した状態で接着する。
(3)続いて、圧電振動子1の配列ピッチに合わせて圧電板2を分割溝10aにより上部(音響放射面側)から分割する。このとき、例えば圧電板2を完全に分割しない程度の深さの分割溝10aにするとともに、配線部6の導電体8を破損しないようにして分割する。
(4)続いて分割のために形成された分割溝10a内に、例えばエポキシ樹脂などの充填材11を充填した後、その上に共通電極4を形成する。
(5)次に、共通電極4上に音響整合層5を形成し、次いで圧電振動子1の配列ピッチに合わせて、かつ共通電極4を切断しない深さの分割溝10bを形成することで音響整合層5を分割し、分割溝10bを圧電板2の分割溝10aと同様に充填材11により充填する。
このような本発明の第1の実施の形態の超音波探触子によれば、圧電板2の相対向する2つの端面部分に音響放射面側から配線部6側に広がる傾斜を形成するとともに、駆動電極分割溝7を上から見えるように圧電板2の裏面側端部に形成して位置合わせ部12を設けることにより、圧電板2の駆動電極3と配線部6の導電体8の位置関係を上から確認しながら、圧電板2と配線部6の正確な位置合わせを容易に行うことができる。
なお、図1に示した第1の実施の形態の超音波探触子では、配線部6としてプリント配線板を用いた構成例について説明した。プリント配線板のように平シート状の母材の上に導電体8が表面に直線状に配置されるような配線部6を用いた場合、位置合わせ部12で確認される駆動電極分割溝7の間に、溝と平行になるように直線状の導電体8の位置をもってくることで、容易に位置合わせできる利点を持つ。なお図1において、導電体8は駆動電極分割溝7の間に1本の構成であるが、これに限らず複数本であってもよい。
また図2に示すように、厚み方向(内部)に導電体8を有する圧電振動子1の支持体13を配線部6として用いるような場合、導電体8を圧電板2より外側に形成して上から見えるようにすることにより、駆動電極分割溝7と支持体13の導電体8の位置関係を支持体13に圧電板2を重ねた上から確認して位置合わせすることができる。
また、図1に示した第1の実施の形態の超音波探触子では、圧電板2の位置合わせ部12を圧電板2の相対向する2つの端面部分に構成した構成例について説明したが、その設置箇所、設置数などが変化しても同様に実施可能であり、本発明を逸脱するものではなく、四角形の圧電板2の4端面すべての箇所に位置合わせ部12を設ければ、なお良い。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態の超音波探触子の音響放射面側から見た平面図を図3に示す。なお、図1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。図3において、図1の超音波探触子の構成との相違点は、圧電振動子1の駆動電極分割溝7の位置に合わせて、配線部6の上に例えば印刷などで記された位置決め指標14が圧電板2の相対向する2つの端面部分に形成されていることである。図3の構成の超音波探触子の動作については図1と同様であり、説明を省略する。
図3に示した超音波探触子の製造工程では、図1に示した工程(1)、(3)〜(5)は同じであるのでその詳細な説明は省略し、工程(2)について説明する。
(2)配線部6と圧電板2を接着する工程:圧電板2に形成した位置合わせ部12で確認できる駆動電極分割溝7と配線部6上に形成した位置決め指標14を目視あるいは、例えば顕微鏡のような拡大観察が可能な手段を利用して重ね合わせることによって、圧電板2の駆動電極3と配線部6の導電体8を位置合わせすることができ、その状態で駆動電極3と導電体8との導通を確保して接着する。このとき、駆動電極分割溝7の溝幅と位置決め指標14の幅を同一に形成することにより、両者が直線上に配置されたときに幅方向を完全に重ね合わせることができるので、より正確な位置決めを行うことができる。
このような本発明の第2の実施の形態の超音波探触子によれば、圧電振動子1の駆動電極分割溝7の位置に合わせて、配線部6上に位置決め指標14を設けることにより、圧電板2に形成した位置合わせ部12で確認できる駆動電極分割溝7と配線部6上に形成した位置合わせ指標14を重ね合わせることによって、圧電板2と配線部6の正確な位置合わせを容易に行うことができる。位置決め指標14の形成方法としては、レーザーマーキング、シルク印刷などが好ましい。
なお、図3に示した第2の実施の形態の超音波探触子では、配線部6上の位置決め指標14を導電体8と同様に上下に長く伸びた直線形状とした構成例について説明したが、駆動電極分割溝7と位置を重ねることができれば、例えば駆動電極分割溝7の溝幅と同じ直径でかつ駆動電極分割溝7に重ねることができる点状の位置決め指標14など、どのような大きさ、形状であっても実施可能であり、本発明を逸脱するものではない。
また、図3に示した第2の実施の形態の超音波探触子では、圧電板2の位置合わせ部12と配線部6上の位置決め指標14を、圧電板2の相対向する2つの端面部分に構成した構成例について説明したが、その設置箇所、設置数などが変化しても同様に実施可能であり、本発明を逸脱するものではなく、四角形の圧電板の4端面すべての箇所に設ければ、なお良い。
また、図3に示した第2の実施の形態の超音波探触子では、配線部6として例えばプリント配線板のような、平シート状の母材の表面に直線状に導電体8を配置したような配線部6を用いた構成例について説明したが、例えば図2に示したように厚み方向(内部)に導電体8を有する圧電振動子1の支持体13を配線部6として用いるなど、配線部6がプリント配線板以外の電気的な接続を確保する手段であっても、その電気的な接続を確保する手段と圧電振動子1の駆動電極3の位置合わせは必要であって、圧電振動子の駆動電極分割溝7の位置に対応して、電気的な接続を確保する手段の上に位置決め指標14を形成することで同様に実施可能である。
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態の超音波探触子の音響放射面側から見た平面図を図4に示す。なお、図1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。図4において、図1の超音波探触子の構成との相違点は、配線部6の導電体8が存在しない箇所に位置する左右両端各一列の圧電板2の駆動電極3上に、駆動電極分割溝7とは別の位置決め用溝15が駆動電極分割溝7と平行に形成されていることと、配線部6上の位置決め用溝15に対応する位置に、例えば配線部6の導電体8を形成している導電材料と同じ材料を用いて、導電体8と平行な直線状の位置決め指標14が形成されていることである。
ここで、外周端(図4では6×6−4×4個)に存在する圧電振動子1は、それ以外(図4では4×4個)の圧電振動子1が周囲を充填材11で取り囲まれている状態であるのに対して、周囲の一部に充填材11が存在しない状態であり、境界条件が異なるために圧電振動子1の振動に影響が出て、他の圧電振動子1と性能が異なる。したがって、外周端の圧電振動子1は、超音波探触子の有効な圧電振動子1として利用しないことが一般的であり、本実施の形態では、これら有効ではない圧電振動子1の駆動電極3上に位置決め用溝15を形成している。図4の構成の超音波探触子の動作については図1と同様であり、説明を省略する。
図4に示した超音波探触子の製造工程として、
(1−1)(1)と同じであるのでその詳細な説明は省略する。
(1−2)続いて、(1)と同様の手段を用いて圧電板の左右両端各一列の圧電板2上の駆動電極3に、駆動電極分割溝7と平行に位置決め用溝15を形成する。この際、位置決め用溝15の深さと幅は視認性が上がるようにできるだけ深く、広くすることが好ましい。
(2)次に、配線部6と圧電板2を接着する。このとき、圧電板2と配線部6を重ね合わせた上から、圧電板2の左右両端各一列の圧電振動子1に形成された位置決め用溝15と配線部6上に形成された位置決め指標14が重なることを目視あるいは、例えば顕微鏡のような拡大観察が可能な手段を利用して確認しつつ、圧電板2の駆動電極3と配線部6の導電体8とを位置合わせし、駆動電極3と導電体8との導通を確保した状態で接着する。このとき、位置決め用溝15の溝幅と位置決め指標14の幅が同一である場合、両者を完全に重ね合わせることができるため、より正確な位置決めを行うことができる。
(3)〜(5)は同じであるのでその詳細な説明は省略する。
このような本発明の第3の実施の形態の超音波探触子によれば、配線部6の導電体8が存在しない箇所に位置する左右両端各一列の圧電板2の駆動電極3上に位置決め用溝15を形成し、位置決め用溝15と対応する位置の配線部6上に位置決め指標14を設けることによって、より視認性の高い圧電板2上の位置決め用溝15と配線部6上の位置決め指標14を重ね合わせることができるので、圧電板2と配線部6の正確な位置合わせを容易に行うことができる。
なお、図4に示した第3の実施の形態の超音波探触子では、左右両端各一列に圧電板2の駆動電極3上に位置決め用溝15を形成し、その位置に対応して配線部6上に位置決め指標14を形成した構成例について説明したが、圧電振動子1上の位置決め用溝15及び配線部6上の位置決め指標14の位置は、超音波探触子の構成や性能に影響を与えない位置で両者を重ね合わせることで位置決めすることが可能であれば、形成する位置や数が変化しても同様に実現可能であり、本発明を逸脱するものではない。
また、図4に示した第3の実施の形態の超音波探触子では、圧電板2の位置合わせ部12を圧電板2の相対向する2つの端面部分に構成した構成例について説明したが、その設置箇所、設置数などが変化しても、それに応じた位置決め用溝15と位置決め指標14を設けることで同様に実施可能であり、本発明を逸脱するものではなく、四角形の圧電板の4辺すべての箇所に位置合わせ部を設ければ、なお良い。
さらに、図4に示した第3の実施の形態の超音波探触子では、配線部6上の位置決め指標14を導電体8と同様に上下に長く伸びた直線形状とした構成例について説明したが、位置決め用溝15と位置を重ねることができれば、例えば位置決め用溝15の溝幅と同じ直径で、かつ位置決め用溝15に重ねることができる点状の位置決め指標14であっても、位置決め用溝15と重ねることのできる位置関係であれば、どのような形状、大きさであっても実施可能であり、本発明を逸脱するものではない。
また、図4に示した第3の実施の形態の超音波探触子の説明では、(1−1)駆動電極分割溝7を形成して駆動電極3を形成した後に、(1−2)位置決め用溝15を形成する場合について説明したが、例えばダイシング装置のように加工する溝の間隔や深さを自由に変化させられるような加工手段を用いる場合には、駆動電極分割溝7と位置決め用溝15を同一分割工程内で一緒に加工することが可能であり、別工程として加工する場合よりも駆動電極3と位置決め用溝15の位置関係の正確さが増すため、圧電板2と配線部6のより正確な位置合わせができる。
また、図4に示した第3の実施の形態の超音波探触子では、配線部6として例えばプリント配線板のような、平シート状の母材に直線状に導電体8を配置したような配線部6を用いた構成例について説明したが、例えば図2に示したような内部に導電体8を有する圧電振動子1の支持体13を配線部6として用いる場合など、配線部6がプリント配線板以外の構成の電気的な接続を確保する手段であっても、その電気的な接続を確保する手段と圧電振動子1の駆動電極3の位置合わせは必要であって、圧電板2の駆動電極3上に位置決め用溝15を形成し、電気的な接続を確保する手段の上に位置決め指標14を設けることで同様に実施可能であり、本発明を逸脱するものではない。
なお、以上の説明では、圧電板2の音響放射面側に音響整合層5を1層配置した構成例について説明したが、音響整合層5の層数は何層でもよい。さらに圧電板2が、例えば複合圧電材料のように被検体との音響的な整合性が確保できるような材料によって構成される場合などは、音響整合層5を配置しなくても同様に実施可能である。
さらに、以上の説明では、圧電板2の端面部分に傾斜を設けることによって位置合わせ部12を構成する構成例について説明したが、図5に示すように、圧電板2の端面に水平方向に突出し、駆動電極分割溝7の深さより厚い凸部を形成することで位置合わせ部12aを構成しても同様に実施可能である。この場合には、凸部の長さ分だけ駆動電極分割溝7を圧電板2の音響放射面側から確認できるため、傾斜をつけた場合よりも駆動電極分割溝7の確認できる長さをより長く確保することができ、位置合わせの容易さが増す。
なお、以上の説明では、圧電振動子1の数が6×6=36個(有効圧電振動子数は4×4=16個)の構成例について説明したが、圧電振動子1の数が変わっても同様に実施可能であり、本発明を逸脱するものではない。
なお、以上で説明した実施の形態において、圧電板2と配線部6の位置合わせが完了した後の圧電板2の位置合わせ部12、12aは、そのまま残しても構わないし、除去してしまっても構わない。
以上のように、本発明にかかる超音波探触子は、圧電板を配線部上に重ね合わせたときに圧電板の裏面側端部における分割溝と配線部上の導電体の位置関係などが上から見えるように構成したので、圧電板の裏面側の駆動電極と配線部上の導電体を正確にかつ容易に位置合わせすることができるという効果を有し、診断、治療などの医療分野や、製造業などにおける非破壊検査などの分野で利用される超音波探触子などとして有用である。
(a)本発明の第1の実施の形態における超音波探触子の平面図 (b)図1(a)の右側面断面図 (a)本発明の第1の実施の形態における超音波探触子の変形例の平面図 (b)図2(a)の右側面断面図 本発明の第2の実施の形態における超音波探触子の平面図 本発明の第3の実施の形態における超音波探触子の平面図 (a)本発明の第3の実施の形態における超音波探触子の変形例の平面図 (b)図5(a)の右側面断面図 (a)従来の超音波探触子の平面図 (b)図6(a)の右側面断面図
符号の説明
1 圧電振動子
2 圧電板
3 駆動電極
4 共通電極
5 音響整合層
6 配線部
7 駆動電極分割溝
8 導電体
9 分割指標
10、10a、10b 分割溝
11 充填材
12、12a 位置合わせ部
13 支持体
14 位置決め指標
15 位置決め用溝

Claims (10)

  1. 表面に共通電極が形成され、裏面に分割溝により複数の振動子の個々の駆動電極が形成された圧電板と、
    前記圧電板の裏面において前記個々の駆動電極と電気的に接続する導電体が形成された配線部とを有し、
    前記圧電板を前記配線部上に重ね合わせたときに前記圧電板の裏面側端部における前記分割溝と前記配線部上の前記導電体の位置関係がわかるように、前記分割溝が上から見える位置合わせ部を形成した超音波探触子。
  2. 表面に共通電極が形成され、裏面に分割溝により複数の振動子の個々の駆動電極が形成された圧電板と、
    前記圧電板の裏面において前記個々の駆動電極と電気的に接続する導電体が形成された配線部とを有し、
    前記圧電板を前記配線部上に重ね合わせたときに前記圧電板の裏面側端部における前記分割溝が上から見えるように形成するとともに、前記分割溝と対向して上から見えるように位置決め指標を前記配線部上に形成した超音波探触子。
  3. 前記分割溝の幅と前記位置決め指標の幅が等しい請求項2に記載の超音波探触子。
  4. 表面に共通電極が形成され、裏面に分割溝により複数の振動子の個々の駆動電極が形成された圧電板と、
    前記圧電板の裏面において前記個々の駆動電極と電気的に接続する導電体が形成された配線部とを有し、
    前記圧電板を前記配線部上に重ね合わせたときに上から見えるように位置決め用溝と位置決め指標をそれぞれ前記圧電板の裏面側端部と前記配線部に形成した超音波探触子。
  5. 前記位置決め用溝の幅と前記位置決め指標の幅が等しい請求項4に記載の超音波探触子。
  6. 前記分割溝と前記位置決め用溝を同じ工程で形成した請求項4又は5に記載の超音波探触子。
  7. 前記圧電板を前記配線部上に重ね合わせたときに前記分割溝と前記導電体の位置関係がわかるように、前記分割溝が上から見える位置合わせ部をさらに形成した請求項2から6のいずれか1つに記載の超音波探触子。
  8. 前記位置合わせ部は、前記圧電板の端面を斜面とすることで、前記裏面側端部における前記分割溝が上から見えるように構成した請求項1から7のいずれか1つに記載の超音波探触子。
  9. 前記位置合わせ部は、前記圧電板の端部に水平方向に突出した凸部を設けることで、前記裏面側端部における前記分割溝が上から見えるように構成した請求項1から7のいずれか1つに記載の超音波探触子。
  10. 前記配線部は、その表面に前記分割溝と平行に配列された導電体を有する請求項1から9のいずれか1つに記載の超音波探触子。
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