JP4424931B2 - モータ駆動用集積回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ駆動用集積回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
モータ駆動用集積回路は、個々のモータを駆動するための回路素子を集積化したものである。モータ駆動用集積回路は、主として、モータを駆動するための制御信号を生成する信号処理回路と、この制御信号から得られる通電タイミングでモータの駆動コイルを通電する駆動トランジスタと、を有している(例えば、特許文献1参照)。また、信号処理回路としては、クロックのタイミングを利用して所定のデジタル信号処理を行うロジック回路を有しているものもある。例えば、クロックの適宜のタイミングでサンプルホールド処理を行うことにより、ノイズのない制御信号を生成することが可能となる。
【0003】
ところで、記録媒体(例えば、光ディスク、磁気テープ等)が装着される携帯機器は、主として、この記録媒体を駆動するためのモータ(例えば、スピンドルモータ、スレッドモータ等)と、このモータの駆動を制御するためのモータ駆動用集積回路と、を有している。上記の携帯機器においては、モータ駆動用集積回路の消費電力を低減することで、バッテリーの消耗を効果的に抑止することが可能となる。例えば、モータ駆動用集積回路を構成する信号処理回路が、通常は外部クロックで動作し、外部クロックが停止したときのみ内部クロックで動作することとすれば、消費電力を低減することが可能となる。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−146089号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のモータ駆動用集積回路は、外部クロックが停止したことを検出して、外部クロックから内部クロックへ切り換えるための手段を有していない。そのため、外部クロックおよび内部クロックともに停止したままとなると、信号処理回路が誤動作してモータがロックする等の不具合を生じる問題があった。また、外部クロックおよび内部クロックの切り換えは、外部からの操作で行うこととなる。そのため、外部クロックおよび内部クロックの切り換え操作は、煩雑で相当の時間を要するものとなり、切り換えるまでに信号処理回路が誤動作してモータが正常に回転しなくなる可能性があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための主たる発明は、外部クロックが入力される外部クロック入力端子と、内部クロックを発生する内部クロック発生回路と、前記外部クロックまたは前記内部クロックに基づいて、モータを駆動するための制御信号を出力する信号処理回路と、前記信号処理回路からの制御信号に基づいて、前記モータの駆動コイルを通電する駆動トランジスタと、を有するモータ駆動用集積回路において、前記外部クロックが入力されているとき、前記内部クロック発生回路を停止させて前記外部クロックを選択し、前記外部クロックが入力されていないとき、前記内部クロック発生回路を動作させて前記内部クロックを選択するクロック選択回路、を備えたことを特徴とするモータ駆動用集積回路である。
【0007】
本発明の上記以外の特徴とするところは、本明細書および添付図面の記載により明らかとなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
===開示の概要===
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0009】
外部クロックが入力される外部クロック入力端子と、内部クロックを発生する内部クロック発生回路と、前記外部クロックまたは前記内部クロックに基づいて、モータを駆動するための制御信号を出力する信号処理回路と、前記信号処理回路からの制御信号に基づいて、前記モータの駆動コイルを通電する駆動トランジスタと、を有するモータ駆動用集積回路において、前記外部クロックが入力されているとき、前記内部クロック発生回路を停止させて前記外部クロックを選択し、前記外部クロックが入力されていないとき、前記内部クロック発生回路を動作させて前記内部クロックを選択するクロック選択回路、を備えたことを特徴とするモータ駆動用集積回路。
このモータ駆動用集積回路によれば、クロック選択回路は、外部クロックの停止を検出して内部クロックを信号処理回路に供給する。これにより、モータが正常に駆動され、このモータを有する携帯機器が誤動作するのを防止することが可能となる。
【0010】
また、かかるモータ駆動用集積回路において、前記クロック選択回路は、モータ駆動用集積回路がスタンバイモードのとき、前記外部クロックを選択可能となっていることとする。
このモータ駆動用集積回路によれば、クロック選択回路は、動作を開始する前のスタンバイモードで外部クロックの入力を選択している。これにより、動作を開始する時点から低消費電力を実現することが可能となる。
【0011】
また、かかるモータ駆動用集積回路において、前記クロック選択回路は、モータ駆動用集積回路がスタンバイモードから動作を開始した後、前記外部クロックが第1の期間入力されていないとき、前記内部クロック発生回路を動作させて前記内部クロックを選択することとする。例えば、前記クロック選択回路は、前記外部クロックが入力されているとき、前記第1の期間を計数する前に前記外部クロックでリセットされる第1のカウンタを有し、前記第1のカウンタが前記第1の期間を計数したときの値に基づいて、前記内部クロック発生回路を動作させて前記内部クロックを選択することとしてもよい。
このモータ駆動用集積回路によれば、クロック選択回路は、外部クロックが停止して一定期間を経過してから内部クロックを信号処理回路に供給する。これにより、クロック選択回路が内部クロックを選択している期間を必要最小限とすることが可能となる。
【0012】
また、かかるモータ駆動用集積回路において、前記クロック選択回路は、モータ駆動用集積回路がスタンバイモードから動作を開始したとき、前記外部クロックを計数する第2のカウンタを有し、前記第2のカウンタが第2の期間を計数したときの値に基づいて、前記外部クロックを選択することとする。
このモータ駆動用集積回路によれば、クロック選択回路は、外部クロックの入力を一定期間継続して検出してからこの外部クロックを信号処理回路に供給する。これにより、信号処理回路が外部クロック以外のノイズで誤動作するのを防止することが可能となる。
【0013】
また、かかるモータ駆動用集積回路において、前記クロック選択回路は、モータ駆動用集積回路がスタンバイモードから動作を開始したとき、前記第2のカウンタが前記第2の期間を計数する前は、前記内部クロック発生回路を動作させて前記内部クロックを選択し、前記第2のカウンタが前記第2の期間を計数した後は、前記内部クロック発生回路を停止させて前記外部クロックを選択することとする。
このモータ駆動用集積回路によれば、クロック選択回路は、外部クロックの入力を検出するまでの僅かな期間、内部クロックを選択して信号処理回路に供給する。これにより、信号処理回路の動作が停止してモータが正常に駆動されなくなる不具合を防止することが可能となる。
【0014】
===全体の構成===
図1および図2を参照しつつ、本発明にかかる全体の構成について説明する。図1は、本発明のモータ駆動用集積回路を説明するための構成図である。図2は、本発明のモータ駆動用集積回路の動作を説明するための波形図である。なお、本実施形態では、モータ駆動用集積回路は、3相のセンサレスモータ(例えば、スピンドルモータ、スレッドモータ等)を駆動することとする。ここで、センサレスモータは、ロータおよびステータの相対位置を検知するための素子(例えば、ホール素子)を持たないモータのことである。
【0015】
図1において、U相駆動コイル2、V相駆動コイル4、W相駆動コイル6は、スター結線されるとともに120度の電気角を有しており、センサレスモータのステータに固着されている。
【0016】
Nチャンネル型MOSFET8は、U相駆動コイル2を通電するためのソース側の駆動トランジスタ、Nチャンネル型MOSFET10は、U相駆動コイル2を通電するためのシンク側の駆動トランジスタである。Nチャンネル型MOSFET8、10のドレインソースは、電源Vpと接地との間に直列接続され、Nチャンネル型MOSFET8、10のドレインソース接続部は、U相駆動コイル2の一端と接続されている。同様に、Nチャンネル型MOSFET12は、V相駆動コイル4を通電するためのソース側の駆動トランジスタ、Nチャンネル型MOSFET14は、V相駆動コイル4を通電するためのシンク側の駆動トランジスタである。Nチャンネル型MOSFET12、14のドレインソースは、電源Vpと接地との間に直列接続され、Nチャンネル型MOSFET12、14のドレインソース接続部は、V相駆動コイル4の一端と接続されている。同様に、Nチャンネル型MOSFET16は、W相駆動コイル6を通電するためのソース側の駆動トランジスタ、Nチャンネル型MOSFET18は、W相駆動コイル6を通電するためのシンク側の駆動トランジスタである。Nチャンネル型MOSFET16、18のドレインソースは、電源Vpと接地との間に直列接続され、Nチャンネル型MOSFET16、18のドレインソース接続部は、W相駆動コイル6の一端と接続されている。そして、Nチャンネル型MOSFET8、10、12、14、16、18を後述する適宜のタイミングでオンオフすることによって、U相駆動コイル2、V相駆動コイル4、W相駆動コイル6に駆動電流が流れて、センサレスモータは回転(例えば正回転)することとなる。これにより、U相駆動コイル2、V相駆動コイル4、W相駆動コイル6の一端には、電気角120度の位相差を有する駆動電圧Vu、Vv、Vwが現れるとともに、U相駆動コイル2、V相駆動コイル4、W相駆動コイル6の共通接続部には、破線の中性点電圧Vcomが現れる。なお、駆動電圧Vu、Vv、Vw上における上方向および下方向の重畳パルスKBは、Nチャンネル型MOSFET8、10、12、14、16、18がオンオフすることによって、U相駆動コイル2、V相駆動コイル4、W相駆動コイル6を流れる駆動電流の方向が変化するときに生じるキックバックパルスである。なお、駆動トランジスタとしては、MOSFETの代わりにバイポーラトランジスタを使用することも可能である。
【0017】
切り換え回路20は、U端子、V端子、W端子を有し、U端子、V端子、W端子には、駆動電圧Vu、Vv、Vwが供給される。切り換え回路20は、U端子、V端子、W端子を電気角60度のタイミングで切り換えて、駆動電圧Vu、Vv、Vwの何れか1つを出力するものである。切り換え回路20は、センサレスモータが正回転するとき、U端子、W端子、V端子の順で繰り返し切り換え、一方、センサレスモータが逆回転するとき、U端子、V端子、W端子の順で繰り返し切り換えることとなる。
【0018】
コンパレータ22は、切り換え回路20から得られる駆動電圧Vu、Vv、Vwの何れか1つ(+端子)と中性点電圧Vcom(−端子)とを比較するものである。これにより、コンパレータ22からは、電気角60度のタイミングで変化する矩形の比較信号CPが出力される。なお、比較信号CP上における上方向および下方向の重畳パルスは、キックバックパルスKBに基づくものである。本実施形態では、切り換え回路20を設けることによって、1個のコンパレータを設けるだけで済むので、素子数を削減することが可能となる。
【0019】
センサレスモータでは、シンク側となるNチャンネル型MOSFET10、14、18のゲートにPWM信号を供給することによって、所定の回転速度を得ることが可能となる。なお、PWM信号とは、センサレスモータの回転速度と対応するデューティを有するものである。しかし、駆動電圧Vu、Vv、Vwには、Nチャンネル型MOSFET10、14、18がPWM信号でオンオフすることによって、キックバックパルスKBと同等の性質を有し、このキックバックパルスKBより狭い幅のPWMノイズが重畳することとなる。また、駆動電圧Vu、Vv、Vwには、Nチャンネル型MOSFET10、14、18のオンオフに関わらず、外来ノイズが重畳することもある。つまり、コンパレータ22から得られる比較信号CPにも、PWMノイズ、外来ノイズ(以後、ノイズと称する)が重畳することとなる。このノイズは、後段の信号処理回路を誤動作させるため、除去する必要がある。
【0020】
サンプルホールド回路24は、ノイズの数十倍の周波数を有するクロックを用いて、比較信号CPに重畳しているノイズの間のレベルをサンプルホールドして、比較信号CPからノイズを除去するものである。これにより、サンプルホールド回路24は、比較信号CPからノイズを除去したサンプルホールド信号SHを出力することとなる。なお、図2において、説明の便宜上、比較信号CPとサンプルホールド信号SHを兼ねることとする。
【0021】
外部クロック入力端子26は、このモータ駆動用集積回路とアプリケーションを構成する外部装置(例えば、マイクロコンピュータ、DSP等)から、外部クロックが供給されるものである。内部クロック発生回路28は、内部クロックを発生するものである。サンプルホールド回路24は、通常は外部クロックを優先して使用し、外部クロックが異常を来して停止したときのみ内部クロックを使用することとなる。
【0022】
クロック選択回路30は、外部クロックを優先してサンプルホールド回路24へ供給するものである。すなわち、クロック選択回路30は、外部クロックが存在するとき、内部クロック発生回路28の動作を停止させて外部クロックをサンプルホールド回路24へ供給し、一方、外部クロックが異常を来して停止したとき、内部クロック発生回路28を動作させて内部クロックをサンプルホールド回路24へ供給する。これにより、モータ駆動用集積回路は、緊急時のみ、内部クロック発生回路28を動作させることとなるので、モータ駆動用集積回路の消費電力を低減することが可能となる。なお、クロック選択回路30の詳細については、後述する。
【0023】
分配回路32は、U端子、V端子、W端子を有し、U端子、V端子、W端子を切り換え回路20と同一タイミングで切り換えて、サンプルホールド信号SHを分配して出力するものである。なお、分配回路32は、センサレスモータが正回転するとき、U端子、W端子、V端子の順で繰り返し切り換え、一方、センサレスモータが逆回転するとき、U端子、V端子、W端子の順で繰り返し切り換えることとなる。
【0024】
分配回路32のU端子からは、電気角60度の断片的な信号が得られるだけで、U相駆動コイル2を通電するための電気角120度の信号が欠落している。同様に、分配回路32のV端子からも、電気角60度の断片的な信号が得られるだけで、V相駆動コイル4を通電するための電気角120度の信号が欠落している。同様に、分配回路32のW端子からも、電気角60度の断片的な信号が得られるだけで、W相駆動コイル6を通電するための電気角120度の信号が欠落している。なお、分配回路32のU端子、V端子、W端子から得られる信号には、キックバックパルスKBに対応するノイズが重畳されている。
【0025】
マスク回路34は、分配回路32のU端子から得られる電気角60度の信号からキックバックパルスKBに対応するノイズを除去し、この電気角60度の信号を用いてU相駆動コイル2を駆動するための連続するマスク信号Umaskを生成して出力する。同様に、マスク回路34は、分配回路32のV端子から得られる電気角60度の信号からキックバックパルスKBに対応するノイズを除去し、この電気角60度の信号を用いてV相駆動コイル4を駆動するための連続するマスク信号Vmaskを生成して出力する。同様に、マスク回路34は、分配回路32のW端子から得られる電気角60度の信号からキックバックパルスKBに対応するノイズを除去し、この電気角60度の信号を用いてW相駆動コイル6を駆動するための連続するマスク信号Wmaskを生成して出力する。なお、マスク信号Umask、Vmask、Wmaskは、電気角120度の位相差を有する。
【0026】
合成回路38は、マスク回路34から得られるマスク信号Umask、Vmask、Wmaskを合成して、電気角60度のタイミングで変化する矩形の合成信号FGを出力する。
【0027】
位相比較器40、フィルタ42、バッファ44、電圧制御発振器46、1/N分周器48は、PLL回路を構成する。位相比較器40は、合成回路38から得られる合成信号FGと、1/N分周器48から得られる分周信号DVとの位相差に応じたパルス幅を有する電圧信号を出力するものである。例えば、位相比較器40は、合成信号FGの位相が分周信号DVの位相より進んでいる状態では、正の電圧信号を出力し、一方、合成信号FGの位相が分周信号DVの位相より遅れている状態では、負の電圧信号を出力する。この電圧信号は、フィルタ42で積分され、その後、バッファ44を介して電圧制御発振器46に供給される。電圧制御発振器46は、バッファ44から得られる電圧信号と対応する周波数信号VCOを出力して、1/N分周器48に供給する。この動作を繰り返すことによって、合成信号FGの位相と分周信号DVの位相は、一致することとなる。本実施形態では、合成信号FGの1/2周期(ハイレベルまたはローレベル)が周波数信号VCOの複数周期となるように、1/N分周器48の分周数Nを設定することとする。
【0028】
センサレスロジック回路52は、U相駆動コイル2、V相駆動コイル4、W相駆動コイル6を適宜のタイミングで通電するための信号を出力するものである。センサレスロジック回路52は、センサレスモータ自体が初期状態でのロータおよびステータ間の相対位置を推定できないことを考慮して、予め定められたマスク信号Umask、Vmask、Wmaskの初期レベルから動作することとなる(例えば、マスク信号Umask、Vmask、Wmaskの初期レベルを"L""L""H"とする)。センサレスロジック回路52は、通電信号Uiogic1(=Umask−Vmask)、Vlogic1(=Vmask−Wmask)、Wlogic1(=Wmask−Umask)を作成する。そして、センサレスロジック回路52は、通電信号Ulogic1が"M"レベルとなる期間、切り換え回路20のU端子と分配回路32のU端子を選択するための信号を出力する。同様に、センサレスロジック回路52は、通電信号Vlogic1が"M"レベルとなる期間、切り換え回路20のV端子と分配回路32のV端子を選択するための信号を出力する。同様に、センサレスロジック回路52は、通電信号Wlogic1が"M"レベルとなる期間、切り換え回路20のW端子と分配回路32のW端子を選択するための信号を出力する。そして、センサレスロジック回路52は、通電信号Ulogic1、Vlogic1、Wlogic1から遅延する通電信号Ulogic2、Vlogic2、Wlogic2を作成して出力する。
【0029】
Nチャンネル型MOSFET8、10、12、14、16、18は、この通電信号Ulogic2、Vlogic2、Wlogic2によってオンオフすることとなる。
【0030】
起動カウンタ58は、センサレスモータが起動しないとき、合成信号FGの電気角60度のタイミングを基準として計数を行うものである。そして、センサレスロジック回路52は、起動カウンタ58が所定値を計数したとき、マスク信号Umask、Vmask、Wmaskのレベルを次の電気角60度のレベルに変更する。これにより、センサレスモータは、再度起動されることとなる。
【0031】
なお、通電信号Ulogic2、Vlogic2、Wlogic2を得るまでの信号処理を行うブロック全体が、信号処理回路である。
【0032】
===クロック選択回路の構成===
次に、図3を参照しつつ、クロック選択回路30の構成について説明する。図3は、図1のクロック選択回路を説明するための回路図である。
クロック選択回路30は、回路A、回路B、回路C、回路Dを接続したものである。
【0033】
回路Aは、外部クロックまたは内部クロックの何れかを出力するものである。回路Aは、ANDゲート102、104、NORゲート106、インバータ108、110を有する。そして、回路Aでは、ANDゲート102の一方の入力端子が"H"のとき、外部クロックがANDゲート102を通してサンプルホールド回路24に出力される。また、回路Aでは、ANDゲート104の一方の入力端子が"H"のとき、内部クロックがANDゲート104を通してサンプルホールド回路24に出力される。
【0034】
回路Bは、モータ駆動用集積回路のためのスタンバイモード設定信号SSが外部入力されるものである。回路Bは、ORゲート112、インバータ114、116、118を有する。スタンバイモード設定信号SSは、モータ駆動用集積回路の動作がスタンバイのときは"H"となり、モータ駆動用集積回路の動作がスタートするときは"L"となる信号である。そして、スタンバイモード設定信号SSが"H"のとき、ORゲート112の出力は"H"となるとともにインバータ118の出力は"L"となる。一方、スタンバイモード設定信号SSが"L"のとき、ORゲート112の出力は回路Cの出力に依存するとともにインバータ118の出力は"H"となる。なお、ORゲート112の出力は、回路Aのためのクロック選択信号および内部クロック発生回路28のための内部クロック制御信号となる。つまり、ORゲート112の出力が"H"のとき、内部クロック発生回路28は動作を停止し、回路Aでは外部クロックがANDゲート102を通してサンプルホールド回路24に出力される。一方、ORゲート112の出力が"L"のとき、内部クロック発生回路28は動作して内部クロックを発生し、回路Aでは内部クロックがANDゲート104を通してサンプルホールド回路24に出力される。
【0035】
回路Cは、スタンバイモード設定信号SSが"H"から"L"へ変化した時間を基準として、外部クロックではないノイズが入力されているかどうかを検出するものである。回路Cは、ORゲート120、6段のD型FF122、124、126、128、130、132、ANDゲート134、136、138、140、142を有する。6段のD型FF122、124、126、128、130、132がリセット後の60周期の外部クロックで動作したとき、ANDゲート142の出力は"H"となる。つまり、ORゲート112の出力は、スタンバイモード設定信号SSが"L"へ変化してから60周期の外部クロックが入力するまでの期間は"L"となる。この期間では、外部クロックではないノイズが入力されているかどうかを検出するため、内部クロック発生回路28が動作して内部クロックを発生し、この内部クロックはANDゲート104を通してサンプルホールド回路24に出力される。なお、D型FFの段数としては、センサレスモータの仕様(外部クロックの周波数等)に応じて、6段以外の適宜の段数を設定して、外部クロックではないノイズが入力されているかどうかを検出することとしてもよい。
【0036】
回路Dは、外部クロックが停止しているかどうかを検出するものである。回路D1は、スタンバイモード設定信号SSが"L"のとき、外部クロックが"L"に固定されたまま停止しているかどうかを検出するものである。回路D1は、ANDゲート144、146、2段のD型FF148、150を有する。そして、外部クロックが"L"に固定されたままD型FF148、150が3周期の周波数信号VCOで動作したとき、ANDゲート146の出力は"H"となる。また、回路D2は、スタンバイモード設定信号SSが"L"のとき、外部クロックが"H"に固定されたまま停止しているかどうかを検出するものである。回路D2は、インバータ152、ANDゲート154、156、2段のD型FF158、160を有する。そして、外部クロックが"H"に固定されたままD型FF158、160が3周期の周波数信号VCOで動作したとき、ANDゲート156の出力は"H"となる。また、回路Dは、ANDゲート162、164、ORゲート166、インバータ168を有する。ANDゲート146、156の何れかの出力が"H"のとき、ANDゲート164の出力は"L"となる。つまり、6段のD型FF122、124、126、128、130、132がリセットされて内部クロック発生回路28は内部クロックを発生し、この内部クロックはANDゲート104を通してサンプルホールド回路24に出力される。
【0037】
===クロック選択回路の動作===
次に、図4を参照しつつ、クロック選択回路30の動作について説明する。図4は、図3のクロック発生回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【0038】
スタンバイモード設定信号SSが"H"のとき、ORゲート112の出力が"H"となるので、内部クロック発生回路28が動作を停止し、外部クロックがANDゲート102を通してサンプルホールド回路24に優先して出力可能となる(S2)。
【0039】
スタンバイモード設定信号SSが"H"から"L"へ変化すると、ORゲート112の出力が"L"となるので、ANDゲート142の出力が"H"となるまで、内部クロック発生回路28が動作し、内部クロックがANDゲート104を通してサンプルホールド回路24に出力される。これにより、サンプルホールド回路24は、内部クロックを用いてサンプルホールドを行うこととなる。その後、外部クロックが継続して入力されて、ANDゲート142の出力が"L"から"H"へ変化すると、ORゲート112の出力が"H"となるので、内部クロック発生回路28が動作を停止し、ノイズではない外部クロックがANDゲート102を通してサンプルホールド回路24に出力される。これにより、サンプルホールド回路24は、外部クロックを用いてサンプルホールドを行うこととなる。
【0040】
次に、外部クロックがその後も継続して入力されているかどうかを検出する必要がある(S4)。
【0041】
外部クロックが3周期の周波数信号VCOの期間に入力されると(S4:YES)、ANDゲート146、156の出力が"L"となるとともに、ORゲート112の出力が"H"のままとなるので、外部クロックがANDゲート102を通してサンプルホールド回路24に出力される。これにより、サンプルホールド回路24は、外部クロックを用いてサンプルホールドを行うこととなる。
【0042】
外部クロックが3周期の周波数信号VCOの期間に"L"または"H"に固定されたままで停止すると(S4:NO)、ANDゲート146、156の何れか一方の出力が"H"となるとともに、ORゲート112の出力が"L"となるので、内部クロック発生回路28が動作し、内部クロックがANDゲート104を通してサンプルホールド回路24に出力される。これにより、サンプルホールド回路24は、内部クロックを用いてサンプルホールドを行うこととなる(S6)。
【0043】
次に、スタンバイモード設定信号SSのレベルを検出する必要がある(S8)。
スタンバイモード設定信号SSが"H"へ変化すると(S8:YES)、ステップS2以降を再度実行し、一方、スタンバイモード設定信号SSが"L"のままのとき(S8:NO)、ステップS4以降を再度実行することとなる。
【0044】
以上より、本発明のモータ駆動用集積回路では、外部クロックが停止しているときに内部クロックをサンプルホールド回路24に出力する。これにより、センサレスモータが正常に駆動され、このセンサレスモータを有する携帯機器等が誤動作するのを防止することが可能となる。
【0045】
また、動作を開始する前のスタンバイモードにおいて外部クロックをサンプルホールド回路24に出力可能である。これにより、モータ駆動用集積回路の低消費電力を実現することが可能となる。
【0046】
また、外部クロックが停止して一定期間を経過してから内部クロックをサンプルホールド回路24に出力する。これにより、モータ駆動用集積回路において内部クロックを選択している期間を必要最小限とすることが可能となる。
【0047】
また、外部クロックの入力を一定期間継続して検出してからこの外部クロックをサンプルホールド回路24に出力する。これにより、外部クロック以外のノイズがサンプルホールド回路24に出力されるのを防止することが可能となる。
【0048】
また、センサレスモータの起動時において、外部クロックの入力を検出するまでの僅かな期間、内部クロックをサンプルホールド回路24に出力する。これにより、サンプルホールド回路24の動作が停止してセンサレスモータが正常に駆動されなくなる不具合を防止することが可能となる。
【0049】
また、外部クロックまたは内部クロックの何れか一方を必ず使用するので、モータ駆動用集積回路におけるクロックの仕様を設定する必要がなくなる。
【0050】
===その他の実施形態===
以上、本発明に係るモータ駆動用集積回路について説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易とするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0051】
≪駆動トランジスタ≫
本実施形態では、Nチャンネル型MOSFETであるが、これに限定されるものではない。例えば、Pチャンネル型MOSFET、NPN型バイポーラトランジスタ、PNP型バイポーラトランジスタの何れかを使用することも可能である。
【0052】
≪クロック選択回路≫
本実施形態では、図6の回路A、回路B、回路C、回路Dを接続したものであるが、この回路構成に限定されるものではない。例えば、MOSFETを有する他の論理回路として、外部クロックまたは内部クロックを適宜選択してサンプルホールド回路24に出力することとしてもよい。
【0053】
≪モータ駆動用集積回路≫
本実施形態では、センサレスモータを駆動するための回路構成であるが、これに限定されるものではない。例えば、位置検知素子(例えばホール素子)を有するブラシレスモータを駆動するための回路構成であることとしてもよい。
【0054】
【発明の効果】
本発明のモータ駆動用集積回路によれば、外部クロックを優先して使用するので、低消費電力を実現することが可能となる。また、外部クロックの停止を検出して内部クロックを使用するので、モータを正常に駆動することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモータ駆動用集積回路を説明するための構成図である。
【図2】本発明のモータ駆動用集積回路の動作を説明するための波形図である。
【図3】図1のクロック選択回路を説明するための回路図である。
【図4】図3のクロック発生回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
2 U相駆動コイル
4 V相駆動コイル
6 W相駆動コイル
8、10、12、14、16、18 Nチャンネル型MOSFET
24 サンプルホールド回路
26 外部クロック入力端子
28 内部クロック発生回路
30 クロック選択回路
52 センサレスロジック回路
Claims (4)
- 外部クロックが入力される外部クロック入力端子と、内部クロックを発生する内部クロック発生回路と、前記外部クロックまたは前記内部クロックに基づいて、モータを駆動するための制御信号を出力する信号処理回路と、前記信号処理回路からの制御信号に基づいて、前記モータの駆動コイルを通電する駆動トランジスタと、を有するモータ駆動用集積回路において、
前記外部クロックが入力されているとき、前記内部クロック発生回路を停止させて前記外部クロックを選択し、前記外部クロックが入力されていないとき、前記内部クロック発生回路を動作させて前記内部クロックを選択するクロック選択回路と、を備え、
前記クロック選択回路は、モータ駆動用集積回路がスタンバイモードから動作を開始した後、前記外部クロックが第1の期間入力されていないとき、前記内部クロック発生回路を動作させて前記内部クロックを選択することを特徴とするモータ駆動用集積回路。 - 前記クロック選択回路は、前記外部クロックが入力されているとき、前記第1の期間を計数する前に前記外部クロックでリセットされる第1のカウンタを有し、前記第1のカウンタが前記第1の期間を計数したときの値に基づいて、前記内部クロック発生回路を動作させて前記内部クロックを選択することを特徴とする請求項1記載のモータ駆動用集積回路。
- 前記クロック選択回路は、モータ駆動用集積回路がスタンバイモードから動作を開始したとき、前記外部クロックを計数する第2のカウンタを有し、前記第2のカウンタが第2の期間を計数したときの値に基づいて、前記外部クロックを選択することを特徴とする請求項2記載のモータ駆動用集積回路。
- 前記クロック選択回路は、モータ駆動用集積回路がスタンバイモードから動作を開始したとき、前記第2のカウンタが前記第2の期間を計数する前は、前記内部クロック発生回路を動作させて前記内部クロックを選択し、前記第2のカウンタが前記第2の期間を計数した後は、前記内部クロック発生回路を停止させて前記外部クロックを選択することを特徴とする請求項3記載のモータ駆動用集積回路。
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