JP4424561B2 - 美白化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、すぐれた美白効果を有し、しかも皮膚に対する安全性の高い美白化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
日焼け或いは加齢に伴って生ずる色素沈着、特にシミ、ソバカスの予防、症状改善を目的として、従来よりコウジ酸、アスコルビン酸誘導体、ハイドロキノン誘導体など種々の美白剤が提案され、それらを配合した美白化粧料が上市されている。しかしながら、それら従来の美白剤は、美白効果それ自体が必ずしも十分満足し得るものではないことに加えて、美白効果を最大限に発揮させるためその配合量を増やすと、皮膚刺激の問題を生ずることがあるなど、実用性の面でなお改善すべき点が多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑み、美白効果にすぐれると共に皮膚に対する安全性の高い美白化粧料を提供ずべく、天然物中の美白成分の探索とその化粧料への応用について鋭意研究を進めた結果、米糠の特定の抽出画分がチロシナーセ活性抑制作用に基づくすぐれた美白効果を有し、又天然物由来であるため皮膚刺激性も少ないことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、米糠をpH1〜4の酸性水性媒体で抽出して得られ、チロシナーゼ活性抑制作用を有する抽出物を配合したことを特徴とする美白化粧料、並びに米糠をpH1〜4の酸性水性媒体で抽出して得られ、チロシナーゼ活性抑制作用を有する抽出物の酵素処理物を配合したことを特徴とする美白化粧料である。
【0005】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明にいう米糠としては、玄米を精米する際に得られる所謂米糠のほか、玄米それ自体を使用することも可能であり、要はその全部又は一部が米糠相当成分からなるものであればよく、その種類に特に制限はない。
【0006】
米糠の抽出に用いる酸性水性媒体としては、水性媒体、一般には水、を酸でpH1〜4に調整したものが使用される。水に代えて、水と水混和性有機溶媒との混合物を用いることもできる。
【0007】
水性媒体のpH調整に用いる酸としては、塩酸、硫酸、燐酸などの無機酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸などの有機酸がある。それらのうちでも、特に乳酸の使用が好ましい。
又、水混和性有機溶媒を併用する場合、該溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどの一価アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1.3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサンなどのケトン類等を挙げることができる。水に対するそれら有機溶媒の混合割合は、一般には70重量%以下、特に50重量%以下が望ましい。
【0008】
かかる酸性水性媒体を用いる米糠抽出物の調製方法を、例えば被抽出物として通常の米糠を用いる場合について述べれば、以下の通りである。
即ち、まず米糠に、必要ならば加熱等による酵素失活処理さらには脱脂処理等を施した後、その乾燥重量に対して、通常1〜10倍量、好ましくは2〜5倍量の酸性水性媒体を加え、十分混合した上、攪拌下もしくは無攪拌下に抽出を行う。抽出条件としては、用いる溶媒の組成、pH等によって異なるが、一般には4〜40℃で6時間〜7日程度である。
【0009】
抽出を終わったならば、次に濾過、遠心分離等の固液分離操作を施して固形物を除去した後、ここに得られる抽出液を、一般にはさらに、通常美白化粧料で用いられるpH領域であるpH6.0〜8.0の範囲に調整し、析出物を濾過等によって除去して米糠抽出物を得る。
【0010】
上記の工程中、例えば固形物除去後の抽出液に、蛋白分解酵素等による酵素処理を施してもよく、これによって米糠抽出物の保存安定性を高めることができる。
【0011】
かくして得られる米糠抽出物は、そのまま、もしくはさらに減圧濃縮等により適宜の濃度に調整して、美白化粧料中に配合するか、場合によっては、スプレードライ法、凍結乾燥法など常法に従って粉末化した上、該化粧料中に配合される。
【0012】
本発明の美白化粧料中に於ける上記の米糠抽出物の配合量は、用いた米糠原料等によっても異なるが、通常の米糠を使用した場合であれば、固形分として一般に0.002〜2重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%の範囲である。配合量が0.002重量%を下回ると、所望の美白効果を得ることが困難となり、一方2重量%を越えて多く配合しても、配合量に見合ったそれ以上の美白効果の向上は期待し難く、コスト、配合操作等の面で問題を生ずるのみで好ましくない。
【0013】
米糠原料として玄米等を用いて得られる抽出物を化粧料に配合する場合は、用いた原料中の米糠含量或いは抽出物の美白効果等を勘案して、配合量が調整される。
【0014】
本発明の美白化粧料には、必須成分の米糠抽出物又はその酵素処理物の他に、通常化粧料に用いられる配合成分である油脂成分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防腐殺菌剤、粉体成分、紫外線吸収剤、色素、香料等が必要に応じて適宜配合され、それら成分によってクリーム、乳液、ローション、軟膏、パック剤等適宜の剤型とした上使用に供される。
【0015】
ここで、油脂成分としては、例えばオリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、ミンク油等の油脂類:ミツロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類:流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン等の炭化水素類:ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類:ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類:ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル等の合成エステル類が挙げられる。
【0016】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤:脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α−スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤:第四級アンモニウム塩、第一級〜第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルビリジニウム塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N.N−ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤:N.N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニオベタイン、N.N.N−トリアルキル−N−アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N−アシルアミドプロピル−N’N’−ジメチル−N’−β−ヒドロキシプロビルアンモニオスルホベタイン等の両イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0017】
保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1.3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ピロリドンカルボン酸塩、ヒアルロン酸等のムコボリサッカライド、尿素等がある。
【0018】
増粘剤としては、例えばトラガントガム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸及びその誘導体、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ビーガム、メチルポリシロキサン、デキストラン等がある。
【0019】
防腐殺菌剤としては、例えば尿素、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール等がある。
【0020】
粉体成分としては、例えば酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、セリサイト、ナイロンパウダー、シルクパウダー等がある。
【0021】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル、パラメトキシ桂皮酸エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、2.4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等がある。
【0022】
本発明の美白化粧料には、本発明の米糠抽出物の有効性を損なわない範囲で、他の美白剤をはじめ各種化粧料活性成分をさらに配合し、併用することができる。
かかるものとしては、例えばコウジ酸及びその誘導体、アルブチン、アスコルビン酸及びその誘導体(L−アスコルビン酸−2−燐酸エステル塩、L−アスコルビン酸−2−グルコシドなど)、エラグ酸、レゾルシノール誘導体(4−n−ブチルレゾルシノールなど)ソウハクヒ抽出液、ユキノシタ抽出液等の美白剤:ビタミンE及びその誘導体(ビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレートなど)、ニコチン酸及びその誘導体(ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジルなど)、α−ヒドロキシ酸類(乳酸、クエン酸、α−ヒドロキシオクタン酸など)、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸等の老化防止・肌荒れ改善剤等が挙げられる。
【0023】
以下、製造例、実施例及び試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下に於いて、%及び部はそれぞれ重量%及び重量部を意味する。
【0024】
製造例1 米糠抽出物溶液の調製
米糠400gに0.1M乳酸水溶液(pH2.6)1200gを加え、攪拌して米糠と乳酸水溶液を十分混合した後、室温に2日間静置した。次に不溶物をろ過で除き、ろ液のpHを1N苛性ソーダ水溶液で8.5に調整して生じた不溶物をろ別し、ろ液を乳酸でpH6.5として米糠抽出物溶液を得た(収量:約800g、固形分濃度:4.4%)。
【0025】
製造例2 米糠抽出物溶液の調製
抽出媒体として、0.1M乳酸水溶液に代えて、10%エタノール含有0.1M乳酸水溶液(pH2.7)を用いるほかは、製造例1と同様にして米糠抽出物溶液を得た(収量:約750g、固形分濃度:5.2%)
【0026】
製造例3 米糠抽出物溶液の調製
抽出媒体として、0.1M乳酸水溶液に代えて、0.1M燐酸水溶液(pH1.6)を用いるほかは、製造例1と同様にして米糠抽出物溶液を得た(収量:約700g、固形分濃度:4.4%)
【0027】
製造例4 米糠抽出物溶液の調製
抽出媒体として、0.1M乳酸水溶液に代えて、0.1N塩酸(pH1.1)を用いるほかは、製造例1と同様にして米糠抽出物溶液を得た(収量:約650g、固形分濃度:4.0%)
【0028】
製造例5米糠抽出物溶液の調製
抽出媒体として、0.1M乳酸水溶液に代えて、0.1Mクエン酸(pH2.3)を用いるほかは、製造例1と同様にして米糠抽出物溶液を得た(収量:約600g、固形分濃度:4.8%)
【0029】
製造例6 米糠抽出物溶液の調製
米糠400gに0.1M乳酸水溶液(pH2.6)1200gを加え、攪拌して米糠と乳酸水溶液を十分混合した後、室温に2日間静置した。次に不溶物をろ過で除き、ろ液のpHを7.5に調整し、蛋白分解酵素20mgを加えて40℃で2時間酵素処理を行った後、処理液をろ過し、ろ液のpHを1N苛性ソーダ水溶液で8.5に調整して生じた不溶物をろ別し、ろ液を乳酸でpH6−5として米糠抽出物溶液を得た(収量:約750g、固形分濃度:4.7%)。
【0030】
製造例7 米糠抽出物粉末の調製
製造例1で得られた米糠抽出液100gを減圧濃縮した後凍結乾燥し、米糠抽出物粉末約4.4gを得た。
【0031】
製造例8 米糠抽出物溶液の調製
製造例1に於いて、米糠に代えて玄米を用いるほかは製造例1と同様にして米糠抽出物溶液を得た(収量:約1000g、固形分濃度:0.5%)。
【0032】
実施例1 クリーム
[A成分] 部
流動パラフィン 5.0
ヘキサラン((株)テクノーブル製 トリオクタン酸グリセリル) 4.0
パラフィン 5.0
グリセリルモノステアレート 2.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 6.0
ブチルパラベン 0.1
[B成分]
製造例1で得られた米糠抽出物溶液 5.0
グリセリン 5.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
メチルパラベン 0.1
モイストン・C((株)テクノーブル製 NMF成分) 1.0
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱した後、攪拌混合した。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合してクリームを調製した。
【0033】
実施例2 乳液
[A成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン((株)テクノーブル製 トリオクタン酸グリセリル) 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
大豆レシチン 1.5
メチルパラベン 0.15
エチルパラベン 0.03
[B成分]
製造例2で得られた米糠抽出物溶液 5.0
グリセリン 3.0
1.3−ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱した後、攪拌混合した。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合し、乳液を調製した。
【0034】
実施例3 ローション
[成分] 部
製造例1で得られた米糠抽出物溶液 5.0
エタノール 10.0
グリセリン 3.0
1.3−ブチレングリコール 2.0
メチルパラベン 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.1
香料 適量
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を混合してローションを調製した。
【0035】
実施例4 パック
[成分] 部
ポリビニルアルコール 15.0
ヒドロキシメチルセルロース 5.0
プロピレングリコール 5.0
エタノール 10.0
メチルパラベン 0.2
製造例2で得られた米糠抽出物溶液 3.0
香料 1.0
精製水 適量
全量が100部となる量
上記の成分を攪拌混合してパックを調製した。
【0036】
実施例5 洗顔料
[成分] 部
ステアリン酸 15.0
ラウリン酸 5.0
ミリスチン酸 15.0
グリセリルモノステアレート 4.0
水酸化カリウム 7.0
グリセリン 8.0
製造例7で得られた米糠抽出物粉末 0.2
メチルパラベン 0.2
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を85℃に加温して攪拌混合し、洗顔料を調製した。
【0037】
実施例6 クリーム
実施例1に於いて、製造例1の米糠抽出物溶液に代えて、製造例4の米糠抽出物溶液を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0038】
実施例7 乳液
実施例2に於いて、製造例2の米糠抽出物溶液に代えて、製造例5の米糠抽出物溶液を用いるほかは実施例1と同様にして乳液を調製した。
【0039】
実施例8 クリーム
実施例1に於いて、製造例1の米糠抽出物溶液に代えて、製造例7の米糠抽出物溶液を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0040】
実施例9 クリーム
実施例1に於いて、製造例1の米糠抽出物溶液5.0部に代えて、該抽出物溶液4.0部とコウジ酸1.0部を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0041】
比較例 クリーム
実施例1に於いて、製造例1の米糠抽出物溶液5.0部に代えてコウジ酸1.0部を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0042】
対照例 クリーム
実施例1に於いて、製造例1の米糠抽出物溶液を用いないほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0043】
試験例1 細胞内チロシナーゼ活性抑制作用
[試験方法]
培養B16マウスメラノーマ細胞を、96穴マイクロプレートに8×103個/穴播種し、10%仔牛血清(FBS)含有イーグル最少必須培地(MEM)中、37℃、5%CO2の条件下に1日間プレ培養した後、培養液を、製造例1の米糠抽出物溶液を1.0、2.5又は5.0%の濃度となるように添加した10%FBS含有イーグルMEM、もしくは製造例2〜5の米糠抽出物溶液を夫々5.0%の濃度となるように添加した10%FBS含有イーグルMEMで置換し、同条件で4日間培養した。
次に、培養液を除去し、界面活性剤(Triton X−100)を添加した細胞処理液に、5mMのL−ドーパ又は0.2%のMTTを添加して37℃でチロシナーゼ反応を行った後、マイクロプレートリーダー(Mode1450、バイオラッド社製)を用い、波長490nmでドーパ値を又570−630nmでMTT値をそれぞれ測定した。
なお比較のため、製造例1の米糠抽出物溶液の代わりに、2mMのコウジ酸を添加した場合及び試料無添加の場合(ブランク)についても、同様の試験を行った。
【0044】
[結果]
各試料のドーパ値を図1に、又各試料のMTT値を図2に示す。
図1及び図2の結果から、本発明の米糠抽出物が、細胞活性を低下せしめることなく、細胞内チロシナーゼ活性を濃度依存的にかつ有意に抑制することが判る。
【0045】
試験例2 色素沈着抑制試験
本発明の米糠抽出物のin vivo美白作用を、モルモットを用いた色素沈着試験により調べた。
【0046】
[試料]
製造例1の米糠抽出物を精製水で希釈して固形分濃度0.2%としたものを試料として用いた。
[試験方法]
有色モルモット(雄、8週齢)の背部中央部のタテ60mm×ヨコ30mmの体毛を剃毛し、該部分を左右二つに区画した。この区画の一方に試料溶液を、他方に対照として精製水を、それぞれ朝、夕2回各5ml宛6日間塗布すると共に、該塗布部位に毎日1回朝の塗布直前に500mJ/cm2のUV−Bを照射し、6日目の夕方に照射部位の色素沈着状態を目視により観察し、以下の基準により評価した。
【0047】
【0048】
[結果]
結果を表1に示す。
【表1】
【0049】
表1に示す通り、本発明の米糠抽出物は紫外線による皮膚への色素沈着を顕著に防止する効果を有する。
【0050】
試験例3 皮膚刺激性評価試験
眼粘膜刺激性試験の代替法である培養ウサギ角膜細胞(SIRC)を用いたニュートラルレッド取り込み試験により、各種美白剤の皮膚刺激性を評価した。
【0051】
[試料]
(1)製造例1の米糠抽出物溶液
(2)コウジ酸
(3)アルブチン
【0052】
[試験方法]
SIRCを96穴マイクロプレートに5000個播種し、5%仔牛血清含有イーグル最少必須培地(MEM)で3日間培養した後、これに試料を0.2%の固形分濃度となるように添加し、さらに2日間培養した。次に、SRICを0.05%ニュートラルレッド(NR)含有イーグルMEM培地で3時間培養し、ここに得られたSRICについでNRの取り込み率を求め、各試料の皮膚刺激性を評価した。
【0053】
[結果]
結果を表2に示す。
【表2】
【0054】
表2に示す通り、本発明の米糠抽出物は、既存の美白剤に比べて皮膚に対する刺激が少なく、これによって安全性のより高い美白化粧料を得ることができる。
【0055】
試験例4 モニターテスト
実施例1、比較例及び対照例の各クリームについて、それらの皮膚色素沈着に対する抑制効果並びに皮膚刺激性を調べた。
[試験方法]
無作為に抽出した年齢18〜50歳の女性20名を被験者とし、各クリームを1日2回(朝、晩)、1ヵ月間上背部に塗布し、塗布部の色素沈着の状態及び皮膚の紅斑を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0056】
[評価基準]
〈色素沈着〉
A:なくなった
B:明らかに少なくなった
C:いくらか少なくなった
D:殆ど変化がなかった
E:かえって多くなった
〈紅斑〉
A:対照例と差がない
B:対照例と殆んど差がない
C:対照例に比べて多少紅斑が目立つ
D 対照例に比べて相当紅斑が目立つ
E 対照例に比べて明らかに紅斑が目立つ
【0057】
[結果]
結果を表3に示す。
【表3】
【0058】
表3に示す通り、本発明の米糠抽出物を配合したクリームは、すぐれた色素沈着防止効果を具え、しかも皮膚に対する刺激が少なく安全性が高い。
【0059】
【発明の効果】
本発明の酸性水性媒体による米糠抽出物又はその酵素処理物を配合してなる美白化粧料は、それら配合成分の示す強いチロシナーゼ活性抑制作用により、シミ、ソバカスなど皮膚への色素沈着を顕著に抑制或いは軽減すると共に、該配合成分が天然物由来であるため皮膚に対する刺激性が少なく安全性にもすぐれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、試験例1の各試料のドーパ値を示すグラフである。
【図2】図2は、試験例1の各試料のMTT値を示すグラフである。
Claims (4)
- 米糠をpH1〜4の酸性水性媒体で抽出して得られ、チロシナーゼ活性抑制作用を有する抽出物を配合したことを特徴とする美白化粧料。
- 酸性水性媒体として、水又は水と水混和性有機溶媒との混合物を用いる請求項1に記載の美白化粧料。
- 米糠をpH1〜4の酸性水性媒体で抽出して得られ、チロシナーゼ活性抑制作用を有する抽出物の酵素処理物を配合したことを特徴とする美白化粧料
- 酵素処理を蛋白分解酵素によって行う請求項3に記載の美白化粧料
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