しかしながら、前述したハイブリッド型光ディスクによれば、再生回数を制限する技術との組合せは、なお技術的に困難である。
また、前述した再生回数が制限された光ディスクによれば、現在、再生可能な状態にあるのか又は所定回数の再生を終えて再生不可能な状態にあるのかを、確実に或いは簡単に知り得る方法がないという技術的な問題点がある。
そこで本発明は、例えば上記問題点に鑑みなされたものであり、再生回数に制限をかけることが可能であり、しかも、再生可能な状態にあるのか否かに関する情報を確実或いは簡単に知らしめることが可能である情報記録媒体を提供することを課題とする。
本発明の情報記録媒体は、基板と、該基板上に積層されると共に、レーザ光が照射されることにより光学特性が変化し、視認可能な表示パターンが表示又は消去される記録層とを備える。
本発明の情報記録媒体によれば、例えば、光ディスクプレーヤ等の情報再生装置によって、レーザ光が照射されることによって、記録層の光学特性を変化させることが可能となる。ここに、本願発明に係る「光学特性」とは、例えば光反射率、光吸収率、遮光率、屈折率、若しくは、反射光、透過光、屈折光等における色彩、彩度、明度等の各種の光学特性を挙げることができる。
以上より、例えば、制限された回数だけレーザ光が照射されたか否かに応じて、視認可能な、即ち、視覚的に認識可能な表示パターンが表示又は消去されることが可能となる。よって、例えば、現在、当該情報記録媒体が再生可能な状態にあるのか否かに関する情報を、ユーザに対して確実或いは簡単に知らしめることが可能となる。
本発明の情報記録媒体の一態様では、第1記録情報が再生動作に伴って再生不可能とならないように記録されている再生専用領域と、第2記録情報が所定回数の再生動作に伴って再生不可能となる再生回数制限領域とを更に有し、前記記録層は、前記再生回数制限領域に対応して形成されている。
この態様によれば、例えば光ディスクプレーヤ等の情報再生装置によって、記録層に対応される再生回数制限領域に記録された第2記録情報を、1回又は複数回である所定回数だけ再生できる。これと相前後して又は並行して、再生専用領域に記録された第1記録情報についても再生できる。その後、所定回数だけ再生した後には、当該所定回数の再生動作に伴って第2記録情報が例えば消去されるなどして、第2記録情報はもはや再生不可能となる。
他方、第1記録情報は、再生可能なままとされてもよい。又は、第2記録情報を、第1記録情報を再生するために必要な情報、例えばエンクリプションされた第1記録情報に対応するエンクリプションキーや、第2記録情報のファイル管理を行うファイルシステム情報などとしておくことで、第1記録情報についても再生不可能とされてもよい。このように第2記録情報や、第1及び第2記録情報の再生回数に対して比較的容易に制限をかけられる。更に、第1記録情報を再生するために第2記録情報が必要であるようにこれらの第1及び第2記録情報を記録しておけば、第2記録情報を所定回数だけ再生して第1記録情報についても再生不可能となった後に、第2記録情報だけを再び記録すれば、第1記録情報についてはそのまま維持されているので、結局第1及び第2記録情報を再生可能な状態を復元できる。このように当該情報記録媒体を再利用できる。
尚、再生回数制限領域では、第2記録情報は、所定回数として1回だけ再生可能であるように構成してもよい。或いは、所定回数として2回、3回、4回等の複数回だけ再生可能であるように構成してもよい。また、例えば1回のみ、2回のみなど厳密に再生回数制限をかけてもよいし、例えば5回程度、10回程度など、ある程度の回数範囲を持って再生回数制限をかけてもよい。
加えて、第1記録情報として映画等の情報データ量の大きいコンテンツをスタンパによって、一挙に再生専用領域に記録できるので、情報記録媒体1枚当りの作成時間を短縮させ、生産性を向上させることも可能である。
以上より、再生回数に制限をかけることが可能となり、しかも、制限された再生回数だけ再生を終えたか否かに応じて異なる表示パターンを表示又は消去可能となるので、現在、当該情報記録媒体が再生可能な状態にあるのか否かに関する情報を、ユーザに対してより確実に或いは簡単に知らしめることが可能となる。
本発明の情報記録媒体の更に一態様では、前記記録層では、前記第2記録情報に応じた記録マークが形成されることによって前記再生回数制限領域に前記第2記録情報が記録され且つ前記記録マークが前記所定回数の再生動作に伴って消去されることによって前記再生回数制限領域で前記第2記録情報が消去され、前記基板及び前記記録層のうち少なくとも一方は、前記記録マークが消去された状態で、前記記録マークが消去された領域と前記記録マークが前記再生動作前から存在しない領域との間における光学特性の差異が視認可能な表示パターンをなすか、又は、前記記録マークが存在する状態で、前記記録マークが存在する領域と前記記録マークが前記再生動作前から存在しない領域との間における光学特性の差異が視認可能な表示パターンをなすように、形成されている。
この態様によれば、第2記録情報が再生可能である当初は、基板上における少なくとも再生回数制限領域に積層された記録層に、第2記録情報に応じた記録マークが形成されている。その後、再生動作に伴って、この記録マークが消去されることによって、再生回数制限領域で第2記録情報が消去される。
そして、本発明では特に、基板及び記録層のうち少なくとも一方は、所定回数の再生後における記録マークが消去された状態で、記録マークが消去された領域と記録マークが再生動作前から存在しない領域との間における光学特性の差異が、例えば、「再生不可能」、「再生×」、「×」といった文字や図形などの、視認可能な表示パターンをなす。例えば、記録層がアモルファス状態であるか結晶状態であるかに応じた、基板表面における光反射率の面内分布や、記録層が積層された下地をなす基板表面の凹凸に応じた、基板表面における光反射率の面内分布などに応じて、記録マークが消去された状態で、表示パターンが視認されることになる。従って、所定回数の再生前における記録マークが存在する状態で見られる表示パターン(例えば、無地或いは均一パターン)とは異なる、当該「再生不可能」等の表示パターンを、所定回数の再生後に情報記録媒体表面に表示することが可能となる。
又は、基板及び記録層のうち少なくとも一方は、所定回数の再生前における記録マークが存在する状態で、記録マークが存在する領域と記録マークが再生動作前から存在しない領域との間における光学特性の差異が、例えば、「再生可能」、「再生○」、「○」といった文字や図形などの、視認可能な表示パターンをなす。従って、所定回数の再生後における記録マークが消去された状態で見られる表示パターン(例えば、無地或いは均一パターン)とは異なる、当該「再生可能」等の表示パターンを、所定回数の再生前に情報記録媒体表面に表示することが可能となる。
以上より、再生回数に制限をかけることが可能となり、しかも、制限された再生回数だけ再生を終えたか否かに応じて異なる表示パターンを表示又は消去可能となるので、現在、当該情報記録媒体が再生可能な状態にあるのか否かに関する情報を、ユーザに対して更に確実に或いは簡単に知らしめることが可能となる。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記基板及び前記記録層のうち少なくとも一方は、前記記録マークが消去された状態で、前記記録マークが消去された前記再生回数制限領域と前記再生専用領域との間における前記光学特性の差異が前記表示パターンをなすか、又は、前記記録マークが存在する状態で、前記記録マークが存在する前記再生回数制限領域と前記再生専用領域との間における前記光学特性の差異が前記表示パターンをなすように、形成されている。
この態様によれば、基板及び記録層のうち少なくとも一方は、所定回数の再生後における記録マークが消去された状態で、記録マークが消去された再生回数制限領域と、記録マークが再生動作前から存在しない再生専用領域との間における光学特性の差異が、「再生不可能」等といった文字や図形などの、視認可能な表示パターンをなす。従って、「再生不可能」等の表示パターンを、所定回数の再生後に情報記録媒体表面に表示することが可能となる。
又は、基板及び記録層のうち少なくとも一方は、所定回数の再生前における記録マークが存在する状態で、記録マークが存在する再生回数制限領域と記録マークが再生動作前から存在しない再生専用領域との間における光学特性の差異が、「再生可能」等といった文字や図形などの、視認可能な表示パターンをなす。従って、「再生可能」等の表示パターンを、所定回数の再生前に情報記録媒体表面に表示することが可能となる。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記再生専用領域に、前記記録層が、前記第1記録情報の再生動作に伴って光学特性が変化する又は変化しないように形成されている。
この態様によれば、再生動作の前後で、光学特性が変化する又は変化しない記録層が、再生専用領域にも設けられている。例えば、エンボスピットを形成することで、記録層の有無に関わらず、第1記録情報を再生専用領域に記録できる。そして、例えばグルーブトラックに該エンボスピットを形成し、且つ、これに対する再生動作として、レーザ光を、グルーブトラックに沿って照射する場合には、グルーブトラック上に記録マークと同じ光学特性を有する状態にある(例えば、黒っぽい状態にある)記録層を形成しておけば、レーザ光の照射によって、その光学特性は変化することになる。或いは、ランドトラック上に記録マークと同じ光学特性を有する状態にある(例えば、黒っぽい状態にある)記録層を形成しておけば、ランドトラックに沿ったレーザ光の照射によって、光スポット径に応じて、その光学特性は変化しない又は変化することになる。何れの場合にも、第2記録情報としての記録マークが消去された再生回数制限領域と再生専用領域との間における光学特性の差異が、再生後に視認可能な表示パターンをなすように、例えばレーザ光の照射を受けるまでは黒っぽい記録層の存在を利用して再生専用領域における光学特性を調整するとよい。或いは、第2記録マークとしての記録マークが存在する領域と再生専用領域との間における光学特性の差異が、再生前に視認可能な表示パターンをなすように、例えばレーザ光の照射を受けるまでは黒っぽい記録層の存在を利用して再生専用領域における光学特性を調整するとよい。
このように再生専用領域については、例えばグルーブトラックに、エンボスピットに重ねて専ら光学特性を調整するための、即ち記録情報を担持しない、言わばダミーの記録マーク(例えば、黒っぽい状態にある記録層)を形成したり、例えばランドトラックに、同じく言わばダミーの記録マークを形成することで、当該再生専用領域の光学特性を調整できる。
加えて、再生回数制限領域についても、例えばランドトラックに、専ら光学特性を調整するための、即ち記録情報を担持しない、言わばダミーの記録マーク(例えば、黒っぽい状態にある記録層)を形成することで、当該再生回数制限領域の光学特性を調整できる。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記基板及び前記記録層のうち少なくとも一方は少なくとも部分的に、前記記録マークが前記所定回数の再生動作に伴って消去された状態で、前記光学特性の差異が前記表示パターンをなし、且つ、前記記録マークが存在する状態で、前記光学特性の差異が前記表示パターンをなさないように、形成されている。
この態様によれば、所定回数の再生動作が行なわれていない場合には、光学特性の差異が表示パターンをなさない。即ち、この場合には、表示パターンが見えない。このような状態は、記録マークが存在する際に、上述の光学特性が同じになるように、記録層を形成する領域を調整することにより得られる。又は、記録マークが存在する際に、上述の光学特性が同じになるように、記録層に記録マークを形成することや、前述の如き専ら光学特性を調整するための言わばダミーの記録マークを形成することにより得られる。或いはこれに代えて又は加えて、このような状態は、記録マークが存在する際に、上述の光学特性が同じになるように、グルーブトラックやランドトラックにエンボスピットを形成することや、再生回数が制限されていない第1記録情報とは無関係であり専ら光学特性を調整するための言わばダミーのエンボスピットを形成することにより得られる。
その後、所定回数の再生後における記録マークが消去された状態で、上述の光学特性の差異が、例えば「再生不可能」といった文字等の視認可能な表示パターンをなす。即ち、再生可能な当初は見えなかった表示パターンが、所定回数の再生動作を経て再生不可能となった際に、見えるようにできる。例えば、再生不可能となった場合に、「再生不可能」といった文字が視覚上で浮かび上がってくるように見える。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記基板及び前記記録層のうち少なくとも一方は少なくとも部分的に、前記記録マークが存在する状態で、前記光学特性の差異が前記表示パターンをなし、且つ、前記記録マークが前記所定回数の再生動作に伴って消去された状態で、前記光学特性の差異が前記表示パターンをなさないように、形成されている。
この態様によれば、所定回数の再生動作が行なわれた場合には、光学特性の差異が表示パターンをなさない。即ち、この場合には、表示パターンが見えない。このような状態は、記録マークが消去された際に、上述の光学特性が同じになるように、記録層を形成する領域を調整することにより得られる。又は、記録マークが消去された際に、上述の光学特性が同じになるように、記録層に記録マークを形成することや、前述の如き専ら光学特性を調整するための言わばダミーの記録マークを形成することにより得られる。或いはこれに代えて又は加えて、このような状態は、記録マークが消去された際に、上述の光学特性が同じになるように、グルーブトラックやランドトラックにエンボスピットを形成することや、再生回数が制限されていない第1記録情報とは無関係であり専ら光学特性を調整するための言わばダミーのエンボスピットを形成することにより得られる。
その以前、即ち所定回数の再生前における記録マークが存在する状態では、記録マークが存在する領域と記録マークが前記再生動作前から存在しない領域との間における光学特性の差異が、例えば「再生可能」といった文字等の視認可能な表示パターンをなす。即ち、再生可能な当初は見えた表示パターンが、所定回数の再生動作を経て再生不可能となった際に、見えなくなるようにできる。例えば、再生不可能となった場合に、「再生可能」といった文字が視覚上消えることになる。
尚、上述の如き二つの態様を組合せてもよい。即ち、前記記録マークが消去された状態で、前記光学特性の差異が前記表示パターンをなし、且つ、前記記録マークが存在する状態で、前記光学特性の差異が前記表示パターンをなさないように、形成された一の領域と、前記記録マークが存在する状態で、前記光学特性の差異が前記表示パターンをなし、且つ、前記記録マークが消去された状態で、前記光学特性の差異が前記表示パターンをなさないように、形成された他の領域とを、組み合わせてもよい。このように形成すれば、再生可能な際に、他の領域に、例えば「再生可能」といった特定の文字や図形などの表示パターンを視認可能に表示させておき、その後、再生不可能に至った際に、一の領域に、例えば「再生不可能」といった特定の文字や図形などの表示パターンを視認可能に表示させるようにできる。この場合、特にディスク状の情報記録媒体にあっては、視覚的上で文字が変更したかのように認識されることとなる。このような組み合わせ方としては、例えば奇数トラックを、文字等を浮かび上がらせるために用いて、偶数トラックを、文字等を消すために用いてもよい。或いは、ディスク状の情報記録媒体の半円部分を、文字等を浮かび上がらせるために用いて、残りの半円部分を、文字等を消すために用いてもよい。更に、多層ディスクにおいて、一の記録層を、文字等を浮かび上がらせるために用いて、他の記録層を、文字等を消すために用いてもよい。
この態様では、前記光学特性は、光反射率であるように構成してもよい。
このように構成すれば、光反射率の差異が視認可能な表示パターンをなすように基板及び記録層の少なくとも一方が形成されているので、特に記録膜と基板との間に、例えばアルミニウム膜等の光反射膜を備えた、反射型の情報記録媒体においては、比較的簡単に、視認性に優れた表示パターンを表示できるようになる。即ち、この場合、例えば再生動作の一環としてレーザ光を照射する側から見て、記録層の奥側に位置する基板上に、反射膜を形成しておき、当該情報記録媒体を反射型の情報記録媒体とするとよい。
尚、反射率に限らず、光吸収率、遮光率、若しくは、反射光、透過光、屈折光等における色彩、彩度、明度など、表示パターンが視認可能となる限り、いずれの光学特性であっても構わない。
この態様では、前記光学特性は、屈折率であるように構成してもよい。
このように構成すれば、例えば、記録層の光学特性を変化させる際に、より適切な他の製造工程を採用することも可能となる。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記基板の表面には、前記光学特性の差異を発生させる凹凸パターンが形成されている。
この態様によれば、基板の表面に形成されたエンボスピット等の凹凸パターンを利用して、表示パターンを表示させる。例えば、再生可能である際に、凹凸パターンが形成された領域と、記録マークが形成された領域との間で、光反射率等の光学特性がほぼ一致するように、凹凸パターンや記録マークを形成しておく。するとその後、記録マークが消去された際には、凹凸パターンに応じた表示パターンが、相対的に明るく(又は暗く)浮き出てくることになる。或いは、再生不可能とされた際に、凹凸パターンが形成された領域と、記録マークが消去された領域との間で、光反射率等の光学特性がほぼ一致するように、凹凸パターンを形成しておく。するとそれ以前に、記録マークが存在する際に凹凸パターンに応じた表示パターンが相対的に暗く(又は明るく)浮き出ており、これが再生不可能となった際に消えることになる。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記表示パターンは、文字又は図形を含む。
この態様によれば、所定回数の再生動作の後に、文字や図形を浮き出させたり、消去したりが可能となり、再生不可能となった旨を、非常に容易にユーザに知らせることが可能となる。尚、文字や図形に限らず、所定ルールや規格に従って、模様や色を変化させることで、当該再生不可能となった旨を知らせることも可能である。例えば、全体が黒っぽくなった場合には、再生不可であるとしてもよい。また、再生可能又は不可能とは無関係に表示される文字や図形と組み合わせることも可能である。例えば、再生可能又は不可能とは無関係に、情報記録媒体上の所定領域に、「再生」の文字を表示させ、これに続く領域に、再生可能又は不可能に応じて浮き出たり消えたりする「可能」や「不可能」の文字を表示させるように構成してもよい。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記再生回数制限領域には、前記第2記録情報として、前記再生専用領域に記録された第1記録情報を再生するために必要な再生制御情報が記録されている。
この態様によれば、第2記録情報として、第1記録情報を再生するために必要な、例えばコントロールエリア、エンクリプションキー、ファイルシステム、アドレス等の再生制御情報が記録されているので、第2記録情報が例えば消去されるなどして再生不可能とされた後には、例えばコンテンツ情報等の第1記録情報を再生することも不可能となる。よって、相対的に少量の第2記録情報を再生不可能とするだけで、相対的に大量の第1記録情報をも再生不可能とすることででき、非常に効率良く、当該情報記録媒体の全体について再生回数制限をかけることができる。更に、相対的に大量の第1記録情報についてはそのまま維持されているので、一旦再生不可能とされた後に相対的に少量の第2記録情報を再び記録するだけで、非常に効率良く当該情報記録媒体の全体について再利用可能となる。
尚、通常のビデオコンテンツの場合、例えばファイルシステム等の再生制御情報へのアクセスは最初の起動時の1回だけであるので、再生専用領域に記録されているビデオコンテンツ等の第1記録情報に関しては、情報記録媒体が排出されない限り、複数回何度でも再生することができる。
逆に、前記再生専用領域には、前記第1記録情報として、前記再生回数制限領域に記録された第2記録情報を再生するために必要な再生制御情報が記録されていてもよい。加えて、例えば、前記第1記録情報と前記第2記録情報とに関連があり、前記第1記録情報に対する所定処理により或いは前記第1記録情報に基づく所定処理により、前記第2記録情報が再生されるように構成してもよい。何れの場合でも、第2記録情報が所定回数の再生動作に伴って消去された後には、当該情報記録媒体を適切に再生することはできなくなる。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記再生専用領域では、前記再生動作として再生用レーザを照射することによって前記第1記録情報が再生可能であると共に前記第1記録情報が消去されないように前記第1記録情報が記録されており、前記再生回数制限領域では、前記再生動作として前記再生用レーザを照射することによって前記第2記録情報が前記所定回数だけ再生可能であると共に前記所定回数だけ前記再生用レーザを照射することによって前記第2記録情報が消去されるように記録されている。
この態様によれば、再生回数制限領域では、情報再生装置によって、例えば典型的には1回である、所定回数だけ再生用レーザが照射されると、第2記録情報は消去される。例えば、第2記録情報が記録される記録層に固有である消去レーザ範囲が再生レーザ範囲と重なっていれば、第2記録情報は、このように再生されつつ消去されることになる。
この態様では、前記再生回数制限領域では、記録用レーザが照射されることで前記第2記録情報を記録可能であるように構成してもよい。
このように構成すれば、例えばユーザによる情報再生装置での利用によって、所定回数の再生動作に伴って再生不可能とされた情報記録媒体が、回収業者或いは提供者の元に回収された後には、該回収業者らによる記録用レーザの照射によって再び第2記録情報を記録できる。このように情報記録媒体の再利用が比較的簡単にできる。
更に、この態様では、前記記録層は、前記第2記録情報が再生可能とされる再生パワー範囲が、前記第2記録情報が消去可能とされる消去パワー範囲と少なくとも部分的に重なっている記録特性を持つように構成してもよい。
このように構成すれば、再生パワー範囲及び消去パワー範囲は、記録層に固有であり、基本的には、記録層の材料(材質)及び膜厚、溝深さなどにより決定される。従って、例えば光ディスクプレーヤ等の情報再生装置において、当該情報記録媒体に対して、消去パワー範囲と再生パワー範囲とが重なった範囲内にあるパワーを有するレーザ光を、再生用レーザとして照射することで再生を行えば、記録情報を再生しつつ消去することが可能となる。より具体的には、記録層に固有の消去パワー範囲内であって且つ再生パワー範囲内にあるパワーを有するレーザ光を、再生用レーザとして、当該記録層に照射すると、記録層から出射される光(例えば、典型的には反射光、或いは回折光、屈折光、透過光などの出射光)における光学特性(例えば、反射率、偏光状態等)が変化するので、例えば相変化によるピットとして記録された記録情報の再生が可能とされる。同時に、照射されたレーザ光によって、例えば相変化によるピットとして記録された記録情報が消去される。
このように、記録層に記録された記録情報を一回だけ再生可能となる。更に、やはり記録層に固有である記録情報が記録可能とされる記録パワー範囲内にあるパワーを有するレーザ光を、記録用レーザとして、上述の如く記録情報が消去された記録層に対しては照射することで、再び記録情報を記録することもできる。このように、何度でも記録情報を記録しこれを一回だけ再生しつつ消去するプロセスを繰り返すことも可能となる。
但し、このような記録については、市販されている民生用の情報記録再生装置(例えば、光ディスクレコーダ)によっては不可能なようにするのが好ましく、専用の情報記録装置によって行われるのが好ましい。即ち、このように構成すれば、例えば、回収業者において、ユーザ側で消去された部分のみを再度記録することによって、記録された状態を比較的簡単に復元でき、ユーザによる不正な復元を防止することが出来る。
尚、上述のように再生パワー範囲と消去パワー範囲とが重なる記録特性を有するように記録層を形成するには、例えば、実験的、経験的又は理論的若しくはシミュレーション等により、当該記録層を構成する複数材料間の比率と層厚とを調整して、個別具体的に該記録特性が得られるようすればよい。更に、上述の如き記録特性を有する多層構造の記録層を形成するには、多層について同様に実験的等により比率や層厚を調整すればよい。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記記録層は、アモルファス状態と結晶化状態とに相変化する型式の記録層を含み、前記再生専用領域及び前記再生回数制限領域のうち少なくとも一方における、前記記録層がアモルファス状態である領域と前記記録層が結晶化状態である領域との面積比率によって、前記光学特性が少なくとも部分的に規定される。
この態様によれば、記録層がアモルファス状態である領域と記録層が結晶化状態である領域との面積比率によって、記録層における相変化に応じて該記録層の光学特性を変化させることで、表示パターンを浮き出させたり、消去したりが可能となる。例えば、アモルファス状態である領域が相対的に広ければ光反射率が低下するので暗く見え、アモルファス状態である領域が相対的に狭ければ光反射率が上昇するので明るく見え、結果として該面積比率の分布に応じた明暗の表示パターンを表示可能となる。
因みに、光ディスクの場合には、再生回数制限領域には、所謂3T〜11Tマークからなる記録マークがランダムに配置されることになるので、記録後の情報記録媒体は、基板面内の反射率が当該再生回数制限領域で均一となる。従って、このような反射率を基準として、アモルファス状態である領域の面積比率によって、光学特性を再生回数制限領域と再生専用領域との間で調整することは、比較的容易である。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記記録層は、アモルファス状態と結晶化状態とに相変化する型式の記録層を含み、前記再生専用領域及び前記再生回数制限領域のうち少なくとも一方における、前記記録層の相変化率によって、前記光学特性が少なくとも部分的に規定される。
この態様によれば、記録層がアモルファス状態である領域と記録層が結晶化状態である領域との相変化率によって、記録層における相変化に応じて該記録層の光学特性を変化させることで、表示パターンを浮き出させたり、消去したりが可能となる。例えば、アモルファス状態への相変化率が相対的に高ければ光反射率が低下するので暗く見え、アモルファス状態への相変化率が相対的に低ければ光反射率が上昇するので明るく見え、結果として該相変化率の分布に応じた明暗の表示パターンを表示可能となる。
因みに、光ディスクの場合には、再生回数制限領域には、所謂3T〜11Tマークからなる記録マークがランダムに配置されることになるので、記録後の情報記録媒体は、基板面内の反射率が当該再生回数制限領域で均一となる。従って、このような反射率を基準として、アモルファス状態への変化率によって、光学特性を再生回数制限領域と再生専用領域との間で調整することは、比較的容易である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
以上説明したように、本発明の情報記録媒体によれば、基板と、レーザ光が照射されることにより光学特性が変化し、視認可能な表示パターンが表示又は消去される記録層とを備えるので、再生回数に制限をかけることが可能であり、しかも、再生可能な状態にあるのか否かに関する情報を確実或いは簡単に知らしめることが可能である。
1…センターホール、10…トラック、11…セクタ、20…記録マーク、30…記録層、31…反射層、32…基板、33…保護層、34(35)…光学特性変化膜、100…光ディスク、101…リードインエリア、102…データゾーン、103…リードアウトエリア、150…再生回数制限領域、160…再生専用領域、200…情報再生装置、202…光ピックアップ、203…スピンドルモータ、204…ヘッドアンプ、210…総和生成回路、211…ピットデータ復調回路、212…ピットデータ訂正回路、213…バッファ、214…インターフェース、220…プッシュプル信号生成回路、221…ローパスフィルタ、222…サーボユニット、G…グルーブトラック、L…ランドトラック、EP…エンボスピット、ES…エンボススペース
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例毎に順に図面に基づいて説明する。
(情報記録媒体の第1〜第4実施例)
図1から図10を参照して、本発明の情報記録媒体に係る、透かし文字が浮かび上がる光ディスクの実施例である、第1から第4実施例について詳細に説明する。
(第1実施例)
以下、本発明の情報記録媒体の第1実施例について図1から図7を参照して説明する。
先ず図1を参照して、第1実施例に係る光ディスクの基本構造について説明する。ここに図1は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る光ディスクの基本構造を示し、上側部分は複数の記録領域を有する光ディスクの概略平面図であり、これに対応付けられる下側部分は、その径方向における記録領域構造の図式的概念図である。
図1に示すように、光ディスク100は、例えば、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール1を中心として内周側から外周側に向けて、本実施例に係るリードインエリア101、データゾーン102及びリードアウトエリア103が設けられている。そして、各記録領域には、例えば、センターホール1を中心にスパイラル状或いは同心円状に、例えば、グルーブトラック及びランドトラック等のトラック10が交互に設けられている。このトラック10上には、データがセクタ11という単位で分割されて記録される。セクタ11は、記録情報がエラー訂正可能なプリフォーマットアドレスによるデータ管理単位である。
尚、本発明の光ディスク100は、1層構造でなくてもよい。2層片面、即ち、ダブルレイヤ又は1層両面、即ち、ダブルサイドであってもよい。
第1実施例に係る光ディスクは、物理的特性の観点から分類した2種類の記録領域、より詳細には、再生回数制限領域150及び再生専用領域160を併せ持つハイブリッド型光ディスクとして構築されている。
再生回数制限領域150においては、記録情報(即ち、本願発明に係る「第2記録情報」)が、例えば記録層の相変化による記録マークとして記録されており、一回又はある制限された複数回だけ再生用レーザの照射による記録情報の再生が可能である。それと同時に該一回又はある制限された複数回の再生用レーザの照射による再生によって記録情報が消去される。更に消去後に再び記録用レーザの照射による記録情報の再記録が可能である。
他方で、再生専用領域160においては、記録情報(即ち、本願発明に係る「第1記録情報」)が、例えばエンボスピットとして記録されており、物理的に何度でも再生用レーザの照射による記録情報の再生が可能であるROM型光ディスクとしての性質が有される。
尚、再生回数制限領域150と再生専用領域160との配置については、例えば、ピット毎、セクタ毎といった極めて細かい単位で混在させてもよいし、例えば、光ディスク100の内周寄りと外周寄りとのなど極めて粗い単位で混在させてもよい。
以下に説明するように、映像情報や音楽情報等のコンテンツ情報を記録する領域は概ね再生専用領域160とされ、係るコンテンツ情報の再生を制御する情報を記録する領域の少なくとも一部分は再生回数制限領域150とされる。即ち、このような構成とすることで、所定回数の再生により再生不可能とされた光ディスク100に対して、比較的小さい領域を占める再生回数制限領域150のみに情報を再記録すれば、再び再生可能な状態に戻すことが可能となる。従って、リサイクルを容易とする上で有利である。但し、再生回数制限領域150が占める領域を広げることは任意であり、極端な場合には、再生専用領域160を殆ど又は完全に無くして、且つ殆ど又は完全に再生回数制限領域150ばかりとしてもよい。
後述に詳細に説明されるように、第1実施例に係る光ディスク100の再生専用領域160と再生回数制限領域150とにおいては、記録マーク20が存在する場合と記録マーク20が再生されると同時に消去された場合との間で、夫々の領域の反射率を殆ど又は完全に同じにさせたり又は異ならせたりすることが可能である。より具体的には、例えば、再生回数制限領域150において記録マーク20が存在する場合に、再生回数制限領域150における反射率と再生専用領域160における反射率とを殆ど又は完全に同じにする。他方、再生回数制限領域150において記録マーク20が再生されると同時に消去された場合に、再生回数制限領域150における反射率と再生専用領域160における反射率とを異ならせる。或いは逆の構成として、再生専用領域160において記録マーク20が存在する場合に、例えば、再生専用領域160の一部と他の一部における反射率を異ならせる。他方、例えば、再生専用領域160の一部において記録マーク20が再生されると同時に消去された場合に、再生専用領域160の一部と他の一部における反射率を殆ど又は完全に同じにする。
以上のように、記録マーク20の存在の有無によって、夫々の領域における反射率を同じにさせたり又は異ならせたりすることで、光ディスク100の記録領域の表面において再生専用領域160に加えて又は代えて再生回数制限領域150によって構成された文字や図形を視覚的に区別し浮かび上がらせたり、消去したりすることが可能となる。
尚、本実施例に係る「記録マーク」とは、再生回数制限領域150において、再生回数が制限された記録情報(即ち、本発明に係る「第2記録情報」)を担持する記録マークの他に、再生回数制限領域150又は再生専用領域160において、記録情報と無関係に、レーザ光の照射前における、即ち所定回数の再生動作以前における記録層の反射率を専ら低くするための、言わば「ダミーの記録マーク」を含む趣旨である。即ち、ダミーの記録マークを利用することで、文字や図形を視覚的に区別し浮かび上がらせたり、消去したりする際の自由度を増大させることや浮かび上がる文字等の高コントラスト化が可能となる。同様に、エンボスピットについても、再生回数が制限されていない記録情報とは無関係に、レーザ光の照射前及び後における、専ら反射率を調整するための、言わばダミーのエンボスピットを含む趣旨である。
このように本実施例においては、専ら反射率を調整するためのダミーの記録マークやダミーのエンボスピットを形成する場合には、光ディスク100は、再生回数制限領域150のみ有していたり、又は再生専用領域160のみ有している場合にも、文字等を浮き上がらせたり、消去したりすることが可能となる。但し、ハイブリッド型光ディスクにおいて、実際のレーザ光の照射による再生動作に伴って文字等を浮き上がらせたり消去したりする方が、レーザ光の照射に係るエネルギ節約や照射時間の短時間などに繋がるので、実践上の利益は大きい。
次に図2を参照して、本発明の第1実施例に係る光ディスクの再生回数制限領域及び再生専用領域における記録層の物理的特性について説明する。この物理的特性は、より具体的には、再生回数制限領域及び再生専用領域の記録層において記録情報が記録された記録マークが再生用レーザの照射によって消去可能となる特性である。ここに、図2は、本発明の第1実施例に係る光ディスクの再生回数制限領域及び再生専用領域における記録層の再生パワー範囲、消去パワー範囲及び記録パワー範囲の一具体例を示したグラフ図である。図2において、縦軸は、レーザ光のパワーの値を、単位をmW(ミリワット)として示し、横軸は、第1実施例に係る光ディスクのレーザ光の種類(図2中、左側から再生用、消去用及び記録用レーザ)を示す。
本発明の第1実施例に係る光ディスクの記録層は、図2に示されるように、再生パワー範囲が原則として0.7mW以下となるように形成されている。更に、消去パワー範囲と再生パワー範囲とを重ねるために、再生パワー範囲が0.2mW以上であり且つ0.7mW以下となるように、記録層は形成されてもよい。記録層は、消去パワー範囲が、0.2mW以上であり且つ1.0mW以下となるように形成され、記録パワー範囲が、0.7mW以上であり且つ2.0mW以下となるように形成されている。
このように、本発明の第1実施例に係る光ディスクは、その再生回数制限領域に関しては、例えば、DVD−ROM等の再生専用メディアを再生するときに推奨されている、再生パワー範囲と第1実施例に係る消去パワー範囲とが重なった範囲内にあるパワーを有するレーザ光を、再生用レーザとして照射することで再生を行えば、記録情報を再生すると同時に消去することが可能となる。物理的特性の観点からは、再生用レーザが消去パワーで照射されることにより、記録層を、反射率が低レベルであるアモルファス状態から、反射率がある程度高い中間レベルである結晶化状態へ相変化させることが可能となる。
特に、再生パワー範囲と消去パワー範囲とが、例えば、50%以上の割合で重なっていてもよい。また、消去パワー範囲が、再生パワー範囲を包含していてもよい。
また例えば、市販のDVD−R/W等の書き換え型情報記録媒体、又は例えばDVD−R等の追記型情報記録媒体の記録層の記録パワー範囲と本実施例に係る光ディスクの記録層の記録パワー範囲は重なっていない。従って、市販されている書き換え型又は追記型情報記録媒体のライターによって本実施例に係る光ディスクに記録することはできない。このため、光ディスクの提供者が意図しないような、記録情報の再記録が行われ、制限をかけた筈の再生回数を超えた不正な再生を未然防止できる。他方で、光ディスクの回収者(例えば、提供者)は、図2に示した如き記録用レーザの照射によって記録情報を再記録することができ、光ディスクの再利用が可能となる。
次に図3及び図4を参照して、本発明の第1実施例に係る光ディスク100の再生回数制限領域150及び再生専用領域160の再生前の物理的構造について詳細に説明する。ここに、図3は比較例に係る光ディスクにおける再生回数制限領域及び再生専用領域の再生前の物理的構造の断面及び平面を示した図式的拡大図である。図4は本発明の第1実施例に係る光ディスクの再生回数制限領域及び再生専用領域の再生前の物理的構造の断面及び平面を示した図式的拡大図である。尚、図3及び図4中の上側部分は、光ディスクの断面を示し、レーザ光は下側から照射される。また、図3及び図4中の下側部分は、光ディスクの記録領域の平面を示し、水平方向の一点鎖線は、図中上側部分に対応する切断面を示す。
先ず、図3及び図4を参照して本発明の第1実施例に係る光ディスクに基本的な物理的構造について詳細に説明する。
図3及び図4の上側部分に示されるように、第1実施例に係る光ディスク100は、基板32と、基板32上に積層された記録層30と、太線で示された反射層31と、保護層33とを備えて構成されている。尚、これらの層の他、記録層30の上部や下部に誘電体層等が配置されてもよいし、接着層等から構成される保護層33の上層側にカバー基板等が貼り付けられてもよい。
基板32には、その表面全域(図3及び図4中、上側の表面全域)に、グルーブトラックG及びランドトラックLがエンボス加工等により形成されている。再生専用領域160内におけるグルーブトラックG上には、エンボスピットEP及びエンボススペースESがエンボス加工により形成されている。他方で、再生回数制限領域150内におけるグルーブトラックG上には、記録マーク20が記録層30に形成されている。記録マーク20は、記録用レーザを照射することで、相変化によるピット(相変化により黒くされたピット)として構成されている。反射層31は、エンボス加工された基板32に成膜された記録層30上に直接又は不図示の誘電体層或いは絶縁膜を介して成膜された、例えばAl(アルミニウム)膜等である。
光ディスク100は、再生回数制限領域150については、記録層30を備えた相変化型ディスクの一種として構成されている。この記録層30の一部に記録マーク20が形成されることで、データが再生と共に消去可能に記録される。より詳細には、反射率の大きい結晶状態の記録層30にレーザ光が照射され、部分的に記録層30が融解されると共に、急速に冷やされる。このことにより、記録層30が部分的にアモルファス状態にされることで、反射率を低くさせることができる。このようにアモルファス状態にされた記録層30の一部に記録マーク20が形成される。他方、アモルファス状態の記録層30にレーザ光が照射され、部分的に記録層30が融解されると共に、ゆっくりと冷やされる。このことにより、記録層30が結晶状態に戻されることで、反射率をより高く戻すことができる。即ち、データが消去可能となる。
他方、光ディスク100は、再生専用領域160については、記録層30の存在とは無関係にエンボスピットEPを備えたROM型光ディスクの一種として構成されている。より具体的には、ポリカーボネート製の基板32にはレーザ光等のビームを誘導するためのガイド用トラックとしてのグルーブトラックGが形成されている。尚、この基板32において、隣り合ったグルーブトラックGとグルーブトラックGとの間の領域をランドトラックLと呼ぶ。グルーブトラックG及びランドトラックLとの呼び名は、ベースとしての基板32から見て凹部をグルーブトラックGと呼び、凸部をランドトラックLと呼んでいることを付記しておく。即ち、光ピックアップの側から見ると、グルーブ(溝)が凸状部に相当し、ランド(丘)が凹状部に相当する。
尚、再生専用領域160については、エンボスピットEPの存在が再生時の反射光光量を規定する主要因となるので、記録層30が存在し且つ記録マークがエンボスピットEP上に形成されていても、当該エンボスピットを読取ることは可能であり、他方で、記録層30が存在し且つ記録マークがエンボスピットEP上に形成されていなくても、やはり同じように当該エンボスピットを読取ることは可能である。
このように本実施例では、光ディスク100は、再生回数制限領域150については相変化型ディスクの一種として構成され且つ再生専用領域160についてはROM型ディスクの一種として構成され、全体としてハイブリッド型ディスクとして構成されている。
尚、本実施例では、再生専用領域160は、再生回数制限領域150と同一の記録層30が積層されると共に、再生回数制限領域150と同一の記録膜が蒸着されていてもよい。このように再生専用領域160に積層された記録層30については、相変化によって情報を記録してもよい。このように記録層30を再生専用領域160にも積層するので、再生回数制限領域150との反射率の違いを抑制することが可能となる。また、基板32の表面全域に記録層30を成膜すれば、その後の部分的な記録層30の除去や剥離等を行う必要もないので、製造上便利である。更に、初期化の際に、記録層30の全域を、結晶化状態としておくことで、記録マーク20が記録されていない記録層30部分についての反射率を、その後に記録マーク20が形成された記録層30部分の反射率よりも高めることが可能となる。
加えて、再生専用領域160にも積層された記録層30を、再生回数が制限された記録情報と無関係に、レーザ光の照射前における、即ち所定回数の再生動作以前における記録層の反射率を低くするために、或いは反射率を所望値に調整するために、利用することも可能である。この際、言わば「ダミーの記録マーク」を記録しておけば、反射率を一層下げることや、反射率を所望値に調整することも可能となる。このように再生専用領域160にも積層された記録層30、更にこれに形成されたダミーの記録マークを利用することで、次に説明するように文字や図形を高コントラストで浮かび上がらせたり、消去したりが可能となる。同様に、エンボスピットEPについても、再生回数が制限されていない記録情報とは無関係に、レーザ光の照射前及び後における、反射率を低くするための、言わばダミーのエンボスピットを形成してもよい。ダミーのエンボスピットEPを利用することで、次に説明するように文字や図形を高コントラストで浮かび上がらせたり、消去したりが可能となる。
特に、図3及び図4においては便宜上図示していないが、光ディスク100においては、好ましくは、グルーブトラックGをディスクの回転速度に対応する周波数でウォブリングさせている。このウォブリングされたグルーブトラックGは、図示しないランドプリピットと同様に、光ディスク100を出荷する前に予め形成されるものである。そして、光ディスク100に記録情報、即ち、プリ情報以外の本来記録するべき画像情報等の情報を記録する際には、例えば、情報記録再生装置によってこのグルーブトラックGのウォブリング周波数を抽出することにより光ディスク100を所定の回転速度で回転制御するとよい。
また特に、ランドトラックLにはプリ情報に対応する図示しないランドプリピットが形成されていてもよい。このランドプリピットは一般に光ディスク100を出荷する前に予め形成されているものである。また、このランドプリピットを検出することにより予めプリ情報を取得し、それに基づいて記録光としてのレーザ光の最適出力等が設定されると共に、記録情報を記録すべき光ディスク100上の位置を示すアドレス情報等が取得され、このアドレス情報に基づいて記録情報が対応する記録位置に記録される。
尚、本実施例においては、グルーブトラックG及びランドトラックLは無くてもよい。
また、再生専用領域160上のエンボスピットEPと再生回数制限領域150に形成された記録マーク20は連続しているので、トラッキングサーボをかけることが容易である。
次に、比較例を示した図3を参照して本発明の第1実施例に係る光ディスクの作用効果について事前に検討を加える。
図3に示されるように、比較例において、再生専用領域160にはエンボスピットEPが形成されている。このエンボスピットEPを覆った記録層が結晶化状態の再生専用領域160の反射率は、記録層がアモルファス状態にある場合と比較して高く、且つエンボスピットが形成されていない場合と比較して高い。このようにエンボスピットが形成されていない場合と比較して反射率が高いのは、エンボスピットによる乱反射等の影響によるものと考察される。このようにエンボスピットEPを覆った記録層30が結晶化状態の再生専用領域160は、明るく見える。
他方、再生回数制限領域150は、記録層30が結晶化状態の領域及び、記録用レーザが照射されて記録マーク20が形成された記録層30がアモルファス状態の領域から構成される。結晶化状態の領域においては、反射率はある程度高い、即ち反射率は中間レベルである。他方、アモルファス状態の領域においては、反射率は低い、即ち反射率は低レベルである。従って、再生回数制限領域の反射率は平均すると中間レベル乃至低レベルであるため、再生回数制限領域150は、上述の如き再生専用領域160より暗く見える。
このように、図3に示した比較例のハイブリッド型光ディスクでは、記録情報が記録された記録マーク20が形成された再生回数制限領域150と再生専用領域160では、反射率に違いが生じ、視覚的に両者を区別できる。
これに対して、図4に示されるように、本発明の第1実施例に係る光ディスク100は、記録情報が記録された記録マーク20が形成された再生回数制限領域150と再生専用領域160において、再生前の反射率を殆ど又は完全に同じになるように、エンボスピットEP、記録層30及び記録マーク20が形成されている。これにより、両領域を視覚的に区別不能にすることができる。即ち、記録マーク20が存在している状態では、光ディスク100の記録領域全面を一様に同じ明るさにすることが可能となる。例えば、記録層30におけるアモルファス状態の面積比率や相変化率を、エンボスピットEPの存在を勘案しつつ、再生回数制限領域150と再生専用領域160との間で調整することで、このように光ディスク100の記録領域全面を一様に同じ明るさにすることが可能となる。
また、本発明の第1実施例に係る光ディスク100の再生専用領域160において、エンボスピットEPと同期してその隣接するランドトラックLの領域に記録用レーザが照射されて、ダミーの又は何らかの情報を担持する記録マーク20が形成されてもよい。この場合、エンボスピットEPに隣接するランドトラックLの領域の記録層30は、反射率がある程度高い中間レベルである結晶化状態から、反射率が低レベルであるアモルファス状態に相変化される。このことにより、エンボスピットEPを覆った記録層30が結晶化状態の再生専用領域160はより明るく見えるのに対して、アモルファス状態のランドトラックLの領域はより暗く見える。よって、再生専用領域160では、明暗のパターンが生じて、例えばグレー色にすることが可能となる。このように再生専用領域160の反射率を中間レベル乃至低レベルに低めることで、再生回数制限領域150の反射率と殆ど又は完全に同じにさせることが可能となる。
以上のように、本実施例によれば、再生回数制限領域150内の記録層30における記録マーク20の存在と、再生専用領域160内のエンボスピットEPの存在、ランドトラックLにおける記録層30やダミーの記録マーク20の存在等とを、相対的に調整することで、所定回数の再生動作前であって即ち光ディスク100が再生可能な状態にある場合には、光ディスク100の記録領域全面を一様に同じ明るさにすることが可能となる。
次に図5から図7を参照して、本発明の第1実施例に係る光ディスクの再生回数制限領域及び再生専用領域の再生後の物理的構造について詳細に説明する。ここに、図5は本発明の第1実施例に係る光ディスクの再生回数制限領域及び再生専用領域の再生後の物理的構造の一具体例における断面及び平面を示した図式的拡大図である。図6は、本発明の第1実施例に係る光ディスクの再生回数制限領域及び再生専用領域の再生後の物理的構造の他の具体例における断面及び平面を示した図式的拡大図である。図7は、本発明の第1実施例に係る光ディスクの記録面に透かし文字が再生後に浮かび上がった一具体例を示した模式図である。尚、図5から図7中に示された上側部分及び下側部分の相対的位置関係等の概略は、図3及び図4等と同様である。
本発明の第1実施例に係る光ディスク100では、前述したように、再生前において、再生専用領域160と再生回数制限領域150との反射率を殆ど又は完全に同じにすることが可能である。そして、再生用レーザが照射されることにより、記録情報が記録された記録マーク20が再生されると同時に消去された後に、再生回数制限領域150と再生専用領域160において、反射率を異ならせることが可能である。従って、再生後、光ディスク100の記録領域の表面において、再生専用領域160及び再生回数制限領域150によって構成された文字や図形が視覚的に区別され浮かび上がる。
より具体的には、図5に示されるように、本発明の第1実施例に係る光ディスク100の再生回数制限領域150においては、グルーブトラックGに再生用レーザが照射されることにより、記録マーク20が再生されつつ消去される。他方で、再生専用領域160においては、グルーブトラックGに再生用レーザが照射されることにより、エンボスピットEPが再生される。この際、ランドトラックLに形成されたダミーの記録マーク20が消去されることはないように、ランドトラックLには再生用レーザが照射されないように再生専用領域160における再生が行なわれる。すると、再生回数制限領域150の反射率は、記録マーク20が消去された分だけ、再生専用領域160の反射率よりも高くなる。即ち、再生回数制限領域150に対応する相対的に「明るい」表示パターンが、再生専用領域160の中に浮かび上がることになる。
或いは、図6に示されるように、本発明の第1実施例に係る光ディスク100の再生回数制限領域150においては、グルーブトラックGに再生用レーザが照射されることにより、記録マーク20が再生されつつ消去される。他方で、再生専用領域160においては、グルーブトラックGに再生用レーザが照射されることにより、エンボスピットEPが再生される。この際、ランドトラックLに形成されたダミーの記録マーク20が消去されるように、ランドトラックLにも再生用レーザが照射されるように再生専用領域160における再生が行なわれる。すると、再生回数制限領域150の反射率は、エンボスピットEPが存在しない分だけ、再生専用領域160の反射率よりも低くなる。即ち、再生回数制限領域150に対応する相対的に「暗い」表示パターンが、再生専用領域160の中に浮かび上がることになる。
以上より、再生後には、再生回数制限領域150と再生専用領域160とを視覚的に区別することが可能となり、両領域の配置に対応した視認可能な明暗の表示パターンを、例えば図7に示したように表示させることが可能となる。
即ち図7に示すように、本発明の第1実施例に係る光ディスク100では、例えば、教育用コンテンツが記録されているディスクの場合、又は、家庭向けパソコン用のゲームに応用する場合に、再生回数制限領域においては、文字、模様及び画像情報等のディスプレイ表示並びに音楽の再生のための一連のデータ情報が記録マークの形成によって記録されている。この際前述のように、再生前においては、記録マーク20の形成によって、再生専用領域と再生回数制限領域の反射率を殆ど又は完全に同じとされている。
その後、無事に全てのカリキュラム、又は、ゲームのステージが終了された場合には、それまでの過程で記録マークが再生されると同時に消去された結果、再生回数制限領域と再生専用領域との反射率の差異に応じて、例えば、光ディスクの記録面の最外周において、例えば、「おめでとう/Congratulation」若しくは「VOID」又は「Finished」という透かし文字が光ディスクの記録面に浮かび上がる。
それと同時に、例えば、文字、模様及び例えば、卒業証書等の画像情報のディスプレイにおける表示並びに音楽の再生がなされるようにしてもよい。
(第2実施例)
次に図8に加えて前述した図6及び図7を適宜参照して、本発明の第2実施例に係る光ディスク100の再生回数制限領域及び再生専用領域の再生前の物理的構造について詳細に説明する。ここに、図8は本発明の第2実施例に係る光ディスクの再生回数制限領域及び再生専用領域の再生前の物理的構造の断面及び平面を示した図式的構造図である。尚、図8中に示された上側部分及び下側部分の相対的位置関係等の概略は、図3及び図4等と同様である。
本発明の第2実施例に係る光ディスク100は、基本的な物理的特性及び構造は第1実施例と同様であり、再生前において、エンボスピットEP、記録層30及び記録マーク20の形成によって、再生回数制限領域150と再生専用領域160の反射率を殆ど又は完全に同じにしている。即ち、記録マーク20が存在している状態では、光ディスク100の記録領域全面を一様に同じ明るさにすることが可能となる。例えば、記録層30におけるアモルファス状態の面積比率や相変化率を、エンボスピットEPの存在を勘案しつつ、再生回数制限領域150と再生専用領域160との間で調整を行う点は第1実施例と同様である。
より具体的には、図8に示されるように、本発明の第2実施例に係る光ディスク100の再生専用領域160において、エンボスピットEPと同期してこのエンボスピットEP上に記録用レーザが照射されて記録マーク20が形成される。このことによって、エンボスピットEPを覆った記録層30は、反射率がある程度高い中間レベルである結晶化状態から、反射率が低レベルであるアモルファス状態に相変化される。従って、記録層30がアモルファス状態のエンボスピットEPが存在する列から構成される再生専用領域160の反射率を平均して高レベルから中間レベル乃至低レベルへと低めることができる。
このようにして、再生専用領域160の反射率を中間レベル乃至低レベルに低め、結晶化状態の領域及び記録マーク20が形成されたアモルファス状態の領域から構成される再生回数制限領域150の反射率と殆ど又は完全に同じにさせることが可能となる。
また、第2実施例の変形例として、再生専用領域160の反射率を中間レベルに低め、結晶化状態の領域のみから構成される再生回数制限領域150の反射率と殆ど又は完全に同じにさせてもよい。
以上より、乱反射等の影響により明るさの度合いの高い、記録層30が結晶化状態のエンボスピットEPが、アモルファス状態にされることによって、再生専用領域160のエンボスピットEP及びエンボススペースESが存在する列は平均して明るさの度合いが再生回数制限領域150の明るさの度合いまで低められ、光ディスク100の記録領域全面を一様に同じ明るさにすることが可能となる。
尚、再生専用領域160では、エンボスピットEP上の記録層30が結晶化状態からアモルファス状態に相変化するが、エンボスピットEPにおける鏡面と比べて反射率が低いという効果は変わらないため記録されている記録情報は再生前後において変わらない。
本発明の第2実施例に係る光ディスクにおける再生回数制限領域と再生専用領域の反射率を再生後に異ならせる物理的構造は、前述した図6で説明した第1実施例と同様である。また、本発明の第2実施例に係る光ディスクにおいて、再生後に、透かし文字等の記録面における浮かび上がり、音楽の再生、例えば卒業証書等の画像情報のディスプレイにおける表示等の実際の効果は、前述した図7で説明した第1実施例と同様である。
(第3実施例)
次に図9に加えて前述した図6及び図7を適宜参照して、本発明の第3実施例に係る光ディスクの再生回数制限領域及び再生専用領域の再生前の物理的構造について詳細に説明する。ここに、図9は本発明の第3実施例に係る光ディスクの再生回数制限領域及び再生専用領域の再生前の物理的構造の断面及び平面を示した図式的構造図である。尚、図9中に示された上側部分及び下側部分の相対的位置関係等の概略は、図3及び図4等と同様である。
本発明の第3実施例に係る光ディスク100は、基本的な物理的特性及び構造は第1及び第2実施例と同様であり、再生前において、エンボスピットEP、記録層30及び記録マーク20の形成によって、再生回数制限領域150と再生専用領域160の反射率を殆ど又は完全に同じにしている。即ち、記録マーク20が存在している状態では、光ディスク100の記録領域全面を一様に同じ明るさにすることが可能となる。例えば、記録層30におけるアモルファス状態の面積比率や相変化率を、エンボスピットEPの存在を勘案しつつ、再生回数制限領域150と再生専用領域160との間で調整を行う点は第1実施例と同様である。
より具体的には、図9に示されるように、本発明の第3実施例に係る光ディスク100の再生専用領域160において、エンボススペースESと同期してこのエンボススペースES上に記録用レーザが照射されて記録マーク20が形成される。このことによって、エンボススペースESを覆った記録層30は、反射率がある程度高い中間レベルである結晶化状態から、反射率が低レベルであるアモルファス状態に相変化される。従って、記録層30がアモルファス状態のエンボススペースES及び記録層30が結晶化状態のエンボスピットEPが存在する列から構成される再生専用領域160の反射率を平均して高レベルから中間レベル乃至低レベルへと低めることができる。
このようにして、再生専用領域160の反射率を中間レベル乃至低レベルに低め、結晶化状態の領域及び記録マーク20が形成されたアモルファス状態の領域から構成される再生回数制限領域150の反射率と殆ど又は完全に同じにさせることが可能となる。
また、第3実施例の変形例として、再生専用領域160の反射率を中間レベルに低め、結晶化状態の領域のみから構成される再生回数制限領域150の反射率と殆ど又は完全に同じにさせてもよい。
以上より、乱反射等の影響により明るさの度合いの高い、記録層30が結晶化状態のエンボスピットEPと、記録層がアモルファス状態のエンボススペースESが交互に配置されることによって、再生専用領域のエンボスピットEP及びエンボススペースESが存在する列は平均して明るさの度合いが再生回数制限領域150の明るさの度合いまで低められ、光ディスク100の記録領域全面を一様に同じ明るさにすることが可能となる。
本発明の第3実施例に係る光ディスクにおける再生回数制限領域と再生専用領域の反射率を再生後に異ならせる物理的構造は、前述した図6で説明した第1実施例と同様である。また、本発明の第3実施例に係る光ディスクにおいて、再生後に、透かし文字等の記録面における浮かび上がり、音楽の再生、例えば卒業証書等の画像情報のディスプレイにおける表示等の実際の効果は、前述した図7で説明した第1及び第2実施例と同様である。
(第4実施例)
次に図10に加えて前述した図6及び図7を適宜参照して、本発明の第4実施例に係る光ディスクの再生回数制限領域及び再生専用領域の再生前の物理的構造について詳細に説明する。ここに、図10は本発明の第4実施例に係る光ディスクの再生回数制限領域及び再生専用領域の再生前の物理的構造の断面及び平面を示した図式的構造図である。尚、図10中に示された上側部分及び下側部分の相対的位置関係等の概略は、図3及び図4等と同様である。
本発明の第4実施例に係る光ディスクは、基本的な物理的特性及び構造は第1乃至第3実施例と同様であり、再生前において、記録層30及び記録マーク20の形成、並びにエンボスピットEPの深さを調節することで、再生回数制限領域150と再生専用領域160の反射率を殆ど又は完全に同じにすることが可能である。即ち、記録マーク20が存在している状態では、光ディスク100の記録領域全面を一様に同じ明るさにすることが可能となる。例えば、記録層30におけるアモルファス状態の面積比率や相変化率を、エンボスピットEPの存在を勘案しつつ、再生回数制限領域150と再生専用領域160との間で調整を行う点は第1実施例と同様である。
より具体的には、図10に示されるように、本発明の第4実施例に係る光ディスク100の再生専用領域160において、エンボスピットEPの深さを浅くし、往復の光路の長さを調節することで干渉等を生じさせることにより反射の度合いを小さくする。従って、エンボスピットEPが存在する列から構成される再生専用領域160の反射率を平均して高レベルから中間レベル乃至低レベルへと低めることができる。
このようにして、再生専用領域160の反射率を中間レベル乃至低レベルに低め、結晶化状態の領域及び記録マーク等が形成されたアモルファス状態の領域から構成される再生回数制限領域150の反射率と殆ど又は完全に同じにさせることが可能となる。
以上より、乱反射等の影響により明るさの度合いの高い、エンボスピットEPの深さを浅くすることによって、再生専用領域160のエンボスピットEP及びエンボススペースESが存在する列は平均して明るさの度合いが再生回数制限領域150の明るさの度合いまで低められ、光ディスク100の記録領域全面を一様に同じ明るさにすることが可能となる。
本発明の第4実施例に係る光ディスクにおける再生回数制限領域と再生専用領域の反射率を再生後に異ならせる物理的構造は、前述した図6で説明した第1実施例と同様である。但し、再生専用領域160の反射率は中間レベル乃至低レベルであるが、同様にして、記録マーク20の存在しない再生回数制限領域150より相対的に「明るい」。また、本発明の第4実施例に係る光ディスクにおいて、再生後に、透かし文字等の記録面における浮かび上がり、音楽の再生、例えば卒業証書等の画像情報のディスプレイ表示等の実際の効果は、前述した図7で説明した第1、第2及び第3実施例と同様である。
(情報記録媒体の第5〜第7実施例)
次に図11から図15を参照して、本発明の情報記録媒体に係る、透かし文字が消去される光ディスクの実施例である第5から第7実施例について詳細に説明する。特にこれらの実施例は、例えば、再生専用領域のみによって構成される場合である。
(第5実施例)
先ず図11を参照して、本発明の第5実施例に係る光ディスク100の再生専用領域160の一部及び他の一部の再生前の物理的構造について詳細に説明する。ここに、図11は本発明の第5実施例に係る光ディスクの再生専用領域の一部及び他の一部の再生前の物理的構造の断面及び平面を示した図式的拡大図である。尚、図11中に示された上側部分及び下側部分の相対的位置関係等の概略は、図3及び図4等と同様である。
本発明の第5実施例に係る光ディスクは、基本的な物理的特性及び構造は第1乃至第4実施例と同様であり、再生前において、例えば、ランドトラックLの領域における記録マーク20の存在の有無によって、再生専用領域160の一部と他の一部の反射率を異ならせている。よって、再生可能な状態にある場合、光ディスク100の記録領域の表面において、再生専用領域160の一部と他の一部によって構成された文字や図形が視覚的に区別され浮かび上がっている。
この再生専用領域160の一部の反射率を中間レベル乃至低レベルに低めるための物理的構造及び反射率の調節に関する詳細な説明については図4を参照した第1実施例の再生専用領域160の説明と同様である。
次に図12及び図13に加えて図11を適宜参照して、本発明の第5実施例に係る光ディスクの再生専用領域の一部及び他の一部の再生後の物理的構造について詳細に説明する。ここに、図12は本発明の第5実施例に係る光ディスクの再生専用領域の一部及び他の一部の再生後の物理的構造の断面及び平面を示した図式的拡大図である。図13は、本発明の第5実施例に係る光ディスクの記録面の透かし文字が再生後に消去される一具体例を示した模式図である。尚、図12及び図13中に示された上側部分及び下側部分の相対的位置関係等の概略は、図3及び図4等と同様である。
本発明の第5実施例に係る光ディスク100では、例えば、教育用コンテンツが記録されているディスクの場合、又は、家庭向けパソコン用のゲームに応用する場合に、再生回数制限領域においては、文字、模様及び画像情報等のディスプレイ表示並びに音楽の再生のための一連のデータ情報が記録マークの形成によって記録されている。この際、図11に示したように、再生前においては、記録マーク20の形成によって、再生専用領域の一部と再生専用領域の他の一部の反射率の差異によって、「使用可能」という透かし文字が光ディスクの記録面に浮かび上がっている。
その後、無事に全てのカリキュラム、又は、ゲームのステージが終了された場合には、図12に示されるように、それまでの過程で記録マーク20が再生されると同時に消去された結果、再生専用領域160の一部と再生専用領域160の他の一部との反射率の差異が殆ど又は全くなくなる。このことに応じて、図13に示されるように、透かし文字が光ディスクの記録面から消滅する。
それと同時に、例えば、文字、模様及び例えば、卒業証書等の画像情報のディスプレイにおける表示並びに音楽の再生がなされるようにしてもよい。
(第6実施例)
次に図14を参照して、本発明の第6実施例に係る光ディスクの再生専用領域の一部及び他の一部の再生前の物理的構造について詳細に説明する。ここに、図14は本発明の第6実施例に係る光ディスクの再生専用領域の一部及び他の一部の再生前の物理的構造の断面及び平面を示した図式的拡大図である。尚、図14中に示された上側部分及び下側部分の相対的位置関係等の概略は、図3及び図4等と同様である。
本発明の第6実施例に係る光ディスクは、基本的な物理的構造は第1乃至第5実施例と同様であり、再生前において、記録マーク20の存在の有無によって、再生専用領域160の一部と他の一部の反射率を異ならせることが可能である。よって、光ディスク100の記録領域の表面において、再生専用領域160の一部と他の一部によって構成された文字や図形が視覚的に区別され浮かび上がることが可能となる。
この再生専用領域160の一部の反射率を中間レベル乃至低レベルに低めるための物理的構造及び反射率の調節に関する詳細な説明については図8を参照した第2実施例の再生専用領域160の説明と同様である。
このようにして、再生専用領域160の一部の反射率を中間レベル乃至低レベルに低め、高レベルである再生専用領域160の他の一部の反射率と異ならせることが可能となる。
本発明の第6実施例に係る光ディスクにおける再生専用領域の一部及び他の一部の反射率を、再生後に記録マーク20を消去させることで、同じにさせる物理的構造は、前述した図12で説明した第5実施例と同様である。また、本発明の第6実施例に係る光ディスクにおいて、再生後に、透かし文字等の記録面における消去、音楽の再生、例えば卒業証書等の画像情報のディスプレイにおける表示等の実際の効果は、前述した図13で説明した第5実施例と同様である。
(第7実施例)
次に図15を参照して、本発明の第7実施例に係る光ディスクの再生専用領域の一部及び他の一部の再生前の物理的構造について詳細に説明する。ここに、図15は本発明の第7実施例に係る光ディスクの再生専用領域の一部及び他の一部の再生前の物理的構造の断面及び平面を示した図式的拡大図である。尚、図15中に示された上側部分及び下側部分の相対的位置関係等の概略は、図3及び図4等と同様である。
本発明の第7実施例に係る光ディスクは、基本的な物理的特性及び構造は第1乃至第6実施例と同様であり、再生前において、記録マーク20の存在の有無によって、再生専用領域160の一部と他の一部の反射率を異ならせることが可能である。よって、光ディスク100の記録領域の表面において、再生専用領域160の一部と他の一部によって構成された文字や図形が視覚的に区別され浮かび上がることが可能となる。
この再生専用領域160の一部の反射率を中間レベル乃至低レベルに低めるための物理的構造及び反射率の調節に関する詳細な説明については図9を参照した第3実施例の再生専用領域160の説明と同様である。
このようにして、再生専用領域160の一部の反射率を中間レベル乃至低レベルに低め、高レベルである再生専用領域160の他の一部の反射率と異ならせることが可能となる。
本発明の第7実施例に係る光ディスクにおける再生専用領域の一部及び他の一部の反射率を、再生後に記録マーク20を消去させることで、同じにさせる物理的構造は、前述した図12で説明した第5実施例と同様である。また、本発明の第7実施例に係る光ディスクにおいて、再生後に、透かし文字等の記録面における消去、音楽の再生、例えば卒業証書等の画像情報のディスプレイにおける表示等の実際の効果は、前述した図13で説明した第5実施例と同様である。
(第8実施例)
次に図16を参照して、本発明の第8実施例に係る光ディスクの一具体例として、記録面の透かし文字が再生後に変更される場合について詳細に説明する。ここに、図16は本発明の第8実施例に係る光ディスクの記録面の透かし文字が再生後に変更される一具体例を示した模式図である。
本発明の第8実施例に係る光ディスク100は、基本的な物理的特性及び構造は第1乃至第7実施例と同様であり、例えば、円盤状の光ディスクの記録領域の図中、0度から180度における記録領域の表面には、本発明の第1、第2、第3又は第4実施例を適用して、例えば、「使用済」等の透かし文字を浮かび上がらせる。他方、180度から360度における記録領域の表面には、本発明の第5、第6又は第7実施例を適用して、例えば「使用可能」等の文字を消去させる。
因みに、利用者は、円盤状の光ディスクのため透かし文字が変更されたような錯覚を起こす。
加えて、このような文字等を浮かび上がらせ、消去させる実施例の組合せとしては、例えば奇数トラックを、文字等を浮かび上がらせるために用いて、偶数トラックを、文字等を消すために用いてもよい。或いは、多層ディスクにおいて、一の記録層を、文字等を浮かび上がらせるために用いて、他の記録層を、文字等を消すために用いてもよい。加えて、多層ディスクにおいては、各層別に、このような文字等が浮かび上がらせたり、消去させるように構成することも可能である。
(第9実施例)
次に、図17を参照して、本発明の第9実施例に係る光ディスクの物理的構造について詳細に説明する。ここに、図17は、本発明の第9実施例に係る光ディスクの物理的構造の断面を示した図式的拡大図である。尚、図17中に示された相対的位置関係等の概略は、図3及び図4等と同様である。
本発明の第9実施例に係る光ディスクは、基本的な物理的特性及び構造は、第1乃至第8実施例と概ね同様である。
特に、第9実施例によれば、光学的記録情報を構成するエンボスピットEP又は記録マーク20の上に、レーザ光の所定のパワーで透過率が変化する光学特性変化膜34が、所定の表示パターンがデザインされて積層されている。光学特性変化膜34は、光ディスクを作成するときにマスクをして積層される。この光ディスクによれば、例えば、再生用レーザの波長を考慮した色素膜によって形成されると、再生用レーザが照射されることで、色素が抜けて透明になり、透過率が高まる。他方、再生用レーザが照射されることで、光学反応によって色素がつき、透過率が低下する。上述したように、光学特性変化膜34が、所定のパターンでエンボスピットEP又は記録マーク20の上に積層されているので、所定の回数再生することで、予めデザインされた表示パターンが表示又は消去されることになる。
(第10実施例)
次に、図18を参照して、本発明の第10実施例に係る光ディスクの物理的構造について詳細に説明する。ここに、図18は、本発明の第10実施例に係る光ディスクの物理的構造の断面を示した図式的拡大図である。尚、図18中に示された相対的位置関係等の概略は、図3及び図4等と同様である。
本発明の第10実施例に係る光ディスクは、基本的な物理的特性及び構造は、第1乃至第9実施例と概ね同様である。
特に、第10実施例によれば、基板32を挟んで、光学的記録情報を構成するエンボスピットEP又は記録マーク20が存在する側の反対側に、即ち、図18中の下側に、レーザ光の所定のパワーで透過率が変化する光学特性変化膜35が所定の表示パターンがデザインされて積層されている。光学特性変化膜35は、通常の製造工程を経て完成された光ディスクの読み取り側の平面に、所定の表示パターンがデザインされたマスクが配置され、レーザ光の所定のパワー等の光学条件で透過率が変化する色素膜が塗布されることで実現可能である。尚、マスクの境界では段差が生じ、エラー訂正率が低下するため、データをこの境界の部分には配置しないことが望ましい。より具体的には、内周側にコンテンツが記録され、外周側の5mmの半径幅に透明な色素膜が文字を表示するように形成される。そして、再生用レーザが照射されることで、この色素膜の色が変化する、又は透過率が変化するようにしてもよい。
尚、第9及び第10実施例における光学特性変化膜34及び35は、可逆的な性質を有するように構成してもよい。より具体的には、ポリーマー等の素材は、波長の異なる光が照射されることで原子の結合状態が変わり、色が現れたり、透明になったりする。これらの素材を第9及び第10実施例の光学特性変化膜34及び35に使用することで、繰り返し同一の光ディスクを使用することが可能となる。
(情報再生装置)
次に図19を参照して、本発明の実施例に係る光ディスク100の情報再生装置について説明する。ここに、図19は本発明の実施例に係る光ディスク100の情報再生装置200の全体構成を示すブロック図である。
情報再生装置200は、光ディスク100、光ピックアップ202、スピンドルモータ203、ヘッドアンプ204、総和生成回路210、ピットデータ復調回路211、ピットデータ訂正回路212、バッファ213、インターフェース214、プッシュプル信号生成回路220、ローパスフィルタ221及びサーボユニット222を備えて構成されている。
光ディスク100には、第1クロック信号CK1に同期したピットデータDPが記録マーク20の長短によって記録されている。RF再生信号成分の第1クロック信号CK1は、前述の光ディスク100の各種実施例で説明したように、ウォブリング又はアンリーダブルエンボス等に応じて、ほぼ一定周期で変動する光ディスク100のRF再生信号成分から、当該情報再生装置200により生成可能な信号であり、本実施例では、ピットデータ復調回路211により生成される。尚、本実施例では、記録マーク20はピットとも解釈でき、トラックはこのピット列によって構成される。
情報再生装置200は、より具体的には、光ディスク100に対して再生ビームを照射するとともに反射光に応じた信号を出力する光ピックアップ202と、光ディスク100の回転を制御するスピンドルモータ203と、サーボユニット222を備える。サーボユニット222には、第1クロック信号CK1及びピット同期信号SYNCpが供給される。サーボユニット222は、これらの信号に同期して、スピンドルモータ203の回転を制御するスピンドルサーボ、光ピックアップ202の光ディスク100に対する相対的位置制御であるフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを実行する。
光ピックアップ202は、再生ビームを照射するレーザーダイオード、図示しない4分割検出回路を備える。4分割検出回路は、再生ビームの反射光を図19の上方に示す領域1A、1B、1C、1Dに4分割し、各領域の光量に応じた信号を各々出力する。ヘッドアンプ204は、光ピックアップ202の各出力信号を各々増幅し、領域1Aに対応する分割読取信号1a、領域1Bに対応する分割読取信号1b、領域1Cに対応する分割読取信号1c、及び領域1Dに対応する分割読取信号1dを出力する。
総和生成回路210は、分割読取信号1a、1b、1c、及び1dを加算して、総和読取信号SRFを出力する加算回路からなる。なお、総和読取信号SRFは、記録マークの長短を表す信号である。
ピットデータ復調回路211は、総和読取信号SRFに基づいてピットデータDPを再生すると共に第1クロック信号CK1を生成する。より具体的にはピットデータ復調回路211は、ピット同期信号SYNCpを基準位置として、再生されたピットデータDPを所定のテーブルを用いて復調して再生データを生成する。例えば、変調方式としてEFM変調が採用される場合には、14ビットのピットデータDPを8ビットの再生データに変換する処理が施される。そして、再生データの順序を予め定められた規則に従って並べ換えるデスクランブル処理が実行されて、処理済の再生データが出力される。
このようにして得られた再生データは、ピットデータ訂正回路212へ供給され、そこで、エラー訂正処理や補間処理等が施された後、バッファ213に記憶される。インターフェース214はバッファ213に記憶されたデータを順次読み出して所定の出力形式に変換して外部機器へ出力する。
プッシュプル信号生成回路220は、(1a+1d)−(1b+1c)を算出して、プッシュプル信号を生成する。成分(1a+1d)は、読取方向に対して左側の領域1A及び1Dに対応する一方、成分(1b+1c)は、読取方向に対して右側の領域1B及び1Cに対応する。プッシュプル信号の値は再生ビームとピットの相対的な位置関係を表している。
プッシュプル信号はローパスフィルタ221を介してサーボユニット222へ出力される。サーボユニット222は、プッシュプル信号に基づいてトラッキング制御を実行する。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報記録媒体もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。